Naming.lookup
を呼び出すと、予期しないホスト名やポート番号に対する例外が発行されます。なぜですか。CLASSPATH
に_Stub
ファイルをインストールする必要がありますか。ダウンロードできるのではないかと思いますが。ClassNotFoundException
が返されるのはなぜですか。java. lang. ClassMismatchError
が返されます。なぜでしょうか。ArrayStoreException
が発行されます。どうなっているのですか。ClassNotFoundException
が発行されます。どうなっているのですか。java. net. UnknownHostException
を発行して失敗します。なぜですか。UnknownHostException
が発行されます。なぜですか。Naming.bind
とNaming.lookup
に非常に時間がかかるのはなぜですか。java. net. SocketException: Address already in use
」という例外が発行されるのですが、なぜですか。System. exit
を使うのは賢明でしょうか。unreferenced()
メソッドが呼び出されるまで10分かかります。この時間を短縮する方法を教えてください。rmic
コマンドを実行させるにはどうすればよいでしょうか。select()
呼出しでブロックしているのではなくポーリングしているようです。レジストリはポーリングで実装されているのですか。ObjectOutputStream
に書き込むために、クラスがSerializable
を実装しなければならないのはなぜですか。ObjectOutputStream
からObjectInputStream
を作成するには、どうすればよいでしょうか。writeObject
メソッドを使ってネット上を送信し、readObject
メソッドを使って受信します。次に、オブジェクトのフィールドの値を変更してから同様に送信すると、readObject
メソッドから返されるオブジェクトは最初のものと同じで、フィールドの新しい値が反映されていないようです。これは正しい動作なのですか。Serializable
を実装せず、そのサブクラスBがSerializable
を実装している場合、クラスBを直列化したとき、クラスAのフィールドは直列化されますか。Naming.lookup
を呼び出すと、予期しないホスト名やポート番号に対する例外が発行されます。なぜですか。サーバーのホスト名やIPアドレスが誤っている(またはクライアントが解釈できないホスト名をサーバーが持っている)場合でも、サーバーはその誤ったホスト名を使ってすべてのオブジェクトをエクスポートします。ただし、それらのオブジェクトを受け取ろうとするたびに例外が発生します。
レジストリの位置を示すためにNaming.lookup
で指定したホスト名は、サーバーへのリモート参照にすでに組み込まれているホスト名には効果がありません。
通常、不可解なホスト名はサーバーの修飾されていないホスト名、つまりクライアントのネーム・サービスに知らされていない非公開な名前です。Windowsプラットフォームの場合、その名前はサーバーの「ネットワーク」->>識別情報>->「マシン名」で設定されています。
対策としては、サーバーの起動時にシステム・プロパティjava.rmi.server.hostname
を設定します。このプロパティの値は、外部からアクセス可能なサーバーのホスト名(またはIPアドレス)でなければならず、これをNaming.lookup
のホスト部分に指定したときの動作は成功します。
詳細については、コールバックと完全指定のドメイン名に関する質問を参照してください。
CLASSPATH
に_Stub
ファイルをインストールする必要がありますか。ダウンロードできるのではないかと思いますが。java.rmi.server.codebase
プロパティを注釈として付けている場合は、スタブ・クラスをダウンロードできます。リモート・オブジェクトをエクスポートするサーバー上のjava.rmi.server.codebase
プロパティを設定する必要があります。リモート・クライアントがこのプロパティを設定できるようになると、指定されたコード・ベースだけからリモート・オブジェクトを入手するように制限されます。すべてのクライアントVMが、オブジェクトの場所を示すコード・ベースを指定しているわけではありません。
リモート・オブジェクトがJava RMIによって整列化されるとき(リモート呼出しの引数として、または戻り値として)、スタブ・クラスのコード・ベースがJava RMIによって取得され、直列化されたスタブの注釈付けに使用されます。スタブが整列化解除されるときは、CLASSPATH
またはアプレット・コード・ベースなど、オブジェクトを受け取るためのコンテキスト・クラス・ローダーにすでにそのクラスが存在しないかぎり、RMIClassLoader
を使ってスタブのクラス・ファイルをロードするためにコード・ベースが使用されます。
_Stub
クラスがRMIClassLoader
によってロードされた場合は、Java RMIはすでに、注釈付けに使用するのはどのコード・ベースかを知っています。_Stub
クラスがCLASSPATH
からロードされた場合は明確なコード・ベースは存在しないので、Java RMIはjava.rmi.server.codebase
システム・プロパティを調べてコード・ベースを検索します。このシステム・プロパティが設定されていない場合は、スタブはnullコード・ベースで整列化されます。つまり、クライアントがそのCLASSPATH
内に_Stub
クラスファイルに一致するコピーを持っていないかぎり、このコード・ベースは使用できません。
コードベース・プロパティを指定することは忘れがちです。この間違いを検出する方法の1つに、rmiregistry
を個別に起動し、アプリケーション・クラスにアクセスしないという方法があります。こうすると、コード・ベースが省略された場合は、必ずNaming.rebind
が失敗します。
java.rmi.server.codebase
プロパティについての詳細は、チュートリアルの「Java RMIの使用による動的なコードのダウンロード(java.rmi.server.codebase
プロパティを使用)」を参照してください。
いいえ。java.rmi.server.codebase
プロパティを、file
またはftp
など、任意の有効なURLプロトコルを使うように設定できます。HTTPサーバーを使っても、クラス・ファイルの自動ダウンロード・メカニズムが提供されるのみです。
