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Sun Java System Messaging Server 6 2004Q2 管理ガイド 

第 3 章
高可用性の構成

この節では、Veritas Cluster Server または Sun Cluster の高可用性のクラスタリングソフトウェアを構成し、Messaging Server で使用するための準備に必要な情報について説明します。『Messaging Server 配備計画ガイド』 (http://docs.sun.com/db/prod/entsys?l=ja) で高可用性に関する章を読んでおくことを前提にしています。また、Veritas または Sun Cluster Server のマニュアルで、詳細な計画、インストール手順、必要なパッチなどの情報を必要に応じて参照してください。

表 3-1 は、Messaging Server で現時点でサポートされている Sun Cluster Server および Veritas Cluster Server のバージョンのリストです。

表 3-1 Sun Cluster Server および Veritas Cluster Servers のサポートされているバージョン

クラスタ

サポートされているバージョン

Sun Cluster Server

Sun Cluster 3.1

Veritas Cluster Server

Veritas Cluster Server 1.3、Veritas Cluster Server 2.0、および Veritas Cluster Server 3.5

この章には、以下の節があります。

クラスタエージェントのインストール

クラスタエージェントは、クラスタフレームワークのもとで動作する Messaging Server プログラムです。

Sun Cluster Messaging Server エージェント (SUNWscims) は、Java Enterprise System インストーラから Sun Cluster 3.1 を選択したときにインストールされます。Veritas Cluster Messaging Server エージェント (SUNWmsgvc) は、Java Enterprise System CD の Messaging Server の Product サブディレクトリにあります (Solaris_sparc/Product/messaging_svr/Packages/SUNWmsgvc)。VCS クラスタエージェントをインストールするには、pkgadd(1M) コマンドを使用する必要があります。

Messaging Server および高可用性 (Veritas Cluster および Sun Cluster の両方に適用される) のインストールに関して次のことに注意してください。

useconfig ユーティリティの使用

useconfig ユーティリティを使用することで、HA 環境の複数のノード間で単一の設定を共有することができます。このユーティリティは、既存の設定をアップグレードまたは更新するものではありません。

たとえば、最初のノードをアップグレードする場合は、Java Enterprise System インストーラからインストールを行ってから、Messagng Server を設定します。そのあと、Java Enterprise System インストーラを使って Messaging Server パッケージをインストールする 2 番目のノードにフェイルオーバーします。ただし、初期実行時設定プログラム (configure) をもう一度実行する必要はありません。代わりに、useconfig ユーティリティを使用することができます。

このユーティリティを使用するには、useconfig ユーティリティを実行して、以前の Messaging Server 設定を指定します。

msg_svr_base/sbin/useconfig install/configure_YYYYMMDDHHMMSS

configure_YYYYMMDDHHMMSS は以前の構成設定ファイルです。

新しいノードでは、共用ディスク上の msg_svr_base/data/setup ディレクトリに configure_YYYYMMDDHHMMSS があります。

「Veritas Cluster Server エージェントのインストール」および「Sun Cluster エージェントのインストール」の以下の節には、useconfig ユーティリティをいつ使用できるかが記載されています。

Veritas Cluster Server エージェントのインストール

Messaging Server は、Veritas Cluster Server 1.3、2.0、および 3.5 とともに設定することができます。この節で示す手順では、Veritas Cluster 3.5 のみを取り上げています。Veritas 1.3 および 2.0 については、『Messaging Server 5.2 インストールガイド』を参照してください。

次の手順を実行する前に、Veritas Cluster Server マニュアルを再度お読みください。


1. Veritas Volume Manager (VxVM) には、別のライセンスを必要とするクラスタ機能があります。この機能では、Sun Cluster 3.0 グローバルファイルシステム同様、共有ストレージ上のファイルシステムを概観できます。詳細は、Veritas Cluster Server のマニュアルを参照してください。

2. FsckOpt は、3.5 より前の Veritas リリースではオプションでしたが、Mount リソースの設定には必須です。FsckOpt には -y または -n を付ける必要があります。そうしないと、リソースがオンラインになりません。

3. Veritas Cluster Server 2.0 Explorer は、Veritas Cluster Server 3.5 の管理には使用できません。


Java Enterprise System インストーラからの Messaging Server のインストールと HA の設定が完了したあと、HA サポートに関連するその他の手順を「サーバー上での IP アドレスのバインド」で確認してください。

