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Oracle Database 2日でデータベース管理者
11g リリース1(11.1)

E05759-03
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4 ネットワーク環境の構成

Oracle Databaseのインストールしたら、最小限に構成されたクライアント/サーバー・ネットワーク環境で十分に機能的なデータベースとなります。

この章では、クライアント/サーバー・ネットワークの完全な構成に関する次の項目について説明します。

ネットワーク構成の理解

クライアントは、Oracle Databaseに接続してデータを送信または取得する任意のアプリケーションです。Oracle Databaseクライアント・アプリケーションは、Oracle Databaseクライアント・ソフトウェアがインストールされている任意のコンピュータに配置できます。

Oracle Netはクライアント・コンピュータおよびOracle Databaseのホスト・コンピュータに存在するソフトウェア・レイヤーです。ネットワークを介してクライアント・アプリケーションおよびデータベース間の接続を確立および保持し、業界標準プロトコルを使用してメッセージを交換します。

クライアント・アプリケーションとデータベースが通信するには、クライアント・アプリケーションで接続するデータベースの識別が可能である必要があり、なんらかの識別またはアドレスをデータベースから得る必要があります。サービス名を使用してデータベースに接続できます。サービス名はデータベースを論理的に表示したもので、この方法によってクライアントにデータベースを提示します。単一のデータベースを複数のサービスとして提示できます。

サービス名を使用すると、クライアント・アプリケーションがサーバーの位置を把握する必要のない、位置の透過性が提供されます。データベースを別の位置に移動する場合、Oracle Netの再構成のみが必要です。クライアント・アプリケーションへの変更は不要です。

この項は次のトピックで構成されています。

Oracle Netリスナー構成

データベース・サーバー上のOracle Netリスナー(リスナー)は、クライアント接続要求をリスニングするプロセスです。着信クライアント接続要求を受信し、データベース・サーバーへのクライアント接続要求のトラフィックを管理します。

デフォルトのリスナー構成ファイルはlistener.oraという名前で、Oracle_home/network/adminディレクトリにあります。このファイルには、データベースを識別するプロトコル・アドレスが含まれています。このアドレスにより、リスナーがリスニングするプロトコルとプロトコル固有のその他の情報を定義します。たとえば、次のプロトコル・アドレスをリスニングするようリスナーを構成できます。

(DESCRIPTION=
   (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=my-server) (PORT=1521)))

この例は、リスナーのホスト・コンピュータとポート番号を指定するTCP/IPプロトコル・アドレスを示しています。

listener.oraファイルは、インストール時に自動的に構成されますが、Oracle Enterprise Manager Database Controlを使用して構成することもできます。詳細は、「リスナー構成の表示」および「リスナーの起動および停止」を参照してください。

すべての構成パラメータにデフォルト値が設定されているため、リスナーを構成せずに起動して使用することも可能です。このデフォルトのリスナーはLISTENERという名前で、起動時にはサービス名をサポートしていません。また、次のTCP/IPプロトコル・アドレスをリスニングします。

(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=host_name)(PORT=1521))

Oracle Databaseは、起動後1分程度でリスナーに登録されます。サポート対象のサービス名(リスナーがクライアント要求を転送する宛先となるサービス名またはデータベース)は、listener.oraファイルで構成することも、リスナーに動的に登録することもできます。この動的登録機能をサービス登録と呼びます。登録は、各データベース・インスタンスのプロセス・モニター(PMON)・プロセス(インスタンスのバックグラウンド・プロセス。データベース初期化パラメータ・ファイルで必要な構成が行われている)によって実行されます。動的サービス登録の場合、listener.oraファイルでの構成は必要ありません。

参照:

リスナー構成の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。 

接続記述子

クライアントは、接続記述子を使用して接続先のデータベースを指定します。この接続記述子には、プロトコルとデータベース・サービス名が含まれています。データベースには複数のサービス名を定義できるため、接続するサービスの名前を接続記述子に指定する必要があります。事前構成されたデータベースでは、サービス名は1つしかなく、デフォルトでグローバル・データベース名に設定されています。

次の例は、クライアントがmydb.us.example.comというサービス名のデータベースに接続できるようにする接続記述子を示しています。

(DESCRIPTION=
   (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=my-server) PORT=1521))
   (CONNECT_DATA=
      (SERVICE_NAME=mydb.us.example.com)))

接続要求

ユーザーは接続文字列を指定することで接続要求を開始します。接続文字列には、ユーザー名とパスワード、および接続識別子が含まれています。この接続識別子は、接続記述子そのもの、または1つ以上のリポジトリに格納されたマッピング情報を使用して接続記述子に解決される名前です。リポジトリへのアクセスには、「ネーミング・メソッド」で説明するネーミング・メソッドを使用してアクセスします。この名前をネット・サービス名と呼びます。

