| Oracle Database 管理者ガイド 11gリリース1(11.1) E05760-03 |
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この章の内容は次のとおりです。
関連項目:
この項で説明されているガイドラインの一部を使用してデータベースを計画した後、グラフィカル・ツールまたはSQLコマンドを使用してデータベースを作成できます。通常は、Oracle Databaseソフトウェアのインストール時にデータベースを作成します。ただし、インストール後にもデータベースを作成できます。インストール後にデータベースを作成する理由には、次のものがあります。
データベースを作成する具体的な方法には、次の方法があります。
「DBCAを使用したデータベースの作成」を参照してください。
CREATE DATABASE SQL文を使用「CREATE DATABASE文を使用したデータベースの作成」を参照してください。
データベースの作成では、いくつかのオペレーティング・システム・ファイルを準備することで、それらのファイルをOracle Databaseとしてまとめて動作できるようにします。データベースは、データファイルの数やアクセスするインスタンスの数にかかわらず、一度のみ作成します。データベースの作成では、既存のデータベース内の情報を消去し、同じ名前と物理構造を持つ新規データベースを作成することもできます。
この項の内容は、次のとおりです。
データベースの作成を準備するには、調査と綿密な計画が必要です。表2-1に、推奨する処理を示します。
新しいデータベースを作成するには、次の前提条件を満たす必要があります。
各前提条件については、オペレーティング・システム固有の『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。Oracle Universal Installerを使用すると、表示される手順に従ってインストールでき、環境変数、ディレクトリ構造および認可の設定に関するヘルプが表示されます。
Database Configuration Assistant(DBCA)はほとんど自動化されており、DBCAが完了するとデータベースが使用可能状態になるので、この方法でデータベースを作成することをお薦めします。選択したインストール・タイプによっては、Oracle Universal Installer(OUI)からDBCAを起動できます。また、Oracle Databaseをインストール後は、スタンドアロン・ツールとして、いつでもDBCAを起動できます。
DBCAは、対話型モードまたは非対話型(サイレント)モードで実行できます。 対話型モードには、データベースを作成して構成するためのグラフィカル・インタフェースおよびガイド付きワークフローが用意されています。 非対話型(サイレント)モードでは、データベース作成スクリプトを記述できます。 DBCAを非対話型(サイレント)モードで実行するには、コマンドライン引数またはレスポンス・ファイル、あるいはその両方を指定します。
対話型DBCAを使用したデータベースの作成方法の詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。
非対話型(サイレント)モードのDBCAの使用方法の詳細は、使用しているプラットフォームのインストレーション・ガイドの付録Aを参照してください。
次の例では、DBCAにコマンドライン引数を渡してデータベースを作成しています。
dbca -silent -createDatabase -templateName General_Purpose.dbc -gdbname ora11g -sid ora11g -responseFile NO_VALUE -characterSet AL32UTF8 -memoryPercentage 30 -emConfiguration LOCAL Enter SYSTEM user password: password Enter SYS user password: password Copying database files 1% complete 3% complete ...
完全なサイレント操作が実行されるように、stdoutをファイルにリダイレクトできます。 ただし、その場合はコマンドライン引数またはレスポンス・ファイルに管理アカウントのパスワードを入力する必要があります。
DBCAコマンドライン引数の概要のヘルプを表示するには、次のコマンドを入力します。
dbca -help
デフォルトなど、引数の詳細は、配布媒体に同梱されているレスポンス・ファイル・テンプレートを参照してください。 このファイルの名前と場所は、使用しているプラットフォームのインストレーション・ガイドの付録Aに記載されています。
手動でデータベースを作成する場合は、CREATE DATBASE SQL文を使用します。CREATE DATABASE文を使用する場合は、実行可能なデータベースを作成する前に他の処理が必要です。この処理には、データ・ディクショナリ表のビューの作成、標準PL/SQLパッケージのインストールなどがあります。これらの処理は、準備されているスクリプトを実行して行います。
データベース作成用の既存のスクリプトがある場合は、Oracle Databaseの新機能を利用するために、これらのスクリプトの編集を検討してください。
この項の手順が適用できるのは、単一インスタンスのインストールの場合のみです。Oracle Real Application Clusters(RAC)データベースの作成手順の詳細は、使用しているプラットフォーム固有のOracle Real Application Clustersインストレーション・ガイドを参照してください。
CREATE DATABASE文を使用してデータベースを作成するには、次の手順を実行します。次の例では、mynewdbというデータベースを作成します。
手順11: スクリプトの実行によるデータ・ディクショナリ・ビューの作成
手順12: スクリプトの実行による追加オプションのインストール(オプション)
インスタンスに対して一意のOracleシステム識別子(SID)を決定し、コマンド・ウィンドウを開いて、環境変数ORACLE_SIDを設定します。後続の手順では、このコマンド・ウィンドウを使用します。
ORACLE_SIDは、後で作成して同じホスト・コンピュータで同時に実行する他のOracle Databaseインスタンスと区別するために使用されます。ORACLE_SIDは最大12文字で、文字と数字のみを使用できます。一部のプラットフォームでは、SIDの大/小文字が区別されます。
次のUNIXおよびLinuxオペレーティング・システムの例では、手順6: インスタンスへの接続で接続するインスタンスのSIDを設定しています。
次の例では、Windowsオペレーティング・システム用のSIDを設定しています。
set ORACLE_SID=mynewdb
プラットフォームによっては、環境変数を設定するか少なくとも正しく設定されていることを確認するまで、(手順6: インスタンスへの接続で必要な)SQL*Plusを起動できない場合があります。
たとえば、ほとんどのプラットフォームでは、ORACLE_SIDとORACLE_HOMEを設定する必要があります。さらに、PATH変数にORACLE_HOME/binディレクトリを含めるように設定することもお薦めします。UNIXおよびLinuxプラットフォームでは、これらの環境変数を手動で設定する必要があります。Windowsプラットフォームでは、Windowsレジストリ内のORACLE_HOMEとORACLE_SIDにOUIが値を自動的に割り当てます。インストール時にデータベースを作成しなかった場合は、レジストリ内のORACLE_SIDをOUIが設定しないため、後でデータベースを作成するときにORACLE_SID環境変数を設定する必要があります。
データベースを作成するには、作成するユーザーが認証を受け、適切なシステム権限が付与されている必要があります。必要な権限を付与された管理者として認証されるには、次の方法があります。
この手順では、認証方式を決定します。
パスワード・ファイルによる認証方法を使用する場合は、「パスワード・ファイルの作成とメンテナンス」の説明に従ってパスワード・ファイルを作成します。オペレーティング・システム認証による方法を使用する場合は、必ずオペレーティング・システムの適切なユーザー・グループのメンバーになっているユーザー・アカウントでホスト・コンピュータにログインします。たとえば、UNIXおよびLinuxプラットフォームでは、通常dbaユーザー・グループを使用します。Windowsプラットフォームでは、Oracleソフトウェアをインストールするユーザーが、必要なユーザー・グループに自動的に配置されます。
Oracleインスタンスの起動時に、初期化パラメータ・ファイルが読み込まれます。このファイルにはテキスト・ファイルかバイナリ・ファイルを使用できます。テキスト・ファイルの場合は、テキスト・エディタで作成して変更できます。バイナリ・ファイルの場合は、データベースによって作成されて動的に変更されます。バイナリ・ファイル(こちらの使用を推奨)は、サーバー・パラメータ・ファイルと呼ばれます。ここで示す手順では、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを作成します。後述の手順で、テキスト・ファイルからサーバー・パラメータ・ファイルを作成します。
テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを作成する方法の1つは、「初期化パラメータ・ファイルのサンプル」に記載されているサンプルを編集する方法です。
操作を容易にするために、デフォルトのファイル名を使用して、Oracle Databaseのデフォルトの場所に初期化パラメータ・ファイルを配置します。こうすることにより、Oracle Databaseが初期化パラメータ・ファイルのデフォルトの場所を自動的に参照するため、データベースの起動時にSTARTUPコマンドのPFILE句を指定する必要がなくなります。
使用しているプラットフォームの初期化パラメータ・ファイルのデフォルトのファイル名や場所など、初期化パラメータおよび初期化パラメータ・ファイルの詳細は、「初期化パラメータと初期化パラメータ・ファイルの概要」を参照してください。
Windowsプラットフォームでは、インスタンスが存在しない場合には、インスタンスに接続する前に手動で作成する必要があります。ORADIMコマンドを実行すると、新しいWindowsサービスが作成されて、Oracleインスタンスが作成されます。
インスタンスを作成する手順は、次のとおりです。
oradim -NEW -SID sid -STARTMODE MANUAL -PFILE pfile
sidは対象のSID(mynewdbなど)、pfileはテキスト形式の初期化パラメータ・ファイルへの完全パスです。このコマンドでは、インスタンスは作成されますが起動されません。
ORADIMコマンドの詳細は、『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイド for Microsoft Windows』のOracleデータベース・インスタンスの管理にORADIMを使用する方法に関する項を参照してください。
SQL*Plusを起動して、SYSDBAシステム権限でOracle Databaseインスタンスに接続します。
SYSパスワードを入力します。
$ sqlplus /nolog SQL> CONNECT SYS AS SYSDBA
$ sqlplus /nolog SQL> CONNECT / AS SYSDBA
SQL*Plusが次のメッセージを表示します。
Connected to an idle instance.
