Wallet (mTLS)を使用したAutonomous Databaseからパブリックにアクセス可能なOracle Databaseへのデータベース・リンクの作成

Autonomous Databaseからパブリック・エンドポイントにあるターゲットOracleデータベースへのデータベース・リンクを作成できます。

Autonomous Databaseでデータベース・リンクを使用するには、SSL付きTCP/IP (TCPS)認証を使用するようにターゲット・データベースを構成する必要があります。Autonomous Databaseは、デフォルトでSSL付きTCP/IP (TCPS)認証を使用するため、別のAutonomous Databaseにリンクするためにターゲット・データベースで追加の構成を行う必要はありません。その他のOracleデータベースは、SSL付きTCP/IP (TCPS)認証を使用するように構成する必要があります。詳細は、『Oracle Database 19cセキュリティ・ガイド』「Secure Sockets Layer認証の構成」または『Oracle Database 23aiセキュリティ・ガイド』を参照してください。

パブリック・ターゲットへのデータベース・リンクを作成するには、ターゲットOracle Databaseにアクセスできる必要があります。データベースによっては、アクセスが制限される場合があります(アクセス制御リストの使用など)。データベース・リンクが機能するように、ターゲット・データベースでソース・データベースからのアクセスが許可されていることを確認してください。アクセス制御リスト(ACL)を使用してアクセスを制限すると、ソースAutonomous DatabaseのアウトバウンドIPアドレスを検索し、そのIPアドレスでターゲット・データベースに接続することを許可できます。

詳細は、Autonomous DatabaseからDatabase Cloud Serviceインスタンスへのデータベース・リンクの作成方法を参照してください。

ウォレット(mTLS)を使用してターゲットOracleデータベースへのデータベース・リンクを作成するには:

  1. ターゲット・データベースの証明書を含むターゲット・データベース・ウォレットcwallet.ssoをオブジェクト・ストアにコピーします。

    ウォレット・ファイルについては、次の点に注意してください。

    • ウォレット・ファイルをデータベースのユーザーIDおよびパスワードとともに使用すると、ターゲットOracle Database内のデータにアクセスできます。ウォレット・ファイルは安全な場所に保存してください。ウォレット・ファイルは、権限のあるユーザーとのみ共有してください。

    • ウォレット・ファイルの名前を変更しないでください。オブジェクト・ストレージのウォレット・ファイルには、cwallet.ssoという名前を付ける必要があります。

  2. ウォレット・ファイルcwallet.ssoを格納するオブジェクト・ストアにアクセスするための資格証明を作成します。様々なオブジェクト・ストレージ・サービスのusernameおよびpasswordパラメータの詳細は、CREATE_CREDENTIALプロシージャを参照してください。
  3. ウォレット・ファイルcwallet.ssoのディレクトリをAutonomous Databaseに作成します。

    たとえば次のようにします。

    CREATE DIRECTORY dblink_wallet_dir AS 'directory_path_of_your_choice';
                

    ディレクトリの作成の詳細は、Autonomous Databaseのディレクトリの作成を参照してください。

  4. DBMS_CLOUD.GET_OBJECTを使用して、前のステップで作成したディレクトリDBLINK_WALLET_DIRにターゲット・データベース・ウォレットをアップロードします。

    たとえば次のようにします。

    BEGIN 
        DBMS_CLOUD.GET_OBJECT(
            credential_name => 'DEF_CRED_NAME',
            object_uri => 'https://objectstorage.us-phoenix-1.oraclecloud.com/n/namespace-string/b/bucketname/o/cwallet.sso',
            directory_name => 'DBLINK_WALLET_DIR'); 
    END;
    /

    この例では、namespace-stringはOracle Cloud Infrastructureオブジェクト・ストレージ・ネームスペースで、bucketnameはバケット名です。詳細は、オブジェクト・ストレージ・ネームスペースの理解を参照してください。

    ノート:

    このステップで使用するcredential_nameは、オブジェクト・ストアの資格証明です。次のステップでは、ターゲット・データベースにアクセスするための資格証明を作成します。
  5. Autonomous Databaseインスタンスで、資格証明を作成してターゲット・データベースにアクセスします。DBMS_CLOUD.CREATE_CREDENTIALで指定するusernameおよびpasswordは、データベース・リンクの作成に使用するターゲット・データベースの資格証明です。

    ノート:

    credential_nameパラメータの指定は必須です。

    たとえば次のようにします。

    BEGIN
        DBMS_CLOUD.CREATE_CREDENTIAL(
            credential_name => 'DB_LINK_CRED',
            username => 'NICK',
            password => 'password');
    END;
    /

    usernameパラメータの文字はすべて大文字である必要があります。

    この操作によって、資格証明が暗号化された形式でデータベースに格納されます。 資格証明には任意の名前を使用できます。

  6. DBMS_CLOUD_ADMIN.CREATE_DATABASE_LINKを使用して、ターゲット・データベースへのデータベース・リンクを作成します。

    たとえば次のようにします。

    BEGIN
        DBMS_CLOUD_ADMIN.CREATE_DATABASE_LINK(
            db_link_name => 'SALESLINK',
            hostname => 'adb.eu-frankfurt-1.oraclecloud.com', 
            port => '1522',
            service_name => 'example_medium.atpc.example.oraclecloud.com',
            ssl_server_cert_dn => 'CN=atpc.example.oraclecloud.com,OU=Oracle BMCS FRANKFURT,O=Oracle Corporation,L=Redwood City,ST=California,C=US',
            credential_name => 'DB_LINK_CRED',
            directory_name => 'DBLINK_WALLET_DIR');
    END;
    /

