13.1. デスクトップクライアントの管理

13.1.1. Oracle Virtual Desktop Client と Sun Ray クライアント間のクライアント ID の違い
13.1.2. セッションの動的サイズ変更
13.1.3. 使用可能な Sun Ray サーバーを一覧表示する方法
13.1.4. 使用可能なクライアントを一覧表示する方法
13.1.5. Sun Ray クライアント情報を表示する方法
13.1.6. クライアントの場所と情報を構成する方法
13.1.7. オーディオ出力トラブルシューティング (Oracle Solaris 10 および Oracle Linux 5)
13.1.8. オーディオ出力トラブルシューティング (Oracle Solaris 11 および Oracle Linux 6)

このセクションでは、Sun Ray クライアントおよび Oracle Virtual Desktop Client の両方に共通する管理タスクおよび機能について説明します。各クライアントに固有の情報については、「Sun Ray クライアント」および「Oracle Virtual Desktop Client」を参照してください。

13.1.1. Oracle Virtual Desktop Client と Sun Ray クライアント間のクライアント ID の違い

Sun Ray Software コマンドを使用した既存のスクリプトがある場合、またはスクリプトを作成する計画の場合は、Oracle Virtual Desktop Client と Sun Ray クライアント間のクライアント ID の違いを認識する必要があります。

Sun Ray Software 管理ツールでは、すべてのクライアントが クライアント ID (または CID、端末 CID、クライアント識別子とも呼ばれます) で表されます。クライアント ID には、フル ID と短い ID バージョンの両方があります。

  • フルクライアント ID: namespace.id-part

  • 短いクライアント ID: id-part

namespace 値は、id-part 値の形式を決定するタグです。現在の名前空間 (1 つは Sun Ray クライアント用、もう 1 つは Oracle Virtual Desktop Client 用) は異なる id-part 形式を使用するため、通常は短いクライアント ID が使用され、受け入れられます。フルクライアント ID は、タイプの異なるクライアントを簡単に区別できるようにするために使用されます。

クライアント ID について詳しくは、表13.1「Oracle Virtual Desktop Client ID の詳細」を参照してください。

表13.1 Oracle Virtual Desktop Client ID の詳細

クライアント

namespace の値

id-part の意味

id-part の形式

Sun Ray クライアント

IEEE802

Sun Ray クライアントの MAC アドレス

12 桁の 16 進数

Oracle Virtual Desktop Client

MD5

クライアント鍵の MD5 ハッシュ

32 桁の 16 進数


注記

クライアント鍵は、Oracle Virtual Desktop Client プロファイルの一部であるため、Oracle Virtual Desktop Client プロファイルごとに独自のクライアント ID があります。

クライアント ID の例については、表13.2「Sun Ray クライアント ID の例」および 表13.3「Oracle Virtual Desktop Client ID の例」 を参照してください。

表13.2 Sun Ray クライアント ID の例

短い ID

フル CID

0003badc1b9d

IEEE802.0003badc1b9d

00144f85f52f

IEEE802.00144f85f52f

080020b5ca55

IEEE802.080020b5ca55


表13.3 Oracle Virtual Desktop Client ID の例

短い ID

フル CID

1bd97b44ea9458fac256a7a778a282fe

MD5.1bd97b44ea9458fac256a7a778a282fe

d8b3a4eb29497e0c6fbb0f2a810267f5

MD5.d8b3a4eb29497e0c6fbb0f2a810267f5


13.1.1.1. クライアント ID 情報を表示する方法

Oracle Virtual Desktop Client のクライアント ID の形式は、Sun Ray クライアントのクライアント ID とは異なります。詳細については、「Oracle Virtual Desktop Client と Sun Ray クライアント間のクライアント ID の違い」を参照してください。

Sun Ray クライアントの短い ID は次の方法で表示できます。

  • Oracle キーボード - Stop-N

  • Oracle 以外のキーボード - Ctrl-Pause-N

Oracle Virtual Desktop Client の短い ID は次の方法で表示できます。

  • キーボード - Host-N (デフォルトでは、Host は右の Ctrl キーです。)

