15.5. USB 外部ストレージデバイスへのアクセス

15.5.1. デバイスノードとデバイスリンク (Oracle Solaris)
15.5.2. デバイスノードとリンク (Oracle Linux)
15.5.3. マウントポイント
15.5.4. デバイスの所有権とホットデスク処理
15.5.5. 外部ストレージデバイスとアイドルセッション
15.5.6. 一般的なディスク操作用コマンド (Oracle Solaris)
15.5.7. 一般的なディスク操作用コマンド (Oracle Linux)
15.5.8. 外部ストレージデバイスをクライアントからマウント解除する方法
15.5.9. 外部ストレージデバイスのトラブルシューティング

このセクションでは、Sun Ray クライアントに接続されている USB 外部ストレージデバイスの管理方法について説明します。

15.5.1. デバイスノードとデバイスリンク (Oracle Solaris)

外部ストレージデバイスには「ブロック」と「raw」の 2 種類のデバイスノードがあり、それらはクライアントの dev ディレクトリに作成されます。ブロックデバイスへのリンクはクライアントの dev/dsk ディレクトリに作成され、raw デバイスへのリンクは dev/rdsk ディレクトリに作成されます。

デバイスリンクには、そのスライス番号を表す接尾辞があります。スライス s2 はバックアップスライスとも呼ばれ、ディスクそのものを意味します。その他のスライスには、ディスク上のファイルシステムに従って番号が付けられます。UFS ディスクの場合、スライス番号はディスクラベルから派生します。FAT ディスクの場合、スライス (この場合はパーティション) は s0 を起点として番号が付けられます。format または eject などのディスク処理は、スライス s2 で行われます。mount または fstyp などのパーティション処理は、関係する個別のスライスで行われます。例については、「外部ストレージデバイスとアイドルセッション」を参照してください。

15.5.2. デバイスノードとリンク (Oracle Linux)

外部ストレージデバイスのノードはブロック型特殊ノードです。これらは dev/dsk ディレクトリに作成されます。外部ストレージデバイスの場合、devices ディレクトリにデバイスノードが作成されず、デバイスリンクも作成されません。

デバイスノードの名前にはパーティション識別子の接尾辞が付けられます。ディスク全体を表すデバイスノードにはそのような接尾辞はありません。たとえば:

  • disk3p2 はディスク 3 のパーティション 2 を表します。

  • disk3 はディスク全体を表します。

取り出しなどのディスク操作は、ディスク全体で行われる必要があります。マウントなどのパーティション操作は、個々のパーティションで行われる必要があります。例は、表15.2「一般的なディスク操作用コマンド (Oracle Linux)」を参照してください。

15.5.3. マウントポイント

外部ストレージデバイスがクライアントに接続されており、OS で認識可能なファイルシステムがある場合、ユーザーのマウント親ディレクトリの下のディレクトリに自動的にマウントされます。マウント親ディレクトリは $DTDEVROOT/mnt/ にあります。utdiskadm コマンドの -l オプションを使用しても、マウントポイントを調べられます。

% utdiskadm -l

15.5.4. デバイスの所有権とホットデスク処理

ユーザーのセッションがクライアントから切断されると、外部ストレージデバイスへのアクセス権が失われ、そのデバイスに対する保留中のすべての入出力が終了します。これが原因で、デバイス上のデータが破損する可能性があります。クライアントからディスクをホットデスク処理または切断する前に、utdiskadm -r を使用してすべてのファイルシステムを安全にマウント解除してください。また、マウントポイント内のすべてのファイルおよびディレクトリへの参照を閉じて、デバイスがビジー状態でないことを確認してください。

15.5.5. 外部ストレージデバイスとアイドルセッション

リモートホットデスク認証 (Remote Hotdesk Authentication、RHA)、非スマートカードモビリティー (Non-Smart Card Mobility、NSCM)、またはスマートカードベースの認証を使用している場合、Sun Ray クライアント上で外部ストレージデバイスを使用すると長時間の入出力操作が失敗する場合があります。

キーボードとマウスが長時間使用されなかったために画面がロックされ、これらのタイプのセッションがアイドル状態になった場合、セッションは切り離されます。ユーザーはストレージデバイスにアクセスできなくなり、実行中のすべての入出力が停止することにより、データが破損することがあります。

このような状況を防ぐため、次のオプションが使用できます。

  • キーボードとマウスの動作を維持する

  • 画面ロックまでのアイドル時間を長くし、入出力操作が完了できるようにする

  • 画面ロックのプログラムを無効にする

  • NSCM ポリシーまたは RHA ポリシーを無効にする

  • 入出力操作をよりセキュアに実行するための別の方法を探す (たとえばロックされたサーバー室でデバイスを Sun Ray サーバーに直接接続する)

注記

これらのオプションのうちいくつかは、セキュリティーと利便性の問題を含んでいるので、タイムアウトの問題とあわせてよく検討し、使用するサイトに最適の方法を決めてください。

15.5.6. 一般的なディスク操作用コマンド (Oracle Solaris)