    ADMIN以外のユーザーには、DBMS_CLOUD_ADMIN.CREATE_DATABASE_LINKを実行するための権限が必要です。

    directory_nameで指定されたディレクトリ内のウォレット・ファイルがcwallet.ssoでない場合、プロシージャはORA-28759: failure to open fileなどのエラーを報告します。

  7. 作成したデータベース・リンクを使用して、ターゲット・データベースのデータにアクセスします。

    たとえば次のようにします。

    SELECT * FROM employees@SALESLINK;
                

ステップ5で作成した資格証明(ターゲット・データベースの資格証明)では、ターゲット・ユーザーのパスワードが変更された場合、ターゲット・ユーザーの資格証明を含む資格証明を次のように更新できます:

BEGIN
    DBMS_CLOUD.UPDATE_CREDENTIAL (
        credential_name => 'DB_LINK_CRED',
        attribute => 'PASSWORD',
        value => 'password' );
END;
/

ここで、passwordは新しいパスワードです。

この操作の後、この資格証明を使用する既存のデータベース・リンクは、データベース・リンクを削除して再作成しなくても引き続き機能します。

その他の情報については、次のWebサイトを参照してください。

ターゲットOracle Databaseでのデータベース・リンクに関するノート

ターゲットOracleデータベースへのデータベース・リンクの作成に関するノートを提供します(ターゲットがAutonomous Databaseではない場合)。

他のOracleデータベースへのデータベース・リンクに関するノート:

  • データベース・リンクで使用するウォレット・ファイルは、ディレクトリごとに1つのみ有効です。ウォレット・ファイル用に選択したディレクトリ(DBLINK_WALLET_DIRなど)に一度にアップロードできるのは1つのcwallet.ssoのみです。つまり、DBLINK_WALLET_DIRcwallet.ssoでは、ディレクトリ内のウォレットが有効なデータベースへのデータベース・リンクのみを作成できます。複数のcwallet.ssoファイルをデータベース・リンクで使用するには、追加のディレクトリを作成し、各cwallet.ssoを異なるディレクトリに配置する必要があります。DBMS_CLOUD_ADMIN.CREATE_DATABASE_LINKを使用してデータベース・リンクを作成する場合は、directory_nameパラメータでウォレットを含むディレクトリを指定します。

    ディレクトリの作成の詳細は、Autonomous Databaseのディレクトリの作成を参照してください。

  • 別のOracle Databaseへのデータベース・リンクでサポートされるターゲットOracleデータベース・バージョンは、19c、12.2.0および12.1.0です。

  • Autonomous DatabaseではSEC_CASE_SENSITIVE_LOGONパラメータがtrueに設定され、この値は変更できません。ターゲット・データベースがAutonomous Databaseでない場合は、ターゲット・データベースで SEC_CASE_SENSITIVE_LOGONパラメータをtrueに設定する必要があります。ターゲット・データベースでSEC_CASE_SENSITIVE_LOGONfalseに設定されている場合、エラーORA-28040: No matching authentication protocolが発生します。

  • データベース・リンクをリストするには、ALL_DB_LINKSビューを使用します。詳細は、『Oracle Database 19cデータベース・リファレンス』ALL_DB_LINKSまたは『Oracle Database 23aiデータベース・リファレンス』を参照してください。

  • ウォレット・ファイルは、データベースのユーザーIDおよびパスワードと組み合せて、ターゲットのOracle Database内のデータへのアクセスを可能にします。ウォレット・ファイルは安全な場所に保存してください。ウォレット・ファイルは、権限のあるユーザーとのみ共有してください。

  • Autonomous Databaseインスタンスがプライベート・エンドポイント上にある場合、ターゲット・データベースを指定する2つのオプションがあります: hostnameパラメータまたはrac_hostnamesパラメータのいずれかを使用します:

    • プライベート・エンドポイント上のターゲットの場合、DBMS_CLOUD_ADMIN.CREATE_DATABASE_LINKでは、hostnameパラメータを使用した単一ホスト名の指定がサポートされています。プライベート・エンドポイントでは、IPアドレス、SCAN IPまたはSCANホスト名の使用はサポートされていません(ターゲットがパブリック・エンドポイント上にある場合、CREATE_DATABASE_LINKはIPアドレス、SCAN IPまたはSCANホスト名の使用をサポートします)。

    • ターゲットがOracle RACデータベースの場合、rac_hostnamesパラメータを使用して、DBMS_CLOUD_ADMIN.CREATE_DATABASE_LINKで1つ以上のホスト名を指定します。これにより、Oracle RACの高可用性機能を利用できます。rac_hostnames値でのIPアドレス、SCAN IPまたはSCANホスト名の使用はサポートされていません。

      rac_hostnamesパラメータでホスト名のリストを指定すると、CREATE_DATABASE_LINKは、指定されたすべてのホスト名を接続文字列のアドレスとして使用します。指定されたホストのいずれかがターゲットのOracle RACデータベースで使用できない場合、Autonomous Databaseは、リストから別のホスト名を使用して自動的に接続を試みます。
    • DBMS_CLOUD_ADMIN.CREATE_DATABASE_LINKは、hostnameまたはrac_hostnamesパラメータの値localhostをサポートしていません。