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Oracle® Databaseプラットフォーム共通日本語README
11gリリース2 (11.2)
B56292-21
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5 Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.1)のREADME情報


注意:

Oracle Database 11g リリース2 (11.2.0.2)を使用する場合は、このREADMEを参照してください。

READMEのこの項には、さらに次の項があります。

第5章「命名体系の変更」

第5章「互換性、アップグレード、ダウングレードおよびインストール」

第5章「11.2.0.1で使用できないか制限されている機能」

第5章「デフォルト動作の変更点」

第5章「Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)」

第5章「Oracle Enterprise Manager Database Control」

第5章「データベース・セキュリティ」

第5章「暗号化と整合性」

第5章「JavaおよびWebサービス」

第5章「メディア管理ソフトウェア」

第5章「Oracle Application Express」

第5章「Oracle Clientアプリケーション」

第5章「Oracle Configuration Manager」

第5章「Oracle Data Mining」

第5章「Oracle Internet Directory」

第5章「Oracle Multimedia」

第5章「Oracle Net Services」

第5章「Oracle Real Application Clusters」

第5章「クラスタ用Oracle Grid Infrastructure」

第5章「Oracle ODBC Driver」

第5章「Oracle OLAP」

第5章「Oracle Spatial」

第5章「Oracle SQL Developer」

第5章「Oracle Text」

第5章「Oracle Ultra Search」

第5章「Oracle Warehouse Builder」

第5章「Oracle Workflow」

第5章「Oracle XML DB」

第5章「PL/SQL」

第5章「Pro*C」

第5章「Pro*COBOL」

第5章「SQLJ」

第5章「SQL*Plus」

第5章「サマリー管理」

第5章「Oracle Streams」

第5章「未解決の不具合」

5.1 命名体系の変更

命名体系では、次の点が変更されています。

  • フラッシュ・リカバリ領域の名称が高速リカバリ領域に変更されました。

  • Oracle interMediaの名称が、Oracle Database 11gリリース1 (11.1)でOracle Multimediaに変更されました。機能は同じで、名称のみが変更されました。

5.2 互換性、アップグレード、ダウングレードおよびインストール

アップグレード前の処理、アップグレード後の処理、互換性および相互運用性の説明に関する最新の更新内容およびベスト・プラクティスについては、Oracle Database 11gリリース2(11.2)(https://support.oracle.com)のノート785351.1を参照してください。


注意:

インストールの完了後、Oracleソフトウェアが実行されている間は、/tmp/.oracleまたは/var/tmp/.oracleディレクトリやディレクトリ内のファイルを手動で削除したり、それらを削除するcronジョブを実行しないでください。これらのファイルを削除すると、Oracleソフトウェアが断続的にハングする場合があります。クラスタ用のOracle Grid InfrastructureおよびOracle Restartのインストールが失敗し、次のエラーが表示されます。
CRS-0184: Cannot communicate with the CRS daemon.

5.2.1 削除の制限

次の各項では、削除および構成解除の制限について説明します。詳細は、第5.36.2項「削除ツールに関する既知の不具合」を参照してください。

5.2.1.1 OUIを使用した削除

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)から、個別の削除および構成解除ツールが製品に付属するようになりました(個別にダウンロード)。ソフトウェアを削除および構成解除するには、deinstallツールを使用します。このツールを使用すると、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureホーム、Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)のデータベース・ホーム、単一インスタンス・データベース、データベース・クライアント、およびスタンドアロン・サーバー(Oracle Restart)用Oracle Grid Infrastructureホームを削除および構成解除できます。

deinstallツールは、すべてのOracleホームにもインストールされます。このツールを使用するには、Oracleホームから実行します。deinstallツールは、インストールしたソフトウェアをチェックし、削除の実行に必要なファイルにアクセスするための組込みインテリジェンスを備えています。ファイルがないことがツールで検出されると、削除を正常に完了するために、deinstallツールのスタンドアロン・バージョンをダウンロードするように求められます。

詳細は、ダウンロードしたdeinstallツールに含まれるREADMEを参照してください。

5.2.1.2 既存のOracleホームから-homeオプションを指定して削除を実行した場合のエラー

製品のホームから-homeオプションを指定してdeinstallツールを実行しようとすると、削除が失敗し、次のエラー・メッセージが表示されます。

$ ./deinstall -home /scratch/user_dir/oracle/product/11.2.0/dbhome_1
Error: invalid argument -home.
Since the tool is run from inside an Oracle Home it will deinstall the home
the tool is installed in. You cannot specify another home.

deinstallツールはOracleホーム内から実行されるため、-homeオプションを指定してdeinstallツールを実行することはできません。deinstallツールを実行できるのは、Oracleホーム内から./deinstallを指定した場合のみです。

5.2.1.3 アップグレードした11.2のOracle RACおよびクラスタ用Oracle Grid Infrastructureのホームの削除

アップグレードしたOracle Database 11gリリース2 (11.2)のOracle RACホームを構成解除または削除した後に、11.2のクラスタ用Oracle Grid Infrastructureホームを構成解除または削除するには、11.2より前のOracle RACソフトウェア・ホームを中央のインベントリからデタッチする必要があります(Oracle Bug#8666509を参照)。

11.2より前のOracle RACホームを中央のインベントリからデタッチするには、次のコマンドを使用します。

ORACLE_HOME/oui/bin/runInstaller -detachHome ORACLE_HOME_NAME=pre-11.2_ORACLE_HOME_NAME ORACLE_HOME=pre-11.2_ORACLE_HOME

5.2.1.4 削除ツールの実行前の/tmp/installディレクトリの削除

削除および構成解除ツールの実行前に/tmp/installディレクトリが存在する場合は、そのディレクトリを削除してからツールを再実行します(Oracle Bug#8729651を参照)。

5.2.2 タイムゾーン・ファイルのバージョン

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)には、バージョン1から11のタイムゾーン・ファイルが付属しています。古いデータベースでバージョン11より新しいタイムゾーン・ファイルが使用されている場合は、データベースをアップグレードする前に、11.2に対応するタイムゾーン・ファイルのパッチを取得する必要があります。

SELECT VERSION FROM V$TIMEZONE_FILEを使用すると、Oracle Database 10gまたは11gデータベースの更新時にタイムゾーン・ファイルのバージョンを特定できます。タイム・ゾーン・ファイルのバージョンが11でない場合、アップグレード前情報ツール(utlu112i.sqlおよびDatabase Upgrade Assistantが使用する同等のもの)で警告が表示されます。この警告では、DBMS_DSTパッケージを実行してデータベースのタイム・ゾーン・バージョンを最新版にアップグレードし、さらにTIMESTAMP WITH TIME ZONEデータも更新するよう推奨されます。また、アップグレード前情報ツールでは、タイムゾーンのバージョンおよびそのアップグレードに関連するsys.database_propertiesに、3つの新しいデータベース・プロパティ(DST_PRIMARY_TT_VERSIONDST_SECONDARY_TT_VERSIONおよびDST_UPGRADE_STATE)が移入されます。DST_PRIMARY_TT_VERSIONプロパティには、使用中の実際のタイムゾーンのバージョンが記録されます。それ以外の2つのデータベース・プロパティは、DBMS_DSTパッケージを使用してタイムゾーンのバージョンをアップグレードする場合に使用されます。

リリース11.2.0.1では、11.2に移行後に現在のタイムゾーンのバージョンを保存するオプションが用意されています。たとえば、アプリケーションでTIMESTAMP WITH TIME ZONE型を使用している場合は、タイムゾーンのバージョンを最新のものにアップグレードするためにDBMS_DSTパッケージを実行する必要はありません。

5.2.3 Oracle ASMのローリング・アップグレード

Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)のローリング・アップグレード・チェックでは、11.1.0.6からそれ以降のリリースへのローリング・アップグレードが許可されません(Oracle Bug#6872001を参照)。アラート・ログに、次のメッセージがレポートされます。

Rolling upgrade from 11.1.0.6 (instance instance-number) to 11.x.x.x is not supported

LMONからORA-15156が通知され、インスタンスが終了します。

Oracle ASMを11.1.0.6からそれ以降のリリースにアップグレードする場合は、この不具合に対応するパッチを11.1.0.6インスタンスに適用してから、ローリング・アップグレードを開始します。このパッチは、ローリング方式で11.1.0.6インスタンスに適用できます。

パッチをインストールした後、ユーザー環境変数ASMCA_ROLLING_UPGRADEtrueに設定します。次に例を示します。

$ EXPORT ASMCA_ROLLING_UPGRADE=true

5.2.4 9.2から11.2にアップグレードする場合のUTCタイムゾーン・エラー

Oracle9i Databaseリリース2 (9.2)からOracle Database 11gリリース2 (11.2)へのアップグレード・スクリプトの実行中に、次のエラーが表示される場合があります。

ORA-27465: invalid value UTC for attribute DEFAULT_TIMEZONE

このエラーは、リリース9.2のデフォルトのタイムゾーン・ファイルに協定世界時(UTC)ゾーンがないために発生します。このメッセージはOracle Schedulerで生成されます。Oracle Schedulerでは、デフォルトでUTCタイムゾーンが選択され、リリース9.2のデフォルトのタイムゾーン・ファイルと照合されます。このエラー・メッセージは予想されているため、無視しても問題はありません。

5.2.5 Standard Edition初期データベースのアップグレード

Standard Edition (SE)初期データベースをアップグレードする場合、次のコンポーネントは、Standard Editionにインストールされていないオプションが必要となるため、SEサーバーでアップグレードできません。

  • OLAP Catalog

  • OLAP Analytic Workspace

  • Oracle OLAP API

  • Oracle Spatial

アップグレードすると、DBA_REGISTRYビューには、これらのコンポーネントのSTATUS値が「OPTION OFF」と表示され、関連するコンポーネントのスキーマにはいくつかの無効なオブジェクトが作成されます。Database Upgrade Assistant (DBUA)には、これらのコンポーネントが正常にアップグレードされていないことを示すメッセージが表示されます(Oracle Bug#8621666を参照)。

5.2.6 表領域および高速リカバリ領域のサイズ設定


注意:

高速リカバリの以前の名称はフラッシュ・リカバリでした。

Oracle Database 11gのアップグレード前情報ユーティリティ(utlu112i.sql)は、SYSTEM表領域およびデータベース内のコンポーネントに関連するその他の表領域(SYSAUXDRSYSなど)で必要となる追加領域を見積ります(Oracle Bug#13067061を参照)。手動でアップグレードする場合は、その前に既存のデータベースに対して必ずこのユーティリティを実行してください。

表領域サイズの見積りは、特に、データベースにOracle XML DBがインストールされている場合は小さすぎる場合があります。ただし、手動でのアップグレードまたはDatabase Upgrade Assistant (DBUA)を使用したアップグレード時に発生する可能性のある領域の問題を回避するために、アップグレード中は、各表領域用のデータファイルにAUTOEXTEND ON MAXSIZE UNLIMITEDを設定できます。

ファイル・システムを使用してデータファイルを格納している場合は、ファイル・システムに、アップグレード中の表領域の増大に対応できる十分な領域があることを確認してください。

高速リカバリ領域を使用している場合は、使用可能なサイズが、アップグレード中に生成されるREDOに対して十分であることを確認してください。サイズが適切でない場合には、アラート・ログにORA-19815エラーが書き込まれ、追加の領域が使用可能になるまでアップグレードは停止されます。

5.2.7 Linuxでのインスタンス起動時におけるメモリー・ターゲットの設定

Oracle Database 11gリリース1 (11.1)から、SGA_TARGETおよびPGA_AGGREGATE_TARGETを明示的に設定しなくても、結合されたMEMORY_TARGETパラメータを使用して、自動的にSGAおよびPGAを管理するオプションが提供されています。これは、Linux、Windows、Solaris、HPUXおよびAIXでサポートされています(Oracle Bug#7258378を参照)。

MEMORY_TARGETパラメータを使用している際、Oracleインスタンスの起動時にLinuxマシンでORA-00845エラーがレポートされた場合は、/dev/shmのサイズを確認してください。/dev/shmが構成されていない場合は、少なくともMEMORY_TARGETの値のサイズになるようにマウントします。/dev/shmは構成されているが、(df -k /dev/shmを介して)レポートされた使用可能な領域の量がMEMORY_TARGETより少ない場合は、領域を開放するか、さらに大きな/dev/shmをマウントしてMEMORY_TARGETのサイズを満たします。MEMORY_MAX_TARGETパラメータをMEMORY_TARGETより大きく設定した場合は、/dev/shmが少なくともMEMORY_MAX_TARGETの値のサイズに設定されていることを確認してください。

5.2.7.1 Oracle Databaseインスタンスのメモリー・ターゲット

実行中のDatabase Configuration Assistant (DBCA)は、この自動メモリー管理オプションにデフォルトで設定されます。アップグレードまたは手動でデータベースを作成する場合には、MEMORY_TARGETを初期化パラメータ・ファイルに指定できます。

5.2.8 Oracle Multimedia、Oracle SpatialまたはOracle XDK for Javaによるデータベースのアップグレード

Oracle Multimedia(以前の名称はOracle interMedia)、Oracle SpatialおよびOracle XDK for Javaは、Oracle XML DBを使用します。これらのいずれかのコンポーネントをデータベースとともにインストールすると、それらをサポートするためにOracle XML DBが自動的にインストールされます。

5.2.9 Oracle Warehouse Builder (OWB)を使用したデータベースのアップグレード

OWBがインストールおよび構成されたデータベースをアップグレードする場合、OWBコンポーネントは、データベースのアップグレード・プロセスの一部としてアップグレードされません。したがって、OWBは、データベースをアップグレードした後も同じバージョンのままです(Oracle Bug#9473944を参照)。OWBコンポーネントは、別の手順でアップグレードする必要があります。『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』を参照してください。

5.2.10 Oracle9i Databaseリリース2との互換性

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)のクライアントまたはサーバーからOracle9i Databaseリリース(9.2.0.4以上)への接続はサポートされています。同様に、Oracle9iクライアント(リリース9.2.0.4以上)からOracle Database 11gリリース2 (11.2)への接続もサポートされています。

5.2.11 自動バックアップの有効化

必要なフォントがシステムにインストールされていない場合は、Oracle Databaseのインストール時に、「バックアップおよびリカバリ・オプションの指定」画面が完全に表示されないことがあります。固定幅フォントのみがインストールされている場合は、この画面のバックアップ・ジョブ資格証明領域で、必要な情報を完全に指定できない可能性があります。この問題を回避するには、この画面では「自動バックアップを使用します」を選択しないでください。自動バックアップは、インストールが完了した後、Oracle Enterprise Manager 11g Database Controlを使用して有効化できます。

5.2.12 SQLアクセス・アドバイザ・タスクを使用したデータベースのアップグレード

SQLアクセス・アドバイザ・リポジトリへの内部構造の変更により、データベースをアップグレードすると、既存のSQLアクセス・アドバイザ・タスクがすべて初期状態にリセットされます。このアクションにより、アップグレード前に正常に実行されたタスクに対するすべての推奨情報が効率的に削除されます。

アップグレード後、既存のSQLアクセス・アドバイザ・タスクを再実行して推奨情報をリストアできます。

5.2.13 リリース11.1.0.6へのダウングレード

リリース11.1.0.6へのダウングレードを予定している場合は、Oracle Bug#7634119用のパッチを適用します。このアクションにより、次のDBMS_XS_DATA_SECURITY_EVENTSエラーが回避されます。

PLS-00306: wrong number or types of arguments in call
to 'INVALIDATE_DSD_CACHE' DBMS_XS_DATA_SECURITY_EVENTS
PL/SQL: Statement ignored

このパッチは、catrelod.sqlの実行前に適用してください。

5.2.14 リリース10.2.0.4へのダウングレード

リリース10.2.0.4へのダウングレードを予定している場合は、catrelod.sqlを実行する前に、10.2.0.4のOracleホームにOracle Bug#4309607用のパッチを適用します。このパッチは、10.2.0.xより後のパッチ・リリースには必要ありません。このパッチを適用すると、次のエラーが回避されます。

ORA-00600: internal error code, arguments: [koputilcvto2n], [15], [1035], [], [], [], [], []

5.2.15 11.2から10.2にダウングレードした場合に発生するエラー

11.2.0.1から10.2.0.4にダウングレードすると、ORA-600 [koputilcvto2n]エラーが発生する場合があります(BLR 8568714およびOracle Bug#4309607を参照)。

この問題を回避するには、11.2.0.1から10.2.0.2にダウングレードする前に、10.2.0.2のパッチ4309607を10.2.0.2のOracleホームに適用します。

5.2.16 Oracle Clusterwareのローリング・アップグレード

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)では、Oracle Clusterwareのローリング・アップグレード・サイクル中に新しい前提条件チェックが行われます。この前提条件チェックが失敗した場合に関して、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』には次のように記載されています。

Oracle Clusterware 10gリリース2 (10.2)からOracle Clusterware 11gリリース2 (11.2)にOracle Clusterwareをアップグレードする場合は、アップグレードする前に、まずバージョン10.2.0.3.0以降のパッチセットを既存のOracle Clusterwareに適用する必要があります。

『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Linux』の付録F.5.1のローリング・アップグレードの手順に従います。

提案されたこの解決策以外に、別の方法もあります。クラスタのすべてのノードを、ローリング以外の方法で同時にアップグレードできます。この解決策を選択すると、10.2.0.3.0パッチセットの要件を回避できます。

5.2.17 リリース11.2でのOracle 9i Databaseリリース2リスナー・ポートの再利用

Oracle RACリリース9iを含むノードでOracle Clusterwareリリース11.2をインストールする際に、SCAN VIPリスナーで同じOracle 9i Databaseリリース2 (9.2)リスナー・ポートを再利用する場合は、9.2リスナーが停止されていることを確認してください(Oracle Bug#8688350を参照)。

または、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールを続行する前に、9.2リスナーを停止し、9.2のlistener.oraファイルのリスナー構成にIP=FIRSTを追加して、9.2リスナーを再起動します。

5.2.18 Oracle Label Security (OLS)を使用したデータベースのアップグレード

OLSがインストールおよび構成された11.2より前のデータベースをアップグレードする場合、データベースのアップグレードを正常に実行するには、次の操作のいずれかを実行する必要があります。

  • 11.2より前のデータベースのアップグレードを開始する前に、11.2のインストールでOLSのカスタム・インストールを実行します。

  • アップグレードしたデータベースでOLSが不要な場合は、アップグレードを開始する前にOLSを削除します。

前述の操作のいずれかを実行しないと、アップグレード中にエラー(ORA-01012: not logged on)が発生します(Oracle Bug#8707506を参照)。さらに、SHUTDOWN IMMEDIATEコマンドを実行すると、次のエラーが表示されます。

ORA-12432: LBAC error: zllesesinit:OCIStmtExecute

5.2.19 ごみ箱のオブジェクトを使用したアップグレード

ORA-00600デッドロック・エラーを回避し、アップグレードの実行に必要な時間を最小限に抑えるには、アップグレード時にごみ箱を空にする必要があります(Oracle Bug#8632581を参照)。

このデッドロックを回避するには、データベースをアップグレードする前に、PURGE DBA_RECYCLEBIN文を使用し、アイテムおよび関連するオブジェクトをごみ箱から削除して、空き記憶域を解放します。

5.2.20 Oracle JVMが存在しない11.2データベースのアップグレード

データベースを11.2にアップグレード中に、Oracle JVM (PL/SQLパッケージDBMS_JAVAを作成)がデータベースに存在しない場合は、次のエラーが表示されます(Oracle Bug#8746395を参照)。

ERROR at line 1:
ORA-06550: line 1, column 7:
PLS-00201: identifier 'SYS.DBMS_JAVA' must be declared
ORA-06550: line 1, column 7:
PL/SQL: Statement ignored

このエラーは無視しても問題ないため、アップグレードを続行してください。

5.2.21 リリース11.2から11.1へのダウングレード後に発生する診断フレームワークのエラー

Oracle Databaseリリース11.2から11.1にダウングレードした後や、ADRコマンド・インタプリタ(ADRCI)・ユーティリティを使用する場合に、アラート・ログにエラーORA-48318が発生する場合があります(Oracle Bug#6976775を参照)。アラート・ログの例を次に示します。

Sweep Incident[8130]: failed, err=[48318]

次に、ADRCIの例を示します。

adrci> show incident
DIA-48458: "show incident" failed due to the following errors
DIA-48318: ADR Relation [INCIDENT] of version=4 cannot be supported

回避策として、次の手順を実行します。

  1. ADRホームの場所を特定します。

    SQL> select value from v$diag_info where name = 'ADR Home';
    
    VALUE
    ----------------------------------------------------------------
    /ade/mfallen_g1/oracle/log/diag/rdbms/g1/g1
    
  2. データベース・インスタンスを停止します。

  3. オペレーティング・システムのユーティリティを使用して、ADRホーム・ディレクトリを削除します(インスタンスが再開されると、適切なバージョンで自動的に再作成されます)。

5.2.22 レスポンス・ファイルベースのインストールの問題

レスポンス・ファイルベースのインストールを実行する場合は、次の点に注意してください。

  • レスポンス・ファイルを保存する場合に、指定したレスポンス・ファイル名のファイルが宛先ロケーションにすでに存在し、ファイルの内容を上書きするための書込み権限をインストール・ユーザーが持っていない場合、インストーラではエラーが表示されません。かわりに、正常に保存されたかのように、インストーラは警告なしで停止します。

    回避策としては、インタビュー入力(レスポンス)を新しいファイルに常に保存してください。選択したパッチがすでに存在する場合は、内容を上書きするための十分な権限がインストール・ユーザーにあることを確認してください(Oracle Bug#8725384を参照)。

  • レスポンス・ファイルのSELECTED_LANGUAGESプロパティには、すべての言語を表す単一の値はありません。製品をすべての言語でインストールする必要がある場合は、すべての言語コードをカンマ区切りリストで指定します。製品に同梱されているサンプルのレスポンス・ファイルに例が用意されています(Oracle Bug#8630967を参照)。

  • レスポンス・ファイルのoracle.install.db.InstallEditionプロパティには、PEの値を指定しないでください。この値は、Windowsオペレーティング・システム用に予約されています(Oracle Bug#8631270を参照)。

