ヘッダーをスキップ
Oracle® Database新機能ガイド
11gリリース2(11.2)
B56319-08
  目次へ移動
目次

前
 
次
 

2 Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.3)の新機能

この章では、Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.3)のすべての新機能を説明します。

2.1 一般

次の各項では、Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.3)の新機能について説明します。

2.1.1 Pillar AxiomおよびSun ZFSSAでのハイブリッド列圧縮のサポート

Oracleのハイブリッド列圧縮(HCC)テクノロジは、データベース・ブロック内のデータを構成するための(Oracle Database 11gリリース2)の新しい方式です。HCCでは、データの格納に行と列の両方を組み合せて使用します。HCC圧縮行のセットの格納には、圧縮ユニットと呼ばれる論理構造体が使用されます。データがロードされると、行のグループが列形式で格納され、指定した列の値が一緒に格納されて圧縮されます。行のセットの列データが圧縮されると、圧縮ユニットに格納されます。同じデータ型や同様の特性の列データを一緒に格納すると、圧縮によってストレージの容量が大幅に節約されます。この機能では、ハイブリッド列圧縮をPillar AxiomおよびSun ZFS Storage Appliance(ZFSSA)ストレージに拡大します。

PillarおよびZFSSAでハイブリッド列圧縮をサポートすることにより、Oracle Databaseユーザーは、Pillar AxiomおよびSun ZFS Storage Appliance(ZFSSA)ストレージ・ハードウェアでハイブリッド・コラム圧縮を使用できます。これにより、以前はOracle Exadataプラットフォームに限定されていた、Oracleのハイブリッド列圧縮のストレージのメリットが、Pillar AxiomまたはSun ZFSSAストレージ(あるいは両方)を使用するOracle Databaseユーザーも利用できるようになり、データやユーザーが選択した圧縮レベルに応じて、10~50倍の圧縮率が可能になりました。


関連項目:

詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。


2.1.2 SHA-2証明書署名のサポート

この新機能では、データベースで旧式のSHA-1署名の証明書だけでなく、SHA-2(256ビット)署名の証明書も扱えるようになりました。これらの証明書は別の認証局で発行され、セキュアなデータベース接続が確立されている場合(たとえば、証明書ベースのネットワーク暗号化や認証が使用されてる場合)に、データベースとクライアントの間で交換されます。

この機能拡張は、認証局が旧式のSHA-1署名の証明書の発行を停止した場合、期限切れに直面しているカスタマにとって特に不可欠です。

2.1.3 Solaris用TDEハードウェア・アクセラレーション

透過的データ暗号化(TDE)では、暗号化および復号化処理を高速化する専用の暗号シリコンを搭載したデータベース・ホスト・マシンを自動的に検出します。検出されると、TDEは専用のシリコンを使用して暗号処理を実行し、暗号パフォーマンス全体を高速化します。

以前のリリースでは、TDEの暗号ハードウェア・アクセラレーションはIntel Xeonでしか使用できず、Linuxにしか対応していませんでした。リリース11.2.0.3以降では、SPARC TシリーズおよびIntel Xeonの両方で実行される現行バージョンのSolaris 11でも使用できます。

2.1.4 スマート・カードでの複数証明書のサポート

たとえば、1つ以上のデジタル証明書が記録されているカードをデータベース・ユーザーがカード・リーダー・デバイスに挿入し、対応する個人識別番号(PIN)を手動で入力するシナリオを想定します。オラクルでは、これまでデータベースのカード・ベースの認証をサポートしてきましたが、リリース11.2.0.3以降は、カードに複数の証明書が記録されている場合でも処理できるようになりました。データベースは、どの証明書を読み取るかをインテリジェントに選択し、目的の証明書が判断できない場合は、Windowsクライアント・マシンで選択ボックスをポップアップ表示します。

