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Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド
11g リリース1(11.1)

E05700-03
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24 トランスポータブル表領域セットの作成

この章では、Recovery Managerを使用し、バックアップをリストアしてトランスポータブル表領域セットを作成する方法について説明します。ここでは、『Oracle Database管理者ガイド』で説明するトランスポータブル表領域での手順に習熟していることを前提としています。この章で説明する手順は、トランスポータブル表領域セットの生成に使用する代替方法です。

この章では、次の項目について説明します。

トランスポータブル表領域セットの作成の概要

この項では、Recovery Managerのバックアップからトランスポータブル表領域セットを作成する場合の基本的な概念およびタスクについて説明します。

トランスポータブル表領域セットの作成の目的

トランスポータブル表領域セットには、表領域セットのデータファイル、および表領域セットの構造メタデータを含むエクスポート・ファイルが含まれています。エクスポート・ファイルは、データ・ポンプ・エクスポートによって生成されます。

トランスポータブル表領域セットを使用する例としては、表領域リポジトリの作成があげられます。たとえば、四半期レポートに使用する複数の表領域を含むデータベースがある場合、これらの表領域のトランスポータブル・セットを表領域リポジトリのストレージに作成できます。その後、表領域のバージョンをリポジトリから要求して別のデータベースに組み込み、レポートの生成に使用することができます。

トランスポータブル表領域を使用するもう1つの例としては、Oracle Streams環境での使用があげられます。Oracle Streamsを使用して、転送先データベースとソース・データベースを継続して同期化するための準備をする場合には、Oracle Streamsのインスタンス化を実行する必要があります。Oracle Streamsを実際に使用して後続の更新をソース・データベースから転送先データベースに移動する前に、2つのデータベースが同期化されたことがわかっている時点のSCNまで転送先データベースを戻す必要があります。バックアップからのトランスポータブル表領域セットは、Oracle Streamsのインスタンス化の一部として作成できます。

Recovery ManagerのTRANSPORT TABLESPACEコマンドの主なメリットは、転送する表領域のアクティブなデータファイルにアクセスする必要がないことです。これに対して、『Oracle Database管理者ガイド』で説明されているトランスポータブル表領域の方法では、転送時に、転送する表領域を読取り専用でオープンする必要があります。したがって、バックアップから転送すると、転送中、転送する表領域を書込み用にオープンしたままにできるため、特に大規模な表領域の場合にデータベースの可用性が向上します。また、現行のデータベース・アクティビティによっては、表領域を読取り専用モードにする操作に時間が長くかかる場合もあります。

Recovery ManagerのTRANSPORT TABLESPACEコマンドを使用すると、リカバリ期間内に目標時点、SCNまたはリストア・ポイントを指定し、表領域データを指定した時点の状態で転送することもできます(「指定した時点またはSCNでのトランスポータブル表領域セットの作成」を参照)。たとえば、バックアップの保存方針で1週間のリカバリ期間を保証しており、月の最終日のデータベースの内容に基づいてトランスポータブル表領域を作成する場合、Recovery Managerは、翌月の第1週目の任意の時点にそのタスクを実行できます。


参照:

  • TRANSPORT TABLESPACEコマンドの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』を参照してください。

  • Recovery Managerおよび表領域リポジトリの詳細は、『Oracle Streamsレプリケーション管理者ガイド』を参照してください。

  • Recovery ManagerおよびOracle Streamsのインスタンス化の詳細は、『Oracle Streamsレプリケーション管理者ガイド』を参照してください。

 

トランスポータブル表領域セットの基本的な概念

Recovery Managerをソース・データベースにTARGETとして接続してから、TRANSPORT TABLESPACEコマンドを実行して、トランスポータブル表領域セットを作成します。ソース・データベースには、転送される表領域が含まれています。

Recovery Managerでは、TRANSPORT TABLESPACE操作の目標時点までリカバリ可能な、必要となるすべての表領域のバックアップおよびアーカイブREDOログ・ファイルが使用可能になっている必要があります。図24-1に、トランスポータブル表領域の基本プロセスを示します。

