Oracle Database 管理者ガイド 11gリリース1(11.1) E05760-03 |
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この章の内容は次のとおりです。
表は、Oracle Databaseのデータ記憶域の基本単位です。データは、行および列に格納されます。表は、employees
などの表名と一連の列で定義します。各列には列名(employee_id
、last_name
、job_id
など)、データ型(VARCHAR2
、DATE
、NUMBER
など)および幅を指定します。幅は、データ型(DATE
など)によって事前に決まる場合があります。NUMBER
データ型の列の場合は、幅ではなく、精度および位取りを定義します。行は、単一のレコードに対応する列情報の集合です。
表の各列にはルールを指定できます。これらのルールは整合性制約と呼ばれています。NOT NULL
は、整合性制約の1つです。これは、各行の列に値を指定することを強制する制約です。
透過的データ暗号化を起動して、データを暗号化してから格納できます。ユーザーが、オペレーティング・システムのツールを使用してOracleデータファイルの内容を直接参照することによって、データベース・アクセス制御メカニズムを迂回しようとした場合でも、暗号化によって、このようなユーザーが機密データを参照できないようにします。
表には仮想列を含めることもできます。仮想列は表の他の列とほぼ同じですが、値が式を評価して導出される点が異なります。式に使用できるのは、同じ表の列、定数、SQLファンクションおよびユーザー定義のPL/SQLファンクションです。仮想列に明示的に書き込むことはできません。
列の型には、LOB
、VARRAYおよびネストした表のように専用セグメントに格納されるものがあります。 LOB
とVARRAYはLOB
セグメントに格納されますが、ネストした表は記憶表に格納されます。これらのセグメントに対してSTORAGE
句を指定し、表レベルで指定した記憶域パラメータを上書きできます。
表を作成した後は、SQL文またはOracleのバルク・ロード・ユーティリティを使用してデータ行を挿入します。表データは、SQLを使用して問合せ、削除または更新できます。
関連項目:
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ここでは、表を管理するときに従うべきガイドラインについて説明します。これらのガイドラインに従うことで、表の作成や表データのロード、更新および問合せを行うときに、表の管理が容易になり、パフォーマンスの向上にもつながります。
この項の内容は、次のとおりです。
通常、アプリケーション開発者は、表などのアプリケーションの要素を設計する必要があります。データベース管理者は、アプリケーション表を保持する、基礎となる表領域に対する属性の設定を担当します。DBAまたはアプリケーション開発者は(あるいは双方が協力して)、サイトの業務に基づいて実際の表の作成を担当します。
表を設計する場合は、アプリケーション開発者と協力し、次のガイドラインを考慮してください。
COMMENT
コマンドを使用して、各表とその列の意味を記載します。
表を作成する前に、整合性制約の使用についても判断します。表の列に整合性制約を定義することによって、データベースのビジネス・ルールを自動的に徹底できます。
作成する表のタイプを決定します。次のタイプがあります。
表のタイプ | 説明 |
---|---|
通常の(ヒープ構成)表 |
この章の主な説明の対象でもある基本的で多目的な表です。この表のデータは、順序付けされていないコレクション(ヒープ)として格納されます。 |
クラスタ化表 |
クラスタ化表は、クラスタの一部となっている表です。クラスタとは、同じデータ・ブロックを共有する表のグループです。グループ化されるのは、これらの表が共通の列を共有し、多くの場合まとめて使用されるためです。 クラスタとクラスタ化表については、第20章「クラスタの管理」を参照してください。 |
索引構成表 |
通常の(ヒープ構成)表とは異なり、索引構成表のデータはBツリーの索引構造に主キー・ソート方式で格納されます。Bツリーの各索引エントリには、索引構成表の行の主キー列値以外に、非キー列値も格納されます。 索引構成表については、「索引構成表の管理」を参照してください。 |
パーティション表 |
パーティション表では、データをパーティションと呼ばれる管理が容易な単位に分割し、さらにそれをサブパーティションに分割できます。各パーティションは個々に管理でき、他のパーティションとは無関係に操作できます。これによって、可用性やパフォーマンスを考慮して適切にチューニング可能な構造を用意できます。 パーティション表については、『Oracle Database VLDBおよびパーティショニング・ガイド』を参照してください。 |
新しい表を格納する表領域を識別するには、CREATE TABLE
文にTABLESPACE
句を指定します。使用する表領域に対する適切なシステム権限と割当て権限があることを確認してください。CREATE TABLE
文で表領域を指定しない場合は、作成したユーザーのデフォルト表領域内に表が作成されます。
新しい表を含む表領域を指定するときは、その選択が意味することを確実に理解しておいてください。各表の作成時に表領域を適切に指定することによって、データベース・システムのパフォーマンスが向上し、データベース管理に必要な時間を短縮できます。
次のように、表領域を指定しない場合や不適切な表領域を指定した場合は、パフォーマンスに影響を与えます。
SYSTEM
表領域に作成すると、データ・ディクショナリ・オブジェクトとユーザー・オブジェクトの両方が同じデータファイルを求めて競合し、データベースのパフォーマンスが低下するおそれがあります。ユーザーのオブジェクトはSYSTEM
表領域に格納しないでください。これを回避するには、データベースに表領域が作成される際に、すべてのユーザーにデフォルトの表領域が割り当てられていることを確認します。
CREATE TABLE
文で副問合せ(AS SELECT
)を使用して表を作成する際は、パラレル実行を利用できます。複数のプロセスが同時に動作して表を作成するため、表を作成するときのパフォーマンスが向上します。
表作成のパラレル化については、「表作成のパラレル化」を参照してください。
表を最も効率よく作成するには、CREATE TABLE...AS SELECT
文でNOLOGGING
句を使用します。NOLOGGING
句を指定すると、表の作成中に最小限のREDO情報しか生成されません。これには、次のような利点があります。
また、NOLOGGING
句を指定することで、SQL*Loaderを使用した後続のダイレクト・ロードおよびダイレクト・ロードINSERT
操作がロギングされなくなります。後続のデータ操作文(DML)文(UPDATE
、DELETE
および従来型パスの挿入)は、表のNOLOGGING
属性の影響を受けず、REDOを生成します。
表の作成後にその表の損失(たとえば、表の作成に使用したデータにアクセスできなくなるなど)を避ける必要がある場合は、作成直後に表のバックアップを取得してください。一時的に使用するために作成する表など、そのような予防策が不要な場合もあります。
一般に、NOLOGGING
を指定して表を作成するときは、小規模な表より大規模な表のほうが相対的にパフォーマンスの向上が大きくなります。小規模な表の場合は、NOLOGGING
を指定しても、表作成に要する時間にほとんど影響はありません。 一方、大規模な表では、特に表作成をパラレル化したときにパフォーマンスが著しく向上します。
データベースがGBまたはTB以上に大きくなる場合は、表圧縮の使用を検討してください。表圧縮を使用すると、ディスク領域が節約され、バッファ・キャッシュのメモリー使用が削減されます。また、読込み中の問合せ実行速度も向上します。ただし、データのロードやDMLについてはCPUオーバーヘッドがかかります。表圧縮はアプリケーションに対して完全に透過的です。長い読取り専用操作が実行されるオンライン分析処理(OLAP)システムで特に有効ですが、オンライン・トランザクション処理(OLTP)システムでも使用できます。
表圧縮の指定には、CREATE
TABLE
文のCOMPRESS
句を使用します。既存の表に対して圧縮を使用可能にするには、この句をALTER
TABLE
文で使用します。この場合、圧縮されるデータは、圧縮を使用可能にした後で挿入または更新されたデータのみです。同様に、ALTER
TABLE
...NOCOMPRESS
文を使用すると、既存の圧縮表に対する表圧縮を使用禁止にできます。この場合、圧縮済のデータはすべて圧縮されたままになり、新規データは圧縮されずに挿入されます。
圧縮はすべての表操作に対して使用可能にするか、またはダイレクト・パス・インサートに対してのみ使用可能にできます。すべての操作に対して暗号化が使用可能な場合、圧縮は、すべてのDML文中、およびバルク(ダイレクト・パス)挿入操作でデータが挿入される場合に実行されます。従来のDMLに対して圧縮を使用可能にするには、COMPATIBLE
初期化パラメータを11.1.0以上に設定する必要があります。
すべての操作に対して圧縮を使用可能にするには、COMPRESS
FOR
ALL
OPERATIONS
句を使用する必要があります。ダイレクト・パス・インサートに対してのみ圧縮を使用可能にするには、COMPRESS
FOR
DIRECT_LOAD
OPERATIONS
句を使用します。キーワードCOMPRESS
は、単独でCOMPRESS
FOR
DIRECT_LOAD
OPERATIONS
句と同じであり、以前のデータベース・リリースと同じ圧縮動作が起動されます。
表のすべての操作で圧縮が使用可能なときには、表の列の追加および削除ができます。ダイレクト・パス・インサートに対してのみ圧縮が使用可能な場合は、列を削除できず、デフォルト値を指定しない場合にのみ列を追加できます。
次の例では、OLTPアプリケーションで使用される表transaction
のすべての操作に対して圧縮が使用可能になります。
CREATE TABLE transaction ( ... ) COMPRESS FOR ALL OPERATIONS;
次の2つの例では、データ・ウェアハウスのファクト表であるsales_history
表のダイレクト・パス・インサートに対してのみ圧縮が使用可能になります。
CREATE TABLE sales_history ( ... ) COMPRESS FOR DIRECT_LOAD OPERATIONS; CREATE TABLE sales_history ( ... ) COMPRESS;
圧縮はパーティション・レベルで使用可能または使用禁止にできます。したがって、圧縮パーティションと非圧縮パーティションの両方を含む表を作成できます。表に対する圧縮の設定とそのパーティションに対する設定が一致しない場合、パーティションについてはパーティションの設定が優先されます。次の例では、northeast
パーティション以外のすべてのパーティションが圧縮されます。
CREATE TABLE sales (saleskey number, quarter number, product number, salesperson number, amount number(12, 2), region varchar2(10)) COMPRESS PARTITION BY LIST (region) (PARTITION northwest VALUES ('NORTHWEST'), PARTITION southwest VALUES ('SOUTHWEST'), PARTITION northeast VALUES ('NORTHEAST') NOCOMPRESS, PARTITION southeast VALUES ('SOUTHEAST'), PARTITION western VALUES ('WESTERN'));
圧縮表の場合は、*_TABLES
データ・ディクショナリ・ビューのCOMPRESSION
列にENABLED
と表示されます。パーティション表の場合はこの列がNULLで、*_TAB_PARTITIONS
データ・ディクショナリ・ビューのCOMPRESSION
列に、圧縮されているパーティションが示されます。さらに、COMPRESS_FOR
列に、表の圧縮対象がFOR
ALL
OPERATIONS
(すべての操作)かDIRECT
LOAD
ONLY
(ダイレクト・ロードのみ)かが表示されます。
SQL> SELECT table_name, compression, compress_for FROM user_tables; TABLE_NAME COMPRESS COMPRESS_FOR ---------------- -------- ------------------ T1 DISABLED T2 ENABLED DIRECT LOAD ONLY T3 ENABLED FOR ALL OPERATIONS
関連項目:
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機密データを格納する個々の表の列を暗号化できます。機密データには、社会保障番号、クレジット・カード番号、医療記録などがあります。列の暗号化は、アプリケーションに対して完全に透過的ですが、いくつか制限事項があります。
暗号化は、セキュリティの問題をすべて解決するわけではありませんが、ユーザーがデータベースのセキュリティ機能を迂回して、オペレーティング・システムのファイル・システムから直接データベース・ファイルにアクセスしようとした場合に、そのユーザーからデータを保護します。
列の暗号化ではOracle Databaseの透過的データ暗号化が使用されます。この機能を使用するには、データベースのマスター暗号化キーを格納するためのOracleウォレットを作成する必要があります。暗号化列を含む表を作成する場合、および暗号化データを格納または取得する場合は、ウォレットがオープンしている必要があります。ウォレットは、オープンするとすべてのセッションで使用可能になり、明示的にクローズするか、データベースが停止されるまではオープンしたままになります。
透過的データ暗号化では、次に示すAdvanced Encryption Standard(AES)アルゴリズムやTriple Data Encryption Standard(3DES)アルゴリズムなど、業界標準の暗号化アルゴリズムがサポートされています。
使用するアルゴリズムは表の作成時に選択します。表のすべての暗号化列で同じアルゴリズムが使用されます。デフォルトはAES192です。暗号化キーの長さはアルゴリズム名で示されています。たとえば、AES128アルゴリズムでは128ビットのキーが使用されます。
1つ以上の表にある多数の列を暗号化する場合は、かわりに表領域全体を暗号化してその表領域にこれらの表を格納することも考慮できます。表領域の暗号化でも同様に透過的データ暗号化機能が使用されますが、物理的なブロック・レベルで暗号化されるため、多数の列を暗号化するよりパフォーマンスが向上します。表領域レベルで暗号化する別の理由は、列暗号化の次の制限事項に対処するためです。
COMPATIBLE
初期化パラメータが10.2.0(透過的データ暗号化を使用可能にするための最小設定値)に設定されている場合、ソートまたはハッシュ結合に関与していて一時表領域に書き込まれる暗号化列のデータは、平文で書き込まれるため、攻撃にさらされます。一時表領域に書き込まれる暗号化データを暗号化されたままにするには、COMPATIBLE
を11.1.0以上に設定する必要があります。なお、UNDO表領域またはREDOログに書き込まれる場合は、COMPATIBLE
が10.2.0以上に設定されていれば、暗号化列のデータは暗号化されたままです。
関連項目:
CREATE
TABLE
文の詳細は、『Oracle Database SQLリファレンス』を参照してください。
表を作成する前に表のサイズを見積ります。見積りは、なるべくデータベース計画の一部として実行します。データベース表のサイズと用途を確認することは、データベース計画の重要な部分です。
表の見積りサイズの合計と、索引、UNDO領域およびREDOログ・ファイルの見積りを使用して、作成するデータベースを格納するために必要なディスク容量を決定できます。この見積りによって、適切なハードウェアを購入できます。
見積ったサイズと個々の表サイズの増加率を使用すると、作成する表に最適な表領域の属性とその基礎となるデータファイルを適格に判断できます。これによって、表のディスク領域の管理が容易になり、表を使用するアプリケーションのI/Oパフォーマンスが向上します。
表の計画と使用に影響を与える可能性のある制限事項がいくつかあります。
ユーザー定義型のデータを含む表を作成すると、ユーザー定義型の列はその型データを格納するリレーショナル列にマップされます。これにより、追加のリレーショナル列が作成されます。これらのリレーショナル列は「非表示」で、DESCRIBE
表の文では表示されず、SELECT *
文でも返されません。したがって、オブジェクト表、REF
の列を持つリレーショナル表、VARRAY、ネストした表またはオブジェクト型を作成するときは、データベースが表に対して実際に作成した列の合計数が、指定した数よりも多くなることがあるので注意してください。
自分のスキーマに新しい表を作成するには、CREATE TABLE
システム権限が必要です。別のユーザーのスキーマに表を作成するには、CREATE ANY TABLE
システム権限が必要です。また、表の所有者には、その表を含む表領域に対する割当て制限またはUNLIMITED TABLESPACE
