Sun Cluster 3.1 ソフトウェアのインストール

追加のクラスタノードとして Sun Cluster ソフトウェアをインストールする (scinstall)

最初のインストールノードに Sun Cluster ソフトウェアをインストールして、クラスタを確立した後は、クラスタにインストールする追加のノードごとに次の作業を行います。この手順は、新しいノードを既存のクラスタに追加するときにも使用できます。


注 –

scinstall(1M) カスタム JumpStart または SunPlex Manager でソフトウェアをインストールした場合は、 Sun Cluster ソフトウェアは既にインストールされています。ネームサービススイッチを構成する に進みます。


  1. 最初のインストールノードに Sun Cluster ソフトウェアが正常にインストールされており、クラスタが確立されていることを確認します。

    クラスタを確立するためのインストール手順については、最初のクラスタノードとして Sun Cluster ソフトウェアをインストールする (scinstall) を参照してください。

  2. 完全にインストールされている既存のクラスタに新しいノードを追加する場合は、次の作業を実行していることを確認します。

    1. クラスタが新しいノードを受け入れるための準備

      Sun Cluster 3.1 のシステム管理』の「クラスタノードの追加と削除」の「ノードを認証ノードリストに追加する」手順に従います。

    2. 新しいノードへの Solaris ソフトウェアのインストール

      Solaris ソフトウェアのインストールは、 Solaris ソフトウェアをインストールする で説明されているとおりに行う必要があります。Solaris ソフトウェアがすでにノード上にインストールされている場合は、Solaris のインストールが Sun Cluster ソフトウェアの必要条件、およびそのクラスタにインストールする予定の他のソフトウェアの必要条件を満たしていることを確認してください。

  3. SunPlex Manager を使用するかどうかを決定します。

    • 使用する場合、Apache ソフトウェアパッケージがノードにインストールされていることを確認します。Solaris の「エンドユーザーシステムサポート」ソフトウェアグループをインストールしている場合は、SUNWapch* パッケージを Solaris CD-ROM からインストールします。


      # pkgadd -d . SUNWapchr SUNWapchu
      

      エンドユーザーシステムサポートソフトウェアグループよりも上位レベルの Solaris ソフトウェアグループをインストールしている場合、Apache ソフトウェアパッケージは自動的にインストールされます。

    • 使用しない場合は、手順 4 に進みます。

  4. 以下の構成計画ワークシートに必要事項を記入したものを用意します。

    計画のガイドラインについては、Sun Cluster 環境の計画 を参照してください。

  5. インストールするクラスタノードでスーパーユーザーになります。

  6. CD-ROM からインストールする場合は、インストールと構成を行うノードの CD-ROM ドライブに Sun Cluster 3.1 CD-ROM を挿入します。

    ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されており、CD-ROM デバイスを管理するように構成されている場合は、CD-ROM は自動的に /cdrom/suncluster_3_1 ディレクトリにマウントされます。

  7. インターコネクトトランスポート用にRemote Shared Memory Application Programming Interface (RSMAPI) または SCI-PCI アダプタを使用するかどうかを決定します。

    • 使用しない場合は、手順 8 に進みます。

    • 使用する場合は、Sun Cluster 3.1 CD-ROM の Packages ディレクトリから追加のパッケージをインストールします。これらのパッケージは、scinstall(1M) によって自動的にインストールされません。


      # cd /cdrom/suncluster_3_1/SunCluster_3.1/Sol_ver/Packages
      # pkgadd -d . packages
      


      注 –

      CD-ROM パスの ver は、 8 (Solaris 8 の場合) または 9 (Solaris 9 の場合) に置き換えます。


      次の表に、RSMAPI または SCI-PCI アダプタをサポートするために必要な Sun Cluster 3.1 パッケージと、インストールする順番を示します。

      表 2–3 RSMAPI および SCI-PCI アダプタをサポートするための Sun Cluster 3.1 パッケージ

      機能 

      インストールする追加の Sun Cluster 3.1 パッケージ 

      RSMAPI 

      SUNWscrif

      SCI-PCI アダプタ 

      SUNWsci SUNWscid SUNWscidx

  8. /cdrom/suncluster_3_1/SunCluster_3.1/Sol_ver/Tools ディレクトリに移動します。ここに示した ver は、8 (Solaris 8 の場合) または 9 (Solaris 9 の場合) に置き換えます。

    以下の例では、Sun Cluster ソフトウェアの Solaris 8 バージョンのパスを使用しています。


    # cd /cdrom/suncluster_3_1/SunCluster_3.1/Sol_8/Tools
    

  9. scinstall ユーティリティーを起動します。


    ./scinstall
    

    この手順は、最初のインストールノード上でソフトウェアのインストールがまだ進行している間でも開始できます。2 つめのノードは、必要に応じて最初のノードのインストールが完了するのを待ちます。