  • クライアント・インストールのレスポンス・ファイルをカスタム・モードで保存すると、保存したレスポンス・ファイルに一部のコンポーネントが記録されません。このエラーは、保存するコンポーネントを選択した場合でも発生します(Oracle Bug#8722858を参照)。この場合は、これらのコンポーネントをレスポンス・ファイルに手動で入力してください。次に例を示します。

    oracle.network.cman:11.2.0.1.0 -- "Oracle Connection Manager"
    oracle.network.listener:11.2.0.1.0 -- "Oracle Net Listener"
    

5.3 11.2.0.1で使用できないか制限されている機能

次に、Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.1)で使用できない、または制限されているコンポーネントのリストを示します。

  • データベース・スマート・フラッシュ・キャッシュはSolarisおよびOracle Linuxでのみサポートされます。

  • Oracle Real Application Clusters One NodeはLinux x86およびLinux x86-64でのみサポートされます。

  • 次の製品では、インターネット・プロトコル・バージョン6 (IPv6)の使用はサポートされていません。

    • Oracle RACおよびOracle Clusterware

    • Oracle Fail Safe

  • Oracle Ultra Searchのサポートは終了しているため、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)には付属しません。

  • Oracle Database 11gリリース2 (11.2)からリリース10.2.0.3またはリリース10.2.0.4へのダウングレードは、Oracle Database Vaultではサポートされていません。

  • Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)リソースは、すべてのプラットフォームのOracle Restart構成でサポートされていません。Oracle ACFSドライバは、手動でアンロードおよびロードする必要があります。Oracle ACFSファイル・システムは、手動でアンマウントおよびマウントする必要があります(Oracle ASMインスタンスが実行中の状態になった後)。Oracle ACFSデータベース・ホームのファイル・システムは、登録済の他のOracle ACFSファイル・システムとともにOracle ACFSマウント・レジストリに置くことができます。

  • Oracle Secure Backupにおけるグローバリゼーションの制限事項は、第5.10.1項を参照してください。

  • Oracle Data Miningで使用できなくなった機能の詳細は、第5.14項を参照してください。

  • Security-Enhanced Linux (SELinux)は、Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)ファイル・システムではサポートされていません。

次の各項では、追加の制限事項について説明します。

5.3.1 エディションベースの再定義

次の制限事項は、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)用です。

  • エディションの作成時にAS CHILD OF句が省略されている場合は、データベースのデフォルトのエディションの子として、新しいエディションが作成されます。これに対し、『Oracle Database SQL言語リファレンス』のマニュアルでは、子を持たない1つのエディションの子(リーフ・エディション)として新しいエディションが作成されると記載されています。『Oracle Database SQL言語リファレンス』のマニュアルが正しく、現在の動作が間違っています(Oracle Bug#8681882を参照)。

  • CREATE EDITIONING VIEWコマンドは、新しいエディショニング・ビューの所有者のエディションが有効でない場合に正常に実行されます。これに対し、『Oracle Database SQL言語リファレンス』のマニュアルでは、エディショニング・ビューはエディションが有効なユーザーによって所有される必要があると記載されています。『Oracle Database SQL言語リファレンス』が正しく、現在の動作が間違っています(Oracle Bug#8583698を参照)。

  • 更新可能な結合ビューがエディショニング・ビューで定義されており、そのビューで定義されているトリガーがエディショニング・ビューにある場合、更新可能な結合ビューでのDML操作が失敗し、様々な内部エラーが発生する場合があります(Oracle Bug#8688904を参照)。

  • オブジェクト・タイプまたはネストされた表の列を持つ表で定義されているエディショニング・ビューでのDMLにより、外部または内部(ORA-00600)エラーが発生する場合があります(Oracle Bug#7697126を参照)。

5.3.2 データベース・オブジェクトの名前

データベース・オブジェクトの名前には、引用識別子を使用することをお薦めします。これらの引用識別子は、SQL*Plusで使用できますが、データベース・オブジェクトを管理する他のツールの使用時に有効でなくなる場合があります。

5.4 デフォルト動作の変更点

この項では、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)と旧リリースのデータベースの動作の違いをいくつか説明します。アップグレードおよびダウングレードに関する大部分の情報は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』に記載されています。

5.4.1 直接挿入の動作の変更

直接挿入では、ロードされるすべてのパーティションでメモリーが必要です。メモリー使用量は、パーティションが圧縮される場合に非常に大きくなります。以前のリリースでは、すべてのパーティションがロードされるかメモリー不足になるまで、ロードされていないパーティションの行が取得されるため、直接挿入ではメモリーの割当てが続行されていました。この場合は、挿入が失敗します。

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)からは、直接挿入で割り当てられるメモリーが制限されるようになりました。直接挿入で制限に達し、挿入中にロードされなかったパーティションの行が取得されると、これらの行は直接ロードによって一時表領域に格納されます。すべての行が渡されると、一時表領域に格納されている行が直接ロードによってロードされます。

5.4.2 デフォルトの監査動作の変更

デフォルトの監査動作の変更は次のとおりです。

  • 監査ファイル名にインスタンス名の接頭辞が付き、最後に順序番号が付くようになりました。次に例を示します。

    instanceName_ora_pid_seqNumber.aud / instanceName_ora_pid_seqNumber.xml
    
  • 既存の監査ファイルに追加されるものがなくなりました。監査ファイルがすでに存在する場合は、順序番号が増分し、instanceName_ora_pid_seqNumber+1.audに書き込まれます。

  • 監査ファイルの増加に事前構成済のしきい値があります。アクティブなセッションに関連付けられている監査ファイルは、次の制限値のいずれかに達するまで開いたままです。

    • 監査レコードが書き込まれると、監査ファイルのサイズは10MB以上になります。

    • 監査レコードが書き込まれると、監査ファイルの期間は5日以上になります。

    これらのしきい値のいずれかに達すると、増分した順序番号が付いた新しい監査ファイルが追加の監査レコード用に開かれます。

  • AUD$への更新はなくなりました。

    • すべてのログオフ(アクション#101)監査レコードは個別に書き込まれます。

    • イベントがBY SESSIONで監査される場合は、イベントが発生するたびに、AUD$の新しい監査レコードになります。

5.4.3 FILE_ACCESS_ROLEのデフォルト動作の変更

CTXシステム・パラメータFILE_ACCESS_ROLEのデフォルトの動作が変更されています(Oracle Bug#8360111を参照)。ファイルまたはURLのデータストアを使用するOracle Textの既存の索引を持つ顧客は、エラーを発生せずに索引を引き続き使用できるように、措置を講ずる必要があります。変更内容は次のとおりです。

  • FILE_ACCESS_ROLEがNULL (デフォルト)の場合、アクセスは許可されません。このタイプの索引を作成できたユーザーは、変更後はこれらの索引をデフォルトで作成できなくなります。

  • 索引の同期およびドキュメント・サービスの操作で、FILE_ACCESS_ROLEがチェックされるようになりました。この変更前は、このタイプの索引の同期や、ctx_doc.highlightなどのドキュメント・サービス・コールの使用が許可されていたユーザーも、デフォルトではできなくなります。

  • FILE_ACCESS_ROLEの変更が許可されるのは、SYSのみです。SYS以外のユーザーとしてctx_adm.set_parameter (FILE_ACESS_ROLE, role_name)をコールすると、新規エラーが発生するようになりました。

    DRG-10764: only SYS can modify FILE_ACCESS_ROLE
    
  • ユーザーは、FILE_ACCESS_ROLEPUBLICに設定して、このチェック(前のデフォルトの動作)を明示的に無効にできます。

5.4.4 RAWデバイスのサポート

Oracle Universal Installer (OUI)およびDatabase Configuration Assistant (DBCA)では、RAWデバイス(Linuxではブロック・デバイス)がサポートされません。ただし、SQL*PlusやCRSCTLなどのコマンドライン・ユーティリティでは、RAWデバイスまたはブロック・デバイスがサポートされます。

5.4.5 クラスタ用Oracle Grid InfrastructureホームにインストールされたOracle ClusterwareおよびOracle ASM

Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)は、Gridホームと呼ばれる単一のOracleホームにインストールされます。このインストールは、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureインストールと呼ばれます。

アップグレードする場合は、Oracle ClusterwareとOracle ASMの両方を同時にアップグレードする必要があります。

5.4.6 Oracle ASMインスタンスの非推奨のパラメータ

次の初期化パラメータは、Oracle ASMインスタンスでは非推奨です。

  • CLUSTER_DATABASEパラメータ

    INSTANCE_TYPEがOracle ASMで、Oracle RACオプションがオンになっている場合は、CLUSTER_DATABASEパラメータを指定する必要はありません。この場合、CLUSTER_DATABASEパラメータはTRUEにデフォルトで設定されます。

  • COMPATIBLEパラメータ

    Oracle ASMインスタンスでは、COMPATIBLEパラメータを設定しないでください。ディスク・グループの互換性を拡張するには、ディスク・グループの
    COMPATIBLE.[RDBMS|ASM|ADVM]属性を変更します。

5.4.7 固定ビュー

Oracle ASMインスタンスのすべてのパラメータ・ビュー(例: V$PARAMETER)でレポートされるのは、Oracle ASMインスタンスに関連するパラメータのみです。

5.4.8 CLOB APIおよびNCLOB APIに関するオフセット

Oracle Database 10gリリース1 (10.1)から、CLOBまたはNCLOBに書き込むAPIでは、書込みの最初に指定されたオフセットが既存のLOBデータの文字境界上にない場合は、ORA-22831エラーが発生します。

データベースのデフォルト・キャラクタ・セットまたは各国語キャラクタ・セットがマルチバイトの場合、LOB APIでは、CLOBsまたはNCLOBsに対するamountパラメータとoffsetパラメータにUCS2コードポイント・セマンティクスが使用されます。サロゲート・ペアの下位(2番目)サロゲートが指定されている場合、指定されたオフセットは文字境界上にありません。そのような場合には、エラーORA-22831が発生してデータは書き込まれません。これにより、ターゲットLOB内の文字の破損が回避されます。

ORA-22831が戻されないようにデータベースを構成する場合は、Oracleサポート・サービスに連絡してください。

5.4.9 多数のパーティションのロード時に追加のヒントを使用した場合に発生するメモリー不足

ダイレクト・パスのINSERTを使用して多数のパーティションをロードすると、特にデータ圧縮が指定されている場合にメモリー制限を超える場合があります(Oracle Bug#6749894を参照)。メモリーを確保するために、11.2からはPGA_AGGREGATE_TARGET初期化パラメータに基づいて、同時にロードされるパーティションの数が制限されるようになりました。ロード中のパーティションに格納されない行は、一時表領域に保存されます。パーティションの現在のセットですべての行がロードされた後に、一時表領域に保存されている行から他のパーティションがロードされます。

この動作により、不十分なメモリーによりダイレクト・パスのINSERTが終了することがなくなりました。

5.4.10 11.2で無効になった不均一なメモリー・アクセスの最適化およびサポート

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)では、不均一なメモリー・アクセスのサポートがデフォルトで無効になりました。この制限は、すべてのプラットフォームおよびオペレーティング・システムに適用されます(Oracle Bug#8450932を参照)。

Oracle Databaseで不均一なメモリー・アクセスの最適化およびサポートが使用できるのは、特定の組合せのOracleバージョン、オペレーティング・システムおよびプラットフォームのみです。不均一なメモリー・アクセスのサポートを有効にするには、Oracleサポート・サービスとハードウェア・ベンダーを使用してください。

5.4.11 拡張圧縮のビューの変更

11.2では、user_tablesdba_tablesなどの様々な表ビューのCOMPRESS_FOR列で、11.1と異なる値が返されます。COMPRESS_FOR列から返される新しい値は、BASICまたはOLTPです。11.1の場合、この値はそれぞれDIRECT LOAD ONLYFOR ALL OPERATIONSでした。

5.5 Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)

次の各項では、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)のOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)に関する情報について説明します。

5.5.1 Oracle DatabaseデータファイルおよびOracle ACFS

Oracle ACFSとは、非データベース・ファイルの優先ファイル・マネージャです。ACFSは、汎用ファイル用に最適化されています。Oracle ACFSでは、Oracle ASMに直接保存できるファイルはサポートされません。

5.6 Oracle Enterprise Manager Database Control

次の各項では、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)のDatabase Controlについて説明します。

5.6.1 オブジェクトの再編成

オブジェクトの再編成には次の内容が適用されます。

  • 再編成スクリプトの生成からそのスクリプトの実行までの間にメタデータの変更が発生すると、データベースに悪影響を与える可能性があります。

  • 再編成中の表に対してDDLが実行されている間にオフライン再編成が試行されると、データベースに悪影響を与える可能性があります。

  • Oracle Enterprise Managerでオブジェクトの再編成ウィザードまたはローカル管理表領域ウィザードを使用する前に、データベースをバックアップすることをお薦めします。

5.6.2 複数のオブジェクトの編集

Oracle Enterprise Managerでは、オブジェクトを編集するためにオープンできるブラウザ・ウィンドウは1つのみです。たとえば、Oracle Enterprise Managerでは一度に1つの表領域のみを編集できます。


注意:

ウィンドウが読取り専用の場合は、複数のブラウザ・ウィンドウをオープンできます。

5.6.3 Oracle XML DBのプロキシ設定の要件

次に、Oracle XML DBのプロキシ設定要件を示します。

  • URLを使用してファイアウォール内部にOracle XML XDBリソースを作成するには、emoms.propertiesのプロキシを設定する必要があります。

  • URLに基づいたXML Schemaを登録する場合、URLはデータベース自体で解釈されます。この場合、データベース・プロキシを設定する必要がある場合があります。


注意:

プロキシ設定を変更できない場合、有効な回避策は、これらのファイルをクライアント・マシンにローカルに保存し、ローカル・ファイル・オプションを使用して、リソースの作成またはスキーマの登録を実行することです。

5.6.4 データベース・オブジェクトが多数の場合に必要となるヒープ・サイズの増加

Oracle Enterprise Manager Database Controlは、192MB (32ビット)/384MB (64ビット)のヒープ・メモリーで構成されます。ただし、Oracle Enterprise Manager Database Controlの特定の機能(変更マネージャなど)では、データベースに多数のオブジェクトが含まれる場合に、多くのメモリー設定が必要になる場合があります。

メモリー設定は、次のemctlコマンドを使用して増加できます。

emctl config dbconsole -heap_size MemorySizeValue M

新しい設定を適用するには、Oracle Enterprise Manager Database Controlを再起動する必要があります。

5.6.5 Oracle Enterprise Manager Database Control 11.2のみでサポートされるOracle Database 11gリリース2の新機能

ポリシー管理型データベースやOracle ASMクラスタ・ファイル・システムなど、Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.1)で使用できる新機能の管理サポートは、Oracle Enterprise Manager Database Control 11.2でのみ使用できます。

Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.1)の機能は、Oracle Enterprise Manager Grid Control 11.1でサポートされています。

Oracle Enterprise Manager Grid Control 10.2.0.5では、以前のバージョンのOracle Databaseの管理サポートを提供しますが、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)の新機能はサポートしません。Grid Control 10.2.0.5では、単一インスタンス・データベースのプロビジョニングもサポートされません。

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)にアップグレードされ、管理者によって管理されるクラスタ化されたデータベースは、Grid Control 10.2.0.5を使用して引き続き監視できます。Oracle Database 11gリリース2 (11.2)の監視サポートの詳細は、My Oracle SupportのWebサイト(https://support.oracle.com)の「動作保証」タブをクリックしてください。

5.6.6 Database Controlのパッチ適用

次の事項は、データベースのパッチ適用手順に適用されます。

5.6.6.1 Oracle Clusterwareへのパッチ適用のデプロイメント・プロシージャの失敗(クラスタ・ノードのパッチ適用レベルが異なる場合)

クラスタ・ノードのパッチ適用レベルが異なる場合、一部のノードではOracle Clusterwareへのパッチ適用(ローリング)のデプロイメント・プロシージャが成功しますが、他のノードで競合分析の手順を実行中に失敗する場合があります(Oracle Bug#8661258を参照)。

この問題を解決するには、競合するパッチをロールバックし、競合分析の手順を再試行します。また、Oracleサポート・サービスからスーパーセット・パッチを取得し、デプロイメント・プロシージャを再試行することもできます。

5.6.6.2 パッチ適用中にOracle RACインスタンスでSQLスクリプトを手動で実行する必要がある場合

パッチ適用手順の一部としてOracle RACインスタンスで実行されるSQLスクリプトは、Oracle Enterprise Manager Database Controlを実行しているOracle RACインスタンスでのみ実行されます(Oracle Bug#8645179を参照)。

特に、パッチを適用するOracleホームで複数のOracle RACインスタンスが実行されており、適用対象のパッチでSQLスクリプトを各インスタンスで実行する必要がある場合、Oracle RACへのパッチ適用(ローリング)およびOracle RACへのパッチ適用(すべてのノード)のデプロイメント・プロシージャでは、Oracle Enterprise Manager Database ControlのOracle RACインスタンスでのみSQLが実行されます。

この場合は、パッチのREADMEの指示に従い、SQLスクリプトを他のOracle RACインスタンスで手動で実行する必要があります。

5.6.6.3 最新のOPatchバージョンが必要なパッチでOPatchを手動で更新する必要がある場合

一部のパッチでは、パッチを適用するOracleホームに最新バージョンのOPatchユーティリティをインストールする必要があります(Oracle Bug#8581434を参照)。ただし、OPatchアップグレードは、パッチ適用デプロイメント・プロシージャではサポートされません。

かわりに、必要なプラットフォームの最新バージョンのOPatchをMy Oracle Support(https://support.oracle.com)のパッチ番号6880880から手動でダウンロードする必要があります。最新のバージョンを使用すると、各Oracleホームを更新できます。

5.6.6.4 パッチ適用前にスタンドアロン・リスナーを停止する必要がある場合

Oracle RACへのパッチ適用(ローリング)またはOracle RACへのパッチ適用(すべてのノード)のデプロイメント・プロシージャのいずれかを使用して、パッチを適用するOracleホームでスタンドアロン・リスナーが実行されている場合、パッチ適用が失敗して次のエラーが表示されます。

CheckActiveFilesAndExecutables failed as ORACLE_HOME/bin/tnslsnr file is active.

この問題を回避するには、パッチ適用を開始する前に、パッチ適用対象のOracleホーム内から実行中のすべてのスタンドアロン・リスナーを停止します(Oracle Bug#8581327を参照)。

5.6.6.5 パッチ適用前にOracleホームで実行中の複数のデータベース・インスタンスの停止

パッチを適用するOracleホーム内で複数のデータベース・インスタンスが実行中の場合、CheckActiveExecutablesの手順でOracle Databaseへのパッチ適用のデプロイメント・プロシージャが失敗する場合があります(Oracle Bug#6278749を参照)。

この問題を回避するには、Database Controlが実行されているデータベース・インスタンス以外のすべてのデータベース・インスタンスをパッチ適用前に停止します。

5.6.6.6 OPatchを使用してClusterwareのバンドル・パッチをOracle RACに適用する必要がある場合

Oracle RACデータベースに適用する複数のパッチがClusterwareのバンドル・パッチに含まれている場合は、Database Controlを使用してパッチを適用することはできません(Oracle Bug#8692833を参照)。この場合、パッチ適用後にデータベースが起動しなくなる場合があります。

パッチに複数のOracle RACパッチが含まれているかどうかを確認するには、Oracle Clusterwareのバンドル・パッチのREADMEを確認してください。複数のOracle RACパッチが含まれている場合は、OPatchを使用してパッチを手動で適用する必要があります。

5.6.6.7 サポート対象外のDatabase Controlからのパッチ適用(一部のクラスタ・ノードがOracle RACの対象外の場合)

クラスタ内のすべてのノードを対象とするクラスタ内にOracle RACインスタンスがなく、Database Controlからパッチが適用される場合、Oracle RACインスタンスの対象外のノードにはパッチが適用されません(Oracle Bug#8752959を参照)。

このシナリオでは、パッチのREADMEの指示に従って、クラスタにパッチを手動で適用する必要があります。


注意:

クラスタ内の一部のノードがOracle RACの対象外の場合、Oracle Clusterwareのパッチ適用は、Database Controlからのみ実行するようにしてください。Database Controlからの単一クラスタのインストールのパッチ適用はサポートされません。

5.7 データベース・セキュリティ

データベース・セキュリティの次の変更に注意してください。

5.7.1 SSL証明書を構成および使用した認証の設定


注意:

この設定は、Oracle Clusterwareと中間層、またはOracle ClusterwareとJDBCクライアントとの間の接続におけるセキュリティに影響を与えます。

JDBC接続プールまたはOracle Universal Connection Pool (UCP)で使用する高速接続フェイルオーバー(FCF)などのOracle RAC機能は、Oracle RACノードで実行されているOracle Notification Service (ONS)の通知をサブスクライブします。通常、データベース層のONSサーバーと中間層の通知クライアント間の接続は認証されません。SSL証明書を構成して使用することで認証を設定できますが、その手順が明確に記載されていません。

回避策は次のとおりです。

  1. orapkiインタフェースを使用してOracle Walletを作成し、SSL証明書を格納します。

    1. cd $ORA_CRS_HOME/opmn/conf

    2. mkdir sslwallet

    3. orapki wallet create -wallet sslwallet -auto_login

      プロンプトが表示されたら、パスワードとしてONS_Walletを指定します。

    4. orapki wallet add -wallet sslwallet -dn "CN=ons_test,C=US" -keysize 1024 -self_signed -validity 9999 -pwd ONS_Wallet

    5. orapki wallet export -wallet sslwallet -dn "CN=ons_test,C=US" -cert sslwallet/cert.txt -pwd ONS_Wallet

