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Oracle® Grid Infrastructureインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for Linux
B56271-15
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5 Oracle Grid Infrastructureのインストール後の手順

この章では、Oracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールした後に実行する、インストール後の作業について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

5.1 インストール後に必要な作業


注意:

以前のリリースでは、ddコマンドを使用して投票ディスクをバックアップする作業が、インストール後に必要でした。Oracle Clusterware 11g リリース11.2以上では、ddコマンドを使用した投票ディスクのバックアップとリストアは投票ディスクの障害につながる可能性があるため、この手順はサポートされていません。

パッチの更新をダウンロードしてインストールします。My Oracle Support Webサイトを参照して、ご使用の環境に対応するパッチの更新を確認します。

必要なパッチの更新をダウンロードするには、次の手順を実行します。

  1. Webブラウザを使用して、My Oracle Support Webサイトを表示します。

    https://support.oracle.com

  2. My Oracle Supportにログインします。


    注意:

    My Oracle Supportの登録ユーザーでない場合は、「My Oracle Supportへの登録」をクリックして登録してください。

  3. My Oracle Supportのメイン・ページで「パッチと更新版」をクリックします。

  4. 「パッチと更新版」ページで、「製品またはファミリ(拡張)」をクリックします。

  5. 「製品」フィールドで、「Oracle Database」を選択します。

  6. 「リリース」フィールドで、リリース番号を1つ以上選択します。たとえば、Oracle 12.1.0.1.0とします。

  7. 「検索」をクリックします。

  8. 「パッチ検索」ページに、使用可能なすべてのパッチの更新が表示されます。

  9. パッチ番号をクリックして、パッチをダウンロードします。

  10. パッチ番号を選択して「README」をクリックします。READMEページには、そのパッチ・セットに関する情報と、パッチの適用方法が記載されています。

  11. 「パッチ・セット」ページに戻って「ダウンロード」をクリックし、ファイルをシステムに保存します。

  12. Oracle Database 11gリリース2(11.2)で提供された解凍ユーティリティを使用して、My Oracle SupportからダウンロードしたOracleのパッチ更新を解凍します。unzipユーティリティは$ORACLE_HOME/binディレクトリにあります。

  13. パッチをインストールする準備としてデータベース・プロセスを停止する方法の詳細は、付録F「Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2へのアップグレード方法」を参照してください。

5.2 インストール後の推奨作業

Oracle Grid Infrastructureをインストールした後で、必要に応じて次の作業を行うことをお薦めします。

5.2.1 root.shスクリプトのバックアップ

インストールの完了後に、root.shスクリプトをバックアップすることをお薦めします。同じOracleホーム・ディレクトリに他の製品をインストールすると、インストーラは、インストール中に既存のroot.shスクリプトの内容を更新します。元のroot.shスクリプトの情報が必要になった場合は、root.shファイルのコピーから元に戻すことができます。

5.2.2 セマフォ・パラメータの調整

デフォルトのセマフォ・パラメータ値が低すぎて、すべてのOracleプロセスに対応できない場合のみ、次のガイドラインを参照してください。


注意:

セマフォ・パラメータの設定方法の詳細は、オペレーティング・システムのドキュメントを参照することをお薦めします。

  1. 次の計算式を使用して、全体的な最小セマフォ要件を計算します。

    2 * sum(システム上のすべてのデータベース・インスタンスのプロセス・パラメータ) + バックグラウンド・プロセスのオーバーヘッド + システムおよび他のアプリケーションの要件

  2. semmns(システム全体のセマフォ合計)を、この合計値に設定します。

  3. semmsl(各セットのセマフォ)を、250に設定します。

  4. semmnssemmslで割り、最も近い1024の倍数に切り上げた値を、semmni(セマフォ・セット合計)として設定します。

5.2.3 高速リカバリ領域ディスク・グループの作成

インストール時、デフォルトでは1つのディスク・グループの作成が可能です。スタンドアロン・サーバー用のOracle Database、またはOracle RACデータベースを追加しようとする場合は、データベース・ファイルの高速リカバリ領域を作成する必要があります。