図24-1    バックアップからのRecovery Managerトランスポータブル表領域: アーキテクチャ


画像の説明

図24-1に示されているプロセスは、次のフェーズで実行されます。

  1. Recovery Managerによって、補助インスタンスが起動されます。

    Recovery Managerによって、表領域のリストアおよびリカバリを実行するために、ソース・データベースと同じホスト上に補助インスタンスが作成されます。また、補助インスタンスの初期化パラメータ・ファイルが自動的に作成され、インスタンスがNOMOUNTモードで起動されます。

  2. Recovery Managerによって、補助インスタンスの制御ファイルとして機能するソース・データベースの制御ファイルのバックアップがリストアされ、その制御ファイルがマウントされます。

  3. Recovery Managerによって、ソース・データベースのバックアップから、補助セットおよびトランスポータブル・セットのデータファイルがリストアされます。

    補助セットには、表領域の転送に必要なデータファイルおよびその他のファイルが含まれていますが、それらのファイル自体はトランスポータブル表領域セットの一部ではありません。通常、補助セットには、SYSTEM表領域、SYSAUX表領域、一時ファイル、およびロールバック・セグメントまたはUNDOセグメントを含むデータファイルが含まれています。補助インスタンスには、それ自体の制御ファイル、パラメータ・ファイル、オンライン・ログなどの他のファイルが関連付けられますが、これらのファイルは補助セットの一部ではありません。

    Recovery Managerによって、選択した補助の格納場所に補助データファイルが格納されます。補助の格納場所は、転送実行中に、補助インスタンスのパラメータ・ファイル、データファイル(トランスポータブル・セットのデータファイル以外)、制御ファイル、オンライン・ログなどの補助セット・ファイルをRecovery Managerによって格納できるディスク上の場所です。転送が正常に実行されると、これらのファイルはRecovery Managerによって削除されます。

    Recovery Managerによって、表領域の格納場所にトランスポータブル・セット・ファイルが格納されます。表領域の格納場所は、表領域の転送コマンドの完了時に、デフォルトでデータファイルのコピーおよび他の出力が格納されるディスク上の場所です。

  4. Recovery Managerは、補助インスタンスでデータベースのPoint-in-Timeリカバリを実行します。

    このリカバリによって、補助セットおよびトランスポータブル・セットのデータファイルの内容が、TRANSPORT DATABASEコマンドに対して指定された目標時点の状態に更新されます。目標時点が指定されていない場合、Recovery Managerでは、すべての使用可能なREDOログを使用してリカバリが行われます。必要に応じて、バックアップからアーカイブREDOログが補助の格納場所(またはその他の場所)にリストアされ、適用後に削除されます。

  5. Recovery Managerによって、補助データベースがRESETLOGSオプションを使用してオープンされます。

    これにより、データファイルに、表領域の転送操作の目的のSCN時点の表領域内容が反映されます。

  6. Recovery Managerによって、補助インスタンスのトランスポータブル・セットの表領域が読取り専用モードに設定されます。また、データ・ポンプ・エクスポートがトランスポータブル表領域モードで起動され、トランスポータブル・セットのエクスポート・ダンプ・ファイルが作成されます。

    デフォルトでは、ダンプ・ファイルは表領域の格納場所に格納されます。ダンプ・ファイルの場所を指定するには、「データ・ポンプ・ファイルの場所の指定」を参照してください。

    また、Recovery Managerによって、転送した表領域をターゲット・データベースに組み込む場合に使用するサンプル・データ・ポンプ・インポート・スクリプトも生成されます。このスクリプトの内容は、表領域の格納場所のimpscript.sqlという名前のファイルに書き込まれます。このスクリプト用のコマンドも、Recovery Managerのコマンド出力に含まれます。