    6. 手順cで作成したウォレットを、同じ場所にあるその他すべてのクラスタ・ノードにコピーします。

  2. クラスタ内のすべてのノード上のONSサーバーを停止します。

    srvctl stop nodeapps
    
  3. 手順1で作成したウォレットの場所を指定するために、データベース層のすべてのノードでONS構成ファイルを更新します。

    1. ORA_CRS_HOME/opmn/conf/ons.configファイルを開きます。

    2. ons.configファイルにwalletfileパラメータを次のように追加します。

      walletfile=ORA_CRS_HOME/opmn/conf/sslwallet

    3. srvctlを使用して、次のようにONSサーバーを再起動します。

      srvctl start nodeapps
      
  4. 中間層でクライアント側ONSデーモンを実行している場合は、次の2つの構成が可能です。

    • (OracleAS 10.1.3.xなどの)OPMNからONSを起動する場合はopmn.xmlを使用します。

    • (onsctlの使用など)スタンドアロンでONSを起動する場合はons.configを使用します。

    ケース(1)の場合は、Oracle Application Serverリリースに対応する『OPMN管理者ガイド』を参照してください。この構成では、ウォレットの場所を指定するために、opmn.xmlファイルを変更します。

    ケース(2)場合は、『Oracle Database JDBC開発者ガイド』付録BONSの構成に関する項を参照します。クライアント側ONSデーモンは、複数の異なるマシンで実行される可能性があります。手順1で作成したウォレットをそれらのクライアント側マシンにコピーし、ons.configファイルまたはopmn.xmlファイルで、そのクライアント側マシン上のパスを指定します。

  5. クライアント側ONSデーモンを使用せずにリモートONSの構成を実行する場合は、『Oracle Database JDBC開発者ガイド』の「高速接続フェイルオーバー」の章で、「高速接続フェイルオーバーの使用」の「高速接続フェイルオーバー用のONSの構成」にある「リモートONSサブスクリプション」を参照してください。手順1で作成したウォレットをそれらのクライアント側マシンにコピーし、ons.configファイルまたはopmn.xmlファイルで、そのクライアント側マシン上のパスを指定します。

    また、setONSConfiguration引数として、次の文字列を指定することもできます。

    propertiesfile=location_of_a_Java_properties_file
    

    Javaプロパティ・ファイルには、次に示すONS Javaプロパティの内の1つ以上が含まれている必要があり、少なくともoracle.ons.nodesプロパティが含まれている必要があります。Javaプロパティの値は、この手順で前述した「リモートONSサブスクリプション」の項で指定されている値と同じになります。

    oracle.ons.nodes
    oracle.ons.walletfile
    oracle.ons.walletpassword
    

5.7.2 デフォルトのセキュリティ設定の変更

Javaパッケージoracle.security.rdbms.server.AppCtxは非推奨になりました。AppCtxManagerAppCtxPermitAppCtxUtilおよびAppCtxExceptionのクラスは、このパッケージの一部です(Oracle Bug#6736417を参照)。

5.7.3 UNLIMITED TABLESPACE権限の変更

UNLIMITED TABLESPACEシステム権限は、将来のOracle DatabaseリリースでRESOURCEロールから削除される予定です(Oracle Bug#7614645を参照)。

5.8 暗号化と整合性

暗号化と整合性に関する次の変更に注意してください。

5.8.1 暗号化された表領域

  • 既存の表領域をALTER TABLESPACE文を使用して暗号化することはできません。ただし、データ・ポンプ、またはCREATE TABLE AS SELECTALTER TABLE MOVEのようなSQL文を使用して、既存の表データを暗号化された表領域に移動できます。

  • 暗号化された表領域を使用してデータベースをリカバリする際(SHUTDOWN ABORTまたはデータベース・インスタンスを停止させる致命的なエラーの後など)には、リカバリ・プロセスがデータ・ブロックおよびREDOを復号化できるように、データベースのマウント後でデータベースをオープンする前にウォレットをオープンする必要があります。

  • 透過的データ暗号化(TDE)表領域の暗号化のマスター暗号化キーでは、すべてのキー管理(作成、保存、回転、リタイアなど)にハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)を利用します。11.1.0.7では、HSMでTDE表領域の暗号化マスター・キーの作成と保存しかできず、回転はできませんでした。TDE表領域の暗号化のマスター・キーは、Oracle WalletからHSMに移行することもできます。

5.9 JavaおよびWebサービス

Javaを使用する際は、次の事項に注意してください。

5.9.1 Oracle JVM

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)には、すべての機能を持つJava仮想マシン(JVM)とSun社のJava Development Kit (JDK) 5.0用Javaクラス・ライブラリが組み込まれています。リリース11.2.0.1には、OracleのJDBCおよびSQLJとともに、サーバーベースJavaアプリケーションの開発とデプロイのためのエンタープライズ・クラス・プラットフォームであるOracle JVMが用意されています。次のサイトにあるOracle JVM READMEファイルを参照してください。

ORACLE_HOME/relnotes/readmes/README_javavm.txt

5.9.2 Oracle Universal Connection Pool (UCP)のマウントおよびUCPの優先によるJDBCの暗黙的接続キャッシュの非推奨

Oracle Database 11gリリース1 (11.1.0.7)から、JDBC用の新しいユニバーサル接続プールがリリースされています。詳細は、次のWebページにある『Oracle Universal Connection Pool for JDBC開発者ガイド』を参照してください。

http://www.oracle.com/technology/tech/java/sqlj_jdbc/UCP_dev_guide.pdf

このため、Oracle Database 10gリリース1(10.1)に導入されていた既存のJDBC接続プール(暗黙的な接続キャッシュ)は非推奨になっています。使用中のアプリケーションは、将来のリリースでサポート終了の通知が出され、正式にサポートが終了するまで引き続き使用できます。

Oracleでは、次のWebページにある『Transitioning to Oracle Universal Connection Pool (UCP)』の指示に従って、新しいアプリケーションにUCPを採用し、既存のアプリケーションの変更を計画するように推奨しています。

http://www.oracle.com/technology/tech/java/sqlj_jdbc/pdf/ucp_transition_guide.pdf

UCPのダウンロードおよびコード・サンプルは次のWebページにあります。

http://www.oracle.com/technology/software/tech/java/sqlj_jdbc/htdocs/ucp.html

5.9.3 JDBC

Oracle JDBC製品は、最新のJava/JDBC標準をサポートしています。詳細は、次のサイトにあるJDBCのREADMEを参照してください。

ORACLE_HOME/relnotes/readmes/README_jdbc.txt

5.9.4 Webサービス

Oracle Netのかわりに、Oracle Database Web Servicesでは、標準のWebサービス・メカニズムを介して、非接続でのデータベースへのアクセスが提供されています。これには、XML、SOAPおよびWSDLが含まれ、データベースをWebサービス・プロバイダに転換できます。同様に、データベース自体が、Webサービス・コンシューマとして機能して外部のWebサービスを実行できます。Webサービスには、次の重要な機能があります。

  • SOAP Clientライブラリに基づくJAX-RPCは、外部Webサービスのデータベース内からの起動をサポートし、その結果に対してSQLの機能を適用します。

  • Webサービス・コールイン: JPublisherで生成されたJavaクラスをOracle Application Server 10gにデプロイすることで、JavaとPL/SQLのプロシージャとパッケージ、SQL問合せ、DML操作などのデータベース操作を実行できます。

  • Webサービス・コールアウト: WSDLとそのPL/SQLラッパーからJPublisherで生成されたWebサービス・クライアントをデプロイすることで、外部Webサービスのデータベース内からの起動がサポートされます。

5.10 メディア管理ソフトウェア

単一のサーバーで構成される環境向けに、Oracle Secure Backup Expressが用意されており、Oracle Databaseおよびその他の重要なOracleインフラストラクチャをテープにバックアップできます。Oracle Secure BackupはRecovery Manager (RMAN)と完全に統合され、データ保護サービスを提供します。より規模の大きな環境では、Oracle Secure Backupをライセンス供与可能な別の製品として使用し、多数のデータベース・サーバーおよびファイル・システムをテープにバックアップできます。Oracle Secure Backupリリース10.4は、Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.1)に同梱されています。Oracle Secure Backupの詳細は、次のサイトを参照してください。

http://www.oracle.com/goto/osb/

5.10.1 Oracle Secure Backupのグローバリゼーションの制限

Oracle Secure Backupには、グローバリゼーションについて次の制限が適用されます。

  • Oracle Secure BackupのWebツールおよびコマンドライン・インタフェースは英語のみで、グローバル化されていません。すべてのメッセージおよびドキュメントは英語で表示されます。

  • Oracle Secure Backupでは、Unicode UTF-16などのNULLバイト終了をサポートしないキャラクタ・セットでエンコードされているファイル名やRMANバックアップ名はサポートされません。この制限により影響を受けるのは、バックアップ内容ではなくファイル名であることに注意してください。Oracle Secure Backupでは、Oracle Databaseを任意のキャラクタ・セットでバックアップできます。

5.11 Oracle Application Express

Oracle Application Expressを使用する際は、次の事項に注意してください。

Oracle Application Expressの詳細は、『Oracle Application Expressリリース・ノート』および『Oracle Application Expressインストレーション・ガイド』を参照してください。

5.11.1 最新のリリースの確認

Oracle Application Expressは、Oracle Databaseより頻繁にリリースされています。最新のリリースの詳細を確認するには、次のサイトを参照してください。

http://www.oracle.com/technetwork/developer-tools/apex/overview/index.html/

5.11.2 Oracle HTTP Serverの構成

新規インストールでOracle Application ExpressにOracle HTTP Serverを構成する場合は、データベース・ユーザーAPEX_PUBLIC_USERのアカウントのロックが解除されている必要があります。データベース・ユーザーAPEX_PUBLIC_USERのアカウントのロックを解除するには、次の手順を実行する必要があります。

  1. SQL*Plusを起動して、Oracle Application ExpressがインストールされているデータベースにSYSとして接続します。次に例を示します。

    $ ORACLE_HOME/bin/sqlplus
    SQL> CONNECT SYS as SYSDBA
    Enter password: SYS_password
    
  2. 次のコマンドを実行します。

    SQL> ALTER USER APEX_PUBLIC_USER ACCOUNT UNLOCK
    

5.11.3 データベースのCOMPATIBLEパラメータおよびネットワーク・サービスの有効化

『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』でOracle Database 11gのネットワーク・サービスの有効化に関する項に記載されているOracle Application Expressのインストール後タスクの例を実行するには、データベースのCOMPATIBLE初期化パラメータが、少なくとも11.1.0.0.0に設定されている必要があります。Oracle Database 11gデータベースでは、デフォルトですでにパラメータが正しく設定されていますが、旧バージョンから11gにアップグレードされたデータベースでは設定されていない場合があります。

データベース初期化パラメータの変更の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』のOracle Databaseの作成および構成に関する項を参照してください。

5.12 Oracle Clientアプリケーション

Oracle Client 11gには、重大なエラーが検出された場合の診断情報のダンプ機能を含む、問題を診断するための拡張機能が含まれています。デフォルトでは、これらのダンプは小さいサブセットの情報に制限されるため、アプリケーション・データはダンプされません。しかし、多くのインストールでは、このようなログのプライバシを確保するために、ダンプ・ファイル用にセキュアな場所が構成される場合があります。このような場合は、フル・ダンプをオンにすることをお薦めします。これにより、問題解決までの時間が大幅に短縮します。フル・ダンプを有効にするには、Oracleクライアント・インストールで使用されるsqlnet.oraファイルに次の行を追加します。

DIAG_RESTRICTED=false

診断機能が正常に動作していることを確認するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Database 11gクライアント・ライブラリを使用できるように、アプリケーションをアップグレードします。

  2. アプリケーションを起動します。

  3. アプリケーションのTNS_ADMINディレクトリのsqlnet.logファイルをチェックし、診断機能が起動できなかった(通常はディレクトリ名または権限が無効であることが原因)ことを示すエラー・メッセージを確認します。

詳細は、『Oracle Call Interfaceプログラマーズ・ガイド』を参照してください。

5.13 Oracle Configuration Manager

Oracle Configuration Managerの次の内容に注意してください。

5.13.1 cron構成の問題

cronへのアクセスを拒否されると、次のエラーが表示され、Oracle Configuration Managerの構成が失敗します。

ORACLE_HOME/ccr/bin/setupCCR
** Installing base package **
Deploying core - Version 10.2.5.0.0
Error encountered in package deployment.

インストールの完了後、環境変数CCR_DISABLE_CRON_ENTRYTRUEに設定し、次のコマンドを使用してOracle Configuration Managerの構成を再度試行します。

ORACLE_HOME/ccr/bin/setupCCR

5.14 Oracle Data Mining

Oracle Database 11gリリース2(11.2)のOracle Data Miningスコアリング機能は、Oracle Exadata Storage Serverソフトウェアでも使用できます。記憶域レイヤーのスコアリング機能により、膨大なデータセットを迅速にマイニングできるため、すでにOracle Database内の分析により得ている競争上の優位性をさらに高めることができます。Oracle Exadata Storage Serverソフトウェアの詳細は、http://www.oracle.com/technology/products/bi/db/exadata/index.htmlを参照してください。

データベースの組込み機能であるデータ・マイニング・オプションは、Oracle Database Enterprise Editionとともに自動的にインストールされます。データ・マイニング・オプションを使用するデータベースをインストールする場合は、デフォルトの初期化パラメータに最適なデータ・ウェアハウス構成タイプを選択します。

Oracle Database 11gでは、データ・マイニング・モデルはSYSスキーマのデータ・ディクショナリ・オブジェクトとして実装されます。DMSYSスキーマは存在しません。

Data Miningユーザーが独自のスキーマにマイニング・モデルを作成するには、CREATE MINING MODEL権限を持っている必要があります。『Oracle Data Mining管理者ガイド』に記載されているように、その他のデータ・マイニング・アクティビティを実行するには別の権限が必要です。

Oracle Database 11gリリース1 (11.1)には、Oracle Data Mining用の新しいデータ・ディクショナリ・ビューが導入されていました。

  • USER/ALL/DBA_MINING_MODELS

  • USER/ALL/DBA_MINING_MODEL_ATTRIBUTES

  • USER/ALL/DBA_MINING_MODEL_SETTINGS

Data Mining API (PL/SQLおよびJava)を説明するデモ・プログラムは、Oracle Database Examplesとともにインストールされます。手順は、『Oracle Data Mining管理者ガイド』に記載されています。

Oracle Database 10gで個別にインストールしたデータベース・オプションのOracle Data Miningスコアリング・エンジン・オプションは、Oracle Database 11gでは使用できません。Oracle Data Miningスコアリング・エンジン・オプションのすべての機能は、データ・マイニング・オプションで提供されます。

以前Oracle Data MiningでサポートされていたBasic Local Alignment Search Tool (BLAST)は、Oracle 11gでは使用できません。

5.15 Oracle Internet Directory

Oracle Internet Directory製品は、Oracle Application Serverにのみ付属しています。Oracle Database 11gリリース1 (11.1)製品には付属していません。ただし、Oracle Net Services、Oracle Advanced Securityの機能がOracle Internet Directoryを使用することがあるため、ここにOracle Internet Directoryの情報を記載しています。Oracle Internet Directoryの管理アクティビティの多くは、1つのツールOracle Internet Directory Configuration Assistant (OIDCA)に統合されました。OIDCAは、次の条件でエンタープライズ・ユーザー・セキュリティおよびNetwork Names機能と併用してください。

  1. エンタープライズ・ユーザー・セキュリティ

    • エンタープライズ・ユーザー・セキュリティは、リリース11.2.0.1のアイデンティティ管理レルムでのみ動作します。以前のリリースで使用していたOracleコンテキストは、OIDCAツールを使用してアイデンティティ管理レルムに変換する必要があります。

    • 使用環境でOracle Internet Directoryサーバーを検出するためのldap.ora構成ファイルを作成または更新する場合は、OIDCAを使用します。OIDCAを使用して作成した場合、ldap.oraは、LinuxおよびUNIXオペレーティング・システムではORACLE_HOME/ldap/adminディレクトリに、Windowsオペレーティング・システムではORACLE_HOME\ldap\adminディレクトリに配置されます。

  2. Network Names

    • Oracleコンテキストを作成、アップグレードおよび削除する場合は、OIDCAを使用します。

    • 初期のリリースのOracleコンテキストをアイデンティティ管理レルムに変換する場合は、OIDCAを使用します。

    • 使用環境でOracle Internet Directoryサーバーを検出するためのldap.ora構成ファイルを設定する場合は、OIDCAを使用します。

Oracle Internet Directoryを使用する際は、次の事項に注意してください。

5.15.1 Oracle Internet Directory Configuration Assistantの使用

Oracle Internet Directory Configuration Assistant (OIDCA)を使用すると、Oracleコンテキストの作成、アップグレードおよび削除、ldap.oraファイルの構成、およびOracleコンテキストからアイデンティティ管理レルムへの変換を実行できます。

OIDCAの構文は、次のとおりです。

oidca oidhost=host 
      nonsslport=port |
      sslport=SSL Port
      dn=binddn 
      pwd=bindpwd 
      propfile=properties file

OIDCAの使用方法を確認するには、コマンド・プロンプトにoidca -helpを入力してください。

5.15.2 Oracleコンテキストの作成

OIDCAでOracleコンテキストを作成するには、次の構文を使用します。各パラメータについては、後続の表を参照してください。

oidca oidhost=host
      nonsslport=port
      sslport=SSL Port
      dn=binddn
      pwd=bindpwd
      mode=CREATECTX 
      contextdn=OracleContext DN
パラメータ 説明
oidhost OIDサーバーのホスト(未指定の場合、デフォルトはlocalhostです)
nonsslport OIDサーバーのポート(未指定の場合、デフォルトは389です)
sslport OID SSLポート(未指定の場合、デフォルトは636です)
dn OIDユーザー(cn=orcladminのように指定します)
pwd OIDユーザー・パスワード
mode OIDCAのモード(CREATECTXに設定します)
contextdn OracleContextを作成する必要があるDN (dc=acmedc=comのように指定します)

次の点に注意してください。

  • この操作を正常に実行するには、contextdnが必要です。

  • OIDには、有効なDN"cn=oraclecontext,dc=acme, dc=com"を指定しないでください。

  • OIDには、有効なDN"dc=acme,dc=com"が必要です。

  • modeおよびcontextdnパラメータは、プロパティ・ファイルとして渡すこともできます。

  • 非SSLモードで操作を実行する場合は、パラメータnonsslport=portを指定します。

  • SSLモードで操作を実行する場合は、パラメータsslport=sslportを指定します。

  • nonsslportまたはsslportパラメータのいずれかを指定する必要があります(ただし、両方は指定しないでください)。

機能

  1. OIDCAは、contextdnに有効なDN構文があり、Oracle Internet Directoryにエントリがあることを検証します。OIDCAでは、ルートOracleContextを明示的に作成できないことに注意してください。ルートOracleコンテキストがない場合、OIDCAはエラーで終了します。

  2. DNがある場合は、Oracleコンテキストの存在が検証されます。

    • 最新のOracleコンテキストがすでに存在している場合は、「Oracle Context already exists and is up to date」のメッセージが出力され、OIDCAが終了します。

    • 古いバージョンのOracleコンテキストがすでに存在している場合は、「Oracle Context already exists and is of an older version」のメッセージが出力され、OIDCAが終了します。

    • Oracleコンテキストがない場合は、このDNにOracleコンテキストが作成されます。

5.15.3 Oracleコンテキストのアップグレード

OracleContextインスタンスをアップグレードするには、次の構文を使用します。各パラメータについては、後続の表を参照してください。

oidca oidhost=host
      nonsslport=port 
      sslport=SSL Port 
      dn=binddn
      pwd=bindpwd
      mode=UPGRADECTX
      contextdn=OracleContext DN
パラメータ 説明
oidhost OIDサーバーのホスト(未指定の場合、デフォルトはlocalhostです)
nonsslport OIDサーバーのポート(未指定の場合、デフォルトは389です)
sslport OID SSLポート(未指定の場合、デフォルトは636です)
dn OIDユーザー(cn=orcladminのように指定します)
pwd OIDユーザー・パスワード
mode OIDCAのモード(常にUPGRADECTXに設定します)
contextdn OracleContextを作成する必要があるDN (dc=acmedc=comのように指定します)

次の点に注意してください。

  • この操作を正常に実行するには、contextdnOracleContextが含まれている必要があります。

  • "cn=oraclecontext,dc=acme,dc=com"および"dc=acme,dc=com"のDNは、両方とも有効です。

  • modeおよびcontextdnパラメータは、プロパティ・ファイルとして渡すこともできます。

  • 非SSLモードで操作を実行する場合は、パラメータnonsslport=portを指定します。

  • SSLモードで操作を実行する場合は、パラメータsslport=sslportを指定します。

  • nonsslportまたはsslportパラメータのいずれかを指定する必要があります(ただし、両方は指定しないでください)。

機能

  1. OIDCAは、contextdnに有効なDN構文があり、Oracle Internet DirectoryにOracleContextがあることを検証します。OIDCAでは、ルートOracleContextを明示的にアップグレードできません。ルートOracleContextがない場合は、エラー・メッセージが送信されます。

  2. contextdnOracleContextがある場合は、次の操作が実行されます。

    • OracleContextがレルムに属しているかどうかが検証され、適切なメッセージが出力されてOIDCAが終了します。レルムに属しているOracleContextインスタンスは、アップグレードできないことに注意してください。

    • OracleContextが最新であることが確認された場合は、「Oracle Context already exists and is up to date」のメッセージが出力され、OIDCAが終了します。

    • OracleContextが最新でない場合は、このDNでOracleContextがアップグレードされます。

5.15.4 Oracleコンテキストの削除

OracleContextを削除するには、次の構文を使用します。各パラメータについては、後続の表を参照してください。

oidca oidhost=host
      nonsslport=port
      sslport=SSL Port
      dn=binddn
      pwd=bindpwd
      mode=DELETECTX
      contextdn=OracleContext DN
パラメータ 説明
oidhost OIDサーバーのホスト(未指定の場合、デフォルトはlocalhostです)
nonsslport OIDサーバーのポート(未指定の場合、デフォルトは389です)
sslport OID SSLポート(未指定の場合、デフォルトは636です)
dn OIDユーザー(cn=orcladminのように指定します)
pwd OIDユーザー・パスワード
mode OIDCAのモード(常にDELETECTXに設定します)
contextdn OracleContextを作成する必要があるDN (dc=acmedc=comのように指定します)