サーバー・パラメータ・ファイルを使用すると、ALTER SYSTEMコマンドを使用して初期化パラメータを変更でき、変更内容はデータベースを停止して起動した後も持続します。サーバー・パラメータ・ファイルは、編集済のテキスト形式の初期化ファイルから作成します。
次のSQL*Plusコマンドでは、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイル(PFILE)がデフォルトの場所のデフォルトのファイル名で読み込まれ、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルからサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)が作成されて、SPFILEがデフォルトのSPFILE名でデフォルトの場所に書き込まれます。
CREATE SPFILE FROM PFILE;
デフォルトのファイル名と場所を使用していない場合は、PFILEとSPFILEの両方のファイル名とパスワードを指定することもできます。
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注意: この時点でのサーバー・パラメータ・ファイルの作成はオプションですが、作成することをお薦めします。サーバー・パラメータ・ファイルを作成しないと、インスタンスが起動されるたびにテキスト形式の初期化パラメータ・ファイルが引き続き読み込まれます。
重要: Oracle Managed Filesを使用しており、初期化パラメータ・ファイルに |
データベースをマウントせずにインスタンスを起動します。通常、この方法で起動するのはデータベースの作成時またはメンテナンス時のみです。STARTUPコマンドで、NOMOUNT句を指定します。この例では、初期化パラメータ・ファイルまたはサーバー・パラメータ・ファイルがデフォルトの場所に配置されているため、PFILE句の指定は不要です。
STARTUP NOMOUNT
この時点で、インスタンス・メモリーが割り当てられて、インスタンスのプロセスが起動されます。データベース自体はまだ存在しません。
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関連項目:
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新しいデータベースを作成するには、CREATE DATABASE文を使用します。
次の文では、データベースmynewdbを作成します。このデータベース名は、初期化パラメータ・ファイルのDB_NAMEパラメータと同じにする必要があります。たとえば、次のような場合を考えてみます。
CONTROL_FILESパラメータには、制御ファイルの数と場所が指定されています。
/u01/app/oracle/oradata/mynewdbが存在します。
CREATE DATABASE mynewdb USER SYS IDENTIFIED BY sys_password USER SYSTEM IDENTIFIED BY system_password LOGFILE GROUP 1 ('/u01/app/oracle/oradata/mynewdb/redo01.log') SIZE 100M, GROUP 2 ('/u01/app/oracle/oradata/mynewdb/redo02.log') SIZE 100M, GROUP 3 ('/u01/app/oracle/oradata/mynewdb/redo03.log') SIZE 100M MAXLOGFILES 5 MAXLOGMEMBERS 5 MAXLOGHISTORY 1 MAXDATAFILES 100 CHARACTER SET US7ASCII NATIONAL CHARACTER SET AL16UTF16 EXTENT MANAGEMENT LOCAL DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/mynewdb/system01.dbf' SIZE 325M REUSE SYSAUX DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/mynewdb/sysaux01.dbf' SIZE 325M REUSE DEFAULT TABLESPACE users DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/mynewdb/users01.dbf' SIZE 500M REUSE AUTOEXTEND ON MAXSIZE UNLIMITED DEFAULT TEMPORARY TABLESPACE tempts1 TEMPFILE '/u01/app/oracle/oradata/mynewdb/temp01.dbf' SIZE 20M REUSE UNDO TABLESPACE undotbs DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/mynewdb/undotbs01.dbf' SIZE 200M REUSE AUTOEXTEND ON MAXSIZE UNLIMITED;
次の特性を持つデータベースが作成されます。
mynewdbという名前が付けられます。グローバル・データベース名はmynewdb.us.oracle.comになります。ドメイン部分(us.oracle.com)は初期化ファイルから取得されます。 「グローバル・データベース名の決定」を参照してください。
CONTROL_FILES初期化パラメータ(データベース作成前に初期化パラメータ・ファイルに設定)で指定された3つの制御ファイルが作成されます。 「初期化パラメータ・ファイルのサンプル」および「制御ファイルの指定」を参照してください。
SYSとSYSTEMのパスワードが指定した値に設定されます。リリース11gからは、パスワードの大/小文字が区別されます。SYSおよびSYSTEMのパスワードを指定する2つの句は、このリリースのOracle Databaseではオプションです。ただし、指定する場合は、両方の句を指定する必要があります。 これらの句の使用方法の詳細は、「データベースの保護: ユーザーSYSおよびSYSTEMのパスワードの指定」を参照してください。
LOGFILE句で指定された3つのREDOログ・ファイルがあります。MAXLOGFILES、MAXLOGMEMBERSおよびMAXLOGHISTORYは、REDOログの制限を定義します。 第10章「REDOログの管理」を参照してください。
MAXDATAFILESによって、このデータベースでオープンできるデータファイルの最大数が指定されます。この数は、制御ファイルの初期サイズに影響を及ぼします。
US7ASCIIキャラクタ・セットが使用されます。
NATIONAL CHARACTER SETとしてAL16UTF16キャラクタ・セットが指定されます。このキャラクタ・セットは、特にNCHAR、NCLOBまたはNVARCHAR2として定義された列にデータを格納する際に使用されます。
DATAFILE句で指定したとおりに、SYSTEM表領域(オペレーティング・システム・ファイル/u01/app/oracle/oradata/mynewdb/system01.dbfからなる)が作成されます。指定した名前のファイルがすでに存在する場合は上書きされます。
SYSTEM表領域はローカル管理の表領域として作成されます。 「ローカル管理のSYSTEM表領域の作成」を参照してください。
SYSAUX DATAFILE句で指定したとおりに、SYSAUX表領域(オペレーティング・システム・ファイル/u01/oracle/oradata/mynewdb/sysaux01.dbfからなる)が作成されます。 「SYSAUX表領域の概要」を参照してください。
DEFAULT TABLESPACE句により、指定した名前で、このデータベース用のデフォルト永続表領域が作成されます。
DEFAULT TEMPORARY TABLESPACE句により、指定した名前で、このデータベース用のデフォルト一時表領域が作成されます。 「デフォルト一時表領域の作成」を参照してください。
UNDO TABLESPACE句によって、UNDO表領域が指定の名前で作成されます。初期化パラメータ・ファイルでUNDO_MANAGEMENT=AUTOを指定した場合は、このデータベース用のUNDOデータがこのUNDO表領域に格納されます。このパラメータを省略すると、デフォルトではAUTOになります。 「自動UNDO管理の使用: UNDO表領域の作成」を参照してください。
CREATE DATABASE文ではARCHIVELOG句が指定されていないため、初期状態ではREDOログ・ファイルはアーカイブされません。これはデータベース作成時の慣例です。後でALTER DATABASE文を使用して、ARCHIVELOGモードに切り替えることができます。mynewdbのアーカイブに関連する初期化パラメータ・ファイル内の初期化パラメータは、LOG_ARCHIVE_DEST_1およびLOG_ARCHIVE_FORMATです。 第11章「アーカイブREDOログの管理」を参照してください。
ヒント:
CREATE DATABASE文で使用しているディレクトリがすべて存在することを確認します。CREATE DATABASE文ではディレクトリは作成されません。
DATAFILE句またはTEMPFILE句を指定する必要があります。
CREATE DATABASE文を失敗後に再発行する場合は、最初にインスタンスを停止してから、前のCREATE DATABASE文で作成されたファイルを削除する必要があります。
この例では、Oracle Managed Filesを使用したデータベースの作成例を示します。この方法では、CREATE DATABASE文をより簡単にできます。Oracle Managed Filesを使用するには、初期化パラメータDB_CREATE_FILE_DESTを設定する必要があります。このパラメータには、データベースで作成されて自動的に名前が付けられる様々なデータベース・ファイル用のベース・ディレクトリを定義します。次の文は、初期化パラメータ・ファイルにこのパラメータを設定する例を示しています。
DB_CREATE_FILE_DEST='/u01/app/oracle/oradata'
Oracle Managed Filesおよび次のCREATE DATABASE文を使用すると、SYSTEM表領域とSYSAUX表領域および文に指定されている追加の表領域がデータベースによって作成され、すべてのデータファイル、制御ファイルおよびREDOログ・ファイルのデフォルト・サイズとプロパティが選択されます。この方法で設定されるこれらのプロパティおよび他のデフォルト・データベース・プロパティは本番環境には適さない場合があるため、生成された設定を調べて必要に応じて変更することをお薦めします。
CREATE DATABASE mynewdb USER SYS IDENTIFIED BY sys_password USER SYSTEM IDENTIFIED BY system_password EXTENT MANAGEMENT LOCAL DEFAULT TEMPORARY TABLESPACE temp UNDO TABLESPACE undotbs1 DEFAULT TABLESPACE users;
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ヒント:
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関連項目:
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データベースを稼働させるには、アプリケーション・データ用に表領域を追加作成する必要があります。次のサンプル・スクリプトは、追加の表領域を作成します。
CREATE TABLESPACE apps_tbs LOGGING DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/mynewdb/apps01.dbf' SIZE 500M REUSE AUTOEXTEND ON NEXT 1280K MAXSIZE UNLIMITED EXTENT MANAGEMENT LOCAL; -- create a tablespace for indexes, separate from user tablespace (optional) CREATE TABLESPACE indx_tbs LOGGING DATAFILE '/u01/app/oracle/oradata/mynewdb/indx01.dbf' SIZE 100M REUSE AUTOEXTEND ON NEXT 1280K MAXSIZE UNLIMITED EXTENT MANAGEMENT LOCAL;
表領域の作成方法の詳細は、第12章「表領域の管理」を参照してください。
データ・ディクショナリ・ビュー、シノニムおよびPL/SQLパッケージの作成およびSQL*Plusの適切な稼働に必要なスクリプトを実行します。
@?/rdbms/admin/catalog.sql @?/rdbms/admin/catproc.sql @?/sqlplus/admin/pupbld.sql EXIT
アットマーク(@)はSQL*Plusスクリプトを実行するコマンドの省略記述です。疑問符(?)はOracleホーム・ディレクトリを表すSQL*Plusの変数です。次の表に、スクリプトの説明を示します。
必要に応じて、他のスクリプトも実行できます。実行するスクリプトは、使用またはインストール対象として選択する機能とオプションによって異なります。 使用可能なスクリプトは、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。
このデータベースとともに稼働する他のOracle製品をインストールする場合は、それらの製品のインストール方法を参照してください。製品によっては、追加のデータ・ディクショナリ表を作成する必要があります。通常は、これらの表を作成して、データベースのデータ・ディクショナリにロードするためのコマンド・ファイルが提供されます。
インストールを計画している製品のインストールと管理の方法は、製品固有のOracleマニュアルを参照してください。
メディア障害が発生した場合にリカバリするための完全なファイル・セットが確実に存在するように、データベースの全体バックアップを作成してください。 データベースのバックアップの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・アドバンスト・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
ホスト・コンピュータの再起動時に、Oracleインスタンスが自動的に起動されるように構成する必要がある場合があります。手順については、使用しているオペレーティング・システムのマニュアルを参照してください。たとえばWindowsでは、次のコマンドを使用して、コンピュータの再起動時にデータベース・サービスがインスタンスを起動するように構成します。
ORADIM -EDIT -SID sid -STARTMODE AUTO -SRVCSTART SYSTEM [-SPFILE]
自動再起動時にインスタンスがSPFILEを読み込むようにする場合は、-SPFILE引数を使用する必要があります。