5.2.3.1 高速リカバリ領域および高速リカバリ領域ディスク・グループについて

高速リカバリ領域は、リカバリに関連するすべてのOracle Databaseファイルのための、統合された記憶域の場所です。データベース管理者は、DB_RECOVERY_FILE_DESTパラメータを高速リカバリ領域のパスに定義することで、ディスク上へのバックアップやデータの迅速なリカバリが可能になります。最近のデータを迅速にバックアップできれば、リカバリ作業のためにバックアップ・テープを探さなければならないシステム管理者の負担を軽減できます。

init.oraファイルで高速リカバリを有効にすると、すべてのRMANバックアップ、アーカイブ・ログ、制御ファイルの自動バックアップ、およびデータベースのコピーが高速リカバリ領域に書き込まれます。RMANは、リカバリに必要でなくなった古いバックアップおよびアーカイブ・ファイルを削除することで、高速リカバリ領域のファイルを自動的に管理します。

高速リカバリ領域ディスク・グループを作成することをお薦めします。Oracle ClusterwareファイルとOracle Databaseファイルは同じディスク・グループに配置できます。また、高速リカバリ・ファイルも同じディスク・グループに入れることができます。ただし、ストレージ・デバイスの競合を緩和するため、高速リカバリ・ディスク・グループを別に作成することをお薦めします。

高速リカバリ領域は、DB_RECOVERY_FILE_DESTを設定することで有効にできます。高速リカバリ領域のサイズは、DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEで設定します。一般的に、高速リカバリ領域は大きいほど使いやすくなります。使い勝手を良くするため、少なくとも3日分のリカバリ情報を格納できるストレージ・デバイスに、高速リカバリ領域ディスク・グループを作成することをお薦めします。理想的には、高速リカバリ領域は、保存ポリシーに基づいて保存されたデータ・ファイルのバックアップを使用してデータベースをリカバリする際に必要な、すべてのデータ・ファイルと制御ファイル、オンラインREDOログ、およびアーカイブREDOログ・ファイルのコピーを格納できるサイズであることが求められます。

複数のデータベースに同じ高速リカバリ領域を使用できます。たとえば、150GBの記憶域を持つディスク上に1つの高速リカバリ領域ディスク・グループを作成し、それを3つの異なるデータベースで共有するとします。各データベースの高速リカバリ領域のサイズを、そのデータベースの重要度によって設定することができます。たとえば、データベース1が最も重要度が低く、データベース2がそれよりも重要度が高く、データベース3が最も重要度が高い場合、各データベースに異なるDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE設定を適用し、それぞれの保存目標を満たすようにします。たとえば、データベース1には30GB、データベース2には50GB、データベース3には70GBのように設定します。


関連項目:

『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』

5.2.3.2 高速リカバリ領域ディスク・グループの作成

高速リカバリ・ファイル・ディスク・グループを作成するには、次の手順を実行します。

  1. Gridホームのbinディレクトリに移動し、Oracle ASM Configuration Assistant(ASMCA)を起動します。次に例を示します。

    $ cd /u01/app/11.2.0/grid/bin
    $ ./asmca
    
  2. ASMCAが開き、「ディスク・グループ」タブが表示されます。新しいディスク・グループを作成するには、「作成」をクリックします。

  3. 「ディスク・グループの作成」ウィンドウが開きます。

    「ディスク・グループ名」フィールドに、高速リカバリ領域グループの説明的な名前を入力します。たとえば、FRAです。

    「冗長性」セクションで、適用する冗長レベルを選択します。

    「メンバー・ディスクの選択」フィールドで、高速リカバリ領域に追加する適切なディスクを選択し、「OK」をクリックします。

  4. 「ディスク・グループの作成」ウィンドウが開き、ディスク・グループの作成が完了したというメッセージが表示されます。「OK」をクリックします。

  5. 「終了」をクリックします。

5.2.4 Oracle RAC構成監査ツールの実行

Oracle RAC構成監査ツール(RACcheck)を実行して、Oracle RACのインストールを確認することをお薦めします。RACcheckは、Oracle Real Application Clusters、Oracle Clusterware、Oracle Automatic Storage ManagementおよびOracle Grid Infrastructure環境の様々な重要な構成設定の確認を行うOracle RACの監査ツールです。