  • コマンド - ovdc コマンドの -i または --clientid コマンドオプションを使用します。

13.1.2. セッションの動的サイズ変更

セッションの動的サイズ変更を使用すると、ローカルのデスクトップクライアントセッションのサイズに合わせてリモートデスクトップのサイズを自動的に変更できます。別のデバイスからセッションにホットデスクを行うときや、回転可能なタブレットなどのクライアントデバイスを使用するときに、新しい画面構成が検出され、セッションの画面サイズが適切に変更されます。セッションの動的サイズ変更が使用されるシナリオの一覧については、「サイズ変更のシナリオ」を参照してください。

セッションの動的サイズ変更では、デスクトップクライアントの画面構成の変更が検出され、それに合わせてリモートデスクトップが自動的に変更されます。デスクトップクライアントの画面構成の変更には、モニター数、モニター解像度、モニター方向、タブレットの回転、画面モード (ウィンドウモードや全画面モードなど) などがあります。これらの変更は、セッション中いつでも発生する可能性があり、たとえば、タブレットの方向が横から縦に変化した場合にも発生します。

Sun Ray セッションでセッションの動的サイズ変更を有効にするには、次のいずれかの方法を使用して utscreenresize コマンドの -l オプションを呼び出すことにより、utscreenresize をセッションのバックグラウンドで実行する必要があります。

Oracle Virtual Desktop Client の場合、ユーザーが構成設定を介してクライアント側でこの機能を有効または無効にすることもでき、デフォルトでは有効になります。

セッションでセッションの動的サイズ変更が有効になっている場合、ほかの表示サイズ変更操作 (utxconfig -r コマンドや xrandr コマンドなど) はすべて無視されます。ユーザーが独自に特定の画面構成やデスクトップ解像度を構成できるようにするには、そのようなユーザーに対してはセッションの動的サイズ変更を無効にして、ユーザーがほかのコマンドやツールを使用して自分の画面構成やデスクトップ構成を管理できるようにします。または、GNOME 自動起動構成の場合は、ユーザーが自分で無効にすることができます。

セッションの動的サイズ変更は、すべての Sun Ray クライアント、Oracle Virtual Desktop Client、Oracle Virtual Desktop Client for iPad 1.2 以降、および Oracle Virtual Desktop Client for Android 1.2 以降で使用可能です。ウィンドウモードでのウィンドウサイズ変更時に最適な表示を提供するには、Oracle Virtual Desktop Client 3.2 以降が必要です。

注記

Xinerama 拡張機能が有効になっていると、セッションの動的サイズ変更は機能しません。詳細については、「Xinerama を有効または無効にする方法」 を参照してください。

13.1.2.1. サイズ変更のシナリオ

セッションの動的サイズ変更では、次の状況で自動的にリモートデスクトップのサイズが変更されます。

  • Sun Ray クライアントから、モニター構成、モニター解像度、またはモニター方向の異なる別の Sun Ray クライアントにホットデスクを行うとき。

  • Sun Ray クライアントから、クライアントコンピュータ上で実行されている Oracle Virtual Desktop Client クライアントにホットデスクを行うとき、およびその逆。

  • Oracle Virtual Desktop Client をウィンドウモードで実行中にウィンドウのサイズを変更するとき。セッションの表示サイズが、新しいウィンドウサイズに自動的に変更されます。デスクトップセッションのサイズ変更を行わずにウィンドウのサイズを縮小した場合は、セッションの表示サイズが自動的には変更されず、より小さいウィンドウには収まらないため、表示全体を見るにはスクロールバーを使用する必要があります。

  • Oracle Virtual Desktop Client アプリケーションの実行中にタブレットを横置きモードから縦置きモードに回転するとき、およびその逆。リモートデスクトップがタブレットとともに自動的に回転します。

