Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 配備計画ガイド

2 つのデータセンターにわたる可用性向上のためのレプリケーションの使用

一般に、2 つのデータセンターを含む配備では、1 つのデータセンターについて説明したのと同じ復旧戦略を適用できます。1 つ以上のマスターが使用不可になった場合は、Directory Proxy Server が、ローカルの読み取りおよび書き込みを残りのマスターに自動的に再経路指定します。

先に説明した 1 つのデータセンターのシナリオの場合と同様に、復旧レプリケーションアグリーメントを有効にすることができます。これらのアグリーメントによって、障害が発生した場合も、レプリケートされた更新を両方のデータセンターが引き続き受信できることが保証されます。この復旧戦略は、図 12–3 に示されています。

復旧レプリケーションアグリーメントを使用する代わりに、すべてのマスターが変更をほかのすべてのマスターにレプリケートする、完全にメッシュ化されたトポロジを使用する方法があります。レプリケーションアグリーメントは少ない方が管理しやすくなる可能性はありますが、完全にメッシュ化されたトポロジは使用しない方がよいという技術的な理由は何もありません。

このシナリオでの唯一の SPOF は、各データセンター内の Directory Proxy Server になります。図 12–4 に示すように、この問題を解消するために、冗長性のある Directory Proxy Server を配備することができます。

図 12–3 2 つのデータセンターのための復旧レプリケーションアグリーメント

冗長性のある復旧レプリケーションアグリーメントを示す 2 つのデータセンター内のマルチマスターレプリケーショントポロジ

復旧戦略は、どのような組み合わせでコンポーネントに障害が発生するかによって異なります。しかし、複数の障害に対する基本的な戦略を準備しておけば、その他のコンポーネントに障害が発生した場合にもそれを適用できます。

図 12–3 に示されているサンプルトポロジでは、ニューヨークのデータセンター内のマスター 1 とマスター 3 に障害が発生したと仮定しています。

このシナリオでは、Directory Proxy Server が、ニューヨークのデータセンター内の読み取りおよび書き込みをマスター 2 とマスター 4 に自動的に再経路指定します。これにより、ニューヨークのサイトのローカルの読み取りおよび書き込み機能が維持されることが保証されます。