ネーミング・メソッド

ネーミング・メソッドとは、クライアント・アプリケーションがデータベース・サービスへの接続を試みるときに、接続識別子を接続記述子に解決するために使用する解決方法です。

Oracle Netでは、次のネーミング・メソッドがサポートされています。

簡易接続ネーミング

簡易接続ネーミング・メソッドでは、クライアントはホスト名とサービス名で構成されるTCP/IP接続文字列のみを使用してOracle Databaseに接続できます。簡易接続ネーミング・メソッドは構成の必要がありません。簡易接続ネーミングの例は、「クライアント・コンピュータからOracle Databaseへの接続」を参照してください。

ローカル・ネーミング

ローカル・ネーミング・メソッドでは、ネット・サービス名に指定されている接続記述子がtnsnames.oraという名前のクライアントの構成ファイルに格納されます。このファイルはOracle_home/network/adminディレクトリにあります。Oracle Database Configuration Assistant(DBCA)を使用してデータベースを作成する場合、ローカル・ネーミングは自動的に構成されます。その後、Net Configuration Assistantを使用して接続記述子およびその接続記述子に対応するネット・サービス名を作成する必要があります。

ディレクトリ・ネーミング

ディレクトリ・ネーミングでは、データベース・サービス、ネット・サービス名またはネット・サービス別名がLDAP準拠のディレクトリ・サーバーに格納された接続記述子に解決されます。

参照:

『Oracle Database Net Services管理者ガイド』 

ネットワーク構成ツール

Oracle Databaseでは、次のツールを使用してネットワーク構成を管理できます。

Net Configuration Assistant

データベースの標準のインストールを実行すると、Net Configuration Assistant(NetCA)により、TCP/IPのリスニング・プロトコル・アドレスを持つLISTENERという名前のリスナーがデータベースに対して自動的に構成されます。カスタム・インストールを実行すると、選択したリスナー名およびプロトコル・アドレスを構成するよう求められます。

データベースのインストール後の初期ネットワーク構成にはNetCAを使用します。その後、Oracle Enterprise ManagerおよびOracle Net Managerをネットワークの構成および管理に使用できます。

Oracle Enterprise Manager

Oracle Enterprise Managerを使用すると、サーバー側のネットワーク構成をリスナー・ページで管理できます。リスナー・ページには、現在のステータス、Oracleホームの場所、ホスト名など、リスナーに関する情報が表示されます。

参照:

「リスナー構成の表示」 

Oracle Net Manager

Oracle Net Managerは、Oracle Enterprise Managerと同じ機能に加えて、構成プロファイルを提供します。

参照:

『Oracle Database Net Services管理者ガイド』 

リスナー構成の表示

Oracle Netリスナー(リスナー)はデータベース・サーバー・コンピュータで実行され、クライアントからの着信要求を仲介します。Oracle Enterprise Manager Database Control(Database Control)を使用すると、サーバー・コンピュータが再起動するたびに自動的に起動するよう設定されているリスナーのステータスを表示できます。リスナーのステータスはコマンドラインからも表示可能です。

Database Controlを使用してリスナーに関する情報を表示するには、次の手順を実行します。
コマンドラインからリスナーの情報を表示するには、次のようにします。
  1. コマンド・ウィンドウを開きます。

  2. (LinuxおよびUNIXシステムのみ)oraenv(Bourne、KornまたはBashシェルの場合)またはcoraenv(Cシェルの場合)スクリプトを実行して、必須の環境変数を設定します。

    これらのスクリプトは通常、/usr/local/binにあります。スクリプトでは、ORACLE_SID環境変数の特定の値を要求されます。この場合、Oracle Databaseのインストール時に選択したシステムID(SID)を指定します。通常、インストーラが提示するデフォルトのSIDはorclです。

  3. (LinuxおよびUNIXシステムのみ)PATH環境変数にOracle_home/binディレクトリが指定されていることを確認し、指定がない場合は、Oracle_home/binに変更します。

  4. 次のコマンドを入力します。

    lsnrctl status
    

リスナーの起動および停止

Oracleリスナーは、サーバー・コンピュータが再起動するたびに自動的に起動するよう設定されています。ただし、システムで予期しない状況が発生した場合や、リスナーを手動で停止した場合には、Database Controlを使用して、またはコマンドラインからリスナーを再起動できます。

Database Controlを使用してリスナーを停止するには、次のようにします。
  1. データベースのホームページで、「一般」の下の「リスナー」リンクをクリックします。

    リスナー・ページが表示されます。

  2. 「停止」をクリックします。

Database Controlを使用してリスナーを起動するには、次のようにします。
  1. データベースのホームページで、「一般」の下の「リスナー」リンクをクリックします。

    リスナー・ページが表示されます。

  2. 「開始」をクリックします。


    注意:

    リスナーを停止した直後で、Database Controlのリスナー・ページが開いたままのときには、「開始」ボタンは表示されません。データベースのホームページに移動し、1、2分待ってからリスナー・ページに戻る必要があります。 