13.1.2.2. GNOME の自動起動を使用してセッションの動的サイズ変更を有効にする方法

この手順では、すべてのユーザーに対して GNOME デスクトップの起動時にセッションの動的サイズ変更を有効にする方法を示します。この方法は、通常の Oracle Solaris セッションと Oracle Linux セッションに最適です。

  1. Sun Ray サーバーのスーパーユーザーになります。

  2. (Sun Ray クライアントのみ) 標準以外のモニター方向になっている Sun Ray クライアントが存在する場合、その Sun Ray クライアントのファームウェアで、接続されているモニターに応じて有効な方向値 (orient1 および orient2) を設定します。

    特定の Sun Ray クライアントのファームウェアを更新するには、utfwadm コマンドの -e オプションを使用します。詳細については、「Sun Ray クライアントの構成 (.parms) を一元管理する方法」を参照してください。

  3. -s all -l オプションを指定した utscreenresize コマンドを GNOME の自動起動ディレクトリに追加します。

    Oracle Solaris 11、Oracle Linux 6、および Oracle Linux 5 の場合

    utscreen.desktop という名前の次のファイルを /usr/share/gnome/autostart ディレクトリに追加します。

    [Desktop Entry]
    Type=Application
    Exec=/opt/SUNWut/bin/utscreenresize -s all -l
    Hidden=false
    X-GNOME-Autostart-enabled=true
    Name[en_US]=Sun Ray Session Screen Resize
    Name=Sun Ray Session Screen Resize
    Comment[en_US]=Start utscreenresize on login.
    Comment=Start utscreenresize on login.

    このファイルが配置されている場合、すべてのユーザーに対してセッションの動的サイズ変更がデフォルトで有効になります。個々のユーザーは、「システム」>「設定」>「スタートアップアプリケーション」の順に選択し、Sun Ray Screen Resize アプリケーションのチェックマークを外すことで、この機能を無効にすることができます。変更を有効にするには、ログアウトしてからログインする必要があります。

    /usr/share/gnome/autostart を介してすべてのユーザーに対するセッションの動的サイズ変更が有効になっていない場合でも、個々のユーザーが utscreenresize -s all -l コマンドのスタートアップアプリケーションを作成して、この機能を有効にすることができます。「システム」>「設定」>「スタートアップアプリケーション」の順に選択し、「スタートアップアプリケーションのプロパティー」ウィンドウで「追加」をクリックします。

    Oracle Solaris 10 の場合

    セッションの動的サイズ変更を有効にするには、個々のユーザーが utscreenresize -s all -l コマンドのスタートアッププログラムを作成する必要があります。「起動」>「設定」>「デスクトップの設定」>「セッション」の順にクリックし、「スタートアッププログラム」タブをクリックし、「追加」をクリックします。

13.1.2.3. セッション初期化スクリプトを使用してセッションの動的サイズ変更を有効にする方法

この手順では、ユーザーのセッションの初期化時にセッションの動的サイズ変更を有効にする方法を示します。キオスクセッションなど、通常以外のセッションにはこの方法が必要です。

  1. Sun Ray サーバーのスーパーユーザーになります。

  2. (Sun Ray クライアントのみ) 標準以外のモニター方向になっている Sun Ray クライアントが存在する場合、その Sun Ray クライアントのファームウェアで、接続されているモニターに応じて有効な方向値 (orient1 および orient2) を設定します。

    特定の Sun Ray クライアントのファームウェアを更新するには、utfwadm コマンドの -e オプションを使用します。詳細については、「Sun Ray クライアントの構成 (.parms) を一元管理する方法」を参照してください。

  3. ディレクトリをセッション初期設定ディレクトリに変更します。

    • Oracle Solaris 10:

      # cd /usr/dt/config/Xsession.d
    • Oracle Linux または Oracle Solaris 11:

      # cd /etc/X11/xinit/xinitrc.d
  4. 次のカスタマイズスクリプトを作成し、セッションの動的サイズ変更を有効にします (この手順では、このスクリプトを 0050.desktopresize.sh と呼びます)。

    #!/bin/sh
    
    # Enable dynamic session resizing each time a user hotdesks  
    /opt/SUNWut/bin/utscreenresize -s all -l & 
    注記

    このスクリプトが適切な時間に実行されるように、スクリプト名には接頭辞 0050. を付けるようにしてください。Oracle Linux および Oracle Solaris 11 の場合、スクリプト名には拡張子 .sh を付ける必要があり、そうでない場合はスクリプトが参照されません。

  5. スクリプトを保存し、スクリプトをすべての人が実行可能にします。

    # chmod 775 0050.desktopresize.sh
  6. 新規セッションを開始すると、スクリプトが参照されます。

13.1.3. 使用可能な Sun Ray サーバーを一覧表示する方法

  • クライアントのシェルウィンドウで、次のコマンドを入力します。

    % utswitch -l

現在のサーバーグループ内の Sun Ray サーバーのうち、クライアントが使用可能なものが表示されます。

13.1.4. 使用可能なクライアントを一覧表示する方法

この手順では、Sun Ray サーバーで使用可能なすべての Sun Ray クライアントおよび Oracle Virtual Desktop Client を一覧表示する方法について説明します。

コマンド行での手順

  1. Sun Ray サーバーのスーパーユーザーになります。

  2. 使用可能なすべてのクライアントを表示します。

    # utdesktop -l

管理 GUI での手順

  1. 管理 GUI を起動します。

  2. 「デスクトップユニット」タブをクリックします。

    使用可能なクライアントのリストが表示されます。ドロップダウンメニューと検索フィールドを使用して、表示する特定のクライアントを表示できます。

13.1.5. Sun Ray クライアント情報を表示する方法

この手順では、クライアント ID など、登録されているデスクトップクライアントの詳細情報を表示する方法について説明します。物理的な Sun Ray クライアントにアクセスできる場合は、Stop-V を押してクライアントの現在の情報を表示できます。

コマンド行での手順

  1. Sun Ray サーバーのスーパーユーザーになります。

  2. クライアントに関する情報を表示します。

    # utdesktop -p clientID
    

    ここで、clientID はクライアントの短い ID です (「Oracle Virtual Desktop Client と Sun Ray クライアント間のクライアント ID の違い」を参照)。utdesktop -l コマンドを使用して、すべてのデスクトップクライアントとそのクライアント ID を表示できます。

管理 GUI での手順

注記

検索処理を簡素化するために、管理 GUI を使用してデスクトップクライアントプロパティーを編集できます。DTU 識別子をクリックしてから、「編集」をクリックします。場所またはその他の情報を入力できます。

  1. 管理 GUI を起動します。

  2. 「デスクトップユニット」タブをクリックします。

  3. 「デスクトップユニット」タブから表示する情報を選択します。

    • 特定のデスクトップクライアントの情報を表示するには、DTU 識別子 (MAC アドレス) をクリックするか、テキストフィールドに検索文字列を入力します。

    • デスクトップクライアントグループの情報を表示するには、ドロップダウンメニューからオプション (接続しているすべてのデスクトップ端末、トークンリーダー、またはマルチヘッドグループ) を選択したり、テキストフィールドに検索を絞り込む検索文字列を入力したりします。