システム権限が必要です。
表はSQL文CREATE TABLE
を使用して作成します。
この項の内容は、次のとおりです。
次の文を発行すると、表admin_emp
がhr
スキーマに作成され、admin_tbs
表領域に格納されます。
CREATE TABLE hr.admin_emp ( empno NUMBER(5) PRIMARY KEY, ename VARCHAR2(15) NOT NULL, ssn NUMBER(9) ENCRYPT, job VARCHAR2(10), mgr NUMBER(5), hiredate DATE DEFAULT (sysdate), photo BLOB, sal NUMBER(7,2), hrly_rate NUMBER(7,2) GENERATED ALWAYS AS (sal/2080), comm NUMBER(7,2), deptno NUMBER(3) NOT NULL CONSTRAINT admin_dept_fkey REFERENCES hr.departments (department_id)) TABLESPACE admin_tbs STORAGE ( INITIAL 50K); COMMENT ON TABLE hr.admin_emp IS 'Enhanced employee table';
次に、この例について説明します。
STORAGE
句では、第1エクステントのサイズが指定されています。 この句の詳細は、『Oracle Database SQLリファレンス』を参照してください。
ssn
)で、Oracle Databaseの透過的データ暗号化機能を使用した暗号化が定義されています。したがって、このCREATE
TABLE
文を正常に実行するためには、Oracleウォレットがオープンしている必要があります。
photo
列のデータ型はBLOB
です。このデータ型は、ラージ・オブジェクト(LOB)と呼ばれるデータ型セットのメンバーです。LOBは、半構造化データ(例: XMLツリー)および非構造化データ(例: 色イメージのビット・ストリーム)の格納に使用されます。
hrly_rate
)が仮想列として定義されています。 この列は、年収を2,080で除算して従業員の時給を計算しています。仮想列に関するルールの説明は、『Oracle Database SQLリファレンス』を参照してください。
COMMENT
文を使用して、表に関するコメントが格納されています。 *_TAB_COMMENTS
データ・ディクショナリ・ビューを問い合せると、このようなコメントを取得できます。 詳細は、『Oracle Database SQLリファレンス』を参照してください。
関連項目:
一時表は、複数のDML操作の実行によって作成されるため、結果セットがバッファリング(一時的に保存)されるアプリケーションに有用です。たとえば、次のような場合を考えてみます。
Webベースの航空予約アプリケーションでは、顧客がオプションの旅程を複数作成できます。各旅程は一時表の行で表されます。アプリケーションは、旅程への変更を反映するように行を更新します。使用する旅程を顧客が決定すると、アプリケーションは、該当する旅程の行を永続表に移動します。
セッションの開始時から終了時まで旅程データはプライベートです。セッションの終了時に、オプションの旅程は削除されます。
一時表の定義はすべてのセッションで参照できますが、一時表内のデータを参照できるのは、そのデータを表に挿入するセッションのみです。
一時表を作成するには、CREATE GLOBAL TEMPORARY TABLE
文を使用します。ON COMMIT
句は、表のデータがトランザクション固有(デフォルト)であるか、セッション固有であるかを示します。各オプションが表す意味は、次のとおりです。
次の文では、トランザクション固有の一時表を作成しています。
CREATE GLOBAL TEMPORARY TABLE admin_work_area (startdate DATE, enddate DATE, class CHAR(20)) ON COMMIT DELETE ROWS;
一時表には索引を作成できます。この索引も一時索引であり、索引内のデータのセッションまたはトランザクションの有効範囲は、基礎となる表のデータと同じです。
デフォルトで、一時表の行は、作成したユーザーのデフォルトの一時表領域に格納されます。ただし、一時表の作成時にCREATE GLOBAL TEMPORARY TABLE
のTABLESPACE
句を使用すると、一時表を別の表領域に割り当てることができます。この機能を使用すると、一時表で使用される領域を節約できます。たとえば、小規模な一時表の操作を多数実行する必要があるとします。このとき、デフォルトの一時表領域はソート操作用に構成されているためにエクステント・サイズが大きい場合、これらの小規模な操作では不要なディスク領域が大量に消費されます。この場合は、エクステント・サイズの小さい第2の一時表領域を割り当てることをお薦めします。
次の2つの文では、エクステント・サイズが64KBで一時表領域が作成され、その表領域に新規の一時表が作成されます。
CREATE TEMPORARY TABLESPACE tbs_t1 TEMPFILE 'tbs_t1.f' SIZE 50m REUSE AUTOEXTEND ON MAXSIZE UNLIMITED EXTENT MANAGEMENT LOCAL UNIFORM SIZE 64K; CREATE GLOBAL TEMPORARY TABLE admin_work_area (startdate DATE, enddate DATE, class CHAR(20)) ON COMMIT DELETE ROWS TABLESPACE tbs_t1;
永続表とは異なり、一時表とその索引には、作成時にセグメントが自動的に割り当てられません。かわりに、最初にINSERT
(またはCREATE
TABLE
AS
SELECT
)が実行されると、セグメントが割り当てられます。これは、最初のINSERT
の前に、SELECT
、UPDATE
またはDELETE
が実行されると、表が空に見えることを意味します。
既存の一時表でDDL操作(TRUNCATE
を除く)が許可されるのは、その一時表にバインドされているセッションがない場合のみです。
トランザクションをロールバックすると、入力したデータは消失しますが、表定義はそのまま残ります。
トランザクション固有の一時表では、1回に1トランザクションのみが許可されます。単一のトランザクションに複数の自律型トランザクションがある場合、各自律型トランザクションは、直前のトランザクションのコミット直後にのみ表を使用できます。
一時表のデータは、その定義どおり一時的なため、一時表データのバックアップとリカバリはシステム障害のイベントでは使用できません。このような障害に備えて、一時表データを保存する代替方法を用意してください。
表の作成にAS SELECT
句を指定して、別の表からデータを移入すると、パラレル実行を利用できます。CREATE TABLE...AS SELECT
文には、CREATE
部分(DDL)とSELECT
部分(問合せ)の2つの部分があります。Oracle Databaseでは、この文の両方の部分をパラレル化できます。 次の条件が1つでも成り立つ場合は、CREATE
部分がパラレル化されます。
次の条件がすべて成り立つ場合は、問合せ部分がパラレル化されます。
PARALLEL
またはPARALLEL_INDEX
)が含まれている、またはCREATE
部分にPARALLEL
句が含まれている、または問合せの中で参照されるスキーマ・オブジェクトに対応付けられたPARALLEL
宣言がある。
表の作成をパラレル化した場合、その表には対応付けられたパラレル宣言(PARALLEL
句)が付きます。表に対するその後のすべてのDMLまたは問合せでは、パラレル化が可能な場合、パラレル実行の使用が試みられます。
表の作成をパラレル化し、表圧縮を使用して圧縮形式で結果を格納する簡単な文を次に示します。
CREATE TABLE hr.admin_emp_dept PARALLEL COMPRESS AS SELECT * FROM hr.employees WHERE department_id = 10;
この場合のPARALLEL
句は、表の作成時に最適な数のパラレル実行サーバーを選択することをデータベースに指示しています。
表にデータを挿入または初期ロードするには、いくつかの方法があります。最も一般的に使用される方法は、次のとおりです。
CREATE TABLE
... AS SELECT
、INSERT
およびMERGE
文の詳細は、『Oracle Database SQLリファレンス』を参照してください。
副問合せでINSERT
文を使用して表をロードすると、エラーが発生した場合は文が終了して文全体がロールバックされます。これは、時間とシステム・リソースを無駄に消費することになります。このようなINSERT
文の場合は、DMLエラー・ロギング機能を使用することで、この状況を回避できます。
DMLエラー・ロギングを使用するには、エラー・ロギング表の名前を指定する句を文に追加します。データベースは、このエラー・ロギング表にDML操作の過程で発生したエラーを記録します。このエラー・ロギング句をINSERT
文に追加すると、特定の種類のエラーでは、文が終了してロールバックされることがなくなります。かわりに、各エラーが記録され、文は続行されます。エラーが発生した行については、後で訂正処理を実行します。
DMLエラー・ロギングは、INSERT
、UPDATE
、MERGE
およびDELETE
文で機能します。ここでは、特にINSERT
文について説明します。
DMLエラー・ロギングを使用してデータを挿入する手順は、次のとおりです。
表は、手動で作成するか、またはDBMS_ERRLOG
パッケージを使用して自動的に作成できます。詳細は、「エラー・ロギング表の作成」を参照してください。
INSERT
文を実行します。この句は、次のように動作します。
ERR$_
の後に、挿入対象となる表名の最初の25文字を付加した名前です。
NULL
値が使用されます。
REJECT LIMIT
副次句を指定します。この副次句は、許容可能なエラーの最大発生数を示します。この最大数を超えると、INSERT
文が終了してロールバックされます。UNLIMITED
を指定することもできます。デフォルトの拒否の上限は0(ゼロ)です。これは、最初のエラーが発生した時点でエラーが記録され、文がロールバックされることを意味します。パラレルDML操作では、この拒否の上限が各パラレル・サーバーに対して適用されます。
エラー・ロギング句の構文については、『Oracle Database SQLリファレンス』を参照してください。
エラー・ロギング表の構造については、後述の「エラー・ロギング表の書式」を参照してください。
次の文は、DW_EMPL
表に行を挿入し、ERR_EMPL
表にエラーを記録します。タグ'daily_load
'は、各ログ・エントリにコピーされます。エラー数が25を超えると、文が終了してロールバックされます。
INSERT INTO dw_empl SELECT employee_id, first_name, last_name, hire_date, salary, department_id FROM employees WHERE hire_date > sysdate - 7 LOG ERRORS INTO err_empl ('daily_load') REJECT LIMIT 25
エラー・ロギングのその他の例については、『Oracle Database SQLリファレンス』および『Oracle Databaseデータ・ウェアハウス・ガイド』を参照してください。
エラー・ロギング表は、次の2つの部分で構成されます。
表18-1に、エラーを説明するための必須列を示します。
エラー・ロギング表のこの部分の列数は、0(ゼロ)、1または複数(最大でDML表の列数)の場合があります。DML表の列と同じ名前の列がエラー・ロギング表に存在する場合は、対応するデータが、障害のある挿入予定の行から、このエラー・ロギング表の列に書き込まれます。DML表の列に対応する列がエラー・ロギング表にない場合、その列は記録されません。エラー・ロギング表に、DML表の列と一致しない名前の列がある場合、その列は無視されます。
エラーが発生する原因の1つは型変換エラーであるため、エラー・ロギング表のオプション列のデータ型は、データの消失または変換エラーなしで値を取得できる型であることが必要です(ロギング表のオプション列の型がDML表の列と同じ型の場合は、問題のあるデータをロギング表に取得すると、エラーの原因となった同じデータ変換の問題が発生する可能性があります)。データベースでは、変換エラーの原因となるデータの値を適切に記録するように最善の努力が行われます。値を導出できない場合、列にはNULL
が記録されます。エラー・ロギング表への挿入でエラーが発生した場合は、文が終了します。
表18-2に、エラー・ロギング表の列のデータ型を示します。DML表の各データ型に対しては、ここに記載されているデータ型を使用することをお薦めします。DBMS_ERRLOG
パッケージを使用してエラー・ロギング表を自動的に作成する場合は、これらのデータ型が使用されます。
エラー・ロギング表は手動で作成できます。または、PL/SQLパッケージを使用して自動的に作成できます。
エラー・ロギング表を自動作成するには、DBMS_ERRLOG
パッケージを使用します。CREATE_ERROR_LOG
プロシージャは、エラーを説明するための必須列および指定されたDML表の列をすべて備えたエラー・ロギング表を作成し、表18-2に示したデータ型マッピングを実行します。
次の文は、前述の例で使用したエラー・ロギング表を作成します。
EXECUTE DBMS_ERRLOG.CREATE_ERROR_LOG('DW_EMPL', 'ERR_EMPL');
DBMS_ERRLOG
の詳細は、『Oracle Database PL/SQLパッケージ・プロシージャおよびタイプ・リファレンス』を参照してください。
エラー・ロギング表を手動で作成するには、標準DDLを使用します。表の構造に関する要件は、「エラー・ロギング表の書式」を参照してください。エラーを説明するための必須列はすべて挿入する必要があります。列は順不同にできますが、必須列は表の最初の方の列に指定する必要があります。
Oracle Databaseは、DML操作中に次のエラーを記録します。
NOT
NULL
制約、一意制約、参照制約、CHECK制約)違反の場合
MERGE
操作エラー(ソース表の安定したセット行を取得できません)の場合
一部のエラーは記録されずに、DML操作の終了およびロールバックが実施されます。これらのエラーの一覧とDMLロギングの他の制約については、『Oracle Database SQLリファレンス』のINSERT
に関する項でerror_logging_clause
の説明を参照してください。
DMLエラー・ロギングを使用するには、その前に領域の要件について考慮する必要があります。挿入する表の領域のみでなく、エラー・ロギング表の領域も必要です。
DMLエラー・ロギングを指定したINSERT
文を発行するユーザーには、エラー・ロギング表に対するINSERT
権限が必要です。
Oracle Databaseでは、次の2つのいずれかの方法でデータが挿入されます。
さらに、シリアルまたはパラレルのいずれかのモードでデータを挿入できます。シリアル・モードでは、単一のプロセスが文を実行し、パラレル・モードでは、複数のプロセスが1つのSQL文を実行するために協調して同時に動作します。後者は、パラレル実行と呼ばれます。
ここでは、表へのデータの挿入について、1つの方法を中心に説明します。具体的には、INSERT
文のダイレクト・パス形式を使用します。この章の内容は、次のとおりです。
ダイレクト・パスINSERT
のパフォーマンス上の利点は、次のとおりです。
INSERT
では、REDOおよびUNDOエントリのロギングを使用禁止にできます。これに対して、従来型のインサート処理では空き領域を再利用し、参照整合性を維持するため、これらのエントリを常にロギングする必要があります。
INSERT
処理は、パラレル・モードで実行する場合にも、トランザクションの原子性が保証されます。原子性は、パラレル・ダイレクト・パス・ロード(SQL*Loaderを使用)では保証されません。
UNUSABLE
のマークが付けられることがあります。対照的に、パラレル・ダイレクト・パスINSERT
の場合は、索引更新時にエラーが発生すると、文がロールバックされます。
ダイレクト・パスINSERT
文を使用してパラレル・モードでデータを挿入することによって、またはOracleのSQL*Loaderユーティリティをダイレクト・パス・モードで使用することによって、ダイレクト・パスINSERT
処理を実装できます。ダイレクト・パス・インサートは、シリアル・モードまたはパラレル・モードで実行できます。
シリアル・モードでダイレクト・パスINSERT
をアクティブにするには、INSERT
キーワードの直後またはINSERT
文の副問合せのSELECT
キーワードの直後にある各INSERT
文にAPPEND
ヒントを指定する必要があります。
パラレルDMLモードで挿入する場合は、ダイレクト・パスINSERT
がデフォルトです。パラレルDMLモードで実行するには、次の要件を満たす必要があります。
ALTER SESSION { ENABLE | FORCE } PARALLEL DML;
PARALLEL
ヒントを指定すること。
ダイレクト・パスINSERT
を使用禁止にするには、各INSERT
