Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.1 2005Q2 高可用性 (HA) 管理ガイド

HADB の監視

次の方法で、HADB のアクティビティーを監視できます。

これらの節では、hadbm statushadbm deviceinfo、および hadbm resourceinfo コマンドについて簡潔に説明します。HADB 情報の解釈については、『Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.1 2005Q2 Performance Tuning Guide』「Performance」を参照してください。

HADB の状態の取得

hadbm status コマンドを使用して、データベースまたはそのノードの状態を表示します。コマンド構文は次のとおりです。

hadbm status  
[--nodes]  
[--adminpassword=password | --adminpasswordfile=file]  
[--agent=maurl] 
[dbname]

dbname オペランドにはデータベース名を指定します。デフォルトは hadb です。

--nodes オプション (省略形 -n) は、データベース内の各ノードに関する情報を表示します。詳細については、「ノードの状態」を参照してください。その他のコマンドオプションの説明は、「汎用オプション」を参照してください。

詳細については、hadbm-status(1)を参照してください。


例 3–15 HADB 状態を取得する例

次に例を示します。

hadbm status --nodes

データベースの状態

データベースの状態には、データベースの現在の状況が要約されます。次の表で、データベースが取りうる状態の種類について説明します。

表 3–14 HADB の状態

データベースの状態 

説明 

高可用性耐障害 (HAFaultTolerant) 

データベースに耐障害性があり、DRU ごとに少なくとも 1 つのスペアノードを備えている。 

耐障害 

すべてのミラーノードペアが実行中である。 

稼働 

各ミラーノードペア内の少なくとも 1 つのノードが実行中である。 

非稼働 

1 つ以上のミラーノードペアで、両方のノードがなくなっている。 

データベースが非稼働状態である場合は、「データベースの解除」で説明されている手順に従って、データベースを解除します。

停止 

データベース内に実行中のノードがない。 

不明 

データベースの状態を判定できない。 

ノードの状態

--nodes オプションを使用して、hadbm status コマンドでデータベース内の各ノードに関する次の情報を表示させます。

次の節に説明されているように、ノードのロールと状態は変更される場合があります。

ノードのロール

ノードには作成時にロールが割り当てられます。次ののいずれかのロールを担います。

ノードの状態

ノードは次のいずれかの状態になります。

デバイス情報の取得

次の目的で、HADB データ (ディスク記憶装置) デバイスの空き領域を監視します。

hadbm deviceinfo コマンドを使用して、データデバイス内の空き領域に関する情報を取得します。このコマンドを実行すると、データベースの各ノードについて次の情報が表示されます。

コマンド構文は次のとおりです。

hadbm deviceinfo  [--details]  
[--adminpassword=password | --adminpasswordfile=file]  
[--agent=maurl]  [dbname]

dbname オペランドにはデータベース名を指定します。デフォルトは hadb です。

--details オプションを指定すると、次の追加情報が表示されます。

その他のコマンドオプションの説明は、「汎用オプション」を参照してください。

詳細については、hadbm-deviceinfo(1)を参照してください。

ユーザーデータ用に使用可能な空き容量を算定するには、合計デバイスサイズから HADB 用に予約済みの容量 (LogBufferSize の 4 倍 + デバイスサイズの 1%) を減算します。ログバッファーのサイズがわからない場合は、コマンド hadbm get logbufferSize を使用してください。たとえば、合計デバイスサイズが 128M バイトで LogBufferSize が 24M バイトの場合、ユーザーデータ用に使用可能な容量は 128 – (4 x 24) = 32M バイトです。この 32M バイトのうち、半分はレプリケートデータ用に使用され、約 1 % が索引用に使用されるため、実ユーザーデータに使用できるのは 25 % だけです。

ユーザーデータに使用可能な容量は、合計サイズと予約済みサイズの差です。将来的にデータを再断片化するのであれば、空き容量がユーザーデータに使用可能な領域の 50% にほぼ等しくなるようにする必要があります。再断片化がふさわしくない場合は、データデバイスを最大限度まで活用することができます。システムのデバイス容量が不足すると、リソース消費警告が履歴ファイルに書き込まれます。

HADB の調整に関する詳細については、『Sun Java System Application Server Performance Tuning Guide』を参照してください。