13.1.6. クライアントの場所と情報を構成する方法

この手順を使用すると、デスクトップクライアントに関して場所やその他の情報を追加できます。これは、位置の把握機能などのさまざまなアプリケーションに役立ちます。

コマンド行での手順

  • 1 つの Sun Ray クライアントに関して、クライアントの場所およびその他のクライアント情報を編集します。

    # utdesktop -e "client_id,location,[other_info]"
    
  • 一連の Sun Ray クライアントに関して、クライアントの場所およびその他のクライアント情報を編集します。

    # utdesktop -e -f filename
    

    filename はコンマ区切り形式 (CSV) ファイルでなければなりません。

  • すべての Sun Ray クライアントに関して、構成されているクライアントの場所およびその他のクライアント情報を表示します。

    # utdesktop -l

管理 GUI での手順

  1. 「デスクトップユニット」タブをクリックします。

  2. クライアント ID を選択して、その「デスクトップユニットプロパティー」画面を表示します。

  3. 「編集」をクリックして、「デスクトップユニットプロパティーの編集」画面を表示します。

  4. クライアントに関して場所およびその他の情報を入力します。

  5. 「保存」をクリックします。

13.1.7. オーディオ出力トラブルシューティング (Oracle Solaris 10 および Oracle Linux 5)

このセクションでは、Oracle Solaris 10 セッションまたは Oracle Linux 5 セッションを実行している Sun Ray クライアントおよび Oracle Virtual Desktop Client での、オーディオ出力のトラブルシューティング情報について説明します。

13.1.7.1. アプリケーションで使用されるオーディオ周波数

デスクトップクライアントは、アプリケーションが必要とするオーディオ周波数のどれでも使用するため、帯域幅を削減してスケーラビリティーを上げることができるようにアプリケーションオーディオ要件を構成できます。たとえば VoIP アプリケーションが 8kHz モノラルを要求する場合、デスクトップクライアントは 8kHz モノラルのみを転送します。

13.1.7.2. オーディオセッションを追跡する

ユーザーがデスクトップクライアントにログインするたびに、スクリプトは $AUDIODEV 環境変数をそのセッションに自動的に割り当てます。セッションごとに 1 つのutaudio プロセスが割り当てられます。詳細は、utaudio および audio のマニュアルページを参照してください。

13.1.7.3. ホットデスク中のオーディオデバイスのエミュレーション

ホットデスク中は、エミュレートされたオーディオデバイスがユーザーを次のセッションまで追跡します。エミュレートされたデバイスの名前は、$AUDIODEV 環境変数に記録されます。オーディオアプリケーションの役割は、$AUDIODEV を調査してその出力をそのデバイスに送信することです。

エミュレートされたオーディオデバイスは、/tmp/SUNWut/dev/utaudio ディレクトリにデバイスノードとして作成されます。このディレクトリツリーは、ブート時に再作成されます。

注記

/tmp/SUNWut/dev/utaudio ディレクトリは削除しないでください。このディレクトリを削除すると、utaudio セッションのユーザーは自分の擬似オーディオデバイスノードを使用できなくなります。

13.1.7.4. 問題: オーディオが動作しない

  • Oracle キーボードの右上にあるオーディオキーを使用して、音量とミュートボタンをチェックしてください。

  • Sun Ray セッションのオーディオ設定を表示します。

    $ utsettings

    次に、ヘッドホンやスピーカーなどのオーディオ出力が正しく選択されていることを確認します。

  • デスクトップセッションで音量がミュートされていないことを確認します。

  • Sun Ray クライアントのオーディオ出力またはヘッドホンポートに外部スピーカーのセットを差し込んでみます。これが機能する場合は、Sun Ray クライアントのスピーカーが壊れている可能性があります。

  • オーディオが動作しているかどうかをテストするには、次を入力します。

    $ cat audiofile > $AUDIODEV
    

    Oracle Solaris では、/usr/share/audio/samples/au 内に PCM エンコードされた適切なサンプルオーディオファイルが用意されているため、このコマンド:

    $ cat /usr/share/audio/samples/au/gong.au > $AUDIODEV

    によってゴングの音が生成されるはずです。

    Linux では通常、PCM エンコードされたオーディオファイルは提供されていません。適切なファイルが見つからない場合は、このコマンドを使用して連続音を生成できます。

    $ perl -e 'foreach(-8..8){push(@v,pack("n",4*$_))} while(1){print @v}' > $AUDIODEV

    cat または perl コマンドがハングする場合は、ブラウザなど、現在オーディオを使用しようとしているほかのアプリケーションを終了させる必要がある場合があります。