次の点に注意してください。

  • この操作を正常に実行するには、contextdnOracleContextが含まれている必要があります。

  • "cn=oraclecontext, dc=acme,dc=com"および"dc=acme,dc=com"のDNは、両方とも有効です。

  • modeおよびcontextdnパラメータは、プロパティ・ファイルとして渡すこともできます。

  • 非SSLモードで操作を実行する場合は、パラメータnonsslport=portを指定します。

  • SSLモードで操作を実行する場合は、パラメータsslport=sslportを指定します。

  • nonsslportまたはsslportパラメータのいずれかを指定する必要があります(ただし、両方は指定しないでください)。

機能

  1. OIDCAは、contextdnに有効なDN構文があり、Oracle Internet DirectoryにOracleContextがあることを検証します。

  2. contextdnOracleContextがある場合は、次の操作が実行されます。

    • OracleContextがレルムに属しているかどうかが検証され、適切なメッセージが出力されてOIDCAが終了します。レルムに属しているOracleContextインスタンスは、削除できないことに注意してください。

    • OracleContextは、レルムに属していない場合は削除されます。

5.15.5 ldap.oraファイルの構成

ldap.oraファイルを構成するには、次の構文を使用します。各パラメータについては、後続の表を参照してください。

oidca oidhost=host
      nonsslport=port
      sslport=SSL Port
      adminctx=Administrative context
      mode=LDAPORA  
      dirtype=OID or AD
      -update
パラメータ 説明
oidhost OIDサーバーのホスト(未指定の場合、デフォルトはlocalhostです)。
nonsslport OIDサーバーのポート(検出APIを使用して判断されます)。
sslport OIDのSSLポート(検出APIを使用して判断されます)。
mode OIDCAのモード(常にLDAPORAに設定します)。
dirtype ディレクトリ・タイプ(可能な値はOIDおよびADで、必須属性です)。
adminctx デフォルトの管理コンテキスト(dc=acme,dc=comのように指定します)。未指定の場合は、検出APIを使用して判断されます。
-update このフラグを指定すると、既存のldap.oraが上書きされ、このフラグを指定しないと、ldap.oraは、存在していない場合のみ作成されます。

次の点に注意してください。

  • 非SSLまたはSSLのいずれかのポートを指定する必要があります。その他のポートは検出されます。

  • modedirtypeおよびadminctxパラメータは、プロパティ・ファイルとして渡すこともできます。

機能

  1. 検出APIを使用して、コマンドラインに指定されていないパラメータすべてが判断されます。

  2. 検出APIを使用して、ldap.oraの位置が検証されます。

    • ldap.oraがあり、-updateパラメータが指定されていない場合は、「ldap.ora exists」のメッセージが出力され、OIDCAが終了します。

    • ldap.oraがあり、-updateパラメータが指定されていない場合は、検出APIを使用して既存のldap.oraが更新されます。

    • ldap.oraが存在しない場合は、次の順序で適切な位置に新しいldap.oraファイルが作成されます。

      LDAP_ADMIN
      ORACLE_HOME/ldap/admin
      

5.15.6 Oracleコンテキストからアイデンティティ管理レルムへの変換

Oracle Database 10gのエントリは、Oracle Internet Directoryリリース9.0.4サーバーに格納する必要があります。エンタープライズ・ユーザー・セキュリティ(Oracle Database 10gの機能)にも、リリース9.0.4のアイデンティティ管理レルムが必要です。

既存のOracleContextをアイデンティティ管理レルムに変換するには、次の構文を使用します。各パラメータについては、後続の表を参照してください。ルートOracleContextオブジェクトは変換されないことに注意してください。

oidca oidhost=host
      nonsslport=port
      sslport=SSL Port
      dn=binddn
      pwd=bindpwd
      mode=CTXTOIMR
      contextdn=OracleContext DN
パラメータ 説明
oidhost OIDサーバーのホスト(デフォルトはlocalhostです)
nonsslport OIDサーバーのポート(デフォルトは389です)
sslport OIDのSSLポート(デフォルトは636です)
dn OIDユーザー(cn=orcladminのように指定します)
pwd OIDユーザー・パスワード
mode OIDCAのモード(常にCTXTOIMRに設定します)
contextdn OracleContextを作成する必要があるDN (dc=acmedc=comのように指定します)

次の点に注意してください。

  • 指定したcontextdnOracleContextが存在している必要があります。

  • "cn=oraclecontext, dc=acme,dc=com"および"dc=acme, dc=com"のDNは、両方とも有効です。

  • modeおよびcontextdnパラメータは、プロパティ・ファイルとして渡すこともできます。

  • 非SSLモードで操作を実行する場合は、パラメータnonsslport=portを指定します。

  • SSLモードで操作を実行する場合は、パラメータsslport=sslportを指定します。

  • nonsslportまたはsslportパラメータのいずれかを指定する必要があります(ただし、両方は指定しないでください)。

機能

  1. OIDCAは、contextdnのDN構文が正しいこと、および有効なOracleContextが含まれていることを検証します。

  2. contextdn,OracleContextがある場合は次の操作が実行されます。

    • OracleContextがレルムに属しているかどうかが検証されます。属している場合は、適切なエラー・メッセージが出力され、OIDCAが終了します。

    • OracleContextがレルムに属していない場合は、コンテキストが最新バージョンにアップグレードされてレルムに変換されます。

注意(補足):

  • ニックネーム属性がcnでない場合は、Oracle Internet Directoryセルフ・サービス・コンソールを使用して、この属性をユーザー構成属性として構成してください。

  • Oracle Internet Directoryセルフ・サービス・コンソールを使用して、変換されたレルムのユーザーおよびグループを管理する場合は、適切な管理権限を設定する必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』を参照してください。

5.16 Oracle Multimedia

Oracle interMediaの名称が、Oracle Database 11gリリース1 (11.1)でOracle Multimediaに変更されました。機能は同じで、名称のみが変更されました。Oracle interMediaへの参照はOracle Multimediaに置き換えられますが、Oracle interMediaやinterMediaへの参照が、グラフィカル・ユーザー・インタフェース、コード・サンプル、および11gリリース2 (11.2)のOracle Databaseドキュメント・ライブラリの関連ドキュメントに一部残っている場合があります。

その他の情報は、次のOracle MultimediaのREADMEファイルを参照してください。

ORACLE_HOME/ord/im/admin/README.txt

5.17 Oracle Net Services

Oracle Databaseでは、インターネット・プロトコル・バージョン6 (IPv6)のアドレッシングおよび接続性のサポートが制限されます。詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

5.18 Oracle Real Application Clusters

Oracle RACを使用する際は、次の事項に注意してください。

5.18.1 OracleホームでのNFSからローカル・ノードへのORADISMの移動

Oracle RACデータベースをNFSデバイス上の共有Oracleホームにインストールする場合、ORADISMバイナリ(oradism)を各ノード上のローカル・ディレクトリにコピーする必要があります(Oracle Bug#6522385および#6525377を参照)。

NFSでOracle ClusterwareおよびOracle RACをインストールすると、この問題が必ず発生します。詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Linux』を参照してください。

oradismを移動するには、次の手順を実行します。

  1. ORACLE_HOME/bin/oradismバイナリをすべてのクラスタ・ノード上の同一のディレクトリ・パスにコピーします。パス(手順2の例の/u01/local/binなど)はローカルで、NFSではない必要があります。次に例を示します。

    cp -a ORACLE_HOME/bin/oradism/u01/local/bin
    
  2. 次のコマンドをrootユーザーとして実行して、oradism実行可能ファイルの所有権と権限を設定します。

    $ chown root /u01/local/bin/oradism
    $ chmod 4750 /u01/local/bin/oradism
    
  3. NFS共有ホームからローカルのoradismディレクトリ・パスへのシンボリック・リンクを作成します。作成する必要があるのは1つのノードに対してのみです。これで各ノードは、共有Oracleホームからsymlinkを使用してそのノード独自のoradismを参照できます。次に例を示します。

    $ cd /nfs/app/oracle/product/11.2.0/db_1/bin
    $ rm -f oradism
    $ ln -s /u01/local/bin/oradism oradism
    
  4. OracleホームがOracle Databaseホーム・ディレクトリの場合は、extjobjssunmbnmhsnmoなどの他のバイナリに対して手順1から3を繰り返します。OracleホームがOracle Grid Infrastructureホーム・ディレクトリの場合は、この手順を実行する必要はありません。

5.18.2 サーバー・プールの作成


注意:

デフォルトでは、名前付きユーザーは誰でもサーバー・プールを作成できます。この権限を持つオペレーティング・システム・ユーザーを制限するために、特定のユーザーをCRS管理者リストに追加することをお薦めします。

CRS管理者リストへのユーザーの追加の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。


ポリシー管理型のOracle RACデータベースを使用する場合は、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールの直後に、ユーザー定義の初期サーバー・プールを作成します。Gridソフトウェアの所有者として、Grid_home/binのパスにある次のSRVCTLコマンドを使用します。

srvctl add srvpool -g srvpool_name -u max

5.18.3 クラスタ内のノードの追加

ポリシー管理型データベースを実行しているクラスタ内でノードを追加する場合、Oracle Clusterwareは、クローニング・プロシージャが完了する前に新しいインスタンスを起動しようとします。ノードを追加するには、次の手順を使用してください。

  1. 新しいノードを追加するには、クラスタ用Oracle Grid InfrastructureでaddNodeを実行します。rootスクリプトを実行するように求められても、ここでは実行しないでください(rootスクリプトは後で実行します)。

  2. ソフトウェアのみのインストールを使用して、Oracle RACデータベース・ソフトウェアをインストールします。OracleがOracle RACオプションでリンクされていることを確認します。

  3. データベース・ホームでrootスクリプト・アクションを実行します。

  4. Oracle Clusterwareホームでrootスクリプト・アクションを実行し、インストールを終了します。

5.19 クラスタ用Oracle Grid Infrastructure

Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を使用する場合は、次の事項に注意してください。これらは、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールを使用してインストールされます。

5.19.1 ホスト名の変更

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールを完了した後は、ホスト名を変更しないでください。ホスト名を変更したノードはクラスタから削除し、新しい名前で追加する必要があります。

5.19.2 異なるキャラクタ・セットを使用するためのNLS_LANGの変更

NLS_LANGパラメータは、Oracle Cluster Registry (OCR)からではなく、環境から読み込まれるようになりました(Oracle Bug#8258489を参照)。次の手順では、NLS_LANGの変更方法について説明します。

  1. すべてのノードで、次のコマンドを実行します。

    crsctl stop crs
    
  2. すべてのノードで、Grid_home/crs/install/s_crsconfig_hostname_env.txtを編集し、LANGUAGE_IDパラメータを適切な値に設定します。次に例を示します。

    LANGUAGE_ID='JAPANESE_JAPAN.JA16EUC'
    
  3. すべてのノードで、次のコマンドを実行します。

    crsctl start crs
    

5.19.3 Oracle Clusterwareのローリング・アップグレードの要件

Cluster Ready Services (CRS)をリリース10.2.0.1または10.2.0.2からリリース11.2にアップグレードする場合、CRSのローリング・アップグレードには追加の手順が必要です(Oracle Bug#5198903を参照)。ローリング・アップグレードを正常に完了するには、次の手順を実行します。

  1. Cluster Ready Services (CRSホーム)をリリース10.2.0.3、またはCRSバンドル・パッチ#2を適用済の10.2.0.2にアップグレードします(Oracle Bug#5256865を参照)。

  2. CRSをリリース10.2.0.3からリリース11.2にアップグレードします。

手順1および2におけるCRSのそれぞれのアップグレードがローリング・アップグレードです。そのため、これらのアップグレードではクラスタを停止する必要はありません。また、Oracle Clusterware 11gリリース2(11.2)にはインプレース・アップグレードを実行できないことにも注意してください。

10.1.0.2から11.2へのローリング・アップグレードにも類似の要件があります(Oracle Bug#5860479を参照)。10.1.0.2からのCRSのローリング・アップグレードを正常に実行するには、次の手順を実行します。

  1. CRS (CRSホーム)をリリース10.1.0.5にアップグレードします。

  2. CRSをリリース10.1.0.5からリリース11.2にアップグレードします。

手順1および2におけるCRSのアップグレードがローリング・アップグレードであるため、クラスタを停止する必要はありません。これは、Oracle RACのみの問題です。

5.19.4 OCRの場所を利用できないエラー

Oracle Cluster Registry (OCR)の1つ以上の場所がunavailableとマークされている場合、次のコマンドは動作しません(Oracle Bug#8608734を参照)。

ocrconfig -add new_ocr_location

回避策は、新しいOCRの場所を追加する前に、次のコマンドを使用してunavailableとマークされている場所を削除することです。

ocrconfig -delete unavailable_ocr_location

5.19.5 指定されたリモート・ノードの不適切なステータス

CRSCTLコマンドに-n nodename ora -allを指定すると、リモート・ノードのステータスが正しくなくなります(Oracle Bug#8655571を参照)。かわりに、ノードがunknownであるというメッセージが表示されます。ノードにログインすることで、コマンドを実行できます。ノードを再起動すると、問題は解決します。

5.19.6 Oracle ACFSおよびOracle Clusterware Stackの停止

Oracle Clusterwareを停止しようとすると、選択したノードでOracle Clusterwareスタックが正常に停止しなかったとレポートされる場合があります(Oracle Bug#8703150および#8651848を参照)。データベース・ホームがOracle ACFSにある場合は、次のエラーが表示されることがあります。

CRS-5014: Agent orarootagent.bin timed out starting process acfsmount for action

このエラーは無視しても問題ありません。

また、Oracle ACFSリソースを停止できないため、選択したノードでOracle Clusterwareスタックが正常に停止しなかったとレポートされる場合もあります。このエラーが発生した場合は、次の手順を実行します。

  • プログラムまたはプロセスを停止し、Oracle ACFSマウント・ポイントに対するすべてのファイル・システムのアクティビティが停止していることを確認し、停止操作を再試行します。

  • ora.registry.acfsリソース・チェック機能がタイムアウトした場合や、リソースがUNKNOWNまたはINTERMEDIATEの状態を示した場合は、Oracle Cluster Registry (OCR)にアクセスできない可能性があります。この原因に共通するのはネットワーク障害です。acfsutil registryコマンドおよびocrcheckコマンドにより、特定のエラーの原因が明確になる場合があります。このエラーを解決し、Oracle Clusterwareの停止を再試行してください。

5.19.7 Oracle Enterprise Manager Database Controlを使用したsudoコマンドおよびクラスタ管理

Oracle Enterprise Manager Database Controlを使用してクラスタにノードを追加したり、クラスタからノードを削除したりする際に、これらの操作を個別のスクリプトを実行せずに行う場合は、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール・ソフトウェアの所有者のアカウントに、パスワードなしのsudoアクセス権を設定する必要があります(Oracle Bug#8489482を参照)。

パスワードなしのsudoを設定しない場合は、rootとして端末にログインしてから、root権限が必要なコマンドを実行するように、Oracle Enterprise Manager Database Controlのデプロイメント・プロシージャから指示されます。これらのコマンドを実行すると、Oracle Enterprise Manager Database Controlのデプロイメント・プロシージャの実行を続行できます。

5.20 Oracle ODBC Driver

Oracle ODBC DriverのREADMEについては、「Oracle ODBC Driver README」を参照してください。

ORACLE_HOME/odbc/html/ODBCRelnotesUS.htm 

5.21 Oracle OLAP

Oracle OLAPを使用する際は、次の事項に注意してください。

  1. 32ビット・バージョンから64ビット・バージョンへのアップグレードで、かつOLAPオプションを使用している場合は、追加手順について、My Oracle Support (https://support.oracle.com)のノート352306.1を参照してください(Oracle Bug#4966492を参照)。

  2. SQL集計管理とは、既存のリレーショナル・マテリアライズド・ビューからキューブ・マテリアライズド・ビューの迅速なデプロイをサポートする、DBMS_CUBEのPL/SQLサブプログラムのグループです。キューブ・マテリアライズド・ビューとは、Oracle Databaseの自動リフレッシュおよびクエリー・リライト機能を使用できるように拡張されたキューブです。単一のキューブ・マテリアライズド・ビューでは、ファクト表上にあるサマリーの多数のリレーショナル・マテリアライズド・ビューを置き換えることができるため、すべてのサマリー・データへのレスポンス時間を均一にできます。

    キューブ・マテリアライズド・ビューの作成プロセスでは、DBMS_CUBEによって、キューブおよびキューブ・ディメンションを含む、フル機能のアナリティック・ワークスペースも作成されます。キューブには、リレーショナル・マテリアライズド・ビューのデータを格納する表ではなく、キューブ・マテリアライズド・ビューのデータが格納されます。キューブでは、豊富な情報のコンテンツのデータベースを拡張する様々な分析関数もサポートできます。

  3. PL/SQLパッケージの新しいDBMS_CUBE_LOGでは、ロギングの拡張機能が提供され、4種類のログが用意されています。Analytic Workspace Managerでは、ユーザーおよびデータベース管理者の両方で、アナリティック・ワークスペース・ビルドの進行状況の表示(CUBE_BUILD_LOG)、ロード・エラーの検出(CUBE_REJECTED_RECORDS)、ディメンション階層の妥当性のチェック(CUBE_DIMENSION_COMPILE)、およびOLAPエンジン・イベントの追跡(CUBE_OPERATIONS_LOG)が可能です。

  4. データベースの組込み機能であるOLAPオプションは、Oracle Database Enterprise Editionとともに自動的にインストールされます。OLAPオプションを使用するデータベースをインストールする場合は、デフォルトの初期化パラメータに最適なデータ・ウェアハウス構成タイプを選択します。

  5. Analytic Workspace Manager 11.2.0は、Oracle Database 11gリリース2(11.2)をOracle Database 10gまたはOracle Database 11gの互換性モードで実行する場合に使用してください。Oracle Database 10g形式のアナリティック・ワークスペースは、新しいアナリティック・ワークスペースの作成時にOracle Database 10gのキューブ・タイプを選択することで作成できます。

  6. Oracle Database 11gリリース2(11.2)のデータベース・インスタンスで10g形式のアナリティック・ワークスペースに接続しているOLAP 10gクライアントでは、OLAP APIのバージョンを11.2.0にアップグレードするだけでなく、Javaのバージョンを1.5にアップグレードする必要があります。

  7. Oracle Business Intelligence Beans 10gおよびOracle Discoverer for OLAP 10gは、Oracle Database 11gの10g形式のアナリティック・ワークスペースで使用できます。これらは、11g形式のアナリティック・ワークスペースでは使用できません。OLAP APIクライアントのJARをアップグレードするには、Intelligence BeansまたはDiscoverer (あるいはその両方)のJARファイルの前に、これらの新しいJARをJavaクラスの検索リストに含めます。

  8. OLAPSYSスキーマおよびそのスキーマ内に含まれているCWMメタデータは、Oracle Database 11gリリース2(11.2)で非推奨になりました。OLAP APIでは、データ・ディクショナリ・メタデータを使用したリレーショナル表(ROLAPモード)の問合せが可能です。詳細は、My Oracle Supportのノート445311.1 (https://support.oracle.com)を参照してください。

5.22 Oracle Spatial

Oracle SpatialのREADMEファイルには、『Oracle Spatial開発者ガイド』『Oracle Spatialトポロジおよびネットワーク・データ・モデル開発者ガイド』および『Oracle Spatial GeoRaster開発者ガイド』の補足情報が含まれています。Oracle SpatialのREADMEについては、「Oracle Spatial README」を参照してください。

ORACLE_HOME/md/doc/README.txt

5.23 Oracle SQL Developer

Oracle SQL DeveloperのREADMEについては、「Oracle SQL Developer README」を参照してください。

ORACLE_HOME/sqldeveloper/readme.html

5.24 Oracle Text

Oracle Textを使用する際は、次の事項に注意してください。また、「ドキュメントの追加事項」の『Oracle Textアプリケーション開発者ガイド』の記述も確認してください。

5.24.1 問合せ互換構文の値

『Oracle Textリファレンス』の第6章「CTX_CLSパッケージ」の問合せ互換構文に関する項には、doc_id列はNUMBERであると記載されています。これは正しいのですが、この列の値は0-4294967295の範囲である必要があります。値は、符号なしの32ビット値で格納する必要があります。この範囲は、catidcatdocidおよびrescatidにも関連します。

5.24.2 Oracle Textが提供するナレッジ・ベース

Oracle Textのナレッジ・ベースは、テーマの索引付け、ABOUT問合せ、およびドキュメント・サービスのテーマを導出するために使用する概念の階層ツリーです。次のOracle Textサービスでは、ナレッジ・ベースがインストールされていることが必要です。

  • INDEX_THEMES=YESの場合、BASIC_LEXERプリファレンスを使用した索引作成

  • INDEX_THEMES=YESの場合、索引に対するSYNCの実行

  • CTX_DOC.THEME

  • CTX_DOC.POLICY_THEME

  • CTX_DOC.GIST

  • CTX_DOC.POLICY_GIST

  • CTX_QUERY.HFEEDBACK

  • CTX_QUERY.EXPLAIN (TRANSFORMを指定したABOUTまたはTHEMESを使用する場合)

  • CTX_DOC.SNIPPET (ABOUT演算子を使用する場合)

  • CTX_DOC.POLICY_SNIPPET (ABOUT演算子を使用する場合)

  • TRANSFORMを指定したABOUTまたはTHEMESを使用するCONTAINS問合せ

  • ナレッジ・ベース拡張コンパイラ(ctxkbtc)

  • テーマが指定されている場合のクラスタリング・サービスと分類サービス

これらのOracle Text機能を使用するには、OTNからダウンロードできるOracle Database Examplesメディアから、ナレッジ・ベース(英語およびフランス語)をインストールする必要があります。

提供されているナレッジ・ベースを拡張したり、英語やフランス語以外の言語で独自のナレッジ・ベースを作成できます。ナレッジ・ベースの作成と拡張の詳細は、『Oracle Textリファレンス』を参照してください。

Oracle Database Examplesメディアから製品をインストールする方法については、プラットフォーム固有のOracle Database Examplesのインストレーション・ガイドを参照してください。

提供されるナレッジ・ベースとアップグレード

提供されるナレッジ・ベースはOracle Database Examplesメディアに含まれているため、Oracle Database 11gリリース1 (11.1)にアップグレードした直後は使用できません。アップグレード前のナレッジ・ベースに基づくOracle Text機能は、アップグレード後に機能しなくなるため、提供されるナレッジ・ベースをOracle Database Examplesメディアからインストールする必要があります。

