Oracle Enterprise Service Busでは、Oracleテクノロジ・アダプタに対するサービスの作成や変更をサポートしています。 Oracleテクノロジ・アダプタを使用すると、メインフレームとレガシー・アプリケーションを企業リソース計画(ERP)、カスタマ・リレーションシップ・マネジメント(CRM)、データベースおよびメッセージ・システムに統合できます。
表6-2に、作成可能なOracleテクノロジ・アダプタ・サービスの要約を示します。 アダプタ・サービスは、インバウンドまたはアウトバウンド・アダプタ・サービスとして構成できます。 インバウンド・アダプタ・サービスは、メッセージをEnterprise Service Busに送信します。これに対して、アウトバウンド・アダプタ・サービスは、メッセージをEnterprise Service Bus外部のアプリケーションまたはシステムに送信します。
表6-2 Oracleテクノロジ・アダプタの要約
アダプタ・サービス | 説明 |
---|---|
AQアダプタ・サービス |
Oracle Advanced Queuingのシングルまたはマルチ・コンシューマ・キューとの間でメッセージを送受信します。 |
データベース・アダプタ・サービス |
Oracle Database表から抽出されたメッセージ、またはストアド・プロシージャの実行で作成されたメッセージを送受信します。 |
ファイル・アダプタ・サービス |
ローカル・ファイル・システムにあるファイルからのメッセージを送受信します。 |
FTPアダプタ・サービス |
リモートFTPサーバーにあるファイルからのメッセージを送受信します。 |
JMSアダプタ・サービス |
JMSキューまたはトピックからのメッセージを送受信します。 |
MQアダプタ |
IBM社のMQ Seriesからのメッセージを送受信します。 |
Oracle Applicationsアダプタ・サービス |
Oracle E-Business Suiteインタフェースからのメッセージを送受信します。 |
詳細は、次のマニュアルを参照してください。
アダプタの概要については、『Oracle Application Server Adapter概要』を参照してください。
Oracle Enterprise Service Bus用アダプタの構成方法の詳細は、『Oracle Application Server Adapters for Files, FTP, DatabasesおよびEnterprise Messagingユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle E-Business Suite用のOracle Applicationsアダプタの使用方法については、『Oracle Application Server Adapter for Oracle Applicationsユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle Enterprise Service Busでのアダプタの管理方法については、『Oracle Enterprise Service Bus開発者ガイド』の「インバウンドおよびアウトバウンド・サービスの作成」を参照してください。
アダプタ・サービスを使用するOracle Enterprise Service Busフローの設計方法のチュートリアルは、『Oracle Enterprise Service Busクイック・スタート・ガイド』を参照してください。
Oracle JDeveloper ESB Designerには、インバウンドおよびアウトバウンド・アダプタ・サービスの作成を支援するウィザードが用意されています。 このウィザードは、必要な情報を収集して、サービスを定義するWSDLファイルを生成します。
アダプタ・サービスを追加する手順は、次のとおりです。
アプリケーション・ナビゲータで、SOAPサービスを作成するESBプロジェクトに移動し、「リソース」フォルダを開きます。 「project-name.esb」をダブルクリックします。project-nameは、SOAPサービスを追加するプロジェクトの名前です。
プロジェクトの「設計」タブが表示されます。
コンポーネント・パレットで下矢印をクリックし、「アダプタ・サービス」を選択します(選択されていない場合)。
アダプタを「設計」タブにドラッグ・アンド・ドロップします。
指定したアダプタ・タイプの「アダプタ・サービスの作成」ダイアログが開きます。
アダプタの名前、システム/グループおよび説明(オプション)を入力します。
名前: サービスを作成するESBシステム内で一意の名前を入力します。空白は使用できません。
システム/グループ: 懐中電灯アイコンをクリックして「ESBサービス・グループ・ブラウザ」ダイアログを開き、このサービスに対するシステム/グループを選択します。 例: 「プロジェクトのシステム/グループ」の下にあるFulfillment。
説明: 説明を入力します(オプション)。
「WSDLファイル」フィールドを設定するには、フィールドの右にある次のアイコンをクリックします。
「アダプタ・サービスのWSDLの構成」アイコン
このアイコンをクリックすると、コンポーネント・パレットで選択した特定タイプのアダプタについて、アダプタ構成ウィザードが起動します。 ウィザードのガイドに従って設定を行います。
Oracle JDeveloper ESB DesignerでAQ、データベース、ファイル、FTP、JMSおよびMQの各アダプタを構成する方法の詳細は、『Oracle Application Server Adapters for Files, FTP, DatabasesおよびEnterprise Messagingユーザーズ・ガイド』を参照してください。 Oracle E-Business Suite用のOracleアプリケーション・アダプタを構成する方法の詳細は、『Oracle Application Server Adapter for Oracle Applicationsユーザーズ・ガイド』を参照してください。
「サービス・エクスプローラ」アイコン
このアイコンをクリックして、サービス・エクスプローラを起動し、デプロイ済サービスを検索します。
第6.5.1項「デプロイ済サービスの参照方法」を参照してください。
「OK」をクリックします。
図6-4は、完了した「アダプタ・サービスの作成」ダイアログの例です。
図6-1に示したように、新規アダプタ・サービスが「設計」タブに表示されます。 アダプタ・サービスには、メッセージ・インスタンスをアダプタ・サービスに、またはアダプタ・サービスからルーティングするルーティング・サービスが必要です。
アダプタ・サービスは、Oracle JDeveloper ESB Designerでアダプタのプロパティ・ページを開いて変更できます。
アダプタ・サービスを変更する手順は、次のとおりです。
「設計」タブで、アダプタ・サービス・アイコンの上のセクションをダブルクリックします。 アイコンのリージョン上では、カーソルが手の形になります。 図6-7に、「設計」タブの例を示します。
変更可能なアダプタ・サービス情報に変更を加えます。 サービスの名前は変更できないことに注意してください。
「エンドポイント・プロパティ」パネルでは、サービスのエンドポイント・プロパティを追加、削除、更新または表示できます。 エンドポイント・プロパティについては、第6.6項「アダプタ・サービスまたはSOAPサービスのエンドポイント・プロパティの追加」を参照してください。
変更内容を保存します。
アダプタ・サービスは、Oracle JDeveloper ESB Designerの「設計」タブで削除できます。
アダプタ・サービスを削除する手順は、次のとおりです。
「ダイアグラム」タブで、アダプタ・サービス・アイコンを選択します。
選択したアダプタ・サービスを削除するには、「設計」タブの上部にある大きい赤色のX記号をクリックします。
