ここでは、Oracle Database 11gリリース2 (11.2)のパフォーマンス・チューニングに関連した新機能について説明するとともに、追加情報の記載場所も示します。ここで説明する機能と拡張機能は、データベースのパフォーマンスを最適化することを目標としています。
Oracle Database 11gリリース2 (11.2)のすべての新機能の概要は、『Oracle Database新機能ガイド』を参照してください。
パフォーマンス・チューニングの新機能および更新された機能には、次のものがあります。
動的統計の拡張
以前のリリースでは、動的統計(以前は動的サンプリングと呼ばれていました)は、問合せ内の1つ以上の表にオプティマイザ統計が存在しない場合にのみ収集されました。Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.4)から、オプティマイザは、すべてのSQL文に対して、動的統計が有用であるかどうか、および使用する動的統計レベルを自動的に決定できるようになりました。たとえば、オプティマイザでは、表スキャン、索引アクセス、結合およびGROUP BY
操作の間に動的統計を収集するかどうかを自動的に決定します。この拡張された動作は、OPTIMIZER_DYNAMIC_SAMPLING
初期化パラメータに、新しい値である11
を設定した場合にのみ有効となります。
「動的統計の制御」を参照してください。
パフォーマンス・チューニングの新機能および更新された機能には、次のものがあります。
リソース・マネージャのパラレル文のキューニングに関する強化
リソース・マネージャを使用して、パラレル文キューで文の順序を管理できます。たとえば、優先順位の高い文がキューに留まる時間を短くすることができます。また、ディレクティブを使用して、1つのコンシューマ・グループがすべてのパラレル・サーバーを占有するのを防ぎ、パラレル文が開始されるまでの最大待機時間を秒単位で指定できます。
詳細は、「Oracle Database Resource Managerを使用したCPUリソースの管理」および『Oracle Database VLDBおよびパーティショニング・ガイド』を参照してください。
リソース・マネージャのCPU使用制限に関する強化
リソース・マネージャを使用して、コンシューマ・グループのCPU消費量を制限できます。この機能は、優先順位の低いセッションのCPU消費量を制限して、コンシューマ・グループ内のワークロードにより安定したパフォーマンスを提供できるようにします。
詳細は、「Oracle Database Resource Managerを使用したCPUリソースの管理」を参照してください。
自動SQLチューニングの新パッケージ
DBMS_AUTO_SQLTUNE
パッケージは、自動SQLチューニング・タスクを管理するための新しいインタフェースです。SQLチューニング・アドバイザ・パッケージDBMS_SQLTUNE
はADVISOR
権限を必要としますが、これとは異なり、DBMS_AUTO_SQLTUNE
ではDBA
ロールを必要とします。
詳細は、「自動SQLチユー二音グの構成」を参照してください。
Oracle Orion I/O測定ツールのマニュアル
Oracle Orionは、Oracleのインストールやデータベースの作成を行わなくてもOracleデータベースのパフォーマンスを予測できるツールです。他のI/O測定ツールとは異なり、Oracle Orionは、Oracleと同じI/Oソフトウェア・スタックを使用してOracleデータベースのI/Oワークロードをシミュレートするように特別に設計されたものです。またOrionは、Oracle Automatic Storage Managementによって実行されるストライプ化の効果もシミュレートすることができます。
詳細は、「Oracle Orion測定ツールによるI/O測定」を参照してください。
パフォーマンス・チューニングの新機能および更新された機能には、次のものがあります。
新しい自動ワークロード・リポジトリ(AWR)ビュー
AWRは、DBA_HIST_DB_CACHE_ADVICE
およびDBA_HIST_IOSTAT_DETAIL
などの複数の新規履歴ビューをサポートします。
詳細は、「自動ワークロード・リポジトリ・ビューの使用」を参照してください。
新しい自動ワークロード・リポジトリ・レポート
Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC)に新しいAWRレポートおよびAWR期間比較レポートが追加されました。
詳細は、「自動ワークロード・リポジトリ・レポートの生成」および「自動ワークロード・リポジトリ期間比較レポートの生成」を参照してください。
クライアントの結果キャッシュのための表注釈のサポート
クライアントの結果キャッシュは表注釈をサポートします。
詳細は、「結果キャッシュの表注釈の使用」を参照してください。
PL/SQLファンクションのRESULT_CACHE
注釈の拡張
Oracle Database 11gリリース1(11.1)では、注釈付きの表を参照する問合せを実行するPL/SQLファンクションにはRELIES_ON
句が必要でした。この句は非推奨になり、必要ではなくなりました。
文レベルで並列度を指定するヒント
パラレル・ヒントの有効範囲が拡張され、文レベルが含まれます。
詳細は、「パラレル実行のヒント」を参照してください。
メモリー内パラレル実行
パラレル問合せを使用する場合、SQL文を直接PGAに読み込むのではなく、データベース・バッファ・キャッシュを使用するようにデータベースを構成できます。この構成は、データベース・サーバーのメモリー容量が大きい場合に適しています。また、Oracle Real Applications Cluster(Oracle RAC)データベースはすべてのノードのバッファ・キャッシュのサイズを集計できるため、より大きいオブジェクトやより多くの問合せのキャッシュが可能になります。
詳細は、「バッファ・キャッシュの効果的な使用」を参照してください。
オンライン・アプリケーション・アップグレードのヒント
オンライン・アプリケーション・アップグレードのヒントは、編集ベースの再定義を使用してオンライン・アプリケーション・アップグレードを行う場合のINSERT
操作とUPDATE
操作の競合を処理する方法を提示します。詳細は、「オンライン・アプリケーション・アップグレードのヒント」を参照してください。
SQLチューニング・アドバイザの拡張
このリリースでのSQLチューニング・アドバイザの拡張は次のとおりです。
SQLチューニング・アドバイザは、SQL文をチューニングする際に、リアルタイムおよび履歴パフォーマンス・データで、文の代替実行計画を検索します。最初の計画以外の計画が存在する場合、SQLチューニング・アドバイザは、代替計画が見つかったことを報告します。「代替計画分析」を参照してください。
Oracle Database 10g(リリース2)以上で作成された任意のデータベースにSQLチューニング・セットを転送できます。これは、SQLパフォーマンス・アナライザを使用してテスト用データベースで回帰をチューニングする場合に役立ちます。「SQLチューニング・セットの転送」を参照してください。
SQLチューニング・アドバイザは、自動並列度(自動DOP)機能を使用するプロファイルを受け入れるよう推奨する場合もあります。パラレル問合せプロファイルは、元の計画がシリアルの場合で、パラレル実行により実行時間の長い問合せの経過時間を大幅に削減できる場合にのみ推奨されます。「SQLプロファイルの推奨事項」を参照してください。
ストアド・アウトラインのSQL計画ベースラインへの移行
Oracle Databaseでは、ストアド・アウトラインからSQL計画ベースラインに安全に移行できます。移行した後、ストアド・アウトラインを使用した場合と同じ計画の安定性を維持し、SQL計画管理フレームワークで提供された拡張機能を使用できます。詳細は、「ストアド・アウトラインのSQL計画ベースラインへの移行」を参照してください。