    注意 – 注意 –

    他のノードをインストールしている間は、(別のノードをスポンサーノードとして使用している場合でも) 最初のインストールノードの再起動や停止を行わないでください。クラスタノードに定足数投票 (quorum vote) が割り当てられてクラスタインストールモードが無効になるまでは、クラスタを設定した最初のインストールノードにしか定足数投票はありません。このため、最初のインストールノードの再起動や停止を行うと、定足数が失われてシステムパニックが発生します。


  10. 「メインメニュー」で、2 (クラスタにこのマシンを追加) と入力します。

    「新しいクラスタの確立」画面の情報を確認し、yes と入力して次の画面に進みます。


     *** メインメニュー ***
     
        次の (*) オプションのうちから 1 つを選択してください
     
          * 1) このマシンを最初のノードとして新しいクラスタを確立
          * 2) このインストールサーバーから JumpStart できるようにクラスタを構成
            3) すでに確立されているクラスタにこのマシンを追加
            4) 新しいデータサービスのサポートをこのクラスタノードに追加
            5) このクラスタノードのリリース情報を出力
     
          * ?) メニューオプションのヘルプ
          * q) 終了
     
        オプション:  2
     
      *** 確立されたノードへのノードの追加 ***
    ...
        継続しますか (yes/no) [yes]? yes
    

  11. Sun Cluster ソフトウェアパッケージのインストールを継続するかどうかをたずねられるので、yes と入力します。


    >>> ソフトウェアパッケージのインストール <<<
      
        Sun Cluster フレームワークソフトウェアのパッケージの
        インストールには数分かかります。
      
        継続しますか (yes/no) [yes]?  yes
      
    ** SunCluster 3.1 をインストールしています **
            SUNWscr.....完了しました。
    ...Hit ENTER to continue:

    すべてのパッケージをインストールしたなら、Return キーを押して次の画面に進みます。

  12. スポンサーノードとなる既存のクラスタノードの名前を指定します。


    >>> スポンサーノード <<<
    ...
        スポンサーノードの名前は ?  node1
    

  13. クラスタ名を指定します。


    >>> クラスタ名 <<<
    ...
        参加したいクラスタ名は ?  clustername
    

  14. 事前インストール検査を行います。


    >>> チェック <<<
     
        このステップでは、sccheck(1M) を実行して、基本的なハードウェア
        および
        ソフトウェアの事前構成条件に適合しているかどうかを確認します。
        当該マシンをクラスタノードとして構成するのに不都合な問題を検出
        した場合、sccheck(1M) は警告を出力します。
     
    ENTER を押すと継続します:

    sccheck コマンドが 何らかの問題を検出した場合は、その問題についての情報が表示され、どのような対処方法を行うかたずねられます。


    sccheck ユーティリティは次のような潜在的な問題を見つけました:
    ...  
    ENTER を押すと継続します:
    ...
     何をしますか ?
      
            1) それでもインストールを開始します
            2) sccheck をやり直します
            q) メインメニューに戻ります
      
        オプション: 

    この sccheck エラーメッセージに対し、次のいずれかを入力します。

    • sccheck メッセージを無視しても安全だということがわかっている場合 (たとえば、危険のないエラーメッセージが発生することが『Sun Cluster 3.1 ご使用にあたって』の記述でわかっている場合など)、1 を入力してインストールを継続します。

    • scinstall ユーティリティーを終了しなくても問題を修正できる場合、問題を修正した後、2 を入力してもう一度 sccheck を実行します。

    • q を入力してインストールを中止します。sccheck が検出した問題を修正した後、 手順 9 に戻って scinstall を再起動します。

  15. 自動検出を使用してクラスタトランスポートを構成するかどうかを指定します。

    Ethernet アダプタを使用しない構成の場合は、no と答えて 手順 17 に進みます。


    >>>クラスタトランスポートの自動検出 <<<
      
        Ethernet アダプタをクラスタトランスポートアダプタとして使用
        している場合 、クラスタトランスポートを構成する最良の方法は
        自動検出です。
      
        自動検出を使用しますか (yes/no) [yes]?
    ...
        次の接続が見つかりました:
      
            node1:adapter switch node2:adapter 
            node1:adapter switch node2:adapter 
      
        これらの接続を構成に追加しますか (yes/no) [yes]?

  16. 手順 15 で自動検出を使用したかどうかを確認します。

    • 使用した場合は、手順 24 に進みます。

    • 使用していない場合は、手順 17 に進みます。

  17. 2 ノードクラスタであるかどうかを指定します。


    >>> ポイントツーポイントケーブル <<<
    ...
        これは 2 ノードクラスタですか (yes/no) [yes]? 

