Sun Java System Communications Express 6 2004Q2 管理ガイド |
第 6 章
トラブルシューティングこの章では、発生する可能性のあるよくある問題と、エラーログを作成し、有効にする手順について説明します。
この章には、以下の節があります。
問題の特定Communications Express では、各種の製品に依存する統合された Web ベースの通信クライアントが用意されています。使用している間にトラブルシューティングが必要な問題が生じる場合があります。
問題の原因を特定するには、問題に取り組む前に、以下の共通のトラブルシューティングのメソッドを実行してください。
- コンポーネントのログにエラーおよび例外が報告されていないかどうかを確認します。ログファイルには、Communications Express のインストール、設定、および実行中に発生したエラーのリストが保持されています。
- 製品を設定する際には、『Sun Java System Communications Express Release Notes』および『Sun Java System Communications Express 管理ガイド』で説明されている手順どおりに作業したかどうか確認します。
- 詳細なエラーログを確認し、障害の原因を判別できるように、Communications Express ログを有効にします。ロギングを有効にする手順については、「ログファイル」の節を参照してください。
一般に判明している問題のトラブルシューティング
この節では、インストール、設定、起動、または Communications Express ユーザーインタフェースクライアントコンポーネントにアクセスしているときに、発生する可能性のある問題の概要を説明します。
以下のリストは、Communications Express で一般に判明している問題の一部とその考えられる原因です。
Communications Express の設定
Web コンテナを再起動しても、設定の変更が反映されない
設定の変更が適切な設定パス内のファイルに適用されていることを確認します。
Communications Express 設定が完了すると、以下の設定ディレクトリがシステムに作成されます。
変更内容がアプリケーションに反映されるようにするには、設定の変更を <uwc-deployed-path>/WEB-INF/config に行うようにします。
<uwc-deployed-path>/staging/WEB-INF/config および <uwc-basedir>/SUNWuwc/WEB-INF/config の 2 つのディレクトリは、設定プログラムが設定中に内部的に作成して使用している一時的なプレースホルダです。これらのディレクトリ内に対する変更は、アプリケーションに反映されません。
設定タスクが失敗した
問題を特定するには、<uwc-basedir>/SUNWuwc/install/uwc-config _<TIME-STAMP>.log にあるログファイルを使用します。
<TIME-STAMP> は設定のタイムスタンプで、YYYYMMDDhhmmss という形式です。
設定プログラムが正しく動作しない
問題を特定するには、以下の手順を実行します。
以下のデバッグモードを使用してデバッグオプションを有効にし、設定プログラムを呼び出します。
-debug : 一般的なデバッグ情報を生成する
-debugMessage : エラーおよび警告のログを生成する
-debugWarning : 警告メッセージおよびエラーメッセージのログを生成する
-debugError : エラーメッセージのログを生成する。デフォルトではこのオプションが有効
UWC アプリケーションの起動に失敗し、Web コンテナのログには例外が示される
このエラーは、設定が不完全であるか不正である場合に発生することがあります。
回避策
設定中に、「chown」コマンドが失敗する
回避策
設定プログラムを実行し、「Web コンテナのユーザーとグループ」パネルでWeb コンテナユーザーおよびグループに正しい値を入力します。
認証後に Identity Server が有効な状態で Communications Express にアクセスすると、「この処理の実行中にエラーが発生しました」というメッセージが表示される
回避策
<uwc-deployed- path> /WEB_INF/config/uwcauth.properties の uwcauth.identity.binddn プロパティに、Identity Server SDK をインストールしたときに指定した amAdmin DN が設定されていることを確認します。第 3 章「Communications Express 用のシステム設定」の「uwcauth.properties ファイルでの Identity Server パラメータの設定」の節を参照してください。
ディレクトリ管理者のクレデンシャルが Identity Server SSO で使用できる場合もありますが、Communications Express が正しく機能するのに必須の特定のドメイン固有属性を取得するのに必要な ACL がディレクトリ管理者にはありません。
カレンダへのアクセス
Communications Express からカレンダにアクセスすると、「この処理の実行中にエラーが発生しました」というメッセージが表示される
このエラーは、以下のどれか 1 つ以上の理由で表示されることがあります。
- <uwc-deployed-path> /WEB_INF/config/uwcconfig.properties の Calendar Server の設定が正しくない
- Communications Express の uwcconfig.properties ファイル内の Calendar Server の calmaster 情報が、Calendar Server の <cal deploy path>/bin/config/ics.conf ファイル内の値と同じでない
Calendar Server 関連のパラメータについては、「uwcconfig.properties ファイルでの Calendar Server のパラメータの設定」を参照してください。
- Communications Express と Calendar Server の両方が、ホストドメインで有効でない
Communications Express と Calendar Server の両方が、仮想ドメインを利用できるか、またはできないかのどちらかであることを確認してください。ホストドメインで Communications Express および Calendar Server を有効にする詳細については、「カレンダで仮想ドメイン設定を使用可能にする」を参照してください。