My Oracle SupportからRACcheckの最新バージョンをダウンロードして実行することをお薦めします。RACcheck構成監査ツールのダウンロード、構成および実行の詳細は、My Oracle SupportのNote 1268927.1を参照してください(次のURLから入手可能)。

https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=1268927.1


関連項目:

『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』

5.3 旧バージョンのOracle DatabaseのGrid Infrastructureでの使用

次の項で、11gリリース2(11.2)のOracle Grid InfrastructureインストールでOracle Databaseの旧リリースを使用する場合について説明します。

5.3.1 旧バージョンのOracle Databaseの使用に関する一般的な制限

Oracle Databaseリリース9.2、リリース10.xおよびリリース11.1を、Oracle Clusterware 11g リリース2(11.2)とともに使用できます。

ただし、以前のリリースはOracle ACFSを使用するように設計されていないため、Oracle Databaseリリース11.2より前のOracle DatabaseホームをOracle ACFSに配置することはできません。

Oracle Clusterware 11g リリース2(11.2)でOracle Real Application Clustersリリース9.2を使用するには、リリース9.2データベース用のOracle9i Cluster Managerをインストールして実行します。Oracle9i Cluster Managerは、Oracle Clusterwareと共存できます。

既存バージョンのOracle ClusterwareとOracle ASMをOracle Grid Infrastructure 11g リリース11.2(Oracle ClusterwareとOracle ASMを含む)にアップグレードする場合で、Oracle RACデータベースを11.2にアップグレードする計画もある場合は、Oracle RACのアップグレードが完了したときに、既存のデータベースに必要な構成も自動的に完了するため、この項の説明を読む必要はありません。

ただし、Oracle Grid Infrastructure 11g リリース11.2にアップグレードする場合で、アップグレードの予定がない既存のOracle RACインストールがある場合、または旧バージョンのOracle RAC(9.2、10.2または11.1)をリリース11.2のOracle Grid Infrastructureクラスタにインストールする場合は、旧バージョンのデータベースがOracle Grid Infrastructureで正常に動作するには、追加の構成タスクを完了するか、またはパッチを適用(あるいはその両方を実行)する必要があります。


注意:

リリース11.1.0.7、11.1.0.6および10.2.0.4からアップグレードする場合は、Oracle Clusterware 11g リリース11.2インストールへのOracle RACまたはOracle Databaseのインストールを始める前に、アップグレード前のリリースに推奨される最新のパッチを確認し、必要に応じて既存のデータベース・インストールに適用してから、アップグレードすることをお薦めします。

推奨パッチの詳細は、My Oracle SupportのNote 785351.1から入手可能な「Oracle Upgrade Companion」を参照してください。

https://support.oracle.com

各リリースの推奨パッチの最新リストについては、Note 756388.1および756671.1でも参照できます。


5.3.2 ASMCAを使用した旧バージョン・データベースのディスク・グループの管理

旧バージョンのOracle DatabaseおよびOracle RACデータベースをOracle Grid Infrastructureにインストールするときに、Oracle ASM Configuration Assistant(ASMCA)を使用して、ディスク・グループを作成および変更します。11g リリース2以上では、Oracle ASMはOracle ClusterwareとともにOracle Grid Infrastructureのインストールの一部としてインストールされます。Database Configuration Assistant(DBCA)を使用してOracle ASMで管理タスクを実行することはできなくなりました。

5.3.3 Oracle Databaseリリース10.xまたは11.x用のクラスタ・ノードの固定

前のバージョンのOracleソフトウェアがインストールされていないクラスタにOracle Clusterware 11gリリース11.2をインストールすると、Oracle Database 10gおよび11.1では永続的な構成が必要であるにもかかわらず、クラスタ・ノードは動的にOracle Databaseリリース11.2以上と互換性があるよう構成されます。ノード名とノード番号を関連付けるこの手順を固定と呼びます。


注意:

アップグレード中、すべてのクラスタ・メンバー・ノードには自動的に固定されるため、既存のデータベースに対して手動で固定する必要はありません。この手順は、Oracle Grid Infrastructureリリース11.2ソフトウェアをインストールした後、旧バージョンのデータベースをインストールする場合にのみ必要です。

