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Oracle® Database新機能ガイド
11gリリース2(11.2)
B56319-08
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3 Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.2)の新機能

この章では、Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.2)のすべての新機能を説明します。

3.1 一般

次の各項では、Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.2)の新機能について説明します。

3.1.1 一般

次の各項では、11.2.0.2の新機能について説明します。

3.1.1.1 NOLOGGING操作中に無効にできる制御ファイルの更新

パラメータDB_UNRECOVERABLE_SCN_TRACKING = [ TRUE | FALSE ]を使用することで、NOLOGGING直接パス操作中に、最もリカバリが難しいSCNおよびTimeを追跡するフィールドを更新する制御ファイルの書き込みを無効にできます。

NOLOGGINGロード操作のパフォーマンスは、制御ファイルの書込みI/Oにより制限できる場合があります。

3.1.1.2 自動SQLチューニング構成用の新パッケージ

新しいPL/SQLパッケージDBMS_AUTO_SQLTUNEが、自動SQLチューニング機能へのアクセス制限を強化するために導入されました。

このパッケージにより、自動SQLプロファイル作成の有効化または無効化など、問合せオプティマイザの実行時の動作に影響を与える自動SQLチューニングの構成設定をDBAのみが変更できるように、自動SQLチューニングへのアクセスをDBAに限定できます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』を参照してください。


3.1.1.3 DBMS_SCHEDULER電子メール通知のセキュリティの強化

Oracle Schedulerの電子メール通知機能に暗号化と認証が追加されました。

ジョブの失敗に関する電子メール通知はリリース11.2.0.1で追加されましたが、暗号化または認証のいずれかが必要な電子メール・サーバーはサポートしていませんでした。リリース11.2.0.2では、このサポートが追加されました。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。


3.1.1.4 TRUNCATE機能の強化

表またはパーティションの切捨て中に、セグメントを保持するかどうかを指定できるようになりました。新しい拡張構文を使用して表またはパーティションを切り捨てると、すべてのセグメントが削除され、新規データが挿入されるまで領域は使用されません。

新しい拡張構文を使用して表またはパーティションを切り捨て、どのアプリケーションでも領域のフット・プリントを最適化することにより、データベースで割り当てられたすべての領域が再利用できるようになりました。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。


3.1.1.5 クライアントのインプレース・アップグレードのサポート

インプレースおよびアウトオブプレースの両方のアップグレードがクライアント・インストール用にサポートされています。

余分な記憶域の必要性を減らし、インストール・プロセスを単純化するインプレース・クライアント・アップグレードを実行するオプションを選択できるようになりました。


関連項目:

詳細は、Oracle Database Clientのインストレーション・ガイドを参照してください。


3.1.1.6 オンデマンドのセグメント作成のメンテナンス・パッケージ

顧客は、拡張されたDBMS_SPACE_ADMINパッケージの機能を介して、任意のアプリケーションの領域割当てを管理できます。このパッケージは、データベース、ユーザー・スキーマにおけるすべての空の表、または特定の表のセグメントを削除するために使用できます。このパッケージは、遅延セグメント作成により、空の表またはパーティションのすべてセグメントをマテリアライズする逆の機能も提供します。

遅延セグメント作成の明示的な管理により、表またはパーティション作成後でも、随時この機能を利用できます。これは特にインプレースでアップグレードされたシステムに便利で、すべての空のオブジェクトの再作成が不要になります。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。


3.1.1.7 最大CPU使用率制限

リソース・マネージャには、MAX_UTILIZATION_LIMITという新しいディレクティブがあり、コンシューマ・グループが使用するCPUの量に厳しい制限を設定できます。

MAX_UTILIZATION_LIMITディレクティブは、優先順位の低いワークロードのCPU使用率を制限するのに役立ちます。このディレクティブは、コンシューマ・グループのワークロードのパフォーマンスをより安定したものにするためにも役立ち、エンド・ユーザーがデータベースの操作ごとに安定したレスポンス時間を体験できるシステムを構築する上で役に立ちます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。


3.1.1.8 名前の照合

この機能は、正しい名前(および単語)の照合のために、問合せを入力として解釈する効率的な方法を提供し、一致のランク付けリストを返します。この機能には、新しい演算子NDATAが導入されました。