ClassNotFoundException
が返されるのはなぜですか。java.rmi.server.codebase
プロパティが設定されていない(または正しく設定されていない)可能性があります。チュートリアルの「Java RMIの使用による動的なコードのダウンロード(java.rmi.server.codebase
プロパティを使用)」を参照してください。
hashCode
メソッドおよびequals
メソッドを適切に実装する必要があります。クライアント・ソケット・ファクトリがこれらのメソッドを正しく実装しない場合は、同じリモート・オブジェクトを参照する(クライアント・ソケット・ファクトリを使う)スタブが等しくないという結果になります。
Java RMI実装は、サーバー側のポートも再利用しようとします。ただし、同等のソケット・ファクトリによって作成されたポートの既存のサーバー・ソケットがある場合にかぎります。サーバー・ソケット・ファクトリ・クラスもhashCode
メソッドおよびequals
メソッドを実装する必要があります。
ソケット・ファクトリにインスタンス状態がない場合は、hashCode
メソッドとequals
メソッドを次のように実装します。
public int hashCode() { return 57; } public boolean equals(Object o) { return this.getClass() == o.getClass() }
javaw
コマンドは、stdout
とstderr
に出力を行うので、デバッグ目的ではjava
コマンドを別のウィンドウで実行してエラーの出力を表示できるようにする方が良いでしょう。これを行うには、次のようにコマンドを実行します。
start java EchoImpl
開発時には、javaw
コマンドの使用はお勧めしません。サーバーの活動を観察するには、-Djava.rmi.server.logCalls=true
を指定してサーバーを起動します。
java. lang. ClassMismatchError
が返されます。なぜでしょうか。java.rmi.registry.RegistryImpl
を含む)を再起動してみてください。これで問題がなくなります。
ArrayStoreException
が発行されます。どうなっているのですか。FooRemote[] f = new FooRemote[10]; for (int i = 0; i < f.length; i++) { f[i] = new FooRemoteImpl(); }
このようにすれば、Java RMIが配列の各セルにスタブを入れても、リモート呼出しでの例外は発生しません。
分散オブジェクトはローカル・オブジェクトとは動作が異なります。ロックと障害を処理することなく、ローカルの実装を再利用するだけでは、予測不可能な結果が生じる可能性があります。
ClassNotFoundException
が発行されます。どうなっているのですか。オブジェクトをバインドするためにレジストリへの呼出しを行うと、レジストリは実際にはそのリモート・オブジェクトのスタブへの参照をバインドします。スタブ・オブジェクトのインスタンスを生成するには、レジストリVMからそのクラス定義がロード可能である必要があります。直列化形式のスタブをリモート・メソッド呼出しでレジストリに送信するVM (この場合はサーバーVM)は、そのクラスをどこからダウンロードできるかをスタブの注釈として付けます。スタブに適切な注釈が付けられていない場合、Java RMIはスタブのインスタンス生成を試みる際に、ClassNotFoundException
をスローします。
クラスに適切な注釈を付けるために、サーバーはjava.rmi.server.codebase
プロパティの値をスタブ・クラスの位置に設定する必要があります。Java RMIは、送出される直列化形式のオブジェクト・インスタンスに、java.rmi.server.codebase
プロパティの値を自動的に注釈として付けます。
注: 関連するスタブ・クラス・ファイルすべてをrmiregistryのCLASSPATHに配置することにより、rmiregistryからスタブ・オブジェクトの非整列化を実行できます(特に少数の環境では適切な方法です)。ただし、rmiregistryは、必ずしもスタブ・クラスをダウンロードする必要はありません。スタブ・クラスがローカルで利用可能な場合には、それを使用します。スタブの配備にrmiregistryのCLASSPATHを使用する場合、レジストリから取得したスタブ・インスタンスを参照するすべてのVMは、ローカルにインストールされたスタブのクラス・ファイルを(VMのCLASSPATH内に)保持する必要があります。
たとえば、レジストリがCLASSPATHからスタブ・クラスをロードする場合、直列化されたスタブ・オブジェクトをレジストリがほかのVMに送信すると、直列化されたオブジェクトには、レジストリのjava.rmi.server.codebase
プロパティの値(ほぼ常にnull)が注釈として付けられます。直列化されたスタブ・オブジェクトをレジストリから受け取るVMが、ローカルにインストールされたこれらスタブのクラス・ファイルを保持しない場合、VMからClassNotFoundException
がスローされる場合があります。
一方、サーバーVMのjava.rmi.server.codebase
注釈からクラスが動的にダウンロードされる場合、CLASSPATH内のスタブ・クラスを保持する必要があるのは、サーバー VMだけです。この方法により、アプリケーション配備はよりシンプルになり、また稼働中の分散型システムへの新バージョンのスタブ導入が可能になります。
Java RMIでのコードの動的なダウンロードについては、「Java RMIの使用による動的なコードのダウンロード(java.rmi.server.codebase
プロパティを使用)」を参照してください。
java -Djava.rmi.server.logCalls=true YourServerImplここで
YourServerImpl
はサーバー名です。サーバーがハングしたら、Solarisオペレーティング・システム(Solaris OS)では[Ctrl]+[\]キー、Windowsプラットフォームでは[Ctrl]+[Break]キーを押すことでモニター・ダンプとスレッド・ダンプが得られます。
java.rmi.
」で始まるプロパティは、公開された仕様の一部であり、Java RMI仕様にドキュメント化されています。
「sun.rmi.