Veritas Cluster Server 要件

VCS 3.5 インストールおよび設定上の注意

次の手順では、Veritas Cluster Server 3.5 を使用して Messaging Server を HA サービスとして設定する方法を説明します。

デフォルトの main.cf 設定ファイルは、VCSweb アプリケーションを起動する ClusterService と呼ばれるリソースグループを設定します。このグループには、csgnicwebip などの、ネットワーク論理ホスト IP リソースが含まれます。また、ntfr リソースは、イベント通知用に作成されます。

  1. ノードの 1 つから Cluster Explorer を起動します。
  2. この Veritas Cluster Server の手順では、Messaging Server を HA サービスとして設定する際にグラフィカルユーザーインタフェースを使用すると仮定しています。

    Cluster Explorer を起動するには、以下のコマンドを実行します。

    # /opt/VRTSvcs/bin/hagui

    GUI を使用するために、VRTScscm パッケージをインストールする必要があります。

  3. タイプ DiskGroups1ms_dg ディスクグループリソースを追加して、有効にします。
  4. タイプ Mounts1ms_mt マウントリソースを追加します。
    1. Veritas Cluster Server 2.0 とは異なり、-y (または -n) を FsckOpt に追加する必要があります。NULL オプションは、Mount をハングさせます。fsck_vxfs の詳細については、Solaris のマニュアルページを参照してください。
    2. リンクしているリソースがまだ有効になっていない場合は、「リンク」ボタンを使って、必ずそのリソースを有効にしてください。
  5. s1ms_mts1ms_dg の間のリンクを作成します。リソース s1ms_mt を有効にします。
  6. 次の図は依存関係ツリーを示します。

    図 3-1 Veritas Cluster Server 依存関係ツリー
    VCS 依存関係ツリー。s1ms_dg と slms_dg の間に作成されたリンク。

  7. 管理サーバーと Messaging Server を選択して、Java Enterprise System インストーラを実行します。
    1. 管理サーバーの設定中にホスト名の入力を求められたときは、必ず論理ホスト名を指定してください。
    2. 主要ノード (たとえば、Node_A) から Messaging Server 初期実行時設定を実行して、Messaging Server をインストールします。
    3. pkgadd(1M) コマンドを使用して、Veritas Cluster Server エージェントパッケージ、SUNWmsgvc (Java Enterprise System CD の Messaging Server Product サブディレクトリ内) をインストールします。
    4. これで、Messaging Server と Veritas エージェントが Node_A にインストールされます。

  8. バックアップノード (たとえば、Node_B) に切り替えます。
  9. Java Enterprise System インストーラを実行して、バックアップノード (Node_B) に Messaging Server をインストールします。
  10. Messaging Server をインストールしたあと、useconfig ユーティリティを使用することにより、バックアップノード (Node_B) に追加の初期実行時設定を作成する必要がなくなります。useconfig ユーティリティを使用することで、HA 環境の複数のノード間で単一の設定を共有することができます。このユーティリティは、既存の設定をアップグレードまたは更新するものではありません。「useconfig ユーティリティの使用」を参照してください。
  11. これで、Veritas エージェントが Node_B にインストールされます。

  12. Cluster Explorer で、「File」メニューから「Import Types...」を選択し、ファイル選択ボックスを表示します。
  13. /etc/VRTSvcs/conf/config ディレクトリから MsgSrvTypes.cf タイプをインポートします。このタイプファイルをインポートします。このファイルを検索するときは、クラスタノード上にいる必要があります。
  14. ここで、タイプ MsgSrv のリソース (たとえば、Mail) を作成します。このリソースは、論理ホスト名プロパティの設定に必要です。
  15. Mail リソースは、s1ms_mt および webip によって決まります。以下の依存関係ツリーに示されているように、リソース間のリンクを作成します。
  16. 図 3-2 Veritas Cluster 依存関係ツリー
    VCS 依存関係ツリー : リンクは Mail と webip および s1ms_mt 間に作成されています。

    1. すべてのリソースを有効にし、Mail をオンラインにします。
    2. すべてのサーバーが起動されます。
  17. Node_A に切り替えて、高可用性の設定が機能しているかどうかをチェックします。
  18. グループ属性 OnlineRetryLimit3 から 0 に変更します。変更しないと、フェイルオーバーしたサービスが同じノード上で再起動することがあります。