選択したサービスの削除を確認します。
変更内容を保存します。
注意: アプリケーション・ナビゲータでは、アダプタ・サービスを削除しないでください。 |
新規アダプタ・サービスを追加するための情報の指定が完了すると、「設計」タブにアダプタ・サービス・アイコンが表示されます。また、アプリケーション・ナビゲータでは、ESBプロジェクトの「リソース」フォルダにサービス定義ファイルが表示されます。 アプリケーション・ナビゲータのアダプタ・エントリの名前には、ESBシステム名、アダプタ名および拡張子esbsvcが含まれ、system-name_service-name
.esbsvc
の形式で表示されます。 Oracle JDeveloper ESB Designerでは、サービス定義ファイルの実際のソースは表示されません。
サービスのWSDLファイルがservice_name
.wsdl
の形式で作成され、アプリケーション・ナビゲータに表示されます。 WSDLファイルは、このインスタンス・フローの入出力メッセージ、サポートされているクライアント・インタフェースと操作、およびその他の機能を定義します。 例6-2は、アダプタWSDLファイルのサンプルです。
例6-2 アダプタWSDLファイルのサンプル
<definitions name="USPSShipment" targetNamespace="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file/USPSShipment/" xmlns="http://schemas.xmlsoap.org/wsdl/" xmlns:tns="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file/USPSShipment/" xmlns:plt="http://schemas.xmlsoap.org/ws/2003/05/partner-link/" xmlns:jca="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/wsdl/jca/" xmlns:imp1="http://www.globalcompany.com/ns/USPSShipment" xmlns:hdr="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file/" > <import namespace="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file/" location="fileAdapterOutboundHeader.wsdl"/> <types> <schema xmlns="http://www.w3.org/2001/XMLSchema" > <import namespace="http://www.globalcompany.com/ns/USPSShipment" schemaLocation="USPSShipment.xsd" /> </schema> </types> <message name="shipment_msg"> <part name="shipment" element="imp1:shipment"/> </message> <portType name="Write_ptt"> <operation name="Write"> <input message="tns:shipment_msg"/> </operation> </portType> <binding name="Write_binding" type="tns:Write_ptt"> <jca:binding /> <operation name="Write"> <jca:operation PhysicalDirectory="C:\SOAFilesOut" InteractionSpec="oracle.tip.adapter.file.outbound.FileInteractionSpec" FileNamingConvention="shipment_%SEQ%.txt" NumberMessages="1" OpaqueSchema="false" > </jca:operation> <input> <jca:header message="hdr:OutboundHeader_msg" part="outboundHeader"/> </input> </operation> </binding> <service name="USPSShipment"> <port name="Write_pt" binding="tns:Write_binding"> <jca:address location="eis/FileAdapter" /> </port> </service> <plt:partnerLinkType name="Write_plt" > <plt:role name="Write_role" > <plt:portType name="tns:Write_ptt" /> </plt:role> </plt:partnerLinkType> </definitions>
アダプタ・サービスに対して作成される標準的なヘッダー・ファイルの書式は、サービスがインバウンドかアウトバウンドかに応じて、adapter_type
AdapterOutboundHeader.wsdl
またはadapter_type
AdapterInboundHeader.wsdl
になります。 adapter_type
は、アダプタのタイプ(例: DB
、file
、jms
)を指定します。 例6-2は、アダプタ・ヘッダー・ファイルのサンプルです。
例6-3 アダプタ・ヘッダー・ファイルのサンプル
definitions name="fileAdapter" targetNamespace="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file/" xmlns:tns="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file/" xmlns="http://schemas.xmlsoap.org/wsdl/" > <types> <schema attributeFormDefault="qualified" elementFormDefault="qualified" targetNamespace="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file/" xmlns="http://www.w3.org/2001/XMLSchema" xmlns:FILEAPP="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file/"> <element name="OutboundFileHeaderType"> <complexType> <sequence> <element name="fileName" type="string"/> </sequence> </complexType> </element> </schema> </types> <!-- Header Message --> <message name="OutboundHeader_msg"> <part element="tns:OutboundFileHeaderType" name="outboundHeader"/> </message> </definitions>
ESBプロジェクトがESBサーバーに登録されると、Oracle JDeveloper ESB Designerで作成したアダプタ・サービスのESBファイルがデザインタイム・メタデータ・サーバーにデプロイされます。 第6.2.1項「Oracle Enterprise Service Busフロー作成時の処理内容」を参照してください。