」で始まるプロパティは、JDKの特定のバージョンでのみサポートされています。これらの「sun.rmi.*
」プロパティは、実行時のデバッグおよびチューニングに便利ですが、public APIの一部とは見なされていないこと、および将来の実装でその使用法が変更される(または完全に削除される)可能性があることに注意してください。
Java RMIクライアントがリモートJava RMIサーバーにコンタクトするためには、クライアントは最初にサーバーへの参照を取得する必要があります。クライアントが最初にリモート・サーバーへの参照を取得するもっとも一般的なメカニズムは、Naming.lookup
メソッド呼出しによる方法です。リモート参照は他の方法でも取得できます。たとえば、すべてのリモート・メソッド呼出しではリモート参照が返されます。Naming.lookup
メソッドは、よく知られたスタブを使ってrmiregistry
へのリモート・メソッド呼出しを行い、rmiregistryはlookup
メソッドが要求したオブジェクトへのリモート参照を返します。
すべてのリモート参照にはサーバーのホスト名とポート番号が含まれ、クライアントはそれを使って特定のリモート・オブジェクトのサーバーであるVMの位置を知ることができます。リモート参照の取得後に、Java RMIクライアントはその参照から得られるホスト名とポート番号を使ってリモート・サーバーへのソケット接続を開くことができます。
Java RMIでは、クライアントとサーバーという用語は、同一のプログラムを指す場合があることに留意してください。Java RMIサーバーとして機能するJavaプログラムには、エクスポートされたリモート・オブジェクトが含まれます。Java RMIクライアントは、別の仮想マシン内のリモート・オブジェクト上の1つまたは複数のメソッドを呼び出すプログラムです。1つのVMが両方の機能を実行する場合、このVMはRMIクライアントとJava RMIサーバーの両方となります。
java. net. UnknownHostException
を発行して失敗します。なぜですか。Java RMIは、デフォルトで解決不可能なサーバー・ホスト名(修飾されていない名前、Windowsインターネット・ネーム・サービス(WINS)名、修飾されていないDHCP名など)を使用します。Java RMIクライアントが、解釈不可能なサーバー・ホスト名を含む参照を使ってリモート・メソッドを呼び出すと、クライアントはUnknownHostException
を発行します。
実際に機能するリモート参照を作成するには、Java RMIサーバーはすべてのJava RMIクライアントが解釈可能な完全修飾のホスト名またはIPアドレスを提供できる必要があります(完全修飾ホスト名の例: foo.bar.com)。あるJava RMIプログラムがリモートコールバックを行う場合、このプログラムはJava RMIオブジェクトとして働きます。そのため、Java RMIクライアントに渡すリモート参照中のサーバー・ホスト名として使用する、解決可能なホスト名を決定できる必要があります。リモート・オブジェクトとして機能するアプレットを呼び出すVMは、アプレットが有効なサーバー・ホスト名を提供できなかった場合にはUnknownHostException
を発行することがあります。
Java RMIアプリケーションがUnknownHostException
を発行した場合は、スタック・トレースの結果を調べて、クライアントがリモート・サーバーへのコンタクトに使用しているホスト名が正しいか、完全指定されているかどうかを確認してください。必要な場合、サーバーのjava.rmi.server.hostname
プロパティにサーバー・マシンの正しいIPアドレスまたはホスト名を設定すると、Java RMIはこのプロパティの値を使用してサーバーへのリモート参照を作成します。
UnknownHostException
が発行されます。なぜですか。java.rmi.server.hostname
プロパティを、Java RMIサーバー・マシンの正しいIPアドレスに設定します。このプロパティを設定して、サーバーがネーム・サービスから取得した完全指定のホスト名を使用するように指定することもできます。
java.rmi.server.useLocalHostname=true
Java RMIはあるリモート・オブジェクトのサーバーのマシンを識別するために、IPアドレスまたは完全指定のドメイン名を使います。サーバーのホスト名は、次の動作によって取得した値に初期化されます。
java.rmi.server.hostname
プロパティが設定されている場合は、Java RMIはそのプロパティの値をサーバーのホスト名として使用し、ほかの方法で完全指定のドメイン名を探すことはありません。このプロパティは、Java RMIサーバー名を探すほかのすべての方法に優先します。java.rmi.server.useLocalHostname
プロパティがtrue
(デフォルトでは、このプロパティの値はfalse
)に設定されている場合、Java RMIは次の手順でJava RMIサーバーのホスト名を取得します。
InetAddress.getLocalHost().getHostName()
メソッドから返された値に「.」文字が含まれている場合は、Java RMIはこの値をサーバーの完全指定ドメイン名と見なし、サーバー・ホスト名として使用します。InetAddress.getLocalHost().getHostAddress()
により取得したサーバーのIPアドレスを使用します。sun.rmi.transport.tcp.localHostnameTimeOut
=timeOutMillisjava -Dsun.rmi.transport.tcp.localHostnameTimeOut=2000 MyServerApp
java.rmi.server.useLocalHostname
プロパティをtrue
に設定することを推奨します。一般的に、ホスト名はIPアドレスよりも永続性があります。起動可能なリモート・オブジェクトは、一時リモート・オブジェクトよりも長く存在する傾向にあります(たとえば、リブート後も存在する)。Java RMIクライアントは、明示的なIPアドレスを使うよりも修飾されたホスト名を使う方が、長期にわたってリモート・オブジェクトの場所を特定しやすくなります。
Naming.bind
とNaming.lookup
に非常に時間がかかるのはなぜですか。java.net.InetAddress
を使ってTCP/IPホスト名を検索します(InetAddress
クラスは、セキュリティ上の理由から、ホストからアドレスへのマッピングとアドレスからホスト名へのマッピングの両方を行う)。Windowsプラットフォームでは、ルックアップ機能はネイティブのソケット・ライブラリによって行われるので、遅れはJava RMIではなくライブラリの中で起こります。ホストがDNSを使用するよう設定されていて、DNSサーバーが通信に関係するホストについての情報を持たず、DNSルックアップ・タイムアウトが起こっている場合は問題です。関連するすべてのホストのホスト名またはアドレスをローカル・ファイル\winnt\system32\drivers\etc\hosts