アップグレード後は、提供されるナレッジ・ベースに対してすべてのユーザー拡張機能を再生成する必要があります。これらの変更は、指定のORACLE_HOMEにインストールされているすべてのデータベースに影響を与えます。

Oracle Textのアップグレードと提供されるナレッジ・ベースの詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』の第4章「データベースのアップグレード後」にあるOracle Textのアップグレードに関する項を参照してください。また、『Oracle Textアプリケーション開発者ガイド』には、Oracle Textを以前のリリースからアップグレードする一般的な方法、および提供されるナレッジ・ベースに関する情報が記載されています。

5.24.3 ドキュメントのフィルタ処理のサポート

バージョン11.1.0.7から、Oracle Textではドキュメントのフィルタ処理に、Autonomy, Inc.からライセンス供与されたフィルタ処理テクノロジではなく、Oracle Outside In HTML Exportを使用しています。Oracle Outside In HTML Exportに移行することで、複数のドキュメント形式はサポートされなくなりました。フィルタ・サポートのドキュメント形式のすべてのリストおよび11.1.0.7でサポートされなくなった形式のリストについては、『Oracle Textリファレンス』の付録Bを参照してください。

5.24.4 URLデータストアおよびファイル・データストア

FILE_ACCESS_ROLEのデフォルト動作の変更(第5.4.3項「FILE_ACCESS_ROLEのデフォルト動作の変更」を参照)では、FILE_ACCESS_ROLEパラメータがNULLに設定されている場合に、FILEまたはURLデータストアを使用してOracle Textの新しい索引または既存の索引に対して索引付け操作を実行すると失敗します(Oracle Bug#8360111を参照)。

5.25 Oracle Ultra Search

Oracle Ultra Searchは非推奨になっています。Ultra Searchには新機能は実装されておらず、今後はOracle製品セットの機能の一部として同梱されません。2006年3月に、オラクル社はOracle Secure Enterprise Search (SES)を発売しました。Oracle SESは、Ultra Search用に開発されたテクノロジで作成された、より高速でより安全な製品です。Ultra Searchを使用しているユーザーには、Oracle SESに移行することを強くお薦めします。


関連項目:

Oracle Technology NetworkのOracle Secure Enterprise Searchのページは次のとおりです。

http://www.oracle.com/technology/products/oses/index.html


5.26 Oracle Warehouse Builder

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)のOracle Warehouse Builder (OWB)の詳細は、『Oracle Warehouse Builderリリース・ノート』参照してください。

5.26.1 OWB 11.2で使用するための既存のWarehouse Builder ETLデザインのアップグレード

『Oracle Warehouse Builderインストレーションおよび管理ガイド』の第6章「Oracle Warehouse Builderの以前のリリースからの移行」に記載されているとおり、Oracle Warehouse Builderを10gリリース2(10.2)より前のバージョンから移行するには、最初に、Oracle Warehouse Builder 10gリリース2(10.2)またはOracle Warehouse Builder 11gリリース1(11.1)にアップグレードする必要があります。次に、リポジトリをOracle Warehouse Builder 11gリリース2(11.2)にアップグレードします。

ただし、リポジトリ全体のアップグレード・プロセスが必要なのは、ETLマッピングおよびプロセス・フローをデプロイしたときや、実行結果などのランタイム・メタデータを保持する場合のみです。

OWBのデザインを以前のリリースからOWB 11gR2に移行することが目的で、以前のリポジトリのデプロイメントおよび実行履歴が必要ない場合は、リポジトリ全体をアップグレードする必要はありません。特に、OWB 10.1以前からのアップグレードの場合は、デザインタイム・メタデータのみを移行するほうが簡単です。

既存のデザインをOWB 11gR2に移行するには、次の手順を実行します。

  1. 以前のリリースの各プロジェクトをMDLとしてエクスポートします。

  2. MDLをOWB 11gR2のワークスペースにインポートします。

  3. 新しい環境と一致するように場所をアップグレードします。

5.27 Oracle Workflow

Oracle Workflowは、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)には同梱されていません。

5.28 Oracle XML DB

Oracle XML DBを使用する際は、次の事項に注意してください。

  • Oracle XML DBでは、圧縮はサポートされていません。

  • 階層を有効にしたXMLType表では、トランスポータブル表領域機能はサポートされていません。

5.28.1 xdb:defaultTable注釈のセマンティクスの変更

11.2では、Oracle XML DBスキーマの登録中のxdb:defaultTable注釈のセマンティクスの動作が11.1から変更されています(Oracle Bug#7646934を参照)。xdb:sqlInline="false"を指定せずにxdb:defaultTable="MY_TAB"を指定すると、Oracle XML DBによって必要に応じて表が作成され、表外として暗黙的にマークされます。この動作は、sqlInline設定がない場合にdefaultTable注釈が無視される11.1と異なります。

5.28.2 VARRAY記憶域のデフォルト値の変更

Oracle Database 11gリリース1 (11.1)では、XMLTypeオブジェクトリレーショナルの記憶域で、xdb:storeVarrayAsTableのデフォルト値がFALSE からTRUEに変更されています。このデフォルト値はデフォルト表に適用されますが、スキーマ登録後のXMLTypeオブジェクトリレーショナルの表および列の作成時には適用されません(Oracle Bug#6858659を参照)。Oracle Database 11gリリース2 (11.2)では、デフォルトですべてのVARRAYデータ要素が表として作成されます。これにより、問合せ時のパフォーマンスが大幅に向上します。また、次の点にも注意してください。

  • 11.2より前に作成された表はこの影響を受けません。アップグレード・プロセスによって記憶域パラメータが保持されます。これは、11.2以降で作成される表に適用されます。

  • VARRAYデータ要素のサイズが小さく、すべてのVARRAYを一度に読取りおよび書込みする場合は、11.2より前のVARRAY記憶域のデフォルト値をLOBとして保持できます。11.2より前の動作に戻すには、2つのオプションがあります。

    • xdb:storeVarrayAsTable=FALSEでスキーマを再登録します。これにより、デフォルトおよびデフォルト以外の表に適用されます。

    • 表(デフォルト以外の表)を作成する場合は、STORE ALL VARRAYS AS LOBS句を使用して、XMLTypeのすべてのVARRAYデータ要素のデフォルト値を指定の値で優先できます。この句は、表の作成時にのみ使用できます。この句では、スキーマの登録時にtable_propsを使用すると、エラーが返されます。

  • 11.2より前に登録されたスキーマ(VARRAYデータ要素のデフォルトの記憶域がLOBの場合)では、STORE ALL VARRAYS AS TABLES句を使用して、XMLTypeのすべてのVARRAYデータ要素のデフォルト値を指定の値で優先できます。

5.29 PL/SQL

PL/SQLを使用する際は、次の事項に注意してください。

5.29.1 デフォルトの変更による保護データベース

DBMS_RANDOM PL/SQLパッケージのPUBLIC EXECUTE権限は、将来のOracle Databaseリリースで非推奨になります(Oracle Bug#7591837を参照)。このPL/SQLパッケージを実行する必要がある場合は、明示的なEXECUTE権限を指定してください。

5.29.2 失効したネイティブ・コード・ファイルがキャッシュされている場合

ネイティブにコンパイルされたPL/SQLおよびOracle JVMのJITコンパイラによって生成されたネイティブ・コードは、オペレーティング・システム・ファイルにキャッシュされる場合があります。SHUTDOWN ABORTコマンドおよびSHUTDOWN IMMEDIATEコマンドでは、キャッシュされたこれらのネイティブ・コード・ファイルをクリーンアップしません(Oracle Bug#8527383を参照)。

キャッシュ内で失効したファイルが原因の問題を回避するには、データベース・インスタンスを再起動する前に、ファイルをクリーンアップします。インスタンスに属する失効したファイルは名前で識別できます。名前のパターンは次のとおりです(sid_nameがシステム識別子の名前です)。

JOXSHM_EXT_*_sid_name_*
PESHM_EXT_*_sid_name_*
PESLD_sid_name_*

失効したファイルは、起動スクリプトの一部として削除することをお薦めします。たとえば、csh起動スクリプトに名前別に渡されるインスタンスで失効したファイルをクリーンアップするには(Linuxの場合)、起動スクリプトに次の3行を追加します。

rm JOXSHM_EXT_*_$1_*
rm PESHM_EXT_*_$1_*
rm PESLD_$1_*

ネイティブ・キャッシュの場所は、プラットフォームによって異なります。この場所は、そのプラットフォームでshm_openリクエストを実装するためにオペレーティング・システムで作成されるファイルの場所で定義されます。たとえば、Solarisでは共有メモリー・セグメントが/var/tmp/.SHMDおよび/tmp/.SHMDに格納されます。Linuxでは、/dev/shmに格納されます。

5.29.3 DBMS_SCHEDULER PL/SQLパッケージ

DBMS_SCHEDULER PL/SQLパッケージを使用する際は、次の事項に注意してください。

5.29.3.1 イベントに基づくジョブ

Oracle Schedulerは、イベントに基づくジョブをサポートしています。このジョブは、メッセージがデータベース・キューにエンキューされると開始します。この目的に使用されるデータベース・キューがセキュアなキューの場合、イベントに基づくジョブのQUEUE_SPEC属性とスケジュールは、queue_name, agent_name形式のペアです。エージェントの指定が必要な理由は、この指定によって、ユーザーに表示できるメッセージの判断をスケジューラが容易に行うことができるためです。セキュアではないキューの場合は、キューに対するデキュー権限があるユーザーが、そのキューにサブスクライブされるエージェントとしてデキューできます。これは、キュー内のすべてのメッセージを参照できることを意味します。セキュアなキューの場合、ユーザーには、キューのみでなくエージェントに対する権限も必要です。

キュー所有者は、デキュー権限の付与に加え、ユーザーが特定のエージェントとしてデキューできるようにdbms_aqadm.enable_db_access()をコールする必要があります。このエージェントは、ユーザーに表示する必要がないメッセージを除去するルールを使用して、キューにサブスクライブできます。

スケジューラは、独自のエージェントSCHEDULER$_EVENT_AGENTを使用して、すべてのキュー(セキュアまたはセキュアではない)を常にサブスクライブします。スケジューラはユーザーSYSで実行するため、キュー内のすべてのメッセージを参照できます。ただし、セキュアなキューの目的は、ユーザーによるキューへのアクセスに対して、キュー所有者がある種の制限を付加できることにあるため、セキュアなキューの場合はすべてのメッセージを参照できるようにしないでください。したがって、スケジューラにはQUEUE_SPEC属性にエージェント名が必要です。このエージェント名は、ユーザーが参照できるメッセージを判断する目的にのみ使用されます。スケジューラは、このエージェントとしてはメッセージをデキューしません。スケジューラは、セキュアなキューにメッセージが届いたことを示す通知を受信すると、そのキューに依存しているイベントに基づく各ジョブごとに、次のチェックを実行します。

  1. ジョブ所有者にキューに対するデキュー権限があるかどうかを確認します。

  2. ジョブ所有者がキュー仕様で提供されるエージェント名を使用できるかどうかを確認します。

  3. 現在、エージェントがキューにサブスクライブされているかどうかを確認します。

  4. 着信メッセージがエージェントに対して表示可能かどうかを確認します。

前述のすべてのチェックが成功すると、スケジューラはイベントに基づくジョブを起動します。チェックをパスしたかどうかに関係なく、メッセージはエージェントSCHEDULER$_EVENT_AGENTを使用してデキューされます。

QUEUE_SPEC属性にエージェントを指定する場合、ユーザーは、既存のエージェント名を指定するか、またはこのために新規作成したエージェント名を指定することができます。いずれの場合も、ユーザーまたはキュー所有者は、エージェントがメッセージを確実にデキューするようにする責任があります。

5.29.3.2 リモート・ジョブ

Oracle Schedulerは、リモート・ホストでのジョブの実行、およびリモート・ホストとのファイルの送受信をサポートしています。これを実行するには、『Oracle Database管理者ガイド』の第28章のリモートの外部ジョブの有効化および無効化に関する項で説明されている設定をすべて行う必要があります。この機能では、データベースでOracle XML DB HTTP Serverが有効化されている必要があります。

次のコマンドを使用して、Oracle XML DB HTTP Serverが有効化されているかどうかを確認できます。

SQL> SELECT DBMS_XDB.GETHTTPPORT() FROM DUAL;

この文で0が戻された場合は、SYSとしてログインして次のコマンドを発行し、ゼロ以外のポートでOracle XML DB HTTP Serverを有効化する必要があります。

SQL> EXEC DBMS_XDB.SETHTTPPORT (port);
SQL> COMMIT;

portは、使用するOracle XML DB HTTP Serverのポートで置き換えます。

5.29.4 UTL_TCP、UTL_HTTP、UTL_SMTP、UTL_MAILおよびUTL_INADDR PL/SQLパッケージ

11.2.0.1では、ネットワーク関連のPL/SQLパッケージであるUTL_TCPUTL_HTTPUTL_SMTPUTL_MAILおよびUTL_INADDRに新しいセキュリティ対策が導入されました。これらのパッケージを起動するには、外部ホストに接続するため、またはホストの名前やIPアドレスを解決するための追加の権限が必要です。実行時にコールが行われた場合にのみ、起動したユーザーに必要な権限があるかどうかがパッケージにより確認され、権限が不足している場合には例外が発生します。この新しいセキュリティ対策は、XML DBアクセス制御リスト(ACL)のメカニズムによって実装されるため、これらのパッケージを使用するにはOracle XML DBがインストールされている必要があります。

データベース・ユーザーが接続する必要のある外部ホスト、またはデータベースから名前やIPアドレスを解決する必要のある外部ホストは、それぞれアクセス制御リスト(ACL)によって制限されます。ユーザーにホストに対する権限を付与するには、データベース管理者がACLを作成し、ACLにそのユーザーの権限を追加して、ホストにそのACLを割り当て、DBMS_NETWORK_ACL_ADMIN PL/SQLパッケージを使用して変更をコミットする必要があります。たとえば、ユーザーSCOTTおよびADAMSにHTTP経由でwww.oracle.comに接続(具体的にはTCP/IPポート80に接続)する権限を付与するには、データベース管理者が次の内容を実行する必要があります。

SQL> REM Creates a new ACL and adds SCOTT the privilege to the ACL to make TCP connections
SQL> EXECUTE DBMS_NETWORK_ACL_ADMIN.CREATE_ACL('acl_for_oracle.xml', -
> 'ACL for www.oracle.com', 'SCOTT', TRUE, 'connect')

SQL> REM Adds ADAMS the privilege to the ACL to make TCP connections also
SQL> EXECUTE DBMS_NETWORK_ACL_ADMIN.ADD_PRIVILEGE('acl_for_oracle.xml', -
> 'ADAMS', TRUE, 'connect')

SQL> REM Assigns the new ACL to www.oracle.com for TCP/IP port 80 (HTTP)
SQL> EXECUTE DBMS_NETWORK_ACL_ADMIN.ASSIGN_ACL('acl_for_oracle.xml', -
> 'www.oracle.com', 80)

SQL> REM Commits to make the ACL take effect
SQL> COMMIT

UTL_TCPUTL_HTTPUTL_SMTPおよびUTL_MAILパッケージを起動するユーザーは、外部ホストにTCP/IP、HTTPまたはSMTP接続を確立するための'connect'権限を持っている必要があります。UTL_INADDRパッケージを起動するユーザーは、外部ホストの名前またはIPアドレスを解決するための'resolve'権限を持っている必要があります。これらの権限はGRANT SQL文ではなく、DBMS_NETWORK_ACL_ADMINパッケージを使用して付与することに注意してください。

外部ホストに対する現在のACL割当ておよび現在ACLに定義されている権限は、システム・カタログ・ビューDBA_NETWORK_ACLSおよびDBA_NETWORK_ACL_PRIVILEGESを使用して表示できます。

データベースからネットワーク操作を実行するためにこれらのPL/SQLパッケージを使用するその他のデータベース・コンポーネント(Oracle XML DB HttpUriType、Oracle MultimediaおよびOracle Spatial)を起動するユーザーは、同じネットワーク権限チェックの対象で、同一の権限が必要です。

5.29.5 DBMS_SQLパッケージ

Oracle Database 11gリリース1 (11.1)では、パッケージのセキュリティを強化するため、DBMS_SQLに多くの拡張が行われました。

  • オープン・カーソル数の推測の防止

    オープン・カーソルを指定しないカーソル番号を使用してDBMS_SQLのサブプログラムがコールされると、新しいエラーORA-29471が発生します。エラーが発生すると、アラート・ログにアラートが発行され、セッションが終了するまでDBMS_SQLが操作不能になります。

    IS_OPENに対するコールのカーソル番号の実際の値が、現在セッションでオープンされているカーソルを指定している場合、戻り値はTRUEになります。実際の値がNullの場合、戻り値はFALSEになります。それ以外の場合は、ORA-29471エラーが戻されます。

    カーソル番号の仮パラメータがないDBMS_SQLサブプログラムは、DBMS_SQL.OPEN_CURSORファンクションのみであることに注意してください。このサブプログラムではカーソル番号が戻されます。そのため、このルールの対象外です。

  • カーソルの不正使用の防止

    既知の既存のカーソルを破損するセキュリティ違反からカーソルが適切に保護されるようになりました。

    バインディングおよび実行時に、追加のチェックが常に実行されます。オプションで、すべてのDBMS_SQLサブプログラムのコールに対してチェックを行うこともできます。チェックの内容は次のとおりです。

    • 問題のサブプログラムのコール時のcurrent_userが、最新の解析のコール時と同一であるかどうか。

    • サブプログラムのコール時に有効化されたロールが、最新の解析のコール時に有効化されたロールのスーパーセットであるかどうか。

    どのような場合にも当てはまりますが、定義者の正しいサブプログラムには、ロールは無関係です。

    いずれかのチェックが失敗すると、ORA-29470が発生します。

    チェックを実行する時期を定義するメカニズムは、仮パラメータsecurity_level(使用可能な値はNULL1および2)を使用するOPEN_CURSORサブプログラムの新規オーバーロードです。

    security_level = 1(またはNULL)の場合は、バインディングおよび実行時にのみチェックが行われます。security_level = 2の場合は、必ずチェックが行われます。

    このセキュリティ方式は、10.2以前の旧リリースより強化されています。その結果、DBMS_SQLのユーザーは、アップグレード時にランタイム・エラーを経験する可能性があります。アプリケーションがよりセキュアになる一方で、11.1への移行時に、一時的にセキュリティ・チェックを緩和する必要がある場合も考えられます。その場合は、セキュリティ・チェックを緩和する手順について、Oracleサポート・サービスに問い合せてください。

5.29.6 UTL_FILEパッケージ

ファイルがシンボリック・リンクの場合、UTL_FILEパッケージでファイルを開くことができなくなりました。この新しい制限により、UTL_FILEパッケージの既知のセキュリティ・ホールが閉じられます。

このセキュリティの制限によって、移行中に過度の負荷がかかる場合は、Oracleサポート・サービスに問い合せてください。

5.29.7 リリース間での相互運用性

11.1データベースまたはFormsクライアントと、10.1または10.2データベース間で相互運用を行うには、少なくとも10.1.0.5 (10.1の場合)または10.2.0.2 (10.2の場合)のパッチセット・レベルが必要です。

次に示す状況で、10.1または10.2のPL/SQLユニットやビューの参照を試行すると、10.1または10.2環境に適切なレベルのパッチが適用されていないかぎり、PLS-801[55916]エラーが発生して失敗します。

  • 11.1データベースのPL/SQLユニット、無名ブロック、トリガー、コール文またはSQL文により、データベース・リンク全体の10.1または10.2データベースのPL/SQLユニットが実行される場合。

  • 11.1データベースのPL/SQLユニット、無名ブロック、トリガーまたはコール文がデータベース・リンク全体の10.1または10.2データベースのビューを参照し、そのビューが直接または間接的にPL/SQLファンクションやオブジェクト・タイプを参照する場合。

  • 11.1のFormsクライアントが、RPCを使用して10.1または10.2データベースのPL/SQLユニットを実行する場合。

PLS-801[55916]エラーを回避するには、少なくとも10.1.0.5 (10.1の場合)または10.2.0.2 (10.2の場合)のパッチセット・レベルが必要です。

10.1および10.2環境間には、相互運用性の問題はありません。

5.30 Pro*C

Pro*CのREADMEについては、「Pro*C/C++ README」を参照してください。

ORACLE_HOME/precomp/doc/proc2/readme.doc

5.31 Pro*COBOL

Pro*COBOLのREADMEについては、「Pro*COBOL README」を参照してください。

ORACLE_HOME/precomp/doc/procob2/readme.doc

5.32 SQLJ

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)のSQLJは、JDK 5.0およびJDK 6.0でサポートされています。

5.33 SQL*Plus

SQL*PlusのREADMEについては、「SQL*Plus README」を参照してください。

ORACLE_HOME/sqlplus/doc/README.htm

5.34 サマリー管理

サマリー管理を使用する際は、次の事項に注意してください。

5.34.1 クエリー・リライト

クエリー・リライトには次の内容が適用されます。

5.34.1.1 ファイングレイン監査(FGA)

ファイングレイン監査(FGA)が問合せの表で使用できる場合は、この問合せにクエリー・リライトは発生しません。

5.34.1.2 PARTITION句の使用

表パーティションにアクセスするためのFROM句でPARTITION句が使用されている問合せでは、クエリー・リライトは実行されません。クエリー・リライトでそのような問合せをリライトするには、まずPARTITION句を同等の選択述語に変換し、WHERE句に追加する必要があります。

5.34.2 NLSパラメータ

特定のマテリアライズド・ビューを使用またはリフレッシュするときは、NLSパラメータが、そのマテリアライズド・ビューで作成した時点のパラメータと同じであることを確認してください。この制限を受けるのは、次の構成メンバーが含まれるマテリアライズド・ビューです。

  1. NLSパラメータの設定に応じて異なる値を戻すことが可能な式

    そのような式は、NLSに依存しない方法で記述することをお薦めします。次に例を示します。

    (date > DATE '2003-01-02')
    

    または

    (rate <= 2.150)
    