ORADIMコマンドの詳細は、『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイド for Microsoft Windows』のOracleデータベース・インスタンスの管理にORADIMを使用する方法に関する項を参照してください。
CREATE DATABASE文を実行すると、Oracle Databaseはいくつかの操作を実行します。実際の操作は、CREATE DATABASE文で指定した句、および初期化パラメータの設定に応じて実行されます。Oracle Databaseが最低限実行する操作は、次のとおりです。
ARCHIVELOGモードの設定
SYSTEM表領域の作成
SYSAUX表領域の作成
この項では、CREATE DATABASE文の複数の句について説明します。 これには、「手順9: CREATE DATABASE文の発行」で説明した句と、その他の句が含まれます。 ここで説明するCREATE DATABASEの句の多くは、データベースの作成と管理を簡素化するために使用できます。
この項の内容は、次のとおりです。
CREATE DATABASE文でユーザーSYSおよびSYSTEMのパスワード指定に使用する句は、次のとおりです。
これらの句を省略すると、これらのユーザーにはそれぞれデフォルトのパスワードchange_on_installおよびmanagerが割り当てられます。デフォルトのパスワードが使用された場合は、そのことを示すレコードがアラート・ログに書き込まれます。データベースを保護するには、データベース作成直後にALTER USER文を使用して、これらのパスワードを変更する必要があります。
これらの句は、このリリースのOracle Databaseではオプションですが、指定することをお薦めします。デフォルトのパスワードは一般に知られており、後で変更するのを怠ると、データベースを悪意のユーザーによる攻撃にさらすことになります。
パスワードを選択するときには、リリース11g以降ではパスワードの大/小文字が区別されることに注意してくださいまた、使用中のデータベースにパスワード形式の要件が設定されている場合もあります。 詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』のOracleデータベースによるパスワードの複雑度の検証方法に関する項を参照してください。
CREATE DATABASE文にEXTENT MANAGEMENT LOCAL句を指定すると、ローカル管理のSYSTEM表領域を作成できます。この文を正常に実行するには、COMPATIBLE初期化パラメータを10.0.0以上に設定する必要があります。EXTENT MANAGEMENT LOCAL句を指定しない場合は、デフォルトでディクショナリ管理のSYSTEM表領域が作成されます。ディクショナリ管理表領域は非推奨です。
ローカル管理のSYSTEM表領域を指定してデータベースを作成する場合にOracle Managed Filesを使用していない場合は、次の条件が満たされているかどうかを確認してください。
DEFAULT TEMPORARY TABLESPACE句をCREATE DATABASE文に指定
UNDO TABLESPACE句をCREATE DATABASE文に指定
関連項目:
SYSTEM表領域に対してEXTENT MANAGEMENT LOCALを指定する場合のDEFAULT TEMPORARY TABLESPACE句およびUNDO TABLESPACE句の使用に関する詳細は、『Oracle Database SQLリファレンス』を参照してください。
SYSAUX表領域は、データベース作成時に必ず作成されます。このSYSAUX表領域は、SYSTEM表領域の補助的な表領域として機能します。この表領域は、以前に固有の表領域を必要としていたOracle Databaseの多くの機能と製品に対するデフォルト表領域であるため、データベースで必要な表領域の数が削減されます。また、SYSTEM表領域の負荷も軽減されます。
SYSAUX表領域に対して指定できるのは、データファイルの属性のみで、CREATE DATABASE文でSYSAUX DATAFILE句を使用して指定します。SYSAUX表領域の必須属性はOracle Databaseによって設定されます。次の必須属性があります。
これらの属性は、ALTER TABLESPACE文で変更できません。変更しようとするとエラーが発生します。また、SYSAUX表領域の削除や名前の変更はできません。
SYSAUX表領域のサイズは、SYSAUXを使用するデータベース・コンポーネントのサイズにより決定します。SYSAUX占有データを使用する全コンポーネントのリストは、表2-2を参照してください。これらのコンポーネントの初期サイズに基づいて、SYSAUX表領域には、データベース作成時に最低限240MB必要です。SYSAUX表領域の領域要件は、データベースが完全にデプロイされた後、その使用状況やワークロードによって増加します。変動する基準に基づいてSYSAUX表領域の領域消費を管理する方法の詳細は、「SYSAUX表領域の管理」を参照してください。
SYSTEM表領域に対してDATAFILE句を指定している場合は、SYSAUX DATAFILE句も指定する必要があります。指定しない場合は、CREATE DATABASE文が失敗します。 この要件は、Oracle Managed Files機能が使用可能な場合は適用されません(「データベース作成時のOracle Managed Filesの作成」を参照してください)。
SYSAUX表領域のセキュリティ属性はSYSTEM表領域と同じです。
表2-2に、インストール時のデフォルト表領域としてSYSAUX表領域を使用するコンポーネント、および以前のリリースでそのコンポーネントが格納されていた表領域を示します。
自動UNDO管理ではUNDO表領域が使用されます。自動UNDO管理を使用可能にするには、初期化パラメータ・ファイルでUNDO_MANAGEMENT初期化パラメータをAUTOに設定します。このパラメータを省略すると、デフォルトでデータベースが自動UNDO管理になります。このモードでは、UNDOデータがUNDO表領域に格納され、Oracle Databaseによって管理されます。UNDO表領域を定義して名前を付ける必要がある場合は、データベース作成時にCREATE DATABASE文にUNDO TABLESPACE句を指定する必要があります。この句を省略して自動UNDO管理を使用可能にすると、デフォルトのUNDO表領域SYS_UNDOTBSが作成されます。
CREATE DATABASE文でDEFAULT TABLESPACE句を指定すると、データベースのデフォルト永続表領域が作成されます。この表領域は、Oracle Databaseによって、別の永続表領域が明示的に指定されていないSYSTEM以外のユーザーに対して割り当てられます。この句を指定しない場合、SYSTEM以外のユーザーに対するデフォルトの永続表領域はSYSTEM表領域です。デフォルトの永続表領域を作成することをお薦めします。
CREATE DATABASE文でDEFAULT TEMPORARY TABLESPACE句を指定すると、データベースにデフォルトの一時表領域が作成されます。Oracle Databaseは、この表領域を、一時表領域が明示的に割り当てられていないユーザーに対して一時表領域として割り当てます。
一時表領域または表領域グループは、CREATE USER文で明示的にユーザーに割り当てることができます。ただし、明示的に割り当てない場合は、データベースにデフォルトの一時表領域が指定されていないと、これらのユーザーにはデフォルトで一時表領域としてSYSTEM表領域が割り当てられます。一時データをSYSTEM表領域に格納するのはよい方法ではなく、各ユーザーを個別に一時表領域に割り当てる方法は効率的ではありません。したがって、CREATE DATABASEのDEFAULT TEMPORARY TABLESPACE句の使用をお薦めします。
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注意:
ローカル管理の |
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関連項目:
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Oracle Managed Files機能を使用すると、CREATE DATABASE文に指定する句とパラメータの数を最小限に抑えることができます。この機能を使用するには、Oracle Databaseによってファイルが作成および管理されるディレクトリまたはAutomatic Storage Management(ASM)ディスク・グループのいずれかを指定します。
初期化パラメータ・ファイルにDB_CREATE_FILE_DEST、DB_CREATE_ONLINE_LOG_DEST_nまたはDB_RECOVERY_FILE_DEST初期化パラメータを設定すると、データベースの基礎となるオペレーティング・システム・ファイルをOracle Databaseで作成および管理できます。指定した初期化パラメータおよびCREATE DATABASE文で指定した句に応じて、次のデータベース構造のオペレーティング・システム・ファイルがOracle Databaseによって自動的に作成および管理されます。
次のCREATE DATABASE文で、Oracle Managed Files機能の動作を示します。必要な初期化パラメータは指定されているとします。
CREATE DATABASE mynewdb USER SYS IDENTIFIED BY sys_password USER SYSTEM IDENTIFIED BY system_password EXTENT MANAGEMENT LOCAL UNDO TABLESPACE undotbs DEFAULT TEMPORARY TABLESPACE tempts1 DEFAULT TABLESPACE users;
SYSTEM表領域はローカル管理の表領域として作成されます。EXTENT MANAGEMENT LOCAL句を指定しないと、SYSTEM表領域はディクショナリ管理として作成されます。この方法はお薦めしません。
DATAFILE句が指定されていないため、Oracle Managed FilesのSYSTEM表領域用のデータファイルが作成されます。
LOGFILE句が指定されていないため、Oracleが管理するREDOログ・ファイルのグループが2つ作成されます。
SYSAUX DATAFILEが指定されていないため、Oracle Managed FilesのSYSAUX表領域用のデータファイルが作成されます。
UNDO TABLESPACE句およびDEFAULT TABLESPACE句にDATAFILE副次句が指定されていないため、これらの各表領域用にOracle Managed Filesのデータファイルが作成されます。
DEFAULT TEMPORARY TABLESPACE句にTEMPFILE副次句が指定されていないため、Oracle Managed Filesの一時ファイルが作成されます。
CONTROL_FILES初期化パラメータが指定されていない場合は、Oracle Managed Filesの制御ファイルも作成されます。
関連項目:
Oracle Databaseでは、大型ファイル表領域を作成できるようにすることで、表領域の管理を簡素化し、大規模なデータベースのサポートを可能にしています。大型ファイル表領域に含めることができるファイルは1つのみですが、そのファイルには最大40億ブロックまで設定できます。Oracle Databaseでは、データファイルの最大数が制限されています(通常は64000ファイル)。したがって、大型ファイル表領域によって、Oracle Databaseの記憶域容量が大幅に増加します。
この項では、大型ファイル表領域のサポートを可能にするCREATE DATABASE文の句について説明します。
CREATE DATABASE文のSET DEFAULT...TABLESPACE句によって、後続のCREATE TABLESPACE文でこのデータベースに使用される表領域のデフォルト・タイプが決定します。SET DEFAULT BIGFILE TABLESPACEまたはSET DEFAULT SMALLFILE TABLESPACEを指定します。この句を省略すると、デフォルトでは、従来のタイプのOracle Database表領域である小型ファイル表領域が作成されます。小型ファイル表領域には最大1022ファイルを含めることができ、それぞれ400万ブロックまで設定できます。
大型ファイル表領域を使用すると、Oracle Managed Filesの機能がさらに強化されます。これは、大型ファイル表領域によって、データファイルがユーザーに対して完全に透過的になるためです。ALTER TABLESPACE文のSQL構文は、基礎となるデータファイルではなく表領域で操作を実行できるように拡張されています。
表領域のデフォルト・タイプが大型ファイル表領域であることを指定するには、「データベース作成時のOracle Managed Filesの作成」に示したCREATE DATABASE文を次のように変更します。
CREATE DATABASE mynewdb USER SYS IDENTIFIED BY sys_password USER SYSTEM IDENTIFIED BY system_password SET DEFAULT BIGFILE TABLESPACE UNDO TABLESPACE undotbs DEFAULT TEMPORARY TABLESPACE tempts1;
デフォルトの表領域タイプをデータベース作成後に動的に変更するには、ALTER DATABASE文のSET DEFAULT TABLESPACE句を使用します。
ALTER DATABASE SET DEFAULT BIGFILE TABLESPACE;
データベースの現行のデフォルト一時表領域タイプを判断するには、DATABASE_PROPERTIESデータ・ディクショナリ・ビューを次のように問い合せます。
SELECT PROPERTY_VALUE FROM DATABASE_PROPERTIES WHERE PROPERTY_NAME = 'DEFAULT_TBS_TYPE';
SYSTEMおよびSYSAUX表領域は、常にデフォルトの表領域タイプで作成されます。ただし、UNDOおよびDEFAULT TEMPORARY表領域のデフォルトの表領域タイプは、CREATE DATABASE操作時に、明示的に上書きできます。
たとえば、次のように指定すると、デフォルトの表領域タイプが小型ファイルのデータベースで、大型ファイルのUNDO表領域を作成できます。
CREATE DATABASE mynewdb ... BIGFILE UNDO TABLESPACE undotbs DATAFILE '/u01/oracle/oradata/mynewdb/undotbs01.dbf' SIZE 200M REUSE AUTOEXTEND ON MAXSIZE UNLIMITED;
次のように指定すると、デフォルトの表領域タイプが大型ファイルのデータベースで、小型ファイルのDEFAULT TEMPORARY表領域を作成できます。
CREATE DATABASE mynewdb SET DEFAULT BIGFILE TABLSPACE ... SMALLFILE DEFAULT TEMPORARY TABLESPACE tempts1 TEMPFILE '/u01/oracle/oradata/mynewdb/temp01.dbf' SIZE 20M REUSE ...