MsgSrv 属性

この節では、mail リソースの動作を管理する MsgSrv のその他の属性について説明します。Veritas Cluster Server で Messaging Server を設定するには、表 3-2 を参照してください。

表 3-2 Veritas Cluster Server 属性 

属性

説明

FaultOnMonitorTimeouts

設定解除 (=0) の場合、監視 (プローブ) タイムアウトはリソースの障害としては扱われない。推奨される設定は 2。監視のタイムアウトが 2 回になると、リソースが再起動またはフェイルオーバーする

ConfInterval

障害や再起動がカウントされる時間間隔。サービスがこの時間の間オンラインになっていると、以前の履歴は消去される。600 ミリ秒を推奨

ToleranceLimit

リソース FAULTED を宣言するために監視が OFFLINE を返す回数。この値は 0 (デフォルト) のままにする

Sun Cluster エージェントのインストール

この節では、Sun Cluster の Highly Available (HA) Data Service のインストールおよび設定方法を説明します。このインストール手順は、Sun Cluster 3.1 に適用されます。この節には、以下の項目があります。

Sun Cluster 3.1 のマニュアルは、次の場所で参照できます。

http://docs.sun.com/db/prod/cluster#hic

Veritas File System (VxFS) は、Sun Cluster 3.1 でサポートされています。

Sun Cluster の要件

ここでは、次の条件を前提としています。

HAStoragePlus について

Sun Cluster 環境内でローカルにマウントされたファイルシステムの可用性を高めるために、HAStoragePlus リソースタイプを使用することを強くお勧めします。Sun Cluster グローバルデバイスグループに常駐するファイルシステムは、HAStoragePlus で使用できます。HAStorage のようなグローバルにマウントされたファイルシステムとは異なり、HAStoragePlus は一定期間に 1 つのクラスタノードでのみ利用できます。これらのローカルにマウントされたファイルシステムは、フェイルオーバーモードとフェイルオーバーリソースグループのみで使用できます。HAStorage の GFS (グローバルファイルシステム) とは異なり、HAStoragePlus は FFS (フェイルオーバーファイルシステム) を提供します。

HAStoragePlus には、多くの利点があります。

HAStoragePlus の詳細は、『Sun Cluster 3.1 Data Service Planning and Administration Guide』を参照してください。

Sun Cluster と HA StoragePlus での Messaging Server の設定

この節では、Sun Cluster 3.1 の Sun ONE Messaging Server の HA サポートおよび HA StoragePlus を設定する方法を、単純な例を使って説明します。

HA を設定したら、「サーバー上での IP アドレスのバインド」で、HA サポートに関連する追加の手順を確認してください。

以下の例では、メッセージングサーバーが HA 論理ホスト名および IP アドレスによって設定されていると仮定しています。物理ホスト名は mail-1mail-2 で、HA 論理ホスト名は budgie とします。図 3-3 に、Messaging Server HA サポートの構成時に作成する各種の HA リソースの入れ子の依存関係を示します。

図 3-3 単純な Sun ONE Messaging Server HA 構成

単純な Messaging Server HA 構成

  1. スーパーユーザーになり、コンソールを開きます。
  2. 以下の Sun Cluster コマンドを実行するには、スーパーユーザーとしてログインする必要があります。また、メッセージ出力を表示するコンソールまたはウィンドウを /dev/console に設定する必要があります。

  3. 必要なリソースタイプを追加します。
  4. 使用するリソースタイプを Sun Cluster が認識できるように設定します。これを行うには、次のように、scrgadm -a -t コマンドを使用します。

    # scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus
    # scrgadm -a -t SUNW.ims

  5. Messaging Server のリソースグループを作成します。
  6. この作業をまだ実行していない場合は、リソースグループを作成し、Messaging Server を実行するクラスタノードにそのグループが表示されるようにします。次のコマンドは、MAIL-RG というリソースグループを作成し、クラスタノードの mail-1 および mail-2 にこのグループを表示します。

    # scrgadm -a -g MAIL-RG -h mail-1,mail-2

    リソースグループには、任意の名前を使用できます。

  7. HA 論理ホスト名リソースを作成し、リソースグループを起動します。
  8. この作業をまだ実行していない場合は、HA 論理ホスト名リソースを作成して有効にし、これをリソースグループ内に配置します。次のコマンドは、論理ホスト名 budgie を使用して、これを実行します。-j オプションが省略されているので、作成したリソースの名前も budgie になります。

