4 Java使用状況
Advanced Management Console では、企業内で実行されているJavaアプリケーションと、その実行に使用されているJava Runtime Environment (JRE)のバージョンに関する情報が管理者に提供されます。Advanced Management Console を使用して、管理者は企業アプリケーションの実行に使用されているJREのバージョン、企業内で実行されているブラウザベースのアプレットの数といったことを確認できます。
この項の内容は次のとおりです。
Java使用状況のトラッキングについて
Java Usage Trackerは、Oracle Javaランタイム(JDKおよびJRE)の機能です。Java Usage Tracker (JUT)をインスタンスで有効にすると、そのインスタンスでのアプリケーションおよびJavaランタイムの使用状況が追跡されます。Advanced Management Console では、Usage Trackerから情報を収集し、レポートで示します。
Advanced Management Console で情報を収集するには、企業内のデスクトップでJava使用状況トラッカを有効にする必要があります。デスクトップにAdvanced Management Consoleエージェントをインストールすると、Java Usage Trackerが有効になります。Advanced Management Console エージェントをサポートしていないデスクトップでも、Java使用状況トラッカを手動で有効にできます。
『Advanced Management Console インストレーションおよび構成ガイド』の「Advanced Management Consoleに対するJava使用状況トラッカの設定」を参照してください。
Advanced Management Console の「ステータス」タブには、正常に処理されたレコードまたは正常に処理されなかったレコードの数が表示されます。「Java使用状況のレコード・カウンタ」を参照してください。
「Java使用状況」タブ
Advanced Management Console の「Java使用状況」タブには、企業内のデスクトップで実行されているアプリケーションと使用されているJava Runtime Environment (JRE)のバージョンが表示されます。アプリケーションおよびJREに関するレポートを取得するためにフィルタを使用できます。
情報は、表形式、円グラフまたは棒グラフで表示されます。「Java使用状況のビュー」を参照してください。
フィルタにより、表示される情報が決まります。
このタブから、Java Usage TrackerデータをHTMLファイルまたはカンマ区切り値(CSV)ファイルにエクスポートできます。
Java使用状況のビュー
Advanced Management Console の「Java使用状況」タブの情報は、表、円グラフおよび棒グラフのアイコンでそれぞれ表されているように、表形式、円グラフおよび棒グラフで使用できます。表示オプションおよびフィルタ条件を使用して、表示される情報タイプを選択します。
表ビューはデフォルトのビューです。列ヘッダーに表示される矢印をクリックすると、その列の値でデータがソートされます。エントリ数がページ・サイズを超える場合は、表の下にあるナビゲーション・バーを使用して他のページを表示します。「表示」表でアプリケーションを選択すると、「詳細」アイコンと「プロパティ」アイコンが使用可能になります。これら2つのアイコンは、アプリケーションが選択されていない場合はグレー表示になっています。「プロパティ」アイコンはWeb以外のアプリケーションを選択すると使用可能になり、Webベースのアプリケーションを選択したときのみ両方のアイコンが使用可能になります。
円グラフに表示されるカテゴリと棒グラフの横軸は、「表示」で選択したオプションに基づいています。たとえば、「アプリケーション・セキュリティ」を選択した場合、カテゴリは「サンドボックス」と「すべての権限」になります。円グラフの区分に表示される件数と棒グラフの縦軸は、「カウンタ」で選択したオプションに基づいています。「カウンタ」を「ホスト」に設定すると、グラフには各カテゴリのホスト数が表示されます。
使用状況の情報のフィルタ
Advanced Management Console の「Java使用状況」タブ内の表示オプションおよびフィルタ条件により、表示される情報のタイプが決まります。
デフォルトの表示オプションは「JREのフル・バージョン」です。このオプションでは、表示されるJREバージョンで実行されたアプリケーションに関する統計情報が表示されます。表示オプションにより、表ビューの1列目に表示される情報タイプと、円グラフおよび棒グラフのカテゴリが設定されます。