文にNOAPPEND
ヒントを指定します。この指定によって、パラレルDMLモードが無視されます。
ダイレクト・パスINSERT
は、パーティション表と非パーティション表の両方で使用できます。
シングル・プロセスでは、表セグメントまたは各パーティション・セグメントの現在の最高水位標の上にデータが挿入されます(最高水位標とは、データを受け取るためにブロックがフォーマットされないレベルです)。COMMIT
を実行すると、最高水位標が新しい値に更新され、ユーザーにデータが表示されます。
この状況は、シリアル・ダイレクト・パスINSERT
と類似しています。各パラレル実行サーバーには、1つ以上のパーティションが割り当てられます。単一のパーティションで実行するプロセスは1つのみです。各パラレル実行サーバーでは、割り当てられたパーティション・セグメントの現在の最高水位標の上にデータを挿入します。COMMIT
を実行すると、各パーティション・セグメントの最高水位標が新しい値に更新され、ユーザーにデータが表示されます。
各パラレル実行サーバーは、新しい一時セグメントを割り当て、その一時セグメントにデータを挿入します。COMMIT
を実行すると、パラレル実行コーディネータが新しい一時セグメントをプライマリ表セグメントにマージし、ユーザーにデータが表示されます。
ダイレクト・パスINSERT
では、インサート処理のREDOおよびロールバック情報を記録するかどうかを選択できます。
CREATE
文で)または作成後(ALTER
文で)に、表、パーティション、索引またはLOB
記憶域について、ロギング・モードを指定できます。
LOGGING
またはNOLOGGING
を指定しないと、次のようにデフォルト設定されます。
CREATE
TABLESPACE
またはALTER
TABLESPACE
文で、表領域のロギング属性を設定します。このモードでは、Oracle Databaseによってインスタンスの完全なREDOロギングおよびメディア・リカバリが実行されます。データベースがARCHIVELOG
モードの場合は、REDOログをテープにアーカイブできます。データベースがNOARCHIVELOG
モードの場合、インスタンスのクラッシュはリカバリできますが、ディスク障害はリカバリできません。
このモードでは、Oracle DatabaseによってREDOまたはUNDOロギングなしでデータが挿入されます(新規エクステントに無効のマークを付けるために最小限のロギングが行われ、データ・ディクショナリの変更は常にロギングされます)。このモードによって、パフォーマンスが改善します。ただし、後でメディア・リカバリを実行する必要がある場合は、REDOデータがロギングされていないため、エクステント無効化レコードによって一連のブロックに論理的破損のマークが付きます。したがって、このようなインサート処理の後にはデータをバックアップすることが重要です。
ダイレクト・パスINSERT
を使用する際には、さらに次の考慮事項があります。
表の作成にCOMPRESS
またはCOMPRESS
FOR
DIRECT_LOAD
OPERATIONS
句を使用する場合、ダイレクト・パスINSERT
を使用して表のデータをロード時に圧縮できます。 表の作成にCOMPRESS
FOR
ALL
OPERATIONS
句を使用する場合、従来型INSERT
またはダイレクト・パスINSERT
を使用して表のデータをロード時に圧縮できます。
詳細は、「表圧縮の使用」を参照してください。
索引がある(パーティションまたは非パーティション)表では、ダイレクト・パスINSERT
処理の終了時に、Oracle Databaseが索引メンテナンスを実行します。この索引メンテナンスは、パラレル・ダイレクト・パスINSERT
に対してはパラレル実行サーバーで、シリアル・ダイレクト・パスINSERT
に対してはシングル・プロセスで実行されます。INSERT
処理の前に索引を削除し、後で再作成することによって、索引メンテナンスでのパフォーマンスへの影響を回避できます。
ダイレクト・パスINSERT
は、従来型パスINSERT
よりも多くの領域を必要とします。
すべてのシリアル・ダイレクト・パスINSERT
処理では、パーティション表へのパラレル・ダイレクト・パスINSERT
と同様に、影響を受けるセグメントの最高水位標の上にデータが挿入されます。このため、追加の領域が必要となります。
非パーティション表へのパラレル・ダイレクト・パスINSERT
は、各並列度ごとに一時セグメントを作成するため、より多くの領域を必要とします。非パーティション表が自動セグメント領域管理モードのローカル管理表領域にない場合は、NEXT
およびPCTINCREASE
記憶域パラメータ、およびMINIMUM
EXTENT
表領域パラメータの値を変更して、一時セグメントに十分な(かつ過剰ではない)記憶域を用意してください。次の事項を考慮に入れ、これらのパラメータに値を選択します。
INSERT
では、必要以上に大きいセグメントで領域を無駄にすることになります。
これらのパラメータは、ダイレクト・パスINSERT
処理の完了後に、シリアル処理に適した設定に再設定できます。
ダイレクト・パスINSERT
では、表(またはパーティション表のすべてのパーティション)の排他ロックが取得されます。その結果、ユーザーは、表に対する挿入、更新または削除の同時操作すべてを実行できません。同時索引作成および作成操作も許可されません。同時問合せはサポートされますが、問合せではインサート処理以前の情報のみが返されます。
PL/SQLパッケージDBMS_STATS
を使用すると、コストベースの最適化に関する統計を生成および管理できます。このパッケージを使用して、統計の収集、変更、表示、エクスポート、インポートおよび削除ができます。また、すでに収集した統計を識別または命名する際も、このパッケージを使用できます。
以前は、DBMS_STATS
を使用可能にし、CREATE
(またはALTER
) TABLE
文でMONITORING
キーワードを指定して、表の統計を自動的に収集していました。Oracle Database 11gからは、MONITORING
およびNOMONITORING
キーワードは非推奨になり、統計は自動的に収集されます。これらのキーワードを指定しても無視されます。
監視では、統計が最後に収集された時点以降表に対して実行されたINSERT
、UPDATE
およびDELETE
の概数が追跡されます。影響を受ける行数に関する情報は、SMONが周期的に(およそ3時間ごとに)データをデータ・ディクショナリに取り込むまで、システム・グローバル領域(SGA)に保持されます。このデータ・ディクショナリ情報は、DBA_TAB_MODIFICATIONS
、ALL_TAB_MODIFICATIONS
またはUSER_TAB_MODIFICATIONS
を通じて参照できます。データベースはこれらのビューを使用して、失効した統計を持つ表を識別します。
表の監視を使用禁止にするには、STATISTICS_LEVEL
初期化パラメータをBASIC
に設定します。デフォルトはTYPICAL
で、自動統計収集が使用可能です。自動統計収集とDBMS_STATS
パッケージによって、オプティマイザは正確な実行計画を生成できます。
関連項目:
|
表を変更するにはALTER TABLE
文を使用します。表を変更するには、その表が自分のスキーマに含まれているか、その表のALTER
オブジェクト権限またはALTER ANY TABLE
システム権限のいずれかを持っている必要があります。
ALTER TABLE
文の使用方法については、次の各項を参照してください。
表を変更する前に、表を変更した結果についてよく理解しておいてください。 これらの結果については、『Oracle Database SQLリファレンス』の
パッケージのビュー、マテリアライズド・ビュー、トリガー、ドメイン索引、ファンクション索引、CHECK制約、ファンクション、プロシージャが実表に依存する場合は、その実表または列を変更すると依存するオブジェクトに影響する可能性があります。 データベースによる依存性管理の詳細は、「オブジェクト依存性の管理」を参照してください。
注意:
ALTER TABLE
句の説明を参照してください。
ALTER TABLE文は、表に影響を与える次の処理を実行するために使用できます。
INITRANS
または記憶域パラメータ)を変更する場合
NOT NULL
整合性制約、列の式(仮想列の場合)および暗号化プロパティ)を変更する場合
CACHE
/NOCACHE
属性を変更する場合
LOB
列を追加または変更する場合
これらの多くのタスクについて、次の各項で説明します。
表のトランザクション・エントリ設定INITRANS
を変更する場合、INITRANS
の新しい設定は、その後表に割り当てられるデータ・ブロックにのみ適用されます。
記憶域パラメータINITIAL
とMINEXTENTS
は変更できません。他の記憶域パラメータ(たとえばNEXT
やPCTINCREASE
)の新しい設定はすべて、その後に表に割り当てられるエクステントにのみ影響します。割り当てられる次のエクステントのサイズは、NEXT
とPCTINCREASE
の現行値によって決まります。前の値に基づいて決まるわけではありません。
ALTER TABLE...MOVE
文を使用すると、非パーティション表のデータまたはパーティション表のパーティションのデータを新しいセグメントに再配置できます。必要に応じて、割当て制限がある別の表領域に再配置することもできます。また、この文を使用してALTER TABLE
では変更できないデータを含んでいる表またはパーティションの記憶域属性も変更できます。ALTER TABLE...MOVE
文にCOMPRESS
句を指定すると、表圧縮を使用して新しいセグメントを格納できます。
表を新規データファイルを含む新しい表領域に移動する重要な理由の1つは、列データの古いバージョン(セグメントの縮小、再編成または以前の表移動によってディスクの未使用部分に現在も残されているバージョン)が、オペレーティング・システム・ユーティリティなどを使用してデータベースのアクセス制御を迂回することによって参照される可能性をなくすためです。これは、透過的データ暗号化を追加して変更しようとしている列の場合は特に重要です。
注意:
|
次の文は、新しい記憶域パラメータを指定して、hr.admin_emp
表を新しいセグメントに移動します。
ALTER TABLE hr.admin_emp MOVE STORAGE ( INITIAL 20K NEXT 40K MINEXTENTS 2 MAXEXTENTS 20 PCTINCREASE 0 );
表を移動すると、表の行のROWIDが変わります。これによって、表の索引にUNUSABLE
のマークが付き、これらの索引を使用して表にアクセスするDMLに対しては、ORA-01502エラーが返されます。表の索引を削除または再作成する必要があります。同様に、表の統計は無効になるため、表を移動した後に新しい統計を収集する必要があります。
表にLOB
列が含まれている場合は、この文を使用して、ユーザーが明示的に指定できるLOB
データと、表に関連したLOB
索引セグメントを、表とともに移動できます。特に指定しない場合、デフォルトではLOB
データとLOB
索引セグメントは移動されません。
Oracle Databaseは、必要に応じて表のデータ・セグメントに追加のエクステントを動的に割り当てます。ただし、表に追加のエクステントを明示的に割り当てることもできます。たとえば、Oracle Real Application Clusters環境で、表のエクステントを特定のインスタンスに対して明示的に割り当てることが可能です。
新しいエクステントは、ALTER TABLE...ALLOCATE EXTENT
句を使用して表に割り当てることができます。
また、ALTER TABLE
文のDEALLOCATE UNUSED
句を使用して、未使用領域の割当てを明示的に解除することもできます。 この操作については、「使用できない領域の再生」を参照してください。
既存の列定義を変更するには、ALTER TABLE...MODIFY
文を使用します。列のデータ型、デフォルト値、列制約、列の式(仮想列の場合)または列の暗号化は変更できます。
既存のデータがすべて新しい長さを満たしている場合は、既存の列の長さを拡張または縮小できます。列は、バイト・セマンティクスからCHAR
セマンティクスに、あるいはその逆に変更できます。空でないCHAR
列の長さを縮小するには、初期化パラメータBLANK_TRIMMING=TRUE
を設定する必要があります。
データ型CHAR
の列長を拡張するために表を変更している場合、特に表の行数が多い場合は、この操作は時間がかかり、さらに相当な追加記憶域を必要とする可能性があります。これは、各行のCHAR
値に空白を埋めて、新しい列長に合わせる必要があるためです。
既存の表に列を追加するには、ALTER TABLE...ADD
文を使用します。
次の文は、hr.admin_emp
表を変更して新しい列bonus
を追加します。
ALTER TABLE hr.admin_emp ADD (bonus NUMBER (7,2));
表に新しい列を追加すると、DEFAULT
句を指定しないかぎり、その列は最初はNULL
です。デフォルト値を指定すると、各行がデフォルト値で即時に更新されます。この処理に多少時間を要すること、および更新時には表に排他DMLロックがかかることに注意してください。表のタイプ(例: LOB列のない表)によっては、NOT
NULL
制約とデフォルト値の両方を指定すると、データベースによって列の追加操作が最適化され、表がDML用にロックされる時間が大幅に短縮されます。
NOT
NULL
制約付きの列を追加できるのは、表に行がまったく含まれていない場合、またはデフォルト値を指定する場合のみです。
表のすべての操作で圧縮が使用可能な場合は、デフォルト値を指定してもしなくても、その表に列を追加できます。ダイレクト・パス・インサートに対してのみ圧縮が使用可能な場合は、デフォルト値を指定しない場合にのみ、列を追加できます。
新しい列が仮想列の場合、その値は列式によって決定されます(仮想列の値は、問合せ実行時にのみ計算されることに注意してください)。
Oracle Databaseでは、表の既存の列の名前を変更できます。列名を変更するには、ALTER TABLE
文の RENAME COLUMN
句を使用します。新しい名前には、表の既存の列名と競合しない名前を指定する必要があります。RENAME COLUMN
句とともに他の句は使用できません。
次の文は、hr.admin_emp
表のcomm
列の名前を変更します。
ALTER TABLE hr.admin_emp RENAME COLUMN comm TO commission;
前述のように、表の列を変更すると、依存するオブジェクトが無効になる可能性があります。ただし、列名を変更すると、ファンクション索引とCHECK制約が引き続き有効になるように、関連するデータ・ディクショナリ表が更新されます。
また、Oracle Databaseでは列制約の名前も変更できます。 この操作については、「制約名の変更」を参照してください。
索引構成表などの表から、不要になった列を削除できます。これにより、データベースの領域を解放でき、データをエクスポート/インポートしてから索引と制約を再作成する必要がなくなります。
表からすべての列を削除することはできません。また、SYS
が所有している表の列も削除できません。削除しようとするとエラーが発生します。
ALTER TABLE...DROP COLUMN
文を発行すると、列記述子およびターゲット列に関連付けられているデータが表の各行から削除されます。1つの文で複数の列を削除できます。
次の文は、hr.admin_emp
表から列を削除する操作の例を示しています。最初の文は、sal
列のみを削除します。
ALTER TABLE hr.admin_emp DROP COLUMN sal;
次の文は、bonus
列とcomm
列を両方とも削除します。
ALTER TABLE hr.admin_emp DROP (bonus, commission);
大きい表のすべての行から列データを削除する際に所要時間が重要な場合は、ALTER TABLE...SET UNUSED
文を使用できます。この文は1つ以上の列に未使用マークを付けますが、実際にターゲット列を削除したり該当列が占めるディスク領域をリストアすることはありません。ただし、未使用マークが付けられた列は、問合せやデータ・ディクショナリ・ビューに表示されなくなり、その名前が削除されて新しい列に再利用できるようになります。その列に定義されている制約、索引および統計も、すべて削除されます。
hiredate
列とmgr
列に未使用マークを付けるには、次の文を実行します。
ALTER TABLE hr.admin_emp SET UNUSED (hiredate, mgr);
後でALTER TABLE...DROP UNUSED COLUMNS
文を発行し、未使用マークが付いている列を削除できます。表の特定列の明示的な削除文を発行すると、未使用列もターゲット表から削除されます。
データ・ディクショナリ・ビューUSER_UNUSED_COL_TABS
、ALL_UNUSED_COL_TABS
またはDBA_UNUSED_COL_TABS
を使用すると、未使用の列を含むすべての表を表示できます。COUNT
フィールドには、表の未使用の列数が表示されます。
SELECT * FROM DBA_UNUSED_COL_TABS; OWNER TABLE_NAME COUNT --------------------------- --------------------------- ----- HR ADMIN_EMP 2
