B Data Guard構成におけるデータベースのアップグレード
この付録の手順では、構成にフィジカル・スタンバイ・データベースまたはロジカル・スタンバイ・データベースが存在する場合に、Oracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードする方法を説明します。
この付録は、次の項目で構成されています。
B.1 Oracle Databaseソフトウェアをアップグレードする前の注意事項
Oracle Databaseソフトウェアのアップグレードを開始する前に、次のことに注意してください。
- 構成の管理にData Guard Brokerを使用している場合、Broker構成を削除または無効にする方法の詳細は、『Oracle Data Guard Broker』の指示を参照してください。
- この付録で説明する手順は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』に記載されている手順とともに使用します。
- この付録で説明する手順では、Database Upgrade Assistant(DBUA)を使用してアップグレードを実行します。アップグレードを手動で実行する手順は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。DBUAの使用を言及している場合にも、記載されている手動のアップグレード手順は実行する必要があります。
- NOLOGGING操作をチェックします。NOLOGGING操作が実行されていた場合は、スタンバイ・データベースを更新する必要があります。詳細は、13.4項「NOLOGGING句を指定した後のリカバリ」を参照してください。
OFFLINE IMMEDIATE
が原因でリカバリを必要とする表領域またはデータファイルを書き留めておきます。アップグレード前に表領域またはデータファイルをリカバリし、オンラインまたはオフラインにする必要があります。
B.2 フィジカル・スタンバイ・データベースが存在する場合のOracle Databaseのアップグレード
構成にフィジカル・スタンバイ・データベースが存在する場合に、Oracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードする手順は、次のとおりです。
- 『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』の「アップグレードの準備」に記載されている手順を確認して実行します。
- プライマリ・データベースを停止します。
- フィジカル・スタンバイ・データベースを停止します。
- フィジカル・スタンバイ・システムで新しいリリースのOracleソフトウェアを新しいOracleホームにインストールします。詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。
- フィジカル・スタンバイ・データベースをマウントします。
注意
プライマリ・データベースのアップグレードが完了してから、スタンバイ・データベースをオープンします。
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- フィジカル・スタンバイ・データベースでREDO Applyを開始します。
- プライマリ・データベース・システムで新しいリリースのOracleソフトウェアを新しいOracleホームにインストールします。詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。
- プライマリ・データベースをアップグレードします。詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。フィジカル・スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースでアップグレード時に生成されたREDOを適用するとアップグレードされます。
- アップグレード後のプライマリ・データベースをオープンします。
- アップグレードの前にActive Data Guardが使用されている場合、これをアップグレード後に再び有効にする方法は9.2.1項を参照してください。
B.3 ロジカル・スタンバイ・データベースが存在する場合のOracle Databaseのアップグレード
注意
この付録では、ロジカル・スタンバイ・データベースが存在する場合にOracle Databaseソフトウェアをアップグレードする従来の方法を説明します。第12章「SQL Applyを使用したOracle Databaseのアップグレード」にある2つ目の方法では、ロジカル・スタンバイ・データベースが存在する場合にローリング・アップグレードを行って停止時間を最短に抑える方法を説明します。完全なアップグレードを実行するには、どちらか一方の方法の手順のみを使用してください。アップグレードの実行に両方の方法を使用したり、2つの方法の手順を組み合せようとしないでください。
この項で説明する手順では、プライマリ・データベースがMAXIMUM PERFORMANCE データ保護モードで稼働していると仮定しています。
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構成にロジカル・スタンバイ・データベースが存在する場合に、Oracle Database 11gリリース1(11.1)にアップグレードする手順は、次のとおりです。
- 『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』の「アップグレードの準備」に記載されている手順を確認して実行します。
- 必要に応じて、プライマリ・データベースでデータ保護モードを
MAXIMUM PERFORMANCE
に設定します。
SQL> ALTER DATABASE SET STANDBY DATABASE TO MAXIMIZE PERFORMANCE;
- プライマリ・データベースで、すべてのユーザー・アクティビティを停止し、ロジカル・スタンバイ・データベースに関連付けられているリモート・アーカイブ先を遅延させます(この手順では、
LOG_ARCHIVE_DEST_2
がロジカル・スタンバイ・データベースに関連付けられていると仮定しています)。
SQL> ALTER SYSTEM SET LOG_ARCHIVE_DEST_STATE_2=DEFER SCOPE=BOTH;
SQL> ALTER SYSTEM ARCHIVE LOG CURRENT;
- スタンバイ・データベースでSQL Applyを停止します。
SQL> ALTER DATABASE STOP LOGICAL STANDBY APPLY;
- プライマリ・データベースで新しいリリースのOracleソフトウェアをインストールします。詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。
- ロジカル・スタンバイ・データベースで新しいリリースのOracleソフトウェアをインストールします。詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。
注意
手順5および手順6は、アップグレード手順中の停止時間を短縮するために、同時に実行できます(つまり、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースは同時にアップグレードできます)。
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- アップグレード後のロジカル・スタンバイ・データベースでSQL Applyを開始します。Oracle RACを使用している場合は、他のスタンバイ・データベース・インスタンスを起動します。
SQL> ALTER DATABASE START LOGICAL STANDBY APPLY IMMEDIATE;
- アップグレード後のプライマリ・データベースをオープンし、ユーザーが接続できるようにします。Oracle RACを使用している場合は、他のプライマリ・データベース・インスタンスを起動します。
また、次のようにして、アップグレード後のロジカル・スタンバイ・データベースへのアーカイブを有効にします。
SQL> ALTER SYSTEM SET LOG_ARCHIVE_DEST_STATE_2=ENABLE;
- 必要に応じて、手順2で元のデータ保護モードを変更した場合は、そのモードをリセットします。