サイレントインストールは、類似した設定を共有している複数のホストに、Sun JavaTM Enterprise System (Java ES) を対話処理なしでインストールする方法です。この章では、サイレントモードを使用して Java ES ソフトウェアをインストールする方法を説明します。
この章で説明する内容は、次のとおりです。
この章で説明する手順を開始する前に、インストールの順序を作成し、非互換性についてシステムを調査し、必要な前提条件をすべて満たしておく必要があります。詳細については、「インストール前提条件」を参照してください。
Portal Server、Messaging Server、Calendar Server、Delegated Administrator、または Instant Messaging とともに Access Manager をインストールする場合は、Access Manager 旧バージョン (6.x) インストールタイプを使用することが必要です。Access Manager レルム (7.x) インストールタイプは、これらのコンポーネントのどれもインストールしない 場合にのみ使用できます。
グラフィカルインタフェースで [今すぐ設定] の場合: 「Access Manager: 管理 (1 / 6)」ページで、「旧バージョン (バージョン 6.x スタイル)」を選択します。「Access Manager: Access Manager コンソールを実行するための Web コンテナ (4 / 6)」ページで、「コンソール配備 URI」を amconsole (デフォルト値) に設定します。
「あとで設定」の場合は、次を参照してください。インストール後に、root として amconfig スクリプトを使用して、Access Manager を設定します。旧バージョン (6.x) インストールタイプを選択するには、設定スクリプト入力ファイル amsamplesilent に次のパラメータを設定します。
AM_REALM=disabled
CONSOLE_DEPLOY_URI=/amconsole
サイレントインストールを実行するには、まずダミーのインストールセッションを実行して、実際のサイレントインストール処理がアクセスする状態ファイルを作成します。このダミーの対話セッションの間、インストーラへの応答がキャプチャされ、名前と値のペアの集合として状態ファイルに記録されます。このとき、ソフトウェアはインストールされません。(名前と値の各ペアとは、インストール処理における 1 つのプロンプトまたはフィールドを表す)。入力として状態ファイルを使用して、多数のホストでインストーラを実行できます。このプロセスにより、企業内の複数のホストに設定を伝達することができます。
サイレントインストールで行う主な作業は、次のとおりです。
ホストが「インストール前提条件」に説明されているインストール前提条件を満たしていることを確認します。
インストーラを実行して、状態ファイルを作成します。
状態ファイルのコピーを作成して、サイレントインストールを実行する各ホスト用にコピーを編集します。
ホストごとにサイレントインストールを実行します。
状態ファイルを作成するには、インストーラを実行する必要があります。インストーラが生成する状態ファイルを使用することで、リアルタイムの依存性チェックとエラーレポートを活用することができます。
状態ファイルは手動で作成しないでください。この方法では、インストール時、設定時、またはサーバーの起動時に問題が発生する可能性があります。
状態ファイルは、ソフトウェアをインストールすることなくインストーラを実行することによって作成されます。インストーラのページを進む過程で、回答がキャプチャされ、状態ファイルが生成されます。インストールが完了すると、指定された場所にある状態ファイルが利用可能になります。状態ファイルは、グラフィカルインタフェースインストーラまたはテキストベースインタフェースインストーラのどちらかを実行することによって生成できます。ソフトウェアがインストールされないように、 -no オプションを使用します。
グラフィカルインタフェースを使用して状態ファイルを作成するには、次のようにします。
./installer -no -saveState statefile_path
テキストベースのインタフェースを使用して状態ファイルを作成するには、次のようにします。
./installer -no -nodisplay -saveState statefile_path
installer コマンドのオプションの詳細については、付録 B 「インストールコマンド」を参照してください。生成された状態ファイルの例については、付録 B 「インストールコマンド」を参照してください。
状態ファイルを作成したら、さまざまなインストール先ホストに対してローカルパラメータが正しく設定されることを保証するために、生成された状態ファイルを編集する必要があります。これらのパラメータには、ホスト名、ドメイン名、IP アドレスなどの設定が含まれます。状態ファイルの作成元と異なるプラットフォームへのインストールを計画している場合、状態ファイルのキーの変更が必要になる場合があります。
この節で説明する内容は、次のとおりです。
状態ファイルを編集するときは、ここで示すガイドラインに従ってください。
