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Oracle Multimediaユーザーズ・ガイド
11gリリース1(11.1)
E05684-01
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1 Oracle Multimediaの概要

Oracle Multimedia(以前のOracle interMedia)は、Oracle Databaseを使用して、イメージ、オーディオ、ビデオまたはその他の異機種間メディア・データを、他の企業情報と統合したフォーマットで格納、管理および検索する機能です。Oracle Multimediaによって、Oracle Databaseの信頼性、可用性が向上し、従来のアプリケーション、インターネット・アプリケーション、E-Commerceアプリケーション、および様々なメディアを利用するアプリケーションでマルチメディア・コンテンツを管理できるようになります。Oracle Multimediaは、メディアのキャプチャ・デバイスや出力デバイスの制御は行いません。これらの制御はアプリケーション・ソフトウェアで行います。

Oracle Multimediaは、次の機能によってマルチメディア・コンテンツを管理します。

Oracle Multimediaは、Oracle JDeveloper、Oracle Content Management SDK、Oracle Application Server PortalおよびOracleパートナにメディア・コンテンツ・サービスを提供します。このマニュアルでは、他のOracleツールやソフトウェアおよびサード・パーティのツールやソフトウェアを使用して、オーディオ、イメージおよびビデオ・データまたは他の異機種間メディア・データを管理および統合する方法について説明します。

1.1 オブジェクト・リレーショナル・テクノロジ

Oracle Databaseは、オブジェクト・リレーショナル・データベース管理システムです。これは、リレーショナル・データを安全かつ効率的に管理するという従来の役割に加え、オブジェクト型を定義し、その定義に、オブジェクトの関連データとオブジェクトに対して実行可能な操作(メソッド)を含めることをサポートします。オブジェクト・リレーショナル・テクノロジでは、BLOBが完全にサポートされます。BLOBを使用することによって、デジタル・オーディオ、イメージ、ビデオなどの複雑なオブジェクトをデータベースに追加することができます。

Oracle Multimediaでは、オーディオ・データ特性にはORDAudio、異機種間データ特性にはORDDoc、イメージ・データ特性にはORDImage、ビデオ・データ特性にはORDVideoと呼ばれるオブジェクト・リレーショナル型があります。これらのすべての型は、ORDSourceと呼ばれるオブジェクト・リレーショナル型にデータ・ソース情報を格納します。

BLOBおよびBFILEを使用する場合の詳細は、次のマニュアルを参照してください。

マルチメディア・オブジェクト型とメソッド、およびORDSourceオブジェクト型とメソッドの詳細は、『Oracle Multimediaリファレンス』を参照してください。

1.2 Oracle Multimediaの機能

Oracle Multimediaの機能には、Oracle Databaseによって管理されるマルチメディア・データの格納、検索、管理および操作があります。

マルチメディア・アプリケーションには、共通する要件と固有の要件があります。Oracle Multimediaのオブジェクト型は、共通のアプリケーション要件をサポートし、アプリケーション固有の要件を満たすために拡張することができます。Oracle Multimediaを使用することによって、マルチメディア・データを一般的な属性データと同様に簡単に処理できます。

Oracle Multimediaからアプリケーションへのアクセスには、リレーショナル・インタフェースおよびオブジェクト・インタフェースのどちらも使用できます。Java、C++または従来の第三世代言語(3GL)で記述されたデータベース・アプリケーションの場合は、最新のクラス・ライブラリ・インタフェース、またはPL/SQLとOracle Call Interface(OCI)を使用して、Oracle Multimediaと対話できます。

Oracle Multimediaは、DTPイメージおよびストリーミング・オーディオやビデオ・フォーマットを含む一般的なファイル・フォーマットのデータベースへの格納をサポートします。Oracle Multimediaには、オーディオ、イメージ、ビデオまたはその他の異機種間メディアの列やオブジェクトを既存の表に追加し、マルチメディア・データを挿入したり検索する機能があります。これによって、データベース設計者は、マルチメディア・データを使用して既存のデータベースを拡張したり、新しくエンドユーザー向けのマルチメディア・データベース・アプリケーションを作成することができます。Oracle Multimediaの開発者は、ここで説明する基本機能を使用して、専門的なマルチメディア・アプリケーションを作成できます。

Oracle Multimediaでは、JavaやC++のクラスと同様のオブジェクト型を使用して、マルチメディア・データを記述します。これらのオブジェクト型を、ORDAudio、ORDVideo、ORDImageおよびORDDocといいます。これらのオブジェクト型のインスタンスは、メタデータメディア・データを含む属性およびメソッドで構成されます。メディア・データは、実際のオーディオ、イメージ、ビデオまたはその他の異機種間メディア・データです。メタデータは、オブジェクト長、圧縮タイプ、フォーマットなどのデータに関する情報です。メソッドは、getContent( )、setProperties( )などのオブジェクトに対して実行可能なプロシージャです。

Oracle Multimediaオブジェクトには、共通のメディア・データ格納モデルがあります。これらのオブジェクトのメディア・データ・コンポーネントは、トランザクション制御を受けるBLOBで、データベース内部に格納できます。メディア・データは、トランザクション制御を受けない、データベース外部に格納することも可能です。この場合、ポインタはトランザクション制御下のデータベース内部に格納され、メディア・データは次の場所に格納されます。

メディア・データをデータベース外部に格納すると、消去可能メディアまたは読取り専用メディアにフラット・ファイルで保存される、既存または新規の大規模メディア・リポジトリに対する管理メカニズムが容易になります。このデータは、トランザクション制御のために、いつでもBLOBにインポートできます。マルチメディア・データをデータベースにロードする方法については、1.8項を参照してください。

