ルーターは、コンピュータの接続およびネットワークのコンピュータ間のデータのパケット転送にコンピュータネットワークで使用されるデバイスです。ルーターは、さまざまなネットワークからの 2 つ以上の接続が可能です。ルーターは、受信データパケットからアドレス情報を読み取り、宛先を決定します。次に、パケットはルーターのルーティングテーブルの情報を使用して、次のネットワークに転送されます。このトラフィックはルーターのプロセスを指示し、データパケットが送信先ノードに到達するまで繰り返されます。
ルーティングプロトコルは、システムのルーティングアクティビティーを処理します。ルーターは、ほかのシステムとルーティング情報を交換して、リモートネットワークへの既知のルートを維持します。ルーターとシステムはどちらもルーティングプロトコルを実行できます。システムのルーティングプロトコルは、ほかのルーターやシステムのルーティングデーモンと通信します。これらのプロトコルは、システムのパケットの転送先の決定を支援します。ネットワークインタフェースが使用可能な場合、システムは経路制御デーモンとの通信を自動的に行います。これらのデーモンはネットワーク上のルーターをモニターし、ルーターのアドレスをローカルネットワーク上のシステムに通知します。すべてではありませんが、一部のルーティングプロトコルは統計情報も保持し、この統計を使って、ルーティングのパフォーマンスを計測できます。パケット転送と同様に、Oracle Solaris システム上でルーティングを明示的に構成する必要があります。
RIP と RDISC は標準 TCP/IP プロトコルです。次の表は、Oracle Solaris でサポートされているルーティングプロトコルの説明です。
Oracle Solaris のルーティングテーブルおよびタイプの詳細は、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 の ルーティングテーブルとルーティングの種類を参照してください。
ルーティング情報プロトコル (RIP) は、距離ベクトル型ルーティングプロトコルです。RIP は、ルーティングメトリックとしてホップカウンタを使用します。ルーティングデーモン in.routed によって実装されます。デーモンは、システムがブートすると自動的に開始されます。–s オプションを指定してルーターで実行すると、in.routed デーモンは、到達可能なすべてのネットワークへのルートをカーネルルーティングテーブルに入力し、すべてのネットワークインタフェースを経由して到達可能性を通知します。 –q オプションを指定して、システムで実行すると、in.routed デーモンはルーティング情報を抽出しますが、到達可能性を通知しません。
システムで、ルーティング情報は次の 2 つの方法で抽出できます。
フラグ (大文字の S または省スペースモード) を指定しない。in.routed デーモンは、ルーターと完全に同じように完全なルーティングテーブルを構築します。
フラグを指定する。in.routed デーモンは、使用可能なルーターごとにデフォルトのルートを 1 つずつ含む最小カーネルテーブルを作成します。
システムはルーター発見 (RDISC) プロトコルを使用して、ルーティング情報をルーターから取得します。システムで RDISC を実行する場合、ルーターはルーター情報を交換するために RIP などの別のプロトコルも実行する必要があります。
RDISC はデーモン in.routed によって実装され、ルーターとシステムの両方で実行される必要があります。システムで、in.routed は RDISC を使用して、RDISC 経由でアドレスを通知するルーターからのデフォルトのルートを検出します。ルーターで、in.routed は RDISC を使用して、直接接続されたネットワーク上のシステムにデフォルトのルートを通知します。詳細は、in.routed(1M) および gateways(4) のマニュアルページを参照してください。
Quagga は、Oracle Solaris を含む UNIX プラットフォームで RIP、RIPng、Open Shortest Path First (OSPF)、Intermediate System to Intermediate System (IS-IS)、およびボーダーゲートウェイプロトコル (BGP) のプロトコルの実装を可能にするルーティングソフトウェアスイートです。
RIPng は、IPv6 のさまざまな拡張機能を含む、IPv6 のサポートに RIP 拡張を提供します。RIPng の機能は RIP の機能に似ています。
OSPF は、大規模な自律システムネットワーク内にルーティング情報を分散するのに使用されるルータープロトコルです。OSPF の最新バージョンは OSPFv3 で、IPv6 のサポートが追加されています。
IS-IS は、大規模なサービスプロバイダネットワーク内のルーティング情報を分散するのに使用されるリンク状態動的ルーティングプロトコルです。
BGP は、IP ネットワークの接頭辞のセットを使用して、大規模な自律システムネットワーク間のパスと規則に基づいて、ルーティングを決定します。
次の表に、Oracle Solaris でサポートされているオープンソースの Quagga ルーティングプロトコルを一覧表示します。
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Quagga プロトコルの詳細については、Quagga Routing Suite の Webサイト http://www.nongnu.org/quagga/index.html を参照してください。
VRRP は、ルーターやロードバランサに使用される IP アドレスなど、IP アドレスの高可用性を提供します。VRRP は、RFC 5798, Virtual Router Redundancy Protocol Version 3 for IPv4 and IPv6 に指定されているインターネット標準プロトコルです。Oracle Solaris では、VRRP サービスを構成および管理する管理ツールが用意されています。
Oracle Solaris では、既存の標準レイヤー 2 VRRP に加えて、IPMP および InfiniBand インタフェース経由の VRRP のサポートおよびゾーン内の VRRP のサポート強化のために、独自のレイヤー 3 VRRP を提供しています。
VRRP の使用および VRRP ルーターの構成の詳細は、仮想ルーター冗長プロトコルの使用および仮想ルーター冗長プロトコルの構成および管理を参照してください。