    # scrgadm -a -L -g MAIL-RG -l budgie
    # scswitch -Z -g MAIL-RG

  9. HAStoragePlus リソースを作成します。
  10. Messaging Server が依存するファイルシステムの HAStoragePlus リソースタイプを作成する必要があります。次のコマンドは、disk-rs という HAStoragePlus リソースを作成し、ファイルシステム disk_sys_mount_point を、その制御下に配置します。

    # scrgadm -a -j disk-rs -g MAIL-RG ¥
    -t SUNW.HAStoragePlus ¥
    -x ServicePaths=disk_sys_mount_point-1, disk_sys_mount_point-2

    ServicePaths= の後ろに、Messaging Server が依存するクラスタファイルシステムのマウントポイントをコンマで区切って列挙します。上の例では、2 つのマウントポイント、disk_sys_mount_point-1disk_sys_mount_point-2 が指定されています。一方のサーバーが別のファイルシステムに依存する場合は、追加の HA ストレージリソースを作成し、手順 9 でその依存関係を指定します。

  11. 管理サーバーをインストールして設定します (『Sun Java Enterprise System 2004Q2 インストールガイド』を参照)。
  12. 完全指定ドメイン名を指定するときは、手順 4 で作成した HA 論理ホスト名を使用してください。

  13. Messaging Server をインストールして設定します。「Messaging Server の初期実行時設定を作成するには」を参照してください。
    1. 初期実行時設定で、設定ディレクトリを指定するよう求められます (「Messaging Server の初期実行時設定を作成するには」を参照)。必ず、HAStoragePlus リソースの共用ディスクのディレクトリパスを使用してください。
    2. 次のコマンドを実行して、Sun Cluster の下で watcher プロセスを有効にしてください。

      configutil -o local.autorestart -v 1

    3. watcher プロセスの詳細は、『Sun Java System Messaging Server 管理ガイド』を参照してください。

  14. ha_ip_config スクリプトを実行して、service.listenaddrservice.http.smtphost を設定し、高可用性用に dispatcher.cnf および job_controller.cnf ファイルを設定します。このスクリプトでは、物理 IP アドレスではなく論理 IP アドレスがこれらのパラメータやファイルに設定されます。
  15. スクリプトの実行手順については、「サーバー上での IP アドレスのバインド」を参照してください。

    ha_ip_config スクリプトは、(設定とデータ用の) 共用ディスクがあるマシン上で、1 回だけ実行する必要があります。

  16. HA Messaging Server リソースを作成します。
  17. HA Messaging Server リソースを作成し、これをリソースグループに追加します。このリソースは、HA 論理ホスト名リソースと HA ディスクリソースに依存します。

    HA Messaging Server リソースを作成するときは、Messaging Server のトップレベルディレクトリへのパス (msg_svr_base パス) を指定する必要があります。これには、次に示すように、IMS_serverroot 拡張プロパティを使用します。

    # scrgadm -a -j mail-rs -t SUNW.ims -g MAIL-RG ¥
              -x IMS_serverroot=msg_svr_base ¥
              -y Resource_dependencies=disk-rs,budgie

    上記のコマンドは、msg_svr_base ディレクトリ内の IMS_serverroot にインストールされている Messaging Server に、mail-rs という Messaging Server リソースを作成します。この HA Messaging Server リソースは、HA ディスクリソース disk-rs、および HA 論理ホスト名 budgie に依存します。

    Messaging Server が追加のファイルシステムとの依存関係を持つ場合は、そのファイルシステム用に追加の HA ストレージリソースを作成できます。上記のコマンドの Resource_dependencies オプションに、追加する HA ストレージリソースの名前が含まれていることを確認してください。

  18. /etc/vfstab ファイルから global という語を削除します。ブートアップでは、/etc/vbstab が「no」に設定されている必要があります。詳細については、Sun Cluster 3.1 のマニュアルを参照してください。
  19. HAStoragePlus で vfstab ファイルが有効になる前に、最初に、現在のグローバルファイルシステムであるファイルシステムを umount する場合があります。そのあと、HAStoragePlus で vfstab ファイルを有効にし、ファイルシステムを再マウントすることができます。