メディアのメタデータは、Oracle Multimediaの制御によって、データベース内部に格納されます。メディア・データがデータベース内部または外部のどちらに格納されている場合でも、Oracle Multimediaはすべてのメディア・タイプのメタデータを管理し、オーディオ、イメージおよびビデオ用にメタデータを自動的に抽出できます。このメタデータには、次の属性が含まれます。

メタデータ抽出メソッドに加えて、イメージ操作メソッドの最小セットも提供されます。イメージの場合、フォーマット変換、ページ選択、量子化操作の実行、およびイメージの圧縮、スケーリング、トリミング、コピー、反転、ミラー化、回転、ガンマ(輝度)の調整が含まれます。

Oracle Multimediaは拡張可能です。具体的には、マルチメディア処理に必要な、オーディオ、イメージおよびビデオの一般的なデータ・フォーマットの基本セットをサポートし、さらに、他のフォーマット、新しいデジタル圧縮スキームや展開スキームcodecs)、データ・ソースに加え、オーディオとビデオ・データ専用のデータ処理アルゴリズムをサポートすることも可能です。Oracle Multimediaの拡張の詳細は、第7章を参照してください。

Oracle Multimediaは、エンドユーザー向けのアプリケーションというより、様々なマルチメディア・アプリケーションの構成部品として機能します。その中には、オブジェクト型、およびマルチメディア・データ管理および処理関連のメソッドが含まれます。次に、Oracle Multimediaを活用したアプリケーションの例を示します。

1.3 オーディオの概念

この項では、デジタル・オーディオの概念、およびORDAudioオブジェクト型を使用したオーディオ・アプリケーションや高度なORDAudioオブジェクトの作成方法について説明します。

1.3.1 デジタル・オーディオ

ORDAudioは、データベースのデジタル・オーディオ・データの格納、検索および管理機能を統合します。

オーディオ制作は、オーディオ・レコーダ、マイクロフォンなどのオーディオ・ソース、デジタル・オーディオ、他の特殊オーディオ録音用デバイス、またはプログラム・アルゴリズムを使用して行うことができます。オーディオ録音用デバイスは、マイクロフォンや磁気メディアに録音されたサウンドなどのアナログ(連続)信号を受け取り、特定のオーディオ特性(フォーマット、エンコーディング・タイプ、チャネル数、サンプリング・レート、サンプル・サイズ、圧縮タイプ、再生時間など)を持つデジタル値に変換します。

1.3.2 オーディオのコンポーネント

デジタル・オーディオは、オーディオ・データ(デジタル・ビット)、およびオーディオ・データの情報や特性を示す属性で構成されます。オーディオ・アプリケーションは、データベース表内のオーディオ・クリップの説明、録音日、制作者およびアーティストなどのアプリケーション固有の情報を、属性またはデータベース表の列に説明文を格納することによって、オーディオ・データと関連付ける場合があります。

オーディオ・データは、そのデジタル録音の方法によって、データ・フォーマット、エンコーディング・タイプ、圧縮タイプ、チャネル数、サンプリング・レート、サンプル・サイズおよび再生時間が異なります。ORDAudioは、サポートしているすべてのデータ・フォーマットのオーディオ・データを格納および検索できます。ORDAudioは、一般的で多様なオーディオ・フォーマットのオーディオ・データから、自動的にメタデータを抽出します。また、アプリケーション属性を抽出し、XML形式でオブジェクトのコメント・フィールドに格納することもできます。ORDAudioが属性を抽出および格納できるデータ・フォーマットのリスト、およびその他のオーディオ機能の詳細は、『Oracle Multimediaリファレンス』を参照してください。ORDAudioは拡張可能で、追加のオーディオ・フォーマットを認識し、サポートすることができます。

数値やテキストなどの従来のコンピュータで使用するオブジェクトに比べると、デジタル・オーディオのサイズ(バイト数)は、大きくなる傾向があります。このため、複数のエンコーディング方法でオーディオ・データを圧縮し、ストレージ・デバイスやネットワークの負荷を削減します。

1.4 ORDDocまたは異機種間メディア・データの概念

この項では、異機種間メディア・データの概念、およびORDDocオブジェクト型を使用したアプリケーションや高度なORDDocオブジェクトの作成方法について説明します。

1.4.1 デジタル異機種間メディア・データ

ORDDocは、データベースの異機種間メディア・データの格納、検索および管理機能を統合します。

ORDDoc型は、オーディオ、イメージおよびビデオ・データを含むどのような異機種間メディア・データでもデータベースの列に格納できます。オーディオ、イメージ、テキストおよびビデオ・オブジェクトを別々の列に格納するかわりに、1つのORDDocオブジェクトの列を使用して、マルチメディアのすべての型を表現することができます。

1.4.2 異機種間メディア・データのコンポーネント

異機種間メディア・データのコンポーネントは、データ(デジタル・ビット)および異機種間メディア・データの情報や特性を示す属性で構成されます。

異機種間メディア・データのフォーマットは、メディア・データを生成するアプリケーションによって異なる場合があります。Oracle Multimediaは、サポートしているすべてのデータ・フォーマットのビデオ・データを格納および検索できます。ORDDoc型は、オーディオ、イメージ、ビデオ、その他の種類のメディア・データなど、異なる種類の異機種間メディア・データを同じ列に格納する必要があるアプリケーションで使用できます。この型を使用すると、すべての異なる種類のメディア・データで共通のメタデータ索引を作成できます。この索引を使用すると、すべての異なる種類の異機種間メディア・データ全体を検索できます。様々な異機種間メディア・データが、様々なオブジェクト型でリレーショナル表の別々の列に格納されている場合、この検索方法は使用できません。