  7. 前述の手順が正常に実行されると、Recovery Managerによって、補助インスタンスが停止され、TRANSPORT TABLESPACEの実行中に作成されたすべてのファイル(トランスポータブル・セット・ファイル、データ・ポンプ・エクスポート・ファイルおよびサンプル・インポート・スクリプトを除く)が削除されます。

トランスポータブル表領域セットの作成の基本手順

トランスポータブル表領域セットを作成する前に、多くの前提条件を満たす必要があります。これらの前提条件については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』のTRANSPORT TABLESPACEエントリを参照してください。

基本手順は次のとおりです。

  1. Recovery Managerクライアントを起動し、ソース・データベースおよびリカバリ・カタログ(使用する場合)に接続します。

  2. 必要に応じて、補助インスタンスのパラメータ・ファイルで追加のパラメータを設定します。

    このタスクについては、「補助インスタンスの初期化パラメータのカスタマイズ」を参照してください。

  3. TRANSPORT TABLESPACEコマンドを実行します。

    この方法については、「トランスポータブル表領域セットの作成」を参照してください。この方法については、「トランスポータブル表領域セットの使用例」を参照してください。

  4. TRANSPORT TABLESPACEコマンドが失敗した場合は、問題のトラブルシューティングを行い、コマンドが正常に実行されるまで再試行します。

    この方法については、「トランスポータブル表領域セットの作成のトラブルシューティング」を参照してください。

  5. 表領域の転送手順(『Oracle Database管理者ガイド』を参照)に戻ります。

補助インスタンスの初期化パラメータのカスタマイズ

Recovery Managerは、補助インスタンスの作成時に、初期化パラメータ・ファイルを作成します。デフォルト値は、ほぼすべてのTRANSPORT TABLESPACEの例(特にTRANSPORT TABLESPACEAUXILIARY DESTINATIONを指定する場合)で正常に動作します。

また、Recovery Managerは、追加の初期化パラメータの値を含む補助インスタンスのパラメータ・ファイルも使用できます。これらの値によって、デフォルトの初期化パラメータ・ファイルで定義されているパラメータの値が上書きされます。次の理由から、補助インスタンスのパラメータ・ファイルを使用する場合があります。

補助インスタンスのパラメータ・ファイルは、補助インスタンスの完全な初期化パラメータ・ファイルとはみなされません。指定したパラメータは、補助インスタンスのデフォルト・パラメータに追加されるか、これらのパラメータを上書きします。上書きしない初期化ファイルに、パラメータを指定する必要はありません。

補助インスタンスの初期化パラメータの設定

Recovery Managerは、自動補助インスタンスに対して表24-1の基本初期化パラメータを定義します。

表24-1    デフォルトの初期化パラメータ 
初期化パラメータ   

DB_NAME  

ソース・データベースのDB_NAMEと同じです。 

COMPATIBLE 

ソース・データベースの互換性設定と同じです。 

DB_UNIQUE_NAME 

DB_NAMEの値に基づいて生成された一意の値。 

DB_BLOCK_SIZE 

ソース・データベースのDB_BLOCK_SIZEと同じです。 

DB_FILES 

ソース・データベースのDB_FILESと同じです。 

SHARED_POOL_SIZE 

110MB。データ・ポンプ・エクスポートで必要な最小領域サイズ。

共有プールのデフォルトのサイズが、データ・ポンプ・エクスポートの正常な実行に十分でない場合は、より大きい値を指定します。

参照: SHARED_POOL_SIZE初期化パラメータの使用方法の詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。 

LARGE_POOL_SIZE 

1MB 

DB_CREATE_FILE_DEST 

補助の格納場所(TRANSPORT TABLESPACEAUXILIARY DESTINATION引数が設定されている場合のみ)。Recovery Managerは、Oracle管理の制御ファイルおよびオンライン・ログをこの場所に作成します。 

CONTROL_FILES 

補助の格納場所で生成されたファイル名(TRANSPORT TABLESPACEAUXILIARY DESTINATION引数が設定されている場合のみ)。Recovery Managerは、制御ファイルをこの場所に作成します。