現代の多文化社会では、ある文化のスペリングの規則に慣れた人が、別の文化に起源を持つ名前に同じ規則を適用することは難しい場合があります。

名前の照合は、正字法の違いによりスペリングが異なる可能性がある正しい名前を一致させるための解決策を提供します。


関連項目:

詳細は、『Oracle Textリファレンス』を参照してください。


3.1.1.9 名前付きエンティティ抽出

エンティティ抽出は、エンティティ名(人および組織)、場所、一時的表現、および通貨や尺度などの数値表現のタイプの認識です。

エンティティ抽出の目的は、テキスト・ドキュメントで、事前に指定した特定のエンティティ・クラスのインスタンスを識別することです。

利点は、後からテキストまたはデータ・マイニングや、より総合的な情報分析に使用できる、ドキュメントの構造化されたビューを作成することです。


関連項目:

詳細は、『Oracle Textリファレンス』を参照してください。


3.1.1.10 パーティション化された表の新規セグメントの最初のエクステントのデフォルト・サイズを変更

パーティション化された表の新規セグメントの最初のエクステントのデフォルト・サイズは、64KBではなく8MBになりました。

目標は、I/Oパフォーマンスの改善です。ただし、特定の状況下では、表のロードにかなり大きなディスク領域が必要になります。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。


3.1.1.11 パラレルな文のキューイング

パラレルな文のキューイングは、システムがパラレル・サーバー・プロセスにとって過剰でも不十分でもないことを確認できるようにして、システム上で実行されているすべての文が、適切なパラレル・リソースを確保し、うまく機能するようにします。キューイングは、リソース・グループごとに実行でき、文の優先度付けと前述のパラレル・ワークロードの管理の両方を可能にします。パラレルな文のキューイングは、自動並列度とともに機能します。

データ・ウェアハウスは、操作環境ともっと標準的な戦略的データ・ウェアハウス・ワークロードの両方をサポートするシステムに進化しつつあります。これらの混合ワークロードには、アクティブなワークロード管理が必要です。ワークロード管理プロセスの一部として管理する必要のあるこれらのリソースの1つは、パラレル・サーバー・プロセスの使用です。パラレル・サーバー・リソースは、自動並列度(DOP)によって割り当てられます。その後、システム制限内の最適なDOPにより各文を確実に実行できるように、文のキューイングが使用されます。各文が最適のDOPで実行されるようにすると、システムでは次のことが可能になります。

  • 全体的にうまく機能し、システム・リソース上での長い待機時間を回避します。

  • ピーク時または問合せの暴走でシステムが対応できなくなることなく、最適な方法ですべてのリソースを利用します。

  • 全体的なパフォーマンスの予測がより確実になるようにバランスを取ります。

  • ユーザーの不正使用に基づくのではなく、ポリシーに基づいて、適切なリソースを割り当てます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database VLDBおよびパーティショニング・ガイド』を参照してください。


3.1.1.12 PMMLのインポート

このリリースでは、データ・マイニング・グループ予測モデル・マークアップ言語(PMML)標準を使用した、外部データ・マイニング・モデル(リニアおよびバイナリのロジスティック回帰)のインポートがサポートされるようになりました。インポートされたモデルは、Oracle Exadataの負荷軽減ができるネイティブOracle Data Mining(ODM)モデルになります。

外部のデータ・マイニング製品を使用してモデルを生成した場合、それらのモデルを本番データベースにデプロイするときに異常が発生する可能性があります。そのようなモデルをデプロイする現行のプロセスは、費用がかかり、エラーが発生しやすく、パフォーマンスがよくありません。この機能は、外部モデルのOracle本番システムへの移動を簡素化し、ODMオプションの最適化されたパフォーマンスを利用します。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照してください。


3.1.1.13 結果セット・インタフェース

クライアント・インタフェースCTX_QUERY.RESULT_SETは、問合せを実行し、結果セットを生成します。結果セットのコンポーネントは次のとおりです。

  • ドキュメント。

  • SDATAによるサポート順序。

  • 一致するドキュメントの推定総数。

  • メタデータ値で分析された、各カテゴリの一致するドキュメントの数。

検索結果のページは、多くの異種要素で構成されます(たとえば、最初のいくつかのドキュメントのメタデータ、スニペット、合計ヒット数など)。検索結果を構成するためにデータベースにアクセスするかわりに、不要なもののない結果セットを得るメカニズムが役に立ちます。結果セット・インタフェースは、検索結果のページに必要な様々な種類のデータを同時に作成でき、オーバーヘッドを共有することでパフォーマンスを改善します。結果セット・インタフェースは、SQLでは表現しにくいデータ・ビュー(カテゴリ問合せによる上位nなど)も返すことができます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Textアプリケーション開発者ガイド』を参照してください。