  20. Messaging Server リソースを有効にします。
  21. HA Messaging Server リソースを有効にし、その Messaging Server をオンラインにします。これを実行するには、次のコマンドを使用します。

    # scswitch -e -j mail-rs

    このコマンドは、MAIL-RG リソースグループの mail-rs リソースを有効にします。MAIL-RG リソースはすでにオンラインになっているので、このコマンドで、mail-rs リソースもオンラインにします。

  22. リソースの動作を確認します。
  23. scstat コマンドを使用して、MAIL-RG リソースグループがオンラインになっているかどうかを確認します。診断情報があれば、コンソールデバイスに出力されるので、画面で確認できます。また、syslog ファイル /var/adm/messages で参照することもできます。

  24. フェイルオーバーを適切に動作させるため、もう 1 つのクラスタノードにリソースグループの処理を継続させます。
  25. 手動でリソースグループの処理を別のクラスタノードに継続させます。フェイルオーバー先のノードでスーパーユーザー権限を持っていることを確認してください。

    scstat コマンドを使用して、現在リソースグループの処理を実行している (オンラインになっている) ノードを確認します。たとえば、オンラインノードが mail-1 の場合は、次のコマンドを使用して、mail-2 に処理を継続させます。

    # scswitch -z -g MAIL-RG -h mail-2

サーバー上での IP アドレスのバインド

「対称」高可用性モデルまたは「N + 1」高可用性モデルを使用する場合は、Sun Cluster Server を Messaging Server に対応させるために、構成で注意すべき事項がいくつかあります。

サーバー上で動作する Messaging Server は、正しい IP アドレスによってバインドされる必要があります。これは HA 環境で Messaging を正しく設定するために必要です。

Messaging Server を HA 対応に構成する過程で、Messaging Server がバインドされて接続を待機するインタフェースアドレスを設定します。デフォルトでは、各サーバーは使用可能なすべてのインタフェースアドレスにバインドされます。ただし、HA 環境では、HA 論理ホスト名に関連付けられたインタフェースアドレスに限定して各サーバーをバインドする必要があります。

上記のようなバインドが簡単に行えるように、特定の Messaging Server インスタンスに属するサーバーが使用するインタフェースアドレスの構成を行うためのスクリプトが用意されています。このスクリプトでは、ユーザーが所有する IP アドレス、またはサーバーが使用する HA 論理ホスト名に関連付ける IP アドレスから、適切なインタフェースアドレスを特定します。

このスクリプトは、以下の設定ファイルを修正または作成することによって、構成を変更します。

msg_svr_base/config/dispatcher.cnf

このファイルでは、SMTP サーバーおよび SMTP 送信サーバーの INTERFACE_ADDRESS オプションを追加または変更します。

msg_svr_base/config/job_controller.cnf

このファイルでは、ジョブコントローラの INTERFACE_ADDRESS オプションを追加または変更します。

最後に、POP、IMAP、および Messenger Express HTTP サーバーが使用する configutil service.listenaddr および service.http.smtphost パラメータを設定します。

元の設定ファイルがある場合、それらのファイルは *.pre-ha という名前に変更されます。

このスクリプトを実行するには、次の手順に従います。

  1. スーパーユーザーになります。
  2. msg_svr_base/sbin/ha_ip_config を実行します。
  3. スクリプトによって、以下の質問が表示されます。Control キーを押しながら d キーを押すと、どの質問の段階でもスクリプトを中止できます。デフォルトの設定は、角括弧 ([ ]) 内に表示されています。デフォルトの設定を選択する場合は、Return キーを押します。
    1. Logical IP address : 論理 IP アドレス。Messaging Server が使用する論理ホスト名に割り当てられた IP アドレスを指定します。この IP アドレスは、「123.456.78.90」のように、ドット付きの 10 進形式で指定する必要があります。
    2. 論理 IP アドレスは、configutil パラメータ service.http.smtphost に自動的に設定されます。このパラメータにより、クラスタ内でメッセージングシステムが実行されているマシンを参照することができます。たとえば Messenger Express を使用している場合、サーバーは、送信メールの送り先メールホストを判断できます。