フィルタ条件により、表示される情報をさらに絞り込みます。各条件で使用できる選択肢は、Java Usage Trackerによってレポートされる値に基づいています。たとえば、すべての追跡対象アプリケーションに使用されたJREのメジャー・バージョンが1.7.0および1.8.0のみの場合、「JREのメジャー・バージョン」条件の選択肢として「1.6.0」は表示されません。
表示オプションおよびフィルタ条件をあわせて使用し、次のような疑問に対する答えを得ることができます。
-
どのアプリケーションがセキュアでないバージョンのJREで実行されているか。
「表示」を「アプリケーション」に設定します。条件「JREセキュリティ・ベースライン」を追加し、「一部のJREが安全ではありません」に設定します。
-
どの程度のJava Web Startアプリケーションがユーザーのシステムへのアクセスを必要とするか。
「表示」を「アプリケーション・タイプ」に設定します。条件「アプリケーション・セキュリティ」を追加し、「すべての権限」に設定します。条件「アプリケーション・タイプ」を追加し、「Web Startアプリケーション」に設定します。
次の例に、アクセスを必要とするアプリケーションを表示する方法を示します。
-
どのJava Web Startアプリケーションがユーザーのシステムへのアクセスを必要とするか。
「表示」を「アプリケーション」に設定します。条件「アプリケーション・セキュリティ」を追加し、「すべての権限」に設定します。条件「アプリケーション・タイプ」を追加し、「Web Startアプリケーション」に設定します。
-
どのオペレーティング・システムがアプリケーションの実行に使用されているか。
「表示」を「OSファミリ」に設定します。追加のフィルタは不要です。
-
指定した日付より後に、どのアプリケーション、アプリケーション・タイプおよびJREバージョンが検出されたか。
基準「次の後の初回使用」を追加して、選択した日時より後に検出されたすべてのアプリケーションまたはJREを表示するために必要な日時を設定します。
-
Java商用機能を使用するアプリケーションをリストする方法
「表示」を「アプリケーション」に設定します。基準「Java商用機能」を追加します。必要なフィルタ・オプション(FlightRecorderまたはUseAppCDS、あるいはその両方)を選択して、Java商用機能を使用する関連アプリケーションを表示します。
Java使用状況に関するレポートの生成
レポートは、企業でJavaがどのように使用されているかに関する疑問に答えるために使用します。このようなレポートでは、Java使用状況トラッカによって生成され、Advanced Management Console エージェントによって収集された情報が使用されます。レポート・データは外部ファイルにエクスポートできます。
レポートを生成するには:
アプリケーション名の更新
Advanced Management Console の「Java使用状況」タブで、アプリケーションを選択し、その名前(別名)を設定できます。アプリケーションは、場所によって一意に識別されます。場所は、アプリケーション・タイプによって異なります。たとえば、それらはクラス名、WebページURL、JNLP URLまたはjarファイル名などになります。しかしながら、場所の名前は、長いことやわかりにくいことがよくあります。また、単一のアプリケーションで、似ているか共通パターンを共有する複数の場所を使用することも考えられます。この理由から、別名を設定することにより、アプリケーションをより認識しやすくなり、複数の場所を単一のアプリケーションに統合することもできます。さらに具体的に述べると、「Java使用状況」タブ内のすべてのアプリケーションについて、別名を設定してアプリケーション名を単純化できます。たとえば、com.sun.deploy.panel.ControlPanel
をJava Control Panel
という名前にできます。
Java使用状況レポートのエクスポート
Advanced Management Console で生成されたJava使用状況レポートのデータを外部ファイルにエクスポートできます。エクスポートされるデータに含めるアプリケーションを選択するには、フィルタ条件を使用します。
Java使用状況データをエクスポートするには、次のようにします。
フィルタ条件と一致するアプリケーションごとに次のデータがエクスポートされます。プロパティの詳細は、「Java使用状況の情報のフィルタ条件」を参照してください。
-
場所
-
アプリケーションのタイプ
-
アプリケーション・セキュリティ
-