3.1.1.14 パーティション化された表のセグメントのオンデマンド作成

最初にデータがオブジェクトに挿入されるまで、パーティション化された表および索引の最初のセグメントの作成を延期できます。個々のパーティションは、最初にデータが挿入されるまで物理的に作成されません。

あらかじめ同梱されたアプリケーションは、多数のパーティション化された表および索引を含む大きなスキーマとともに配布される場合があります。パーティション化された表のセグメントの作成を遅らせると、空のデータベース・オブジェクトが領域を消費しないため、インストール・フットプリントが減り、インストールが高速になります。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。


3.1.1.15 XMLおよびXQueryインタフェースの単純化

この機能により、XQuery 1.0標準の演算子fn:docおよびfn:collectionが拡張され、データベースに格納されているXMLドキュメントのコレクションに直接アクセスできます。

表およびビューのXMLコンテンツへの直接アクセスは、疑似プロトコルxdb://を介してDBUriスタイルのパスをサポートするために、fn:docおよびfn:collectionを拡張することで実現します。

Oracle XMLおよびXQueryインタフェースの単純化により標準的なメカニズムが実現し、メンテナンスがより簡単な移植性のあるXMLアプリケーションを構築できるようになり、不必要または未使用の機能は非推奨となります。


関連項目:

詳細は、『Oracle XML DB開発者ガイド』を参照してください。


3.1.1.16 SMTP認証

このリリースから、UTL_SMTP PL/SQLパッケージを、Transport Layer Security(TLS)とSecure Sockets Layer(SSL)の両サーバー用に構成できるようになりました。

これにより、パッケージを使用して、スパムを防ぐために認証が必要なSMTPサーバーに送信することができます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照してください。


3.1.1.17 SMTP暗号化

UTL_SMTPは、このリリースでSecure Sockets Layer(SSL)とTransport Layer Security(TLS)をサポートするように拡張されました。

これにより、パッケージを使用して、チャネルの整合性を保証するためにSSLとTLSを使用するSMTPサーバーに送信することができます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照してください。


3.1.1.18 Active Data Guard環境用のSPAのサポート

Oracle Active Data Guardフィジカル・スタンバイ・データベースを使用している場合、SQLパフォーマンス・アナライザ(SPA)によるテスト用に利用できる本番環境のフル・データセットまたはクローン、あるいはその両方がすで存在します。リモート・テスト実行SPAトライアル・メソッドを使用すると、読取り専用モードでフィジカル・スタンバイ・データベースに接続し、それをテストに使用することができます。フィジカル・スタンバイ・データベースは、SPAのテスト中、ずっと読取り専用のスタンバイ・モードのままです(変更は適用されます)。SPAの分析およびレポートは、SPAのトライアルを調整しているリモート・データベースから入手可能です。調整するデータベース(SPAシステム)は、プライマリ・データベースでも、Oracle Database 11g以上のリリースを実行している任意のリモート・データベースでもかまいません。

この機能により、顧客は既存のActive Data Guardフィジカル・スタンバイ・データベースをSQLパフォーマンス・アナライザのテストに利用できます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Databaseテスト・ガイド』を参照してください。


3.1.1.19 データベース・サービスのEDITION属性

データベース・サービスのEDITION属性は、そのサービスを使用して開始されるセッションの初期セッション・エディションを指定します。新規セッションを作成するプログラムで初期セッションが指定されていない場合、サービスで指定したエディション名が使用されます。サービスでエディション名が指定されていない場合、初期セッション・エディションはデータベースのデフォルト・エディションです。

ホット・ロールオーバーをサポートするためにエディションベースの再定義を実行する場合、データベースのクライアントは、アップグレード前のエディションを使用する場合と、アップグレード後のエディションを使用する場合があります。デフォルト・エディションは基本的に単一のエディションであるため、このシナリオでは、データベースのデフォルト・エディションでは不十分です。データベース・サービスのEDITION属性は、クライアント・コードを変更するのではなく、環境データを使用することで、クライアントがエディションを指定できる方法を提供します。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』を参照してください。