  2. 結合の片側が文字データの等価結合

    この等価結合の結果は照合によって異なり、セッションごとに変化する可能性があるため、クエリー・リライトの場合は正しい結果が得られず、また、リフレッシュ操作後はマテリアライズド・ビューに一貫性がなくなります。

  3. マテリアライズド・ビューの選択リスト内、またはマテリアライズド集計ビューの集計内に文字データへの内部変換を生成する式

    この制限は、数値データのみが含まれる式には適用されません(たとえば、abが数値のa+bには適用されません)。

5.35 Oracle Streams

Oracle Streamsを使用する際は、次の事項に注意してください。

5.35.1 リリース9.2またはリリース10.1からリリース11.2への伝播で返されるエラーORA-25334

Oracle Bug#4285404に対するパッチを9.2データベースに適用していない場合は、Oracle9i Databaseリリース2 (9.2)またはOracle Database 10gリリース1 (10.1)からOracle Database 11gリリース2 (11.2)への伝播でエラーORA-25334が発生します。

5.35.2 ORA-1403エラーに代わる新しいエラー・メッセージの処理に必要なOracle Streams適用ハンドラの修正

ORA-01403 No data foundというメッセージにかわる、追加のOracleエラーORA-26786およびORA-26787を捕捉するには、カスタマイズされたDMLおよびOracle Streamsのエラー・ハンドラを修正する必要があります。ORA-26787エラーは、更新または削除する行がターゲット表に存在しない場合に発生します。ORA-26786エラーは、行はターゲット表に存在するが、一部の列の値がLCRの値に一致しない場合に発生します。

5.35.3 Oracle Streamsのアドバンスト・キューイング

アドバンスト・キューイング通知のサブスクリプション名は正規化されます。したがって、scott.queue1:subおよびSCOTT.QUEUE1:SUBの登録は、同一のエンティティに対するものであり、正規化された形式"SCOTT"."QUEUE1":"SUB"として表されます。

5.35.4 DBMS_RULE_ADM操作権限

Oracle Database 11gリリース2 (11.2)で導入されたDBMS_RULE_ADMパッケージでは、コール元にDBMS_RULE_ADM操作を実行するための権限が明示的に付与されている必要があります(Oracle Bug#5523578を参照)。

必要な場合には、イベント25476を短期間ゼロ以外の任意のレベルに設定して、前の動作をリストアできます。ただし、このイベントの使用は将来のリリースで非推奨になる可能性があるため、DBMS_RULE_ADMによりセキュリティ関連のエラーが戻される場合は、関連する権限を付与することをお薦めします。

5.35.5 UTL_SPADVロード権限

UTL_SPADVパッケージをOracle Streamsの管理者スキーマにロードするには、追加の権限が必要になります。このパッケージをロードするには、Oracle Streams管理者スキーマでDBMS_LOCKEXECUTE権限が必要です。

5.36 未解決の不具合

この項では、リリース11.2.0.1での既知の不具合を示します。これ以外に、使用しているプラットフォーム固有のリリース・ドキュメントに補足のリストが含まれている場合があります。

5.36.1 Database Upgrade Assistant (DBUA)に関する既知の不具合

Oracle Bug#8724757

アーカイブREDOログ付きのリリース9.2.0.8データベースをアップグレードする際に、LOG_ARCHIVE_FORMAT初期化パラメータが明示的に%t_%s.dbfに設定されている場合は、フォーマットを変更して、%rを追加してから続行することを推奨するエラーがDBUAで表示されます。ただし、%rは9.2ではサポートされていないフォーマットです。

回避策: 初期化パラメータ・ファイルまたはSPFILEからLOG_ARCHIVE_FORMATを削除し、デフォルトのフォーマットを使用します。リリース9.2.0.8では、デフォルトは%t_%s.dbfでしたが、11.2では%t_%r_%s.dbfです。このため、デフォルトを使用すると、フォーマットが自動的に更新されます。

5.36.2 削除ツールに関する既知の不具合

Oracle Bug#8737202

スタンドアロン・バージョンの削除ツールを使用してクラスタ用Oracle Grid Infrastructureを削除する場合、リモート・ノードに削除用のホームの場所を作成する権限がない状態でツールを実行すると、リモート・ノードでOracle Clusterwareの削除が失敗します。

回避策: スタンドアロン・バージョンの削除ツールを使用してクラスタ用Oracle Grid Infrastructureを削除する場合は、Oracle Clusterwareのすべてのノードで、削除用のホームの場所の作成権限が必要です。

Oracle Bug#8726637

Oracle Clusterwareホームがトップ・レベルの'/'ディレクトリに作成されている場合、リモート・ノードでOracle Clusterwareソフトウェアの削除が失敗します。

回避策: 削除の終了時に、各リモート・ノードのローカル・ノードから次のコマンドを実行します。

'ssh remote_node rm -rf crs_home/'

Oracle Bug#8680498

Oracle Restartで管理されない単一インスタンスのデータベースのOracleホームがあるマシンでOracle Restartを削除しようとすると、削除ツールによって/etc/oratabファイルが削除されます。

回避策: 削除ツールを実行してOracle Restartを削除する前に、/etc/oratabファイルをバックアップし、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureの削除後にファイルをリストアします。

Oracle Bug#8644344

削除ツールを実行してデータベースを削除する場合、Oracleホームを開いてコンポーネントを選択するように求められます。トップ・レベル・コンポーネント(Oracle Database Server)を選択して、Oracleホームを選択しないと、削除ユーティリティを実行してデータベースの削除を続行するように求めるメッセージがOUIに表示されません。

回避策: 削除ツールを実行してOracleホームを削除します。

Oracle Bug#8635356

共有NFS記憶域にインストールされているORACLE_HOMEから削除ツールを実行している場合は、ORACLE_HOMEのクリーンアップ中に.nfsファイルに関連するエラーが表示されます。

回避策: ORACLE_HOMEを削除するには、削除ツールの終了後にrm -rf ORACLE_HOMEコマンドを実行します。また、スタンドアロンのdeinstall.zipを使用してORACLE_HOMEの場所を指定することもできます。

Oracle Bug#8403941

読取り専用の場所から削除ツールを実行すると、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureの削除が失敗します。

回避策: スタンドアロン・バージョンの削除ツールを使用してクラスタ用Oracle Grid Infrastructureを削除する場合は、削除ツールをダウンロードして、ツールを実行するユーザーが書込み可能な場所から実行します。このユーザーには、すべてのOracle Clusterwareノードに削除用ホームの場所を作成する権限も必要です。

Oracle Bug#8666509

Oracle Clusterwareを削除すると、11.2より前のOracle RACホームをOracleインベントリからデタッチするように求められます。

回避策: アップグレードした11.2 Oracle RACホームを構成解除および削除し、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureホームの構成解除および削除を続行する場合は、最初に、11.2より前のOracle RACソフトウェア・ホームを中央のインベントリからデタッチします。

5.36.3 Oracle Application Expressに関する既知の不具合

『Oracle Application Expressリリース・ノート』の未解決の不具合と既知の問題に関する項を参照してください。

5.36.4 Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)に関する既知の不具合

Oracle Bug#9327020

ASMCMDのmd_restoreコマンドでは、COMPATIBLE.RDBMS属性の値を11.2.0.0.0に設定する必要があります。

回避策: ありません。

Oracle Bug#8936616

Oracle ASM初期化パラメータで指定したASM_DISKSTRINGが、ディスク・グループの作成時に有効になりません。

回避策: 「ディスク・グループの作成」ダイアログに移動して、「ディスク検出パスの変更」ダイアログで「ディスク検出パス」を指定します。ASMCAによって、一致するすべてのディスクがリストされます。

Oracle Bug#8783301

ディスク・グループで作成された表領域のデータファイルが削除されている場合は、データベースとディスク・グループ間の依存関係が更新されません。このため、ディスク・グループの削除後にOracle RACインスタンスを起動できなくなる場合があります。

回避策: 表領域の作成または削除後に、-aオプションを指定して次のコマンドを実行します。このオプションでは、現在のディスク・グループのリストを指定します。

srvctl modify database -d orcl -a DG1,DG2

Oracle Bug#8722063

ASMCMD lsdgコマンドでは、Oracle ASMディスク・グループに正しい投票ディスクの場所が表示されません。

回避策: V$ASM_DISKビューのVOTING_FILEフィールドを使用して、そのディスクに投票ディスクがあるかどうかを確認します。QAQ投票ファイル次のSQLコマンドを実行します。

SELECT VOTING_FILE FROM V$ASM_DISK

Oracle Bug#8721918

Oracle Automatic Storage Managementクラスタ・ファイル・システム(Oracle ACFS)のエラー番号の範囲は501から12000です。501から9999のエラーは、ACFS-00501からACFS-09999の書式でレポートされます。この書式のOracle ACFSエラー・メッセージでは、余分なゼロ(0)がエラー番号の先頭に付加されて5桁の番号が作成されるため、oerrツールでは認識されません。たとえば、ACFS-00501が返される場合に、oerr ACFS 00501コマンドを実行すると、データが返されません。

回避策: oerrを実行する場合は、エラー・メッセージで返されるエラー番号から先頭のゼロを削除します。たとえば、エラーでACFS-00501が返される場合は、次のようにoerrを実行します。

$ oerr ACFS 501 

Oracle Bug#8623938

Oracle ASMクラスタがローリング移行の状態でGV$ビューを問い合せると、問合せを発行したプロセスが失敗し、次のようなエラーが返される場合があります。

ORA-0600: internal error code, arguments: [ksxpcini:rm], [3], [218103808]

回避策: Oracle ASMクラスタがローリング移行の状態では、GV$ビューを問い合せないでください。

自動ストレージ管理構成アシスタント(ASMCA)でOracle ASMクラスタのローリング・アップグレードを実行する場合は、クラスタがローリング移行の状態になる前にGV$ビューの問合せが実行されます。ローリング移行の実行前にASMCAが失敗する場合は、ASMCAの再起動前にローリング移行を停止します。そうしないと、ASMCAはGV$の問合せを実行すると失敗します。ローリング移行を停止するためのSQLコマンドは次のとおりです。

ALTER SYSTEM STOP ROLLING MIGRATION;

5.36.5 Oracle Clusterwareに関する既知の不具合

Oracle Bug#9061246

Global Services Daemon (GSD)が有効化されている場合に、Oracle Clusterwareの起動時または複数のノードの再起動時に、クラスタのすべてのノードでGSDの起動に失敗する場合があります。GSDの状態は、srvctl status nodeappsコマンドを実行することで確認できます。

回避策: Oracle Clusterwareのいずれかのノードで次のコマンドを発行し、すべてのノードでGSDを起動します。

srvctl start nodeapps

Oracle Bug#8974576

SRVCTL ADD SCAN_LISTENERまたはSRVCTL REMOVE SCAN_LISTENERコマンドの後、REMOTE_LISTENERパラメータが変更されません。

将来のリリースのOracle Clusterwareでは、それぞれ独自のSCANを使用した複数のパブリック・ネットワークをサポートするように、REMOTE_LISTENERがプロジェクトの一部として管理されるようになります。リリース11.2では、11.2より前のアップグレード対象データベースのREMOTE_LISTENERパラメータにノードのVIPを含める必要があるため、REMOTE_LISTENERを適切に更新するために必要なすべてのデータがOracle Clusterwareに保持されているわけではありません。かわりに、DBCAとDBUAで実装するか、手動で実装します。

回避策: REMOTE_LISTENERパラメータを手動で変更するには、次のコマンドを実行します。

SQL> ALTER SYSTEM SET REMOTE_LISTENER='t2000-cluster0-scan.t2000-18.oraclecorp.com' sid='*' scope=memory; 

System altered. 

SQL> ALTER SYSTEM REGISTER;

SQL> SHOW PARAMETER LISTENER;

NAME                                 TYPE        VALUE 
------------------------------------ ----------- ------------------------------ 
remote_listener                      string      t2000-cluster0-scan.t2000-18.o 

Oracle Bug#8791771

srvctl modify database -d db_unique_name -y manualコマンドを実行しても、システムの再起動後にOracle ClusterwareがOracle RACデータベースを自動的に再起動することを防ぐことができません。Oracle RACデータベースは自動的に再起動します。

回避策: ありません。

Oracle Bug#8786770

Oracle RACリリース9.2が存在する場合、Cluster Ready Services (CRS)のサイレント・インストールが失敗します。

回避策: コマンドラインからoracle_install_crs_AdvancedInstall=trueを渡します。たとえば、次のようなコマンドです。

./runInstaller -responseFile /scratch/rsmith/grid.rsp -silent oracle_install_crs_AdvancedInstall=true

Oracle Bug#8760631

crsctl add resourceを使用してアプリケーション・リソースが作成されると、CRS-2518が返されます。

回避策: ローカル・ファイル・システムのクラスタ内のすべてのノード、共有ファイル・システムまたはOracle ACFSでアクション・スクリプトが作成された後にCRSCTLコマンドを実行します。

Oracle Bug#8739811

共有ORA_CRS_HOMEでOracle Clusterwareを作成すると、次のエラーが表示される場合があります。

Failed to rmtcopy "/tmp/fileM3zR7m" to "ORA_CRS_HOME/gpnp/manifest.txt" for nodes {node1,node2}, rc=256

回避策: このエラーは無視しても問題ありません。

Oracle Bug#8737732

Oracle Clusterwareをリリース11.1.0.6からリリース11.2にアップグレードする場合に、11.1.0.6 OCRおよび投票ディスクをRAWデバイスに保存していると、cluvfyが失敗します。

回避策: cluvfyが失敗した場合は無視しても問題ありません。

Oracle Bug#8736093

Oracle Clusterware 11.2.0.1.0にアップグレードした後でOCR操作を実行しようとすると、Cluster Ready Serviceが停止する場合があります。この問題は次の状況で発生します。

  • 新規インストールではなく、Oracle Clusterware 11.2.0.1.0へのアップグレードが成功した後。

  • 2ノードより多くのクラスタ上で実行する場合。

  • アップグレードの実行後に、11.2.0.1.0より前のクラスタ・アクティブ・バージョンでマスター以外のCluster Ready Serviceが別のノードで起動していると、マスターのCluster Ready Serviceが停止します。この問題は、マスター以外のCluster Ready Serviceが起動するまでにリサイクルされている場合は発生しません。

回避策: crsctl stop res ora.crsd -initを使用して、すべてのノードでCluster Ready Serviceを停止し、crsctl start res ora.crsd -initを使用してCluster Ready Serviceを再起動します。

Oracle Bug#8733944

リリース11.1.0.7からのOracle Clusterwareで、Oracle Exadataサポートに必要なパッチまたは11.1.0.7 CRSバンドル・パッチ1を適用すると発生する問題のため、停止コマンドまたは障害により別のノードでクラスタウェアが停止すると、CSSデーモンが停止する場合があります。

この兆候としては、最大値を超えていることを示す、CSSDログのASSERTです。次に例を示します。

Group ID of xxxx exceeds max value for global groups

回避策: Oracle Exadataサポート・パッチまたは11.1.0.7 CRSバンドル・パッチ1を実行している場合、この問題を解決するには、この不具合用のパッチを適用することをお薦めします。

この問題は、前述のパッチを使用して11.1.0.7からアップグレードする際にも発生する場合があります。アップグレード時に11.1.0.7のノードが停止する潜在的な問題を排除するには、この不具合用のパッチをアップグレード前に11.1.0.7のノードに適用します。

アップグレードする場合は、アップグレード時にアップグレードされなかったノードを再起動せずに、すべてのノードでアップグレードを完了しておくことをお薦めします。アップグレードの実行中に11.1.0.7のノードが停止する場合は、再起動しないでアップグレードしてください。

Oracle Bug#8727190

投票ディスクが論理的に破損している場合、CSSDは投票ディスクを再オープンし、すべてのノードの再起動をできるだけ回避できるように、自動的にONLINEに設定します。ただし、CSSDでは破損した投票ディスクを認識できません。破損した投票ディスクは、Oracle Clusterwareが次に起動されるとOFFLINEに設定されます。

回避策: 破損した投票ディスクを再作成します。

Oracle Bug#8726128

RHEL4/OEL4システムでは、次のコマンドが失敗します。

cluvfy stage -post crsinst

これは、ローカル・ノードでUdev属性の検証が失敗するために発生します。これにより、クラスタ検証コンフィギュレーション・アシスタントも失敗し、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール・セッションが終了します。詳細なインストール・ログには、ERROR:PRVF-9802が表示されます。

回避策: RHEL4/OEL4でUdev属性のチェックが失敗しても無視してください。Udev属性の検証で問題しかレポートされなくても、インストールは成功したとみなされます。

Oracle Bug#8725983

Oracle ASMインスタンスがクラッシュまたは異常終了すると、Oracle Clusterwareでデータ・サービスの再起動が失敗する場合があります。

回避策: SRVCTLを使用してサービス・リソースを手動で起動します。

Oracle Bug#8721204

sudo設定が原因で、Database Controlデプロイメント・プロシージャでsudo権限のチェック手順が失敗します。

回避策: grep requiretty /etc/sudoersコマンドでDefaults requirettyが返される場合は、/etc/sudoersで次の行をコメント・アウトする必要があります。

#Defaults requiretty

Oracle Bug#8716580

TNS_ADMIN環境変数がOracle Clusterwareデーモン・プロセスに設定され、その値がリスナー・リソースに適していないため、リスナー・リソースの起動が失敗します。

回避策:

TNS_ADMIN環境変数が設定されていないセッションでOracle Clusterwareを再起動します。

sudo権限のチェック手順を再試行します。

Oracle Bug#8715968

ネットワーク・タイム・プロトコル(NTP)の構成ファイルが存在せず、NTPデーモンがクラスタ・ノードで実行されていると、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールの前提条件のチェックで問題がレポートされません。これにより、クラスタのalert.logファイルで示すように、クラスタ時刻同期サービスがオブザーバ・モードに入ります。

回避策: 時刻同期サービスを提供するには、ネットワーク・タイム・プロトコル(NTP)ではなく、クラスタ時間同期サービス(ctss)を使用します。このためには、NTPを構成解除して削除します。NTPサービスを解除するには、既存のntpdサービスを停止し、初期化シーケンスから無効にして、ntp.confファイルを削除します。詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイドfor Linux』のネットワーク・タイム・プロトコルの設定に関する項を参照してください。

Oracle Bug#8711200

インストーラを実行する場合、前提条件チェック後に修正して再実行を選択すると、runfixup.shが存在しないためにクラスタ検証ユーティリティ・スクリプトが失敗する場合があります。

回避策: すべてのクラスタ・ノードから/tmp/CVU_11.2.0.1.0_userIDを削除し、インストーラを再実行します。

Oracle Bug#8702731

Oracle Clusterwareの停止中にSHUTDOWN IMMEDIATEコマンドが使用されていると、データベースの停止がタイムアウトする場合があります。

回避策: Oracle Clusterwareを停止する前に、SHUTDOWN ABORTコマンドを使用してデータベースを停止します。

Oracle Bug#8692998

Extend Cluster」または「Delete Node」上の必要なノードが正しく表示されない場合があります。この問題は、ホスト・コレクションが実行されていない場合に発生します。

回避策: Refresh Host Configurationをトリガーした後、「Extend Cluster」デプロイメント・プロシージャまたは「Delete Node」デプロイメント・プロシージャを再試行します。次の手順を実行してください。

  1. インタビューを取り消します。

  2. 「データベース」タブをクリックします。

  3. 「関連リンク」セクションで、「デプロイ」リンクをクリックします。

  4. すべてのホストを選択し、「ホストのリフレッシュ」ボタンをクリックします。

ジョブの実行の完了後、「データベース」タブの「ソフトウェアとサポート」サブタブに戻り、「Extend Cluster」デプロイメント・プロシージャまたは「Delete Node」デプロイメント・プロシージャを起動します。

Oracle Bug#8683759

CRSホームがバージョン11.2にアップグレードされている場合、前のバージョンのOracle RACデータベース(10gまたは11.1)が存在すると、10gまたは11.1のOracle RACデータベースおよびサービスに関連するクラスタ・イベントがONSクライアントに送信されません。

回避策: ありません。

Oracle Bug#8683517

Oracle ClusterwareおよびOracle ASMをリリース11.2にアップグレードした後に、データベースがアップグレードされていない場合、Oracle Clusterwareスタックを停止しようとすると、Oracle Clusterwareでは正しい順序で停止が実行されません。これは、リリース11.2より前のOracle Databaseリリースがリリース11.2のOracle ASMディスク・グループと依存関係を共有していないためです。Oracle Clusterwareに依存するデータベースが停止する前に、Oracle Clusterwareがディスク・グループのリソースを停止しようとすると、ディスク・グループの停止が失敗する場合があります。これは、ディスク・グループがまだ使用中でOracle Clusterwareスタックを停止できないためです。

回避策: Oracle Clusterwareスタックを停止するには、次のコマンドを使用します。

crsctl stop crs -f

Oracle Bug#8674080

Oracle Clusterwareバージョン11.1から11.2のローリング・アップグレード中に、ソフトウェアのバージョンが11.2ではないノードで発生するイベントで、クラスタ・イベントがOracle Notification Service (ONS)クライアントにポストされません。また、11.2のノードで発生するイベントで、11.2より前のノードで実行されているONSクライアントによってイベントが受信されません。

回避策: クラスタ内のすべてのノードを11.2にアップグレードします。クラスタのアクティブ・バージョンがリリース11.2.0.1の場合、イベントは受信されます。

Oracle Bug#8668083

Oracle Restart環境で、ローカル・ノードのユーザー等価が存在しない場合、次のコマンドでは検証を実行できず、エラー・メッセージが返されます。

cluvfy stage -pre hacfg
cluvfy stage [-pre | -post] cfs
cluvfy stage [-pre | -post] acfscfg
cluvfy comp admprv
cluvfy stage -pre dbcfg
cluvfy stage -pre dbinst

回避策: Oracle RestartでSSHを構成します。

これらの不具合のパッチを取得し、Oracle Databaseホームに適用するには、Oracleサポート・サービスに問い合せてください。

Oracle Bug#8667622

別のノードでSCANリスナーが実行されている場合に、forceオプションを指定してnodeappsを停止および再起動すると、SCANリスナーが同じノードで起動する場合があります。