値を編集する以外は、パラメータを変更しないでください。
値が指定されていない場合でも、パラメータを削除しないでください。
パラメータを追加しないでください。
パラメータの順序を変更しないでください。
元のタイプと形式に注意し、新しい値を入力するときはそれに従ってください。例:
古い値がホスト名の場合、ドメインの完全修飾名ではなく、ホスト名を入力します。
古い値の先頭にスラッシュ (/) が付いている場合、新しい値の先頭にも必ずスラッシュを付けます。
削除する値の代わりに、ほかの値を入力します。パラメータが必須の場合、そのパラメータが削除されているとインストールまたは設定に失敗する可能性があります。
元の値の大文字/小文字の区別を維持します。
次の表は、インストールするコンポーネントに応じて編集の必要があるパラメータを示しています。また、編集が必要となるパラメータは、ホストの設定によっても異なります。たとえば、状態ファイルを生成したホストが、インストール先のホストと同じドメインに含まれるか、などの条件が影響します。
表 5–1 編集する状態ファイルのパラメータ
コンポーネント |
パラメータ名 |
---|---|
共通サーバー設定 |
CMN_HOST_NAME CMN_DOMAIN_NAME CMN_IPADDRESS CMN_ADMIN_USER CMN_ADMIN_PASSWORD CMN_SYSTEM_USER CMN_SYSTEM_GROUP |
Access Manager |
IS_WS_HOST_NAME IS_WS_INSTANCE_DIR (Web Server が Web コンテナの場合) CONSOLE_HOST IS_SERVER_HOST IS_DS_HOST IS_DS_HOSTNAME COOKIE_DOMAIN_LIST |
管理サーバー |
ADMINSERV_DOMAIN ADMINSERV_CONFIG_DIR_HOST |
Application Server |
ASNA_ADMIN_HOST_NAME ASNA_ADMIN_HOST_NAME AS_WEB_SERVER_LOCATION |
Directory Server |
DS_SERVER_IDENTIFIER DS_ADM_DOMAIN CONFIG_DIR_HOST (USE_EXISTING_CONFIG_DIR が 1 に設定されている場合) USER_DIR_HOST (USE_EXISTING_USER_DIR が 1 に設定されている場合) |
Portal Server |
PS_LOAD_BALANCER_URL (format //hostname.domainname:port+deploy_uri ) PS_DEPLOY_INSTANCE |
Portal Server Secure Remote Access |
SRA_SERVER_DOMAIN SRA_SERVER_HOST SRA_GW_HOSTNAME SRA_GW_DOMAIN SRA_GW_IPADDRESS SRA_NLP_HOSTNAME SRA_NLP_DOMAIN SRA_NLP_IPADDRESS SRA_RWP_HOSTNAME SRA_RWP_DOMAIN SRA_RWP_IPADDRESS |
Web Server |
WS_ADMIN_HOST |
Web Proxy Server |
WPS_PROXY_DOMAIN |
各パラメータの説明については、『Sun Java Enterprise System 2005Q4 インストールリファレンス』の第 1 章「設定情報」にある表を参照してください。
状態ファイルは、状態ファイルが生成されたホストとプラットフォームの種類が同じであるホストでのみ実行できます。 プラットフォームが異なる場合、状態ファイル ID を手動で編集する必要があります。各種の Java ES プラットフォーム別にタイプの異なる状態ファイル ID が存在します。
状態ファイルを作成し、作成時とは異なるプラットフォーム上で実行する方法には、次の 2 つがあります。
インストーラを使用する
プラットフォームに固有の配布ファイルを使用する
この手順では、サイレントインストールを実行するプラットフォームでインストーラを実行することによって、状態ファイル ID を生成します。
次のコマンドは、コマンドを実行しているのと同じプラットフォームに対する ID を生成する場合にのみ正しく機能します。
root としてログインしていない場合は、スーパーユーザーになります。
インストーラが格納されているディレクトリに移動します。
cd installer-directory |
-id オプションを指定してインストーラを実行します。
./installer -id |
このコマンドにより、暗号化された ID が生成されます。
ID をコピーし、STATE_BEGIN パラメータおよび STATE_DONE パラメータの値として状態ファイルに貼り付けます。
次に、状態ファイル内の状態ファイル ID の例を示します。
[STATE_BEGIN Sun Java(tm) Enterprise System \ f31c7e86a64605bc5b9b629931a30b275a0eb447] . . . [STATE_DONE Sun Java(tm) Enterprise System \ f31c7e86a64605bc5b9b629931a30b275a0eb447] |