表15.1「一般的なディスク操作用コマンド (Oracle Solaris)」 は、一般的なディスク操作と、それを実行するために使用するコマンドのサマリーを示しています。各コマンドについての詳細は、Oracle Solaris のドキュメントおよびマニュアルページを参照してください。

表15.1 一般的なディスク操作用コマンド (Oracle Solaris)

操作

コマンド

デバイス名引数の例 (SPARC)

デバイス名引数の例 (x86)

フォーマット

rmformat

ホールディスクのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3s2

ホールディスクのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3p0

ファイルシステムの作成

mkfs

パーティションのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3s0

パーティションのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3p1

UFS ファイルシステムの作成

newfs

スライスのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3s0

スライスのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3s0

マウント

utdiskadm -m

パーティション名 disk3s0

パーティション名 disk3p1

マウント解除

utdiskadm -u

マウントポイント $DTDEVROOT/mnt/label1

マウントポイント $DTDEVROOT/mnt/label1

取り外しの準備

utdiskadm -r

デバイスエイリアス disk3

デバイスエイリアス disk3

メディアの取り出し

utdiskadm -e

デバイスエイリアス disk3

デバイスエイリアス disk3

メディアのチェック

utdiskadm -c

デバイスエイリアス disk3

デバイスエイリアス disk3

fdisk テーブル作成

fdisk

ホールディスクのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3s2

ホールディスクのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3p0

ファイルシステムの修復

fsck

raw スライスのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3s0

raw パーティションのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3p1

ファイルシステム容量の表示

df -k

マウントポイント $DTDEVROOT/mnt/label1

マウントポイント $DTDEVROOT/mnt/label1

スライス容量の表示

prtvtoc

バックアップスライスのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3s2

バックアップスライスのパス $UTDEVROOT/dev/rdsk/disk3s2

デバイスの一覧表示

utdiskadm -l

なし

なし


15.5.7. 一般的なディスク操作用コマンド (Oracle Linux)

表15.2「一般的なディスク操作用コマンド (Oracle Linux)」 は、一般的なディスク操作と、それを実行するために使用するコマンドのサマリーを示しています。

表15.2 一般的なディスク操作用コマンド (Oracle Linux)

操作

コマンド

デバイス名の引数の例

ファイルシステムの作成

mkfs

パーティションのパス $UTDEVROOT/dev/dsk/disk3p1

マウント

utdiskadm -m

パーティション名 disk3p1

マウント解除

utdiskadm -u

マウントポイント $DTDEVROOT/mnt/label1

取り外しの準備

utdiskadm -r

デバイスエイリアス disk3

メディアの取り出し

utdiskadm -e

デバイスエイリアス disk3

メディアのチェック

utdiskadm -c

デバイスエイリアス disk3

fdisk テーブル作成

fdisk

ホールディスクのパス $UTDEVROOT/dev/dsk/disk3

ファイルシステムの修復

fsck

パーティションのパス $UTDEVROOT/dev/dsk/disk3p1

ファイルシステム容量の表示

df -k

マウントポイント $DTDEVROOT/mnt/label1

デバイスの一覧表示

utdiskadm -l

なし


15.5.8. 外部ストレージデバイスをクライアントからマウント解除する方法

注記

Oracle Linux の場合、ディスクへのデータの書き込みは即座に行われません。外部ストレージデバイスを切断する前に utdiskadm -r を実行しなかった場合、データが損失したりマウントポイントが無効になったりすることがあります。外部ストレージデバイスを切断する前に、必ず utdiskadm -r を実行してください。

% /opt/SUNWut/bin/utdiskadm -r device_name

15.5.9. 外部ストレージデバイスのトラブルシューティング

このセクションでは、外部ストレージに対するトラブルシューティングについて説明します。

15.5.9.1. 問題: デバイスノードが作成されない。

ログファイル /var/opt/SUNWut/log/utstoraged.log を調べて、デバイスノードが作成されなかった理由に関するメッセージを確認してください。一部の外部ストレージデバイスタイプは、サポートされていません。

15.5.9.2. 問題: デバイスが自動的にマウントされない。

ログファイル /var/opt/SUNWut/log/utmountd.log で、エラーメッセージを確認してください。

この状態は、Sun Ray オペレーティングシステムが、ストレージデバイスのファイルシステムを認識できない場合に発生します。

15.5.9.3. 問題: デバイスが自動的にマウント解除されない。

この状態は、ストレージデバイスが取り外されたり、ユーザーセッションが切断されたときに、ユーザーのオープン参照がマウントポイントに残っている場合に発生します。このマウントポイントは無効なマウントポイントとして、システムがリブートされるか、管理者が削除するまで残ります。

次の手順を使用して、無効なマウントポイントを検索して削除してください。

  1. 無効なマウントポイントを検索します。

    # utdiskadm -s
  2. 無効なマウントポイントごとに、マウントポイントへのすべての参照を閉じます。

  3. 無効なマウントポイントごとに、マウントポイントを参照しているすべてのプロセスを終了します。

  4. マウントポイントを削除します。

    # umount stale_mount_path