ORDDocは、一般的で多様なオーディオ、イメージおよびビデオ・データ・フォーマットのデータから自動的にメタデータを抽出します。また、アプリケーション属性を抽出し、XML形式でオブジェクトのコメント属性に格納することもできます。Oracle Multimediaが属性を抽出および格納できるデータ・フォーマットのリストは、『Oracle Multimediaリファレンス』を参照してください。ORDDocは拡張可能で、その他の異機種間メディア・データを認識およびサポートすることができます。

1.5 イメージの概念

この項では、デジタル・イメージの概念、およびORDImageオブジェクト型を使用したイメージ・アプリケーションや高度なORDImageオブジェクトの作成方法について説明します。

1.5.1 デジタル・イメージ

ORDImageは、データベースのデジタル・イメージの格納、検索および管理機能を統合します。

ORDImageは、実世界のオブジェクトや情景をバイナリ表現で格納した、2次元の静的デジタル・ラスター・イメージをサポートします。イメージは、ドキュメントや写真のスキャナ、ビデオ・キャプチャ装置に接続されたデジタル・カメラやビデオデッキなどのビデオ・ソース、その他の特殊イメージ・キャプチャ・デバイス、またはプログラム・アルゴリズムを使用して制作できます。キャプチャ・デバイスは、カメラのフィルムに映写した光などのアナログ(連続)信号を受け取り、ピクセルと呼ばれるデータの点で構成される2次元グリッド上のデジタル値に変換します。イメージのキャプチャおよび表示を行うデバイスは、アプリケーションから制御します。

1.5.2 イメージの構成要素

デジタル・イメージは、イメージ・データ(デジタル・ビット)およびイメージ・データの情報や特性を示す属性で構成されます。イメージ・アプリケーションは、被写体の名前、イメージの説明、撮影日、カメラマンなどのアプリケーション固有の情報を、属性またはデータベース表内の列に説明文を格納することによって、イメージ・データに関連付ける場合があります。

イメージ・データ(ピクセル)は、イメージのキャプチャ方法によって、様々な深度(各ピクセルのビット数)を表現でき、様々な方法で構成できます。イメージ・データの構成は、データ・フォーマットと呼ばれます。ORDImageは、どのようなデータ・フォーマットのイメージ・データでも格納および検索できます。ORDImageは、一般的で多様なデータ・フォーマットのイメージのプロパティを処理し、自動的に抽出することができます。ORDImageがメタデータを処理および抽出できるデータ・フォーマットのリストについては、『Oracle Multimediaリファレンス』を参照してください。さらに、一部の外部イメージ(ORDImageがネイティブにサポートしていないフォーマット)でもイメージ処理を部分的にサポートしています。詳細は、『Oracle Multimediaリファレンス』を参照してください。

デジタル・イメージに必要な記憶領域は、数値やテキストなど、従来の属性データに比べて大きくなる傾向があります。様々な圧縮方法によってイメージを圧縮し、ストレージ・デバイスやネットワークの負荷を減らすことができます。可逆圧縮を利用してイメージを圧縮すると、元のイメージとビット単位で同一になります。非可逆圧縮を利用した場合、展開後のイメージは元のイメージと同一ではありませんが、その差はごくわずかです。可逆圧縮に比べ、非可逆圧縮は、通常、より高い圧縮率を実現します。

イメージの互換フォーマットには、イメージの構成や使用方法、データおよび圧縮方法が完全に記述されているため、異なるアプリケーションでイメージを作成、変換および使用することができます。 多くの場合、互換フォーマットはディスク・ファイルとして格納されます。これは、ネットワーク上で連続的に変換されるため、1つのプロトコルとみなされます。デジタル・イメージの世界には、多数のアプリケーション・サブドメインがあり、その中には、デジタル・イメージを作成し、利用する多数のアプリケーションがあります。ORDImageは、すべてのイメージ・データ・フォーマットの格納と検索をサポートし、多数のイメージ・データ・フォーマットの処理および属性の抽出ができます(『Oracle Multimediaリファレンス』を参照)。

1.5.3 イメージ・メタデータ

Oracle Database 10gリリース2では、Oracle Multimediaにイメージ・メタデータ機能が追加されました。メタデータ機能によって、イメージのアプリケーション・メタデータに対する読込み(抽出)および書込み(埋込み)機能が追加され、Oracle Multimedia ORDImageオブジェクト型の動作が向上します。さらに、この機能は、イメージ・ファイルから切り離したメタデータを標準的な方法で記述します。メタデータは、データベースへの格納、索引付け、検索が可能です。また、Oracle Databaseの標準的なメカニズムを使用して、アプリケーションからも利用できます。

メタデータ機能の詳細は、第6章を参照してください。

1.5.4 医用デジタル画像

Oracle Database 10gリリース2では、Oracle Multimediaに医用デジタル画像と通信(DICOM)機能が追加されました。Oracle Multimedia DICOM機能によって、Oracle Multimediaが単体のDICOMオブジェクトを認識し、患者、研究などの一連のものに関連するDICOMの埋込み属性のサブセットを抽出できるため、Oracle Multimedia ORDImageオブジェクト型の動作が向上します。

Oracle Database 10gリリース2で導入されたOracle Multimedia DICOM機能の詳細は、第6章を参照してください。

Oracle Database 11gリリース1では、次のOracle Multimedia DICOM用の医用デジタル画像フォーマットがサポートされました。

  • DICOMオブジェクトの作成機能

  • DICOMのイメージ処理の機能拡張

  • DICOMオブジェクト一致検証の機能拡張

  • DICOMメタデータ抽出の機能拡張

  • DICOMオブジェクトの匿名化機能

  • 新しいORDDicomオブジェクト型

  • 実行時に更新可能なDICOMデータ・モデル

Oracle Multimediaでは、イメージ、DICOM(医用デジタル画像)、オーディオおよびビデオ・データ用に提供されたサービスやサポートに加えて、次の処理を行うことによってDICOMコンテンツを管理します。