例 3–16 デバイス情報を取得する例

コマンド

hadbm deviceinfo --details

を実行すると、次の例のような結果が表示されます。

NodeNO Totalsize Freesize Usage NReads NWrites DeviceName
0      128       120      6%    10000  5000    C:\Sun\SUNWhadb\hadb.data.0
1      128       124      3%    10000  5000    C:\Sun\SUNWhadb\hadb.data.1
2      128       126      2%     9500  4500    C:\Sun\SUNWhadb\hadb.data.2
3      128       126      2%     9500  4500    C:\Sun\SUNWhadb\hadb.data.3

ランタイムリソース情報の取得

hadbm resourceinfo コマンドは、HADB ランタイムリソース情報を表示します。この情報を使用して、リソースの競合を識別し、パフォーマンス上のボトルネックを削減するのに役立てることができます。詳細については、『Sun Java System Application Server Enterprise Edition 8.1 2005Q2 Performance Tuning Guide』「Tuning HADB」を参照してください。

コマンド構文は次のとおりです。

hadbm resourceinfo  [--databuf]  [--locks]  [--logbuf]  [--nilogbuf]  
[--adminpassword=password | --adminpasswordfile=file]  
[--agent=maurl]  
[dbname]

dbname オペランドにはデータベース名を指定します。デフォルトは hadb です。

次の表で、hadbm resourceinfo の特別なコマンドオプションについて説明します。その他のコマンドオプションの説明は、「汎用オプション」を参照してください。

詳細については、hadbm-resourceinfo(1)を参照してください。

表 3–15 hadbm resourceinfo コマンドオプション

オプション 

説明 

--databuf

-d 

データバッファープール情報を表示します。 

詳細については、下記 「データバッファープール情報」を参照してください。

--locks

-l 

ロック情報を表示します。 

詳細については、下記 「ロック情報」を参照してください。

--logbuf

-b 

ログバッファー情報を表示します。 

詳細については、下記 「ログバッファー情報」を参照してください。

--nilogbuf

-n 

ノードの内部ログバッファー情報を表示します。 

詳細については、下記 「ノード内部ログバッファー情報」を参照してください。

データバッファープール情報

データバッファープール情報には、次の内容が含まれます。

ユーザートランザクションがレコードに対して操作を実行するときには、そのレコードを含むページはデータバッファープール内になければなりません。そのようになっていないと、ミス またはページフォルトが生じます。すると、ディスク上のデータデバイスフィルからページが取り出されるまで、トランザクションは待機する必要があります。

ミスの比率が高い場合は、データバッファープールを増やしてください。ミスのカウントは累積回数なので、定期的に hadbm resourceinfo を実行し、二回分のカウントの差を調べて、ミスの比率の傾向を確認します。空き容量が非常に少ないとしても、チェックポイントメカニズムによって新たに使用可能なブロックが作成されるので、心配する必要はありません。


例 3–17 データバッファープール情報の例

次に例を示します。


NodeNO Avail Free Access Misses Copy-on-Write
0 256 128 100000 50000 10001 256 128 110000 45000 950

ロック情報

ロック情報には、次の内容が含まれます。

1 つのトランザクションが、ノード上で利用可能なロックの 25% を超えて使用することはできません。そのため、規模の大きい操作を実行するトランザクションは、この制限を認識している必要があります。そのようなトランザクションはバッチ処理で実行するのが最善です。その場合、それぞれのバッチは別個のトランザクションとして扱われ、バッチごとにコミット操作を行うことになります。このようにする必要があるのは、繰り返し可能な読み取り遮断レベルで実行する読み取り操作、および削除挿入更新操作が、トランザクション終了後にのみ解放されるロックを使用するからです。

NumberOfLocks を変更するには、「履歴ファイルの消去と保存」を参照してください。


例 3–18 ロック情報の例

次に例を示します。


NodeNO Avail Free Waits
0 50000 20000 101 50000 20000 0

ログバッファー情報

ログバッファー情報には、次の内容が含まれます。

空き容量が非常に少ないとしても、HADB がログバッファーの圧縮を開始するので、心配する必要はありません。HADB は、リングバッファの先頭から圧縮を開始し、連続するログレコードに対して圧縮を実行します。ノードが実行していないのにミラーノードが受信しているログレコードを HADB が検出すると、圧縮は続行できなくなります


例 3–19 ログバッファ情報の例

次に例を示します。


NodeNO Avail Free
0 16 21 16 3

ノード内部ログバッファー情報

ノード内部ログバッファー情報には、次の内容が含まれます。


例 3–20 内部ログバッファ情報の例

次に例を示します。

NodeNO Avail Free

0 16 21 16 3