サーバーを構成する際に発注する問題は、次のカテゴリに分類されます。
データとして NIS+ を使用している場合の NIS+
IP アドレス割り当て
DHCP データとして NIS+ を使用する場合に発生する問題は、次のカテゴリに分類されます。
NIS+ をデータとして選択できない
NIS+ が適切に構成されない
権限の不足と資格が原因の NIS+ アクセス問題
NIS+ をデータストアとして選択しようとして、DHCP マネージャのデータストアの選択肢に NIS+ が含まれていなかったり、NIS+ のインストールと実行が確認できないというメッセージが dhcpconfig から返されたりすることがあります。これは、このネットワークでは NIS+ が使用されている可能性はあるが、このサーバーには NIS+ が構成されていないことを意味します。NIS+ をデータとして選択するためには、サーバーマシンが NIS+ クライアントとして構成されている必要があります。
サーバーを NIS+ クライアントとして設定するためには、ドメインがすでに構成され、そのマスターサーバーが動作している必要があります。さらに、ドメインのテーブルのマスターサーバーがすでに作成され、ホストテーブルには新しいクライアントシステムのエントリ (DHCP サーバー) が存在している必要があります。『Solaris ネーミングの設定と構成』の「NIS+ クライアントの構成」で、NIS+ クライアントの構成についての詳細が説明されています。
DHCP で NIS+ が正常に使用できるようになっても、NIS+ を変更するとエラーになり、構成の問題が明らかになることがあります。表 5–1 を使用して、問題の原因を特定してください。
表 5–1 NIS+ 構成の問題
問題 |
情報の収集 |
解決法 |
---|---|---|
ルートオブジェクトが NIS+ ドメインに存在しない |
次のコマンドを入力する。 /usr/lib/nis/nisstat |
『Solaris ネーミングの設定と構成』を参照して NIS+ ドメインを設定する |
password と publickey の情報について NIS+ が使用されていない |
次のコマンドを入力して、ネームサービススイッチ構成ファイルを表示する cat /etc/nsswitch.conf この「nisplus」キーワードに関する password と publickey の項目を確認する |
ネームサービススイッチの構成については、『Solaris ネーミングの設定と構成』を参照 |
ドメイン名が空である |
次のコマンドを入力する。 domainname このコマンドによって空の文字列がリストされた場合は、このドメインについてドメイン名が設定されていない |
データストアにローカルファイルを使用するか、あるいは、ネットワーク用に NIS+ ドメインを設定する。『Solaris ネーミングの設定と構成』を参照 |
NIS_COLD_START ファイルが存在しない |
サーバーシステムで次のコマンドを入力して、ファイルの存在を確認する cat /var/nis/NIS_COLD_START |
データストアのローカルファイルを使用するか、あるいは、NIS+ クライアントを作成します。『Solaris ネーミングの設定と構成』を参照 |
NIS+ のアクセス権に問題があると、DES 資格が適切でない、またはアクセス権が不十分なため NIS+ オブジェクトやテーブルを更新できないというエラーメッセージが表示されることがあります。表 5–2 を使用して、受け取った NIS+ エラーの原因を特定してください。
表 5–2 NIS+ アクセスの問題
クライアントが IP アドレスを取得または確認しようとすると、次の問題が syslog やサーバーデバッグ出力に書き込まれることがあります。
表 5–3 IP アドレスの割り当てとリースに関する問題
エラーメッセージ |
説明 |
解決法 |
---|---|---|
There is no n.n.n.n dhcp-network table for DHCP client's network. |
クライアントが特定の IP アドレスを要求しているか、現在の IP アドレスのリースを延長しようとしているが、DHCP サーバーはそのアドレスに対する DHCP ネットワークテーブルを見つけることができない |
DHCP ネットワークテーブルが誤って削除されている場合がある。DHCP マネージャまたは dhcpconfig を使ってネットワークを再び追加すれば、ネットワークテーブルを再作成できる |
ICMP ECHO reply to OFFER candidate: n.n.n.n, disabling |
DHCP クライアントに提供されようとしている IP アドレスがすでに使用されている。複数の DHCP サーバーがこのアドレスを所有しているか、DHCP ネットワーク以外のクライアント用にアドレスが手動で構成されていると、この状態になることがある |
そのアドレスの適正な所有権を確認し、DHCP サーバーデータベース、またはホストのネットワーク構成を訂正する |
ICMP ECHO reply to OFFER candidate: n.n.n.n. No corresponding dhcp network record. |
DHCP クライアントに提供されようとしている IP アドレスのレコードがネットワークテーブルにない。IP アドレスが選択された後で、かつ重複アドレスチェックが完了する前に、その IP アドレスレコードが DHCP ネットワークテーブルから削除されると、この状態になることがある |
DHCP マネージャまたは pntadm を使って DHCP ネットワークテーブルを表示する。IP アドレスのレコードがない場合は、DHCP マネージャ (「アドレス (Addresses)」タブの「編集 (Edit)」メニューから「作成 (Create)」を選択) または pntadm を使ってレコードを作成する |