  • DICOMデータと関連するビジネス・データを同期化するためのデータベースでの医用デジタル画像データの格納および検索

  • Oracle Multimedia DICOMサービスに対する完全なオブジェクト・インタフェースとリレーショナル・インタフェース

  • ユーザーが指定可能なXMLドキュメントへのDICOMメタデータの抽出

  • 関連付けられたリレーショナル・データと抽出されたメタデータを使用した問合せ

  • 縮小イメージ生成などのイメージ処理

  • 新しいDICOMオブジェクトの作成

  • 一連のユーザー指定の一致ルールに基づいた一致検証

  • 匿名に設定する一連の属性とそれらの属性を匿名に設定する方法を指定した、ユーザー定義のルールに基づくDICOMオブジェクトの匿名化

  • 新しいリリースのOracle Databaseをインストールせずに、サポートされているバージョンのDICOM規格など、実行時の動作を更新する機能

Oracle Database 11gリリース1に導入されたOracle Multimedia DICOM機能拡張の詳細は、『Oracle Multimedia DICOM開発者ガイド』を参照してください。

1.5.5 メタデータの抽出

Oracle Multimediaは、メディア・ソース(オーディオおよびビデオ・ファイル)からコンテンツおよびフォーマットのメタデータを抽出し、それらのメタデータを収集してXML形式のCLOBとして構成する機能を提供します。抽出して格納したメタデータを索引付けすると、Oracle Textを使用して強力な全文検索およびテーマ検索をメディアに実行できます。これによって、メディアから抽出したメタデータに基づいて、メディア・データの位置をデータベースに問い合せることができます。詳細は、『Oracle Multimediaリファレンス』のsetProperties( )メソッドに関する説明を参照してください。

1.5.6 イメージ処理

Oracle Multimediaは、イメージ・フォーマットのトランスコーディング、イメージの切取りとスケール、縮小イメージの生成などのイメージ処理をサポートします。また、Oracle Multimediaは、宛先イメージのファイル・フォーマットがロー・ピクセル(RPIX)またはMicrosoft Windowsビットマップ(BMPF)・イメージである場合に、フォーマット特性を変更するための様々な演算子をサポートしています。詳細は、『Oracle Multimediaリファレンス』を参照してください。

1.5.7 SQL/MM Still Image規格のサポート

Oracle Multimediaは、ISO/IEC 13249-5:2001 SQL MM Part 5:StillImage規格(通常、SQL/MM Still Image規格と呼ばれる)の第1版もサポートしています。この規格では、イメージ特性に対応したオブジェクト・リレーショナル型であるSI_StillImage、SI_AverageColor、SI_Color、SI_ColorHistogram、SI_FeatureList、SI_PositionalColorおよびSI_Textureが定義されています。

ORDImageの次の機能はSQL/MM Still Image規格で規定されていないため、StillImageオブジェクトには使用できません。

  • データベース外部へのイメージ・データの格納

  • ORDImage固有のイメージ処理操作(スケールアップ、圧縮など)

  • JavaクライアントAPI

SQL/MM Still Image規格のオブジェクト型の詳細は、『Oracle Multimediaリファレンス』を参照してください。

1.6 ビデオの概念

この項では、デジタル・ビデオの概念、およびORDVideoを使用したビデオ・アプリケーションや高度なORDVideoオブジェクトの作成方法について説明します。

1.6.1 デジタル・ビデオ

ORDVideoは、データベースのデジタル・ビデオ・データの格納、検索および管理機能を統合します。

ビデオは、ビデオ・レコーダ、ビデオ・カメラ、デジタル・アニメーション・ビデオ、その他の特殊ビデオ録画用デバイス、またはプログラム・アルゴリズムを使用して制作します。ビデオ録画デバイスは、ビデオ・カメラから取得したビデオや磁気メディアに録画されたビデオなどのアナログ(連続)信号を受け取り、ビデオ・フォーマット、エンコーディング・タイプ、フレーム・レート、フレーム・サイズ(幅および高さ)、フレームの解像度、ビデオの長さ、圧縮タイプ、色数、ビット・レートなどの特定のビデオ特性を持つデジタル値に変換します。

1.6.2 ビデオの構成要素

デジタル・ビデオは、ビデオ・データ(デジタル・ビット)およびビデオ・データの情報や特性を示す属性で構成されます。ビデオ・アプリケーションは、ビデオ・トレーニング・テープの説明、録画日、インストラクタ名、プロデューサ名などのアプリケーション固有情報を、ビデオ・データ内で関連付ける場合があります。

ビデオ・データは、デジタル録画の方式によって、データ・フォーマット、圧縮タイプ、フレーム・レート、フレーム・サイズ、フレームの解像度、再生時間、色数およびビット・レートが異なる場合があります。ORDVideoは、サポートしているすべてのデータ・フォーマットのビデオ・データを格納および検索できます。ORDVideoの機能を次に示します。

  • 一般的で多様なビデオ・フォーマットのビデオ・データからメタデータを自動的に抽出できます。

  • また、アプリケーション属性を抽出し、XML形式でオブジェクトのコメント属性に格納することもできます。

    Oracle Multimediaが属性を抽出および格納できるデータ・フォーマットのリスト、およびその他のビデオ機能の詳細は、『Oracle Multimediaリファレンス』を参照してください。

  • 追加のビデオ・フォーマットを認識およびサポートします(ORDVideoは拡張できるため)。

数値やテキストなどの従来のコンピュータで使用するオブジェクトに比べて、デジタル・ビデオのサイズ(バイト数)は大きくなる傾向があります。このため、いくつかのエンコーディング方法でビデオ・データを圧縮し、ストレージ・デバイスやネットワークの負荷を減らすことができます。