データベースのタイム・ゾーンおよびサポートするタイム・ゾーン・ファイルを指定できます。
データベースの作成時にデータベースのタイム・ゾーンを設定するには、CREATE DATABASE文でSET TIME_ZONE句を使用します。データベースのタイム・ゾーンを設定しない場合は、デフォルトでサーバーのオペレーティング・システムのタイム・ゾーンに設定されます。
セッションのデータベース・タイム・ゾーンを変更するには、ALTER SESSION文でSET TIME_ZONE句を使用します。
Oracleホーム・ディレクトリには、次の2つのタイム・ゾーン・ファイルがあります。デフォルトのタイム・ゾーン・ファイルは$ORACLE_HOME/oracore/zoneinfo/timezonelrg.datです。定義数の少ないタイム・ゾーン・ファイルは$ORACLE_HOME/oracore/zoneinfo/timezone.datにあります。
定義数の少ないタイム・ゾーン・ファイルをすでに使用していて、Oracle Database 11g環境でも引き続き使用する場合、またはデフォルトのタイム・ゾーン・ファイルのかわりに定義数の少ないタイム・ゾーン・ファイルを使用する場合は、次のタスクを実行します。
デフォルトのタイム・ゾーン・ファイルをすでに使用している場合、定義数の少ないタイム・ゾーン・ファイルに変更するのは実用的ではありません。データベースに、定義数の少ないタイム・ゾーン・ファイルには含まれていないタイム・ゾーンのデータが含まれている可能性があるためです。
情報を共有しているすべてのデータベースが同じタイム・ゾーン・データファイルを使用する必要があります。
タイム・ゾーン・ファイルには有効なタイム・ゾーン名が含まれています。タイム・ゾーンごとに次の情報が含まれています。
ファイル内で、データベースで使用されているタイム・ゾーン名を表示するには、次の問合せを実行します。
SELECT * FROM V$TIMEZONE_NAMES;
一部のデータ定義言語文(CREATE TABLEなど)では、NOLOGGING句を使用できますが、ある種のデータベース操作ではデータベースREDOログにREDOレコードが生成されません。NOLOGGING句を設定すると、データベース・リカバリ・メカニズム外で容易にリカバリできる操作は高速化されますが、メディア・リカバリとスタンバイ・データベースに悪影響を与える可能性があります。
Oracle Databaseでは、DDL文にNOLOGGINGが指定されていても、REDOレコードを強制的に書き込ませることができます。データベースでは、一時表領域と一時セグメントのREDOレコードは生成されないため、FORCE LOGGINGはオブジェクトに影響を与えません。
データベースをFORCE LOGGINGモードにするには、CREATE DATABASE文でFORCE LOGGING句を使用します。この句を指定しない場合、データベースはFORCE LOGGINGモードになりません。
データベースの作成後に、ALTER DATABASE文を使用してデータベースをFORCE LOGGINGモードにします。この文は、ロギングなしの直接書込みがすべて完了するまで待機するため、完了までに長時間かかる可能性があります。
次のSQL文を使用すると、FORCE LOGGINGモードを取り消しできます。
ALTER DATABASE NO FORCE LOGGING;
データベースに対してFORCE LOGGINGを指定するかどうかに関係なく、表領域レベルでFORCE LOGGINGまたはNO FORCE LOGGINGを選択的に指定できます。ただし、データベースのFORCE LOGGINGモードが有効になっている場合は、表領域の設定より優先されます。データベースに対して有効になっていない場合は、個々の表領域の設定が実行されます。データベース全体をFORCE LOGGINGモードにするか、または個々の表領域をFORCE LOGGINGモードにすることをお薦めします。一度に両方の設定を行わないでください。
FORCE LOGGINGモードは、データベースの永続属性です。つまり、データベースが停止され、再起動されても、同じロギング・モードのままです。ただし、制御ファイルを再作成すると、CREATE CONTROL FILE文でFORCE LOGGING句を指定しないかぎり、データベースはFORCE LOGGINGモードで再起動しません。
FORCE LOGGINGモードは、ある程度のパフォーマンスの低下を伴います。主として完全メディア・リカバリを確実に行うためにFORCE LOGGINGを指定し、アクティブになっているスタンバイ・データベースがない場合は、次の点を考慮する必要があります。
データベースがNOARCHIVELOGモードで稼働している場合、通常はFORCE LOGGINGモードにする利点はありません。NOARCHIVELOGモードではメディア・リカバリが不可能であるため、FORCE LOGGINGと組み合せて使用する場合は、ほとんど利点がなく、パフォーマンスが低下する可能性があります。
ここでは、新しいデータベースを作成する前に追加または編集できるいくつかの基本的な初期化パラメータについて説明します。この項の内容は、次のとおりです。
関連項目:
Oracleインスタンスの起動時に、初期化パラメータ・ファイルから初期化パラメータが読み込まれます。初期化パラメータのうち、初期化パラメータ・ファイル内に特に設定されていないものには、デフォルト値が適用されます。
初期化パラメータ・ファイルは、読取り専用のテキスト・ファイルまたは読取り/書込みのバイナリ・ファイルです。バイナリ・ファイルは、サーバー・パラメータ・ファイルと呼ばれます。サーバー・パラメータ・ファイルを使用すると、ALTER SYSTEMコマンドを使用して初期化パラメータを変更でき、変更内容は停止して起動した後も持続します。また、Oracle Databaseによる自己チューニングの基礎ともなります。このため、サーバー・パラメータ・ファイルを使用することをお薦めします。サーバー・パラメータ・ファイルは、編集済のテキスト形式の初期化ファイルから手動で作成するか、またはデータベースを作成するためのDatabase Configuration Assistant(DBCA)を使用して自動的に作成できます。
サーバー・パラメータ・ファイルを手動で作成する前に、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを使用してインスタンスを起動できます。起動時に、Oracleインスタンスは最初にデフォルトの場所でサーバー・パラメータ・ファイルを検索し、見つからない場合は、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを検索します。また、STARTUPコマンドの引数としてテキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを指定すると、既存のサーバー・パラメータ・ファイルを上書きすることもできます。
テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルのデフォルトのファイル名と場所は、次の表のとおりです。
| プラットフォーム | デフォルト名 | デフォルトの場所 |
|---|---|---|
|
UNIXとLinux |
たとえば、
|
ORACLE_HOME/ |
|
Windows |
|
ORACLE_HOME |
Oracle Databaseを初めて作成する場合は、変更するパラメータ値の数を最小限にとどめておくことをお薦めします。データベースと環境に慣れてから、多数の初期化パラメータをALTER SYSTEM文で動的にチューニングしてください。テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを使用している場合、現行のインスタンスについてのみ変更できます。永続的に変更するには、初期化パラメータ・ファイル内で手動で更新する必要があります。それ以外の場合は、次回データベースを停止して起動すると、変更内容が失われます。サーバー・パラメータ・ファイルを使用している場合、ALTER SYSTEM 文で行った初期化パラメータ・ファイルの変更内容は、停止して起動した後も持続します。
サーバー・パラメータ・ファイルの詳細は、「サーバー・パラメータ・ファイルを使用した初期化パラメータの管理」を参照してください。 STARTUPコマンドの詳細は、「初期化パラメータおよび起動の概要」を参照してください。
テキスト形式の初期化パラメータ・ファイル(PFILE)には、次のいずれかの書式の名前/値ペアを含める必要があります。
parameter_name=value
CONTROL_FILESパラメータなど)
parameter_name=(value[,value] ...)