3.1.1.20 XMLTypeデフォルト記憶域としてのバイナリXMLとSecureFilesの使用

このリリースでは、デフォルトの記憶域モデルが、XMLType用にSTORE AS CLOBからSTORE AS SECURE FILE BINARY XMLに変わりました。これは、XMLTypeの表または列を作成する際に明示的なSTORE AS句を指定しなかったときに使用される記憶域に影響を与えます。STORE AS句を指定しないことは、最適の記憶域モデルはどうあるべきかの判断がデータベースに任されることを意味しています。

リリース11.2.0.2より前のデータベースでは、デフォルトの記憶域モデルはSTORE AS BASICFILE CLOBでした。11.2.0.2では、デフォルトがSTORE AS SECUREFILE BINARY XMLに変更されました。

この変更には、正しく機能するように、XDB機能のインストールが必要です。XDB機能のインストールを選択しない顧客は、DDLエラーを避けるために、XMLTypeの表または列を作成するDLL文に、明示的にSTORE AS CLOBを追加する必要があります。XDBをインストールせずにXMLTypeを使用することは、11.1.0.1の時点では構成としてサポートされていません。

データベースが11.2.0.2にアップグレードされるとき、データの移行は行われません。

バイナリXMLとSecureFilesの組合せは、半構造化および非構造化XMLデータに、効率的な記憶域、取得およびDML機能を提供します。XMLTypeのデフォルト記憶域をバイナリXMLとSecureFilesに変更することで、顧客がベスト・プラクティスを採用しやすくなります。


関連項目:

詳細は、『Oracle XML DB開発者ガイド』を参照してください。


3.1.1.21 JDBC 4.0 SQLXML

この機能は、データベースにおけるXMLデータ型の管理のためにSQLXMLインタフェースのJDBC 4.0仕様を実装します。

この機能により、JDBC-ThinまたはJDBC-OCIを使用するJavaアプリケーションで、標準のSQLXML(java.sql.SQLXML)を使用してデータベースのXMLデータ型を管理できます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database JDBC開発者ガイド』を参照してください。


3.1.1.22 XStreamでのIDキーLCR

IDキーLCRにより、XStreamクライアント・アプリケーションで、サポートされていないデータ型を含む行に対する変更の処理が可能になります。IDキーLCRには、行変更のためのすべての列が含まれるわけではありません。かわりに、変更される行の行ID、表内で行を識別するためのキー列のグループ、およびXStream Outでサポートされている表のスカラー列のデータが含まれています。IDキーLCRには、サポートされていないデータ型の列は含まれません。

この機能により、XStreamユーザーは、Oracle Streamsではサポートできないデータベースの変更を取得できます。


関連項目:

詳細は、Oracle Database XStreamのガイドを参照してください。


3.1.2 ACFSの改善

次の各項では、11.2.0.2でのACFSの改善について説明します。

3.1.2.1 SolarisおよびAIXでのACFS、ADVMおよびスナップショット

Oracle ACFS、Oracle ASM Dynamic Volume Manager(Oracle ADVM)およびスナップショットは、Windows NTおよびLinuxプラットフォーム上のOracle Database 11gリリース2(11.2.0.1)では提供されていませんでした。

Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.2)では、SolarisおよびAIXプラットフォームでOracle ASMの機能を利用する汎用クラスタ・ファイル・システムが提供されるようになりました。


関連項目:

詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


3.1.2.2 Oracle ACFSのレプリケーション

Oracle Automatic Storage Management Cluster File System(Oracle ACFS)のレプリケーション機能は、プライマリからスタンバイ・サイトへのACFSファイル・システムの非同期レプリケーションをサポートします。

Oracle ACFSのレプリケーション機能により、ネットワーク全体でACFSファイル・システムを別の(できるだけ遠方の)サイトにレプリケートできます。その結果、ファイル・システムの障害時リカバリ機能が実現します。この機能は、Oracle Data Guardとともに使用することで、すべてのOracleデータをレプリケートできます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


3.1.2.3 Oracle ACFSのセキュリティおよび暗号化機能

Oracle ASM Cluster File System(Oracle ACFS)のセキュリティ機能は、Oracle ACFSのレルムベースのセキュリティを提供します。

