ゲートウェイおよびOracle以外のシステムに対応するODBCドライバのインストール後、次のタスクを実行してOracle Database Gateway for ODBCを構成します。
次のタスクを実行して、ゲートウェイ初期化ファイルを構成します。
Oracle Database Gateway for ODBC用に、初期化ファイルを作成する必要があります。Oracleには、サンプルの初期化ファイルinitdg4odbc.ora
が付属します。サンプル・ファイルは、ORACLE_HOME
\hs\admin
ディレクトリに格納されています。
ODBCゲートウェイ用の初期化ファイルを作成するには、サンプルの初期化ファイルをコピーしてその名前をinit
sid
.ora
に変更します(sid
は、ゲートウェイの接続先となるOracle以外のシステムのインスタンスで使用されるシステム識別子(SID)です)。
ゲートウェイ・システム識別子(SID)は、ゲートウェイ・インスタンスを識別する英数字の文字列です。アクセスするODBCソースごとに、1つのゲートウェイ・インスタンスが(したがって1つのゲートウェイSIDが)必要です。
2つのODBCソースにアクセスする場合は、ゲートウェイのインスタンスごとに1つずつ、合計2つのゲートウェイSIDが必要です。ODBCソースが1つのみ存在し、そのアクセスに使用するゲートウェイ・パラメータ設定のセットを状況に応じて使い分ける場合、単一のODBCソースに対して複数のゲートウェイSIDが必要です。SIDは、初期化パラメータ・ファイルのファイル名の一部に使用されます。
初期化ファイルを作成したら、初期化パラメータ値を設定する必要があります。複数の初期化パラメータを使用して、ゲートウェイの動作を変更できます。HS_FDS_CONNECT_INFO
初期化パラメータを設定する必要があります。その他の初期化パラメータは、デフォルト値を持つか、オプションです。デフォルト値を使用して、オプションのパラメータを省略できます。または、独自のインストール環境に適した値を使用してパラメータを指定できます。設定可能な初期化パラメータの完全なリストは、付録C「初期化パラメータ」を参照してください。初期化パラメータに加えた変更は、次のゲートウェイ・セッションまで反映されません。
HS_FDS_CONNECT_INFO
初期化パラメータでは、Oracle以外のシステムに接続するのに必要な情報を指定します。HS_FDS_CONNECT_INFO
は、次のように設定します。
HS_FDS_CONNECT_INFO=dsn_value ここで、dsn_valueは、WindowsのODBCデータソース アドミニストレータで定義したシステムDSNの名前です。
システムDSNは、WindowsのODBCデータソース アドミニストレータで定義済であると仮定します。ゲートウェイを通じてこの例のSQL Serverデータベースに接続するには、init
sid
.ora
ファイルに次の行が必要です。
HS_FDS_CONNECT_INFO=sqlserver7
sqlserver7
は、WindowsのODBCデータソース アドミニストレータで定義したシステムDSNの名前です。
WindowsのODBCデータソース アドミニストレータ(バージョン3.5)でシステムDSNを定義するには、次の手順を実行します。
「スタート」メニューで、「設定」→「コントロール パネル」→「ODBC」を選択します。
「システムDSN」タブ・ページを選択してシステム・データソースを表示します。
「追加」をクリックします。
インストール済のODBCドライバのリストから、データソースで使用するドライバの名前を選択します。たとえば、「SQL Server」を選択します。
「完了」をクリックします。
DSNの名前とオプションの説明を入力します。ODBCドライバに応じて他の情報を入力します。たとえば、SQL Serverでは、SQL Serverのマシン名を入力します。
注意: DSNとして入力する名前は、init sid .ora に指定されている初期化パラメータHS_FDS_CONNECT_INFO の値と一致する必要があります。 |
ODBCドライバのドキュメントを参照し、プロンプトに従ってDSNの構成を完了します。
システムDSNを作成したら、「OK」をクリックしてODBCデータソース アドミニストレータを終了します。
注意: ODBCドライバで引用識別子または区切り識別子がサポートされる場合、それを有効化する必要があります。 |
ゲートウェイでは、Oracle Databaseと通信するためにOracle Netが必要です。ゲートウェイの構成後、次のタスクを実行して、ゲートウェイと連携動作するようにOracle Netを構成します。
Oracle Net Listenerは、Oracle Databaseからの着信リクエストをリスニングします。Oracle Net Listenerでゲートウェイをリスニングするためには、ゲートウェイに関する情報をOracle Net Listenerの構成ファイル(listener.ora
)に追加する必要があります。このファイルのデフォルトの場所は、ORACLE_HOME
\network\admin
です(ORACLE_HOME
はゲートウェイのインストール先のディレクトリです)。