これは、Oracle Databaseのログインに、カード・ベースの2つの要素による認証を使用するカスタマにとって重要な機能拡張です。2004年8月には、Homeland Security Presidential Directive Number 12(HSPD-12)が施行され、政府のIDカード・システムが統一されました。新しいガイドラインでは、デジタル証明書を記録したCommon Access Card(CAC)の導入が義務付けられています。

2.1.5 QoS管理でのOracle RAC Enterprise Editionのサポート

Oracle Exadata Quality of Service Management(QoS Management)を使用すると、システム管理者はOracle RAC Enterprise Editionデータベース上でホストされているアプリケーションのサービス・レベルを直接測定できます。QoS Managementでは、ポリシー・ベースのアーキテクチャを使用し、ユーザー定義のワークロード・クラスに基づいて、ランタイム・パフォーマンスとリソース・メトリックを相互に関連付けます。QoS Managementでは、それらをEnterprise Managerの統合ダッシュボードに表示し、統合アプリケーションのリアルタイムのパフォーマンスを確認できるようにします。クラスタ状態モニター(CHM)とQoS Managementのメモリー・ガードを組み合せることで、メモリーのオーバーコミットにより障害の危険性があるサーバーを検出します。QoS Managementでは、新しい接続を自動的に停止し、メモリーが十分になった時点で、既存のワークロードおよびリソースの接続を確保することで対応します。

この機能の利点は、Oracle Real Application Clusters内のアプリケーションのスキーマとデータベースの統合支援により、IT効率とコスト削減を実現することです。また、この機能では、メモリー条件の高いアプリケーションの可用性をメモリー・ガードで能動的に保護することです。

2.1.6 QoS管理でのOracle Exadataのインスタント・ケージングのサポート

Oracle Exadata Quality of Service Management(QoS Management)を使用すると、システム管理者はOracle RAC Enterprise Editionデータベース上でホストされているアプリケーションのサービス・レベルを直接測定できます。QoS Managementでは、ポリシー・ベースのアーキテクチャを使用し、ユーザー定義のワークロード・クラスに基づいて、正確なランタイム・パフォーマンスとリソース・メトリックを相互に関連付け、エキスパート・システムによってデータを分析してボトルネックを特定し、動的な負荷状態でパフォーマンス目標を満たして維持する推奨リソース調整を作成します。QoS Managementでは、結果をEnterprise Managerの統合ダッシュボードに表示し、統合アプリケーションのリアルタイムのパフォーマンスを確認できるようにします。QoS Managementでは、サーバー・プール間でサーバーを移動するだけでなく、同じプール内のデータベース間でのCPUの移動もサポートしているため、Oracle Exadataの統合デプロイでパフォーマンスを適切に管理できます。

このような新しいサポートにより、Oracle Exadataで統合されたオンライン・トランザクション処理(OLTP)データベース・アプリケーションの品質保証契約(SLA)が管理されるようになり、IT効率とコスト削減が実現します。

2.1.7 Oracle ACFSスナップショットの機能拡張

Oracle Automatic Storage Management Cluster File System(Oracle ACFS)の読取り/書込みスナップショット機能では、スナップショット・イメージをホストするOracle ACFSプライマリ・ファイル・システムの状態に影響することなく、読取りと書込みの両方が可能なOracle ACFSスナップショット・イメージの高速作成のサポートが追加されました。

この機能拡張により、元の本番ファイル・システムを変更することなく、読取り/書込みスナップショット・イメージに反映される本番ファイル・データで新しいバージョンのアプリケーション・ソフトウェアをテストできます。

また、元のファイル・システムを変更することなく、実際のデータ・セットでWhat-Ifシナリオを実行することもできます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


2.1.8 Oracle ACFSのセキュリティおよび暗号化機能

Oracle Automatic Storage Management Cluster File System(Oracle ACFS)のセキュリティ機能は、Oracle ACFSのレルム・ベースのセキュリティを提供します。