または\windows\hosts
に書き込んでください。一般的なホスト・ファイルの書式:
IPAddress Machine Name例:
192.0.2.61 homerこの処置により、最初のルックアップに要する時間を大幅に短縮できます。
192.168.1.1
)を構成します。すると、これをDOSシェルから検出してpingを実行することができます(ping mymachine)。これで、マシン上でJava RMIを使用できます。
java. net. SocketException: Address already in use
」という例外が発行されるのですが、なぜですか。RegistryImpl
が使用するポート(デフォルトは1099)がすでに使用されていることを意味します。マシン上に実行中の別のレジストリがあると思われるので、それを停止させてください。
Java RMIが目的のサーバーへの通常の(SOCKS)接続の作成に失敗し、HTTPプロキシ・サーバーが構成されていると通知した場合は、そのプロキシ・サーバーを通じてJava RMI要求を1つずつトンネリングしようとします。
HTTPトンネリングには2つの形式があり、順番に試みられます。1つ目の形式は、http-to-portで、2つ目は http-to-cgiです。
http-to-portトンネリングでは、Java RMIは目的のサーバーの正確なホスト名とポート番号を指すhttp:
URLへのHTTP POST要求を試みます。HTTP要求には1つのJava RMI要求が含まれます。HTTPプロキシはこのURLを受け付けると、待機中のJava RMIサーバーにこのPOST要求を転送します。Java RMIサーバーは要求を認識してラップを解除します。呼出しの結果はHTTP応答にラップされ、同じプロキシ経由で返送されます。
HTTPプロキシは、異常なポート番号に対する要求を拒否することがよくあります。この場合、Java RMIはhttp-to-cgiトンネリングを実行しようとします。Java RMI要求は前回同様HTTP POST要求内にカプセル化されますが、要求URLの形式はhttp://hostname:80/cgi-bin/java-rmi.cgi?port=n
(hostnameとnは目的のサーバーのホスト名とポート番号)になります。サーバー・ホストのポート80で待機しているHTTPサーバーが必要で、これはjava-rmi.cgi
スクリプト(JDKで提供)を実行します。次に、このスクリプトはポートnで待機中のJava RMIサーバーに要求を転送します。Java RMIはHTTPトンネリングされた要求を、HTTPサーバーやCGIスクリプトなどの外部からの助けなしにラップ解除できます。そのため、クライアントのHTTPプロキシがサーバーのポートに直接接続できる場合は、java-rmi.cgi
スクリプトはまったく必要ありません。
HTTPトンネリングの使用をトリガーするためには、標準システム・プロパティhttp.proxyHost
をローカルHTTPプロキシのホスト名に設定する必要があります。報告によると、Navigatorの一部のバージョンではこのプロパティが設定されません。
HTTPトンネリングの最大の短所は、内向きの呼出しや多重接続を許可しない点です。第2の短所は、http-to-cgi方式ではサーバー側に深刻なセキュリティ・ホールができてしまうという点です。その理由は、この方式では、修正しないかぎり、どんなポートへの内向きの要求もすべてリダイレクトされてしまうからです。
socksProxyHost
は、SOCKSサーバーのホスト名に設定されている必要があります。SOCKSサーバーのポート番号が1080でない場合は、socksProxyPort
プロパティで設定する必要があります。
この方法が、もっとも一般的に使用できる方法と考えられます。現在のところ、ServerSockets
はSOCKSを使用しないので、内向きの呼出しには別のメカニズムを使う必要があります。
この方法の短所は、ファイアウォールの通過をJava RMIサーバー側から提供されたコードを使って行わなければならない点です。Java RMIサーバー側では正しい通過方法がわかっているとはかぎらず、またファイアウォールを通過するための十分な特権を自動的に保持するとはかぎりません。
エクスポートされるオブジェクトがすべて、既知のホストの既知のポートでエクスポートされる場合には、そのホストとポートをファイアウォールで明示的に許可することができます。通常、Java RMIはポート0 (「任意のポート」のコード)を要求します。JDKでは、exportObject
メソッドには正確なポート番号を指定するための特別な引数があります。
この方法の短所は、ローカル・ファイアウォールの責任者であるネットワーク管理者の助けが必要なことです。エクスポートされたオブジェクトが別の場所で実行される(コードがそのサイトにダウンロードされたため)場合、ローカル・ファイアウォールを管理するネットワーク管理者には、実行しようとしているユーザーがだれかわかりません。
ここでの考え方は、「ファイアウォールの外側からそのオブジェクトのリモート・メソッドを呼び出そうとする者はだれでも、代わりに(おそらく別のマシンの)別のポートにコンタクトする」という方法でオブジェクトをエクスポートするということです。この別のポートでは、実際のサーバーへの二次的な接続を作成して両方向にバイト・データを送り出すプログラムが稼働しています。
この方法で難しいのは、ブリッジに接続することをクライアントに納得させることです。ダウンロード可能なソケット・ファクトリを使うと効率的にこれを行うことができます。それ以外の場合は、java.rmi.server.hostname
プロパティを設定することにより、ブリッジ・ホストに名前を付けてポート番号を同じにできます。
外部からプロキシに呼出しがあると、プロキシはただちにその呼出しを内部サーバー上の元のオブジェクトに転送します。プロキシの使い方は外部から見えますが、通信時に元の参照またはプロキシ参照のどちらを渡すかを決定する内部サーバーからは見えません。
言うまでもなく、これには大量の設定とローカル・ネットワーク管理者間の協力が必要です。
最悪の場合は、クライアント側のファイアウォールが直接のTCP接続を一切許可せず、そのファイアウォール内のクライアントが「Webサーフィン」するためのHTTPプロキシ・サーバーだけを持っているケースです。この場合、サーバー・ホストは、HTTP要求に埋め込まれたJava RMI要求を含むポート80での接続を受け取ります。HTTPサーバーでjava-rmi.cgi
