Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイド 11gリリース1(11.1) for Microsoft Windows and UNIX Systems E05707-05 |
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この章は、Oracleソフトウェアをインストールする開発者、管理者およびその他すべてのユーザーが、Oracle Universal Installerのシステム要件、機能および主要な概念を理解できるようにすることを目的としています。
この章の内容は次のとおりです。
Oracle Universal Installerの最小システム要件は次のとおりです。
Java Runtime Environment(JRE): ほとんどのプラットフォームでOracle Universal Installerとともに自動的にインストールされます。インストールする製品のリリース・ノートまたはインストレーション・ガイドで、必要なバージョンを確認してください。
メモリー要件: メモリー要件は、インストールされるコンポーネント数によって異なります。詳細は、インストールする製品のリリース・ノートとインストレーション・ガイドを確認してください。すべてのプラットフォームで32MB以上が推奨されます。
ディスク領域要件: WindowsプラットフォームではOracle Universal Installerファイル用に60MB以上、UNIXでは70MB以上が推奨されます。(UNIXでは、プラットフォームごとにJREのサイズが異なるため、より多くのメモリーが必要です。)関連インベントリ・ファイル用に最大1MB必要になる場合があります。
NFSにマウントされたユーザー・ホームからOracle Universal Installerを実行する場合(特にLinux)、quotaコマンドを実行して空き容量を確認してください。quotaに基づいて領域が割り当てられているユーザー・ホームからは、インストールを実行しないでください。
Oracle Universal Installer 11gリリース1(11.1)には次の機能があります。
XMLベースのセントラル・インベントリ
XML形式を使用しているため、サード・パーティのJavaアプリケーションは、インストールされたソフトウェアに関する情報をインベントリに問合せできます。下位互換性を保つために、セントラル・インベントリはバイナリ・バージョンも引き続き保守します。
既存のOracleホームのクローニング
既存のOracleホームを別の場所にコピーし、新しい環境に合せてインストール構成を更新することにより調整できます。クローニングを使用すると、インストール後にインストールや構成を行うことなく標準設定を簡単に伝播できます。
クラスタ環境のサポートの向上
Oracle Universal Installerでは、クラスタベースのインストールに関与するすべてのノードにインベントリをレプリケートするようになりました。ユーザーは、インストールの一部であるクラスタ上の任意のノードからOracle Universal Installerを起動できます。ユーザーは、任意のノードから既存のソフトウェアをアップグレードまたは削除したり、パッチを適用できます。
真のサイレント機能
キャラクタ・モード・コンソールでOracle Universal Installerをサイレント・モードで実行した場合は、UNIXでのXサーバーの指定や環境変数DISPLAYの設定が必要なくなります。GUIクラスはインスタンス化されず、サイレント・モードは真のサイレントになります。
Oracle Universal Installerセッションをレスポンス・ファイルに記録する機能
この機能を使用すると、成功したインストールの結果を複数のシステムに簡単に複製できます。インストール時に選択したすべてのオプションが、結果として生成されるレスポンス・ファイルに保存されます。Oracle Universal Installerセッションの記録の詳細は、「記録モードでのレスポンス・ファイルの作成」を参照してください。
正確なディスク領域計算
Oracle Universal Installerでは、Oracle製品に必要なディスク領域の計算に、より正確な方法が使用されるようになりました。この機能により、インストール中にディスク領域が不足するリスクが減少します。
インストール後に自動的に起動するソフトウェア
一部のOracle製品は、インストールの直後にソフトウェアを自動的に起動する新機能を利用できるようになりました。
クリーンな削除とアップグレード
削除では、すべてのソフトウェアが何も残らない状態まで完全に削除されます。また、コンフィギュレーション・アシスタントおよびパッチ・セットに関連付けられているファイルも完全に削除されます。Oracleホームも、インベントリとレジストリから削除されます。
統合された前提条件チェック
インストール環境の準備状況を診断する前提条件チェック・ツールが提供されます。前提条件チェックは、インストール・プロセスの一部として実行されますが、別のアプリケーションとしても実行できます。
シングル・クリック・インストールのサポート
基本構成の特定の製品についてシングル・クリック・インストールの実行を可能にする機能が用意されています。より多くのオプションを使用するための拡張モードもあります。
Oracleには、ソフトウェアをデプロイするための2つのユーティリティが用意されています。
Oracle製品をインストールするためのOracle Universal Installer
個別パッチを適用するためのOPatch
Oracle Universal Installer 11gリリース1(11.1)は、CDまたはステージング先のHTTPの場所からOracleコンポーネントをインストールできるJavaベースのインストーラです。コンポーネントベースのインストールの他に、統合されたバンドルやスイートのインストール、Web上でのインストールなど、複雑なインストールを実行します。
OPatchはOracleが提供するユーティリティであり、Oracleのソフトウェアに個別パッチを適用するプロセスを支援します。OPatch 11.1はJavaベースのユーティリティで、OUIベースのOracleホームまたはスタンドアロンのホームで実行できます。Oracleがソフトウェアをリリースする対象のすべてのオペレーティング・システムで動作します。OPatchの詳細は、第7章「OPatchを使用したOracleソフトウェアへのパッチの適用」を参照してください。
Oracle Universal InstallerおよびOPatchは、次のアクティビティを実行します。
インストールは、リリースまたはステージング領域から製品を選択し、それらをターゲット・ディレクトリにデプロイするプロセスです。インストールには4つのモードがあります。各モードについては、「インストールのモード」で説明します。