文字列型のパラメータ値は、一重引用符(')で囲む必要があります。 ファイル名の大/小文字区別が有効となるのは、ホスト・オペレーティング・システムで有効な場合のみです。
複数の値を受け入れるパラメータの場合、アラート・ログから名前/値ペアを簡単にコピーして貼り付けられるように、複数行でパラメータを繰り返すことができます。この場合、各行には異なる値が含まれます。
control_files='/u01/app/oracle/oradata/orcl/control01.ctl' control_files='/u01/app/oracle/oradata/orcl/control02.ctl' control_files='/u01/app/oracle/oradata/orcl/control03.ctl'
複数の値を受け入れないパラメータを繰り返した場合、最後に指定した値のみが有効です。
Oracle Databaseには通常、適切な値が設定されたテキスト形式の初期化パラメータのサンプルが用意されています。構成やオプション、およびデータベースのチューニング計画によっては、オラクル社が提供するこれらの初期化パラメータを編集し、他の初期化パラメータを追加することが可能です。
テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルのサンプルはinit.oraという名前で、ほとんどのプラットフォームの次の場所にあります。
ORACLE_HOME/dbs
サンプル・ファイルの内容は次のとおりです。
############################################################################## # Example INIT.ORA file # # This file is provided by Oracle Corporation to help you start by providing # a starting point to customize your RDBMS installation for your site. # # NOTE: The values that are used in this file are only intended to be used # as a starting point. You may want to adjust/tune those values to your # specific hardware and needs. You may also consider using Database # Configuration Assistant tool (DBCA) to create INIT file and to size your # initial set of tablespaces based on the user input. ############################################################################### # Change '<ORACLE_BASE>' to point to the oracle base (the one you specify at # install time) db_name='ORCL' memory_target=1G processes = 150 audit_file_dest='<ORACLE_BASE>/admin/orcl/adump' audit_trail ='db' db_block_size=8192 db_domain='' db_recovery_file_dest='<ORACLE_BASE>/flash_recovery_area' db_recovery_file_dest_size=2G diagnostic_dest='<ORACLE_BASE>' dispatchers='(PROTOCOL=TCP) (SERVICE=ORCLXDB)' open_cursors=300 remote_login_passwordfile='EXCLUSIVE' undo_tablespace='UNDOTBS1' # You may want to ensure that control files are created on separate physical # devices control_files = (ora_control1, ora_control2) compatible ='11.1.0'
グローバル・データベース名は、ユーザー指定のローカル・データベース名と、ネットワーク構造内でのデータベースの位置で構成されます。データベース名のローカル名コンポーネントはDB_NAME初期化パラメータによって決定し、ネットワーク構造内のドメイン(論理的な位置)はオプションで指定できるDB_DOMAINパラメータによって決定します。これら2つのパラメータの設定を組み合せて、ネットワーク内で一意となるデータベース名を形成する必要があります。
たとえば、test.us.acme.comというグローバル・データベース名を持つデータベースを作成するには、新しいパラメータ・ファイルのパラメータを次のように編集します。
DB_NAME = test DB_DOMAIN = us.acme.com
ALTER DATABASE RENAME GLOBAL_NAME文を使用すると、データベースのGLOBAL_NAMEを変更できます。ただし、最初にDB_NAMEおよびDB_DOMAIN初期化パラメータを変更し、制御ファイルを再作成した後に、データベースを停止して再起動する必要があります。制御ファイルの再作成は、ALTER DATABASE BACKUP CONTROLFILE TO TRACEコマンドで簡単に行えます。 詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・アドバンスト・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
DB_NAMEには、8文字以内のテキスト文字列を設定する必要があります。DB_NAMEに指定した名前は、データベースの作成時に、データベースのデータファイル、REDOログ・ファイルおよび制御ファイルに記録されます。データベース・インスタンスの起動時に、パラメータ・ファイル内のDB_NAMEパラメータの値と制御ファイル内のデータベース名が一致しないと、データベースは起動しません。
DB_DOMAINは、データベースが作成されるネットワーク・ドメインを指定するテキスト文字列です。作成しようとしているデータベースが分散データベース・システムの一部である場合は、データベースを作成する前に、この初期化パラメータに特に注意してください。これはオプション・パラメータです。
フラッシュ・リカバリ領域は、Oracle Databaseでバックアップおよびリカバリに関連するファイルを格納および管理できる位置です。この領域は、現行のデータベース・ファイル(データファイル、制御ファイルおよびオンラインREDOログ)用の位置であるデータベース領域とは異なります。
フラッシュ・リカバリ領域を指定するには、次の初期化パラメータを使用します。
DB_RECOVERY_FILE_DEST: フラッシュ・リカバリ領域の位置。ディレクトリ、ファイル・システムまたは自動ストレージ管理(ASM)のディスク・グループです。RAWファイル・システムにはできません。Oracle Real Application Clusters(RAC)環境では、この位置はクラスタ・ファイル・システム、ASMディスク・グループ、またはNFSを介して構成された共有ディレクトリであることが必要です。
DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE: フラッシュ・リカバリ領域で使用される最大総バイト数を指定します。この初期化パラメータは、DB_RECOVERY_FILE_DESTを使用可能にする前に指定する必要があります。
Oracle RAC環境では、これら2つのパラメータの設定がすべてのインスタンスで同じであることが必要です。
これらのパラメータは、LOG_ARCHIVE_DESTおよびLOG_ARCHIVE_DUPLEX_DESTパラメータの値を設定している場合は使用可能にできません。フラッシュ・リカバリ領域を設定する前に、これらのパラメータを使用禁止にする必要があります。かわりに、LOG_ARCHIVE_DEST_nパラメータの値を設定できます。ローカルのLOG_ARCHIVE_DEST_nに値を設定しない場合は、フラッシュ・リカバリ領域を設定すると、そのフラッシュ・リカバリ領域にLOG_ARCHIVE_DEST_10が暗黙的に設定されます。
フラッシュ・リカバリ領域によってデータベースのバックアップ操作およびリカバリ操作が簡素化されるため、この領域を使用することをお薦めします。
CONTROL_FILES初期化パラメータでは、データベースに対して1つ以上の制御ファイル名を指定します。CREATE DATABASE文を実行すると、CONTROL_FILESパラメータに記述した制御ファイルが作成されます。
初期化パラメータ・ファイルにCONTROL_FILESを指定しないと、オペレーティング・システム固有のデフォルト・ファイル名を使用して、初期化パラメータ・ファイルと同じディレクトリにOracle Databaseが制御ファイルを作成します。Oracle Managed Filesが使用可能な場合は、Oracle Managed Filesの制御ファイルが作成されます。
データベース用の制御ファイルを作成するときに新しいオペレーティング・システム・ファイルを作成する場合は、CONTROL_FILESパラメータに記述されているファイル名が現在のシステム上に存在するいずれのファイル名とも一致しないことを確認してください。データベース用の制御ファイルを作成するときに既存のファイルを再利用または上書きする場合は、CONTROL_FILESパラメータに記述されているファイル名が、現在のシステム上に存在するファイル名と一致することを確認し、CREATE DATABASE文にCONTROLFILE REUSE句を指定します。
データベースごとに、少なくとも2つの制御ファイルを別々の物理ディスク・ドライブに格納して使用することをお薦めします。
データベースの標準ブロック・サイズは、DB_BLOCK_SIZE初期化パラメータで指定します。標準ブロック・サイズはSYSTEM表領域で使用され、その他の表領域ではデフォルトとして使用されます。Oracle Databaseは、最大4つの非標準ブロック・サイズをサポートします。
標準ブロック・サイズには、最も一般的に使用するブロック・サイズを選択します。多くの場合、設定が必要なブロック・サイズは標準ブロック・サイズのみです。通常、DB_BLOCK_SIZEは4Kまたは8Kに設定します。このパラメータの値を指定しないと、オペレーティング・システム固有のデフォルト・データ・ブロック・サイズが使用されますが、大抵の場合、このデフォルト・ブロック・サイズで十分です。
データベースの作成後は、データベースを再作成する以外にブロック・サイズを変更する方法はありません。データベースのブロック・サイズがオペレーティング・システムのブロック・サイズと異なる場合は、データベースのブロック・サイズをオペレーティング・システムのブロック・サイズの倍数にする必要があります。たとえば、使用しているオペレーティング・システムのブロック・サイズが2KB(2048バイト)の場合、次のDB_BLOCK_SIZE初期化パラメータの設定は有効です。
DB_BLOCK_SIZE=4096
データ・ブロック・サイズを大きくすると、ディスクとメモリーのI/O(データのアクセスと格納)の効率が向上します。したがって、次の条件に該当する場合は、オペレーティング・システムのブロック・サイズより大きいブロック・サイズの指定を考慮してください。
CREATE TABLESPACE文でBLOCKSIZE句を指定すると、非標準のブロック・サイズを持つ表領域を作成できます。これらの非標準ブロック・サイズには、2の累乗である2KB、4KB、8KB、16KB、32KBのいずれかを指定します。最大ブロック・サイズに関するプラットフォーム固有の制限が適用されるので、プラットフォームによっては、これらのサイズの一部は指定できない場合があります。
非標準ブロック・サイズを使用する場合は、使用するすべての非標準ブロック・サイズについて、SGAメモリーのバッファ・キャッシュ領域内にサブキャッシュを構成する必要があります。 これらのサブキャッシュの構成に使用する初期化パラメータについては、「自動共有メモリー管理の使用」を参照してください。
データベースに複数のブロック・サイズを指定できる機能は、特にデータベース間で表領域をトランスポートする場合に役立ちます。たとえば、OLTP環境から、8KBの標準ブロック・サイズを使用するデータ・ウェアハウス環境に、4KBのブロック・サイズを使用する表領域をトランスポートできます。
Oracle Databaseに同時に接続できるオペレーティング・システム・プロセスの最大数は、PROCESSES初期化パラメータによって決定します。このパラメータの値は、最低でも各バックグラウンド・プロセスごとに1つ、および各ユーザー・プロセスごとに1つです。バックグラウンド・プロセスの数は、使用しているデータベースの機能によって異なります。たとえば、アドバンスト・キューイングまたはファイル・マッピング機能を使用している場合は、追加のバックグラウンド・プロセスが必要です。自動ストレージ管理を使用している場合は、データベース・インスタンス用に追加プロセスを3つ追加します。