この手順では、プラットフォームに固有の Java ES の配布ファイルを使用して状態ファイル ID を生成します。Java ES の配布用 DVD には、プラットフォーム別のすべての配布ファイルが含まれています。この手順は、1 つのプラットフォーム専用のファイルをダウンロードする場合にも有効です。
コマンドを実行しているプラットフォームとは異なるプラットフォームに対する ID を生成する場合にも機能します。
platform/.install ディレクトリで、次のコマンドを実行します。
java -classpath . -D"wizard.idInfo" class |
コマンドに使用される platform と class を次の表に示します。
プラットフォーム |
platform 変数 |
class 変数 |
---|---|---|
Solaris 8 SPARC |
Solaris_sparc |
EntsysInstall_SunOS_sparc_8 |
Solaris 9 SPARC |
Solaris_sparc |
EntsysInstall_SunOS_sparc_9 |
Solaris 10 SPARC |
Solaris_sparc |
EntsysInstall_SunOS_sparc_10 |
Solaris 9 x86 |
Solaris_x86 |
EntsysInstall_SunOS_x86_9 |
Solaris 10 x86 |
Solaris_x86 |
EntsysInstall_SunOS_x86_10 |
Linux x86 |
Linux_x86 |
EntsysInstall_Linux_x86_generic |
このコマンドにより、暗号化された ID が生成されます。
ID をコピーし、STATE_BEGIN パラメータおよび STATE_DONE パラメータの値として状態ファイルに貼り付けます。
次に、状態ファイル内の状態ファイル ID の例を示します。
[STATE_BEGIN Sun Java(tm) Enterprise System \ f31c7e86a64605bc5b9b629931a30b275a0eb447] . . . [STATE_DONE Sun Java(tm) Enterprise System \ f31c7e86a64605bc5b9b629931a30b275a0eb447] |
状態ファイルを生成したホストと同じオペレーティングシステムがインストールされているホストで、インストーラを実行します。この操作を実行できない場合は、「プラットフォームに適した状態ファイル ID の作成」を参照してください。
インストール中に問題が生じる場合は、第 9 章「トラブルシューティング」を参照してください。
Java ES のコンポーネントをインストールするホストで端末ウィンドウを開きます。
root としてログインしていない場合は、スーパーユーザーになります。
インストールプログラムが格納されているディレクトリに移動します。
cd installer-directory |
次のオプションを指定してインストーラを起動します。
./installer -nodisplay -noconsole -state statefile |
各オプションの意味は次のとおりです。
-nodisplay |
グラフィカル表示を抑制します。 |
-noconsole |
ユーザーインタフェースを抑制し、インストーラをサイレントモードで起動します。 |
-state |
指定された状態ファイルをサイレントインストールの入力として使用します。 |
statefile |
状態ファイルへの絶対または相対パス名を指定します。 |
インストールしようとしているコンポーネントの数とタイプによっては、時間がかかる場合があります。インストーラの実行中、インストールログの変化に注意することによって、進行状況を監視することができます。
端末ウィンドウで、ログファイルのディレクトリに移動します。
Solaris OS の場合:cd /var/sadm/install/logs
Linux の場合: cd /var/opt/sun/install/logs
現在のインストールのログファイルを探します。
最初に共有コンポーネントがインストールされ、次にコンポーネント製品がインストールされます。
timestamp 変数は、ログの作成時刻を表します。変数の形式はMMddhhmm です。 各要素の意味は次のとおりです。
MM |
月を示す |
dd |
日付を示す |
hh |
時間を示す |
mm |
分を示す |
tail コマンドを使用して、ログに書き込まれるメッセージを監視します。次の形式で実行します。
tail -f logfile-name |
tail プログラムを終了するには、Ctrl+C キーを押します。
インストーラによる Java ES のインストールが完了したら、次の手順に進みます。
「インストール後の確認」 には、ここで行ったインストール作業が正常に実行されたかを確認する手順が示されています。
第 6 章「インストール後のコンポーネントの設定」には、インストール後の最終的な設定に関する手順が示されています。インストール時に拡張設定を行なっている場合もありますが、ほとんどのコンポーネントでは追加設定が必要です。