Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.1 2005Q2 高可用性 (HA) 管理ガイド

HADB 管理エージェントの使用法

管理エージェント ma は HADB ホスト上で管理コマンドを実行します。HADB ノードスーパーバイザプロセスが失敗すると、管理エージェントはそのプロセスを再起動して、その可用性を確保します。

管理エージェントコマンドの構文

管理エージェント ma コマンドの構文は、次のとおりです。

ma [common-options] 
[ service-options] 
config-file

説明:

表 3–1 管理エージェント共通オプション

オプション 

説明 

デフォルト 

--define name=value-D

プロパティー namevalue を割り当てます。このプロパティーは「設定ファイル」に定義されているプロパティーのいずれかです。このオプションは、複数回繰り返すことができます。

なし 

--help-? 

ヘルプ情報を表示します。 

False 

--javahome path-j

path にある Java Runtime 環境 (1.4 以降) を使用します。

なし 

--systemroot path-y

通常は %SystemRoot% で設定されているオペレーティングシステムルートへのパス。 

なし 

--version-V 

バージョン情報を表示します。 

False 

「管理エージェントコマンドの構文」では、管理サービスを Windows サービスとして起動するためのオプションを説明しています。-i、-r、および -s オプションは相互に排他的であるため、一度に 1 つだけを使用してください。

Windows では、設定ファイルまたはコマンド行にプロパティー値のパスを指定する際に、スペースを含むファイルパスを二重引用符 ( ") で囲んでエスケープします。コロン (:) ドライブセパレータと円記号 (\) ディレクトリセパレータは、二重引用符と円記号を用いて "\: および "\\ のようにエスケープします。

表 3–2 管理エージェントサービスオプション (Windows のみ)

オプション 

説明 

デフォルト 

--install-i 

エージェントを Windows サービスとしてインストールして、サービスを開始します。-i、-r、および -s オプションから、1 つだけを使用します。 

False 

--name servicename-n

ホスト上で複数のエージェントを実行している場合に、サービスに対して指定した名前を使用します。 

HADBMgmtAgent 

--remove-r 

サービスを停止し、Windows のサービスマネージャーからエージェントを削除します。-i、-r、および -s オプションから、1 つだけを使用します。 

False 

--service-s 

エージェントを Windows サービスとして実行します。-i、-r、および -s オプションから、1 つだけを使用します。 

False 

管理エージェント設定のカスタマイズ

HADB には設定ファイルが組み込まれており、管理エージェント設定のカスタマイズに使用できます。設定ファイルを指定せずに管理エージェントを起動した場合は、デフォルト値が使用されます。設定ファイルを指定した場合、管理エージェントはそのファイルの設定を使用します。同じ設定ファイルをドメイン内のすべてのホストで繰り返し使用することができます。

ProcedureHADB ホストごとに管理エージェント設定をカスタマイズするには

  1. 管理エージェント設定ファイルを編集して、希望する値を設定します。

  2. カスタマイズした設定ファイルを引数に指定して、管理エージェントを起動します。

設定ファイル

Java Enterprise System。ファイル内のすべてのエントリはコメントにされています。デフォルトの設定を使用する場合、変更の必要はありません。管理エージェント設定をカスタマイズするには、ファイルからコメントを削除し、必要に応じて値を変更してから、設定ファイルを引数に指定して、管理エージェントを起動します。

管理エージェント設定ファイルは次の場所にインストールされます。

スタンドアロンインストールプログラムでは、管理エージェント設定ファイルは次の場所にインストールされます。

次の表で、設定ファイルの設定値について説明します。

表 3–3 設定ファイルの設定値

設定値名 

説明 

デフォルト 

console.loglevel

コンソールログレベル。有効な値は、SEVERE、ERROR、WARNING、INFO、FINE、FINER、FINEST。 

WARNING 

logfile.loglevel

ログファイルのログレベル。有効な値は、SEVERE、ERROR、WARNING、INFO、FINE、FINER、FINEST。 

INFO 

logfile.name

ログファイルの名前と場所。読み込み/書き込みアクセスに対して有効なパスである必要があります。 

Solaris および Linux:/var/opt/SUNWhadb/ma/ma.log

Windows: HADB_install_dir\ma.log

ma.server.type

クライアントプロトコル。JMXMP のみサポートされています。 

jmxp 

ma.server.
jmxmp.port

内部 (UDP) および外部 (TCP) 通信用のポート番号。正の整数である必要があります。推奨される範囲は 1024 〜 49151 です。 

1862 

ma.server.
mainternal.interfaces

複数のインタフェースを持つマシンの内部通信用のインタフェース。有効な IPv4 アドレスマスクである必要があります。ドメイン内のすべての管理エージェントが必ず同じサブネットを使用する必要があります。 