プログラムを使用するか、Java RMIサーバーをポート80で直接実行できます。どちらの方法でも、サーバーはクライアントがエクスポートしたコールバック・オブジェクトを使用することはできません。
それより良いケースに、クライアントがサーバーへの直接接続を作成できるがサーバーからの接続は受け取れないという場合があります。この場合も、コールバック・オブジェクトは普通には使用できません。
クライアント・ファイアウォールの管理者から協力を得られない場合、もっとも保守的な方法は、次のとおりです。
java-rmi.cgi
スクリプトを使ってポート80に置くDeleGate
など)をポート80に置く。これは、接続を受け付けるとすぐに実際のサーバー・ポートに接続し、バイト・データの受渡しを行います。これはgetClientHost()
が誤った情報を返す原因になるので、別のホスト上にないかぎり、このメソッドを使ってレジストリを利用可能にしないでください。java-rmi.cgi
スクリプトをサーブレットを使って置換することは可能ですか。java-rmi.cgi
スクリプトを実装する方法を示した例を参照してください。この例では、サーブレットVMでリモート・オブジェクトを実行する方法についても説明しています。
注: HTTPを介してリモート・メソッド呼出しのトンネリングを行うときのjava-rmi.cgi
の動作については、Java RMI内のHTTPトンネリングに関するFAQを参照してください。
java.rmi.server.Unreferenced
インタフェースを(その他の必要なインタフェースに加えて)実装する必要があります。Java RMIは、すべての接続が切り離されたときにunreferenced
メソッドを呼び出して通知することができます。unreferenced
メソッドの実装により、リモート・オブジェクトが通知を受け取る方法が決められます。ただし、レジストリに参照がある場合は、Unreferenced.unreferenced
メソッドは呼び出されません。
OutOfMemoryError
を発行して)失敗します。
Java APIではコレクションの時期を指定しませんが、リモート・オブジェクトのコレクションが無期限に遅れるように見えるのには特別な理由があります。Java RMIランタイムは内部的に、エクスポートされたリモート・オブジェクトへの「弱参照」を表に保持しています(オブジェクトへのローカルとリモートの参照を追跡するため)。JDK VMで利用可能な弱参照のメカニズムでは、攻撃的でないキャッシング・コレクション・ポリシー(ブラウザに最適)を使います。そのため、「弱く参照されている」オブジェクトは、ローカルGCが次のメモリー割当てで、そのメモリーが本当に必要だと判断するまではコレクションされません。これはアイドル状態のサーバーには決して起こりません。しかし、メモリーが必要な場合には参照されていないサーバー・オブジェクトがコレクションされます。
Java SEプラットフォームにはJava RMIが使用する新しいインフラストラクチャが含まれ、この問題が発生する状況を大幅に減らすことができます。
System. exit
を使うのは賢明でしょうか。System.exit()
が呼び出されるとRMIランタイムはサーバーに適切な「参照なし」のメッセージを送ることができないので、これを呼び出したクライアントは異常終了と見なされます。終了の前にクライアントでSystem.runFinalizersOnExit
を実行するのみでは不十分です。その理由は、ファイナライザでは必要な処理がすべて行われるわけではなく、「参照なし」のメッセージがサーバーに送られないからです。(runFinalizersOnExitの使用は、一般的に推奨できず、デッドロックを発生させやすい傾向があります。)
System.exit()
を使ってクライアントVMを終了する必要がある場合は、VM内に保持されているリモート参照がより早く確実に消去されるように、アクセス可能なリモート参照がすでに存在しないようにする必要があります。そのためには、ローカル参照をすべて明示的にnullにして、実行中のスレッドからアクセスできないようにします。完全なガベージ・コレクションを実行し、ファイナライザを実行してから終了するという方法もあります。
System.gc(); System.runFinalization();
unreferenced()
メソッドが呼び出されます(レジストリはすべてのバインディングへの参照を保持しているため、レジストリもまた、この目的ではクライアントとなる)。
クライアントがリモート参照を保持している場合は、その参照のリースも保持しており、それを更新する(サーバーにコンタクトしてdirty()
呼出しを行うことにより)必要があります。エクスポートされたオブジェクトに対する最後のリースが期限切れになるか閉じられるかすると、そのオブジェクトは参照されていないと見なされ、java.rmi.Unreferenced
を実装している場合はunreferenced()
メソッドが呼び出されます。
複数のクライアントが同一のリモート・オブジェクトへの参照を持っている場合は、そのオブジェクトに対するすべてのクライアントのリースが期限切れにならないかぎり、unreferenced()
メソッドは呼び出されません。したがって、この手法を使って個々のクライアントを追跡する場合は、個々のクライアントがUnreferenced
オブジェクトに対する参照を保持している必要があります。
unreferenced()
メソッドが呼び出されるまで10分かかります。この時間を短縮する方法を教えてください。java.rmi.dgc.leaseValue
を使ってミリ単位で指定されます。この時間を短くするには(30秒など)、次のようにしてサーバーを起動します。
java -Djava.rmi.dgc.leaseValue=30000 ServerMain
デフォルト値は600000ミリ秒(10分)です。
クライアントは期限の半分を過ぎると各自のリースを更新します。リース期間が短すぎると、クライアントは無駄なリース更新のためにネットワーク帯域幅を浪費することになります。リース期間が極端に短い場合にはクライアントのリース更新が間に合わなくなり、結果としてエクスポートされたオブジェクトが削除されることもあります。
Java RMIの将来のリリースでは、リースの更新が失敗するとリモート参照が無効になります(参照の整合性を維持するため)。失効したリモート・オブジェクトへの参照の使用をあてにすべきではありません。
クライアント・マシンがクラッシュした場合は、単にタイム・アウトを待つだけでよいのです。接続が切れたときにクライアントがまだ何らかの制御を維持している場合は、クライアントはすばやくDGC clean呼出しを行い、Unreferenced
をタイムリに使用できます。この処理をうまく進めるには、クライアントがリモート・オブジェクトに対して保持している可能性のある参照をすべてnullにしてから、System.gc()
を呼び出します。
