仮想ネットワークは、それぞれ離れた場所にあるいくつかのスタンドアロンコンピュータを、互いに PPP マルチポイントリンクで接続したものです。仮想ネットワークの概念については、「仮想ネットワーク」で紹介しました。この節では、仮想ネットワークを構成する方法について説明します。
図 24-1 に示すネットワークは、3 つの単独コンピュータで構成されています。ネットワークの各メンバーは、マルチポイント PPP リンクを介して他のメンバーに接続しています。したがって、このようなネットワークを作成するには、ネットワーク管理者 (リモートロケーションの他のネットワーク管理者である場合もあります) は、関与する各ホストでマルチポイント PPP リンクを構成する必要があります。
マルチポイントリンクの構成には、マルチポイントダイヤルインサーバーの場合と同じ一般的な手順を用います。この手順については、「構成プロセスの概要」に説明があります。ただし、仮想ネットワークには独自の必要条件がいくつかあり、それに従ってネットワーク内の各ホストを構成する必要があります。
仮想ネットワーク内の各マシンについて、/etc/hosts ファイルにホスト情報を追加する必要があります。PPP エンドポイント用に使用する IP アドレスを入力するときは、次の規則に従ってください。
ポイントツーポイントリンクには PPP 固有の IP アドレスを指定する。物理ネットワーク内でまだ構成されていないマシンの場合は、PPP リンク用の IP アドレスを作成する必要がある。このアドレスが、ホストの一次ネットワークインタフェースになる
仮想ネットワークのネットワーク番号を作成する。詳細は、「PPP リンクへのネットワーク番号の割り当て」を参照
最初に行う手順としては、仮想ネットワークに関する情報によって、hosts データベースと networks データベースを更新します。
各マシンの /etc/inet/hosts ファイルには、このホストからアクセスできるすべてのネットワークメンバーに関するアドレス指定情報が含まれている必要があります。たとえば、図 24-1 に示したネットワーク内の各ホストは、次のような情報を持っている必要があります。
# Internet host table # 127.0.0.1 localhost loghost 192.41.47.15 nomada 192.41.47.20 nomadb 192.41.47.12 nomadc |
仮想ネットワークは一意な IP アドレスを必要とするので、このアドレスを networks データベースに入力する必要があります。たとえば、図 24-1 に示したネットワークの番号は 192.41.47 です。さらに、このネットワーク上のホストが他のネットワークと通信する必要がある場合は、このネットワークを InterNIC のアドレス指定機関に登録する必要があります。networks データベースの編集方法については、「networks データベース」を参照してください。
仮想ネットワーク上の各ホストは、ネットワークのアドレスが入ったエントリを、/etc/inet/networks ファイル中に持っている必要があります。たとえば、ネットワーク 192.41.47 の各ホストは、/etc/inet/networks の中に次のようなエントリを持っている必要があります。
# Internet networks # # arpanet 10 arpa # ucb-ether 46 ucbether # # local networks loopback 127 ppp 192.41.47 #remote sales offices |
次に行う手順としては、UUCP データベース、/etc/passwd ファイル、/etc/shadow ファイルを編集します。仮想ネットワーク内のマシンについてこれらのファイルを編集する方法は、マルチポイントダイヤルインサーバー構成の場合と同じです。UUCP 関係の情報については、「UUCP データベースの編集」を、passwd ファイルについては、「/etc/passwd ファイルの修正」を参照してください。
仮想ネットワーク上のローカルマシン用の構成ファイルには、そのネットワーク内にあってローカルホストからアクセスできるすべてのリモートホストに関する情報が含まれている必要があります。さらに、仮想ネットワーク上のマシンは、どれもダイヤルインとダイヤルアウトの両方の機能を備えたものとして構成されていなければなりません。ローカルホストマシンがブートされると、リンクマネージャは asppp.cf ファイルを読んで通信を確立します。
例 24-5 は、仮想ネットワーク 192.41.47 の nomada 用として設定した構成ファイルです。
# /etc/asppp.cf for hosta ifconfig ipd0 plumb nomada netmask + up defaults interface ipd0 path peer_ip_address nomadb peer_system_name lawrence # name machine logs in with path peer_ip_address nomadc peer_system_name azziz |
例 24-6 は、仮想ネットワーク 192.41.47 の nomadb 用として設定した構成ファイルです。
# /etc/asppp.cf for nomadb ifconfig ipd0 plumb nomadb netmask + up defaults interface ipd0 path peer_ip_address nomada peer_system_name tamerlane # name the machine logs in with path peer_ip_address nomadc peer_system_name azziz |