Oracle ACFS暗号化機能により、ディスクに保存されたデータ(保存データ)を暗号化できます。

Oracle ACFSのセキュリティ機能により、ユーザーまたはグループがファイル・システム・オブジェクトにアクセスするためのセキュリティ・ポリシーを指定するレルムを作成できます。Oracle ACFSのセキュリティ機能は、オペレーティング・システムで提供されるアクセス制御に加えて、よりきめ細かなアクセス制御を提供します。

Oracle ACFS暗号化機能により、Oracle ACFSファイル・システムのデータを暗号化したフォーマットで保存でき、データの損失または盗難が発生した場合に、データの不正使用を防ぎます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


3.1.2.4 Oracle ACFSのタグ付け

Oracle ACFSのタグ付け機能は、ファイルのグループをこれらのファイルに割り当てられたタグ名と呼ばれる共通の命名属性に基づいて関連付けるための方法です。

この機能は、単独でも他の機能との併用でも使用できます。たとえば、Oracle ACFSのレプリケーション機能と併用して、一意のタグ名を割り当てることにより、異なるリモート・クラスタ・サイトにレプリケートする特定のファイルを選択できます。次にOracle ACFSのレプリケーション機能に、このタグ名に基づいてファイルをレプリケートするように指示します。この点でタグ付け機能を使用することにより、Oracle ACFSファイル・システム全体をレプリケートする必要性が少なくなります。


関連項目:

詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


3.1.3 サービス品質(QoS)管理

新しいサービス品質管理サーバーにより、共有インフラストラクチャでのホスト・データベース・アプリケーションのサービス・レベルを、クラスタ管理者が実行時に管理できます。目標は使いやすい、ポリシー主導の管理システムを提供することで、十分なリソースが使用可能な場合は、サービス・レベルを満たすことを保証し、リソースが不十分な場合は、最も業務上の重要度の高いワークロードでサービス・レベルが満たされていないものに、重要度の低いものを犠牲にしてリソースを割り当てます。

次の各項では、サービス品質管理サーバーの機能を説明します。

3.1.3.1 データベースQoS管理サーバー

データベース・サービス品質(QoS)管理サーバーにより、システム管理者は、正確なランタイム・パフォーマンスとリソース・メトリックを相互に関連付け、ポリシーに基づいたパフォーマンス目標を達成する推奨リソース調整を行うために、専門システムを使用して分析を行うことで、Oracle Databaseクラスタにホストされているアプリケーションのサービス・レベルを管理できます。

データベースQoS管理サーバーではリソースのプーリングが可能になり、十分なリソースが使用可能な場合には、たとえ要求が急増しても、パフォーマンスと可用性の目標を確実に達成できます。事前に定義された一連のポリシーを使用して、パフォーマンス目標を達成するためにリソース割当てを管理することで、データベースQoS管理サーバーはシステム管理者やDBAの時間と専門知識を大幅に軽減します。実際の要求に基づいてシステム・パフォーマンスを絶え間なく監視することにより、実際の機能停止が発生する前に修正可能なボトルネックや潜在的な問題を迅速に特定します。このシステムでは、詳細なメトリックやボトルネックを確認し、それとともに解決のための推奨事項が提供されるため、サービス・レベルの違反の解決にかかる時間が短縮されます。最終的には、リソースの共有により資本と運営費を軽減することに対する利害関係者の信頼が得られます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database Quality of Service Managementユーザーズ・ガイド』を参照してください。


3.1.3.2 データベース・サービス品質(QoS)管理のサポート

データベース・サービス品質(QoS)管理サーバーをサポートするために、Oracle Database Resource Managerとメトリックが、きめ細かいパフォーマンス・メトリックをサポートするように強化され、ユーザー定義のパフォーマンス・クラスによりワークロードを管理できるようになりました。

データベースQoS管理サーバーをサポートすることで、クラスタ内の単一のデータベースまたは複数のデータベースを共有するアプリケーションを個々に管理して、それらのサービス・レベルの監視およびメンテナンスが可能になります。この統合で、ビジネス目標を維持しながら、ハードウェア、ソフトウェアおよび管理のコストが削減されます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database Quality of Service Managementユーザーズ・ガイド』を参照してください。