次のエントリをlistener.ora
ファイルに追加する必要があります。
Oracle Net ListenerがリスニングするOracle Netアドレスのリスト
Oracle Net Listenerが着信接続リクエストに応じて起動するゲートウェイの実行可能ファイルの名前
listener.ora
エントリのサンプル(listener.ora.sample
)は、ORACLE_HOME
\dg4odbc\admin
ディレクトリにあります(ORACLE_HOME
はゲートウェイのインストール先のディレクトリです)。
Oracle Databaseは、Oracle Netおよびサポートされている任意のプロトコル・アダプタを使用してゲートウェイと通信します。次に、TCP/IPプロトコル・アダプタを使用してOracle Net Listenerがリスニングするアドレスの構文を示します。
LISTENER= (ADDRESS= (PROTOCOL=TCP) (HOST=host_name) (PORT=port_number))
変数の意味は次のとおりです。
変数 | 説明 |
---|---|
host_name |
ゲートウェイがインストールされているマシンの名前。 |
port_number |
Oracle Net Listenerにより使用されるポート番号。同じマシン上で稼働する他のリスナーが存在する場合、port_number の値は、他のリスナーのポート番号とは異なる必要があります。 |
着信接続リクエストに応じてゲートウェイを起動するようOracle Net Listenerを構成するには、listener.ora
ファイルにエントリを追加します。
注意: listener.oraファイルと次の手順で構成するtnsnames.ora ファイルで同じSID値を使用する必要があります。 |
SID_LIST_LISTENER= (SID_LIST= (SID_DESC= (SID_NAME=gateway_sid) (ORACLE_HOME=oracle_home_directory) (PROGRAM=dg4odbc) ) )
変数の意味は次のとおりです。
変数 | 説明 |
---|---|
gateway_sid |
ゲートウェイのSIDを指定します。tnsnames.ora ファイルの接続記述子エントリで指定されたゲートウェイSIDと一致させます。 |
oracle_home_directory |
ゲートウェイの存在するOracleホーム・ディレクトリを指定します。 |
dg4odbc |
Oracle Database Gateway for ODBCの実行可能ファイル名を指定します。 |
既存のOracle Net Listenerがすでに存在する場合、既存のlistener.ora
ファイルのSID_LIST
に次の構文を追加します。
SID_LIST_LISTENER= (SID_LIST= (SID_DESC=. . ) (SID_DESC=. . ) (SID_DESC= (SID_NAME=gateway_sid) (ORACLE_HOME=oracle_home_directory) (PROGRAM=dg4odbc) ) )
関連項目: listener.ora ファイルの変更方法の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。 |
ゲートウェイを使用してODBCデータソースにアクセスする前に、Oracle Databaseを構成してOracle Netを通じたゲートウェイとの通信を使用可能にする必要があります。
Oracle Databaseを構成するには、tnsnames.ora
ファイルに接続記述子を追加する必要があります。このファイルのデフォルトの場所は、ORACLE_HOME
\network\admin
です(ORACLE_HOME
はOracle Databaseのインストール先のディレクトリです)。tnsnames.ora
ファイルの構成にOracle Net AssistantやOracle Net Easy Configツールを使用することはできません。ファイルは手動で編集してください。
tnsnames.ora
エントリのサンプル(tnsnames.ora.sample
)は、ORACLE_HOME
\dg4odbc\admin
ディレクトリにあります(ORACLE_HOME
はゲートウェイのインストール先のディレクトリです)。
関連項目: tnsnames.ora ファイルの編集方法の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。 |
tnsnames.ora
ファイルを編集してゲートウェイの接続記述子を追加します。次に、TCP/IPプロトコルを使用するOracle Netエントリの構文を示します。
connect_descriptor= (DESCRIPTION= (ADDRESS= (PROTOCOL=TCP) (HOST=host_name) (PORT=port_number) ) (CONNECT_DATA= (SID=gateway_sid)) (HS=OK))
変数の意味は次のとおりです。
表11-1 tnsnames.oraファイルのゲートウェイ・パラメータ
変数 | 説明 |