外部表の場合は、SET
UNUSED
文がALTER
TABLE
DROP
COLUMN
文に透過的に変換されます。外部表はデータベース内でメタデータのみで構成されているため、DROP
COLUMN
文はSET
UNUSED
文の実行と同じことになります。
未使用列に対して実行できるのは、ALTER TABLE...DROP UNUSED COLUMNS
文のみです。この文では、表から未使用の列が物理的に削除され、ディスク領域が再生されます。
次のALTER TABLE
文では、オプションの句CHECKPOINT
が指定されています。この句を指定すると、指定した行数(この場合は250行)が処理された後に、チェックポイントが適用されます。チェックポイントによって、列削除操作中に累積されるUNDOログの量が減少し、UNDO領域が使い果たされるおそれがなくなります。
ALTER TABLE hr.admin_emp DROP UNUSED COLUMNS CHECKPOINT 250;
表のすべての操作で圧縮が使用可能な場合は、表の列を削除できます。ダイレクト・パス・インサートのみで圧縮が使用可能な場合は、表の列を削除できません。
表を読取り専用モードにするには、ALTER
TABLE
...READ
ONLY
文を使用し、表を読取り/書込みモードに戻すには、ALTER
TABLE
...READ
WRITE
文を使用します。読取り専用モードが有効な表の例に、構成表があります。アプリケーションに含まれている構成表が、インストール後変更されず、ユーザーによる変更を禁止する必要がある場合は、アプリケーションのインストール・スクリプトによって、これらの表を読取り専用モードにできます。
表を読取り専用モードにするには、その表に対するALTER
TABLE
権限、またはALTER
ANY
TABLE
権限が必要です。また、COMPATIBILE
初期化パラメータが11.1.0以上に設定されている必要があります。
次の例は、SALES
表を読取り専用モードにします。
ALTER TABLE SALES READ ONLY;
次の例は、表を読取り/書込みモードに戻します。
ALTER TABLE SALES READ WRITE;
表が読取り専用モードの場合、表データの変更操作は許可されません。読取り専用表で許可されない操作は、次のとおりです。
TRUNCATE
TABLE
SELECT
FOR
UPDATE
ALTER
TABLE
ADD
/MODIFY
/RENAME
/DROP
COLUMN
ALTER
TABLE
SET
COLUMN
UNUSED
ALTER
TABLE
DROP
/TRUNCATE
/EXCHANGE
(SUB)PARTITION
ALTER
TABLE
UPGRADE
INCLUDING
DATA
またはALTER
TYPE
CASCADE
INCLUDING
TABLE
DATA
FLASHBACK
TABLE
読取り専用表で許可される操作は、次のとおりです。
SELECT
CREATE
/ALTER
/DROP
INDEX
ALTER
TABLE
ADD
/MODIFY
/DROP
/ENABLE
/DISABLE
CONSTRAINT
ALTER
TABLE
ALTER
TABLE
DROP
UNUSED
COLUMNS
ALTER
TABLE
ADD
/COALESCE
/MERGE
/MODIFY
/MOVE
/RENAME
/SPLIT
(SUB)PARTITION
ALTER
TABLE
MOVE
ALTER
TABLE
ENABLE
ROW
MOVEMENT
およびALTER
TABLE
SHRINK
RENAME
TABLE
およびALTER
TABLE
RENAME
TO
DROP
TABLE
ALTER
TABLE
DEALLOCATE
UNUSED
ALTER
TABLE
ADD
/DROP
SUPPLEMENTAL
LOG
データベース・システムでは、次のような理由で表の構造を論理的または物理的に変更する必要が生じます。
Oracle Databaseには、表の可用性に大きな影響を与えずに表の構造を変更できるメカニズムが用意されています。このメカニズムは、表のオンライン再定義と呼ばれます。表のオンライン再定義では、表を再定義する従来の方法に比べて、可用性が大幅に向上します。
オンラインで表を再定義している間も、その再定義プロセスの大部分で、問合せおよびDMLを使用してその表にアクセスできます。表が排他モードでロックされるのは、そのサイズや再定義の複雑さに関係なくわずかな間のみで、ユーザーに対しては完全に透過的です。
表のオンライン再定義には、再定義の対象となる表が使用している領域とほぼ同等の空き領域が必要です。新しい列を追加する場合は、より多くの領域が必要になります。
表のオンライン再定義を実行するには、Enterprise Managerのオブジェクトの再編成ウィザードまたはDBMS_REDEFINITION
パッケージを使用します。
ここでは、DBMS_REDEFINITION
パッケージを使用したオンライン再定義について説明します。この章の内容は、次のとおりです。
表のオンライン再定義では、次のことが可能です。
表を別の表領域に移動する際に、DMLでその表を使用する必要性がない場合は、より簡単な
注意:
ALTER
TABLE
MOVE
コマンドを使用できます。 「新規セグメントまたは表領域への表の移動」を参照してください。
表のオンライン再定義を実行するには、DBMS_REDEFINITION
パッケージを使用します。 パッケージの詳細は、『Oracle Database PL/SQLパッケージ・プロシージャおよびタイプ・リファレンス』を参照してください。
キー別: 再定義に使用する主キーまたは疑似主キーを選択します。疑似主キーは、NOT NULL
制約が指定されているすべての構成要素の列を備えた一意のキーです。この方法の場合、表の再定義前のバージョンと再定義後のバージョンの主キー列は同じになります。これはデフォルトの再定義方法であり、この方法を使用することをお薦めします。
ROWID別: この方法は、キーを使用できない場合に使用します。この方法では、表の再定義後のバージョンにM_ROW$$
という非表示列が追加されます。再定義の完了後は、この列を未使用としてマークするか、削除することをお薦めします。COMPATIBLE
が10.2.0以上に設定されている場合は、再定義の最終フェーズでこの列が自動的に未使用に設定されます。 次に、ALTER
TABLE
... DROP
UNUSED
COLUMNS
文を使用してその列を削除できます。
この方法は、索引構成表に対しては使用できません。
CAN_REDEF_TABLE
プロシージャを起動して、表をオンラインで再定義できることを確認します。表がオンライン再定義の候補でない場合、このプロシージャは表をオンライン再定義できない理由を示すエラーを出力します。
再定義する表の索引、制約、権限付与およびトリガーすべてを備えた仮表を作成する必要はありません。これらは、依存オブジェクトをコピーするときに手順6で定義します。
alter session force parallel dml parallel degree-of-parallelism; alter session force parallel query parallel degree-of-parallelism;
START_REDEF_TABLE
をコールし、再定義プロセスを開始します。
詳細は、「列マッピング文字列の作成」を参照してください。
再定義方法を指定するために、パッケージ定数が用意されています。DBMS_REDEFINITION.CONS_USE_PK
は、主キーまたは擬似主キーを使用して再定義が実行されるように指定するために使用します。DBMS_REDEFINITION.CONS_USE_ROWID
は、ROWIDを使用して再定義が実行されるように指定するために使用します。この引数を指定しない場合は、デフォルトの再定義方法(CONS_USE_PK
)が使用されます。
このプロセスにはデータのコピー操作が含まれるため、多少の時間を要する可能性があります。再定義する表は、プロセスの開始から終了まで問合せおよびDMLで使用できます。
COPY_TABLE_DEPENDENTS
プロシージャを使用して、仮表に対する依存オブジェクトを自動的に作成します。このプロシージャは、依存オブジェクトの登録も実施します。依存オブジェクトを登録することで、これらのオブジェクトの個別情報とコピーされた複製を、再定義完了プロセスの一部として後で自動的にスワップできます。その結果、再定義が完了すると、依存オブジェクトの名前がオリジナルの依存オブジェクトと同じ名前になります。
詳細は、「依存オブジェクトの自動作成」を参照してください。
仮表に対する依存オブジェクトは、手動で作成して登録できます。 詳細は、「依存オブジェクトの手動による作成」を参照してください。
FINISH_REDEF_TABLE
プロシージャを実行して、表の再定義を完了します。このプロシージャの実行中、元の表はそのデータ量とは無関係に、わずかな時間ですが排他モードでロックされます。ただし、FINISH_REDEF_TABLE
部分は、保留中のDMLすべてがコミットされるのを待機してから、再定義を完了します。
COMPATIBLE
初期化パラメータが10.1.0以下に設定されている場合は、再定義後の表に追加された非表示列(M_ROW$$
)を削除するかUNUSED
に設定してください。
ALTER TABLE table_name SET UNUSED (M_ROW$$);
COMPATIBLE
が10.2.0以上の場合は、再定義の完了時に非表示列が自動的にUNUSED
に設定されます。 次に、ALTER
TABLE
... DROP
UNUSED
COLUMNS
文を使用して列を削除できます。
仮表に対するアクティブな問合せの実行中に仮表を削除すると、ORA-08103
エラー(「現在、指定したオブジェクトは存在しません。」)が発生する場合があります。
引数としてSTART_REDEF_TABLE
に渡す列マッピング文字列には、カンマで区切られた列マッピングのペアのリストが含まれています。各ペアの構文は、次のとおりです。
[expression] column_name
column_name
は、仮表の列を意味します。オプションのexpression
には、SQL(SELECT
)文の式のルールに従って、再定義する表の列、定数、演算子、関数またはメソッド・コールなどを指定できます。ただし、使用できるのは、値がすぐに決定される単純な副次式、つまり、ある評価と次の評価で結果が変化しない副次式と、順序およびSYSDATE
のみです。副問合せは使用できません。最も簡単な場合、式は再定義する表の列名のみで構成されます。
式を指定すると、その値は再定義の過程で仮表内の指定の列に配置されます。式を省略した場合は、再定義する表と仮表の両方にcolumn_name
という列が存在し、再定義する表にあるその列の値が仮表の同じ列に配置されていると想定されます。
たとえば、再定義する表のoverride
列をoverride_commission
という名前に変更し、すべてのオーバーライド・コミッションを2%増加する場合、正しい列マッピングのペアは次のとおりです。
override*1.02 override_commission
列マッピング文字列に'*
'またはNULL
を指定すると、すべての列(名前は変更されない)が仮表に配置されることになります。それ以外の場合は、文字列で明示的に指定した列のみが仮表に配置されます。列マッピングのペアの順序は重要ではありません。
列マッピング文字列の例は、「表のオンライン再定義の例」を参照してください。
列をマッピングする際は、いくつかの制限はありますが、データ型を変換できます。
'*
'またはNULL
を列マッピング文字列として指定した場合は、SQLで許可される暗黙的な変換のみがサポートされます。たとえば、CHAR
からVARCHAR2
に、INTEGER
からNUMBER
に変換できます。
あるオブジェクト型から別のオブジェクト型への変換や、あるコレクション型から別のコレクション型への変換など、その他のデータ型変換を実行する場合は、変換を実行する式とともに列マッピングのペアを指定する必要があります。式には、CAST
関数、TO_NUMBER
などの組込み関数、作成した変換関数などを指定できます。
仮表に対する依存オブジェクトを自動的に作成するには、COPY_TABLE_DEPENDENTS
プロシージャを使用します。
num_errors
出力引数をチェックすることで、依存オブジェクトのコピー中にエラーが発生したかどうかを検出できます。ignore_errors
引数をTRUE
に設定すると、COPY_TABLE_DEPENDENTS
プロシージャは、オブジェクト作成時にエラーを検出しても、依存オブジェクトのコピーを続行します。DBA_REDEFINITION_ERRORS
ビューを問い合せることで、これらのエラーを確認できます。
エラーには、次のような理由があります。
この種のエラーについては、「表のオンライン再定義の例」の例3を参照してください。
ignore_errors
をFALSE
に設定すると、COPY_TABLE_DEPENDENTS
プロシージャは、エラーを検出すると、オブジェクトのコピーをただちに停止します。
エラーを修正してからCOPY_TABLE_DEPENDENTS
プロシージャを再実行することで、依存オブジェクトのコピーを再試行できます。「依存オブジェクトの手動による作成」に説明されているように、オブジェクトを手動で作成し、それらを登録することもできます。COPY_TABLE_DEPENDENTS
プロシージャは、必要に応じて何回でも使用できます。オブジェクトがすでに正常にコピーされている場合は、再度コピーされません。
SQL*PlusまたはEnterprise Managerで、仮表に対する依存オブジェクトを手動で作成する場合は、REGISTER_DEPENDENT_OBJECT
プロシージャを使用して依存オブジェクトを登録する必要があります。依存オブジェクトを登録すると、再定義の完了プロセスで、依存オブジェクト名を再定義前の名前にリストアできます。
COPY_TABLE_DEPENDENTS
プロシージャによる依存オブジェクトのコピーがエラーとなり、手動による介入が必要な場合は、REGISTER_DEPENDENT_OBJECT
プロシージャを使用します。
DBA_REDEFINITION_OBJECTS
ビューを問い合せることによって、登録されている依存オブジェクトを判断できます。このビューには、REGISTER_DEPENDENT_OBJECT
プロシージャで明示的に登録、またはCOPY_TABLE_DEPENDENTS
プロシージャで暗黙的に登録された依存オブジェクトが表示されます。このビューには、現在の情報のみが表示されます。
UNREGISTER_DEPENDENT_OBJECT
プロシージャを使用すると、再定義している表および仮表に対する依存オブジェクトの登録を解除できます。
再定義プロセスの最終的な結果は、次のようになります。
REGISTER_DEPENDENT_OBJECT
を明示的に使用するか、またはCOPY_TABLE_DEPENDENTS
を暗黙的に使用して登録された依存オブジェクトは、自動的に名前が変更されるため、再定義した表の依存オブジェクト名は再定義の前と同じになります。
START_REDEF_TABLE
をコールして再定義プロセスを開始してからFINISH_REDEF_TABLE
コールが完了するまでの間に、元の表に対して多数のDML文が実行される可能性があります。これが問題になることがわかっている場合は、定期的に仮表を元の表と同期化することをお薦めします。同期化には、SYNC_INTERIM_TABLE
プロシージャをコールします。このプロシージャをコールすると、FINISH_REDEF_TABLE
で再定義プロセスを完了するための時間が短縮されます。SYNC_INTERIM_TABLE
をコールできる回数に制限はありません。
FINISH_REDEF_TABLE
の実行中に元の表がロックされるわずかな時間は、SYNC_INTERIM_TABLE
のコールの有無とは関係ありません。
再定義プロセス中にエラーが発生した場合、または再定義プロセスの終了を選択した場合は、ABORT_REDEF_TABLE
をコールしてください。このプロシージャは、再定義プロセスに対応付けられた一時ログおよび一時表を削除します。このプロシージャをコールした後は、仮表とその依存オブジェクトを削除できます。
オンライン再定義プロセスの再起動が必要な場合は、最初にABORT_REDEF_TABLE
をコールしないと、表を再定義する後続の試みでエラーが発生します。
表のオンライン再定義には、次の制限が適用されます。
BFILE
列を持つ表は、オンライン再定義できません。
LONG
列を保持している表は、オンラインで再定義できますが、これらの列は、CLOB
に変換する必要があります。また、LONG RAW
列は、BLOB
に変換する必要があります。LOB
列を持つ表は、オンライン再定義可能です。
LONG
列からLOB
列への再定義をパラレルで実行できます。
LOB
列の格納に使用するセグメントが、自動セグメント領域管理(ASSM)を使用できるローカル管理表領域に属している場合。
LONG
列から単一のLOB
列への簡単なマッピングで、仮表に存在するLOB
列が1つのみの場合。
仮表がパーティション化されている場合は、パラレル実行でパーティション化する通常の方法が適用されます。
SYS
およびSYSTEM
スキーマ内の表は、オンライン再定義できません。
SYSDATE