1.7 マルチメディアの格納および問合せ

メディアは、Oracle Multimediaのオブジェクト型に格納することも、BLOBまたはBFILEに直接格納することもできます。メディアは、Oracle Multimediaのオブジェクト型に格納すると最も効果的に管理できます。ただし、BLOBおよびBFILEに格納されたメディアに対しても、リレーショナル・インタフェースを介してOracle Multimediaの多くの機能を使用できます。

開発者は、Oracle Multimediaのリレーショナル・インタフェースを介して、Oracle Multimediaオブジェクト型のスタティック・メソッドをBLOBおよびBFILEに格納された既存および新規のメディアで使用できます。具体的には、開発者は、メディア・データをローカル・ファイル・システムとデータベース間で移動できます。また、メディア・データのプロパティを解析および抽出し、これらのプロパティをXMLTypeまたはXML形式のCLOBに格納したり、オプションで別々のリレーショナル列に格納することができます。開発者は、既存のアプリケーション・スキーマを変更したり、Oracle Multimediaオブジェクト型をインスタンス化しなくても、このリレーショナル・インタフェースを利用できます。また、Oracle Multimediaのスタティック・メソッドを使用すると、切取り、スケール、圧縮、フォーマット変換などのイメージ処理操作を実行できます。詳細は、『Oracle Multimediaリファレンス』を参照してください。

ORDAudio、ORDVideo、ORDImageおよびORDDocのすべてのオブジェクト型には、ORDSource型の属性、およびマルチメディア・データ・ソースを操作するためのメソッドが含まれます。


注意:

ORDSourceメソッドは直接コールしないでください。かわりに、ORDSourceメソッドに対応するメディア・オブジェクトのラッパー・メソッドを起動してください。ここでは、独自のユーザー定義ソースを記述するユーザーを対象に説明します。

1.7.1 マルチメディア・データの格納

Oracle Multimediaでは、マルチメディア・データを、データベースの内部ソースとして、トランザクション制御を受けるBLOBとして格納できます。また、ローカル・ファイル・システム内のオペレーティング・システム固有のファイルに外部ソースとして、HTTPサーバー上のURLとして、またはメディア・サーバーなどの他のサーバー上のユーザー定義ソースとして格納されたデジタル・マルチメディア・データを外部参照することもできます。このような外部格納メカニズムは、既存のマルチメディア・データ・セットをデータベースと統合するためには役立ちますが、データベース内に格納されていないマルチメディア・データはトランザクション制御することできません。

BLOBは、領域を最適化し、効率的なアクセスを可能にする方法でデータベースの表領域に格納されます。大きいBLOBは、他の行データとインラインに格納されない場合があります(4KB以下のBLOBはインラインに格納可能)。BLOBのサイズによっては、行にロケータが格納され、実際のBLOB(ブロック・サイズに応じて8から128TBまで)は他の表領域に格納されます。このロケータを、BLOB値の実際の位置へのポインタとみなすこともできます。BLOBを選択すると、値のかわりにロケータが選択されます。これは透過的に行われます。この設計のメリットは、1つの行に複数のBLOBロケータを格納できることです。たとえば、トレーニング・テープの短いビデオ・クリップ、内容の短い説明を含むオーディオ録音、コースの摘要、インストラクタの写真、各トレーニング・センターの地図と案内を、すべて同じ行に格納することができます。

BFILEは、データベースのトランザクション制御下にないため、ユーザーはデータベースを更新せずに外部ソースを変更できます。このため、BFILEロケータの非一貫性が発生します。BLOBおよびBFILEの使用方法の詳細は、『Oracle Database SecureFilesラージ・オブジェクト開発者ガイド』および『Oracle Call Interfaceプログラマーズ・ガイド』を参照してください。

Oracle MultimediaのORDAudio、ORDDoc、ORDImageおよびORDVideoオブジェクト型は、次の機能を持つラッパー・メソッドを提供します。

  • ローカル・ソースまたは外部ソースとしてのデータ・ソースの設定

  • オブジェクトの最終更新時刻の変更

  • 外部ソースの種類、場所およびデータ名に関する情報の設定

  • データベース内部または外部へのデータの転送

  • ローカル・データのコンテンツ(長さ、位置、BLOBへの操作など)に関する情報の取得、一時BLOBへのコンテンツの挿入、または一時BLOB内のコンテンツの削除

  • ソース・データへのアクセス(オープン、読取り、書込み、トリミング、クローズなど)

1.7.2 マルチメディア・データの問合せ

データベース内に格納されたマルチメディア・データは、表の様々な英数字列またはオブジェクト属性を使用して目的のデータを含む行を検索することによって、問合せおよび検索することができます。たとえば、Training表からコース名が「Oracle Databaseの概要」であるビデオ・クリップを選択できます。

マルチメディア・データは、抽出したメタデータ、他のリレーショナル表の列、およびコンテンツに基づいて問合せできます。たとえば、オプションのスペシャライズ・インデックスを使用してコンテンツ・ベースのイメージ検索を行うことができます。

1.8 マルチメディア・データのロード

Oracle Databaseを使用すると、マルチメディア・データを最も効果的に管理できます。Oracle Databaseの信頼性、スケーラビリティ、可用性およびデータ管理能力を活用するには、マルチメディア・データをOracle Databaseにロードする必要があります。次の製品を使用して、マルチメディア・データをOracle Databaseにバルク・ロードできます。

SQL*Loaderを使用すると、データのロード操作を制御する制御ファイルを簡単に作成およびテストできるというメリットがあります。詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。