---|---|
|
データベース・リンクの作成時に指定された接続先オブジェクトの記述(
注意: |
|
TCP/IP接続に使用されるTCPプロトコル。 |
|
ゲートウェイが稼働しているマシンを指定します。 |
|
ゲートウェイをリスニングしているOracle Net Listenerにより使用されるポート番号と一致させます。Oracle Net Listenerのポート番号は、Oracle Net Listenerにより使用される |
|
ゲートウェイのSIDを指定します。ゲートウェイをリスニングしているOracle Net Listenerの |
|
この接続記述子でOracle以外のシステムに接続することを指定します。 |
Oracle Databaseに接続されたすべてのOracleクライアントは、ゲートウェイを通じてODBCデータソースにアクセスします。OracleクライアントとOracle Databaseは、異なるマシン上に存在できます。ゲートウェイは、Oracle Databaseからの接続のみを受け入れます。
ゲートウェイとの接続は、Oracleセッションでその接続が最初に使用されるときに、データベース・リンクを通じて確立されます。この場合の接続とは、Oracle Databaseとゲートウェイ間の接続を示します。接続は、Oracleセッションが終了するまで確立されたままとなります。別のセッションまたはユーザーが同じデータベース・リンクにアクセスし、ゲートウェイおよびODBCデータソースに対する別個の接続を取得することも可能です。
データベース・リンクは、ゲートウェイ・セッションの継続時間中はアクティブです。セッション中にデータベース・リンクをクローズする場合は、ALTER SESSION
文を使用します。
ODBCデータソースにアクセスするには、データベース・リンクを作成する必要があります。パブリック・データベース・リンクは、最も一般的なデータベース・リンクです。
SQL> CREATE PUBLIC DATABASE LINK dblink CONNECT TO 2 "user" IDENTIFIED BY "password" USING 'tns_name_entry';
変数の意味は次のとおりです。
変数 | 説明 |
---|---|
dblink |
完全なデータベース・リンク名。 |
tns_name_entry |
ゲートウェイを識別するtnsnames.ora ファイルのOracle Net接続記述子を指定します。 |
データベース・リンクの作成後に、次のようにODBCデータソースへの接続を確認できます。
SQL> SELECT * FROM DUAL@dblink;
関連項目: データベース・リンクの使用方法の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』および『Oracle Database Heterogeneous Connectivity管理者ガイド』を参照してください。 |
ゲートウェイでは、ユーザーIDとパスワードを使用してリモート・データベースの情報にアクセスします。一部のユーザーIDおよびパスワードは、リソース・リカバリなどの機能を処理するためにゲートウェイ初期化ファイルに定義する必要があります。セキュリティを意識した現在の環境では、初期化ファイルでアクセス可能なプレーン・テキスト・パスワードは、セキュアではないとみなされます。セキュリティを向上するために、異機種間サービスの一部としてdg4pwd
暗号化ユーティリティが追加されました。このユーティリティには、ゲートウェイからアクセスできます。機密値を含む初期化パラメータは、暗号化された形式で格納できます。
関連項目: このユーティリティの使用方法の詳細は、『Oracle Database Heterogeneous Connectivity管理者ガイド』を参照してください。 |
複数のODBCデータソースにアクセスするためのゲートウェイの構成作業は、単一のデータソースを対象とするゲートウェイの構成作業とほぼ同じです。構成例の前提条件は次のとおりです。
ゲートウェイがdg4odbc
というSIDを使用してインストールおよび構成されていること。
ゲートウェイがdsn1
という1つのODBCデータソースにアクセスするよう構成されていること。
dsn2およびdsn3という2つのODBCデータソースが追加されること(dsn2およびdsn3は、WindowsのODBCデータソース アドミニストレータで定義されたシステムDSNの名前)。
ODBCデータソースごとに1つのシステムIDを選択
ODBCデータソースごとにゲートウェイの個別のインスタンスが必要です。各インスタンスには、独自のゲートウェイ・システムID(SID)が必要です。この例では、ODBCデータソースにアクセスするインスタンスに対して次のゲートウェイSIDが選択されます。
dg4odbc2
(データソースdsn2
にアクセスするゲートウェイ用)。
dg4odbc3
(データソースdsn3
にアクセスするゲートウェイ用)。
2つの初期化パラメータ・ファイルの作成
ゲートウェイのインスタンスごとに初期化パラメータ・ファイルを作成するため、元の初期化パラメータ・ファイルORACLE_HOME
\hs\admin\initdg4odbc.ora
