ここでは、Oracle Database 11g リリース1(11.1)のOracle Spatial GeoRasterの新機能および変更された機能について説明します。
今回のリリースのGeoRasterでは、以前は手動で実行する必要があった特定のタスクを自動化し、特殊なタスクを実行する必要があるユーザーに新しい管理ツールを提供しています。
GeoRaster表を作成するときに、その表に対してGeoRaster DMLトリガーを作成する必要がなくなりました。これらのDMLトリガーは自動的に作成されます。このようにDMLトリガーの作成と操作を自動化することによって、信頼性が向上しました。
データ・ポンプ・インポート・ユーティリティを使用してGeoRasterデータをインポートすると、インポートした表に対するGeoRaster DMLトリガー、またはインポートしたGeoRasterオブジェクトのGeoRasterシステム・データ・エントリを作成する必要がなくなりました。これらのトリガーおよびエントリは自動的に作成されるようになりました。詳細は、3.21項を参照してください。
ラスター表のDDLイベントおよびGeoRasterシステム・データのアクティビティを監視するように内部的な機能強化を行ったことで、GeoRasterの管理性、信頼性、堅牢性および使いやすさが向上しました。
新しいSDO_GEOR_ADMIN PL/SQLパッケージには、移行操作とアップグレード操作を含む、GeoRasterデータベースの管理とメンテナンスに役立つ情報を取得するサブプログラムが格納されています。SDO_GEOR_ADMINサブプログラムについては、第5章で説明します。
Oracle Workspace Managerを使用したラスター・データのバージョニングがサポートされています(3.18項を参照)。
Oracle Label Securityを使用したラスター・データの行レベルのセキュリティがサポートされています(3.18項を参照)。
GeoRasterおよびデータベース管理の詳細は、1.11項を参照してください。
今回のリリースでは、次のような新しいGeoRasterのメタデータおよびラスター型をサポートしています。
幾何補正されているか、または幾何補正されていない航空写真や衛星イメージを地理参照するために、複雑な汎用関数フィッティング地理参照モデルがサポートされています。アフィン変換、DLT、RPCなどのモデルが、この汎用モデルの特殊ケースとしてサポートされています。詳細は、1.6項を参照してください。
GeoRasterオブジェクトおよび個別のバンドやレイヤーに対するビットマップ・マスク(1ビット深度の特別な矩形ラスター・グリッドであり、各ピクセルが0または1の値を持つ)を格納できます。これらのマスクは、GeoRasterオブジェクトの内部に格納されます。また、マスクのピラミッドを作成してGeoRasterオブジェクトの内部に格納することもできます。ビットマップ・マスクの詳細は、1.8項を参照してください。
GeoRasterオブジェクトおよび個別のバンドやレイヤーに対して、複数のNODATA値および複数のNODATA値の範囲がサポートされています。詳細は、1.9項を参照してください。
GeoRasterオブジェクトでは、記憶領域を節約したり処理速度を向上させるために、空のラスター・ブロックを持つことができます。詳細は、1.4.4項を参照してください。
ランダムなブロック化サイズがサポートされています。各ブロックのサイズは引き続き同じである必要がありますが、ラスター・ブロック・サイズは行次元および列次元に沿ってランダムに異なる数値を指定でき、2の累乗値である必要はありません。
今回のリリースでは、次に示すような、GeoRaster PL/SQL APIなどの機能に関連する多くの新しいサブプログラムとその他の機能強化が提供されています。
新しい地理参照モデルでの更新や問合せなどのDML操作、ビットマップ・マスク、および複数のNODATA値とその値の範囲がサポートされています。
既存のサブプログラムは、空のラスター・ブロック、ランダムなブロック化サイズおよび新しいメタデータをサポートできるように強化されました。
モザイクのサポートにより、隙間、重複および欠落のあるソースGeoRasterオブジェクトを使用できます。モザイクのサポートの詳細は、第4章のSDO_GEOR.mosaicプロシージャの説明を参照してください。
GeoRasterオブジェクトとレイヤーの結合またはマージがサポートされています。詳細は、第4章のSDO_GEOR.mergeLayersプロシージャの説明を参照してください。
別のイメージまたはグリッド・データを使用した、ラスター・データとそのピラミッドのウィンドウでの部分的な編集および更新がサポートされています。詳細は、第4章のSDO_GEOR.updateRasterプロシージャの説明を参照してください。
サード・パーティのソフトウェアを簡単に統合できるように、新しいGeoRasterテンプレートのファンクションが提供されています。詳細は、3.17項を参照してください。
統計分析およびヒストグラムの生成がサポートされています。詳細は、第4章のSDO_GEOR.generateStatisticsプロシージャの説明を参照してください。
GeoRasterのセル空間でのサブセルまたはサブピクセルのアドレッシング(浮動小数点の行番号および列番号)がサポートされています(1.3項を参照)。
SDO_GEOR_SRSオブジェクト型に新しいコンストラクタが追加されました(2.3.5項を参照)。
GeoRasterオブジェクトの実際の記憶域サイズと名目上の記憶域サイズの計算がサポートされています。(名目上のサイズは圧縮およびスパース・データを考慮しません。)詳細は、第6章のSDO_GEOR_UTL.calcRasterStorageSizeファンクションおよびSDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSizeファンクションに関する項を参照してください。
GeoRasterの検証が強化され、有効な各GeoRasterオブジェクトの(ALL_SDO_GEOR_SYSDATAビューのエントリへの)登録が必要になりました。また、GeoRasterオブジェクトのラスター・データ表の名前属性では、空白、ピリオド、または大/小文字が混在する文字列を引用符で囲った値は使用できません。すべての英数字は大文字を使用する必要があります。GeoRasterオブジェクトの検証の詳細は、3.4項を参照してください。この項では、検証を実行するための特定のファンクションも示されています。
GeoRasterは、元のBasicFile LOBを補足するためにリリース11.1から導入されたSecureFile LOB(SecureFiles)の使用をサポートしています。詳細は、3.1.2項を参照してください。
GeoRasterオブジェクトのロードとエクスポートを行うために、GeoTiff、JPEG 2000およびDigital Globe RPCの各ファイル形式がサポートされています。JPEGファイルは解凍せずにロードできます。GeoRasterローダーおよびエクスポータ・ツールの詳細は、1.13項を参照してください。
マスク、汎用地理参照モデル、空のラスター・ブロックおよびその他の機能を表示できるように、GeoRasterビューアが強化されました。GeoRasterのビューア・ツールの詳細は、1.13項を参照してください。
次の表に、今回のリリースの新しいPL/SQLサブプログラムを示します。(この表には既存のサブプログラムは含まれていませんが、既存のサブプログラムも、このリリースで大幅に強化されています。)
PL/SQLパッケージ | 新しいサブプログラム |
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SDO_GEOR(第4章を参照) | SDO_GEOR.addNODATA
SDO_GEOR.getModelCoordLocation SDO_GEOR.getRasterBlockLocator |
SDO_GEOR_ADMIN(第5章を参照) | (SDO_GEOR_ADMINパッケージは今回のリリースから導入されているため、すべてのサブプログラムが新しいサブプログラムとなります。) |
SDO_GEOR_UTL(第6章を参照) | SDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSize
SDO_GEOR_UTL.calcRasterStorageSize |