PL/SQLスクリプトを使用してデータをロードすると、縮小イメージの生成またはプロパティの抽出を実行するためのデータのロード時にメソッドをコールできるというメリットがあります。詳細は、『Oracle Database PL/SQLユーザーズ・ガイドおよびリファレンス』を参照してください。

1.9 マルチメディア・データへのアクセス

アプリケーションは、SQL、PL/SQL、OCIまたはJavaを使用して、オブジェクト・リレーショナルのORDAudio型、ORDVideo型、ORDImage型およびORDDoc型を介して、マルチメディア・データへのアクセスおよび操作を行います。

次の項では、アプリケーション、Oracleの開発ツールおよびサード・パーティの開発ツールでOracle Multimediaのオブジェクト型を使用して、データベースに格納されているマルチメディア・データにアクセスする方法について説明します。

1.9.1 Oracle Multimedia Java Classes

Oracle Multimedia Java Classesを使用すると、すべての層(クライアント、アプリケーション・サーバーまたはデータベース・サーバー)のJavaアプリケーションで、データベースに格納されたオーディオ、イメージおよびビデオ・データまたは異機種間メディア・データを操作および変更できます。Oracle Multimedia Java Classesは、Java Database Connectivity(JDBC)結果セットに従来のリレーショナル・データとOracle Multimediaのメディア・オブジェクトの両方を含めることができます。これによって、アプリケーションから、Oracle Multimediaの列に加えて他のリレーショナル・データを含む結果セットで簡単に検索および操作を行うことができるようになります。これらのクラスは、オブジェクト属性へのアクセスおよびオブジェクト・メソッドの起動も可能にします。

Oracle Multimedia Java Classesの詳細は、『Oracle Multimedia Java API Reference』および『Oracle Multimedia Servlets and JSP Java API Reference』を参照してください。

1.9.2 Oracle Databaseのコンテンツのストリーム

Oracle Databaseに格納されているオーディオおよびビデオ・コンテンツを、サード・パーティのストリーミング・サーバーをサポートするOracle Databaseのプラグインを使用して配信し、ブラウザでサポートされているストリーミング・プレーヤを使用するクライアントで再生することができます。

RealNetworksストリーミング・サーバー用のOracle Multimediaプラグイン

RealNetworksストリーミング・サーバー用のOracle Multimediaプラグインは、Oracle Databaseのメディア・データをメディア・プレーヤ・クライアントに直接配信できるデータ・ソース・プラグインです。このプラグインは、RealNetworksストリーミング・サーバーとともにインストールされ、ストリーミング・サーバーの管理ツールで構成および管理されます。プラグインはフォーマットに依存しません。Oracle Databaseには、ストリーミング・サーバーがサポートしているものであればどのフォーマットのデータでも置くことができます。

このプラグインの詳細は、RealNetworksストリーミング・サーバー用のOracle MultimediaプラグインのREADMEを参照してください。RealNetworksストリーミング・サーバー用のOracle Multimediaプラグインは、Oracle Technology Networkの次のWebサイトにある「Oracle Multimedia Resources」の「Software」セクションからダウンロードできます。

http://www.oracle.com/technology/products/multimedia/

RealNetworksストリーミング・サーバーの詳細は、次のURLでRealNetworks社のWebサイトを参照してください。

http://www.realnetworks.com/

Microsoft Windowsメディア・サービス用のOracle Multimediaプラグイン

Microsoft Windowsメディア・サービス用のOracle Multimediaプラグインを使用すると、Oracle Databaseのマルチメディア・コンテンツをクライアントに直接配信できます。このパッケージには、Windowsメディア・サービスの管理インタフェースからアクセスできるプラグイン・プロパティ・ページが含まれています。プラグイン・プロパティ・ページでは、Oracle Databaseのメディア・コンテンツにマップされているプラグインのマウント・ポイントを確認、定義および編集できます。プラグインのマウント・ポイントを使用して、Microsoft Windows Media PlayerクライアントがOracle Databaseに格納されているメディア・コンテンツをリクエストする際に使用するサーバーの公開ポイントのソースURLが設定されます。

このプラグインの詳細は、Microsoft Windowsメディア・サービス用のOracle MultimediaプラグインのREADMEを参照してください。Microsoft Windowsメディア・サービス用のOracle Multimediaプラグインは、Oracle Technology Networkの次のWebサイトにある「Oracle Multimedia Resources」の「Software」セクションからダウンロードできます。

http://www.oracle.com/technology/products/multimedia/

1.9.3 Webテクノロジのサポート

Oracle Multimediaを使用してWebテクノロジをサポートすると、マルチメディア・データをWebおよびJavaアプリケーションに簡単に統合できます。また、データベースで、リッチ・メディア・コンテンツを格納、検索および管理できます。

Oracle Multimedia Servlets and JSP Java API

Oracle Multimedia Servlets and JSP Java APIは、Oracle MultimediaのORDAudio、ORDDoc、ORDImageおよびORDVideoオブジェクト型を使用して、データベースに格納されているマルチメディア・データのアップロードおよび検索を簡略化します。Oracle Multimedia Servlets and JSP Java APIは、Oracle Multimedia Java APIを使用して、Oracle Multimediaオブジェクト型で格納されているデータにアクセスします。ただし、Oracle Multimedia Servlets and JSP Java APIは、BLOBを直接使用するデータのアップロードおよび検索を処理するためにも使用できます。

OrdHttpResponseHandlerクラスは、データベースからのマルチメディア・データの検索、およびJavaサーブレットからブラウザまたはその他のHTTPクライアントへのマルチメディア・データの配信を容易にします。OrdHttpJspResponseHandlerクラスは、JavaServer Pages(JSP)用の同じ機能を提供します。


注意:

JSPエンジンの仕様では、サーブレットのバイナリ出力ストリームへのアクセスをサポートすることは必須とはされていません。そのため、すべてのJSPエンジンがOrdHttpJspResponseHandlerクラスを使用したマルチメディア・データの配信をサポートしているとはかぎりません。 詳細は、『Oracle Multimedia Servlets and JSP Java API Reference』を参照してください。

HTMLフォームを使用した、フォーム・ベースのファイルのアップロードは、POST要求でmultipart/form-dataフォーマットを使用して、フォーム・データおよびアップロード・ファイルをエンコードします。OrdHttpUploadFormDataクラスは、POSTデータを解析し、通常のフォームのフィールドやアップロード・ファイルのコンテンツをJavaサーブレットまたはJSPにアクセス可能にすることによって、このような要求の処理を容易にします。OrdHttpUploadFileクラスは、オーディオ、イメージおよびビデオ・データまたは異機種間メディア・データをデータベースにロードするためにアプリケーションがコールする、使用しやすいApplication Program Interface(API)を提供し、アップロード・ファイルの処理を容易にします。

Oracle Multimedia Servlets and JSP Java APIの詳細は、『Oracle Multimedia Servlets and JSP Java API Reference』を参照してください。

Oracle Application Server Portalとの統合

Oracle Application Server Portalを使用すると、便利で魅力的な企業ポータルを作成できます。Oracle Application Server Portalフレームワークの主要な機能はポートレットです。ポートレットを使用すると、イメージ、オーディオ、ビデオなどのリッチ・コンテンツを含む様々なタイプのデータに簡単にアクセスできます。Oracle Application Server Portalは、開発者がOracleの表またはビューのデータを取得、操作および表示するオブジェクトを宣言的に作成するために使用できるコンポーネントを提供します。これらのOracle Application Server Portalコンポーネントを結合してWebアプリケーションを作成し、企業データベースに直接適用することができます。Oracle表に格納されたOracle Multimediaオブジェクトは、Oracle Application Server Portalコンポーネントで使用可能なデータ型になります。

FormsおよびReportsの2つのOracle Application Server Portalコンポーネントが事前定義されています。Oracle Application Server Portalでは、ウィザードを使用して、データベース表またはビューのデータを対話的に操作するためのフォームを簡単に作成できます。Formsコンポーネントを使用すると、ユーザーがデータを対話的に操作できる(データベースに格納された情報を追加、問合せ、更新および削除できる)魅力的なWebインタフェースを作成できます。Oracle Multimediaオブジェクトを含む表にフォームを作成することによって、データベースとポータル・フレームワーク間でリッチ・コンテンツをアップロードおよびダウンロードできます。

Oracle Application Server Portalは、Formsコンポーネントに加えてReportsコンポーネントも提供します。Reportsコンポーネントを使用すると、動的データを列形式のレポートとしてWebインタフェースに表示できます。表に格納されたリッチ・メディア・コンテンツをダウンロードして、ウィザードを使用して簡単にレポートを作成できます。

Oracle Application Server PortalおよびOracle Multimediaの使用の詳細は、Oracle Application Server JP Documentation Libraryにある『Oracle Application Server Portal開発者ガイド』を参照してください。

Oracle Application Development Framework Business Componentsとの統合

オラクル社では、開発者が様々なメディアを利用するWebアプリケーションを迅速に開発できるように、Java統合開発環境(IDE)であるOracle JDeveloperを提供しています。これによって、開発者の生産性が大幅に向上します。開発者は、Oracle JDeveloperを使用して、Oracle Multimediaで視覚的にも魅力的なアプリケーションを作成するコンポーネント・ベースのマルチ階層インターネット・アプリケーションをJavaで効率的に短期間で構築できます。JDeveloperに含まれるOracle Application Development Framework Business Components(ADF Business Components)は、共通の機能を管理するためのソフトウェア構築ブロック・セットを提供します。Oracle Multimedia/ADF Business Components統合パッケージには、メディア固有のドメイン・クラスおよび一連のユーティリティが含まれています。ドメイン・クラスは、Oracle Multimedia Java APIのクラスのラッパーで、基礎となるマルチメディアの検索、アップロードおよび操作のすべてのメソッドを継承しています。ドメイン・クラスはADF Business Components APIをサポートし、組込み済の統合マルチメディア機能を提供します。一方、ユーティリティ・クラスはマルチメディア・コンテンツの検索、レンダリングおよびアップロードをサポートします。開発者は、これらの両方のクラスを含む完全な機能を備えた統合アプリケーション開発環境で、様々なメディアを利用したアプリケーションを作成することができます。

詳細は、Oracle Technology Networkの次のWebサイトにある「Oracle Multimedia Resources」の「Training」をクリックして、「Oracle Multimedia/ADF Business Components Interactive Demonstration」を参照してください。

http://www.oracle.com/technology/products/multimedia/

1.9.4 JMF 2.0/2.1用のOracle Multimedia Custom DataSource and DataSinkクラス

Oracle Multimedia Custom DataSource and DataSinkのクラスは、Sun社が開発した現行のJava Media Framework(JMF)バージョン2.0および2.1の拡張機能です。このソフトウェアを使用すると、JMFアプリケーションから、Oracle MultimediaのORDAudioおよびORDVideoオブジェクトを使用してデータベースに格納された時間ベースのメディア・データをアップロードおよび検索できます。