のみです。たとえば、副問合せは使用できません。
NOT
NULL
を宣言しないでください。
NOLOGGING
モードでは実行できません。
NULL
です。
VARRAY
は、列マッピングにCAST
演算子を使用してネストした表に変換できます。ただし、ネストした表をVARRAY
に変換することはできません。
Oracle Database 10g リリース2からは、表の単一パーティションをオンラインで再定義できます。これは、異なる表領域にパーティションを移動する際に、移動中でもパーティションに対してDMLを使用できるようにする場合などに便利です。
この機能の別の用途は、表全体を再定義する際に、リソース要件を低減するために1度に1つのパーティションずつオンラインで再定義することです。たとえば、異なる表領域に非常に大きな表を移動する場合は、表を1度に1つのパーティションずつ移動することで、移動を完了するために必要な空き領域とUNDO領域を最小化できます。ただし、単一パーティションを再定義するときに、グローバル索引がある場合は、再定義が完了したときにUNUSABLE
のマークが設定されることに注意してください。
単一パーティションの再定義は、次の点で表の再定義とは異なります。
COPY_TABLE_DEPENDENTS
プロシージャは、単一パーティションの再定義には使用できません。
START_REDEF_TABLE
には、NULL
の列マッピング文字列が必要です。
M_ROW$$
が未使用に設定されるかわりに削除されます。単一パーティションを再定義するための基本的な仕組みは、データベースのパーティション交換機能(ALTER
TABLE
...EXCHANGE
PARTITION
)です。したがって、単一パーティションのオンライン定義のルールと制限事項は、この仕組みに基づいて決まります。一般的には、次の制限事項があります。
UNUSABLE
のマークが設定されます。
仮表を定義する際のルールは、次のとおりです。
次の補足ルールは、再定義する表がパーティション化された索引構成表である場合に適用されます。
次の例で使用されているすべてのDBMS_REDEFINITION
サブプログラムに関する詳細は、『Oracle Database PL/SQLパッケージ・プロシージャおよびタイプ・リファレンス』を参照してください。
例 | 説明 |
---|---|
新しい列を追加しパーティションを追加することで、表を再定義します。 |
|
オブジェクト・データ型を使用して表を再定義します。 |
|
手動で登録した依存オブジェクトを使用して表を再定義します。 |
|
単一の表パーティションを異なる表領域に移動して表を再定義します。 |
この例は、以前に作成した表hr.admin_emp
のオンライン再定義を示しています。この表の列は、この時点ではempno
、ename
、job
、deptno
のみです。表を次のように再定義します。
mgr
、hiredate
、sal
およびbonus
を追加します(これらの列は元の表に存在していましたが、前述の例で削除されました)。
bonus
を0に初期化します。
deptno
の値を10増やしています。
empno
の範囲でパーティション化します。
この再定義の手順は、次のとおりです。
BEGIN DBMS_REDEFINITION.CAN_REDEF_TABLE('hr','admin_emp', DBMS_REDEFINITION.CONS_USE_PK); END; /
hr.int_admin_emp
を作成します。
CREATE TABLE hr.int_admin_emp (empno NUMBER(5) PRIMARY KEY, ename VARCHAR2(15) NOT NULL, job VARCHAR2(10), mgr NUMBER(5), hiredate DATE DEFAULT (sysdate), sal NUMBER(7,2), deptno NUMBER(3) NOT NULL, bonus NUMBER (7,2) DEFAULT(1000)) PARTITION BY RANGE(empno) (PARTITION emp1000 VALUES LESS THAN (1000) TABLESPACE admin_tbs, PARTITION emp2000 VALUES LESS THAN (2000) TABLESPACE admin_tbs2);
BEGIN DBMS_REDEFINITION.START_REDEF_TABLE('hr', 'admin_emp','int_admin_emp', 'empno empno, ename ename, job job, deptno+10 deptno, 0 bonus', dbms_redefinition.cons_use_pk); END; /
hr.int_admin_emp
に対するトリガー、索引、マテリアライズド・ビュー・ログ、権限付与および制約がある場合、それらは自動的に作成されます)。
DECLARE num_errors PLS_INTEGER; BEGIN DBMS_REDEFINITION.COPY_TABLE_DEPENDENTS('hr', 'admin_emp','int_admin_emp', DBMS_REDEFINITION.CONS_ORIG_PARAMS, TRUE, TRUE, TRUE, TRUE, num_errors); END;
このコールでは、ignore_errors
引数がTRUE
に設定されていることに注意してください。これは、仮表が主キー制約付きで作成されており、COPY_TABLE_DEPENDENTS
によって、主キー制約と索引が元の表からコピーされる際にエラーが発生するためです。これらのエラーは無視できますが、後続の手順に記載されている問合せを実行して、他のエラーの存在を確認する必要があります。
DBA_REDEFINITION_ERRORS
ビューを問い合せて、エラーをチェックします。
SQL> select object_name, base_table_name, ddl_txt from DBA_REDEFINITION_ERRORS; OBJECT_NAME BASE_TABLE_NAME DDL_TXT ------------- ---------------- ------------------------------ SYS_C005836 ADMIN_EMP CREATE UNIQUE INDEX "HR"."TMP$ $_SYS_C0058360" ON "HR"."INT_A DMIN_EMP" ("EMPNO") SYS_C005836 ADMIN_EMP ALTER TABLE "HR"."INT_ADMIN_EM P" ADD CONSTRAINT "TMP$$_SYS_C 0058360" PRIMARY KEY
これらのエラーは、仮表にある既存の主キー制約に起因しているため、無視できます。このアプローチでは、再定義後の表の主キー制約名と索引名が変更されていることに注意してください。別のアプローチを使用すると、エラーの発生と名前の変更を回避できますが、仮表は主キー制約なしで定義されることになります。この例の場合、主キー制約と索引は元の表からコピーされます。
hr.int_admin_emp
を同期化します。
BEGIN DBMS_REDEFINITION.SYNC_INTERIM_TABLE('hr', 'admin_emp', 'int_admin_emp'); END; /
BEGIN DBMS_REDEFINITION.FINISH_REDEF_TABLE('hr', 'admin_emp', 'int_admin_emp'); END; /
この手順が終了するまでに、わずかな間のみ、表hr.admin_emp
が排他モードでロックされます。このコールの後、表hr.admin_emp
はhr.int_admin_emp
表のすべての属性を持つように再定義されます。
この例では、列をオブジェクト属性に変更するために表を再定義します。再定義した表にオブジェクト型の新しい列を確保します。
元の表(CUSTOMER
)の定義は、次のとおりです。
Name Type ------------ ------------- CID NUMBER <- Primary key NAME VARCHAR2(30) STREET VARCHAR2(100) CITY VARCHAR2(30) STATE VARCHAR2(2) ZIP NUMBER(5)
新しいオブジェクトの型定義は、次のとおりです。
CREATE TYPE ADDR_T AS OBJECT ( street VARCHAR2(100), city VARCHAR2(30), state VARCHAR2(2), zip NUMBER(5, 0) );
再定義の手順は、次のとおりです。
BEGIN DBMS_REDEFINITION.CAN_REDEF_TABLE('STEVE','CUSTOMER', DBMS_REDEFINITION.CONS_USE_PK); END; /
int_customer
を作成します。
CREATE TABLE INT_CUSTOMER( CID NUMBER, NAME VARCHAR2(30), ADDR ADDR_T);
仮表には主キーが定義されていないことに注意してください。手順5で依存オブジェクトがコピーされると、主キー制約と索引がコピーされます。
CUSTOMER
は大きい表であるため、後続の手順のためにパラレル操作を指定します。
alter session force parallel dml parallel 4; alter session force parallel query parallel 4;
BEGIN DBMS_REDEFINITION.START_REDEF_TABLE( uname => 'STEVE', orig_table => 'CUSTOMER', int_table => 'INT_CUSTOMER', col_mapping => 'cid cid, name name, addr_t(street, city, state, zip) addr'); END; /
addr_t(street, city, state, zip)
は、オブジェクト・コンストラクタへのコールです。
DECLARE num_errors PLS_INTEGER; BEGIN DBMS_REDEFINITION.COPY_TABLE_DEPENDENTS( 'STEVE','CUSTOMER','INT_CUSTOMER',DBMS_REDEFINITION.CONS_ORIG_PARAMS, TRUE, TRUE, TRUE, FALSE, num_errors, TRUE); END; /
このコールの最後の引数は、表の統計が仮表にコピーされることを意味します。
BEGIN DBMS_REDEFINITION.SYNC_INTERIM_TABLE('STEVE', 'CUSTOMER', 'INT_CUSTOMER'); END; /
BEGIN DBMS_REDEFINITION.FINISH_REDEF_TABLE('STEVE', 'CUSTOMER', 'INT_CUSTOMER'); END; /
この例では、依存オブジェクトを手動で作成および登録する必要がある場合を考えてみます。
表T1
にはC1
という列があり、再定義した後、この列をC2
にするとします。C1
には索引Index1
があると想定します。この場合、COPY_TABLE_DEPENDENTS
は、Index1
に対応して、仮表に対する索引の作成を試行し、仮表には存在しない列C1
に対して索引の作成を試行します。これは結果的にエラーとなります。したがって、列C2
に対しては、索引を手動で作成して登録する必要があります。手順は、次のとおりです。
INT_T1
を作成し、列C2
に対して索引Int_Index1
を作成します。
CAN_REDEF_TABLE
を使用してT1
がオンライン定義の候補であることを確認し、次にSTART_REDEF_TABLE
を使用して再定義プロセスを開始します。
Index1
)と仮(Int_Index1
)の依存オブジェクトを登録します。
BEGIN DBMS_REDEFINITION.REGISTER_DEPENDENT_OBJECT( uname => 'STEVE', orig_table => 'T1', int_table => 'INT_T1', dep_type => DBMS_REDEFINITION.CONS_INDEX, dep_owner => 'STEVE', dep_orig_name => 'Index1', dep_int_name => 'Int_Index1'); END; /
COPY_TABLE_DEPENDENTS
を使用して、残りの依存オブジェクトをコピーします。
この例では、単一のパーティションを再定義します。販売表というレンジ・パーティションの最も古いパーティションを、表領域TBS_LOW_FREQ
に移動します。再定義するパーティションが格納されている表の定義は、次のとおりです。
CREATE TABLE salestable (s_productid NUMBER, s_saledate DATE, s_custid NUMBER, s_totalprice NUMBER) TABLESPACE users PARTITION BY RANGE(s_saledate) (PARTITION sal03q1 VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-APR-2003', 'DD-MON-YYYY')), PARTITION sal03q2 VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-JUL-2003', 'DD-MON-YYYY')), PARTITION sal03q3 VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-OCT-2003', 'DD-MON-YYYY')), PARTITION sal03q4 VALUES LESS THAN (TO_DATE('01-JAN-2004', 'DD-MON-YYYY')));
表には、次のように定義されたローカル・パーティション索引があります。
CREATE INDEX sales_index ON salestable (s_saledate, s_productid, s_custid) LOCAL;
手順は、次のとおりです。次のプロシージャ・コールでは、パーティション名(part_name
)という特別な引数に注目してください。
salestable
が再定義の候補であることを確認します。
BEGIN DBMS_REDEFINITION.CAN_REDEF_TABLE( uname => 'STEVE', tname => 'SALESTABLE', options_flag => DBMS_REDEFINITION.CONS_USE_ROWID, part_name => 'sal03q1'); END; /
TBS_LOW_FREQ
表領域に仮表を作成します。これはレンジ・パーティションの再定義であるため、仮表は非パーティション表です。
CREATE TABLE int_salestable (s_productid NUMBER, s_saledate DATE, s_custid NUMBER, s_totalprice NUMBER) TABLESPACE tbs_low_freq;
BEGIN DBMS_REDEFINITION.START_REDEF_TABLE( uname => 'STEVE', orig_table => 'salestable', int_table => 'int_salestable', col_mapping => NULL, options_flag => DBMS_REDEFINITION.CONS_USE_ROWID, part_name => 'sal03q1'); END; /
CREATE INDEX int_sales_index ON int_salestable (s_saledate, s_productid, s_custid) TABLESPACE tbs_low_freq;
BEGIN DBMS_REDEFINITION.SYNC_INTERIM_TABLE( uname => 'STEVE', orig_table => 'salestable', int_table => 'int_salestable', part_name => 'sal03q1'); END; /
BEGIN DBMS_REDEFINITION.FINISH_REDEF_TABLE( uname => 'STEVE', orig_table => 'salestable', int_table => 'int_salestable', part_name => 'sal03q1'); END; /
次の問合せは、最も古いパーティションが新しい表領域に移動したことを示します。
select partition_name, tablespace_name from user_tab_partitions where table_name = 'SALESTABLE'; PARTITION_NAME TABLESPACE_NAME ------------------------------ ------------------------------ SAL03Q1 TBS_LOW_FREQ SAL03Q2 USERS SAL03Q3 USERS SAL03Q4 USERS 4 rows selected.