を2回コピーします。次のように、1つのファイルにはdsn2
のゲートウェイSIDを含む名前を付け、もう1つのファイルにはdsn3
のゲートウェイSIDを含む名前を付けます。
> cd ORACLE_HOME\hs\admin > copy initdg4odbc.ora initdg4odbc2.ora > copy initdg4odbc.ora initdg4odbc3.ora
次のように各新規ファイルのHS_FDS_CONNECT_INFO
パラメータの値を変更します。
initdg4odbc2.ora
では、次のように入力します。
HS_FDS_CONNECT_INFO=dsn2
initdg4odbc3.ora
では、次のように入力します。
HS_FDS_CONNECT_INFO=dsn3
注意: 状況に応じて異なるゲートウェイ・パラメータ設定を使用するために、同じODBCデータソースに対して複数のゲートウェイSIDを割り当てる場合も、同じ手順に従ってください。それぞれ異なるSIDと異なるパラメータ設定を持つ複数の初期化パラメータ・ファイルを作成します。 |
Oracle Net Listener構成ファイルlistener.ora
に、2つの新規エントリを追加します。複数のゲートウェイ・インスタンスで同じデータベースにアクセスする場合でも、ゲートウェイ・インスタンスごとに1つのエントリを用意する必要があります。
次の例では、最初にインストールされた元のゲートウェイ用のエントリの次に、新規エントリが続いています。
SID_LIST_LISTENER= (SID_LIST= (SID_DESC= (SID_NAME=dg4odbc) (ORACLE_HOME=oracle_home_directory) (PROGRAM=dg4odbc) ) (SID_DESC= (SID_NAME=dg4odbc2) (ORACLE_HOME=oracle_home_directory) (PROGRAM=dg4odbc) ) (SID_DESC= (SID_NAME=dg4odbc3) (ORACLE_HOME=oracle_home_directory) (PROGRAM=dg4odbc) ) )
ここで、oracle_home_directory
は、ゲートウェイが存在するディレクトリです。
次の手順を実行してください。
「スタート」メニューで、「設定」→「コントロール パネル」→「サービス」を選択します。
ゲートウェイ用のOracle Net Listenerサービスを選択します。
「停止」をクリックします。
「開始」をクリックします。
tnsnames.ora
ファイルに2つの接続記述子エントリを追加します。複数のゲートウェイ・インスタンスで同じデータベースにアクセスする場合でも、ゲートウェイ・インスタンスごとに1つのエントリを用意する必要があります。
次の例では、最初にインストールされた元のゲートウェイ用のエントリの次に、新規ゲートウェイ・インスタンス用の2つのエントリが続いています。
old_dsn_using=(DESCRIPTION= (ADDRESS= (PROTOCOL=TCP) (PORT=port_number) (HOST=host_name)) (CONNECT_DATA= (SID=dg4odbc)) (HS=OK)) new_dsn2_using=(DESCRIPTION= (ADDRESS= (PROTOCOL=TCP) (PORT=port_number) (HOST=host_name)) (CONNECT_DATA= (SID=dg4odbc2)) (HS=OK)) new_dsn3_using=(DESCRIPTION= (ADDRESS= (PROTOCOL=TCP) (PORT=port_number) (HOST=host_name)) (CONNECT_DATA= (SID=dg4odbc3)) (HS=OK))
PORT
の値は、ゲートウェイをリスニングしているOracle Net ListenerのTCP/IPポート番号です。この番号は、Oracle Net Listenerにより使用されるlistener.ora
ファイルで確認できます。HOST
の値は、ゲートウェイが稼働しているマシンの名前です。この名前も、Oracle Net Listenerにより使用されるlistener.ora
ファイルで確認できます。
次のように入力してdg4odbc2
ゲートウェイ用のデータベース・リンクを作成します。
SQL> CREATE PUBLIC DATABASE LINK ODBC2 CONNECT TO 2 "user2" IDENTIFIED BY "password2" USING 'new_dsn2_using';
次のように入力してdg4odbc3
ゲートウェイ用のデータベース・リンクを作成します。
SQL> CREATE PUBLIC DATABASE LINK ODBC3 CONNECT TO 2 "user3" IDENTIFIED BY "password3" USING 'new_dsn3_using';
データベース・リンクの作成後に、次のように新規ODBCデータソースへの接続を確認できます。
SQL> SELECT * FROM ALL_USERS@ODBC2;
SQL> SELECT * FROM ALL_USERS@ODBC3;