デフォルトでは、Recovery Managerは、補助インスタンスに対して1つの制御ファイルをオペレーティング・システム固有の場所に作成します。LinuxおよびUNIXの場合、デフォルトの場所は?/dbs/cntrl_@.dbfになります。ここで、?ORACLE_HOME@ORACLE_SIDを表します。自動補助インスタンスの場合、ORACLE_SIDはRecovery Managerによってランダムに生成されます。

参照: CONTROL_FILES初期化パラメータの使用方法の詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。 

表24-1に示されている、補助インスタンスのパラメータ・ファイル内の基本の初期化パラメータを不適切な値で上書きすると、TRANSPORT TABLESPACEが失敗する場合があります。問題が発生する場合は、初期化パラメータをデフォルト値に戻してください。

参照:

ファイルの名前を指定するためにDB_FILE_NAME_CONVERTおよびLOG_FILE_NAME_CONVERTを使用する方法については、「初期化パラメータを使用した補助ファイル名の指定」を参照してください。 

補助インスタンスのパラメータ・ファイルの場所の設定

デフォルトでは、Recovery Managerは、Recovery Managerクライアントが実行されているホスト上のオペレーティング・システム依存の場所で、補助の初期化パラメータ・ファイルを検索します。この場所は、補助インスタンスが実行されているホストではない可能性があることに注意してください。UNIXの場合、この場所は?/rdbms/admin/params_auxint.oraです。ここで、クエスチョン・マーク(?)は、Recovery Managerが実行されるホスト上のORACLE_HOMEを表します。デフォルトの場所でファイルが検出されない場合でも、Recovery Managerはエラーを生成しません。

補助インスタンスのデフォルトの初期化パラメータを使用する場合は、TRANSPORT TABLESPACEを実行する前に、補助インスタンスのパラメータ・ファイルが存在するかどうかを確認してください。

Recovery ManagerでTRANSPORT TABLESPACEの前にRUNブロック内のSET AUXILIARY INSTANCE PARAMETER FILEコマンドを使用すると、補助インスタンスのパラメータ・ファイルに別の場所を指定することができます。補助インスタンスのパラメータ・ファイルのデフォルトの場所と同様に、SET AUXILIARY INSTANCE PARAMETER FILEを使用して指定したパスは、クライアント側のパスです。

Recovery Managerクライアントが実行されているホスト上に、/tmp/auxinstparams.oraというファイルを作成するとします。このファイルには、次の初期化パラメータが含まれています。

SHARED_POOL_SIZE=150M;

例24-1に示すように、TRANSPORT TABLESPACEを指定して初期化パラメータ・ファイルを使用できます。Recovery Managerが補助インスタンスを作成する際に、/tmp/auxinstparams.oraSHARED_POOL_SIZEパラメータによって、SHARED_POOL_SIZEで使用されるデフォルト値が上書きされます。

例24-1    補助インスタンスのパラメータ・ファイルの指定

RUN
{
  SET AUXILIARY INSTANCE PARAMETER FILE TO '/tmp/auxinstparams.ora';
  TRANSPORT TABLESPACE tbs_2 
    TABLESPACE DESTINATION '/disk1/transportdest' 
    AUXILIARY DESTINATION '/disk1/auxdest';
}

トランスポータブル表領域セットの作成

この項では、最大限に自動化された最も基本的な場合のTRANSPORT TABLESPACEの使用について説明します。基本例を少し変更した例については、「トランスポータブル表領域セットの使用例」を参照してください。

『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』のTRANSPORT TABLESPACEエントリに関する項で説明されている前提条件を満たしていると想定しています。また、『Oracle Database管理者ガイド』で説明されている前提条件も満たしていると想定しています。

トランスポータブル表領域セットを作成する手順
  1. Recovery Managerクライアントを起動し、ソース・データベースおよびリカバリ・カタログ・データベース(使用している場合)に接続します。

