この節では、RAID5 メタデバイスの作成方法について説明します。
RAID5 メタデバイスは、メタデバイス内の 1 スライス分に相当する記憶容量を使用して、残りの RAID5 メタデバイスのスライスに格納されたユーザーのデータに関する冗長情報を格納します。この冗長情報は、メタデバイス内のすべてのスライスに分散されます。ミラーと同様、RAID5 メタデバイスはデータの可用性を高めながら、ハードウェアのコストを最小限に抑えることができます。
RAID5 メタデバイスを作成するには、あらかじめシステムに状態データベースの複製が少なくとも 3 つ含まれている必要があります。
RAID5 メタデバイスは、単一スライスの障害だけに対処できます。
RAID5 メタデバイスを作成するときは、20 パーセントルールに従ってください。パリティの計算手順は大変複雑なものであるため、約 20 パーセントを超える書き込みのメタデバイスは、おそらく RAID5 メタデバイスには (速度の点から) 向きません。データの冗長性が必要とされる場合は、ミラー化を考えてください。
多数のスライスからなる RAID5 メタデバイスには不利な点があります。RAID5 メタデバイスに含まれるスライスが増えるほど、1 つのスライスに障害が発生した場合に、読み書き操作に長時間を要することになります。
RAID5 メタデバイスは、少なくとも 3 つのスライスから構成されなければなりません。
RAID5 メタデバイスは、メタデバイスに追加のスライスを連結することによって拡張できます。新しいスライスにはパリティ保護が行われますが、パリティ情報は格納されません。拡張した RAID5 メタデバイスも、単一スライスの障害に対応しています。
飛び越し値は、RAID5 のパフォーマンスに対する鍵となります。この値はメタデバイスの作成時に設定可能であり、作成後は変更できません。デフォルトの飛び越し値は 16K バイトです。これはほとんどのアプリケーションにとって妥当な値です。
同じサイズのディスクスライスを使用してください。異なるサイズのスライスから RAID5 メタデバイスを作成すると、メタデバイス内に未使用ディスク領域が生じます。
既存のファイルシステムを含むスライスからは、RAID5 メタデバイスを作成しないでください。これを行なった場合、RAID5 の初期化プロセスの間にデータが消去されます。
RAID5 メタデバイスをストライプ化、連結、ミラー化することはできません。
前提条件 (「DiskSuite オブジェクトを作成するための前提条件」) を満たし、予備情報 (「RAID5 メタデバイスを作成するための予備情報」) を読んでいることを確認する。
RAID5 テンプレートをクリックする。
キャンバスには、未割り当てで未確定の RAID5 オブジェクトが表示されます。メタデバイス名は自動的に割り当てられます。
[オプション] デフォルトのメタデバイス名を変更する。
[オプション] 飛び越し値をデフォルトの 16K バイトから変更する。
オブジェクトのポップアップメニューから「情報」を選択する。
RAID5 メタデバイス用の「RAID 情報」ウィンドウが表示されます。
飛び越し値を変更する。「カスタマイズ」をクリックし、その横にあるフィールドに新しい値を入力する。
単位には、K バイト、M バイト、またはセクターを指定できます。この横のプルダウンメニューから、任意の単位を選択してください。「接続」をクリックして値を設定し、「閉じる」をクリックします。
飛び越し値の設定については、『Solstice DiskSuite 4.2.1 リファレンス』を参照してください。
スライスをクリックして「スライスブラウザ」ウィンドウを開く。
スライスを選択し、RAID5 オブジェクトの先頭にドラッグする。
複数のスライスを選択するには、Control キーを押しながらクリックします。少なくとも 3 つのスライスが必要です。
RAID5 オブジェクトの先頭の矩形をクリックし、「確定」をクリックする。
DiskSuite は、RAID5 メタデバイスの初期化を開始します。
コンフィグレーションログを表示して、RAID5 メタデバイスが確定されたことを確認する。
初期化が終了したら、RAID5 メタデバイスを使用できます。
この例では、RAID5 メタデバイスを示します。このメタデバイスは 3 つの 510.23 M バイトスライスから構成されますが、表示されたサイズは 1020.12 M バイトであることに注目してください (1 スライス分の記憶容量がパリティに使用されます)。
新しく作成された RAID5 メタデバイスをファイルシステム用に準備するには、「メタデバイス上にファイルシステムを作成する方法 (ファイルシステムマネージャ)」を参照してください。データベースなど、raw メタデバイスを使用するアプリケーションには、メタデバイスを認識する独自の方法が必要です。
ホットスペア集合と RAID5 メタデバイスを関連付けるには、「ホットスペア集合を関連付ける方法 (DiskSuite ツール)」を参照してください。
「DiskSuite オブジェクトを作成するための前提条件」の前提条件と 「RAID5 メタデバイスを作成するための予備情報」の予備情報をチェックしてから、metainit(1M) コマンドを使用して、RAID5 メタデバイスを作成します。詳細については、metainit(1M) のマニュアルページを参照してください。
# metainit d45 -r c2t3d0s2 c3t0d0s2 c4t0d0s2 d45: RAID is setup |
RAID5 メタデバイスである d45 は、3 つのスライスから -r オプションで作成されます。飛び越しが指定されていないため、d45 はデフォルトの 16K バイトを使用します。システムは、RAID5 メタデバイスが設定されたことを確認し、メタデバイスの初期化を開始します。
初期化が終了したら、RAID5 メタデバイスを使用できます。
新しく作成された RAID5 メタデバイスをファイルシステム用に準備するには、「メタデバイス上にファイルシステムを作成する方法 (コマンド行)」を参照してください。データベースなど、raw メタデバイスを使用するアプリケーションには、メタデバイスを認識する独自の方法が必要です。
ホットスペア集合と RAID5 メタデバイスを関連付けるには、「ホットスペア集合を関連付ける方法 (コマンド行)」を参照してください。