回避策: 次のコマンドを使用して、SCAN VIPおよび関連するリスナーを別のノードに再配置します。

srvctl relocate scan -i ordinal_number -n node_name

Oracle Bug#8667127

パブリック・インタフェースが無効または機能しない場合、Oracle Clusterwareによってサービス・リソースが停止され、別のサーバーで再起動しなくなる場合があります。

回避策: SRVCTLを使用してサービス・リソースを手動で起動します。

Oracle Bug#8666501

Oracle Clusterwareのエージェント・ログ・ファイルのローテーション間隔が短くなっています。ログ・ファイルは数日後に上書きできます。

回避策: ありません。

Oracle Bug#8666150

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureホームが存在しないか、共有されていない場合、共有リソースのチェック時にcluvfy stage -pre nodeaddコマンドが失敗します。

回避策: cluvfyコマンドを実行する前に、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureホームを手動で作成します。

Oracle Bug#8659440

srvctl modify scan_listener -p new_endpointsコマンドで、new_endpoints引数にTCPポート番号しか使用できません。

回避策: TCPポート番号以外のエンドポイントを使用できるようにSCANリスナーを更新する必要がある場合は、srvctl stop listener -fおよびsrvctl remove scan_listener -fを実行し、すべてのSCANリスナーを停止して削除します。次に、srvctl add scan_listener -p new_endpointsを実行し、目的の新しいエンドポイントを使用してSCANリスナーを追加します(new_endpointsの書式は次のとおりです)。

[TCP:]port[/IPC:key][/NMP:pipe_name][/TCPS:s_port]

Oracle Bug#8657184

2つのネットワーク・インタフェースがクラスタ内でパブリック・ネットワーク・インタフェースとして構成されており、一方のノードのパブリック・インタフェースに障害が発生した場合に、もう一方のパブリック・インタフェースにVIPが自動的にフェイルオーバーされません。

回避策: 複数のパブリック・ネットワーク・インタフェースが存在する場合は、高可用性のためにインタフェースの結合を使用します。Oracle Clusterwareインストーラの「ネットワーク・インタフェースの使用方法の指定」画面で、パブリックとして1つの(結合された)インタフェースのみを選択します。srvctl add nodeappsまたはsrvctl add vipでパブリック・ネットワークを構成する場合は、-Aまたは-S引数に1つのネットワーク・インタフェース名のみを指定します。

Oracle Bug#8652158

パブリック・ネットワークの障害によりデフォルト以外のネットワークのVIP(コマンドsrvctl add vip -k 2で作成)がクラスタ内の別のノードにフェイルオーバーされると、ネットワークが動作状態にリストアされた場合に元のノードに自動的にフォールバックされません。

回避策: 次のコマンドを使用して、問題のVIPを手動で停止して再起動します。

  • srvctl stop vip -i vipname

  • srvctl start vip -i vipname

startコマンドでは、正しいノードでVIPが自動的に起動します。

Oracle Bug#8648234

ソフトウェア・インストールごとに異なるオペレーティング・システム・ユーザーを使用しており、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール・ユーザーがOSDBAグループのメンバーでない場合に次のコマンドを実行すると、OSDBAグループのメンバーシップのチェックが失敗する場合があります。

cluvfy comp sys -p crs
cluvfy comp sys -p ha

回避策: インストール・ユーザーがクラスタ用Oracle Grid Infrastructureのみを所有している場合は、この障害を無視しても問題ありません。つまり、ジョブ・ロールの分離を使用している場合は、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureの所有者がOSDBAグループのメンバーである必要はありません。ただし、Oracle Databaseの所有者にはOSDBAグループのメンバーシップが必要です。

Oracle Bug#8644639

Oracle ACFSマウント・ポイントを作成してレジストリに追加する場合、次の条件に該当すると、マウント・ポイントは自動的にマウントされません。

  1. マウント・ポイントのディレクトリがOracle ACFSレジストリで登録済である。

  2. マウント・ポイントのディレクトリがマウント済である。

  3. マウント・ポイントがアンマウントされ、Oracle ACFSレジストリから削除されている。

  4. レジストリからマウント・ポイントが削除されてから、ora.registry.acfsリソースが再起動されていない。

回避策: /tmp/.usm_state_fileファイルからマウント・ポイントのディレクトリを削除します。

Oracle Bug#8635825

2つのネットワーク・インタフェースがクラスタ内でパブリック・ネットワーク・インタフェースとして構成されており、一方のノードのパブリック・インタフェースに障害が発生した場合に、もう一方のパブリック・インタフェースに仮想インターネット・プロトコル・アドレス(VIP)が自動的にフェイルオーバーされません。

回避策: 複数のネットワーク・インタフェースが存在する場合は、高可用性のためにインタフェースの結合を使用します。Oracle Clusterwareインストーラの「ネットワーク・インタフェースの使用方法の指定」画面で、パブリックとして1つの(結合された)インタフェースのみを選択します。srvctl add nodeappsまたはsrvctl add vipでパブリック・ネットワークを構成する場合は、-Aまたは-S引数に1つのネットワーク・インタフェース名のみを指定します。

Oracle Bug#8632280

Oracle Clusterwareをリリース11.2にアップグレードした後で、oifcfg getifコマンドを実行すると、PRIF-30: Network information in OCR profile needs to be synced with GPnPprofileエラーが表示されます。

回避策: Oracle Clusterwareホームのbinディレクトリから、rootユーザーとして次のコマンドを実行します(interface_nameはインタフェースの名前で、subnetはサブネットの名前です)。

oifcfg setif -global interface_name/subnet public 

Oracle Bug#8612566

一部のパブリック・ネットワークの障害によりOCI FANクライアントが通知を受信しなくなり、TCPのタイムアウト中にハングします。

回避策: ありません。

Oracle Bug#8607080

環境に設定されているNLS_LANGの値がOracle Clusterwareで無視されます。つまり、すべてのクラスタ管理者は、インストール時のOracle Clusterwareの設定を使用する必要があります。

CRSDやOHASDのエラー・メッセージはCLIに渡される前にデフォルト値に変換されるため、crsctlsrvctlなどのコマンドはこの影響を受けます。

回避策: インストール時に言語IDが適切に設定されておらず、NLS_LANG値を変更する場合は、すべてのノードで次のコマンドを実行します。

  1. crsctl stop crs

  2. edit s_crsconfig_hostname_env.txt

  3. crsctl start crs

この回避策は、Oracle Clusterwareのインストール後にNLS_LANGの値を変更する場合に使用します。Oracle Clusterwareのインストール時に適切なNLS_LANGが使用されていることを確認するには、次のコマンドを実行します。

edit grid_home/crs/install/crsconfig_params

次に例を示します。

SILENT=false
ORACLE_OWNER=grid
ORA_DBA_GROUP=oinstall
ORA_ASM_GROUP=asmadmin
LANGUAGE_ID='JAPANESE_JAPAN.JA16EUC

Oracle Bug#8600842

Oracle Clusterwareをリリース11.2にローリング・アップグレードする場合、一部またはすべてのリソース(Oracle RACデータベース・インスタンス、リスナー・プロセス、データベース・サービスなど)が最後のノードで自動的に起動されない場合があります(通常、アップグレードは一度に1つのノードで実行)。

回避策: 通常の管理インタフェース(Oracle Databaseインスタンスおよびサービス用のSRVCTLなど)を使用してリソースを手動で自動的に起動してください。

Oracle Bug#8568386

投票ディスクを共有ファイル・システムに追加すると、グループ権限が自動的にrootユーザーに設定されます。ただし、グループ権限はクラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール・ユーザーに設定する必要があります。

回避策: chownコマンドを使用して、投票ディスクのグループ権限を手動で変更します。

Oracle Bug#8520511

OCR投票ディスクがOracle ASMにあるリリース11.2のOracle Clusterwareで、Oracle ASMのデータファイルを使用してOracle Databaseリリース10.2またはリリース11.1をインストールすると、DBCAのインストールが失敗し、エラーORA-00119が表示されます。

回避策: Oracle Bug#8288940に記載されている個別のパッチを適用するか、次のコマンドを使用してシンボリック・リンクを作成します。

Symlink Pre-11.2_Oracle_Database_home/network/admin/listener.ora --> 11.2_Oracle_Clusterware_home/network/admin/endpoints_listener.ora

Pre-11.2_Oracle_Database_homeは、Oracle Databaseリリース10.2または11.1のデータベース・ホームです。

Oracle Bug#8493252

まれに、リモート・ノードでSSH接続が閉じられると、AttachHome操作中にOracle Clusterwareのインストールが失敗する場合があります。

回避策: すべてのクラスタ・ノードで、SSHデーモン構成ファイル/etc/ssh/sshd_configLoginGraceTimeパラメータを0に設定します。

Oracle Bug#8448079

Oracle Clusterwareが停止および再起動されると、Oracle ASMディスク・グループにCRS前の停止状態が保持されません。リリース11.2のデータベース・リソースでは、Oracle ASMディスク・グループに起動依存性が保持されます。この場合、Oracle Clusterwareはデータベース・リソースを起動する前にOracle ASMディスク・グループを起動します。ただし、リリース11.2より前のOracle Databaseリリースでは、Oracle ASMディスク・グループに依存性が保持されないため、起動が失敗します。

回避策: Oracle ASMディスク・グループ・リソースを無効にして、Oracle ASMパラメータASM_DISKGROUPSを手動で設定し、Oracle Clusterwareの停止時にOracle ASMパラメータASM_DISKGROUPSNULLに設定されないようにします。次の例では、ディスク・グループdataおよびfraのディスク・グループ・リソースを無効にします。

srvctl disable diskgroup -g data 
srvctl disable diskgroup -g fra
sqlplus / as sysasm 
SQL> ALTER SYSTEM SET asm_diskgroups=data,fra scope=both;

注意:

Database Upgrade Assistantを使用してデータベースをリリース11.2にアップグレードする場合は、データベースで使用されるディスク・グループを有効にしてください。そうしないと、アップグレード・プロセス中にDatabase Upgrade Assistantが停止する場合があります。アップグレード後にDatabase Upgrade Assistantがデータベース・リソースを起動する場合は、データベースのデータファイルがあるディスク・グループ・リソースを最初に起動しようとします。ディスク・グループ・リソースが無効の場合、これらのディスク・グループは起動に失敗します。ディスク・グループ・リソースを有効にするには、Database Upgrade Assistantを使用する前に次のコマンドを実行します。
srvctl enable diskgroup -g data
srvctl enable diskgroup -g fra

Oracle Bug#8434421

最初のCluster Synchronization Servicesデーモン(CSSD)のログ・ファイル(ocssd.log)がrootユーザーで所有されているため、ログ・ローテーションによって上書きされません。

回避策: ocssd.logを削除するか、所有権を変更します。

Oracle Bug#8309620

OCRおよび投票ディスクがOracle ASMではなくファイル・システムにあるクラスタで、11.2のOracle Clusterwareをインストールおよび構成した後で、11.2より前のOracle Databaseをインストールすると、11.2より前のDBCAは、クラスタのOracle ASMインスタンスではなく、単一インスタンスのOracle ASMとして11.2 Oracle ASMを起動しようとします。

回避策: 11.2のOracle Clusterwareの構成の完了後、11.2より前のOracle Databaseをインストールする前に、次のコマンドを実行してすべてのノードでOracle ASMを起動して、その後停止します。

srvctl start asm -n node
srvctl stop asm -n node

Oracle Bug#8276914

Oracle Clusterwareの起動前に、rootユーザーの環境にORACLE_BASEが設定されている場合、ノードの再起動後にユーザー定義のリスナーおよびSCANリスナーのOracle Clusterwareログ・ディレクトリの場所が、ORACLE_BASE/diag/tnslsnrからGrid_home/log/diag/tnslsnrに変更されます。

回避策: Oracle Clusterwareの起動前には、rootユーザーの環境にORACLE_BASEを設定しないでください。

Oracle Bug#3841387、8262786、8373758、8406545、8441769

Oracle Clusterwareを11.2にアップグレードすると、10.1、10.2および11.1のOracle RACデータベースのOracleリソースが正常に動作しない場合があります。

回避策: Oracle Bug#3841387、8262786、8373758、8406545および8441769のためのパッチをOracle Databaseホームに適用します。

5.36.6 Oracle Configuration Managerに関する既知の不具合

Oracle Bug#8709678

setupCCRまたはconfigCCRのいずれかを使用してOracle Configuration Managerを構成する場合に、エラー[: -eq unary operator expected :failedが返されます。

回避策: CCR_DISABLE_CRON_ENTRY環境変数をtrueに定義して、crontabエントリの作成を無効にし、Oracle Configuration Managerコマンドを再実行してOCMインスタンスを構成します。

5.36.7 Oracle Data Guardに関する既知の不具合

Oracle Bug#8716064

Oracle Active Data Guardのスタンバイ・データベースのANALYZE TABLE VALIDATE文がORA-600 [4555]/ORA-600[25027]になる場合があります。

回避策: プライマリ・データベースでコマンドを発行します。

Oracle Bug#8428523

プライマリ・データベースのALTER TABLE RENAME文で、RENAME DDLの再実行を適用した後に、Active Data Guardのスタンバイ・データベースの結果が正しくなくなる場合があります。

回避策: RENAME DDLの再実行を適用した後に、Active Data Guardのスタンバイ・データベースで共有プールをフラッシュします。

Oracle Bug#8363109

Active Data Guardのスタンバイ・データベースで最新のSCNのフラッシュバック問合せを実行すると、ORA-8181が返される場合があります。ORA-8181が返される例には、非同期XMLIndexを使用して、Active Data Guardのスタンバイ・データベースで問合せを実行した場合があります。また、オブジェクト・リレーショナルに格納されたXMLTypeを使用して、Active Data Guardのスタンバイ・データベースで問合せを実行した場合にも、ORA-8181が返される場合があります。

回避策: プライマリ・データベースで問合せを発行します。

5.36.8 Oracle Database Enterprise Editionに関する既知の不具合

Oracle Bug#9181675

権限エラーを避けるために、Oracle ASM上でデータベースを手動で作成している場合は、asmgidwrapスクリプトをコールする必要があります。

回避策: ロール分離インストール(グリッドおよびRDBMSに異なるユーザーとグループがあります)の場合、DBCAを使用して、Oracle ASM上でのデータベース作成時に自動的にasmgidwrapスクリプトをコールするデータベースを作成します。データベースを手動で作成することを選択した場合、権限エラーを避けるために正しいグループを設定できるように、スクリプトを明示的にコールする必要があります。

Oracle Bug#8867819

オプティマイザ・フィードバックのデフォルトの動作がオンになったため、実行計画がリリース11.2で変更される可能性があります。そのため、変更されない場合に2つのSPAトライアルが問合せに応じて回帰をレポートすることがあります。

回避策: SPAの一貫性を保つために、オプティマイザ・フィードバックをオフにします。_optimizer_use_feedback=falseを使用します。

Oracle Bug#8747281

11.2では、Oracle RACデータベース・インスタンスのクラスタ・インターコネクトのソースとして、OCRがGrid Plug&Playプロファイルによって置き換えられています。これに対し、固定ビューV$CLUSTER_INTERCONNECTSには、これらのインターコネクトのSOURCEProfileではなくOCRとして表示されます。

回避策: ありません。

Oracle Bug#8729627

11.1のDBCAを使用して、11.2のOracle Clusterwareを実行しているクラスタでデータベースを削除する場合、データベース・リソースがロックされるためにPRKP-1061/CRS-2524エラーが表示される場合があります。

回避策: このメッセージは無視しても問題ありません。「OK」をクリックして続行します。

Oracle Bug#8722270

データベースがクラスタ・ノードのサブセットで実行されるように構成されており、それまでデータベースが実行されていないノードでOracle Clusterwareが起動されると、データベースが正常に起動されない場合があります。

回避策: srvctl start instanceコマンドを使用して、影響を受けるノードでデータベースを起動します。

Oracle Bug#8714383

Oracle RACデータベースの最後のインスタンスが失敗または停止すると、Oracle Call Interface (OCI) FANクライアントがDATABASE DOWNイベントを受信しません。

回避策: ありません。

Oracle Bug#8682141

暗号化された表領域をCREATE LIKEオプションを使用して作成すると、内部エラーが発生します。

回避策: 暗号化された表領域は、CREATE LIKEオプションではなく、CREATEオプションを使用して作成します。

Oracle Bug#8679182

複数のパブリック・サブネットがVIPに定義されているクラスタでデータベースを構成する場合(例: srvctl add vip -k 2 -A ...と同様のコマンドを使用)、データベース・エージェントによって、LOCAL_LISTENERがデフォルト・ネットワークのリスナーに自動的に設定されます。これにより、LISTENER_NETWORKSのリスナー・セットが重複する場合があります。

回避策: デフォルトのパブリック・サブネットにあるLISTENER_NETWORKSにはリスナーを設定しないでください。

Oracle Bug#8671032

Oracle Enterprise Managerで、「自動UNDO管理」ページの「分析の実行」から得られるヒントが正しい内容になっていません。たとえば、ワークロードの変動に許可するUNDO表領域の推奨サイズは最小サイズの3倍ですが、Oracle Enterprise Managerでは異なる値が表示されます。

回避策: ヒントの内容を次のように読み替えてください。

Oracle advises that you configure the undo tablespace to be three times the Recommended Undo Tablespace Size to allow for workload fluctuations

Oracle Bug#8660571

パラレル・オプションを有効にし、XMLIndexの少なくとも1つ以上の索引を非同期(遅延)メンテナンス・モードにした状態で、パーティション化された表に対してDML文を発行すると失敗する場合があります。

回避策: 次の例のように、影響を受ける表に対してパラレル・オプションを無効にします。

ALTER TABLE partitioned_table NOPARALLEL;

Oracle Bug#8658472

DBCAを使用してクラスタにデータベースが作成されている場合、デフォルトでSPFILEが使用され、その場所がOracle Cluster Registry (OCR)に格納されます。ただし、SPFILEの場所をクリアしてPFILEを使用することはできません。

回避策: データベースの作成後にPFILEが使用される場合は、次のコマンドを-pオプションを指定せずに実行し、データベース・リソースを再作成する必要があります。

srvctl remove database -d db_unique_name
srvctl add database -d db_unique_name -o ORACLE_HOME -a diskgroup

Oracle Bug#8639114

連続問合せ通知(CQN)では、OLTP圧縮された表を正常にサポートできない場合があります。このエラーには、ORA-7445ORA-600などがあります。

回避策: CQNと表圧縮を一緒に使用しないでください。

Oracle Bug#8601114

「表が存在する場合に実行する処理」が「スキップ」、「追加」または「切捨て」の場合、Database Control操作の「エクスポート・ファイルからのインポート」または「データベースからインポート」が失敗したと誤ってレポートされます。

回避策: ありません。この操作は正常に実行されます。

Oracle Bug#8595729

Oracle ClusterwareによるOracle ASMディスク・グループ・リソースの監視で、$GRID_HOME/rdbms/audit/ディレクトリに多数の監査ファイルが作成される場合があります。

回避策: $GRID_HOME/rdbms/audit/ディレクトリに格納されている接頭辞+asmが付いた監査ファイルを定期的に削除します。

Oracle Bug#8595653

Oracle Database 11gリリース1(11.1)またはOracle Database 10gリリース2(10.2)のデータファイルがリリース11.2のOracle ASMディスク・グループに作成されている場合、デフォルト・リスナーのエンドポイントを取得するのにendpoints_listener.oraファイルが使用されます。これに対し、リスナーが変更されている場合(ネットワーク構成アシスタントを使用したポート番号変更など)、endpoints_listener.oraファイルは更新されません。

回避策: デフォルト・リスナーが変更されている場合は、endpoints_listener.oraファイルを手動で編集します。このファイルは、$GRID_HOME/network/admin/ディレクトリに格納されます。

Oracle Bug#8304261

圧縮属性が表レベルとサブパーティション・テンプレートに指定されている場合、新規作成された間隔パーティションでは、サブパーティション・テンプレートで定義された圧縮属性ではなく、表レベルの圧縮が使用されます。

回避策: サブパーティションに圧縮属性を再定義します。

5.36.9 Oracle Database Vaultに関する既知の不具合

Oracle Bug#8728716

DVSYS.DBMS_MACADM.UPDATE_RULE_SETプロシージャで、ターゲット・ルール・セットの一部の属性が正しく更新されない場合があります。

回避策: ルール・セットを削除し、目的の属性で新しいルール・セットを再作成します。

Oracle Bug#8706788

Oracle Enterprise Managerでレルム構成アラートが生成される場合があります。

回避策: WKSYSおよびWKUSERの参加者メンバーシップをOracle Data Dictionaryレルムから削除します。

Oracle Bug#8686258

Database Vaultの管理ページに次のメッセージが表示されるため、Database VaultのポリシーをOracle Enterprise Manager Database Controlで管理できません。

"OPERATOR TARGET" privilege does not exist.
"You must have OPERATOR TARGET privilege to perform this operation."