  2. Recovery Managerで、TRANSPORT TABLESPACEコマンドを実行します。

    最も基本的な場合では、AUXILIARY DESTINATION句を指定します。これはオプションですが、指定することをお薦めします。Recovery Managerは、ほとんどの場合で機能するデフォルト値を使用します。補助の格納場所を指定しない場合は、補助インスタンスのすべてのファイルに対して場所が指定されていることを確認します。補助ファイルに名前を指定する方法については、「補助ファイルの場所の指定」で説明されている規則を参照してください。

    例24-2では、表領域tbs_2およびtbs_3を含むトランスポータブル表領域セットを作成します。

    例24-2    トランスポータブル表領域セットの作成

    TRANSPORT TABLESPACE tbs_2, tbs_3
       TABLESPACE DESTINATION '/disk1/transportdest'
       AUXILIARY DESTINATION '/disk1/auxdest';
    
    

    コマンドが正常に実行されると、結果は次のようになります。

    • トランスポータブル・セットのデータファイルが、元の名前で/disk1/transportdestという場所に格納されます。TRANSPORT TABLESPACEでは、トランスポータブル表領域セットのデータファイルは、転送先データベースのエンディアン形式に自動的には変換されません。必要に応じて、トランスポータブル・セットを作成した後にRecovery ManagerのCONVERTコマンドを使用して、データファイルを転送先データベースのエンディアン形式に変換します。

    • トランスポータブル・セットのデータ・ポンプ・エクスポート・ダンプ・ファイルの名前はdmpfile.dmp、エクスポート・ログの名前はexplog.log、サンプル・インポート・スクリプトの名前はimpscrpt.sqlになります。

      すべてのファイルは、/disk1/transportdest内に作成されます。表領域の格納場所にエクスポート・ダンプ・ファイルの名前と同じ名前のファイルがすでに存在する場合は、TRANSPORT TABLESPACEでデータ・ポンプ・エクスポートをコールすると失敗します。前のTRANSPORT TABLESPACE操作を繰り返す場合には、以前の出力ファイル(エクスポート・ダンプ・ファイルを含む)を削除してください。

    • 補助セット・ファイルが/disk1/auxdestから削除されます。

  3. 必要に応じて、サンプル・インポート・スクリプトを編集します。

    サンプル・インポート・スクリプトでは、表領域を転送先データベースにインポートするために使用するファイルは、TRANSPORT TABLESPACEで作成された場所と同じ場所に格納されていると想定されます。組込み前にファイルがディスク内の新しい場所に移動している場合、スクリプトを使用して転送した表領域を組み込む前に、ファイルの新しい場所を使用してサンプル・スクリプトを更新する必要があります。

  4. 表領域の転送手順(『Oracle Database管理者ガイド』を参照)に戻ります。

トランスポータブル表領域セットの作成のトラブルシューティング

Recovery ManagerのTRANSPORT TABLESPACEコマンドが失敗すると、トラブルシューティングのために、失敗した補助インスタンスのファイルがその補助インスタンスの転送先にそのまま残ります。

共有プールのサイズに関連するエラーが表示された場合は、補助インスタンスのパラメータ・ファイルを作成し、STREAMS_POOL_SIZEおよびSHARED_POOL_SIZEに大きい値を指定します。この方法については、「補助インスタンスの初期化パラメータの設定」を参照してください。

SET NEWNAMECONFIGURE AUXNAMEおよびDB_FILE_NAME_CONVERTを使用したため、補助セット内またはトランスポータブル表領域セット内の複数のファイルに同じ名前が付けられた場合は、TRANSPORT TABLESPACEコマンドの実行中にエラーがレポートされます。この問題を解決するには、これらのパラメータに異なる値を使用して、重複するファイル名が作成されないようにします。ネーミング方法については、「補助ファイルの場所の指定」を参照してください。