  18. 2 ノードクラスタであると指定したかどうかを確認します。

    • 指定した場合は、クラスタがトランスポート接続点を使用するかどうかを指定します。


          この 2 ノードクラスタはトランスポート接続点を使用しますか (yes/no) [yes]? 

    • 指定していない場合は、Return キーを押して継続します。クラスタに 3 つ以上のノードが含まれる場合は、トランスポート接続点を使用する必要があります。


          このクラスタは 2 ノードクラスタではないため、2 つのトランスポート
          接続点を構成するようにたずねられます
        
      ENTER を押すと継続します: 

  19. クラスタがトランスポート接続点を使用すると指定したかどうかを確認します。

    • 指定した場合は、トランスポート接続点を指定します。


      >>> クラスタトランスポート接続点 <<<
      ...
          クラスタ内の 1 番目の接続点の名前は [switch1]? 
          クラスタ内の 2 番目の接続点の名前は [switch2]? 

    • 指定していない場合は、手順 20 に進みます。

  20. 最初のクラスタインターコネクトトランスポート アダプタを指定します。

    help と入力すると、ノードで利用可能なすべてのトランスポートアダプタの一覧が表示されます。


    >>> クラスタトランスポートアダプタとケーブル <<<
    ...
        1 番目のクラスタトランスポートアダプタの名前は (help) ?  adapter
    

  21. 最初のトランスポートアダプタの接続先を指定します。

    • トランスポートアダプタがトランスポート接続点を使用する場合は、トランスポート接続点の名前とそのポートを指定します。


          「adapter」が接続される接続点の名前は [switch1]? 
      ...
          デフォルトのポート名を「adapter」接続に使用しますか (yes/no) [yes]?

    • トランスポートアダプタがトランスポート接続点を使用しない場合は、接続されている他のトランスポートアダプタの名前を指定します。


          「adapter」が接続される「node1」上のアダプタの名前は ?  adapter
      
  22. 2 番目のクラスタインターコネクトトランスポートアダプタを指定します。

    help と入力すると、ノードで利用可能なすべてのトランスポートアダプタの一覧が表示されます。


        2 番目のクラスタトランスポートアダプタの名前は (help) ?  adapter
    

  23. 2 番目のトランスポートアダプタの接続先を指定します。

    • トランスポートアダプタがトランスポート接続点を使用する場合は、トランスポート接続点の名前とそのポートを指定します。


          「adapter」が接続される接続点の名前は [switch2]? 
          デフォルトのポート名を「adapter」接続に使用しますか (yes/no) [yes]? 
       
      ENTER を押すと継続します: 

    • トランスポートアダプタがトランスポート接続点を使用しない場合は、接続されている他のトランスポートアダプタの名前を指定します。


          「adapter」が接続される「node1」上のアダプタの名前は ?  adapter
      

  24. 広域デバイスのファイルシステム名を指定します。


    >>> 広域デバイスファイルシステム <<<
    ...
        デフォルトでは、/globaldevices を使用します。
     
        このデフォルトを使用しますか (yes/no) [yes]? 

  25. インストールの必要がある Sun Cluster ソフトウェアパッチがあるかどうかを確認します。


    >>> 自動リブート <<<
    ...
        scinstall にマシンをリブートさせますか (yes/no) [yes]? 

    • インストールする場合は、「自動リブート」画面で「no」と入力して自動再起動を行わないようにします。

    • インストールしない場合は、「yes」と入力して自動再起動を行います。

  26. scinstall コマンドにより生成されたオプションを受け入れるか否か決定します。

    確認のため、これまでの入力から生成された scinstall コマンドが表示されます。


    >>> 確認 <<<
     
        次のオプションを scinstall に指示しています:
     
          scinstall -i  \
    ...
        これらのオプションを使用しますか (yes/no) [yes]? 
        インストールを継続しますか (yes/no) [yes]? 

    • コマンドを使用してインストールを続行する場合は、scinstall の処理が継続されます。scinstall の処理中に表示される出力例を、例 — 最初のノードに Sun Cluster ソフトウェアをインストールする に示します。クラスタ内でスポンサーノードがまだ確立されていない場合、scinstall はスポンサーノードが利用できるようになるまで待機します。

      Sun Cluster インストール出力は /var/cluster/logs/install/scinstall.log.pid ファイルに記録されます (pidscinstall インスタンスのプロセス ID 番号)。


      注 –

      独自の /etc/inet/ntp.conf ファイルをインストールしていない限り、scinstall コマンドは自動的にデフォルトの ntp.conf ファイルをインストールします。デフォルトのファイルは 8 ノードを想定しているので、xntpd(1M) デーモンは起動時にこれらのノードに関してエラーメッセージを発行することがあります。このようなエラーメッセージは無視しても安全です。通常のクラスタ条件下で、これらのメッセージを表示しないようにする方法については、ネットワークタイムプロトコル (NTP) を構成する を参照してください。