コマンドラインからリスナーを停止するには、次のようにします。
  1. コマンド・ウィンドウを開きます。

  2. (LinuxおよびUNIXシステムのみ)oraenv(Bourne、KornまたはBashシェルの場合)またはcoraenv(Cシェルの場合)スクリプトを実行して、要求された環境変数を設定します。

    これらのスクリプトは通常、/usr/local/binにあります。スクリプトでは、ORACLE_SID環境変数の特定の値を要求されます。この場合、Oracle Databaseのインストール時に選択したシステムID(SID)を指定します。通常、インストーラが提示するデフォルトのSIDはorclです。

  3. (LinuxおよびUNIXシステムのみ)PATH環境変数にOracle_home/binディレクトリが指定されていることを確認し、指定がない場合は、Oracle_home/binに変更します。

  4. 次のコマンドを入力します。

    lsnrctl stop
    
コマンドラインからリスナーを起動するには、次のようにします。
  1. コマンド・ウィンドウを開きます。

  2. (LinuxおよびUNIXシステムのみ)oraenv(Bourne、KornまたはBashシェルの場合)またはcoraenv(Cシェルの場合)スクリプトを実行して、要求された環境変数を設定します。

    これらのスクリプトは通常、/usr/local/binにあります。スクリプトでは、ORACLE_SID環境変数の特定の値を要求されます。この場合、Oracle Databaseのインストール時に選択したシステムID(SID)を指定します。通常、インストーラが提示するデフォルトのSIDはorclです。

  3. (LinuxおよびUNIXシステムのみ)PATH環境変数にOracle_home/binディレクトリが指定されていることを確認し、指定がない場合は、Oracle_home/binに変更します。

  4. 次のコマンドを入力します。

    lsnrctl start
    

クライアント・コンピュータからOracle Databaseへの接続

この項では、SQL*Plusの使用方法、およびクライアント・コンピュータからOracle Databaseに接続するための簡易接続ネーミング・メソッドについて説明します。通常、SQL*Plusは、Oracle Databaseクライアント・ソフトウェアのインストール時にインストールされます。簡易接続ネーミング・メソッドを使用すると、最初にOracle Net Servicesを構成せずにデータベースへのTCP/IP接続を確立できます。

簡易接続ネーミングを使用してクライアント・コンピュータからOracle Databaseに接続するには、次の手順を実行します。
  1. (UNIXおよびLinuxのみ)必要な環境変数が設定されていることを確認します。少なくともPATHおよびORACLE_HOMEが設定されている必要があります。

  2. 次のいずれかの操作を実行してSQL*Plusを起動します。

    • UNIX、LinuxまたはWindowsでは、コマンド・ウィンドウを開いて次のコマンドを入力します。

      sqlplus
      
      
    • Windowsでは、「スタート」をクリックして、「プログラム」(または「すべてのプログラム」)→「Oracle - HOME_NAME」→「Application Development」「SQL*Plus」を選択します。

  3. プロンプトが表示されたら、ユーザー名の後にアットマーク(@)と接続識別子を入力します。接続識別子の形式は次のとおりです。

    "[//]host[:port]/service_name"
    
    

    各要素の意味は次のとおりです。

    • hostは、Oracle Databaseホスト・コンピュータの名前またはIPアドレスです。

    • port(オプション)は、Oracle Netリスナーが接続をリスニングするTCPポート番号です。

      portを除外すると、標準ポート番号1521が想定されます。

    • service_nameは、データベースによって定義されたサービスの1つです。

      サービス名が具体的に定義されていない場合は、デフォルトで作成されるサービスの名前を使用できます。このサービス名はデフォルトで、データベース名(DB_NAMEパラメータ)とドメイン名(DB_DOMAINパラメータ)で構成されるグローバル・データベース名に設定されます。

    たとえば、ホストdb.us.example.comのデータベース・サービスorcl.us.example.comにユーザーNICKとして接続する場合は、ユーザー名のプロンプトに次のように入力します。

    nick@"db.us.example.com/orcl.us.example.com"
    
    
  4. プロンプトが表示されたら、ユーザー・パスワードを入力します。

    参照:

    • SQL*Plusを使用した接続の例および環境変数の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

    • 簡易接続、接続識別子およびその他のネーミング・メソッドの詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

    • 『SQL*Plusユーザーズ・ガイドおよびリファレンス』

     

ネットワーク: Oracle by Example Series

Oracle by Example(OBE)には、このマニュアルに関するシリーズが含まれています。このOBEでは、この章のタスクを段階的に説明し、注釈付きのスクリーンショットを使用します。

ネットワークに関するOBEを参照するには、ご使用のブラウザで次のURLを指定します。

http://www.oracle.com/technology/obe/11gr1_2day_dba/network/network.htm

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