Oracle Database 2日でデータ・ウェアハウス・ガイド 11g リリース1(11.1) E05764-01 |
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メタデータ依存性マネージャを使用すると、Oracle Warehouse Builderリポジトリ内のオブジェクト定義またはメタデータに対して加えられた変更による影響を検出および解決できます。
この章の内容は次のとおりです。
メタデータ依存性マネージャでは、あらゆるデータ・オブジェクトの系統ダイアグラムおよび影響ダイアグラムが作成されます。系統ダイアグラムは、データ・ソースに戻るオブジェクトのプロセス・フローをトレースし、そのパスに存在するすべてのオブジェクトを表示します。影響ダイアグラムは、選択したオブジェクトから導出されるすべてのオブジェクトを識別します。
このタイプの情報は、多くの場面で役に立ちます。たとえば、これらのダイアグラムを次の場合に使用できます。
依存性マネージャを使用すると、将来にわたる変更が及ぼす影響をプレビューしながらプロジェクトを計画できます。ソース・システムに対する変更を計画している場合は、依存性マネージャを使用して、その変更がウェアハウス設計に与える影響を評価できます。または、すでに変更が行われている場合は、ETL設計の更新とデータ・ウェアハウスの再構築に必要な時間を見積もることができます。
図8-1に、メタデータ依存性マネージャを示します。Oracle Warehouse Builderの他のウィンドウと同じように、依存性マネージャには、メニュー、ツールバー、ナビゲータ、プロパティ・インスペクタおよびキャンバスがあります。キャンバスには1つ以上のダイアグラムが表示されます。
これらのコンポーネントに固有の情報を参照するには、「ヘルプ」メニューの「トピック」を選択してください。
データ・ウェアハウスの設計と構築が完了した後に、ソース・データベースが変更されることがよくあります。このような変更は、これに付随してOracle Warehouse Builder設計またはメタデータに対する変更の必要性や影響があることを意味します。Oracle Warehouse Builderを使用すると、変更済のソース定義をリポジトリに再インポートできます。ただし、元のウェアハウス設計は、再インポートした定義に対しては有効ではなくなります。そのため、設計を変更して不整合を修正する必要があります。
まず最初に、ソースの変更によってウェアハウス設計がどのように影響を受けるのかを見極める必要があります。次に、そのソースに依存しているすべての設計オブジェクトについてメタデータを同期し、影響を受けるすべてのオブジェクトを更新してソースの変更を反映します。このプロセスの完了後に、更新済の設計を再配布してデータ・ウェアハウスを再構築し、データを同期します。
このシナリオでは、会社はCUSTOMERS
という名前のフラット・ファイルからすべての統計レポートを取得しています。これまでは、追加のパラメータのレポートを生成するにはファイル定義を変更する必要がありました。統計分析データベースは最近Oracle9i からOracle Database 10g に移行されました。
この会社の設計担当者は、まず最初に、設計リポジトリ内のこのファイルの変更済メタデータ定義を、そのデータを基にしているすべての設計オブジェクトおよびマッピングに同期する必要があります。CUSTOMERS
フラット・ファイルはETL設計の複数のマッピングの一部であるため、この定義に対する変更はこれらのすべてを無効にします。CUSTOMERS
フラット・ファイルの影響を受けるすべての領域を手動で追跡し、定義を更新することは、エラーが起こりやすいプロセスです。
依存性マネージャは、データ・ソースに対する変更によって影響を受けるすべてのオブジェクトを識別することを可能にします。関連する各設計オブジェクトが確実に更新され、ETL設計は有効に保たれます。このプロセスの完了後に、影響を受けた表および更新済のETL設計オブジェクトをデータ・ウェアハウスに再配布できます。
系統および影響分析(LIA)ダイアグラムは、Oracle Warehouse Builderで管理するオブジェクトの関係を示します。これらの関係はマッピングとプロセス・フローで構築されます。特定のオブジェクトの系統ダイアグラムはそのソース・オブジェクトを示し、影響ダイアグラムはそのターゲットを示します。
系統と影響は互いのミラー・イメージです。 オブジェクトAがオブジェクトBの系統ダイアグラムの一部である場合、オブジェクトBはオブジェクトAの影響ダイアグラムの一部です。ダイアグラムを左から右に参照すると影響がわかり、右から左に参照すると系統がわかります。
たとえば、データをファイルから抽出して外部表としての表にロードするマッピングがあるとします。この関係は次のようになります。
flat_file > external_table > table
図8-2に、ADDRESS_EXT_TABLE
という名前の外部表の系統ダイアグラムを示します。ADDRESS_CSV
はフラット・ファイルであり、ADDRESS_EXT_TABLE
の系統の一部です。つまり、ADDRESS_CSV
に対する変更はADDRESS_EXT_TABLE
に影響を与えます。
図8-3に、ADDRESS_EXT_TABLE
の影響ダイアグラムを示します。これにはADDRESS_TBL
が含まれています。ADDRESS_EXT_TABLE
表に加えられた変更は、ADDRESS_TBL
に影響を与えます。ADDRESS_EXT_TABLE
はADDRESS_TBL
の系統の一部です。
オブジェクト・アイコンの両側にあるいずれかのプラス記号(+)(図8-4に示します)をクリックすると、オブジェクトの系統と影響の両方を簡単に表示できます。
最初にメタデータ依存性マネージャを開くと、デザイン・センターのプロジェクト・エクスプローラからLIAダイアグラムを生成できます。
ダイアグラムが表示されたメタデータ依存性マネージャが開きます。
「系統」および「影響」コマンドは、「ビュー」メニューからも使用できます。
メタデータ依存性マネージャが表示されます。
キャンバスにダイアグラムが表示されます。
オブジェクトおよびダイアグラム・タイプの初期選択によって、最初の開始点およびそのダイアグラムのオブジェクトからのブランチの方向が決まります。次の手順でLIAダイアグラムを変更できます。
グループを使用すると、複雑なダイアグラムでオブジェクトを編成できるため、オブジェクトを簡単に探して編集できます。ダイアグラム内のオブジェクトの数を減らすと、対象オブジェクトをより簡単に見つけることができます。
「選択したデータ・オブジェクトのグループ化」ダイアログ・ボックスが表示されます。
選択したオブジェクトが単一のアイコンに縮小表示されます。
グループ内の個々のオブジェクトを表示するには、フォルダ・アイコンをダブルクリックします。これらのオブジェクトは、グループ化されていないオブジェクトと同じように操作できます。
オブジェクトのグループを解除するには、グループを選択して「選択したオブジェクトのグループ解除」ツールをクリックします。
ダイアグラムのオブジェクト・アイコンを展開表示して、属性を検査できます。図8-5に、2つの展開表示されたアイコンを示します。アイコンの列属性はマッピングによって接続されています。
アイコンを展開表示するには、ダブルクリックします。アイコンに戻すには、右上角の下矢印をクリックします。
選択した属性の系統または影響パスにある属性が別の色で強調表示されます。
この詳細情報は、鑑査または変更の伝播を計画する際に使用できます。
LIAダイアグラムは、1つ以上のオブジェクトの変更によって無効化された可能性があるすべてのオブジェクトを識別します。これにより、影響があったオブジェクトを検査し、必要に応じて変更できます。
これらの変更は、依存性マネージャで次の方法を使用して行うことができます。
ダイアグラムのオブジェクト・アイコンを右クリックし、ポップアップ・メニューから「エディタを開く」を選択します。
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