DBMS_REDEFINITION
パッケージの実行権限は、EXECUTE_CATALOG_ROLE
に付与されます。実行ユーザーは、このパッケージの実行権限以外に、次の権限が付与されていることが必要です。
COPY_TABLE_DEPENDENTS
を実行するには、次の追加権限が必要です。
表に対してエラーが発生する変更を調査して取り消せるようにするために、Oracle Databaseには、データベース・オブジェクトの過去の状態を表示したり、Point-in-Timeメディア・リカバリを使用せずにデータベース・オブジェクトを以前の状態に戻すために使用できる一連の機能が用意されています。 これらの機能はOracle Flashback機能と呼ばれており、『Oracle Databaseアドバンスト・アプリケーション開発者ガイド』で説明されています。
エラーが発生する変更を調査するために、複数のOracle Flashback問合せを使用して、特定の時点における行データを表示できます。さらに効率的な方法として、Oracle Flashback Version Queryを使用して、ある期間にわたる行への変更すべてを表示できます。この機能では、SELECT
文にVERSIONS
句を追加できるため、行の値への変更を表示するシステム変更番号(SCN)またはタイムスタンプの範囲を指定できます。この問合せでは、変更の原因となったトランザクションなど、関連するメタデータを返すこともできます。
エラーが発生するトランザクションを特定した後、Oracle Flashback Transaction Queryを使用して、そのトランザクションで実行された他の変更を特定できます。次に、Oracle Flashback Transactionを使用して、エラーが発生するトランザクションを取り消すことができます。(Oracle Flashback Transactionでは、依存するすべてのトランザクション、つまりエラーが発生するトランザクションと同じ行が関係する後続のトランザクションも取り消す必要があることに注意してください。) 「Oracle Flashback Tableを使用した表のリカバリ」に説明されているOracle Flashback Tableも使用できます。
Oracle Flashback Tableでは、以前の時点の状態に表をリストアできます。この文は、ユーザーやアプリケーションによって偶発的に変更または削除された表を迅速にリカバリするためのオンライン・ソリューションです。多くの場合、Oracle Flashback Tableによって、複雑なPoint-in-Timeリカバリ操作を行う必要がなくなります。
Oracle Flashback Table:
FLASHBACK TABLE
文の対象になっている表とFLASHBACK TABLE
文の対象になっていない表との間に指定されている参照整合性制約も含まれます。
不要になった表を削除するには、DROP TABLE
文を使用します。削除する表は、自分のスキーマに含まれているか、またはDROP ANY TABLE
システム権限を持っている必要があります。
注意: 表を削除する前に、表を削除した結果についてよく理解しておいてください。
|
次の文は、hr.int_admin_emp
表を削除します。
DROP TABLE hr.int_admin_emp;
削除する表に、他の表の外部キーが参照している主キーまたは一意キーが含まれていて、その子表のFOREIGN KEY
制約を削除する場合は、次のようにDROP TABLE
文にCASCADE
句を指定します。
DROP TABLE hr.admin_emp CASCADE CONSTRAINTS;
表を削除した場合、通常、その表に関連付けられている領域はすぐには解放されません。正確には、表の名前が変更されてリサイクル・ビンに配置されます。これによって、誤って表を削除したことが後で判明した場合は、FLASHBACK
TABLE
文でリカバリできます。DROP TABLE
文の発行時点で、表に関連付けられている領域をただちに解放する場合は、次のようにPURGE
句を指定します。
DROP TABLE hr.admin_emp PURGE;
表は、削除するかわりに切り捨てることができます。TRUNCATE
文を使用すると、表からすべての行を効率よく高速に削除できます。この操作は、切り捨てる表に対応付けられた構造(列定義、制約、トリガーなど)や認可には影響しません。 TRUNCATE
文については、「表とクラスタの切捨て」を参照してください。
表を削除した場合、その表に関連付けられている領域はすぐには削除されません。表の名前が変更され、表および関連するオブジェクトがリサイクル・ビンに配置されます。これによって、誤って表が削除された場合に、後でその表をリカバリできます。この機能はフラッシュバック・ドロップと呼ばれます。表のリカバリには、FLASHBACK
TABLE
文が使用されます。この目的のためにFLASHBACK
TABLE
文の使用方法を説明する前に、リサイクル・ビンの機能とその内容の管理方法を理解することが重要です。
この項の内容は、次のとおりです。
リサイクル・ビンとは、実際には、削除されたオブジェクトに関する情報を含んでいるデータ・ディクショナリ表です。削除された表および関連するオブジェクト(索引、制約、ネストした表など)は、削除されずにそのまま領域を使用します。この領域は、リサイクル・ビンから明確にパージされるまで、または、あまり可能性はありませんが、表領域の制約のためにデータベースによるパージが必要となるまでは、ユーザー領域の割当てにとって不利です。
ユーザーにSYSDBA
権限がない場合、リサイクル・ビンの中でユーザーが所有するオブジェクトは、アクセス権があるオブジェクトのみであるため、各ユーザーには各自のリサイクル・ビンがあるとみなすことができます。リサイクル・ビンにある各自のオブジェクトは、次の文を使用して表示できます。
SELECT * FROM RECYCLEBIN;
表領域をその内容も含めて削除すると、表領域内のオブジェクトはリサイクル・ビンに配置されず、その表領域に配置されていたオブジェクトに対するリサイクル・ビン内のエントリはすべてパージされます。内容を含まない表領域を削除した場合、つまり空の表領域を削除した場合も、表領域内のオブジェクトに対するリサイクル・ビン内のエントリがすべてパージされます。同様に、それぞれの削除操作は次のように処理されます。
削除された表をリサイクル・ビンに移動すると、その表とその表に関連するオブジェクトには、システムで生成された名前が割り当てられます。名前の変更は、複数の表が同じ名前の場合に発生する可能性がある、名前の競合を回避するために必要です。名前の変更は、次の状況で発生します。
名前変更の表記規則は、次のとおりです。
BIN$unique_id
$version
各項目の意味は次のとおりです。
unique_id
は、このオブジェクトに対する、26文字からなるグローバルに一意の識別子です。これによって、リサイクル・ビンの名前がすべてのデータベース全体で一意に識別されます。
version
は、データベースによって割り当てられるバージョン番号です。
リサイクル・ビンは、recyclebin
初期化パラメータを使用して有効化および無効化できます。リサイクル・ビンが有効化されていると、削除した表とその依存オブジェクトはリサイクル・ビンに配置されます。 リサイクル・ビンが無効化されていると、削除した表とその依存オブジェクトはリサイクル・ビンには配置されず、そのまま削除されるため、それらをリカバリするには他の手段を使用する必要があります(バックアップからのリカバリなど)。
リサイクル・ビンは、デフォルトで有効化されています。
リサイクル・ビンの無効化:
リサイクル・ビンの有効化:
ALTER SYSTEM
またはALTER SESSION
文でリサイクル・ビンを有効化および無効化すると、ただちにその設定が有効になります。リサイクル・ビンの無効化はパージではありません。パージの場合は、すでにリサイクル・ビンにあるオブジェクトに影響を与えます。
他の初期化パラメータと同様に、テキスト形式の初期化ファイルinit
SID.ora
のrecyclebin
パラメータには初期値を設定できます。
recyclebin=on
Oracle Databaseでは、リサイクル・ビンのオブジェクトに関する情報を取得する2種類の方法を提供しています。
ビュー | 説明 |
---|---|
|
ユーザーは、このビューを使用して、リサイクル・ビンにある削除した各自のオブジェクトを表示できます。このビューには、使いやすいシノニム |
|
管理者はこのビューを使用して、リサイクル・ビンにある削除されたすべてのオブジェクトを表示できます。 |
これらのビューの使用目的の1つは、次の例のように、削除したオブジェクトに対してデータベースが割り当てた名前を識別することにあります。
SELECT object_name, original_name FROM dba_recyclebin WHERE owner = 'HR'; OBJECT_NAME ORIGINAL_NAME ------------------------------ -------------------------------- BIN$yrMKlZaLMhfgNAgAIMenRA==$0 EMPLOYEES
リサイクル・ビンの内容は、SQL*PlusのSHOW RECYCLEBIN
コマンドを使用して表示することもできます。
SQL> show recyclebin ORIGINAL NAME RECYCLEBIN NAME OBJECT TYPE DROP TIME ---------------- ------------------------------ ------------ ------------------- EMPLOYEES BIN$yrMKlZaVMhfgNAgAIMenRA==$0 TABLE 2003-10-27:14:00:19
リサイクル・ビンにあるオブジェクトは、他のオブジェクトと同じ要領で問い合せることができます。ただし、オブジェクトの名前は、リサイクル・ビンの中で識別されているとおりに指定する必要があります。次に例を示します。
SELECT * FROM "BIN$yrMKlZaVMhfgNAgAIMenRA==$0";
リサイクル・ビンから項目をリストアすることはないと判断した場合は、PURGE
文を使用して、項目および関連するオブジェクトをリサイクル・ビンから削除し、記憶域を解放できます。実行するには、項目を削除する場合と同じ権限が必要です。
PURGE
文を使用して表をパージする場合は、リサイクル・ビンの中で表に割り当てられている名前または元の表の名前を使用できます。 リサイクル・ビンの名前は、DBA_RECYCLEBIN
またはUSER_RECYCLEBIN
ビューから取得できます。詳細は、「リサイクル・ビン内のオブジェクトの表示と問合せ」を参照してください。次の例では、表hr.int_admin_emp
をパージします。BIN$jsleilx392mk2=293$0
は、リサイクル・ビンに配置される際に変更された名前です。
PURGE TABLE BIN$jsleilx392mk2=293$0;
次の文を使用しても同様の結果となります。
PURGE TABLE int_admin_emp;
PURGE
文を使用すると、指定の表領域からリサイクル・ビンのすべてのオブジェクトをパージ、または指定のユーザーに属する表領域オブジェクトのみをパージできます。次に例を示します。
PURGE TABLESPACE example; PURGE TABLESPACE example USER oe;
次の文を使用することで、ユーザーは独自のオブジェクトのリサイクル・ビンをパージして、オブジェクトの領域を解放できます。
PURGE RECYCLEBIN;
SYSDBA
権限がある場合は、前述の文のRECYCLEBIN
のかわりに、DBA_RECYCLEBIN
を指定することによって、リサイクル・ビン全体をパージできます。
また、PURGE
文を使用して、リサイクル・ビンから索引をパージ、またはリサイクル・ビンから指定の表領域にあるすべてのオブジェクトをパージすることもできます。
FLASHBACK
TABLE
...TO
BEFORE
DROP
文を使用して、リサイクル・ビンからオブジェクトをリカバリできます。リサイクル・ビンでの表の名前、または元の表の名前を指定できます。オプションのRENAME TO
句を使用すると、リカバリ時に表の名前を変更できます。 リサイクル・ビンの名前は、DBA_RECYCLEBIN
またはUSER_RECYCLEBIN
ビューから取得できます。詳細は、「リサイクル・ビン内のオブジェクトの表示と問合せ」を参照してください。FLASHBACK
TABLE
...TO
BEFORE
DROP
文を使用するには、表を削除する場合と同じ権限が必要です。
次の例は、int_admin_emp
表をリストアし、その表に新しい名前を割り当てます。
FLASHBACK TABLE int_admin_emp TO BEFORE DROP RENAME TO int2_admin_emp;
システム生成のリサイクル・ビン名は、表を複数回削除した場合に大変便利です。たとえば、リサイクル・ビン内のint2_admin_emp
表に3つのバージョンがあり、2つ目のバージョンをリカバリするとします。次の例のように、2つのFLASHBACK TABLE
文を発行することでリカバリできます。あるいは、リサイクル・ビンを問い合せて、適切なシステム生成の名前にフラッシュバックできます。問合せに作成時間を含めると、正しい表をリストアしていることを確認できます。
SELECT object_name, original_name, createtime FROM recyclebin; OBJECT_NAME ORIGINAL_NAME CREATETIME ------------------------------ --------------- ------------------- BIN$yrMKlZaLMhfgNAgAIMenRA==$0 INT2_ADMIN_EMP 2006-02-05:21:05:52 BIN$yrMKlZaVMhfgNAgAIMenRA==$0 INT2_ADMIN_EMP 2006-02-05:21:25:13 BIN$yrMKlZaQMhfgNAgAIMenRA==$0 INT2_ADMIN_EMP 2006-02-05:22:05:53 FLASHBACK TABLE BIN$yrMKlZaVMhfgNAgAIMenRA==$0 TO BEFORE DROP;
リサイクル・ビンから表をリストアすると、索引などの依存オブジェクトは元の名前が復元されず、システム生成のリサイクル・ビンの名前のままになります。元の名前をリストアする場合は、依存オブジェクトの名前を手動で変更する必要があります。 依存オブジェクトの元の名前を手動でリストアする場合は、表をリストアする前に、各依存オブジェクトのシステム生成のリサイクル・ビン名を記録する必要があります。
次の例では、HR
サンプル・スキーマから、削除した表JOB_HISTORY
の索引の一部の元の名前をリストアします。この例では、HR
ユーザーとしてログインしていることを想定しています。
JOB_HISTORY
の削除後、リサイクル・ビンからリストアする前に、次の問合せを実行します。
SELECT OBJECT_NAME, ORIGINAL_NAME, TYPE FROM RECYCLEBIN; OBJECT_NAME ORIGINAL_NAME TYPE ------------------------------ ------------------------- -------- BIN$DBo9UChtZSbgQFeMiAdCcQ==$0 JHIST_JOB_IX INDEX BIN$DBo9UChuZSbgQFeMiAdCcQ==$0 JHIST_EMPLOYEE_IX INDEX BIN$DBo9UChvZSbgQFeMiAdCcQ==$0 JHIST_DEPARTMENT_IX INDEX BIN$DBo9UChwZSbgQFeMiAdCcQ==$0 JHIST_EMP_ID_ST_DATE_PK INDEX BIN$DBo9UChxZSbgQFeMiAdCcQ==$0 JOB_HISTORY TABLE
FLASHBACK TABLE JOB_HISTORY TO BEFORE DROP;
JOB_HISTORY
索引がシステム生成のリサイクル・ビン名を保持していることを確認します。
SELECT INDEX_NAME FROM USER_INDEXES WHERE TABLE_NAME = 'JOB_HISTORY'; INDEX_NAME ------------------------------ BIN$DBo9UChwZSbgQFeMiAdCcQ==$0 BIN$DBo9UChtZSbgQFeMiAdCcQ==$0 BIN$DBo9UChuZSbgQFeMiAdCcQ==$0 BIN$DBo9UChvZSbgQFeMiAdCcQ==$0
ALTER INDEX "BIN$DBo9UChtZSbgQFeMiAdCcQ==$0" RENAME TO JHIST_JOB_IX; ALTER INDEX "BIN$DBo9UChuZSbgQFeMiAdCcQ==$0" RENAME TO JHIST_EMPLOYEE_IX;
システム生成の名前は、二重引用符で囲む必要があります。
ここでは、索引構成表の管理について説明します。この項の内容は、次のとおりです。
索引構成表は、プライマリBツリーの異形である記憶域編成を持っています。順序付けされていないコレクション(ヒープ)としてデータを格納する通常の(ヒープ構成)表とは異なり、索引構成表のデータはBツリーの索引構造に主キー・ソート方式で格納されます。索引構造の各リーフ・ブロックには、キー列と非キー列の両方が格納されます。
索引構成表の構造には、次の利点があります。