13.1.7.5. 問題: オーディオが Firefox で動作しない

  • 現在のリリースの Flash プラグインをチェックし、バージョン 9.0.r125 以降であることを確認します。Flash プラグインのバージョンをチェックするには、ブラウザで about:plugins を URL として入力します。

  • Firefox を終了してから、端末ウィンドウで明示的に再起動してみます。

  • 以上のすべてが失敗した場合は、Firefox を終了し、.mozilla ディレクトリに移動して「firefox」ディレクトリを firefox.jan09 などのほかの名前に変更します。それから Firefox を再起動し、オーディオが完全にクリーンな構成で動作するかどうかを確認します。

    オーディオがクリーンな構成で動作する場合は、ブラウザの以前の構成に問題があります。

13.1.7.6. 問題: Firefox または Adobe Flash Player の最新バージョンでオーディオが動作しない (Oracle Linux 5)

この問題は、ALSA サウンドのサポートだけを提供する、Firefox または Adobe Flash Player の最新リリースを使用しているために発生していると考えられます。Oracle Linux 5 では OSS サウンドサポートだけが提供されます。この問題の回避方法については、ナレッジ記事 1464502.1 を参照してください。

13.1.7.7. 問題: アプリケーションが $AUDIODEV 環境変数を無視する

一部のアプリケーションは $AUDIODEV に対応できず、無条件に /dev/audio/dev/dsp などの特定のオーディオデバイスノードを使用します。この問題に対処するために、Sun Ray Software は事前に読み込み可能な共有ライブラリ libc_ut.so を提供しており、これを使用してアプリケーションに割り込んでその動作を $AUDIODEV で指定されたデバイスにリダイレクトできます。このリダイレクションを有効にするには

  1. オーディオプレーヤーを起動したシェルまたはラッパーに移動します。

  2. libc_ut.so インターポーザーを参照するように、プレーヤーアプリケーションの環境で環境変数 LD_PRELOAD を設定します。

    $ LD_PRELOAD=libc_ut.so
    $ export LD_PRELOAD
  3. アプリケーションを再起動します。

13.1.7.8. xmms プレーヤーの構成 (Oracle Linux)

mp3 ファイルを再生するように xmms プレーヤーを構成するには、次の手順を実行します。

  1. xmms 出力プラグインの設定を、バッファリングを増やすように変更します。

  2. バッファーサイズを 10000 ms、プリバッファーのパーセントを 90 に変更します。

    コマンド行またはメニューから xmms を実行するときに、パネルの左側にある O (文字 O) をクリックして 「設定」メニューを表示します。

  3. 「オーディオ I/O プラグイン」ボタンの下で「出力プラグイン OSS ドライバ」を選択し、「構成」をクリックします。

  4. 「バッファリング」を選択します。

    1. デフォルトのバッファーサイズは 3000 ms です。これを 10000 ms に変更します。

    2. デフォルトのプリバッファーパーセントは 25 です。これを 90 に変更します。

  5. 「OK」をクリックしてから、「設定」パネルの「OK」をクリックします。

  6. xmms を終了して再起動します。

13.1.8. オーディオ出力トラブルシューティング (Oracle Solaris 11 および Oracle Linux 6)

このセクションでは、Oracle Solaris 11 セッションまたは Oracle Linux 6 セッションを実行している Sun Ray クライアントおよび Oracle Virtual Desktop Client での、オーディオ出力のトラブルシューティング情報について説明します。

これらのプラットフォームを使用している場合は、PulseAudio サウンドサーバーを使用してデスクトップクライアントセッションのオーディオ出力が提供されます。PulseAudio サーバーからオーディオを配信するために、PulseAudio モードで実行される utaudio のインスタンスが各セッションに作成されます。

この環境では、アプリケーションが PulseAudio サウンドサーバーにオーディオを送信するために $AUDIODEV を使用することはありません。$AUDIODEV が適用されるのは、/dev/audio/dev/dsp などのオーディオデバイスファイルを開く必要がある場合だけです。