Javaバージョン
-
Javaアーキテクチャ
-
ホスト名/IPアドレス
-
オペレーティング・システム名
-
オペレーティング・システムのバージョン
-
実行回数
-
最後の実行のタイムスタンプ
Java使用状況の情報
アプリケーションとその実行に使用されたJava Runtime Environment (JRE)バージョンに関するJava使用状況の情報は、Advanced Management Console エージェントがインストールされているデスクトップから収集されます。この情報は、Advanced Management Console の「Java使用状況」タブに表示されます。
次の表に、表示される統計情報を示します。パス以外のすべての統計情報は、表ビューで使用できます。表ビューで1行選択し(選択した「表示」に応じて、1行は「アプリケーション」、「アプリケーション・タイプ」または「OSファミリ」の場合があります)、「プロパティ」アイコンをクリックすると、表の行の「パス」情報が表示されます。JREのパス詳細が即座に「ホスト」詳細の下に表示され、すべての表示タイプにおいて同じ場所に表示されます。最新の使用状況は、円グラフまたは棒グラフで使用できません。
統計情報 | 説明 |
---|---|
アプリケーション数 |
フィルタ条件を満たすアプリケーションの数 |
実行回数 |
フィルタ条件を満たすアプリケーションが実行された累積回数 |
ホスト数 |
フィルタ条件を満たすアプリケーションがインストールされているホストの数 |
JRE数 |
選択した表示タイプに対して、この行に関連付けられるJREの数。たとえば、表示タイプが「アプリケーション」の場合はアプリケーションの実行に使用されるJREの数になります。同様に、表示タイプが「OSファミリ」の場合はOSファミリで実行されるJREの数になります。 |
最初の使用 |
アプリケーションまたはJREバージョンが最初に検出された時間 |
最新使用状況 |
フィルタ条件を満たすアプリケーションが実行された直近の時間 |
パス |
Java使用状況レポートのJREのフルパスです。例: |
Java使用状況の情報のフィルタ条件
Advanced Management Console の「Java使用状況」タブで使用できるフィルタ条件を使用して、Javaがどのように使用されているかに関するレポートを生成します。フィルタと選択した値により、管理者は企業内で使用されているアプリケーションに関する特定の情報を得ることができます。
次の表に、使用可能なフィルタと、各条件が表示オプションとして使用可能かフィルタとして使用可能かを示します。フィルタの場合、説明に記載されていないかぎり、有効な値はドロップダウン・リストに表示されます。
基準 | 説明 | 表示オプション | フィルタ条件 |
---|---|---|---|
アプリケーション・タイプ |
アプリケーションのタイプ(HTMLアプレットやJava Web Startアプリケーションなど) |
X |
X |
アプリケーション |
メイン・クラス、JARファイルまたはJNLPファイルの名前または場所(アプリケーションのタイプに応じて)一致させる文字列を入力します。 |
X |
X |
アプリケーション・セキュリティ |
アプリケーションで必要とするアクセスのタイプ(sandboxまたはall-permissionsなど) |
X |
X |
JREのメジャー・バージョン |
JREのメジャー・バージョン(1.7.0や1.8.0など) |
X |
X |
JREのマイナー・バージョン |
メジャー・リリースに対する更新リリースのバージョン番号 |
X |
|
JREのフル・バージョン |
JREのメジャー・バージョンおよびマイナー・バージョン(1.7.0_67や1.8.0_40など) |
X |
|
JREセキュリティ・ベースライン |
JREセキュリティ・ベースラインに基づいたセキュリティ・ステータス。「JREセキュリティ・ベースライン」を参照してください。このフィルタは、セキュアなJREのみで、セキュアでないJREのみで、またはセキュアなJREとセキュアでないJREを混ぜて実行されたアプリケーションの統計情報を表示する場合に設定します。 |
X |
|
JREのアーキテクチャ |
JREのアーキテクチャ(32-bit JREの場合の32など) |
X |
X |
OSファミリ |
アプリケーションおよびJREが実行されるオペレーティング・システム |
X |
X |
OSバージョン |
オペレーティング・システムのバージョン |
X |
|
OSファミリ+バージョン |
オペレーティング・システムのファミリおよびバージョン |
X |
|
Java商用機能 |
アプリケーションで使用されるFlightRecorderやUseAppsCDSなどの商用機能。 |