50のユーザー・プロセスを実行する予定の場合は、PROCESSES初期化パラメータの値を70に見積もって設定することをお薦めします。
データ定義言語(DDL)の文には、内部構造の排他ロックが必要です。DDL文の実行時にこれらのロックが使用できない場合、そのすぐ後に実行していれば成功するような場合でも、DDL文は失敗します。
DDL文でロックを待機できるようにするには、DDLロック・タイムアウトを指定します。これは、DDLコマンドが必要なロックを待機する秒数であり、この秒数を超えるとDDL文は失敗します。
DDLロック・タイムアウトを指定するには、DDL_LOCK_TIMEOUTパラメータを使用します。設定可能なDDL_LOCK_TIMEOUTの値の範囲は、0〜100,000です。デフォルトは0(ゼロ)です。
DDL_LOCK_TIMEOUTは、ALTER SESSION文を使用して、システム・レベルまたはセッション・レベルで設定できます。
すべてのOracle Databaseには、データベースの変更を取り消すために使用する情報の管理方法が必要です。これらの情報は、主にコミットされる前のトランザクションの処理レコードから構成されます。これらのレコードを総称してUNDOデータと呼びます。この項では、UNDO表領域を使用する自動UNDO管理用の環境を設定する方法について説明します。
UNDO_MANAGEMENT初期化パラメータは、インスタンスを自動UNDO管理モード(UNDOがUNDO表領域に格納されます)で起動するかどうかを指定します。自動UNDO管理モードを使用可能にするには、このパラメータをAUTOに設定します。リリース11gからは、パラメータを省略するかNULLにすると、デフォルトでAUTOになります。
インスタンスを自動UNDO管理モードで起動すると、そのインスタンスは、UNDOデータを格納するためのUNDO表領域を選択しようとします。自動UNDO管理モードでデータベースが作成されている場合は、デフォルトのUNDO表領域(システム生成のSYS_UNDOTBS表領域またはユーザー指定のUNDO表領域)が、インスタンス起動時に使用されるUNDO表領域となります。インスタンスに対するこのデフォルトは、UNDO_TABLESPACE初期化パラメータに値を指定することで上書きできます。このパラメータは特に、Oracle Real Application Clusters環境のインスタンスに特定のUNDO表領域を割り当てる際に役立ちます。
UNDO表領域がUNDO_TABLESPACE初期化パラメータによって指定されていない場合は、データベース内で最初に使用可能なUNDO表領域が選択されます。使用可能なUNDO表領域がない場合、インスタンスはUNDO表領域のない状態で起動し、UNDOデータはSYSTEM表領域に書き込まれます。このモードでは実行しないようにしてください。
COMPATIBLE初期化パラメータによって、ディスクのファイル形式に影響を与える機能の使用をデータベースで使用可能または使用不可にできます。たとえば、Oracle Database 11g リリース1(11.1)データベースを作成した場合でも、初期化パラメータ・ファイルにCOMPATIBLE = 10.0.0を指定すると、11.1との互換性が必要な機能の使用を試行することによりエラーが発生します。これは、データベースが10.0.0互換性レベルにあるとみなされているためです。
データベースの互換性レベルを上げることができます。COMPATIBLE初期化パラメータを使用してデータベースの互換性を上げた場合、下位の互換性レベルの設定を使用してデータベースを起動する方法はありません。ただし、互換性を上げる前の時点にPoint-in-Timeリカバリすることはできます。
COMPATIBLEパラメータのデフォルト値は、主要な最新リリースの番号です。
指名ユーザー・ライセンスを使用している場合、Oracle Databaseではこの形式のライセンスを施行できます。データベース内に作成するユーザーの数に対して、制限を設定できます。この制限に達すると、それ以上のユーザーは作成できません。
データベースに作成するユーザー数を制限するには、次の例に示すように、そのデータベースの初期化パラメータ・ファイルにLICENSE_MAX_USERS初期化パラメータを設定します。
LICENSE_MAX_USERS = 200
Oracle Databaseの初期化パラメータは、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルに格納されていました。管理性を向上させるために、データベースを起動および停止している間も持続するバイナリ形式のサーバー・パラメータ・ファイルによる初期化パラメータのメンテナンスを選択できます。ここでは、サーバー・パラメータ・ファイルの概要を示し、各パラメータ格納方式を使用した初期化パラメータの管理方法について説明します。この項の内容は、次のとおりです。
サーバー・パラメータ・ファイルは、Oracle Databaseサーバーが稼働するマシンで管理される初期化パラメータのリポジトリと考えられます。これは、サーバー側初期化パラメータ・ファイルとして設計されています。サーバー・パラメータ・ファイルに格納された初期化パラメータは永続的で、インスタンスの実行中に行ったパラメータの変更は、インスタンスを停止し、起動しても有効です。この配置によって、ALTER SYSTEM文による変更を持続させるために、初期化パラメータを手動で更新する必要がなくなります。また、Oracle Databaseサーバーによる自己チューニングの基礎ともなります。
最初のサーバー・パラメータ・ファイルは、CREATE SPFILE文を使用して、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルから作成します(Database Configuration Assistantで直接作成することもできます)。サーバー・パラメータ・ファイルは、テキスト・エディタで編集できないバイナリ・ファイルです。Oracle Databaseには、サーバー・パラメータ・ファイル内のパラメータの設定を表示および変更するために、他のインタフェースが用意されています。
PFILE句を指定せずにSTARTUPコマンドを発行すると、Oracleインスタンスは、オペレーティング・システム固有のデフォルトの位置でサーバー・パラメータ・ファイルを検索し、そのファイルから初期化パラメータの設定を読み込みます。サーバー・パラメータ・ファイルが見つからない場合は、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを検索します。サーバー・パラメータ・ファイルがあってもテキスト形式の初期化パラメータ・ファイルの設定を優先する場合は、STARTUPコマンドの発行時にPFILE句を指定する必要があります。 サーバー・パラメータ・ファイルを使用してインスタンスを起動する方法の詳細は、「データベースの起動」を参照してください。
現在、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを使用している場合は、次の手順に従ってサーバー・パラメータ・ファイルに移行します。
CREATE SPFILE FROM PFILE文を使用して、デフォルト位置にサーバー・パラメータ・ファイルを作成します。 手順については、「サーバー・パラメータ・ファイルの作成」を参照してください。この文を実行すると、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルが読み込まれて、サーバー・パラメータ・ファイルが作成されます。CREATE SPFILE文を発行するために、データベースを起動する必要はありません。
インスタンスはデフォルト位置にある新規SPFILEを検出し、そのファイルを使用して起動します。
サーバー・パラメータ・ファイルを作成するには、CREATE SPFILE文を使用します。この文を実行するには、SYSDBAまたはSYSOPERシステム権限が必要です。
CREATE SPFILE文は、インスタンスの起動前後に実行できます。ただし、すでにサーバー・パラメータ・ファイルを使用してインスタンスを起動している場合に、インスタンスで現在使用されているのと同じサーバー・パラメータ・ファイルを再作成しようとすると、エラーが発生します。
サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)は、既存のテキスト形式の初期化パラメータ・ファイルまたはメモリーから作成できます。メモリーからのSPFILEの作成では、実行中のインスタンス内の初期化パラメータの現行値をSPFILEにコピーします。
次の例では、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイル/u01/oracle/dbs/init.oraからサーバー・パラメータ・ファイルを作成しています。 この例ではSPFILEの名前を指定していないため、ファイルは、表2-3に示したプラットフォーム固有のデフォルトの名前と場所で作成されます。
CREATE SPFILE FROM PFILE='/u01/oracle/dbs/init.ora';
次の例では、名前と場所を指定してサーバー・パラメータ・ファイルを作成しています。
CREATE SPFILE='/u01/oracle/dbs/test_spfile.ora' FROM PFILE='/u01/oracle/dbs/test_init.ora';
次の例では、メモリー内の初期化パラメータの現行値から、デフォルトの場所にサーバー・パラメータ・ファイルを作成しています。
CREATE SPFILE FROM MEMORY;
デフォルトのSPFILE名と場所を使用するか、SPFILE名と場所を指定するかどうかに関係なく、同じ名前のSPFILEがその場所にすでに存在する場合は、警告メッセージなしに上書きされます。
テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルからSPFILEを作成すると、初期化パラメータ・ファイル内のパラメータ設定と同じ行に記述されているコメントもSPFILEで管理されます。他のコメントはすべて無視されます。
SPFILEの名前と格納場所には、データベースによるデフォルト設定を使用することをお薦めします。これにより、データベースの管理が容易になります。たとえば、STARTUPコマンドはこのデフォルトの場所を想定して、SPFILEを読み込みます。
表2-3は、UNIX、LinuxおよびWindowsプラットフォームごとに、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイル(PFILE)とサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)のデフォルトの名前と場所を示しています。この表では、SPFILEをファイルと想定しています。RAWデバイスの場合、デフォルトの名前は論理ボリュームまたはパーティション・デバイスの名前となり、デフォルトの場所も異なります。
デフォルトの場所以外の場所にSPFILEを作成する場合は、そのサーバー・パラメータ・ファイルを指し示すテキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを作成する必要があります。 詳細は、「データベースの起動」を参照してください。
リリース11gからは、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)は、Oracle Hardware Assisted Resilient Data(HARD)イニシアティブに準拠した新規形式です。HARDでは、破損データが永続記憶域に書き込まれないように、ソフトウェアと記憶域ハードウェアの両方のレベルで実装されるデータ検証アルゴリズムの包括的なセットが定義されます。SPFILE内のデータについてHARD保護を完全に使用可能にするには、SPFILEがHARD対応の記憶域に存在し、データベース・インスタンスの互換性が少なくとも11.0.0に上げられている必要があります。
HARD準拠のSPFILEは、HARD対応以外の記憶域に格納できます。この場合、新規SPFILE形式では、破損SPFILEデータの検出のみがサポートされます。SPFILEをHARD対応の記憶域に格納すると、破損データが記憶域に書き込まれることはありません。
HARDの詳細、およびHARD対応のストレージ・システムを提供するストレージ・ベンダーのリストは、次のURLを参照してください。
http://www.oracle.com/technology/deploy/availability/htdocs/HARD.html
Oracleデータベースのインストールまたはアップグレード時には、完全なHARD保護のために次のガイドラインに従ってください。
リリース11gのデータベースを最初にインストールまたは作成する場合、COMPATIBLE初期化パラメータはデフォルトで11.1.0に設定されるため、HARD準拠のサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)に対するこの要件は満たされます。次に、SPFILEがHARD対応の記憶域に格納されていることを確認する必要があります。この要件を満たすには、次のいずれかを実行します。
