ここでは、Oracle Database 11gリリース1(11.1)のパフォーマンス・チューニングに関連した新機能について説明するとともに、追加情報の記載場所も示します。ここで説明する機能と拡張機能は、データベースのパフォーマンスを最適化することを目標としています。
Oracle Database 11gリリース1(11.1)のすべての新機能の概要は、『Oracle Database新機能ガイド』を参照してください。
Oracle Database 11gリリース1(11.1)におけるパフォーマンス・チューニングに関連した新機能および機能更新は次のとおりです。
アクティブ・セッション履歴(ASH)の機能強化
ASH統計の機能強化により、取得されたSQL文ごとに行レベル・アクティビティ情報が提供されます。この情報を使用することで、SQLの経過時間に最も多く影響を与えているSQL実行部分を特定できます。
詳細は、第5章「自動パフォーマンス統計」を参照してください。
自動データベース診断モニター(ADDM)の機能強化
ADDMは、次の分析を実行するために機能強化されています。
データベース・クラスタに対する分析(グローバルADDM)
様々なレベル(データベース・クラスタ、データベース・インスタンス、特定のターゲットなど)の粒度での分析
特定の期間(1対のスナップショットに関連付けられていない)での分析
詳細は、第6章「自動パフォーマンス診断」を参照してください。
SQLチューニングの自動化
自動化メンテナンス・タスクを使用すると、SQLチューニング・アドバイザのタスクのスケジュールを自動化して、メンテナンス・ウィンドウ内に実行できます。詳細は、第17章「自動SQLチューニング」を参照してください。
AWRベースライン
ベースラインには、パフォーマンス上の問題が発生したときに、類似する他のワークロード期間と比較するために保持されている特定の期間のパフォーマンス・データが含まれます。Oracle Databaseの使用可能なベースラインには、固定ベースライン、変動ウィンドウ・ベースライン、ベースライン・テンプレートなどの複数のタイプがあります。詳細は、第5章「自動パフォーマンス統計」を参照してください。
データベース・リプレイ
データベース・ワークロードを本番システムで取得してテスト・システムでリプレイし、システム変更(データベースのアップグレードなど)によって望ましい結果が確実にもたらされるようにできます。詳細は、『Oracle Database Real Application Testingユーザーズ・ガイド』を参照してください。
I/O統計の機能強化
I/O統計は、コンシューマ・グループ、データベース・ファイルおよびデータベース機能の各ディメンションで、Oracle Databaseにより実行されるすべてのI/Oコールに関して収集されます。詳細は、第10章「パフォーマンス・ビューを使用したインスタンスのチューニング」を参照してください。
オプティマイザ統計管理の機能強化
統計の収集と公開は、分離されました。オプティマイザ統計を収集し、保留中としてそれらの統計を格納およびテストした後に、それらの統計が有効である場合にのみ公開できます。詳細は、第13章「オプティマイザ統計の管理」を参照してください。
拡張統計
現在、オプティマイザでは、表内の列グループに関する情報(複数列の統計)を収集し、列グループにおける列の依存性を分析できます。オプティマイザでは、列の式に関する情報も収集できます。詳細は、第13章「オプティマイザ統計の管理」を参照してください。
I/O測定
Oracle DatabaseのI/O測定機能では、ストレージ・サブシステムのパフォーマンスを評価し、I/Oパフォーマンス問題がデータベースとストレージ・サブシステムのどちらを原因とするかを判別できます。詳細は、第8章「I/O構成および設計」を参照してください。
問合せ結果キャッシュ
頻繁に実行されるSQL問合せの結果は、サーバー側またはクライアント側の結果キャッシュに格納できます。これにより、これらの問合せが続けて実行された場合に、レスポンス時間が短縮化されます。詳細は、第7章「メモリーの構成と使用方法」を参照してください。
リアルタイムSQL監視
リアルタイムSQL監視では、実行に時間のかかるSQL文の実行状況を、その実行中に監視できます。カーソル・レベル統計(CPU時間やI/O時間など)と実行計画統計(中間結果のカーディナリティや、計画内の各演算子で使用されるメモリー領域および一時領域など)が、文の実行中にほぼリアルタイムで更新されます。これらの統計は、V$SQL_MONITOR
およびV$SQL_PLAN_MONITOR
という2つの新規固定ビューで公開されます。詳細は、第10章「パフォーマンス・ビューを使用したインスタンスのチューニング」を参照してください。
SQLパフォーマンス・アナライザ
SQLパフォーマンス・アナライザを使用すると、テスト・システムでSQLワークロードを使用してシステム変更をテストすることで、SQLパフォーマンスに対するこれらの変更の影響を予測できます。詳細は、『Oracle Database Real Application Testingユーザーズ・ガイド』を参照してください。
SQL計画ベースライン
SQL文の実行計画を変更すると、パフォーマンスが著しく低下する可能性があります。Oracle Databaseでは、SQL計画ベースラインを取得、選択および改良することができるため、新しい計画が既存の計画より効率的であることが検証されないかぎり、オプティマイザでは新しい計画を使用できません。この機能は、旧リリースのOracle Databaseにおけるプラン・スタビリティ機能に代わるものです。詳細は、第15章「SQL計画の管理の使用方法」を参照してください。
SQLテスト・ケース・ビルダー
SQLテスト・ケース・ビルダーには、SQLインシデントに関する必要な情報を収集およびパッケージ化して、再生可能なテスト・ケースを作成する機能があるため、別のシステムでそのテスト・ケースを再作成することができます。詳細は、第16章「SQLチューニングの概要」を参照してください。