索引構成表は、すべての表機能を備えています。制約、トリガー、LOB列とオブジェクト列、パーティション化、パラレル操作、オンライン再編成、およびレプリケーションなどの機能をサポートします。さらに、次の機能も提供します。
高速な主キー・アクセスと高可用性を必要とするOLTPアプリケーションには、索引構成表が理想的です。たとえば、電子注文処理に使用される注文表の問合せおよびDMLは大部分が主キー・ベースであるため、大量のボリュームが断片化の原因となり、再編成が頻繁に必要となります。索引構成表は、2次索引を無効化せずにオンラインで再編成できるため、ウィンドウの使用を制限される時間が大幅に短縮または排除されます。
索引構成表は、アプリケーション固有の索引構造をモデル化するのに適しています。たとえば、テキスト、イメージおよびオーディオ・データを含むコンテンツ・ベースの情報検索アプリケーションには、索引構成表を使用して有効にモデル化できる逆索引が必要です。インターネット検索エンジンの基本の構成要素は、索引構成表を使用してモデル化できる逆向きの索引です。
これらは、索引構成表のアプリケーションのほんの数例です。
索引構成表を作成するには、CREATE TABLE
文を使用します。ただし、追加情報を指定する必要があります。
必要に応じて、次の情報を指定できます。
OVERFLOW
句。この句は、非キー列の一部を別のオーバーフロー・データ・セグメントに格納できるようにすることにより、Bツリー索引の稠密なクラスタを保ちます。
PCTTHRESHOLD
値。この値には、オーバーフロー・セグメントの使用時に、索引ブロックに格納される部分の行の最大サイズをブロック・サイズの比率として定義します。行の最大サイズを超える行や列は、オーバーフロー・セグメントに格納されます。行は、列の境界で先頭と後尾の2つの断片に分けられます。先頭の断片は指定したしきい値に収まり、索引のリーフ・ブロック内にキーとともに格納されます。後尾の断片は、1つ以上の行断片としてオーバーフロー領域に格納されます。したがって、索引エントリには、キー値、指定したしきい値に収まる非キー列値および行の残りの部分へのポインタが含まれています。
INCLUDING
句。この句は、主キーとともに索引ブロックに格納される非キー列を指定するために使用できます。
次の文によって、索引構成表が作成されます。
CREATE TABLE admin_docindex( token char(20), doc_id NUMBER, token_frequency NUMBER, token_offsets VARCHAR2(2000), CONSTRAINT pk_admin_docindex PRIMARY KEY (token, doc_id)) ORGANIZATION INDEX TABLESPACE admin_tbs PCTTHRESHOLD 20 OVERFLOW TABLESPACE admin_tbs2;
この例では、token
列とdoc_id
列で構成される主キーを使用して、admin_docindex
という索引構成表を作成します。OVERFLOW
句とPCTTHRESHOLD
句では、行の長さが索引ブロック・サイズの20%を超えた場合に、そのしきい値を超えた列とその後のすべての列がオーバーフロー・セグメントに移動されるように指定しています。オーバーフロー・セグメントは、admin_tbs2
表領域に格納されます。
索引構成表の作成には、次の制限があります。
PCTTHRESHOLD
は1〜50の範囲にする必要があります。デフォルトは50です。
CREATE
TABLE
文が失敗します。
索引構成表は、オブジェクト型を格納できます。次の例は、オブジェクト型admin_typ
を作成し、オブジェクト型admin_typ
の列を含む索引構成表を作成しています。
CREATE OR REPLACE TYPE admin_typ AS OBJECT (col1 NUMBER, col2 VARCHAR2(6)); CREATE TABLE admin_iot (c1 NUMBER primary key, c2 admin_typ) ORGANIZATION INDEX;
オブジェクト型の索引構成表を作成することもできます。次に例を示します。
CREATE TABLE admin_iot2 OF admin_typ (col1 PRIMARY KEY) ORGANIZATION INDEX;
次に、索引構成表がネストした表を効率的に格納する例を示します。ネストした表の列ごとに、ネストした表のすべての行を保持する記憶表が内部的に作成されます。
CREATE TYPE project_t AS OBJECT(pno NUMBER, pname VARCHAR2(80)); / CREATE TYPE project_set AS TABLE OF project_t; / CREATE TABLE proj_tab (eno NUMBER, projects PROJECT_SET) NESTED TABLE projects STORE AS emp_project_tab ((PRIMARY KEY(nested_table_id, pno)) ORGANIZATION INDEX) RETURN AS LOCATOR;
ネストした表のシングル・インスタンスに属する行は、nested_table_id
列で識別されます。ネストした表の列を格納するために通常の表が使用される場合、ネストした表の行は、一般的にクラスタ化が解除されます。ただし、索引構成表を使用する場合、ネストした表はnested_table_id
列に基づいてクラスタ化できます。
キー列とともに最初のいくつかの非キー列が頻繁にアクセスされる場合は、その非キー列を取り込めるしきい値を選択してください。
しきい値を選択した後、指定した値が適切な値であることを確認するために、表を監視できます。ANALYZE
TABLE
...LIST
CHAINED
ROWS
文を使用して、しきい値を超える行の数と、どの行がしきい値を超えているかを判断できます。
PCTTHRESHOLD
を指定する以外に、INCLUDING
句を使用して、キー列とともに格納する非キー列を制御できます。データベースでは、索引リーフ・ブロック内にINCLUDING
句で指定した列を含めてその列までのすべての非キー列を取り込むことができます。ただし、その列が指定したしきい値を超えない場合にかぎります。INCLUDING
句で指定した列より後のすべての非キー列は、オーバーフロー・セグメントに格納されます。INCLUDING
句とPCTTHRESHOLD
句が競合する場合は、PCTTHRESHOLD
句が優先されます。
次のCREATE TABLE
文は、「例: 索引構成表の作成」で示した文と類似していますが、token_offsets
列の値が常にオーバーフロー領域に格納される索引構成表を作成するように変更されています。
CREATE TABLE admin_docindex2( token CHAR(20), doc_id NUMBER, token_frequency NUMBER, token_offsets VARCHAR2(2000), CONSTRAINT pk_admin_docindex2 PRIMARY KEY (token, doc_id)) ORGANIZATION INDEX TABLESPACE admin_tbs PCTTHRESHOLD 20 INCLUDING token_frequency OVERFLOW TABLESPACE admin_tbs2;
この例では、索引リーフ・ブロック内のキー列値とともに、token_offsets
までの非キー列のみ(この場合は1つの列のみ)が格納されます。
CREATE TABLE...AS SELECT
文を使用すると、索引構成表を作成して、既存の表からその索引構成表にデータをロードできます。PARALLEL
句を指定することによって、ロードをパラレルで実行できます。
次の文は、従来型の表hr.jobs
から行を選択し、索引構成表をパラレルに作成します。
CREATE TABLE admin_iot3(i PRIMARY KEY, j, k, l) ORGANIZATION INDEX PARALLEL AS SELECT * FROM hr.jobs;
この文によって、SQL*Loaderを使用するパラレル・バルク・ロードの代替手段が提供されます。
キー圧縮を使用して索引構成表を作成すると、キー列の接頭辞が同じ値で繰り返し格納されるのを避けることができます。
キー圧縮によって、索引キーは接頭辞および接尾辞エントリに分割されます。圧縮するために、接頭辞エントリは索引ブロック内のすべての接尾辞エントリ間で共有されます。このような共有によって、領域が大幅に節約され、各索引ブロックに格納できるキー数が増え、パフォーマンスが向上します。
キー圧縮を使用可能にするには、次の操作を行う際にCOMPRESS
句を使用します。
また、接頭辞の長さをキー列の数で指定できます。これにより、キー列が接頭辞および接尾辞エントリにどのように分割されるかが決まります。
CREATE TABLE admin_iot5(i INT, j INT, k INT, l INT, PRIMARY KEY (i, j, k)) ORGANIZATION INDEX COMPRESS;
この文は、次の文と等価です。
CREATE TABLE admin_iot6(i INT, j INT, k INT, l INT, PRIMARY KEY(i, j, k)) ORGANIZATION INDEX COMPRESS 2;
値リスト(1,2,3)、(1,2,4)、(1,2,7)、(1,3,5)、(1,3,4)、(1,4,4)では、(1,2)、(1,3)の反復的な発生が圧縮されます。
また、次のように、圧縮に使用されるデフォルトの接頭辞の長さを変更することもできます。
CREATE TABLE admin_iot7(i INT, j INT, k INT, l INT, PRIMARY KEY (i, j, k)) ORGANIZATION INDEX COMPRESS 1;
値リスト(1,2,3)、(1,2,4)、(1,2,7)、(1,3,5)、(1,3,4)、(1,4,4)では、1の反復的な発生が圧縮されます。
圧縮は、次のように使用禁止にすることができます。
ALTER TABLE admin_iot5 MOVE NOCOMPRESS;
キー圧縮のアプリケーションは、株価など、単一の項目に属して一連のタイムスタンプを表す行を使用する時系列のアプリケーションで使用されます。索引構成表には、主キーに従って行をクラスタ化する機能があるため、このようなアプリケーションには効果的です。索引構成表を主キー(株式銘柄、タイムスタンプ)で定義することによって、時系列データを効率的に格納および操作できます。キー圧縮を採用した索引構成表を使用することによって、項目識別子(株式銘柄など)の反復的な発生を圧縮して、記憶域を大幅に節約できます。
索引構成表と通常の表の相違点は、物理的な構成のみです。論理的には、通常の表と同じように操作されます。INSERT
、SELECT
、DELETE
およびUPDATE
の各文では、通常の表を指定する場合と同じように、索引構成表を指定できます。
通常の表に使用可能な変更オプションはすべて索引構成表にも使用できます。使用可能なオプションには、ADD
、MODIFY
、DROP
COLUMNS
およびCONSTRAINTS
があります。ただし、索引構成表の主キー制約は、削除、遅延または使用禁止にできません。
ALTER TABLE
文を使用すると、主キー索引セグメントとオーバーフロー・データ・セグメントの物理属性と記憶域属性を変更できます。OVERFLOW
キーワードより前に指定したすべての属性は、主キー索引セグメントに適用できます。OVERFLOW
キーワードより後に指定したすべての属性は、オーバーフロー・データ・セグメントに適用できます。たとえば、次のようにして、主キー索引セグメントのINITRANS
を4に、オーバーフロー・データ・セグメントのINITRANS
を6に設定できます。
ALTER TABLE admin_docindex INITRANS 4 OVERFLOW INITRANS 6;
また、PCTTHRESHOLD
およびINCLUDING
列の値も変更できます。後続の操作では、新しい設定を使用して、先頭部分とオーバーフローの後尾の部分に行が分割されます。たとえば、admin_docindex
表のPCTHRESHOLD
およびINCLUDING
列の値を次のように変更できます。
ALTER TABLE admin_docindex PCTTHRESHOLD 15 INCLUDING doc_id;
INCLUDING
列をdoc_id
に設定すると、その後のすべての列、つまりtoken_frequency
およびtoken_offsets
はオーバーフロー・データ・セグメントに格納されます。
オーバーフロー・データ・セグメントなしで作成された索引構成表の場合は、ADD OVERFLOW
句を使用してオーバーフロー・データ・セグメントを追加できます。たとえば、次のように表admin_iot3
にオーバーフロー・セグメントを追加できます。
ALTER TABLE admin_iot3 ADD OVERFLOW TABLESPACE admin_tbs2;
索引構成表は主としてBツリー索引に格納されるため、増分更新の結果として断片化が生じることがあります。ただし、このような断片化は、ALTER TABLE...MOVE
文を使用して索引を再作成することで低減できます。
次の文は、索引構成表admin_docindex
を再作成します。
ALTER TABLE admin_docindex MOVE;
ONLINE
キーワードを使用して、索引構成表をオンラインで再作成できます。OVERFLOW
キーワードを指定すると、オーバーフロー・データ・セグメントが存在する場合はそれが再作成されます。たとえば、admin_docindex
表を再作成し、オーバーフロー・データ・セグメントを再作成しない場合は、次のようにオンラインで移動します。
ALTER TABLE admin_docindex MOVE ONLINE;
admin_docindex
表とオーバーフロー・データ・セグメントを再作成するには、次の文のように移動操作を実行します。この文は、表とオーバーフロー・データ・セグメントを新しい表領域に移動する方法も示しています。
ALTER TABLE admin_docindex MOVE TABLESPACE admin_tbs2 OVERFLOW TABLESPACE admin_tbs3;
次の最後の文で、LOB列(CLOB)を持つ索引構成表が作成されます。その後、この表はLOB
索引とともに移動し、データ・セグメントが再作成され新しい表領域に移動します。
CREATE TABLE admin_iot_lob (c1 number (6) primary key, admin_lob CLOB) ORGANIZATION INDEX LOB (admin_lob) STORE AS (TABLESPACE admin_tbs2); . . . ALTER TABLE admin_iot_lob MOVE LOB (admin_lob) STORE AS (TABLESPACE admin_tbs3);
索引構成表に2次索引を作成することで、複数のアクセス・パスを提供できます。索引構成表の2次索引は、2つの点で通常の表の索引とは異なります。
ALTER TABLE
...MOVE
などの表のメンテナンス操作によって2次索引が使用禁止状態にならないことです。
一意の2次索引、一意でない2次索引、機能ベースの2次索引およびビットマップ索引が、索引構成表の2次索引としてサポートされます。
次の文は、索引構成表docindex
に2次索引を作成します、doc_id
とtoken
はキー列です。
CREATE INDEX Doc_id_index on Docindex(Doc_id, Token);
この2次索引によって、問合せ(次の文にあるdoc_id
の述語に関係する問合せ)が効率的に処理されます。
SELECT Token FROM Docindex WHERE Doc_id = 1;
論理ROWIDには、不確定要素が作成される際に行のブロック位置を識別する不確定要素を含めることができます。完全なキー検索を実行するかわりに、不確定要素を使用してブロックが直接検索されます。ただし、新しい行が挿入されると、不確定要素は失効となる可能性があります。索引は論理ROWIDの主キー構成要素を介してそのまま使用できますが、行へのアクセスは遅くなります。
不確定要素の失効を監視するには、DBMS_STATS
パッケージを使用して索引統計を収集します。既存の不確定要素が有効かどうかがチェックされ、有効な不確定要素を保持している行の割合がデータ・ディクショナリに記録されます。この統計は、DBA_INDEXES
ビュー(および関連するビュー)のPCT_DIRECT_ACCESS
列に格納されます。
新しい不確定要素を取得するために、2次索引を再作成できます。索引構成表に対する2次索引の再作成には、通常の表に対する索引の再作成とは異なり、実表の読込みが必要です。不確定要素を修正する迅速で手軽な方法は、ALTER
INDEX
...UPDATE
BLOCK
REFERENCES
文を使用する方法です。この文はオンラインで実行されますが、DMLは基礎となる索引構成表でそのまま実行できます。
2次索引を再作成した後、あるいは不確定要素のブロック参照を更新した後は、索引統計を再度収集してください。
索引構成表とともにマッピング表が作成される場合は、索引構成表でのビットマップ索引がサポートされます。ビットマップ索引を作成するには、索引構成表の作成に使用するCREATE
TABLE
文、または後でマッピング表を追加するALTER
TABLE
文に、MAPPING
TABLE
句を指定します。
通常の表と同様に、索引構成表の分析にはDBMS_STATS