3.1.3.3 Enterprise Manager QoS管理統合

データベース・サービス品質(QoS)管理サーバーの管理は、Enterprise Managerの新しいクラスタ管理セクションに統合されます。これは、ウィザードを使用したポリシー・セットの作成、ダッシュボードを使用したアプリケーション・サービス・レベルの管理、履歴グラフ、ログおよびアラートによるパフォーマンスの監視を行うことを目的としたタスク・ベースのインタフェースとして設計されています。

この機能は、タスク・ベースで完全にEnterprise Managerに統合され、データベースQoS管理サーバーを使用したデータベース・アプリケーションのサービス・レベルの管理に必要な管理タスクを簡略化します。これにより、タスクとトラブルシューティングの時間が短縮されるだけでなく、要求されるトレーニングのレベルも下がるため、アプリケーションの可用性を維持しながらコストを削減できます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database Quality of Service Managementユーザーズ・ガイド』を参照してください。


3.1.3.4 Oracle Clustersのためのサーバー・メモリーのストレス保護

QoS管理が有効で、Oracle Clusterwareサーバー・プールの管理中に、使用可能なメモリー量、使用中のメモリー量、サーバーごとにディスクにスワップされているメモリー量など、リアルタイムのメモリー・データを提供するクラスタ状態モニターから、メトリック・ストリームを受信します。ノードのメモリーにストレスがかかっていると判断された場合、そのノードではCRSの管理対象データベース・サービスが停止し、新たな接続が作成されないようにして、既存のセッションが保護されます。メモリー・ストレスが軽減されると(たとえば、既存のセッションの終了やユーザーの介入のいずれか)、サービスは自動的に再開され、リスナーではそのサーバーでの接続開始を送信し始めます。

企業のデータベース・サーバーでは、セッションや暴走ワークロードが多すぎて、使用可能なメモリーがなくなる可能性があります。その結果、トランザクションの失敗や、極端な場合には、サーバーの再起動による貴重なリソースの損失が発生しかねません。Oracle Database QoS Managementでは、メモリー不足をリアルタイムで検出し、新規セッションの追加により使用可能なメモリーがなくなるのを防ぎ、それにより既存のワークロードやサーバーの可用性を保護します。これにより、Oracle RACデータベース・ホスト・アプリケーションのサービス・レベルの管理に、新しいリソース保護機能が加わります。

3.1.4 データベース・リプレイ

次の各項では、11.2.0.2の新しいデータベース・リプレイ機能について説明します。

3.1.4.1 データベース・リプレイとSQLパフォーマンス・アナライザ(SPA)の統合

この機能により、SQLチューニング・セット(STS)取得およびワークロード取得、またはリプレイを1つのプロセスで同時に実行できます。取得またはリプレイ用のAWRデータが指定したディレクトリ・オブジェクトにエクスポートされると、STSが自動的にエクスポートされます。SPAとデータベース・リプレイを統合することにより、ワークロードのSQL中心の問題を、別の手順で手動で行うよりも簡単に分析できます。ワークロード・リプレイの最後にSPAレポートを生成でき、SQL中心の分析が容易になります。Oracle RACはまだサポートされていません。

SPAとデータベース・リプレイの機能を統合するこにより、SQLチューニング・セットおよびワークロードの取得またはリプレイを、1つのプロセスで同時に実行できるようになります。その結果、SPAレポートが得られ、ワークロード・リプレイが終了した時点でのSQL中心の分析に役立ちます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Databaseテスト・ガイド』を参照してください。


3.1.4.2 データベース・リプレイ・タイムアウト機能

ワークロードのリプレイ中、実行計画、システム変更またはその他が原因で、リプレイ・コールがハングするか、長くかかる場合があります。リプレイ・タイムアウト・パラメータを指定できます。コールがタイムアウトを超える場合、そのコールは中断します。1つまたは複数のコールの結果、ワークロードのリプレイが長くなりすぎたり、あるいはハングしたりする場合に、これはワークロードについて便利です。これらを中断しても、有益なワークロード・リプレイはそのまま提供されます。

データベース・リプレイのタイムアウト機能により、長く続くリプレイまたはランナウェイ・リプレイ・コールにかかる時間を制御できます。この機能がなければ、場合によっては、リプレイ・コールに長い時間がかかったり、ハングしたりする可能性があります。


関連項目:

詳細は、『Oracle Databaseテスト・ガイド』を参照してください。


3.1.4.3 データベース・リプレイ・ワークロード・アナライザ

データベース・リプレイ・ワークロード・アナライザは、取得したワークロードを分析し、それをどのくらい確実にリプレイできるかを評価するツールです。不十分なデータ、取得中のエラー、データベース・リプレイでサポートされていない機能の使用が原因で、正確にリプレイできない部分を概説することにより、リプレイ中に発生する可能性のある潜在的な問題を明らかにします。

この機能により、ワークロードの取得時に、そのワークロードが将来のテスト用として信頼できるものかどうかがわかります。


関連項目:

詳細は、『Oracle Databaseテスト・ガイド』を参照してください。


3.1.5 管理

次の各項では、11.2.0.2の新しい管理機能について説明します。

3.1.5.1 DBCAのOracle RAC One Nodeデータベース作成サポート

このリリースでは、Oracle Database Configuration Assistant(DBCA)で、データベース作成プロセスの一部として、Oracle Real Application Clusters One Node(Oracle RAC One Node)データベースの作成がサポートされるようになりました。

Oracle RAC One Nodeは、Oracle Database 11.2.0.1で導入されたOracle Enterprise Editionに対する新しいオプションです。Oracle DBCAでは、Oracle RAC One Nodeデータベースを認識し、必要な構成オプションを提供して、Oracle RAC One Nodeの管理がしやすくなりました。


関連項目:

詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。


3.1.5.2 インストール時に最新の更新をダウンロードするオプション

この機能により、インストーラで基本製品だけでなく、インストーラ自体の必須パッチもインストール時にダウンロードできるため、後から適用する必要がありません。また、リースの途中で、インストール上の問題を解決することもできるため、メディアを再編集したり、不具合の修正を後のリリースに延期したりすることもありません。

現在のところ、基本インストールに不具合がある場合、次のリリースでそのバグが修正されるまで待つ必要があります。この機能は、リリースの途中で、インストール上の問題を解決するのにも役立ち、メディアを再編集したり、不具合の修正を後のリリースに延期したりすることもありません。また、基本製品の必須パッチも適用されるため、そのまますぐにより確実なインストールが行えます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Databaseインストレーション・ガイド for Linux』を参照してください。


3.1.5.3 Oracle ASM Configuration Assistantによるアウトオブプレース・アップグレードのサポート

クラスタ用Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2では、アウトオブプレース・アップグレードがサポートされます。Oracle ASM Configuration Assistant(ASMCA)は、この新リリースへのアウトオブプレース・アップグレードを完全にサポートするようになりました。

グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)により、この新リリースへの環境のアップグレードを、対話型の方法で簡単に行えます。スクリプト作成ができるように、アシスタントには非対話(サイレント)型の方法も用意されており、顧客が使用する様々なデプロイ・シナリオに対応します。


関連項目:

詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


3.1.5.4 Oracle Database Upgrade Assistantによるアウトオブプレース・アップグレードのサポート

クラスタ用Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2では、アウトオブプレース・アップグレードがサポートされます。Database Upgrade Assistant(DBUA)は、この新リリースへのアウトオブプレース・アップグレードを完全にサポートするようになりました。

グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)により、この新リリースへの環境のアップグレードを、対話型の方法で簡単に行えます。スクリプト作成ができるように、アシスタントには非対話(サイレント)型の方法も用意されており、顧客が使用する様々なデプロイ・シナリオに対応します。


関連項目:

詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。


3.1.5.5 Oracle Enterprise Manager DB ControlによるOracle RAC One Nodeのサポート

Oracle Enterprise Manager DB Controlでは、Oracle RAC One Nodeデータベースがサポートされます。

Oracle RAC One Nodeは、Oracle Database 11.2.0.1で導入されたOracle Enterprise Editionに対する新しいオプションです。Oracle Enterprise Manager DB Controlでは、Oracle RAC One Nodeデータベースを認識し、使いやすいグラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)で必要な構成オプションが用意されているため、すでに使用可能なコマンドライン・ツールよりもはるかにOracle RAC One Nodeの管理が簡単になります。

3.1.5.6 Oracle RAC One Nodeデータベースのオンライン再配置

Oracle RAC One Nodeにより、Oracle RAC One Nodeデータベースを1つのサーバーから別のサーバーへオンラインで再配置できます。移行期間は最大12時間までカスタマイズ可能です。