DHCP network record for n.n.n.n is unavailable, ignoring request. |
要求された IP アドレスのレコードは DHCP ネットワークテーブルに存在しないので、サーバーが要求をドロップする |
DHCP マネージャまたは pntadm を使って DHCP ネットワークテーブルを表示する。IP アドレスのレコードがない場合は、DHCP マネージャ (「アドレス (Addresses)」タブの「編集 (Edit)」メニューから「作成 (Create)」を選択) または pntadm を使ってレコードを作成する |
n.n.n.n currently marked as unusable. |
ネットワークテーブルで使用不可能に指定されているため、要求された IP アドレスを提供できない |
DHCP マネージャまたは pntadm を使って、アドレスを使用可能にする |
n.n.n.n was manually allocated. No dynamic address will be allocated. |
手動で割り当てられたアドレスがクライアントの ID に割り当てられ、そのアドレスが使用不可能になっている。そのため、サーバーがこのクライアントに別のアドレスを割り当てることができない |
DHCP マネージャまたは pntadm を使用して、そのアドレスを使用できるようにするか、またはそのクライアントに別のアドレスを手動で割り当てる |
Manual allocation (n.n.n.n, client ID has n other records. Should have 0. |
指定されたクライアント ID を持つクライアントに、複数の IP アドレスが手動で割り当てられている。割り当てられる IP アドレスは 1 つでなければならない。サーバーは、ネットワークテーブルにある、最後に手動で割り当てられたアドレスを選択する |
DHCP マネージャまたは pntadm を使って IP アドレスを修正し、余分な手動割り当てを取り除く |
No more IP addresses on n.n.n.n network. |
指定されたネットワーク上で DHCP が現在管理しているすべての IP アドレスは、すでに割り当てられている |
DHCP マネージャまたは pntadm を使って、このネットワーク用に新しい IP アドレスを作成する |
Client: clientid lease on n.n.n.n expired. |
リースがネゴシエーション可能ではなく、有効期限が切れている |
クライアントは、プロトコルを自動的に再起動して新しいリースを取得すべきである |
Offer expired for client: n.n.n.n |
サーバーがクライアントに IP アドレスを提供したが、クライアントの応答に時間がかかり過ぎ、このオファーは有効期限切れとなった |
クライアントは、新たな検索メッセージを自動的に発行すべきである。これも期限切れとなった場合は、DHCP サーバーのキャッシュオファータイムアウトを増加させる。DHCP マネージャでは、「サービス (Service)」メニューから「変更 (Modify)」を選択する |
Client: clientid REQUEST is missing requested IP option. |
クライアントの要求に、提供された IP アドレスが指定されていないため、DHCP サーバーがこの要求を無視した。クライアントが新しい DHCP プロトコル RFC 2131 に準拠していないと、この状態になることがある |
クライアントのソフトウェアを更新する |
Client: clientid is trying to renew n.n.n.n, an IP address it has not leased. |
DHCP ネットワークテーブルに記録されているこのクライアントの IP アドレスが、クライアントが更新要求で指定した IP アドレスと一致しない。DHCP サーバーはこのリースを更新しない |
この問題は、クライアントがまだ IP アドレスを使用しているのに、クライアントのレコードを削除した場合に発生する DHCP マネージャまたは pntadm を使用してネットワークテーブルを調べ、必要に応じて訂正するクライアントの ID は、指定された IP アドレスと結合されていなければならない。 結合されていない場合は、アドレスプロパティを編集してこのクライアント ID を追加する |
Client: clientid is trying to verify unrecorded address: n.n.n.n, ignored. |
指定されたクライアントがこのアドレスに対して DHCP ネットワークテーブルに登録されていない。そのため、要求は DHCP サーバーに無視される |
このネットワークの別の DHCP サーバーで、このクライアントにアドレスを割り当てられる ただし、クライアントがこの IP アドレスをまだ使用しているのにそのクライアントのレコードが削除されていることに原因がある場合もある DHCP マネージャまたは pntadm を使用して、このサーバーやネットワークの他の DHCP サーバーにあるネットワークテーブルを調べ、必要に応じて訂正する 何もせずにリースが期限切れになるのを待つこともできる。そうすれば、期限切れの後に自動的にクライアントが新しいアドレスリースを要求する クライアントに新しいリースをすぐに取得させたい場合は、次のコマンドを使って、このクライアント上で DHCP プロトコルを再起動する ifconfig interface dhcp release ifconfig interface dhcp start |