SPFILEがデフォルトの場所に作成されます。 デフォルトの場所の詳細は、表2-3を参照してください。
SPFILE = spfile_name
spfile_nameは、HARD対応の記憶域上のSPFILEまでの完全なパスです。
PFILEおよびSPFILEのデフォルトの名前と場所に関する情報は、表2-3を参照してください。
以前のデータベース・リリースからリリース11gにアップグレードする場合は、次の手順を完了してSPFILEをHARD準拠の形式に移行し、HARD対応の記憶域に格納します。
SYSまたはSYSTEMとしてデータベースにログインし、次のコマンドを入力します。
ALTER SYSTEM SET COMPATIBLE = '11.1.0' SCOPE = SPFILE;
データベースの互換性レベルは現在11.1.0です。
SYSとしてデータベースに接続し、次のコマンドを発行します。
CREATE SPFILE = 'spfile_name' FROM MEMORY;
spfile_nameは、HARD対応の記憶域を指し示す、ファイル名までの完全なパス名です。
SPFILE = spfile_name
spfile_nameは、HARD対応の記憶域上のSPFILEまでの完全なパスです。
PFILEおよびSPFILEのデフォルトの名前と場所に関する情報は、表2-3を参照してください。
SPFILE初期化パラメータには、現在のサーバー・パラメータ・ファイルの名前を指定します。データベースでデフォルトのサーバー・パラメータ・ファイルが使用されている場合(つまり、PFILEパラメータを指定せずにSTARTUPコマンドを発行した場合)、SPFILEの値はサーバーによって内部的に設定されます。SQL*PlusコマンドのSHOW PARAMETERS SPFILE(またはパラメータの値を問い合せる他の方法)を使用すると、現在使用中のサーバー・パラメータ・ファイルの名前が表示されます。
ALTER SYSTEM文を使用すると、初期化パラメータ値を設定、変更またはデフォルトにリストアできます。テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを使用している場合、現行のインスタンスに対するパラメータの値のみALTER SYSTEM文で変更されます。これは、ディスク上のテキスト形式の初期化パラメータを自動的に更新するメカニズムがないためです。以後のインスタンスに渡すためには、ディスク上の初期化パラメータを手動で更新する必要があります。サーバー・パラメータ・ファイルを使用している場合は、このような制限はありません。
初期化パラメータには、次の2種類があります。
初期化パラメータ値を設定または変更するには、ALTER SYSTEM文でSET句を指定します。また、次の表のように、変更の適用範囲を指定する場合は、オプションのSCOPE句を指定します。
インスタンスがサーバー・パラメータ・ファイルを使用して起動していない場合にSCOPE=SPFILEまたはSCOPE=BOTHを指定すると、エラーが発生します。デフォルトは、インスタンス起動時にサーバー・パラメータ・ファイルを使用した場合はSCOPE=BOTH、テキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを使用した場合はMEMORYになります。
動的パラメータの場合は、DEFERREDキーワードを指定することもできます。このキーワードを指定すると、これから確立するセッションでのみ変更が有効になります。
SCOPEをSPFILEまたはBOTHに指定した場合は、オプションのCOMMENT句を使用すると、パラメータの更新にテキスト文字列を関連付けることができます。サーバー・パラメータ・ファイルにコメントが記述されます。
次の文は、接続を削除するまでのログイン試行の最大失敗回数を変更します。この文にはコメントが含まれており、変更をサーバー・パラメータ・ファイルにのみ適用することを明示しています。
ALTER SYSTEM SET SEC_MAX_FAILED_LOGIN_ATTEMPTS=3 COMMENT='Reduce from 10 for tighter security.' SCOPE=SPFILE;
次の例では、属性のリストをとる複雑な初期化パラメータを設定しています。値を設定するパラメータは、LOG_ARCHIVE_DEST_n初期化パラメータです。この文によって、このパラメータの既存の設定を変更するか、または新しいアーカイブ先を作成できます。
ALTER SYSTEM SET LOG_ARCHIVE_DEST_4='LOCATION=/u02/oracle/rbdb1/',MANDATORY,'REOPEN=2' COMMENT='Add new destimation on Nov 29' SCOPE=SPFILE;
値がパラメータのリストで構成されている場合は、個々の属性を位置または序数によって編集することはできません。パラメータを更新するたびに、完全な値のリストを指定する必要があります。これによって、新しいリストで古いリストが完全に置換されます。
ALTER SYSTEM RESETコマンドを使用すると、インスタンスの起動に使用したSPFILEの初期化パラメータの設定をクリア(削除)できます。SCOPE=MEMORYおよびSCOPE=BOTHはいずれも指定できません。SCOPE = SPFILE句は必要ありませんが、指定してもかまいません。
次回のデータベース起動時にデフォルト値が使用されるように、SPFILEのパラメータをクリアできます。
CREATE PFILE文を使用すると、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)をテキスト形式の初期化パラメータ・ファイルにエクスポートできます。このエクスポートは、次のような場合に必要になる場合があります。
SHOW PARAMETERSコマンド、あるいはV$PARAMETERまたはV$PARAMETER2ビューの選択と同じです。
CREATE SPFILE文を使用して再作成するという手順で、サーバー・パラメータ・ファイルを変更する場合。
PFILE句にエクスポート・ファイルを指定して、インスタンスを起動することもできます。
CREATE PFILE文を実行するには、SYSDBAまたはSYSOPERシステム権限が必要です。エクスポート・ファイルは、データベース・サーバー・マシン上に作成されます。パラメータ設定と同じ行に記述されている、パラメータに関するコメントがすべて含まれます。
次の例では、SPFILEからテキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを作成しています。
CREATE PFILE FROM SPFILE;
この例ではファイル名を指定していないため、プラットフォーム固有のデフォルト・サーバー・パラメータ・ファイルから、プラットフォーム固有の名前で初期化パラメータ・ファイルが作成されます。
次の例では、サーバー・パラメータ・ファイルからテキスト形式の初期化パラメータ・ファイルを作成していますが、複数のファイル名が指定されています。
CREATE PFILE='/u01/oracle/dbs/test_init.ora' FROM SPFILE='/u01/oracle/dbs/test_spfile.ora';
サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)をエクスポートして、そのバックアップを作成できます。詳細は、「サーバー・パラメータ・ファイルのエクスポート」を参照してください。データベースのバックアップおよびリカバリ計画がRecovery Managerを使用して実装されている場合は、Recovery Managerを使用してSPFILEのバックアップを作成できます。SPFILEのバックアップは、データベースのバックアップ作成時に自動的に作成されますが、Recovery Managerを使用すると現在アクティブになっているSPFILEのバックアップを作成できます。
サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)が失われるかまたは破損した場合は、現行インスタンスが失敗するか、またはデータベース・インスタンス起動時の次回の試行が失敗する可能性があります。SPFILEをリカバリする方法は複数あります。
CREATE SPFILE FROM MEMORY;
このコマンドでは、SPFILEはデフォルトの場所にデフォルトの名前で作成されます。新しい名前を使用して、または指定した場所にSPFILEを作成することもできます。 例については、「サーバー・パラメータ・ファイルの作成」を参照してください。
CREATE SPFILE FROM PFILE;
このコマンドは、PFILEがデフォルトの場所にあり、デフォルトの名前であると想定しています。 PFILEがデフォルト以外の場所にあるか、デフォルト以外の名前の場合に使用するコマンド構文については、「サーバー・パラメータ・ファイルの作成」を参照してください。
詳細は、「サーバー・パラメータ・ファイルのバックアップの作成」を参照してください。
インスタンスの起動時に、起動に使用された初期化パラメータがアラート・ログに書き込まれます。このセクションを(XMLタグが含まれていない)テキスト・バージョンのアラート・ログからコピーして、新規PFILEに貼り付けることができます。
詳細は、「アラート・ログの表示」を参照してください。
手順については、「サーバー・パラメータ・ファイルの作成」を参照してください。
パラメータの更新時にサーバー・パラメータ・ファイルの読込みまたは書込みでエラーが発生した場合は、アラート・ログにエラーが記録されて、サーバー・パラメータ・ファイルに対する後続のパラメータ更新がすべて無視されます。この時点では、次の処理のいずれかを実行できます。
パラメータの設定は、次の表に示すように、いくつかの方法で表示できます。
ここでは、データベース・サービスについて説明します。この項の内容は、次のとおりです。
データベース・サービス(サービス)とは、Oracle Databaseのワークロードを管理するための論理的な抽象概念です。サービスによって、ワークロードは相互に独立したグループに分割されます。各サービスは、共通の属性、サービスレベルのしきい値および優先度を持つワークロードを表します。グループ化は作業の属性に基づいて行われます。これらの属性には、使用するアプリケーション機能、アプリケーション機能を実行する場合の優先度、管理の対象となるジョブ・クラス、アプリケーション機能またはジョブ・クラスで使用するデータの範囲などが含まれる場合があります。たとえば、Oracle E-Business Suiteでは、一般会計、売掛/未収金、受注などの各役割に対するサービスが定義されています。各データベース・サービスには一意の名前が付いています。
接続要求には、データベース・サービス名を指定できます。サービス名が指定されておらず、Net Servicesファイルlistener.oraにデフォルト・サービスが指定されている場合は、デフォルト・サービスを使用して接続されます。
複数のサービスがOracle Databaseに組み込まれており、ワークロードに関する単一のシステム・イメージ、ワークロードの優先度、現実のトランザクションに対するパフォーマンス測定、およびパフォーマンス目標に違反した場合のアラートと処理を提供しています。サービスを使用すると、ワークロードの構成、管理、有効化と無効化を実行でき、さらに単一エンティティとして測定できます。これらの作業は、Database Configuration Assistant(DBCA)、Net Configuration Assistant(NetCA)、Enterprise Manager(EM)などの標準的なツールを使用して実行できます。Enterprise Managerは、表示と操作に関するサービスを全体としてサポートし、必要な場合はインスタンス・レベルへのドリルダウンをサポートしています。
Real Application Clusters(RAC)は1つ以上のインスタンスにまたがるサービスで、実際のトランザクション・パフォーマンスに基づいた現実的なワークロードの均衡化に役立ちます。これによって、エンド・トゥ・エンドの無人リカバリ、ワークロードによるロール変更、位置の完全な透過性が可能となります。また、RACを使用すると、Enterprise Manager、DBCAおよびServer Control Utility(SRVCTL)で多数のサービス機能を管理できます。
サービスは、パフォーマンス・チューニングに追加のディメンションも提供します。すべてのセッションを匿名で共有している大部分のシステムでは、「サービスとSQL」によるチューニングで「セッションとSQL」によるチューニングを置換できます。サービスを使用することで、ワークロードが表示可能および測定可能となります。リソースの使用と待機は、アプリケーションがその起因となっています。また、サービスに割り当てたリソースは、ロードの増減にあわせて調整できます。この動的なリソース割当てによって、要求の発生に対応した費用効率の高いソリューションが可能となります。たとえば、サービスを自動的に測定し、そのパフォーマンスをサービス・レベルのしきい値と比較できます。パフォーマンス違反はEnterprise Managerにレポートされるため、自動ソリューションまたはスケジュールされたソリューションを実行できます。