パッケージ、またはANALYZE
文を使用します。
オプティマイザ統計を収集するには、DBMS_STATS
パッケージを使用します。
たとえば、次の文はhr
スキーマの索引構成表countries
について統計を収集します。
EXECUTE DBMS_STATS.GATHER_TABLE_STATS ('HR','COUNTRIES');
DBMS_STATS
パッケージでは、主キー索引セグメントとオーバーフロー・データ・セグメントの両方が分析され、表の論理統計と物理統計が算出されます。
USER_TABLES
、ALL_TABLES
またはDBA_TABLES
を使用して問合せできます。
USER_INDEXES
、ALL_INDEXES
またはDBA_INDEXES
(および主キー索引名)を使用します。たとえば、表admin_docindex
の主キー索引セグメントの物理統計は、次のようにして取得できます。
SELECT LAST_ANALYZED, BLEVEL,LEAF_BLOCKS, DISTINCT_KEYS FROM DBA_INDEXES WHERE INDEX_NAME= 'PK_ADMIN_DOCINDEX';
USER_TABLES
、ALL_TABLES
またはDBA_TABLES
を使用します。IOT_TYPE = 'IOT_OVERFLOW'
で検索すると、オーバーフロー・エントリを識別できます。たとえば、admin_docindex
表に対応付けられたオーバーフロー・データ・セグメントの物理属性は、次のようにして取得できます。
SELECT LAST_ANALYZED, NUM_ROWS, BLOCKS, EMPTY_BLOCKS FROM DBA_TABLES WHERE IOT_TYPE='IOT_OVERFLOW' and IOT_NAME= 'ADMIN_DOCINDEX';
索引構成表の構造を検証、または連鎖行をリストする場合は、ANALYZE
文を使用します。これらの操作は、このマニュアルの該当する項で説明されています。
ORDER BY
句が主キー列またはその接頭辞のみを参照する場合、行は主キー列でソートされた状態で返されるため、オプティマイザはソートのオーバーヘッドを回避します。
データはすでに主キーでソートされているので、次の2つの問合せはソートのオーバーヘッドを回避します。
SELECT * FROM admin_docindex2 ORDER BY token, doc_id; SELECT * FROM admin_docindex2 ORDER BY token;
ただし、主キー列の接尾辞または非主キー列にORDER BY
句がある場合は、別のソートが必要になります(他の2次索引が定義されていない場合)。
SELECT * FROM admin_docindex2 ORDER BY doc_id; SELECT * FROM admin_docindex2 ORDER BY token_frequency;
索引構成表を標準的な表に変換するには、Oracleのインポート/エクスポート・ユーティリティ、あるいはCREATE TABLE...AS SELECT
文を使用します。
索引構成表を標準的な表に変換する手順
IGNORE=y
(オブジェクト存在エラーを無視する)を指定して、索引構成表のデータをインポートします。 Oracle Databaseでは、外部表内のデータへの読取り専用アクセスが可能です。外部表はデータベース内に存在しない表として定義されており、アクセス・ドライバが提供されていればどのようなフォーマットにすることもできます。外部表を記述するメタデータを提供することで、外部表内のデータをあたかも標準的なデータベース表内に存在しているデータのように公開できます。外部データは、SQLを使用して直接およびパラレルに問合せできます。
外部表のデータは、選択、結合、ソートなどが行えます。外部表のビューやシノニムも作成できます。ただし、外部表に対してDML操作(UPDATE
、INSERT
またはDELETE
)は実行できず、索引も作成できません。
外部表は、任意のSELECT
文の結果をOracle Data Pumpで使用できるように、オラクル社が開発したプラットフォームに依存しないフォーマットにアンロードするフレームワークも提供しています。
外部表のメタデータは、CREATE TABLE...ORGANIZATION EXTERNAL
文を使用して定義します。外部表の定義は、外部データを最初にデータベースにロードしなくても外部データに対して任意のSQL問合せを実行できるビューとみなすことができます。表内の外部データを読み込むために実際に使用されているメカニズムが、アクセス・ドライバです。外部表を使用してデータをアンロードすると、SELECT
文のデータ型(問合せの形式とも呼ばれます)に基づいてメタデータが自動的に作成されます。
Oracle Databaseでは、外部表のための2種類のアクセス・ドライバを提供しています。デフォルトのアクセス・ドライバはORACLE_LOADER
で、Oracleのローダー・テクノロジを使用して外部ファイルからデータを読み込むことができます。ORACLE_LOADER
アクセス・ドライバは、SQL*Loaderユーティリティの制御ファイル構文のサブセットであるデータ・マッピング機能を提供します。第2のアクセス・ドライバORACLE_DATAPUMP
は、データをアンロード(つまり、データベースからデータを読み取り、1つ以上の外部ファイルで表された外部表にそのデータを挿入)してから、データをOracle Databaseに再ロードします。
Oracle Databaseの外部表機能は、データ・ウェアハウスで一般的な、抽出、変換およびロード(ETL)の基本タスクを実行する際に役立つ手段を提供します。
次の項では、外部表のためにサポートされているデータ定義言語(DDL)文について説明します。サポートされているDDL文はここで説明しているもののみですが、これらの文の句がすべてサポートされているわけではありません。
外部表は、CREATE
TABLE
文のORGANIZATION
EXTERNAL
句を使用して作成します。実際には表が作成されるわけではなく、外部表にはエクステントが対応付けられません。そのかわりに、外部データへのアクセスを可能にするメタデータをデータ・ディクショナリに作成します。
次の例では、外部表を作成してから、データをデータベース表にアップロードしています。あるいは、CREATE TABLE
文のAS
subquery
句を指定し、外部表フレームワークを介してデータをアンロードできます。外部表のデータ・ポンプ・アンロードは、ORACLE_DATAPUMP
アクセス・ドライバのみを使用できます。
ファイルempxt1.dat
には、次のサンプル・データが収められています。
360,Jane,Janus,ST_CLERK,121,17-MAY-2001,3000,0,50,jjanus 361,Mark,Jasper,SA_REP,145,17-MAY-2001,8000,.1,80,mjasper 362,Brenda,Starr,AD_ASST,200,17-MAY-2001,5500,0,10,bstarr 363,Alex,Alda,AC_MGR,145,17-MAY-2001,9000,.15,80,aalda
ファイルempxt2.dat
には、次のサンプル・データが収められています。
401,Jesse,Cromwell,HR_REP,203,17-MAY-2001,7000,0,40,jcromwel 402,Abby,Applegate,IT_PROG,103,17-MAY-2001,9000,.2,60,aapplega 403,Carol,Cousins,AD_VP,100,17-MAY-2001,27000,.3,90,ccousins 404,John,Richardson,AC_ACCOUNT,205,17-MAY-2001,5000,0,110,jrichard
次のSQL文の例は、スキーマhr
に外部表admin_ext_employees
を作成し、そのデータをhr.employees
表にロードします。
CONNECT / AS SYSDBA; -- Set up directories and grant access to hr CREATE OR REPLACE DIRECTORY admin_dat_dir AS '/flatfiles/data'; CREATE OR REPLACE DIRECTORY admin_log_dir AS '/flatfiles/log'; CREATE OR REPLACE DIRECTORY admin_bad_dir AS '/flatfiles/bad'; GRANT READ ON DIRECTORY admin_dat_dir TO hr; GRANT WRITE ON DIRECTORY admin_log_dir TO hr; GRANT WRITE ON DIRECTORY admin_bad_dir TO hr; -- hr connects. Provide the user password (hr) when prompted. CONNECT hr -- create the external table CREATE TABLE admin_ext_employees (employee_id NUMBER(4), first_name VARCHAR2(20), last_name VARCHAR2(25), job_id VARCHAR2(10), manager_id NUMBER(4), hire_date DATE, salary NUMBER(8,2), commission_pct NUMBER(2,2), department_id NUMBER(4), email VARCHAR2(25) ) ORGANIZATION EXTERNAL ( TYPE ORACLE_LOADER DEFAULT DIRECTORY admin_dat_dir ACCESS PARAMETERS ( records delimited by newline badfile admin_bad_dir:'empxt%a_%p.bad' logfile admin_log_dir:'empxt%a_%p.log' fields terminated by ',' missing field values are null ( employee_id, first_name, last_name, job_id, manager_id, hire_date char date_format date mask "dd-mon-yyyy", salary, commission_pct, department_id, email ) ) LOCATION ('empxt1.dat', 'empxt2.dat') ) PARALLEL REJECT LIMIT UNLIMITED; -- enable parallel for loading (good if lots of data to load) ALTER SESSION ENABLE PARALLEL DML; -- load the data in hr employees table INSERT INTO employees (employee_id, first_name, last_name, job_id, manager_id, hire_date, salary, commission_pct, department_id, email) SELECT * FROM admin_ext_employees;
この例について、次の各段落で説明します。
この例で、最初の数行の文は、データソースを保存するオペレーティング・システム・ディレクトリ用のディレクトリ・オブジェクトと、アクセス・パラメータで指定される不良レコードやログ・ファイル用のディレクトリ・オブジェクトを作成します。また、必要に応じてREAD
またはWRITE
のディレクトリ・オブジェクト権限を付与する必要があります。
TYPE
指定は、外部表のアクセス・ドライバを示します。アクセス・ドライバはデータベースの外部データを解析するAPIです。Oracle Databaseでは、ORACLE_LOADER
とORACLE_DATAPUMP
の2種類のアクセス・ドライバを提供しています。TYPE
指定を省略した場合は、ORACLE_LOADER
がデフォルトのアクセス・ドライバになります。AS
subquery
句を指定して、あるOracle Databaseからデータをアンロードし、同一または異なるOracle Databaseに再ロードする場合は、ORACLE_DATAPUMP
アクセス・ドライバを指定する必要があります。
ACCESS PARAMETERS
句で指定するアクセス・パラメータは、データベースには不透明です。これらのアクセス・パラメータはアクセス・ドライバによって定義されるもので、データベースが外部表にアクセスするときにアクセス・ドライバに提供されます。 ORACLE_LOADER
アクセス・パラメータの詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。
PARALLEL
句は、データソースに対するパラレル問合せを可能にします。パラレル化の最小単位はデフォルトではデータソースですが、データソース内部でのパラレル・アクセスは可能なかぎり実装されます。たとえば、PARALLEL=3
と指定すると、データソースに対して複数のパラレル実行サーバーを稼働しておくことができます。しかし、データソース内部でのパラレル・アクセスは、次の条件がすべて成り立つ場合にのみ、アクセス・ドライバによって提供されます。
REJECT
LIMIT
句は、外部データの問合せ中に発生する可能性のあるエラーの数に上限を設けないことを指定します。パラレル・アクセスの場合、この上限は各パラレル実行サーバーに個別に適用されます。たとえば、REJECT
LIMIT
を指定すると、各パラレル問合せプロセスで10個の拒否が許可されます。したがって、パラレル問合せに関して正確に規定されるREJECT
LIMIT
の値は、0(ゼロ)およびUNLIMITED
のみです。
この例では、INSERT
INTO
TABLE
文によって外部データソースからOracle Database SQLエンジンへのデータフローが生成され、そこでデータが処理されます。外部表ソースからのデータがアクセス・ドライバで解析されて外部表インタフェースに提供されると、外部データがその外部表現からOracle Databaseの内部データ型に変換されます。
外部表の特性を変更するには、表18-3のいずれかのALTER TABLE
句を使用します。これ以外の句は使用できません。
外部表では、DROP
TABLE
文によってデータベース内の表メタデータのみ削除されます。実際のデータはデータベースの外側に存在しているため、影響はありません。
外部表のシステム権限およびオブジェクト権限は、標準的な表のサブセットになります。外部表に適用できるシステム権限は、次のものにかぎられます。
外部表に適用できるオブジェクト権限は、次のものにかぎられます
ただし、ディレクトリには次のオブジェクト権限が対応付けられています。
外部表では、データソースのあるディレクトリ・オブジェクトに対してREAD
権限が必要であり、同時に、不良ファイル、ログ・ファイルまたは廃棄ファイルのあるディレクトリ・オブジェクトに対してWRITE
権限が必要です。
次のビューを使用して、表に関する情報にアクセスできます。
_COLUMNS
接尾辞で終わるビューのいずれかを使用すれば、名前、データ型、長さ、精度、位取り、デフォルト・データ値などの列情報を表示できます。たとえば、次の問合せは、emp
表とdept
表のデフォルトの列値をすべてリストします。
SELECT TABLE_NAME, COLUMN_NAME, DATA_TYPE, DATA_LENGTH, LAST_ANALYZED FROM DBA_TAB_COLUMNS WHERE OWNER = 'HR' ORDER BY TABLE_NAME;
問合せの出力は次のとおりです。
TABLE_NAME COLUMN_NAME DATA_TYPE DATA_LENGTH LAST_ANALYZED -------------------- -------------------- ---------- ------------ ------------- COUNTRIES COUNTRY_ID CHAR 2 05-FEB-03 COUNTRIES COUNTRY_NAME VARCHAR2 40 05-FEB-03 COUNTRIES REGION_ID NUMBER 22 05-FEB-03 DEPARTMENTS DEPARTMENT_ID NUMBER 22 05-FEB-03 DEPARTMENTS DEPARTMENT_NAME VARCHAR2 30 05-FEB-03 DEPARTMENTS MANAGER_ID NUMBER 22 05-FEB-03 DEPARTMENTS LOCATION_ID NUMBER 22 05-FEB-03 EMPLOYEES EMPLOYEE_ID NUMBER 22 05-FEB-03 EMPLOYEES FIRST_NAME VARCHAR2 20 05-FEB-03 EMPLOYEES LAST_NAME VARCHAR2 25 05-FEB-03 EMPLOYEES EMAIL VARCHAR2 25 05-FEB-03 . . . LOCATIONS COUNTRY_ID CHAR 2 05-FEB-03 REGIONS REGION_ID NUMBER 22 05-FEB-03 REGIONS REGION_NAME VARCHAR2 25 05-FEB-03 51 rows selected.
関連項目:
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