回避策: Oracle Enterprise Managerを使用してDatabase Vaultのポリシーを管理するには、Database Vault管理者にEM管理者権限を割り当てる必要があります。EM管理者権限をDatabase Vault管理者に付与しない場合は、「Database Vault Administrator」ページを直接使用します。その他の情報は、『Oracle Database Vault管理者ガイド』を参照してください。

Oracle Bug#8474817

DBMS_MACADM.AUTHORIZE_SCHEDULER_USER APIで、ユーザーにDatabase Vaultスケジューラ・ジョブの認可の権限が付与されている場合、このユーザーを削除しても、認可ユーザーのリストから削除されません。

回避策: DBMS_MACADM.UNAUTHORIZE_SCHEDULER_USER APIコールを起動し、ユーザーの認可を手動で削除します。

Oracle Bug#8341283

成功または失敗時に監査するように監査オプションが設定されている場合、DVSYS.AUDIT_TRAIL$表のACTION_NAMEエントリに、失敗したレルム強制のRealm Authorization Auditが表示されます。RETURNCODEには、トリガーされた正しいエラー・コードが表示されます。

回避策: 違反が発生しているかどうかをRETURNCODE値を使用して判断し、レルム強制またはコマンド・ルール強制によって監査が生成されたかどうかをACTION_NAME列を使用して特定します。

Oracle Bug#8247647

ユーザーを削除しても、Oracle Data Pumpの認可ユーザーのリストから自動的に削除されません。

回避策: DBMS_MACADM.UNAUTHORIZE_DATAPUMP_USER APIコールを起動し、Oracle Data Pumpのユーザーの認可を手動で削除します。

Oracle Bug#7033772

Enterprise Manager Database Controlのアップグレード後に、Database Vault Administrator (DVA)が機能しません。

回避策: Database Controlのアップグレード後に、DVAを手動で再デプロイします。『Oracle Database Vault管理者ガイド』の付録C、Database Vault Administratorのデータベース・コンソールOC4Jコンテナへのデプロイに関する項で説明している手順を実行します。

5.36.10 Oracle Enterprise Manager Database Controlに関する既知の不具合

Oracle Bug#8702939

新しいノードを追加しようとすると、グリッド・インフラストラクチャ・ユーザー権限のチェックまたはステージング領域のパスが書込み可能かどうかのチェック(あるいはその両方)が失敗する場合があります。

回避策: 775権限を使用し、Home/EMStage/PAFとしてOracle RACデータベース・ホームのディレクトリを手動で作成し、失敗した手順を再試行します。

Oracle Bug#8757994

「リソースの追加」ダイアログ・ボックスの「配置」セクションで、次のテキスト・ボックスのいずれかに値を明示的に設定し、フォーカスを他のテキスト・ボックスに変更すると、フォーカスを変更したテキスト・ボックスに値を設定できなくなり、数秒間ページが反応しなくなります。

  • 特定のサーバー・プール/サーバーを優先的な配置先とします:

    • 「サーバー・プール」テキスト・ボックス

    • 「サーバー」テキスト・ボックス

  • 配置先を特定のサーバー・プールまたは特定のサーバーに限定します:

    • 「サーバー・プール」テキスト・ボックス

    • 「サーバー」テキスト・ボックス

回避策: ページが反応しない場合は、5から10秒待ってから再試行してください。または、テキスト・ボックスに値を明示的に設定するのではなく、値リストから値を選択し、「サーバー・プール」テキスト・ボックスまたは「サーバー」テキスト・ボックスに値を設定します。

Oracle Bug#8724077

大規模クラスタ(通常は8ノードを超えるクラスタ)で発生する大量のファイル転送の問題のため、Database Controlの構成時に、DBCAで断続的に障害がレポートされ、エラー・メッセージNULLが表示される場合があります。この場合、EMCAコマンドライン・ツールを実行してDatabase Controlを構成するようにDBCAから求められます。

回避策: データベースの作成プロセスが完了したら、emca -config dbcontrol db -repos recreate -clusterコマンドを実行します。

Oracle Bug#8716161

DBConsoleを停止しようとすると、次のエラーが返されます。

$ emctl stop dbconsole
Environment variable ORACLE_UNQNAME not defined.Please set ORACLE_UNQNAME to
database unique name.

回避策: ORACLE_UNQNAME環境変数を設定し、db_unique_name初期化パラメータを一致させます。

Oracle Bug#8692858

Oracle Enterprise Manager Database ControlのchartCacheファイルの更新により、Oracle ASMストレージを使用したOracle RACのノードの追加が断続的に失敗します。

回避策: Oracle Enterprise Manager Database Controlを使用してクラスタを拡張する前、またはaddNode.shスクリプトを実行する前に、次のディレクトリをORACLE_HOME/rdbms/install/install.exclに追加します。ORACLE_HOMEはOracle RACホームです。

oc4j/j2ee/oc4j_applications/applications/em/em/images/chartCache/*

Oracle Bug#8741598

Database Controlを使用してノードを追加すると、cluvfy stage -pre nodeaddコマンドが失敗しますが、エラーが表示されません。

回避策:

cluvfy preまたはcluvfy post add nodeチェックが失敗する場合は、この手順を無視しても問題なく、次のコマンドを実行すると、新しいノードの妥当性を確認して、残りのデプロイメント手順を続行できます。次の構文を使用します(grid_infrastructure_ORACLE_HOMEはクラスタ用Oracle Grid Infrastructureインストール・ホームの名前で、comma_separated_list_of_new_nodesは新しいノードのリストです)。

grid_infrastructure_ORACLE_HOME/bin/cluvfy -pre nodeadd -n comma_separated_list_of_new_nodes -verbose -fixup
grid_infrastructure_ORACLE_HOME/bin/cluvfy -post nodeadd -n comma_separated_list_of_new_nodes -verbose 

Oracle Bug#8674920

クラスタ用Oracle Grid InfrastructureとOracle Databaseのインストール所有者が異なる場合は、Oracle ASMバイナリとOracle Enterprise Managerエージェント・バイナリの所有者も異なります。サポート・ワークベンチを起動すると、エラー・メッセージError Operation failed - Operation failedが表示されます。これは、別のユーザーとしてOracle Enterprise Managerエージェントが実行されており、サポート・ワークベンチにOracle ASMターゲットの権限がないためです。

回避策: ありません。

Oracle Bug#8655988

日本語ロケールを使用している場合、クラスタ・データベース用のOracle Enterprise Manager Database Controlの「ハング分析」ページの「待機」グラフのテキストが文字化けします。

回避策: ありません。

Oracle Bug#8444875

Oracle Enterprise Manager Database ControlからアプリケーションVIPを作成できません。

回避策: VIPの適切な名前とオペレーティング・システムの適切なユーザーIDを使用し、rootとして次のコマンドを使用します。

appvipcfg create -network=1 -ip=10.185.148.111 -vipname=appsvip -user=oracle

Oracle Bug#8350597

Database ControlがIPv6環境で実行されている場合、Database Controlを使用してExadataセルを監視できないため、Exadataセルをターゲットとして追加しないでください。

回避策: ありません。

Oracle Bug#8638267

インストーラで「デスクトップ・クラス」スタイルのデータベース構成を選択し、インストールの完了後に、DBCAを使用してデータベースを作成するか、Oracle Enterprise Manager Configuration Assistant (EMCA)を使用してDatabase Control設定を作成する場合は、ORACLE_HOSTNAME環境変数を'localhost'に設定する必要があります。ORACLE_HOSTNAMEを設定しないと、Oracle Enterprise Managerの構成時にDBCAが停止し、次のエラーが表示されます。

Listener is not up or database service is not registered with it.Start the Listener and register database service and run EM Configuration Assistant again.

回避策: ORACLE_HOSTNAME環境変数を'localhost'に設定し、データベースの作成を再試行します。

5.36.11 Oracle Grid Controlに関する既知の不具合

Oracle Bug#8609658

リリース11.2では、SYSASMユーザーにのみOracle ASMの起動または停止権限があります。Oracle ASMファイル・アクセス制御のため、SYSDBAロールを使用したリリース前のOracle ASMに格納されている優先資格証明は使用できません。

回避策: SYSASMロールを使用して、Oracle ASMの起動および停止の資格証明を指定します。

5.36.12 クラスタ用Oracle Grid Infrastructureに関する既知の問題

Oracle Bug#8741415

/usr/local/bin/perlがないために、「ワンクリックでクラスタ・データベース拡張」デプロイメント・プロシージャで、sudo権限のチェック手順が失敗します。

回避策: この手順は無視しても問題ありません。

Oracle Bug#8739647

クラスタ用Oracle Grid Infrastructureホームを別のユーザー(データベースORACLE_HOMEを所有するユーザー以外)としてインストールする場合、/opt/oracleがホスト・システムにすでに存在すると、ディレクトリのグループ所有権が間違っている場合に、その所有権はインストールによって変更されません。ユーザーに適切な所有権のセットがない場合は、次のエラーの1つ以上がアラート・ログまたはDBCAログに表示されます。


ORA-15081
ORA-15025
ORA-15186

回避策: クラスタ用Oracle Grid Infrastructureホームをインストールする前に、/opt/oracleのグループ所有権を、次の例のようにOracleインストール・インベントリ(通常はoinstall)を所有するグループに変更します。

chgrp oinstall /opt/oracle

注意:

このコマンドは、rootユーザーとして実行する必要があります。

Oracle Bug#8679335

クラスタ用Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACを異なるユーザーとしてインストールすると、ORACLE_HOME/EMStageディレクトリに対する権限が不十分なためにエラーが発生する場合があります(ORACLE_HOMEはOracle RACホームです)。

回避策: 775権限を使用し、ORACLE_HOME/EMStage/PAFディレクトリを手動で作成して、失敗した手順を再試行します。

5.36.13 Oracle Multimediaに関する既知の不具合

Oracle Bug#8725198

Oracle Multimedia中間層Java APIのDicomLocatorServiceクラスおよびDicomTagServiceクラスのファイル・インタフェースが多数のファイルで実行されると、java.io.IOException: "Too many open files"例外が発生する場合があります。

回避策: ファイルからInputStreamを作成し、ファイル・インタフェースではなく、Oracle Multimedia中間層Java APIのDicomLocatorServiceクラスおよびDicomTagServiceクラスのInputStreamインタフェースをコールします。

5.36.14 Oracle OLAPに関する既知の不具合

Oracle Bug#8474636

次の状況でパーティション化されたキューブを構築すると、エラーが発生します。

  • NLS_DATE_LANGUAGEが英語以外の言語に設定されている場合。

  • キューブが時間ディメンションでパーティション化されている場合。

  • 時間ディメンションにマップする列に日付データ型がある場合。

回避策: NLS_DATE_LANGUAGEENGLISHに設定します。NLS_LANGUAGEは、使用しているアプリケーションでサポートされている言語に設定できます。

5.36.15 Oracle Net Servicesに関する既知の問題

Oracle Bug#8682102

ウォレットが作成され、マスター・キーが生成されたら、ウォレットを削除しないでください。暗号化関連の操作を実行するには、データベースでこのマスター・キーを特定する必要があります。

回避策: ウォレットを削除しても、ウォレットのバックアップ・コピーが存在する場合は、sqlnet.oraファイルで指定したウォレットの場所にバックアップ・コピーをリストアできる場合があります。

Oracle Bug#7602834

ネットワーク管理ホームページで、「ディレクトリ・ネーミング」を選択し、Oracle Internet Directoryの資格証明を指定すると、内部サーバー・エラーが発生します。

回避策1: Oracle Net Managerをかわりに使用します。

回避策2: 次のコマンドを実行します。

cp ORACLE_HOME/network/lib/libnldapj11.so ORACLE_HOME/lib/.
cd ORACLE_HOME/bin
./emctl stop dbconsole
./emctl start dbconsole

5.36.16 Oracle Real Application Clustersに関する既知の問題

Oracle Bug#8716518

別のユーザーを使用してOracle Restartをインストールする場合は、DBCAの前に、ユーザーgridをグループdbaに追加します。次に例を示します。

# usermod -a -G dba grid 

回避策: ありません。

Oracle Bug#8581327

パッチを適用するOracle RACのORACLE_HOMEからスタンドアロン・リスナーを実行している場合、ORACLE_HOME/bin/tnslsnrファイルがアクティブのために、Oracle RACへのパッチ適用(ローリング)およびOracle RACへのパッチ適用(すべてのノード)のプロシージャがCheckActiveFilesAndExecutablesの手順で失敗します。

回避策: パッチを適用するOracle RAC ORACLE_HOMEから実行されているスタンドアロン・リスナーを停止し、失敗したプロシージャを再試行します。

5.36.17 Oracle Streamsに関する既知の不具合

Oracle Bug#8739024

文DMLハンドラで、幅が固定されていないキャラクタ・セットのNCLOB列またはCLOB列を:new.nclob_columnなどのLCRフィールド式を使用してバインドすると、宛先表のNCLOBまたはCLOBが正しくなくなる場合があります。

回避策: プロシージャDMLハンドラを使用して、これらの列の表の適用をカスタマイズします。

Oracle Bug#8735201

OLTP圧縮された表から変更を適用すると、Streamsの適用プロセスがORA-26786エラーで中断する場合があります。通常、ORA-26786エラーは、ソース行の適用中にデータの競合が発生したことを示します。

回避策: ソース・データベースのエラーが発生した表で、OLTP圧縮を有効にしているかどうかを確認します。次の問合せのtablenameの部分を適切な表名に置き換えてください。パーティション化されていない表では、次の問合せを使用します。

SELECT table_name, compression, compress_for FROM user_tables WHERE 
table_name = 'tablename';

パーティション化されている表では、次の問合せを使用します。

SELECT table_name, partition_name, tablespace_name, compression, compress_for 
 FROM user_tab_partitions WHERE table_name = 'tablename'; 

競合エラーが発生する場合は、Streamsの競合ハンドラまたはエラー・ハンドラでDMLを実行できるようにします。次のORA-26786エラーが発生した場合に適用プロセスで処理を続行できるようにするには、disable_on_error適用パラメータを'N'に設定します。

exec DBMS_APPLY_ADM.SET_PARAMETER('apply_name', 'disable_on_error', 'N');

5.36.18 Oracle Universal Installerに関する既知の不具合

Oracle Bug#9593297

10.2.0.5 Cluster Ready Servicesを11.2.0.1 Oracle Clusterwareにアップグレードする際に、Oracle Universal Installer (OUI)が最初の画面で停止します。

回避策: 11.2.0.1 Oracle Clusterwareのアップグレードを開始する前に、次のコマンドを使用してOracle Clusterwareを停止します。アップグレードはローリング以外の方法で実行する必要があります。

Oracle Bug#8979500

グリッド・ネーミング・サービス(GNS)を使用して、Oracle ASMにOracle Cluster Registry (OCR)と投票ディスクが格納されているクラスタ用Oracle Grid Infrastructureをインストールすると、エラーが発生します。

GNSを使用して、OCRと投票ディスクがOracle ASMにあるOracle Database 11gリリース2(11.2)のクラスタ用Oracle Grid Infrastructureをインストールすると、root.shが失敗し、エラーPROT-1: Failed to initialize ocrconfigが表示されます。失敗したコマンドはocrconfig -upgrade oracle dbaで、SQL*Netログ・ファイルにTNS-12560が表示されます。

回避策: OCRで使用されているグループについて/etc/groupのエントリを確認し、このグループにリストされるユーザーの数を一時的に減らし、インストールを再起動します。

Oracle Bug#8947155

「デスクトップ・クラス」オプションを使用して単一インスタンスのOracle Databaseをインストールするときに、グローバル・データベース名のドメイン名が128文字を超えている場合でも、Oracle Universal Installerでは警告を表示しません。Database Configuration Assistantフェーズで、次のエラーが発生してインストールは失敗します。

ERROR at line 1: 
ORA-02086: database (link) name is too long

回避策: グローバル・データベース名のドメイン部分が、句読点を含めて128文字を超えないようにします。

Oracle Bug#8756488

インストーラ・サマリー・ダイアログには、ログおよびその他の構成データのサイズを含まないサイズ要件が表示されます。

回避策: 正常なインストールに必要な空きディスク領域の正しいサイズの詳細は、各インストレーション・ガイドを参照してください。

Oracle Bug#8752235

Oracle Cluster Registry (OCR)のインストール場所としてOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)を選択し、Oracle Universal Installer (OUI)の次の画面に移動して、OCRのインストール場所をFile Systemに変更すると、OUIは自動ストレージ管理構成アシスタント(ASMCA)を起動する前にroot.shを実行し、ASMCAが失敗します。

回避策: ASMCAを実行しないか、ASMCAのエラーを無視してインストールを終了します。

Oracle Bug#8744509

サイレント・インストール中に、Oracle Universal InstallerがresponseFileプロパティoracle.crs.config.clusterNodes. responseFileの完全修飾のホスト名を受け入れません。

回避策: サイレント・インストールで使用するレスポンス・ファイルで、ドメインを使用せずにホスト名を指定します。次に例を示します。

oracle.install.crs.config.clusterNodes=node1,node2

次のようにはしないでください。

oracle.install.crs.config.clusterNodes=node1.mydomain.com,node2.mydomain.com

Oracle Bug#8729326

11.2のClusterwareにアップグレードする場合、インストーラはASMCAをサイレント・モードで起動し、Oracle ASMをクラスタ用Oracle Grid Infrastructureホームにアップグレードします。11.1.0.7からアップグレードする際、Oracle ASMアップグレードはローリング方式で処理されます。前のバージョンのOracle ASMインスタンスは、ローリング方式以外の方法でアップグレードされ、Oracle ASMベースのデータベースは警告なしでバウンスされます。

回避策: すべてのノードでroot.shを実行してから、インストーラによるプロンプトを確認できる時点まで、データベースの停止を計画できます。この時点で、CRSはローリング方式でアップグレードされ、インストーラはASMCAをコールしてOracle ASMをアップグレードします。これにより、データベースはOracle ASMアップグレードの一部としてバウンスされます。

Oracle Bug#8714456

「グリッド・インフラストラクチャの更新」オプションを選択し、古いバージョンのOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)をOracle Database 11gリリース2 (11.2)にアップグレードします。

回避策: ありません。

Oracle Bug#8675426

データベース・ユーザーをディレクトリに移行すると、エンタープライズ・ユーザー・セキュリティのUMU (ユーザー移行ユーティリティ)が失敗し、次のエラーが表示されます。

Exception in thread "main" java.lang.NoClassDefFoundError:
oracle/security/pki/OraclePKIProvider
       at java.lang.Class.forName0(Native Method)
       at java.lang.Class.forName(Class.java:242)

回避策: ORACLE_HOME/umuスクリプトでは、ORACLE_HOME/ldap/jlibディレクトリにjarが必要です。しかし、jarはORACLE_HOME/jlibにあります。ORACLE_HOME/ldap/jlibにORACLE_HOME/jlibのシンボリック・リンクを作成します。たとえば、Linuxの場合はORACLE_HOME/ldapディレクトリで次のコマンドを使用します。

ln -s ORACLE_HOME/jlib jlib

Oracle Bug#8670579

64ビットAdvanced Micro Devices (AMD) AthlonハードウェアでLinux 32ビット・オペレーティング・システムを実行する場合、サード・パーティのコードに不具合があり、CPUタイプが正しく認識されません。これにより、DBCAまたはNETCAを使用した起動時にアプリケーションがクラッシュする可能性があります。

回避策: この問題を回避するには、この不具合用のパッチを適用します。

Oracle Bug#8666656

Oracleホーム(ORACLE_HOME/oui/bin/runInstaller)にあるOracle Universal Installer (OUI)のrunInstallerスクリプトでは、11.2.0.1リリースのOracle Database、クラスタ用Oracle Grid InfrastructureおよびOracle Databaseクライアントをインストールできません。

回避策: それぞれの11.2.0.1.0製品メディアのOracle Universal Installerを使用して製品をインストールします。

Oracle Bug#8638708

Oracle Universal Installer (OUI)のデータベース構成「デスクトップ・クラス」を選択すると、リスナーおよびデータベース制御は、ホスト名として'localhost'で構成されます。Oracle Enterprise Manager Database Controlのemctlを使用したstartおよびstop操作が失敗する場合があります。

回避策: 該当のホームでemctlを使用するDatabase Controlの起動および停止操作では、ORACLE_HOSTNAME環境変数を'localhost'に設定します。

Oracle Bug#8407818

addNode.shを使用して、共有Oracle Databaseホームに新しいノードを追加すると、新しく追加したノードの/etc/oratabに、addNode.shの実行元のソース・ノードに存在するソース・データベース名のエントリが入ります。DBCAを使用して新しいノードでデータベース・インスタンスが追加されると、新しいノードの/etc/oratabファイルにデータベース・エントリが入ります。

回避策: ソース・ノードからDBCAを起動して、新しいノードでデータベース・インスタンスを新しく追加する前に、エディタを使用して新しいノードで/etc/oratabファイルを開き、ソース・データベース名のエントリを削除します。

Oracle Bug#7388999

addNode.shスクリプトがGUIモードでサポートされません。

回避策: 必須パラメータを使用して、サイレント・モードでaddNode.shのみを使用します。

5.36.19 Database Controlのパッチ適用に関する既知の不具合

Oracle Bug#6489313

Oracleスタンドアロン・データベースおよびOracle RACデータベースのインストールで、オペレーティング・システムの認証が無効になっていると、それらのデータベースへのパッチ適用のデプロイメント・プロシージャでSQLスクリプトが実行されません。パッチを適用すると、プロシージャが失敗します。

回避策:

パッチのREADMEの指示に従って、パッチを適用するOracleホーム以外で実行中のデータベース・インスタンスで、SQLスクリプトを実行します。

5.36.20 Oracle Warehouse Builderに関する既知の不具合

『Oracle Warehouse Builderリリース・ノート』の未解決の不具合と既知の問題に関する項を参照してください。

5.36.21 RMAN関連の既知の不具合

Oracle Bug#8652023

月末が近くなった時点でCATALOG BACKUPPIECEが使用されると、バックアップ・ピースの完了日が無効な日付になる場合があります。

回避策: 月末が近くなったら、CATALOG BACKUPPIECEを使用しないでください。

Oracle Bug#8631293

DUPLICATEコマンドを実行中の新しいデータベースのinit.oraファイルにDB_RECOVERY_FILE_DESTパラメータおよびDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEパラメータが設定されている場合、Recovery Manager (RMAN)コマンドのDUPLICATEが失敗し、RMAN-06551が表示される場合があります。

回避策: DUPLICATEコマンドの実行が終了するまでは、新しいデータベースのinit.oraファイルにDB_RECOVERY_FILE_DESTパラメータおよびDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEパラメータを設定しないでください。

Oracle Bug#8572507

削除したファイルに関するデータファイルの情報を格納したバックアップ・セットでRMAN list backupsetコマンドを実行すると、エラーが返されます。

回避策: list backupsetではなく、RMAN list backupコマンドを使用します。

Oracle Bug#8559328

ユーザー定義のオブジェクト・タイプに依存するオブジェクトを持つ表領域で、Recovery Manager (RMAN)の表領域のPoint-in-Timeリカバリ(TSPITR)を試みると、データ・ポンプ・インポート・ユーティリティ(impdp)がORA-31684で失敗します。

回避策: このエラーは無視し、表領域の状態をREAD WRITEに変更してください。表領域の状態はREAD ONLY(OFFLINEではなく)に思われますが、表領域の状態をREAD WRITEに変更すると、リカバリ済のすべてのオブジェクトを使用できます。