トランスポータブル表領域セットの使用例

この項の内容は、次のとおりです。

指定した時点またはSCNでのトランスポータブル表領域セットの作成

TRANSPORT TABLESPACEコマンドを使用すると、目標時点またはSCNを指定できます。表領域の転送操作中、Recovery Managerは、目標時点より前のバックアップを使用して補助インスタンスで表領域をリストアし、補助データベースでPoint-in-Timeリカバリを実行して指定の目標時点にリカバリします。このPoint-in-Timeリカバリに必要なバックアップおよびアーカイブREDOログが使用可能である必要があります。

例24-3に示すように、(現行のインカネーションまたはその祖先内の)SCNを使用して目標時点を指定できます。

例24-3    終了SCNの指定

TRANSPORT TABLESPACE tbs_2 
   TABLESPACE DESTINATION '/disk1/transportdest' 
   AUXILIARY DESTINATION '/disk1/auxdest'
   UNTIL SCN 11379;

例24-4に示すように、リストア・ポイントを指定することもできます。

例24-4    終了リストア・ポイントの指定

TRANSPORT TABLESPACE tbs_2 
   TABLESPACE DESTINATION '/disk1/transportdest' 
   AUXILIARY DESTINATION '/disk1/auxdest'
   UNTIL RESTORE POINT 'before_upgrade';

例24-5に示すように、終了時刻を指定することもできます。

例24-5    終了時刻の指定

TRANSPORT TABLESPACE tbs_2 
   TABLESPACE DESTINATION '/disk1/transportdest' 
   AUXILIARY DESTINATION '/disk1/auxdest'
   UNTIL TIME 'SYSDATE-1';

データ・ポンプ・ファイルの場所の指定

トランスポータブル・セットのデータ・ポンプ・エクスポート・ダンプ・ファイル、ターゲット・データベースで使用するサンプル・インポート・スクリプト、データ・ポンプ・エクスポートで生成されるログ・ファイル、およびこれらのファイルの書込み先となるディレクトリの名前は変更できます。

デフォルトでは、これらのファイルは、表領域の格納場所に格納され、次のような名前になります。

DATAPUMP DIRECTORY句を使用してデータベース・ディレクトリ・オブジェクトの名前で渡すことによって、ダンプ・ファイルとエクスポート・ログ・ファイルを異なるディレクトリに格納できます。DATAPUMP DIRECTORYで使用するデータベース・ディレクトリ・オブジェクトは、実際のファイル・システム・ディレクトリのディレクトリ・パスではないことに注意してください。渡される値は、データ・ポンプ・エクスポートのDIRECTORYコマンドライン引数に対応しています。データ・ポンプ・エクスポートでのディレクトリ・オブジェクトの使用方法の詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。

これらのファイルの名前は、TRANSPORT TABLESPACEDUMP FILEEXPORT LOG、およびIMPORT SCRIPT句を使用して変更できます。ファイル名には、ディレクトリ名を使用した完全なファイル・パスを含めることができません。DUMP FILEまたはEXPORT LOGというファイル名によってファイル・パスを指定した場合、TRANSPORT TABLESPACEでエクスポート・ダンプ・ファイルを生成しようとすると失敗します。DATAPUMP DIRECTORY句を使用して、データ・ポンプ・エクスポートの出力場所を識別するデータベース・ディレクトリ・オブジェクトを指定します。

次の例では、DATAPUMP DIRECTORYDUMP FILEEXPORT LOGおよびIMPORT SCRIPTというファイル名を指定したTRANSPORT TABLESPACEを使用します。次のように入力して、データ・ポンプ・エクスポートで使用するためにデータベース・ディレクトリ・オブジェクトを作成するとします。

CREATE OR REPLACE DIRECTORY mypumpdir as '/datapumpdest';