Oracle RAC One NodeでOracle RAC One Nodeデータベースを1つのサーバーから別のサーバーへオンラインで再配置できることにより、Oracle Databaseに基づくアプリケーションの可用性が高まります。ワークロード・バランシングのためや、サーバー上、オペレーティング・システム上で、あるいは定期的にOracleソフトウェアにパッチを適用する際に、計画されたメンテナンスを実行するために、データベースを移動できるようになりました。


関連項目:

詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。


3.1.5.7 Oracle RAC One NodeデータベースのSRVCTLベースの管理

Oracle RAC One Nodeは、Oracle Database Enterprise Editionへの新しいオプションです。Oracle RAC One Nodeは、他のOracle RACデータベースと同様に、SRVCTLを使用して管理できる、1つのアクティブ・データベース・インスタンスのみを実行するOracle RACデータベースを表します。

SRVCTLを使用することで、Oracle RAC One Nodeデータベースの管理が簡略化され、最適化されます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。


3.1.5.8 CRSCTLコマンドの強化

CRSCTLコマンド・セットは、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureの様々な新しいリソースを管理できるように強化されました。

これらの新しいコマンドを使用することにより、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureの管理が簡略化されます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。


3.1.5.9 SRVCTLコマンドの強化

SRVCTLコマンド・セットは、クラスタ用Oracle Grid InfrastructureやOracle RACの様々な新しいリソースを管理できるように強化されました。

これらの新しいコマンドを使用することにより、Oracle RACやクラスタ用Oracle Grid Infrastructureの管理が簡略化されます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。


3.1.5.10 強化されたXStreamの管理性

XStreamの管理性を高めるために、新しいプロセス・パラメータが追加され、プロセス・メモリー制御などの機能、シーケンスへの変更、特定のユーザーまたはトランザクションによって実行された変更を除外する機能が加わりました。SCNまたはTIMEのいずれかによるストリーム内での再配置が利用できます。さらに、V$XSTREAM_OUTBOUND_SERVERV$XSTREAM_TRANSACTIONなど、XStream固有の新しいビューが加わり、既存のビューは、プロセスのクライアント・ステータスやメモリーの使用状況などの追加情報を提供するように拡張されました。

これらの強化により、XStreamユーザーのXStream処理に対する制御性および可視性が高まります。


関連項目:

詳細は、Oracle Database XStreamのガイドを参照してください。


3.1.5.11 サプリメンタル・ロギングおよびXStreamでの列圧縮のサポート

Oracle StreamsおよびXStreamでは列圧縮がサポートされるようになりました。

この機能により、ハイブリッド列圧縮を使用して圧縮された表のロジカル・レプリケーションが可能になります。


関連項目:

詳細は、『Oracle Streams概要および管理』を参照してください。


3.1.5.12 インストール後のクラスタ構成用のスタンドアロン構成ウィザード

クラスタ用Oracle Grid InfrastructureとOracle Database 11gリリース2のインストールには、ソフトウェア専用オプションが含まれます。このウィザードは、ソフトウェアのインストールとは関係なく、クラスタ構成を完了することで、管理者を支援します。

構成ウィザードは、ソフトウェア・インストールとは関係なく、クラスタを構成する使いやすいインタフェースです。顧客サイトでソフトウェアをインストール後に構成することは、標準的な要件です。

クラスタ用のOracle Grid Infrastructureを一括デプロイできることが必要な顧客、またはリモート・インストールをサポートする必要のある顧客は、この機能の恩恵を受けます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。


3.1.5.13 冗長な相互接続の使用

Oracle RACには、Oracle RACクラスタのサーバー間に専用のネットワーク接続が必要です。相互接続と呼ばれる専用のネットワーク接続は、クラスタ内の通信には不可欠です。ロード・バランシングや障害保護には冗長なネットワーク接続の使用をお薦めします。これまでのリリースでは、相互接続のために冗長なネットワークを利用するには、結合やトランキングのようなテクノロジを使用する必要がありましたが、クラスタ用Oracle Grid InfrastructureとOracle RACにより、クラスタ内での最適な通信を保証するために、冗長なネットワーク・インタフェースを使用する固有の方法が提供されるようになりました。

冗長な相互接続の使用で、Oracle RACクラスタの安定性、信頼性およびスケーラビリティが最適化されます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』を参照してください。