クラッシュしたクライアントがあとで再起動してサーバーにコンタクトすれば、その時にサーバーはクライアントがそれまでの間にクラッシュしたかどうかを推察することができます。クライアントとサーバーが対話している間、両者の間でTCP接続がずっと開いているなら、あとでその接続への書き込み(1時間ごとのTCP維持パケットが有効な場合は、それを含む)が失敗したときに、サーバーはクライアントが再起動したことを検出できます。しかし、そのような永続的な接続はスケーラビリティを損なうほかにあまり役に立たないので、Java RMIは永続的な接続を必要としないように設計されています。
ネットワーク・ピアがいつクラッシュしたり利用できなくなったかを簡単に判断することは、まったく不可能なので、ピアが応答しなくなったときのアプリケーションの動作を決めておく必要があります。
このタスクに使う主な手段はタイムアウトとリセットです。タイムアウトが起きた場合、ピアが通信不可能になったと判断してもかまいません。しかし、そのピアがこちらへ通信しようとするのをやめるように、タイムアウトしたことがピアにわかる必要があります。リースのメカニズムは、これを半自動的に行うためのものです。
リセットとは、ピアのために保持されている状態を一掃することです。たとえば、クライアントはサーバーに最初に登録したときにリセットを行なって、サーバーがそのクライアントのためにそれまで保持していた状態を破棄するようにします(クライアントがそれ以前の「死んだ」セッションの記憶を持たずに再起動したと考えて)。
多くの場合、目的は、サーバーでクライアントの明確なリストを持ち、誤りや失敗なしにそのリストを最新の状態に維持することです。ネットワーク・システムでは故障や遅延はいつでも起こる可能性があるので、リストにはある程度の誤りがあることを予期する必要があります。リースなどのメカニズムを使ってタイムアウトを強制すれば、リソースの漏れの問題は解決します。失効したデータの問題がもっと深刻で、正常な動作を妨害するような場合があります。問題を取り除かなければ悪影響がある場合には、明示的に取り除く必要があります。
たとえば、ユーザーが編集するため、あるビジネス・オブジェクトがロックされているときにセッションが異常終了した場合には、なんらかの方法でロックを解除する必要があります。この場合、ロックにはタイムアウトが必要です。しかし、すぐに同一ユーザーがログインし、そのユーザーはタイムアウトまで待つ必要はないと思っているなら、新しいセッションではロックを引き継ぐか、ユーザーがロックを保持していないと断定する(サーバーが安全にロックを解除できるようにする)必要があります。
rmic
コマンドを実行させるにはどうすればよいでしょうか。call
コマンドを挿入する必要があります。たとえば、
call rmic ClientHandler call rmic Server call rmic ServerHandler call rmic Client
java.rmi.server.RemoteServer.getClientHost
メソッドが、現在のスレッド上の現在の呼出し元のクライアント・ホスト名を返します。
そのため、リモート・オブジェクト参照をサーバーからクライアントへ渡してから、サーバーに送り返し、元の実装クラスにキャスト・バックすることはできません。ただし、サーバー上のリモート・オブジェクト参照を使ってそのオブジェクトへのリモート呼出しを行うことはできます。
もう一度実装クラスを見つける必要がある場合は、リモート参照を実装クラスにマッピングする表を保持する必要があります。
java.util.Observable
とjava.util.Observer
を新しいインタフェースで「ラップ」することができます(それぞれをRemoteObservable
とRemoteObserver
と呼ぶ)。これらの新しいインタフェースで、各メソッドがjava.rmi.RemoteException
をスローするようにします。次に、リモート・オブジェクトでこれらのインタフェースを実装します。
リモートでないラップされたオブジェクトはjava.rmi.server.UnicastRemoteObject
を継承していないので、そのオブジェクトをUnicastRemoteObject
のexportObject
メソッドを使って明示的にエクスポートする必要があります。ただし、これを行うと、equals
、hashCode
、toString
の各メソッドのjava.rmi.server.RemoteObject
実装を失います。
rmiregistry
への接続が作成されます。一般に、リモート呼出しのための新しい接続は、作成される場合と作成されない場合があります。接続は、将来の利用に備えて、Java RMIトランスポートによってキャッシュされます。そのため、あるリモート呼出しの正しい呼出し先への接続が空いているときは、その接続が使用されます。接続はJava RMIトランスポートのレベルで管理されているので、クライアントがサーバーへの接続を明示的に閉じることはできません。接続は、一定期間使われないとタイムアウトになります。
select()
呼出しでブロックしているのではなくポーリングしているようです。レジストリはポーリングで実装されているのですか。LocateRegistry.getRegistry(String host)
メソッドは、ホスト上のレジストリに直接アクセスするのではなく、レジストリが存在するかどうかを確認するためにホストをルックアップするだけです。したがって、このメソッドが正常に終了しても、必ずしも指定されたホストでレジストリが実行中であるとはかぎりません。その時点でレジストリにアクセス可能なスタブが返されるだけです。
ObjectOutputStream
に書き込むために、クラスがSerializable
を実装しなければならないのはなぜですか。java.io.Serializable
インタフェースを実装すること」という条件は安易に決定されたわけではありません。予測可能で安全なメカニズムを提供するため、設計には開発者からの要求とシステムの要求のバランスをとることが求められました。設計上のもっとも困難な制約は、Javaプログラミング言語のクラスの安全性とセキュリティでした。
「クラスが直列化可能と明示されなければならない」という設計にすると、開発者が(その条件を忘れたり、無視するなどの理由で)クラスをSerializable
と宣言しなかった場合には、そのクラスがRMIで使用できなくなったり持続性を持たせるという目的に使用できなくなる恐れがあります。この条件によって、開発者に「あるクラスが将来、他人によってどのように使われるか」という本質的に予知不可能なことを考えなければならないという負担をかける恐れもあります。実際、予備設計ではアルファAPIに反映されているように、「デフォルトでは、クラス内のオブジェクトは直列化可能とする」と結論に達しました。その設計を変更したのは、セキュリティと正確さを考慮した結果、デフォルトではオブジェクトは直列化可能であってはならないと確信したからです。