これらのクラスの詳細は、Oracle Multimedia Custom DataSource and DataSink ClassesのREADMEを参照してください。これらのクラスは、Oracle Technology Networkの次のWebサイトにある「Oracle Multimedia Resources」の「Software」セクションからダウンロードできます。

http://www.oracle.com/technology/products/multimedia/

JMFの詳細は、次のURLでSun Microsystems社のWebサイトを参照してください。

http://java.sun.com/

1.9.5 Oracle MultimediaでのJava Advanced Imaging(JAI)のサポート

Oracle Multimedia Java APIは、Java Advanced Imaging(JAI)で使用可能なBLOBおよびBFILEデータへのインタフェースを提供する、3つの型のストリーム・オブジェクトを記述します。これらのJava Classesを使用すると、Oracle MultimediaのORDImageオブジェクトを使用してデータベースに格納されたイメージ・データ、またはBLOBかBFILEに格納されたイメージ・データをJAIアプリケーションで読取りおよび書込みできます。

JAIストリーム・オブジェクト用のJava Classesの詳細は、『Oracle Multimedia Java Classes API Reference』を参照してください。

JAIの詳細は、次のURLでSun Microsystems社のWebサイトを参照してください。

http://java.sun.com/

1.10 Oracle Multimediaのアーキテクチャ

Oracle Multimediaは、イメージ、オーディオおよびビデオ・データを格納、管理および検索し、マルチメディア・データ用のWebテクノロジをサポートすることによって、データベースを拡張する単体の統合機能です。

Oracle Multimediaアーキテクチャは、従来のデータに加え、様々なメディアを利用するコンテンツをサポートするフレームワーク(図1-1を参照)を定義します。これによって、コンテンツおよびデータは、一般的な言語およびツールで記述された複数のアプリケーション間で安全に共有されます。また、リレーショナル・データベース管理および管理テクノロジによって簡単に管理され、数千のユーザーをサポートできる拡張可能データベースで利用されます。

図1-1に、データベース層(Oracle Database)、アプリケーション・サーバー層(Oracle Application Server)およびクライアント層(ThinおよびThickクライアント)の3層の観点から、Oracle Multimediaアーキテクチャを示します。

第1層では、Oracle DatabaseがOracle Multimediaを使用して、従来のデータに加えてリッチ・コンテンツを表に保持しています。データベースに埋め込まれたJVMを使用して、イメージ・プロセッサおよびサーバー側のメディア・パーサーがサポートされます。メディア・パーサーは、オブジェクト指向のリレーショナル・インタフェースを備え、フォーマットやアプリケーション・メタデータの解析をサポートします。また、追加のフォーマットをサポートするようにメディア・パーサーを拡張できます。イメージ・プロセッサにはJAIが含まれ、縮小サイズ・イメージの生成、イメージ・フォーマットの変換、イメージの索引付けとマッチングなどの操作のためのイメージ処理を行います。

Oracle Multimediaのメソッドを使用すると、データベースとオペレーティング・システム・ファイル(外部に保存されたファイル)間でインポート操作およびエクスポート操作を行うことができます。また、Oracle Multimediaはデータベースからのコンテンツの配信など、サーバーの特殊な配信タイプをサポートします。RealNetworks用またはWindows Media Services用のOracle Multimediaプラグインを使用すると、Helix Universal ServerまたはWindows Mediaストリーミング・サーバーから、Real-Time Streaming Protocol(RTSP)を使用してデータベースのマルチメディア・データをクライアントに直接配信できます。また、サード・パーティのメディア・プロセッサ(音声認識エンジンなど)をデータベースの外部で実行し、データベースに格納されたメディアを処理し、結果をデータベースに返すこともできます。

第2層(中間層)では、Oracle Application Serverが、Oracle Multimedia Java Classesを使用したOracle Multimediaへのアクセスを提供しています。これによって、すべての層(クライアント、アプリケーション・サーバーまたはデータベース)のJavaアプリケーションから、データベースに格納されたオーディオ、イメージおよびビデオ・データに対してアクセス、操作および変更を行うことができます。

また、Oracle Multimedia Servlets and JSP Java APIは、Oracle MultimediaのORDAudio、ORDDoc、ORDImageおよびORDVideoオブジェクト型を使用して、データベースに格納されているマルチメディア・データのアップロードおよび検索を簡略化します。Oracle Multimedia Servlets and JSP Java APIは、Oracle Multimediaオブジェクトに格納されたデータ、またはBLOBかBFILEに直接格納されたデータにアクセスできます。

開発者は、Oracle JDeveloperとOracle MultimediaでOracle Multimedia/ADF Business Components統合パッケージを使用して、様々なメディアを利用するJavaアプリケーションを迅速かつ効率的に構築できます。様々なメディアを利用するOracle Multimediaのコンテンツは、簡単かつ透過的にポートレットとして公開可能なOracleのポータル・フォームおよびレポートに組み込めます。

データベースに精通したSQL開発者は、Oracle DatabaseのPL/SQL開発環境を使用して、Oracle Application Serverのみを使用するWebアプリケーションを開発できます。この開発には、Oracle HTTP ServerとPL/SQL Web ToolkitのPL/SQL Gateway(mod_plsql)を使用します。Webアプリケーション開発者は、Oracle Net接続およびOCIを介してデータベースに格納されたPL/SQLプロシージャを起動するPL/SQLサーブレットおよびPL/SQL Server Pages(PSP)を記述できます。

第3層(クライアント層)では、Oracle Multimedia Java Classes、JAIおよびJMFによってローカルな処理を実行できます。JAIおよびJMFがクライアント側でのメディア処理に必要な一連のAPIを提供し、Oracle Multimedia Java Classesがクライアントからあらゆるタイプのメディアへの直接アクセスを可能にします。

図1-1 Oracle Multimediaのアーキテクチャ

図1-1の説明
「図1-1 Oracle Multimediaのアーキテクチャ」の説明

Oracle Technology Network(OTN)でのみ入手可能なOracle Multimedia機能を次に示します。

1.11 Oracle Multimediaの拡張

Oracle Multimediaを拡張し、次の機能をサポートできます。

Oracle Multimediaの拡張の詳細は、第7章を参照してください。