例24-6に、ファイルの出力場所を指定するオプションの引数を使用したTRANSPORT TABLESPACEコマンドを示します。

例24-6    ファイルの出力場所の指定

TRANSPORT TABLESPACE tbs_2
   TABLESPACE DESTINATION '/transportdest'
   AUXILIARY DESTINATION '/auxdest'
   DATAPUMP DIRECTORY  mypumpdir
   DUMP FILE 'mydumpfile.dmp'
   IMPORT SCRIPT 'myimportscript.sql'
   EXPORT LOG 'myexportlog.log';
   

正常に実行されると、Recovery Managerは、補助の格納場所をクリーンアップし、DATAPUMP DIRECTORY/datapumpdest/mydumpfile.dmpおよび/datapumpdest/myexportlog.log)によって参照されるディレクトリにデータ・ポンプ・エクスポート・ダンプ・ファイルおよびエクスポート・ログを作成し、トランスポータブル・セットのデータファイルを/transportdestに格納します。

補助ファイルの場所の指定

いくつかの規則が、転送実行中に作成される補助インスタンス・ファイルの場所に影響します。最も簡単な方法としては、AUXILIARY DESTINATIONを使用して、Recovery Managerで自動的にすべてのファイルの場所を管理する方法があげられます。補助インスタンスの一部またはすべてのファイルを再配置するために、ファイルの場所を指定する次のオプションを優先順位の高い順に示します。

  1. SET NEWNAME

    「補助データファイルに対するSET NEWNAMEの使用」の説明に従ってこのコマンドを使用して、データファイルの名前を指定することができます。

  2. CONFIGURE AUXNAME

    「補助データファイルに対するCONFIGURE AUXNAMEの使用」の説明に従ってこのコマンドを使用して、データファイルの名前を指定することができます。

  3. AUXILIARY DESTINATION

    「AUXILIARY DESTINATIONを使用した補助ファイルの場所の指定」の説明に従ってこのコマンドを使用して、補助ファイルの場所を指定することができます。

  4. LOG_FILE_NAME_CONVERTおよびDB_FILE_NAME_CONVERT(初期化パラメータ・ファイル内)

    「初期化パラメータを使用した補助ファイル名の指定」の説明に従ってこのコマンドを使用して、補助ファイルの場所を指定することができます。

複数の規則を使用する場合は、ファイルに適用されるリスト内の最初の規則によってファイル名が決定されます。

補助データファイルに対するSET NEWNAMEの使用

RUNブロック内でSET NEWNAMEコマンドを使用すると、TRANSPORT TABLESPACEで使用するファイル名を指定できます。例24-7に示すSET NEWNAMEコマンドを使用すると、これらの補助インスタンスのデータファイルは/disk1/auxdestではなく、指定した場所にリストアされます。

例24-7    SET NEWNAMEを使用した補助データファイル名の指定

RUN
{
  SET NEWNAME FOR DATAFILE '/oracle/dbs/tbs_12.f' 
    TO '/bigdrive/auxdest/tbs_12.f';
  SET NEWNAME FOR DATAFILE '/oracle/dbs/tbs_11.f'
    TO '/bigdrive/auxdest/tbs_11.f';
  TRANSPORT TABLESPACE tbs_2 
    TABLESPACE DESTINATION '/disk1/transportdest' 
    AUXILIARY DESTINATION '/disk1/auxdest';
}

SET NEWNAMEは、1回のみの操作に最適です。特定の表領域セット用に、定期的にバックアップからトランスポータブル表領域を作成する予定がある場合、補助インスタンスのデータファイルの場所に永続的な設定を行うために、SET NEWNAMEのかわりにCONFIGURE AUXNAMEを使用することを検討してください。

補助データファイルに対するCONFIGURE AUXNAMEの使用

CONFIGURE AUXNAMEコマンドを使用して、トランスポータブル表領域セットまたは補助セットのデータファイル用の永続的な場所を指定できます。Recovery Managerは、リカバリの前に、CONFIGURE AUXNAMEコマンドが使用されている各データファイルを指定された場所にリストアします。Recovery Managerは、操作が失敗しないかぎり、操作の完了時に補助セットのデータファイルを削除します。

