Solaris ネーミングの管理

名前空間の更新

名前空間を設定したら、次のコマンドを使用して、要素の追加、削除、および変更できます。

FNS 管理特権

FNS システム管理は、基本となるネームサービスによって異なります。

ユーザーが各自のサブコンテキストを変更できるかどうかは、基本となるネームサービスによって異なります。

複合名へのリファレンスの割り当て

fnbind コマンドは、既存のリファレンス (名前) を新しい複合名に割り当てるために使用されます。


fnbind -r [-s][-v][-L] name [-O|-U]  newname reftype addrtype  [-c|-x] address
表 20-4 fnbind コマンドのオプション

オプション 

説明 

name

既存の複合名 

newname

新しい割り当ての複合名 

addrtype

使用するアドレスのタイプ。onc_cal_str のようにアプリケーション特定

address

使用するアドレスの内容。たとえば、tsvi@altair

reftype

使用するリファレンスのタイプ。one_calendar のようにアプリケーション特定

-s

すでに割り当てられている場合でも、newname に割り当てられる。これは、以前の newname の割り当てを置き換える。-s を指定しないと、newname がまだ割り当てられていない場合、fnbind は失敗する

-v

newname に割り当てられるリファレンスを表示する

-L

oldname を使用して XFN リンクを作成し、それを newname に割り当てる

-r

コマンド行引数によって作成されたリファレンスに newname を割り当てる

-c

入力された形式で address の内容を格納する。XDR コードは使用しない

-x

address を XDR コードに変換しないで、16 進文字列に変換する

-O

識別子の形式は FN_ID_ISO_OID_STRING。これは、ASN.1 のドットで区切った整数リスト文字列である 

-U

識別子の形式は FN_ID_DCE_UUID。これは、文字列形式の DCE UUID である 

次に例を示します。

ユーザー jamal にカレンダ割り当てを追加する場合


# fnbind -r user/jamal/service/calendar onc_calendar onc_cal_str jamal@cygnus

org//service/Sparc-4 の既存の割り当てを、org//service/printer の割り当てによって置換する場合


# fnbind -s org//service/printer org//service/Sparc-4 

site/bldg-5/service/printer のリファレンスを user/ando/service/printer にコピーする場合


# fnbind site/bldg-5/service/printer user/ando/service/printer 

シンボリックリンクを使用して、site/bldg-5/service/printer のリファレンスを user/ando/service/printer に割り当てる場合


# fnbind -L site/bldg-5/service/printer user/ando/service/printer 

staff@altaironc_cal タイプのリファレンスであり、かつタイプ onc_cal_str のアドレスである場合、thisens/service/calendar の名前をアドレス staff@altair に割り当てる場合


# fnbind -r thisens/service/calendar onc_calendar onc_cal_str staff@altair

コマンド行 address によって作成されたリファレンスとして newname を割り当てる場合


# fnbind -r [-sv] newname  [-O|-U] reftype  {[-O|-U] addrtype [-c|-x]  address}

割り当ての削除

fnunbind コマンドは、割り当てを削除するために使用されます。

たとえば、user/jsmith/service/calendar の割り当てを削除するには、次のコマンドを実行します。


# fnunbind user/jsmith/service/calendar

新しいコンテキストの作成

fncreate コマンドは、コンテキストを作成するために使用されます。


fncreate -t context [-f  file] [-o] [-r reference] [-s] [-v] [-D] name
表 20-5 fncreate コマンドのオプション

オプション 

説明 

-t context

context タイプのコンテキストを作成する。context タイプは、orghostnamehostusernameuserservicefssitensidgeneric

-f file

入力ファイルを使用して、コンテキストを作成するユーザーとホストを一覧表示する 

-r reference

リファレンスのタイプ。-r reference オプションは、-t generic とともにしか使用できない

name

複合名 

-o

name によって識別されるコンテキストだけを作成する

-s

既存の割り当てすべてを上書き (置換) する。-s を使用しないと、名前がすでに割り当てられている場合、fncreate は失敗する

-D

各コンテキストの作成時に、そのコンテキストと、対応するテーブル、ディレクトリ、ファイルに関する情報を表示する 

-v

詳細。各テキストの表示時にその情報を表示する 

次に例を示します。

ルート組識のコンテキストとサブコンテキストを作成する場合


# fncreate -t org org//

ホスト deneb のコンテキストとサブコンテキストを作成する場合


# fncreate -t host host/deneb

コンテキスト、サービス、ファイルサブコンテキストを作成して、ユーザー sisulu のカレンダ割り当てを追加する場合


# fncreate -t user user/sisulu
# fnbind -r user/sisulu onc_calendar onc_cal_str sisulu@deneb

sales 組識のサイトコンテキストを作成する場合


# fncreate -t site org/sales/site/

サイトコンテキストは、ドットで区切られた右から左へという順番の名前によって、階層名前空間をサポートします。これにより、地理上のカバレージ関係によってサイトを区分化できます。たとえば、サイトコンテキスト alameda とサイトサブコンテキスト bldg-6.alameda を作成するには、次のコマンドを実行します。