13.1.8.1. その他の注意事項

ここでは、Oracle Solaris 11 および Oracle Linux 6 でのオーディオ出力に関するその他の注意事項および制限事項を示します。

  • Oracle Solaris 11 を使用している場合は、互換性の理由から、Oracle Solaris 10 SADA オーディオインタフェースが自動的に使用可能になります。SADA 固有の utaudio プロセスが、セッションごとに 1 つ、追加で開始されます。詳細については、「「オーディオ出力トラブルシューティング (Oracle Solaris 10 および Oracle Linux 5)」」を参照してください。

  • Oracle Solaris 11 にとって、Adobe Flash Player は $AUDIODEV インタフェースを使用する SADA アプリケーションです。複数の SADA アプリケーションが同じ $AUDIODEV を共有していると、デバイスのロックアウトが発生することがあります。この問題を修正するには、SADA アプリケーションごとに個別の utaudio コマンドを起動します。

  • Oracle Solaris 11 Trusted Extensions の場合、デバイス割り当てマネージャーに 2 つのオーディオデバイスが表示されるはずで、1 つは SADA インタフェースデバイス用、もう 1 つは PulseAudio 用です。必ず両方のオーディオデバイスを割り当ててください。

13.1.8.2. 問題: オーディオ出力が動作しない (PulseAudio)

  • Oracle キーボードのオーディオキーを使用して、音量とミュートボタンをチェックしてください。

  • Sun Ray セッションのオーディオ設定を表示します。

    $ utsettings

    次に、ヘッドホンやスピーカーなどのオーディオ出力が正しく選択されていることを確認します。

  • デスクトップセッションで音量がミュートされていないことを確認します。

  • Sun Ray クライアントのオーディオ出力またはヘッドホンポートに外部スピーカーのセットを差し込んでみます。これが機能する場合は、Sun Ray クライアントのスピーカーが壊れている可能性があります。

  • pulseaudio プロセスが実行されていることを確認します。これがユーザーセッションで開始されていない場合は、$HOME/.pulse ディレクトリを削除し、セッションを終了し、セッションを再度開始します。

  • PulseAudio サウンドサーバーからストリーミングを受け入れられるように、utaudio プロセスが -p オプションで実行されていることを確認します。そのようなプロセスが存在しない場合は、/var/opt/SUNWut/log/messages ログファイルを調べ、pulseaudio または utaudio コマンドからのエラーメッセージがないか確認します。

  • Totem や Rhythmbox など、GStreamer ベースのプログラムの使用中にオーディオが動作しない場合は、gstreamer-properties を実行して、GStreamer が PulseAudio を使用するように構成されていることを確認します。オーディオ入力とオーディオ出力の両方に PulseAudio サウンドサーバーの設定が選択されている必要があります。

  • Oracle Linux 6 の場合、ALSA が PulseAudio を使用するように構成されていることを確認します。この構成を確認するには、/etc/asound.conf ファイル (サーバー設定) または $HOME/.asoundrc ファイル (ユーザー設定) に、次が含まれていることを確認します。

    pcm.pulse {
         type pulse
    }
    ctl.pulse {
         type pulse
    }
    pcm.!default {
         type pulse
    }
    ctl.!default {
         type pulse
    }      

    両方のファイルが存在する場合は、$HOME/.asoundrc ファイルが優先されます。

  • Oracle Linux 6 の OSS アプリケーションでオーディオが動作しない場合は、$AUDIODEV 環境変数が utaudio のインスタンスに設定されていることを確認します。Oracle Linux 6 の場合、$AUDIODEV 環境変数はデフォルトでは定義されません。$AUDIODEV の設定の例を次に示します。

    $ export AUDIODEV=`/opt/SUNWut/bin/utaudio`
  • OSS ラッパー (padsp) を使用することによって、Oracle Linux 6 の OSS アプリケーションで PulseAudio を使用することもできます。

    $ padsp OSS_program