クローニングは、構成を保持したまま既存のインストールを別の場所にコピーするプロセスです。クローニングを使用して、Oracle製品の複数のコピーを異なるコンピュータにインストールできます。クローニングの際には、Oracle Universal Installerがクローン・モードで起動し、ホームをターゲットの環境に適応させます。クローン・モードのOracle Universal Installerは、元のOracleホームのインストール時に実行されたすべてのアクションを再現します。インストールとクローニングの違いは、クローニングの場合はOracle Universal Installerのアクションがクローン・モードで実行されることです。各アクションにより、クローン時の処理が決まります。クローニングの詳細は、第6章「Oracleソフトウェアのクローニング」を参照してください。
パッチの適用時には、ファイルの小さな集合が既存のインストールにコピーされ、特定の不具合が修正されます。OPatchはOracleが提供しているユーティリティであり、Oracleソフトウェアへのパッチの適用を容易にします。OPatchの詳細は、第7章「OPatchを使用したOracleソフトウェアへのパッチの適用」を参照してください。
Oracle Universal Installerにより、製品をあるバージョンから別のバージョンにアップグレードできます。アップグレードとは、メジャーな製品拡張であり、多くの場合、アップグレードされたソフトウェアのインストールが必要になります。たとえば、Oracle Database 10gリリース2(10.2)をOracle Database 11gリリース1(11.1)に変換する場合、これをアップグレードと呼びます。
パッチ・セットはパッチのグループで構成されます。たとえば、Oracle Database 11gリリース1(11.1)をリリース11.1.1からリリース11.1.2に変換する場合、これをパッチ・セットの適用と呼びます。
Oracleホームは、クラスタ内の複数のノードにインストールできます。Oracle Universal Installerの-addNode
フラグを使用して、特定のOracleホームのクラスタを拡張できます。Oracleホームに複数のノードを追加できます。-addNode
フラグを指定したOracle Universal Installerは、追加されるノードではなく常にローカル・ノードで実行されます。ノードの追加がOracle ClusterwareレイヤーとReal Application Clustersデータベース・レイヤーのどちらで実行されるかに応じて、Oracle ClusterwareノードまたはReal Application Clustersノードにノードを追加できます。$OH/oui/bin/addNode.sh
を使用してノードを追加できます。
ノードの追加の詳細は、「クラスタ環境のインストール」を参照してください。
Oracle Universal Installerでは、次のインベントリ操作がサポートされます。
Oracle Universal Installerでは、-attachHome
フラグを使用し、Oracleホームをインベントリにアタッチしてセントラル・インベントリを設定するか、セントラル・インベントリに既存のOracleホームを登録します。Oracleホームおよび出荷ホームからattachHome.sh
(bat)を使用できます。
詳細は、「セントラル・インベントリの作成」を参照してください。
Oracle Universal Installerでは、-detachHome
フラグを使用して、セントラル・インベントリからOracleホームを削除します。OracleホームからdetachHome.sh
(bat)を使用できます。
詳細は、「セントラル・インベントリからのOracleホームのデタッチ」を参照してください。
Oracle Universal Installerでは、-updateNodeList
フラグを使用して、ノードのリストを取得し、inventory.xml
ファイルを更新します。CRS
フラグがTRUE
に設定されている場合、oraclehomeproperties.xml
ファイルはOracle Clusterwareホーム情報を使用して更新されます。
詳細は、「クラスタのノードの更新」を参照してください。
Oracle Universal Installerの実行時に次の主要なエンティティが作成されます。
製品がOracle Universal Installerを使用してインストールされた場合、Oracle Universal Installerインベントリには、ホスト上のすべてのOracleホームにインストールされているすべてのOracleソフトウェア製品に関する情報が格納されます。インベントリは次のもので構成されます。
セントラル・インベントリ
Oracleホーム・インベントリ
インベントリの詳細および構造は、「Oracle Universal Installerインベントリ」を参照してください。
Oracleホームは、Oracle製品が実行されるシステム・コンテキストです。このコンテキストは次のもので構成されます。
製品がインストールされたディレクトリの場所
対応するシステム・パス設定
そのホームにインストール済の製品に関連付けられているプログラム・グループ(該当する場合)
そのホームから実行されているサービス
Oracleホームの詳細は、第2章「Oracleホームの管理」を参照してください。
Oracle Universal Installerは、次のモードで実行できます。
このモードを使用して、レスポンス・ファイルまたはコマンドライン・エントリを特定の対話型ダイアログと組み合せて使用することで、必要な情報を指定できます。インストールの際、手動での入力が必要なカスタム情報に加えて、レスポンス・ファイルで取得できるパラメータの共通セットがある場合は、この方法が便利です。
このモードを使用して、Graphical User Interface(GUI)を省略し、必要な情報をレスポンス・ファイルで指定できます。この方法は、複数のホストに同じ製品を複数回インストールする場合に便利です。レスポンス・ファイルを使用して、インストール・パラメータがわかっている製品のインストールを自動化することもできます。
サイレント・インストールの詳細は、第3章「レスポンス・ファイルのカスタマイズおよび作成」を参照してください。
クラスタ・インストールでは、Oracle Universal Installerを使用して、ネットワーク・アクセスが可能でOracle Clusterwareによりバインドされているクラスタのノードにソフトウェアをインストールします。Oracle Universal Installerを使用して、製品をインストールするOracleホームを拡張し、クラスタ上の追加ノードを含めることができます。クラスタ・インストールではOracle Clusterwareをインストールする必要があります。
クラスタ・インストールの詳細は、第5章「クラスタ環境のインストール」を参照してください。