Oracle ACFS暗号化機能により、ディスクに保存されたデータ(保存データ)を暗号化できます。

Oracle ACFSのセキュリティ機能により、ユーザーまたはグループがファイル・システム・オブジェクトにアクセスするためのセキュリティ・ポリシーを指定するレルムを作成できます。Oracle ACFSセキュリティ機能は、オペレーティング・システムが提供するアクセス制御の上の、より密なアクセス制御を提供します。

Oracle ACFS暗号化機能により、Oracle ACFSファイル・システムのデータを暗号化したフォーマットで保存でき、データの損失または盗難が発生した場合に、データの不正使用を防ぎます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


2.1.9 WindowsでのACFSレプリケーションおよびタグ付けのサポート

レプリケーションおよびタグ付け機能がWindowsプラットフォームで使用できるようになりました。

Oracle Automatic Storage Management Cluster File System(Oracle ACFS)レプリケーションにより、ネットワーク経由でのACFSファイル・システムのリモート・サイトへのレプリケーションが可能になり、ファイル・システムに対する障害時リカバリ機能が提供されます。

Oracle ACFSのタグ付けにより、ファイルのグループに共通の命名属性が割り当てられます。Oracle ACFSレプリケーションはこのタグを使用して、別のリモート・クラスタ・サイトへのレプリケーション用に固有のタグ名のファイルを選択できます。タグ付けオプションにより、Oracle ACFSファイルシステム全体をレプリケートする必要がなくなります。


関連項目:

詳細は、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。


2.1.10 Oracle LogMinerでのバイナリXMLのサポート

この機能により、Oracle LogMinerデータ型のサポートが拡張され、バイナリ形式で格納されるXMLType列および表のサポートが加わりました。

Oracle LogMinerは、バイナリ形式でXMLが格納されるアプリケーションで使用できます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。


2.1.11 SQL ApplyでのバイナリXMLのサポート

この機能により、SQL Applyデータ型のサポートが拡張され、バイナリ形式で格納されるXMLType列および表のサポートが加わりました。

SQL Applyは、バイナリ形式でXMLが格納されるアプリケーションで使用できます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。


2.1.12 Oracle LogMinerでのオブジェクト・リレーショナル・モデルのサポート

この機能により、Oracle LogMinerデータ型のサポートが拡張され、オブジェクト・リレーショナル(O/R)モデルを使用して格納されるXMLType列および表のサポートが加わりました。

Oracle LogMinerは、O/Rモデルを使用してでOracle XMLが格納されるアプリケーションで使用できます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。


2.1.13 SQL Applyでのオブジェクト・リレーショナル・モデルのサポート

この機能により、SQL Applyデータ型のサポートが拡張され、オブジェクト・リレーショナル(O/R)モデルを使用して格納されるXMLType列および表のサポートが加わりました。

SQL Applyは、O/Rモデルを使用してでXMLが格納されるアプリケーションで使用できます。


関連項目:

詳細は、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。


2.1.14 廃止されたOracle XML DBファンクションおよびパッケージの非推奨

次のOracle XML DB構造体は、Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.3)で非推奨になりました。

  • PL/SQL procedure DBMS_XDB_ADMIN.createRepositoryXMLIndex

  • PL/SQL procedure DBMS_XDB_ADMIN.XMLIndexAddPath

  • PL/SQL procedure DBMS_XDB_ADMIN.XMLIndexRemovePath

  • PL/SQL procedure DBMS_XDB_ADMIN.dropRepositoryXMLIndex

  • XMLスキーマ注釈(属性)csx:encodingType

  • ハイブリッドXMLType記憶域のCLOB部分(オブジェクト・リレーショナル記憶域内に埋込みのCLOBデータ)上のXMLIndex索引

これらの構造体は、下位互換用として11.2.0.3でもサポートされますが、新しいアプリケーションでは使用しないことをお薦めします。


関連項目:

詳細は、『Oracle XML DB開発者ガイド』を参照してください。


2.1.15 Oracle Warehouse BuilderでのパーティションDMLのサポート

このリリースでは、Oracle Warehouse Builder(OWB)で、データベース・パーティション操作用のDMLを生成できるようになりました。これにより、OWBユーザーは、パーティション化されたすべてのタイプの表で抽出、変換およびロード(ETL)操作を実行できます。

この機能では、データベース・リソースおよび機能の十分な開発が可能になり、これらの機能をOWB内から使用できるようにすることで、開発者およびDBAの生産性が向上します。

詳細は、Oracle Warehouse Builderのドキュメントを参照してください。

2.1.16 Oracle Warehouse Builderで拡張されたパーティショニング化のサポート

このリリースでは、Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.2)までのすべての範囲のデータベース・パーティション化のタイプがOracle Warehouse Builder(OWB)で公開されています。これにより、OWBユーザーは、パーティション化されたすべてのタイプの表で抽出、変換およびロード(ETL)操作を設計および実行できます。

この機能では、これらの機能をOWB内から使用できるようにすることで、開発者の生産性が向上し、データベース・リソースおよび機能の十分な開発が可能になります。

詳細は、Oracle Warehouse Builderのドキュメントを参照してください。

2.1.17 Oracle Warehouse Builderでの外部表のデータ・ポンプのサポート

このリリースでは、ORACLE_DATAPUMPアクセス・ドライバのデータベース・サポートがOracle Warehouse Builder(OWB)で公開されています。これにより、OWBで外部表を使用して、抽出、変換およびロード(ETL)マッピングの外部表によるデータ・ポンプ・エクスポート・ファイルからのデータのロードとアンロードが可能になります。

バルク・データの移動にデータ・ポンプ・エクスポート・ファイルを使用することは、Oracleデータベース間のデータの移動に(データベース・リンクを使用するなどの)他の方法よりも高速になるため、Oracleデータ・ウェアハウスへのETLのベスト・プラクティスとして推奨されます。

詳細は、Oracle Warehouse Builderのドキュメントを参照してください。

2.1.18 Oracle Warehouse Builderでの外部表のプリプロセッサのサポート

このリリースでは、外部表のプリプロセッサのデータベース・サポートがOracle Warehouse Builder(OWB)で公開されています。

外部表のプリプロセッサにより、圧縮されたフラット・ファイルや複数のファイルなどの外部表ソース・ファイルを、抽出、変換およびロード(ETL)マッピング内から柔軟に処理できます。

詳細は、Oracle Warehouse Builderのドキュメントを参照してください。

2.1.19 Oracle Warehouse Builderでの圧縮表およびパーティションのサポート

このリリースでは、Oracle Database 11gリリース2(11.2.0.2)までのすべてのOracle Databaseデータベース・リリースの表レベルおよびパーティション・レベルの圧縮オプションがOracle Warehouse Builder(OWB)で公開されています。これにより、OWBユーザーは、ソースとターゲットの設計の一貫として、表の圧縮と個々のパーティションを管理できます。

この機能では、これらのオプションをOWBの外部で管理する必要がないため、開発者の生産性が向上し、データベース・リソースの十分な開発が可能になります。

詳細は、Oracle Warehouse Builderのドキュメントを参照してください。

2.1.20 PL/SQLネイティブ・コンパイルのサポート

Oracle Warehouse Builder(OWB)でPL/SQLネイティブ・コンパイルがサポートされるようになりました。PL/SQLのネイティブ・コンパイルを有効にすると、PL/SQLユニットのPL/SQL文はネイティブ・コードにコンパイルされ、カタログに格納されます。ネイティブ・コードは、実行時に解釈する必要がないため、高速で実行されます。

PL/SQLのネイティブ・コンパイルによって、通常はセット・ベースSQLで実行されない特定のデータ・ウェアハウス計算などの計算集中型のプロシージャ操作のパフォーマンスが大幅に改善されます。

詳細は、Oracle Warehouse Builderのドキュメントを参照してください。