- Calendar Server が開始していない
- カレンダーサービスがこのユーザーで利用できない
Communications Express からカレンダにアクセスすると、「カレンダを使用できません。表示できませんでした。選択したカレンダは削除されたか存在していません。または表示する権限がありません。別のカレンダを選択してください。」というメッセージが表示される
このエラーは、ユーザーが Schema 2 で使用される commcli を使用して、ホストされていないドメインのセットアップシナリオでプロビジョニングしている場合に起こります。commcli はユーザーの LDAP エントリの icsCalendar 属性の値に @<domain> を正しく付加できないために、エラーメッセージが表示されます。
回避策
commcli を使用してホストされていないドメイン環境でプロビジョニングする場合は、commadmin コマンドに -k legacy オプションを使用してください。ホストドメイン環境には、-k hosted オプションを使用します。-k オプションを指定しない場合は、ホストドメインのセットアップが想定されます。
例
または
すでにプロビジョニングされているユーザーに対応するエントリが削除できない場合は、「@<domain>」を icsCalendar、icsSubscribed、および icsOwned から削除します。
カレンダにアクセスすると、以下のメッセージが画面に表示される
Application Error
java.lang.NullPointerException
このエラーは、ユーザーが空の「preferredLanguage」属性でプロビジョニングしている場合に発生することがあります。
回避策
ユーザーの LDAP エントリの「preferredLanguage」属性を削除します。または、「preferredLanguage」に有効な値を入力します。
アドレス帳へのアクセス
アドレス帳にアクセスするとサーバーエラーが発生する。Web Server のログには例外「org.apache.xml.utils.WrappedRuntimeException: The output format must have a '{http://xml.apache.org/xslt}content-handler' property!」が記録されている
この例外は、JDK Web Server が JDK 1.4.2 未満のバージョンを指しているときに、Web Server がスローします。Communications Express では、XML/XSL の構文解析に、xalan および xerces 最新バージョンを使用します。Communications Express に同梱されている xalan および xerces ファイルは、JDK 1.4.2 未満のバージョンでは動作しません。JDK 1.4.1 は通常 Web Server 6.1 に同梱されているため、例外が発生します。
回避策
Web Server を JES インストーラからインストールしていない場合は、server.xml Web Server 設定ファイル内 <java> タグの java_home 属性として定義されている Web コンテナの JDK バージョンを手動でアップグレードします。
または
Web Server を JES2 からインストールし直します。JDK が自動的にアップグレードされます。
Communications Express からアドレス帳にアクセスすると、「この処理の実行中にエラーが発生しました」というメッセージが表示される
このエラーは、個人アドレス帳 (PAB) の LDAP 設定が正しくない場合に発生します。アドレス帳にアクセスすると、Communications Express は個人アドレス帳ストア、つまり PAB 用に設定された LDAP に接続します。個人アドレス帳ストアで接続を確立できない場合は、エラーが表示されます。
回避策
検索を実行すると、企業ディレクトリにインラインエラーが表示される
企業ディレクトリの LDAP 設定が正しく設定されていない場合に起こります。
回避策
WEB-INF/config/corp-dir/db_config.properties の LDAP 設定に誤りがないかどうか確認し、誤りを修正して、Communications Express を再起動します。
企業ディレクトリの連絡先を表示すると、「表示」ウィンドウにエラーが表示される。
このエラーは、企業ディレクトリ内の連絡先エントリにアクセスするキーが「uid」でない場合に表示されます。
uid は、Communications Express に設定されたデフォルト値です。
回避策
企業ディレクトリから連絡先にアクセスするには、<uwc-deployed-path>/WEB-INF/config 内の db_config.properties および xlate-inetorgperson.xml 設定ファイルで、キー値にする値が設定されている必要があります。
これらのファイルに以下の変更を加えます。
メールへのアクセス
「メール」タブをクリックすると、ログインページが表示される
Communications Express と Messaging Server との間の設定が正しく行われている場合に、この問題が発生します。Messaging Server と Communications Express がシームレスに動作するには、Messaging Server または Identity Server のシングルサインオンが使用可能でなければなりません。Communications Express を開始する前に、第 4 章「シングルサインオンの実装」で説明しているシングルサインオン設定の手順に従ってください。
Communications Express からメールにアクセスすると、「この処理の実行中にエラーが発生しました」というメッセージが表示される
このエラーは、Communications Express のメールコンポーネントが配備されていないか使用可能ではない場合に、Communications Express にログインしているユーザーが「メール」をデフォルトのアプリケーションとして設定した場合に発生します。
回避策
管理者は、ユーザーの LDAP エントリの属性 sunUCDefaultApplication の値を「calendar」または「addressbook」に変更する必要があります。
ユーザーが Communications Express からログアウトしたにもかかわらず、ログインしたままになっている