旧バージョンのOracle Databaseをインストールして使用するための準備でノードを固定するには、Grid_home/bin/crsctlを使用して次のコマンド構文を実行します。nodesは、構成を固定するクラスタ内の1つまたは複数のノードを示す、スペース区切りリストです。

crsctl pin css -n nodes

たとえば、ノードnode3およびnode4を固定するには、rootとしてログインし、次のコマンドを入力します。

$ crsctl pin css -n node3 node4

ノードが固定状態か非固定状態かを確認するには、Grid_home/bin/olsnodesを使用して次のコマンド構文を実行します。

固定されたすべてのノードを表示する場合:

olsnodes -t -n 

次に例を示します。

# /u01/app/11.2.0/grid/bin/olsnodes -t -n
node1 1       Pinned
node2 2       Pinned
node3 3       Pinned
node4 4       Pinned

特定のノードの状態を表示する場合:

olsnodes -t -n node3

次に例を示します。

# /u01/app/11.2.0/grid/bin/olsnodes -t -n node3
node3 3       Pinned

関連項目:

ノードの固定および固定解除の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

5.3.4 Oracle Databaseリリース9.2のためのグローバル・サービス・デーモン(GSD)の有効化

デフォルトでは、グローバル・サービス・デーモン(GSD)は無効になっています。Oracle Database 9iリリース2(9.2)をクラスタ用Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2(11.2)にインストールする場合は、GSDを有効にする必要があります。Oracle Databaseリリース9.2をインストールする前に、次のコマンドを使用してGSDを有効にします。

srvctl enable nodeapps -g
srvctl start nodeapps

5.3.5 適切なLSNRCTLコマンドの使用

lsnrctlコマンドを使用して11gリリース2のローカル・リスナーおよびSCANリスナーを管理するには、環境変数$ORACLE_HOMEにOracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)のパスを設定します。以前のリリースで使用していたOracleホームの位置からlsnrctlコマンドを使用しないでください(この位置は新しいリリースでは使用できません)。

5.4 インストール後のOracle Clusterwareバイナリの変更

インストール後にOracle Clusterware構成の変更が必要になった場合は、Gridホームをロック解除する必要があります。

たとえば、個別パッチを適用する場合や、Oracle Exadata構成を変更して、デフォルトのUDPを使用するかわりにインターコネクト上でRDS経由のIPCトラフィックを実行する場合は、Gridホームのロック解除が必要になります。


注意:

実行可能ファイルを再リンクする前に、Oracleホーム・ディレクトリで実行されている、再リンク対象の実行可能ファイルをすべて停止する必要があります。また、Oracle共有ライブラリにリンクされているアプリケーションも停止してください。

次の手順に従って、ホームをロック解除します。

  1. rootとしてログインし、パスGrid_home/crs/install(Grid_homeはGridホームのパス)に移動し、コマンドrootcrs.pl -unlock -crshome Grid_home(Grid_homeは使用しているGrid Infrastructureホームのパス)を使用して、Gridホームをロック解除します。たとえば、Gridホームが/u01/app/11.2.0/gridの場合、次のコマンドを入力します。

    # cd /u01/app/11.2.0/grid/crs/install
    # perl rootcrs.pl -unlock -crshome /u01/app/11.2.0/grid
    
  2. ユーザーをOracle Grid Infrastructureソフトウェア所有者に変更し、コマンド構文make -f Grid_home/lib/ins_rdbms.mk target(Grid_homeはGridホーム、targetは再リンクするバイナリ)を使用してバイナリを再リンクします。たとえば、Gridユーザーがgrid$ORACLE_HOMEがGridホームに設定されている場合に、インターコネクト・プロトコルをUDPからIPCに更新するには、次のコマンドを入力します。

    # su grid
    $ make -f $ORACLE_HOME/rdbms/lib/ins_rdbms.mk ipc_rds ioracle
    

    注意:

    バイナリを再リンクする場合、グリッド・インストール所有者に変更して、コマンドGrid_home/bin/relinkを実行することも可能です。

  3. 次のコマンドを使用して、Gridホームを再度ロックし、クラスタを再起動します。

    # perl rootcrs.pl -patch
    
  4. 各クラスタ・メンバー・ノードで、手順1から3を繰り返します。