オブジェクトを直列化可能にすると、このような制限を与えることはできなくなります。オブジェクトの直列化の結果であるバイト・ストリームは、そのストリームへアクセスできるどんなオブジェクトによっても読出しと修正が可能です。これにより、直列化されたオブジェクトの状態にはどんなオブジェクトからもアクセスできるので、ユーザーが期待する機密性の保証が破られます。さらに、ストリーム内のバイトを任意に変更できるので、Javaプラットフォームによる保護下では不可能だったオブジェクトの再構築が可能になります。このようなオブジェクト再構成により、Javaプラットフォームのユーザーが期待する機密性保証のみでなく、プラットフォーム自体の整合性が脅かされる場合があります。
このような破壊行為を防ぐことはできません。その理由は、直列化の概念そのものが、オブジェクトをJavaプラットフォームの外部(つまり、Java環境の機密性と安全性の保証の圏外)に持ち出すことのできる形に変換し、その後でJavaプラットフォームに戻すことを可能にするためのものだからです。オブジェクトを直列化可能に宣言するという条件は、「クラスの設計者は、機密面や安全面でのそのような侵害の可能性を許容するという積極的な決断を行う必要がある」ことを意味します。直列化に関する知識のない開発者が、知識の欠如のせいで無防備になってはなりません。また、クラスをSerializableと宣言する場合は、その宣言の結果をよく考慮することが望ましいのです。
この種のセキュリティ問題は、セキュリティ・マネージャのメカニズムによって解決できる問題ではありません。直列化の目的は、仮想マシン間のオブジェクトの移送(RMIの場合のような空間上の移送、またはファイルにストリームを保存する場合のような時間上の移送)を可能にすることです。したがって、セキュリティに使用されるメカニズムは特定の仮想マシンの実行時環境とは無関係であることが必要です。私たちは、可能なかぎり「ある仮想マシンでオブジェクトを直列化でき、別の仮想マシンではそのオブジェクトを直列化解除できない」という問題を避けようとしました。セキュリティ・マネージャは実行時環境の一部なので、もし直列化にセキュリティ・マネージャを使用すれば、この要求を達成できなかったでしょう。
実例は数多くあります。多くのクラスは、特定のオブジェクトが存在する実行時環境でのみ意味を持つ情報(ファイル・ハンドル、オープン・ソケット接続、セキュリティ情報など)を処理します。このようなデータは、フィールドをtransient
と宣言するだけで簡単に取り扱うことができますが、このような宣言が必要なのはオブジェクトが直列化される予定のときのみです。不慣れなプログラマの場合は、クラスがSerializable
インタフェースを実装していることを宣言するのを怠る場合と同様に、フィールドをtransient
と宣言するのを怠る可能性があります。こうしたケースが不正な動作につながらないようにする必要があります。これを回避する方法は、Serializable
インタフェースの実装が宣言されていないオブジェクトを直列化しないことです。
別の例として、多数のオブジェクトにまたがるグラフのルートとなっている「単純な」オブジェクトのことを考えてみましょう。直列化はグラフ全体に機能するので、このオブジェクトを直列化すると、ほかの多くのオブジェクトを直列化することになります。このような直列化は意識的に決定すべきことであり、デフォルトの動作で引き起こされるべきことではありません。
基本Java APIクラス・ライブラリの検討作業中に、私たちはこの問題を考慮する必要性を痛感しました。当初はライブラリのシステム・クラスが適宜、直列化可能と宣言されているという設計でした。私たちは当初、この設計を実現するのは簡単だと考えました。「ほとんどのシステム・クラスにSerializable
インタフェースの実装を宣言できるため、これをデフォルトの実装にすれば他に何も変更しなくてもそのまま使用できるだろう」と考えたのです。しかし、ほとんどの場合、予想どおりにはなりませんでした。非常に多くのクラスで、フィールドをtransient
と宣言するかどうか、またそもそもクラスを直列化可能にすることに意味があるのかどうかについて慎重に考える必要がありました。
もちろん、プログラマやクラスの設計者がクラスを直列化可能と宣言するときに、実際にこの問題について考えるという保証はありません。しかし、クラスにSerializable
インタフェースの実装を宣言することを要求することにより、プログラマには何らかの考慮を払うことが求められます。直列化をオブジェクトのデフォルト状態とすると、考慮の不足によって、プログラムに何らかの悪影響(Javaプラットフォーム全体の設計で防ごうとしたもの)を及ぼす可能性があります。
javadoc
ツールによって生成されるAPIドキュメントから入手できます。
対処法として、まずトップ・レベルのウィジェットをコンテナから削除してください(これで、ウィジェットは「アクティブ」ではなくなる)。この時点でピアは破棄され、AWTウィジェットの状態だけを保存できます。あとでウィジェットを直列化解除して読み出すとき、フレームにトップ・レベルのウィジェットを追加して、AWTウィジェットを表示させます。show
呼出しを追加することが必要な場合があります。
AWTウィジェットは直列化可能です。java.awt.Component
クラスはSerializable
インタフェースを実装します。
RMIで直列化を使用する場合は、暗号化と暗号解読を下位のネットワーク・トランスポートに委ねます。安全なチャネルが必要な場合は、ネットワーク接続にはSSLのようなものを使用することをお勧めします(「RMIでのSSLの使用」を参照)。
ランダム・アクセス・ファイルに対してバイトの読書きを行う中間の場所としてByteArrayInputStream
およびByteArrayOutputStream
オブジェクトを使用し、バイト・ストリームからObjectInputStream
およびObjectOutputStream
を作成してオブジェクトの転送を行うことができます。バイト・ストリームにオブジェクト全体が入るように注意してください。そうしないと、オブジェクトへの読書きに失敗します。
たとえば、java.io.ByteArrayOutputStream
を使ってObjectOutputStream
のバイトを受け取ります。バイト配列の形式で結果を1つ受け取ります。次に、このバイト配列をByteArrayInputStream
でObjectInput
ストリームへの入力として使用します。
ObjectOutputStream
には渡されませんが、そのオブジェクトのクラスがまだローカルで利用可能になっていない場合は、そのクラスを受信側でロードする必要があります。クラス・ファイルそのものではなく、クラス名だけが直列化されます。直列化を解除するときには、すべてのクラスは通常のクラス・ロード・メカニズムを使ってロード可能でなければなりません。アプレットの場合はAppletClassLoader