データベース・サービスを構成するとき、一意のグローバル名、関連するパフォーマンス目標および関連する重要性を各サービスに指定します。これらのサービスは、Oracle Databaseと緊密に統合され、データ・ディクショナリに保持されます。サービス情報は、次のサービス固有のビューで参照できます。
DBA_SERVICES
ALL_SERVICESまたはV$SERVICES
V$ACTIVE_SERVICES
V$SERVICE_STATS
V$SERVICE_EVENTS
V$SERVICE_WAIT_CLASSES
V$SERV_MOD_ACT_STATS
V$SERVICE_METRICS
V$SERVICE_METRICS_HISTORY
次の追加ビューにも、サービスに関する情報が表示されます。
Oracle Database機能のいくつかは、サービスをサポートしています。自動ワークロード・リポジトリ(AWR)は、サービスのパフォーマンスを管理します。AWRには、実行時間、待機クラスおよびサービスで使用されたリソースも含めて、サービスのパフォーマンスが記録されます。AWRは、サービス応答時間がしきい値を超えた場合、警告をアラートします。動的なビューには、現在のサービス・パフォーマンスのメトリックが時間の履歴単位でレポートされます。各サービスには、応答時間とCPU使用に関するサービス品質のしきい値があります。
さらに、データベース・リソース・マネージャによって、サービスがコンシューマ・グループにマップされます。このマッピングによって、サービスの優先度を他のサービスと関連させて自動的に管理できます。コンシューマ・グループを使用すると、比率またはリソース使用の観点から相対的な優先順序を定義できます。この点に関する詳細は、『Oracle Real Application Clusters 配置およびパフォーマンス』を参照してください。
サービスには、アプリケーション、アプリケーション機能およびデータの範囲が、機能サービスまたはデータ依存サービスとして記述されています。機能サービスは最も一般的なワークロードのマッピングです。特定の機能を使用する複数のセッションはまとめてグループ化されます。Oracle*Applications、ERP、CRMおよびiSupportの機能については、作業の機能的な分割が作成されます。SAP、ダイアログおよび更新の機能についても、作業の機能的な分割が作成されます。
これに対して、データ依存ルーティングは、データ・キーに基づいてセッションをサービスにルーティングします。作業要求のサービスへのマッピングは、アプリケーション・サーバーとTPモニターのオブジェクト関連マッピング・レイヤーで発生します。たとえば、RACでは、データベースが共有されているため、これらの範囲は要求に基づいて完全に動的にできます。
また、RACデータベースには、事前接続のアプリケーション・サービスを定義できます。事前接続のサービスは、複数のインスタンスにまたがって、障害時にサービスをサポートします。この事前接続のサービスは、TAF事前接続モードをサポートし、RAC使用時には透過的に管理されます。
アプリケーション・サービスに加えて、Oracle Databaseでは、2つの内部サービスもサポートされています。SYS$BACKGROUNDはバックグラウンド・プロセスのみで使用され、SYS$USERSはサービスに関連していないユーザー・セッションに対するデフォルトのサービスです。
DBMS_SERVICEパッケージを使用するか、またはSERVICE_NAMESパラメータを設定して、単一インスタンスのOracle Databaseにアプリケーション・サービスを作成します。応答時間の目標や各サービスの重要性は、後で、EMを介して個別に定義するか、またはEnterprise Managerの機能である「Copy Thresholds From a Baseline」を使用して「Manage Metrics」ページまたは「Edit Threshold」ページで定義できます。PL/SQLを使用して定義することもできます。
サービスを使用するために、アプリケーション・コードを変更する必要はありません。クライアント側の作業はサービスへの接続です。サーバー側の作業は、ジョブ・スケジューラに対するジョブ・クラスの作成時にサービスを指定し、分散データベースにデータベース・リンクを指定することです。サービス下で実行される作業要求は、そのサービスのパフォーマンスしきい値を継承し、サービスの一部として測定されます。
中間層アプリケーションおよびクライアントとサーバーのアプリケーションでは、サービスをTNS接続データ内の接続の一部として指定することで、サービスを利用します。この接続データは、Thick Netドライバ用のTNSnamesファイル内、Thinドライバ用のURL指定ファイル内にあるか、またはOracle Internet Directory内に保持されている可能性があります。たとえば、Oracle Application Serverのデータソースは、サービスにルーティングされるように設定されています。簡易接続ネーミングを使用している場合、この接続には、hr@myDBhost/myserviceのようなホスト名とサービス名のみが必要です。また、Oracle E-Business Suiteの場合、サービスはアプリケーション・データベース識別子で保持され、ICXパラメータのCookieに保持されます。
Oracle Scheduler、パラレル実行、Oracle Streamsアドバンスト・キューイングなどのサーバー側での作業では、ワークロード定義の一部としてサービス名を設定します。
Oracle Schedulerの場合は、ジョブ・クラスの作成時にそのジョブ・クラスで使用するサービスをオプションで定義します。実行中に複数のジョブがジョブ・クラスに割り当てられ、サービス内で複数のジョブ・クラスを実行できます。ジョブ・クラスとともにサービスを使用することで、ジョブ・スケジューラによって実行される作業が、ワークロード管理とパフォーマンス・チューニングに対して示されます。
パラレル問合せとパラレルDMLの場合、問合せコーディネータは他のクライアントと同じようにサービスに接続します。パラレル問合せプロセスは、実行中そのサービスを継承します。問合せが終了した時点で、パラレル実行プロセスはデフォルトのサービスに戻ります。
「DBCAを使用したデータベースの作成」または「CREATE DATABASE文を使用したデータベースの作成」で説明されているように、データベースの作成後はインスタンスが稼働しており、データベースがオープンしているので、通常どおりにデータベースを使用できます。必要に応じて、他の処理を実行できます。ここでは、その処理の一部について説明します。
このリリースのOracle Databaseでは、データベースのセキュリティを確保するためにいくつかの機能が拡張されました。このリリースのセキュリティ・ガイドラインは、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』にあります。これらのガイドラインを参照し、その内容に従ってデータベースを構成してください。
データベースを作成した後は、Oracle Identity Managementが活用できるように構成できます。構成方法の詳細は、『Oracle Databaseエンタープライズ・ユーザー・セキュリティ管理者ガイド』を参照してください。
新しく作成したデータベースには、データベースの管理にとって重要なユーザー・アカウントが少なくとも3つあります。SYS、SYSTEMおよびSYSMANです。認可されたユーザーのみが使用する追加の管理アカウントが提供されています。これらのアカウントを、オラクル社が提供するパスワードを理解している未認可のユーザーによる使用から保護するには、それぞれのパスワードを期限切れにして最初にロックします。データベース管理者には、これらのアカウントのロック解除とリセットに関する役割があります。
新規の各Oracle Databaseインストールで作成される事前定義のユーザー・アカウントの全リストは、『Oracle Database 2日でセキュリティ・ガイド』を参照してください。
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関連項目:
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透過的データ暗号化は、個々のデータベース列をデータファイルに格納する前に暗号化するか、表領域全体を暗号化する機能です。ユーザーが、オペレーティング・システムのツールを使用してデータファイルの内容を直接参照することによって、データベース・アクセス制御メカニズムを迂回しようとした場合でも、透過的データ暗号化によって、このようなユーザーが機密情報を参照できないようにします。
CREATE TABLE権限のあるユーザーは、暗号化対象の表の列を1つ以上選択できます。データは、データファイルおよび監査ログ(監査がオンの場合)内で暗号化されます。適切な権限のあるデータベース・ユーザーは、データを暗号化されていない形式で表示できます。 透過的データ暗号化の有効化および無効化の詳細は、『Oracle Database Advanced Security管理者ガイド』を参照してください。
アプリケーションでデータベースに接続するためにパスワード資格証明が使用される大規模なデプロイメントでは、この資格証明をクライアント側のOracleウォレットに格納できます。Oracleウォレットは、認証および署名の資格証明を格納するための安全性の高いソフトウェア・コンテナです。
クライアント側のOracleウォレットにデータベース・パスワード資格証明を格納することで、ユーザー名とパスワードをアプリケーション・コード、バッチ・ジョブまたはスクリプトに埋め込む必要がなくなります。この結果、スクリプトやアプリケーション・コードに記述したパスワードが外部にさらされる危険性が低くなり、ユーザー名とパスワードを変更するたびにコードを変更する必要がないため、メンテナンスが簡素化されます。また、アプリケーション・コードを変更する必要がないため、これらのユーザー・アカウントのパスワード管理ポリシーをさらに簡単に規定できるようになります。
外部パスワード・ストアを使用するようにクライアントを構成すると、アプリケーションでは、次の構文を使用してパスワード認証を使用しているデータベースに接続できます。
CONNECT /@database_alias
このCONNECT文では、データベース・ログイン資格証明を指定する必要はありません。かわりに、データベース・ログイン資格証明はクライアントのウォレットで検索されます。
Oracle Databaseの配布媒体には、各種のSQLファイルが格納されています。このSQLファイルでは、システムの試用、SQLの学習、追加の表、ビュー、シノニムの作成などが可能です。
Oracle Databaseには、Oracle Database機能の理解に役立つサンプル・スキーマが含まれています。Oracle Databaseに関するすべてのマニュアルと研修資料は、更新時にサンプル・スキーマ環境に変換されます。
サンプル・スキーマはDatabase Configuration Assistantによって自動的にインストールするか、手動でインストールできます。 スキーマとインストール手順の詳細は、『Oracle Databaseサンプル・スキーマ』を参照してください。
データベースの削除には、データベースのデータファイル、REDOログ・ファイル、制御ファイルおよび初期化パラメータ・ファイルの削除も含まれます。DROP DATABASE文では、すべての制御ファイルと制御ファイルに記述されている他のすべてのデータベース・ファイルが削除されます。DROP DATABASE文を正しく使用するには、次の条件をすべて満たす必要があります。
この文の例を次に示します。
DROP DATABASE;
DROP DATABASE文は、アーカイブ・ログ・ファイル、およびデータベースのコピーまたはバックアップには影響を与えません。これらのファイルを削除する場合は、Recovery Managerを使用することをお薦めします。データベースがRAWディスク上にある場合、そのRAWディスクにある実際の特殊ファイルは削除されません。
Database Configuration Assistantを使用してデータベースを作成した場合は、データベースおよびファイルの削除にこのツールを使用できます。
「パラメータ設定の表示」にリストしたビューの他に、次のビューを使用してデータベースの内容や構造に関する情報を参照できます。
| ビュー | 説明 |
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永続的なデータベース・プロパティが表示されます。 |
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グローバル・データベース名が表示されます。 |
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制御ファイル内のデータベース情報が表示されます。 |