# fncreate -t site org/sales/site/alameda
# fncreate -t site org/sales/site/bldg-6.alameda

ファイルコンテキストの作成

表 20-6 fncreate_fs コマンドのオプション

オプション 

説明 

name

ファイルコンテキスト名 

options

マウントオプション 

mount

マウント位置 

-f file

入力ファイル 

-v

詳細。作成中のコンテキストに関する情報を表示 

-r

コンテキスト name の割り当てを、入力で指定された割り当てによって置換する

次に例を示します。

FNS サーバー server4/export/data パスに割り当てられた sales 組識に関して、ファイルシステムコンテキスト data を作成する場合


# fncreate_fs org/sales/fs/data server4:/export/data 

2 つの異なるサーバーにマウントされた buyers および buyers/orders という名前の sales 組識に関して、ファイルシステムコンテキストの階層を作成する場合


# fncreate_fs org/sales/fs/buyers server2:/export/buyers
# fncreate_fs org/sales/fs/buyers/orders server3:/export/orders

input_a という名前の入力ファイルによって指定されたサーバーとパスに割り当てられた sales 組識に関して、leads という名前のファイルシステムコンテキストを作成する場合


# fncreate_fs -f input_a org/sales/fs/leads

(入力ファイル形式については、fncreate_fs(1M) のマニュアルページを参照してください。)

プリンタコンテキストの作成

fncreate_printer コマンドは、組識、ユーザー、ホスト、サイトの各コンテキストのプリンタコンテキストを作成します。プリンタコンテキストは、対応する複合名のサービスコンテキストのもとで作成されます。


fncreate_printer [-vs] name  printer [prntaddr]

fncreate_printer [-vs] [-f [file]]  name
表 20-7 fncreate_printer コマンドのオプション

オプション 

説明 

name

プリンタの組識、ホスト、ユーザー、またはサイトの名前 

printer

プリンタ名 

prntaddr

プリンタアドレス。<addresstype>=<address> という形式をとる

-f file

指定の ファイル を、作成するプリンタリストへの入力として使用。入力ファイルは /etc/printers.conf ファイルの形式をとる。プリンタ名-f ファイル も指定されていない場合、fncreate_printer は、fncreate_printer がデフォルト入力ファイルとして実行されるマシン上の /etc/printer.conf ファイルを使用する

-s

既存のアドレスを、同じアドレスタイプによって置換する 

-v

詳細。割り当ての詳細を表示する 

次に例を示します。

fncreate_printer が実行されるマシンの /etc/printers.conf ファイルに示されたプリンタに基いて sales 組識のプリンタを作成する場合


# fncreate_printer -s org/sales/

マシン altair が、プリンタ Sparc-5 のサーバーであると想定します。ユーザー nguyen に対して、実際に Sparc-5 プリンタである invoices という名前のプリンタを作成する場合、次のように入力します。


# fncreate_printer user/nguyen invoices bsdaddr=altair,Sparc-5 

プリンタを階層構造で構成することもできます。たとえば、fncreate_printer コマンドは、プリンタ colorcolor/inkjetcolor/Sparc のプリンタコンテキストを作成できます。コンテキストは次のようになります。


org/doc.com/service/printer/color
org/doc.com/service/printer/color/inkjet
org/doc.com/service/printer/color/Sparc 

上記のコンテキストを作成するには、次のコマンドを実行します。


# fncreate_printer org/doc.com color bsdaddr=colorful,color 
# fncreate_printer org/doc.com color/inkjet bsdaddr=colorjet,inkjet
# fncreate_printer org/doc.com color/Sparc bsdaddr=colorprt,Sparc

コンテキストの削除

fndestroy コマンドは、空のコンテキストを削除するために使用されます。

たとえば、ユーザー patelservice コンテキストを削除するには、次のコマンドを実行します。


# fndestroy user/patel/service

属性の処理

fnattr コマンドは、名前に関連する属性の追加、削除、または変更に使用できます。変更は一度に 1 つずつ行うことも、同じコマンド内で何回かバッチ処理することもできます。

表 20-8 fnattr コマンドのオプション

オプション 

説明 

name

複合名 

attrib

属性の識別子 

values

1 つまたは複数の属性値 

oldvalue

新しい値によって置換される属性値 

newvalue

古い値を置換する属性値 

-a

属性の追加 

-d

属性の削除 

-l

属性のリスト表示 

-m

属性の変更 

-s

指定された属性の新しい値によって、すべての古い属性値を置換する 

-O

識別子の形式は FN_ID_ISO_OID_STRING。これは、ASN.1 のドットで区切られた整数リスト文字列である

-U

識別子の形式は FN_ID_DCE_UUID。これは、文字列形式での DCE UUID である

次に例を示します。

ユーザー名 rosa に関連する属性すべてを表示する場合


# fnattr user/rosa

ユーザー uri に関連する size 属性を表示する場合


# fnattr user/uri/ size

devlin という名前のユーザーについて、値が small の属性 shoesize を追加するには、hatsize 属性を削除して、dresssize 属性の値を 12 から 8 に変更します。


# fnattr user/devlin -a shoesize small -d hatsize -m dresssize 12 8