この問題は Identity Server および Communications Express が異なるマシンにインストールされている場合に発生します。また場合によっては、Identity Server Remote SDK が Communications Express がインストールされているマシンにインストールされている場合にも発生します。
回避策
Communications Express がインストールされているマシンで、AMConfig.properties ファイルの以下の設定パラメータを指定します。
com.iplanet.am.notification.url=<url-to-access-web-container-of-Communications Express>/servlet/com.iplanet.services.comm.server.PLLRequestServlet
メールからアドレス帳機能にアクセスすると、以下の問題が発生する場合がある
ブラウザで JavaScript を使用してこれらの機能を相互運用させるには、Communications Express と Messenger Express (MEM) を同じホストに配備しなければなりません。
Identity Server を使用した認証
有効なユーザー ID およびパスワードを入力しても認証できない
認証は以下のような理由で失敗します。
- ユーザーが commcli または Identity Server を使用してプロビジョニングされておらず、Sun Java System LDAP Schema v.2 を使用している
回避策
Sun Java System LDAP Schema v.2 を使用している場合は、そのユーザーが commcli ユーティリティまたは Identity Server UI コンソールで追加されていなければなりません。
- ログインしようとしているユーザーが組織に存在しない
<uwc-deployed-path>/WEB_INF/config/ uwcauth.properties に定義されているデフォルトドメインは、user@domain 形式のドメイン情報がない場合に、ユーザー ID を認証するために使用します。ユーザーがそのドメインの組織ツリー内に存在しない場合は、認証に失敗します。
- <uwc-deployed-path>/WEB_INF/config/ uwcauth.properties にある管理者のクレデンシャルが正しくない
設定パラメータの詳細については、「uwcauth.properties ファイルでの Identity Server パラメータの設定」を参照してください。
500 HTTP コードでサーバーエラーが返される
<uwc-deployed-path>/WEB-INF/lib ディレクトリ内に am_sdk.jar および am_services.jar が存在すると、このエラーが発生します。
回避策
<uwc-deployed-path>/ WEB-INF/lib ディレクトリから am_sdk.jar および am_services.jar を削除します。さまざまな Communications Express および Identity Server 配備シナリオについては、「Web コンテナインスタンスへの Communications Express と Identity Server の配備」を参照してください。
ログファイル各種のシステムコンポーネントから運用時に生成されるログ情報は、問題を切り分けてトラブルシューティングする際に非常に役に立ちます。
ロギングを有効にするには、以下の手順を実行します。
- ファイル uwclogging.properties を編集します。
このファイルは <uwc-deployed-path>/WEB-INF/config ディレクトリにあります。
uwclogging.properties ファイルには、以下のプロパティが格納されています。
表 6-1 uwclogging.properties ファイル内の設定可能なパラメータ
モジュール / ログ制御ファイル
パラメータ
デフォルト値
説明
設定
ログは、opt/SUNWuwc/install/uwc-config _<TIME-STAMP>.log にタイムスタンプ付きのファイルで保持される
Communications Express
<uwc-deployed-path>/WEB-INF/config/uwclogging.properties
uwc.logging.enable
no
ロギングを有効または無効にする
ロギングを有効にするには、uwc.logging.enable のプロパティ値を「yes」に変更する。たとえば uwc.logging.enable=yes
Communications Express
<uwc-deployed-path>/WEB-INF/config/uwclogging.properties
uwc.log.file
<uwc-deployed-path>/uwc.log
例
/var/opt/SUNWuwc/logs/uwc.log
ログファイルの場所を指定する
必要に応じてログファイルの場所を変更する
Web Server がこのファイルに書き込めるようにする
Communications Express
<uwc-deployed-path>/WEB-INF/config/uwclogging.properties
uwc.log.level
INFO
アプリケーションのログレベルを指定する
アプリケーションのログレベルを希望するレベルに変更する
ログレベルの値として有効なのは以下のとおり
WARNING、INFO、および FINE
アドレス帳
<uwc-deployed-path>/WEB-INF/config/uwcconfig.properties
log.file
/tmp/trace.log
ログファイルの場所を指定する
必要に応じてログファイルの場所を変更する
Web Server がこのファイルに書き込めるようにする
アドレス帳
<uwc-deployed-path>/WEB-INF/config/uwcconfig.properties
uwc.log.level
3
アプリケーションのログレベルを指定する
このモジュールのロギングを無効にするには、値を 0 に設定する
メール
http://docs.sun.com/db/prod/entsys?l=ja から入手可能な『Sun Java System Messaging Server 管理ガイド』の第 18 章「ログ記録とログ解析」を参照
- uwclogging.properties ファイルにデフォルト値を設定したら、Web Server を再起動します。