    3. Messaging Server Base (msg_svr_base) : Messaging Server ルート。Messaging Server をインストールする最上位ディレクトリの絶対パスを指定します。
    4. Do you wish to change any of the above choices : 選択した項目を変更するかどうか。これまでに回答した内容でよい場合は、「no」と答えて、設定の変更を確定します。回答を変更する場合は、「yes」と答えます。

      また、ha_ip_config スクリプトでは、パラメータ local.autorestart および local.watcher.enable を使用して、2 つの新しいプロセス watcher および msprobe を自動的に有効にします。これらの新しいパラメータは、メッセージングサーバーの状況を監視する際に役立ちます。プロセスの障害や反応しないサービスによって、特定の障害を示すログメッセージが生成されます。これで、クラスタエージェントは watcher プロセスを監視するようになり、このプロセスが終了すると必ずフェイルオーバーします。Sun Cluster を正しく機能させるために、パラメータを有効にしておく必要があります。

      watcher および msprobe プロセスの詳細は、「障害が発生したサービスや応答がないサービスの自動再起動」を参照してください。



高可用性の構成の解除

この節では、高可用性の構成を解除する方法を説明します。高可用性をアンインストールするには、Veritas または Sun Cluster のマニュアルに記載されている手順に従ってください。

高可用性の構成の解除手順は、Veritas Cluster Server か Sun Cluster のどちらを削除するかによって異なります。

この節には、以下の項目があります。

Veritas Cluster Server の構成の解除

Veritas Cluster Server の高可用性コンポーネントの構成を解除するには、次の手順に従います。

  1. iMS5 サービスグループをオフラインにし、そのリソースを無効にします。
  2. mail リソース、logical_IP リソース、および mountshared リソースの間の依存関係を解除します。
  3. iMS5 サービスグループをオンラインに戻します。sharedg リソースが有効になります。
  4. インストール時に作成した Veritas Cluster Server リソースをすべて削除します。
  5. Veritas Cluster Server を停止し、両方のノードで次のファイルを削除します。
  6. /etc/VRTSvcs/conf/config/MsgSrvTypes.cf
    /opt/VRTSvcs/bin/MsgSrv/online
    /opt/VRTSvcs/bin/MsgSrv/offline
    /opt/VRTSvcs/bin/MsgSrv/clean
    /opt/VRTSvcs/bin/MsgSrv/monitor
    /opt/VRTSvcs/bin/MsgSrv/sub.pl

  7. Messaging Server のエントリを両方のノードの /etc/VRTSvcs/conf/config/main.cf ファイルから削除します。
  8. 両方のノードから /opt/VRTSvcs/bin/MsgSrv/ ディレクトリを削除します。

Sun Cluster 3.x の Messaging Server HA サポートの構成の解除

この節では、Sun Cluster の HA 構成を取り消す方法を説明します。ここでは、「Sun Cluster エージェントのインストール」で説明した単純な例の構成を前提としています。ほかの構成では、特定のコマンド (たとえば、手順 3) が異なる場合がありますが、それ以外の手順は同じです。

  1. スーパーユーザーになります。
  2. 以下の Sun Cluster コマンドを実行するには、スーパーユーザーになる必要があります。

  3. リソースグループをオフラインにします。
  4. リソースグループのすべてのリソースをシャットダウンするには、次のコマンドを実行します。

    # scswitch -F -g MAIL-RG

    これで、リソースグループ内のすべてのリソース (Messaging Server やHA 論理ホスト名など) がシャットダウンされます。

  5. 個々のリソースを無効にします。
  6. 次のコマンドで、リソースグループからリソースを 1 つずつ無効にします。

    # scswitch -n -j mail-rs
    # scswitch -n -j disk-rs
    # scswitch -n -j budgie

  7. リソースグループから個々のソースを削除します。
  8. リソースを無効にしたら、次のコマンドで、リソースグループからリソースを 1 つずつ削除できます。

    # scrgadm -r -j mail-rs
    # scrgadm -r -j disk-rs
    # scrgadm -r -j budgie

  9. リソースグループを削除します。
  10. リソースグループからすべてのリソースを削除したら、次のコマンドで、リソースグループそのものを削除できます。

    # scrgadm -r -g MAIL-RG

  11. リソースタイプを削除します (省略可)。
  12. クラスタからリソースタイプを削除する必要がある場合は、次のコマンドを実行します。

    # scrgadm -r -t SUNW.ims
    # scrgadm -r -t SUNW.HAStoragePlus



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