たとえば、ホストに 10.10.116.61 と 10.10.124.61 の 2 つのインタフェースがある場合、最初のインタフェースを使用するには 10.10.116.0/24 を指定します。スラッシュの後の数字は、サブネットマスクのビット数を示します。 

なし 

ma.server.
dbdevicepath

HADB デバイス情報を格納するパス。 

Solaris および Linux: /var/opt/SUNWhadb/4

Windows: HADB_install_dir \device

ma.server.
dbhistorypath

HADB 履歴ファイルを格納するパス。 

Solaris および Linux: /var/opt/SUNWhadb

Windows: REPLACEDIR (実行時に実際の URL に置換される) 

ma.server.
dbconfigpath

ノード設定データを格納するパス。 

Solaris および Linux: /var/opt/SUNWhadb/dbdef

Windows: C:\Sun\SUNWhadb\dbdef

repository.dr.path

ドメインリポジトリファイルのパス。 

Solaris および Linux: /var/opt/SUNWhadb/repository

Windows: C:\Sun\SUNWhadb\repository

管理エージェントの起動

管理エージェントは 2 とおりの方法で起動できます。

サービスとしての管理エージェントの起動

サービスとして管理エージェントを起動すると、システムが停止するかまたは操作によりシステムを明示的に停止するまで、実行を継続します。

Solaris または Linux 上の Java Enterprise System でサービスとして管理エージェントを起動

管理エージェントをサービスとして起動するには、次のコマンドを使用します。

/etc/init.d/ma-initd start

サービスを停止するには、次のコマンドを使用します。

/etc/init.d/ma-initd stop

Windows 上の Java Enterprise System でサービスとして管理エージェントを起動

管理エージェントを Windows サービスとして起動するには、次のコマンドを使用します。 HADB_install_dir\bin\ma -i [config-file ]

省略可能な引数 config-file は、管理エージェントの設定ファイルを指定します。設定ファイルは、デフォルトの管理エージェント設定を変更する場合にのみ使用してください。

管理エージェントを停止してサービスから削除 (登録解除) するには、次のコマンドを使用します。HADB_install_dir\bin\ma -r [ config-file ]

管理を実行するには、「管理ツール 」->「サービス」を選択します。表示されるウィンドウで、サービスの起動と停止、自動起動の無効化などを行えます。

Solaris または Linux 上のスタンドアロン Application Server でサービスとして管理エージェントを起動

管理エージェントをサービスとして起動するには、次のコマンドを使用します。

HADB_install_dir/bin/ma-initd start

サービスを停止するには、次のコマンドを使用します。

HADB_install_dir/bin/ma-initd stop

Windows 上のスタンドアロン Application Server でサービスとして管理エージェントを起動

管理エージェントを Windows サービスとして起動するには、次のコマンドを使用します。 HADB_install_dir\bin\ma -i [config-file ]

省略可能な引数 config-file は、管理エージェントの設定ファイルを指定します。設定ファイルは、デフォルトの管理エージェント設定を変更する場合にのみ使用してください。

管理エージェントを停止してサービスから削除 (登録解除) するには、次のコマンドを使用します。HADB_install_dir\bin\ma -r [ config-file ]

管理を実行するには、「管理ツール 」->「サービス」を選択します。表示されるウィンドウで、サービスの起動と停止、自動起動の無効化などを行えます。

管理エージェントの自動再起動の実現

Windows プラットフォームでは、管理エージェントをサービスとして起動した後に、Windows 管理ツールを使用して、サービスの「スタートアップの種類」を「自動」に設定し、必要に応じて「回復」オプションを指定します。

Solaris および Linux プラットフォームでは、この節の手順を用いて、ma プロセスが失敗する場合またはオペレーティングシステムが再起動する場合における管理エージェントの有効性を確実にしてください。本稼働配備環境で使用する場合は、この作業を行うことをお勧めします。