X |
Java使用状況のレコード・カウンタ
Advanced Management Console では、Java使用状況レコードを収集し、それらを処理して必要な情報を抽出します。「ステータス」タブには、処理されたレコードの数が表示されます。
「ステータス」タブの「Java使用状況」セクションには、次の情報が表示されます。
-
承認されたレコード: 正常に処理された使用状況レコードの数。
-
拒否されたレコード: 処理できなかった使用状況レコードの数。レコードの拒否について考えられる理由は、Advanced Management Console のJava Usage Tracker構成とデスクトップのJava Usage Tracker構成の不一致、または新しいJavaアプリケーションで既存のJava Usage Tracker構成と競合する引数値を使用している、のいずれかの可能性があります。
レコードの詳細を表示するには:-
「拒否されたレコード」をクリックして、IPアドレス、拒否理由、切り捨てられたJava Usage Trackerレコードなど、拒否されたレコードの詳細を「JUTレコードの拒否の詳細」ダイアログに表示します。
-
「拒否レコード表」アイコンをクリックして、すべてのレコードを表形式で表示します。
-
レコードを選択し、「拒否レコードの詳細」アイコンをクリックして、選択したレコードの詳細を表示します。拒否レコード表のレコードの表示は、フィルタでさらに絞り込むことができます。各フィルタに対するチェックボックスを切り替えて、フィルタを選択または選択解除できます。
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すべてのフィルタを削除する場合は、「すべて削除」をクリックします。
-
「拒否されたレコード・ファイルのダウンロード」をクリックして、拒否されたレコードのリストを開いたり、CSVファイルとして保存します。
ノート:
ファイルにダウンロードされる最大レコード数は100,000です。
「カウンタのクリア」により、レコード・カウンタをゼロにリセットします。レコードが拒否されている場合、問題の解決を試みた後でカウンタをクリアすると、レコードが拒否されなくなったかどうかがわかります。
-
管理対象デスクトップのJava Usage Trackerの構成
管理対象デスクトップは、Advanced Management Console エージェントが実行およびインストールされているデスクトップです。Advanced Management Console エージェントは、管理対象デスクトップにJava Usage Trackerを構成します。このため、1つのサーバーにJava Usage Trackerが構成されているときに、Advanced Management Console に切り替えてJavaをトラッキングする必要がある場合に、Java Usage Trackerの構成の問題に対処しやすくなっています。
この構成を行うために、Advanced Management Console エージェントは、usagetracker.properties
ファイル(Java Usage Tracker構成ファイル)を適切なJREサブ・ディレクトリに配置します。このファイルは、JDK 9より前のJREの場合はlib/management
フォルダに、JDK 9の場合はconf/management
フォルダに配置されます。Advanced Management Console UIで、usagetracker.properties
ファイルを「構成」タブの「設定」サブタブにダウンロードできます。
Java Usage Trackerのプロパティのいずれか、たとえば、Java Usage Trackerセパレータ、Java Usage Trackerリスナー・ポートまたは引用文字を変更した場合、Advanced Management Console は、すべての管理対象デスクトップの同様の構成を自動的に更新します。
Advanced Management Console サーバーのホスト名の変更
ホスト名を誤って入力した場合、Advanced Management Console の初期化中に指定したホスト名を変更できます。
エージェントでの管理対象JREのトラッキング
Advanced Management Console UIの「構成」タブで、エージェント側でトラッキングする管理対象Java Runtime Environment (JRE)のタイプ(標準、プライベート、インストール済、エンタープライズ、Web対応など)を選択し、特定のフォルダをJREのスキャンおよび監視から除外できます。