でロードされます。
ローカル・オブジェクトがリモートVMに渡されるときは、オブジェクトの内容がコピーされて渡される(真の値渡し)ので、一貫性は保証されません。
ObjectOutputStream
からObjectInputStream
を作成するには、どうすればよいでしょうか。ObjectOutputStream
とObjectInputStream
は、どんなストリーム・オブジェクトに対しても機能します。ByteArrayOutputStream
を使用し、配列を取得してByteArrayInputStream
に挿入することもできます。同様にpiped streamクラスも使用できます。OutputStream
クラスとInputStream
クラスを拡張するすべてのjava.io
クラスを使用できます。
writeObject
メソッドを使ってネット上を送信し、readObject
メソッドを使って受信します。次に、オブジェクトのフィールドの値を変更してから同様に送信すると、readObject
メソッドから返されるオブジェクトは最初のものと同じで、フィールドの新しい値が反映されていないようです。これは正しい動作なのですか。ObjectOutputStream
クラスは直列化した各オブジェクトを追跡し、それ以降そのオブジェクトがストリームに書き込まれるときは、ハンドルだけを送ります。これは、このクラスがオブジェクトのグラフを扱う方法です。対応するObjectInputStream
は、生成したすべてのオブジェクトとハンドルを追跡し、もう一度ハンドルが参照されたときに、同じオブジェクトを返せるようにします。出力ストリームと入力ストリームは、どちらも解放されるまでこの状態を維持します。
また、ObjectOutputStream
クラスはreset
メソッドを実装しています。このメソッドを使うとオブジェクトを送信したという記録が破棄されるので、オブジェクトをもう一度送るとコピーが作成されます。
スレッドの直列化が難しいのは、スレッドは仮想マシンに複雑に結び付いた多くの状態を持っているために、別の場所にコンテキストを再確立することが困難または不可能だからです。たとえば、VM呼出しスタックを保存するのみでは不十分です。その理由は、多くのネイティブ・メソッドがCのプロシージャを呼び出し、そのプロシージャがJavaプラットフォームのコードを呼び出している場合、Javaプログラミング言語の構造とCのポインタが複雑に混合したものに対処する必要があるからです。また、スタックを直列化することは、任意のスタック変数からアクセス可能なすべてのオブジェクトを直列化することを意味します。
同じVM内でスレッドが再開されると、そのスレッドは多くの状態を元のスレッドと共有します。両方のスレッドが同時に実行されると、ちょうど2つのCのスレッドがスタックを共有しようとした場合のように、予測不可能な動作を起こします。また、別のVMで直列化解除した場合の結果は予想できません。
ObjectOutputStream
を作成する必要があります。
ObjectOutputStream
はOutputStream
を生成します。zipオブジェクトがOutputStream
クラスを継承していれば、圧縮しても問題ありません。
オブジェクトのツリーの直列化の例を示します。
import java.io.*; class tree implements java.io.Serializable { public tree left; public tree right; public int id; public int level; private static int count = 0; public tree(int depth) { id = count++; level = depth; if (depth > 0) { left = new tree(depth-1); right = new tree(depth-1); } } public void print(int levels) { for (int i = 0; i < level; i++) System.out.print(" "); System.out.println("node " + id); if (level <= levels && left != null) left.print(levels); if (level <= levels && right != null) right.print(levels); } public static void main (String argv[]) { try { /* Create a file to write the serialized tree to. */ FileOutputStream ostream = new FileOutputStream("tree.tmp"); /* Create the output stream */ ObjectOutputStream p = new ObjectOutputStream(ostream); /* Create a tree with three levels. */ tree base = new tree(3); p.writeObject(base); // Write the tree to the stream. p.flush(); ostream.close(); // close the file. /* Open the file and set to read objects from it. */ FileInputStream istream = new FileInputStream("tree.tmp"); ObjectInputStream q = new ObjectInputStream(istream); /* Read a tree object, and all the subtrees */ tree new_tree = (tree)q.readObject(); new_tree.print(3); // Print out the top 3 levels of the tree } catch (Exception ex) { ex.printStackTrace(); } } }
Serializable
を実装せず、そのサブクラスBがSerializable
を実装している場合、クラスBを直列化したとき、クラスAのフィールドは直列化されますか。Serializable
オブジェクトのフィールドだけが書き出されて復元されます。オブジェクトは、クラスAが、直列化が不可能なスーパー・タイプのフィールドを初期化する引数のないコンストラクタを持っている場合にだけ復元されます。サブクラスがスーパー・クラスの状態にアクセスする場合は、その状態の保存と復元用にwriteObject
とreadObject
を実装できます。