以の手順を行うと、システムが次のレベルになったときにのみ、管理エージェントが起動します。

それ以外の実行レベルになると、管理エージェントは停止します。

ProcedureSolaris または Linux 上の Java Enterprise System で自動再起動を設定するには

始める前に

この節は、オペレーティングシステムの初期化と実行レベルについての基本を理解していることを前提としています。これらのトピックについては、使用しているオペレーティングシステムのマニュアルを参照してください。

  1. システムのデフォルト実行レベルが 3 または 5 であることを確認します。

    システムのデフォルト実行レベルを確認するには、/etc/inittab ファイルを調べ、ファイル上部にある次のような行を探します。

    id:5:initdefault:

    この例は、デフォルト実行レベル 5 を示しています。

  2. ファイル /etc/init.d/ma-initd への次のソフトリンクを作成します。


    /etc/rc0.d/K20ma-initd
    /etc/rc1.d/K20ma-initd
    /etc/rc2.d/K20ma-initd
    /etc/rc3.d/S99ma-initd
    /etc/rc5.d/S99ma-initd
    /etc/rcS.d/K20ma-initd
  3. マシンを再起動します。

次の手順

エージェントの自動起動および停止を解除するには、これらのリンクを削除するか、リンク名中の文字 K とS を小文字に変更します。

ProcedureSolaris または Linux 上のスタンドアロン Application Server で自動再起動を設定するには

  1. シェルで、カレントディレクトリを HADB_install_dir /bin に変更します。

  2. シェルスクリプト ma-initd を編集します。

    スクリプト内の HADB_ROOT および HADB_MA_CFG のデフォルト値を確認して、インストールを反映させます。

  3. ma-initd をディレクトリ /etc/init.d にコピーします。

  4. ファイル /etc/init.d/ma-initd への次のソフトリンクを作成します。


    /etc/rc0.d/K20ma-initd
    /etc/rc1.d/K20ma-initd
    /etc/rc2.d/K20ma-initd
    /etc/rc3.d/S99ma-initd
    /etc/rc5.d/S99ma-initd
    /etc/rcS.d/K20ma-initd
次の手順

エージェントの自動起動および停止を解除するには、これらのリンクを削除するか、リンク名中の文字 K とS を小文字に変更します。

コンソールモードでの管理エージェントの起動

評価やテストのために、コンソールモードで管理エージェントを手動で起動することができます。本稼働環境ではこの方法で管理エージェントを起動しないでください。システムやプロセスの障害の後で ma プロセスが再起動しなかったり、コマンドウィンドウを閉じたときにプロセスが終了したりするからです。

Solaris または Linux 上の Java Enterprise System でコンソールモードで管理エージェントを起動

コンソールモードで HADB 管理エージェントを起動するには、次のコマンドを使用します。

opt/SUNWhadb/bin/ma [config-file]

デフォルトの管理エージェント設定ファイルは /etc/opt/SUNWhadb/mgt.cfg です。

管理エージェントを停止するには、プロセスを終了するか、またはシェルウィンドウを閉じます。

Windows 上の Java Enterprise System でコンソールモードで管理エージェントを起動

コンソールモードで管理エージェントを起動するには、次のコマンドを使用します。

HADB_install_dir\bin\ma [config-file]

省略可能な引数 config-file は、管理エージェント設定ファイルの名前です。設定ファイルの詳細については、「管理エージェント設定のカスタマイズ」を参照してください。

エージェントを停止するには、プロセスを終了します。

Windows 上のスタンドアロン Application Server でコンソールモードで管理エージェントを起動

コンソールモードで管理エージェントを起動するには、次のコマンドを使用します。

HADB_install_dir\bin\ma [config-file]

省略可能な引数 config-file は、管理エージェント設定ファイルの名前です。詳細については、「管理エージェント設定のカスタマイズ」を参照してください。

管理エージェントを停止するには、プロセスを終了します。

Solaris または Linux 上のスタンドアロン Application Server でコンソールモードで管理エージェントを起動

コンソールモードで HADB 管理エージェントを起動するには、次のコマンドを使用します。

HADB_install_dir/bin/ma [config-file]

デフォルトの管理エージェント設定ファイルは HADB_install_dir /bin/ma.cfg です。

管理エージェントを停止するには、プロセスを終了するか、またはシェルウィンドウを閉じます。