    • コマンドを拒否した場合は、 Sun Cluster ソフトウェアのインストールを解除するかどうかたずねられます。


          Sun Cluster ソフトウェアのインストールを解除しますか (yes/no) [no]? 

      scinstall が Main Menu に戻った後は、もう一度メニューオプション 2 を実行して異なる応答を指定できます。この場合、以前のセッションの応答がデフォルトとして表示されます。

  27. Sun Cluster ソフトウェア用のパッチをインストールします。

    パッチの入手方法とインストール方法については、『Sun Cluster 3.1 ご使用にあたって』の「パッチとファームウェアレベル」を参照してください。

  28. ノードを再起動してクラスタを確立します。

    手順 27 でパッチをインストールした後にノードを再起動している場合は、もう一度ノードを再起動する必要はありません。


    注意 – 注意 –

    他のノードをインストールしている間は、(別のノードをスポンサーノードとして使用している場合でも) 最初のインストールノードの再起動や停止を行わないでください。クラスタノードに定足数投票 (quorum vote) が割り当てられてクラスタインストールモードが無効になるまでは、クラスタを設定した最初のインストールノードにしか定足数投票はありません。このため、最初のインストールノードの再起動や停止を行うと、定足数が失われてシステムパニックが発生します。クラスタノードは インストール後の設定を行う の手順で scsetup(1M) コマンドを最初に実行するまで、インストールモードのままです。


  29. すべてのノードが完全に構成されるまで、各追加ノードに対してこの手順を繰り返します。

    追加ノードへのインストールを開始する際に、2 番目のノードのインストールが完了するのを待ってこのノードを再起動する必要はありません。

  30. ネームサービス検索順を設定します。

    ネームサービススイッチを構成する に進みます。

例 — Sun Cluster ソフトウェアを 2 番目のノードにインストールする

次に、ノード phys-schost-2 (クラスタに 2 番目にインストールするノード) で scinstall コマンドを実行し、インストール作業が完了するまでに表示される進行状況メッセージの例を示します。


>>> 確認 <<<
  
    次のオプションを scinstall に指示しています:
  
      scinstall -ik \
           -C sc-cluster \
           -N phys-schost-1 \
           -A trtype=dlpi,name=hme1 -A trtype=dlpi,name=hme3 \
           -B type=switch,name=switch1 -B type=switch,name=switch2 \
           -m endpoint=:hme1,endpoint=switch1 \
           -m endpoint=:hme3,endpoint=switch2
  
    これらのオプションを使用しますか (yes/no) [yes]?
  
    インストールを継続しますか (yes/no) [yes]?
  
広域デバイスファイルシステムとして使用できるかどうかをチェックしています ... 完了しました。
  
ノード「phys-schost-2」 をクラスタ構成に追加しています ... 完了しました。
アダプタ「hme1」 をクラスタ構成に追加しています ... 完了しました。
アダプタ「hme3」 をクラスタ構成に追加しています ... 完了しました。
ケーブル をクラスタ構成に追加しています ... 完了しました。
ケーブル をクラスタ構成に追加しています ... 完了しました。
  
「phys-schost-1」から構成をコピーしています ... 完了しました。
「phys-schost-2」のノード ID を設定しています ... 完了しました。(id=2)
  
広域ファイルシステムの広域デバイスをチェックしています ... 完了しました。
Updating vfstab ... 完了しました。
  
NTP が構成されているかどうかを確認しています ... 完了しました。
デフォルトの NTP 構成をインストールしています ... 完了しました。
scinstall が終了した後、NTP 構成を完了してください。
  
「cluster」が nsswitch.conf の「hosts」用に設定されていることを確認しています ... 完了しました。
「cluster」スイッチを nsswitch.conf の「hosts」に追加しています ... 完了しました。
  
「cluster」が nsswitch.conf の「netmasks」用に設定されていることを確認しています ... 完了しました。
「cluster」スイッチを nsswitch.conf の「netmasks」に追加しています ... 完了しました。
  
電源管理が構成されていないことを確認しています ... 完了しました。
電源管理の構成を解除しています ... 完了しました。
/etc/power.conf の名前は /etc/power.conf.61501001054 に変更されました
電源管理はクラスタの HA でサポートされません。
電源管理を構成し直さないでください。
  
ネットワークルーティングが無効であることを確認しています ... 完了しました。
このノードでは、/etc/notrouter を作成することによって、ネットワークルーティングが無効になっています。
Sun Cluster は、クラスタノードをルーターとして動作させることをサポートしていません。
ネットワークルーティングを有効にし直さないでください。
  

ログファイル - /var/cluster/logs/install/scinstall.log.9853
  
  
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