CONFIGURE AUXNAMETRANSPORT ... AUXILIARY DESTINATIONの間の関係を表す例を示します。表領域tbs_11を転送するとします。表領域tbs_12は、補助セットの一部であり、データファイルtbs_12.fを含んでいます。次の手順を実行します。

  1. CONFIGURE AUXNAME文を使用して、補助セットのデータファイル/oracle/dbs/tbs_12.fに対してデフォルト以外の永続的な場所を設定します。

    たとえば、次のコマンドを入力します。

    CONFIGURE AUXNAME FOR '/oracle/dbs/tbs_12.f' 
                       TO '/disk1/auxdest/tbs_12.f'; 
    
    
  2. AUXILIARY DESTINATIONパラメータを指定してTRANSPORT TABLESPACEコマンドを実行します。

    たとえば、次のコマンドを入力します。

    TRANSPORT TABLESPACE tbs_11
      AUXILIARY DESTINATION '/myauxdest';
    
    

前述の例で、Recovery Managerは、データファイル/oracle/dbs/tbs_12.fの補助セットのコピーを、AUXILIARY DESTINATIONで指定された場所ではなく/disk1/auxdest/tbs_12.fに格納します。CONFIGURE AUXNAME設定の優先順位が、AUXILIARY DESTINATIONの優先順位より高いためです。


注意:

『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』で説明するように、SHOW AUXNAMEコマンドを実行して、現行のCONFIGURE AUXNAME設定を表示できます。 


AUXILIARY DESTINATIONを使用した補助ファイルの場所の指定

AUXILIARY DESTINATION引数をTRANSPORT TABLESPACEとともに使用する場合、SET NEWNAMEまたはCONFIGURE AUXNAMEコマンドを使用して別の場所に移動されていない補助セット・ファイルは、TRANSPORT TABLESPACE操作の間に補助の格納場所に格納されます。

AUXILIARY DESTINATIONを使用しない場合は、LOG_FILE_NAME_CONVERTを使用して、補助インスタンスのオンラインREDOログ・ファイルの場所を指定する必要があります。SET NEWNAMEまたはCONFIGURE AUXNAMEのいずれを使用しても、補助インスタンスのオンラインREDOログの場所に影響を与えることはできません。このため、AUXILIARY DESTINATIONまたはLOG_FILE_NAME_CONVERTを使用しない場合、Recovery ManagerにはオンラインREDOログを作成する場所に関する情報がありません。

初期化パラメータを使用した補助ファイル名の指定

補助インスタンスのパラメータ・ファイルでLOG_FILE_NAME_CONVERTおよびDB_FILE_NAME_CONVERT初期化パラメータを使用すると、補助インスタンスのオンラインREDOログおよびその他のデータベース・ファイルの名前を指定できます。TRANSPORT TABLESPACEコマンドにAUXILIARY DESTINATION句を指定しない場合は、これらのパラメータによって、CONFIGURE AUXNAMEまたはSET NEWNAMEコマンドが実行されなかったすべてのファイルの場所が決定されます。

元のファイルがOracle Managed Files(OMF)ファイルに格納される場合、LOG_FILE_NAME_CONVERTまたはDB_FILE_NAME_CONVERTを使用して、補助インスタンスのファイルに新しいOMFファイル名を生成することはできません。データベースによって、各OMF転送先で一意のファイル名が生成されるように管理されます。

AUXILIARY DESTINATION句を使用して、オンラインREDOログ・ファイルの場所を制御する必要があります。AUXILIARY DESTINATION句、SET NEWNAMEコマンド、CONFIGURE AUXNAMEコマンドまたはDB_CREATE_FILE_DEST初期化パラメータを使用して、OMFデータファイルの場所を指定する必要があります。

参照:

LOG_FILE_NAME_CONVERTおよびDB_FILE_NAME_CONVERT初期化パラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。 


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