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Oracle Database管理者リファレンス
11gリリース1(11.1) for Linux and UNIX-Based Operating Systems
E05786-05
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1 Oracle Databaseの管理

この章では、UNIXベースのオペレーティング・システムでOracle Databaseを管理する方法について説明します。次の項目について説明します。


関連項目:

Oracle Databaseの管理に関するプラットフォーム固有の情報は、このマニュアルの付録を参照してください。

1.1 概要

Oracle Databaseを使用するには、Oracle Databaseの環境変数、パラメータおよびユーザー設定を設定する必要があります。この章では、Oracle Databaseの各種設定について説明します。

Oracle Databaseのファイルおよびプログラムでは、疑問符(?)は環境変数ORACLE_HOMEの値を表します。たとえば、Oracle Databaseでは、次のSQL文中の疑問符は、Oracleホーム・ディレクトリのフルパス名に展開されます。

SQL> ALTER TABLESPACE TEMP ADD DATAFILE '?/dbs/temp02.dbf' SIZE 200M

同様に、アットマーク(@)記号は環境変数ORACLE_SIDを表します。たとえば、ファイルが現行のインスタンスに属していることを示す場合は、次のコマンドを実行します。

SQL> ALTER TABLESPACE tablespace_name ADD DATAFILE tempfile@.dbf

Syslog監査証跡を作成して、管理アクティビティを追跡できます。


関連項目:

Syslog監査証跡の詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』の、UNIXシステムでSyslog監査証跡を使用してシステム管理者を監査する方法に関する項を参照してください。

1.2 環境変数

この項では、通常使用されるOracle Databaseおよびオペレーティング・システムの環境変数について説明します。Oracle Databaseをインストールする前に、これらの環境変数をいくつか定義する必要があります。

環境変数の現在の設定値を表示するには、envコマンドを使用します。たとえば、環境変数ORACLE_SIDの値を表示するには、次のコマンドを実行します。

$ env | grep ORACLE_SID

すべての環境変数の現在の設定値を表示するには、envコマンドを次のように実行します。

$ env | more

1.2.1 Oracle Databaseの環境変数

表1-1に、Oracle Databaseで使用する環境変数を示します。

表1-1 Oracle Databaseの環境変数

変数 項目 定義

NLS_LANG

機能

クライアント環境の言語、地域およびキャラクタ・セットを指定します。NLS_LANGで指定するキャラクタ・セットは、端末または端末エミュレータのキャラクタ・セットと一致している必要があります。NLS_LANGで指定されたキャラクタ・セットがデータベースのキャラクタ・セットと異なる場合、そのキャラクタ・セットは自動的に変換されます。

この変数の値リストの詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。


構文

language_territory.characterset


french_france.we8iso8859p15

ORA_NLS10

機能

言語、地域、キャラクタ・セットおよび言語の定義ファイルが保存されているディレクトリを指定します。


構文

directory_path


$ORACLE_HOME/nls/data

ORA_TZFILE

機能

タイム・ゾーン・ファイルのフルパスおよびファイル名を指定します。この環境変数は、データベース内のデータに対して小規模タイム・ゾーン・ファイル($ORACLE_HOME/oracore/zoneinfo/timezone.dat)を使用する場合に設定する必要があります。Oracle Database 11gでは、デフォルトで大規模タイム・ゾーン・ファイル($ORACLE_HOME/oracore/zoneinfo/timezlrg.dat)が使用されます。このファイルには、小規模タイム・ゾーン・ファイルよりも多数のタイム・ゾーンに関する情報が記載されています。

情報を共有するデータベースはすべて、同一のタイム・ゾーン・ファイルを使用する必要があります。この環境変数の値を変更した場合は、データベースを停止し、再起動する必要があります。


構文

directory_path


$ORACLE_HOME/oracore/zoneinfo/timezlrg.dat

ORACLE_BASE

機能

Optimal Flexible Architectureに準拠したインストールのOracleディレクトリ構造の基本となるディレクトリを指定します。


構文

directory_path


/u01/app/oracle

ORACLE_HOME

機能

Oracleソフトウェアが格納されているディレクトリを指定します。


構文

directory_path


$ORACLE_BASE/product/11.1.0/db_1

ORACLE_PATH

機能

SQL*PlusなどのOracleアプリケーションが使用するファイルの検索パスを指定します。ファイルのフルパス名が指定されていない場合やファイルが現行のディレクトリにない場合、Oracleアプリケーションでは、ORACLE_PATHを使用してそのファイルの場所を特定します。


構文

ディレクトリをコロンで区切ったリスト:

directory1:directory2:directory3

/u01/app/oracle/product/11.1.0/db_1/bin:.

注意: 最後にピリオドを付けることによって、検索パスに現行のディレクトリが追加されます。

ORACLE_SID

機能

Oracleシステムの識別子を指定します。


構文

英字で始まり、数字と英字で構成される文字列を指定します。システム識別子は、8文字以内で指定することをお薦めします。この環境変数の詳細は、『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。


SAL1

ORACLE_TRACE

機能

インストール時のシェル・スクリプトのトレースを有効にします。この環境変数をTに設定した場合は、ほとんどのOracleシェル・スクリプトでset -xコマンドが使用されます。これによって、シェル・スクリプトの実行時にコマンドとそれらの引数が印刷されます。他の値を設定した場合、または値を設定しない場合、そのスクリプトでは、set -xコマンドが使用されません。


構文

TまたはT以外


T

ORAENV_ASK

機能

oraenvまたはcoraenvスクリプトで、環境変数ORACLE_SIDの値を入力するためのプロンプトを表示するかどうかを制御します。NOに設定した場合、環境変数ORACLE_SIDの値を入力するためのプロンプトは表示されません。他の値に設定した場合、または値を設定しない場合、スクリプトによって環境変数ORACLE_SIDの値を入力するためのプロンプトが表示されます。


構文

NOまたはNO以外


NO

SQLPATH

機能

SQL*Plusでのlogin.sqlファイルの検索先ディレクトリまたはディレクトリのリストを指定します。


構文

ディレクトリをコロンで区切ったリスト: directory1:directory2:directory3


/home:/home/oracle:/u01/oracle

TNS_ADMIN

機能

Oracle Net Services構成ファイルが格納されているディレクトリを指定します。


構文

directory_path


$ORACLE_HOME/network/admin

TWO_TASK

機能

接続文字列に使用するデフォルトの接続識別子を指定します。この環境変数が設定されている場合は、接続文字列に接続識別子を指定しないでください。たとえば、環境変数TWO_TASKsalesに設定されている場合は、CONNECT username/password@salesコマンドではなく、CONNECT username/passwordコマンドを使用してデータベースに接続できます。


構文

任意の接続識別子


許容値

ネーミング・メソッドを使用して解決できる有効な接続識別子(tnsnames.oraファイルやディレクトリ・サーバーなど)


PRODDB_TCP



注意:

競合を防ぐため、Oracle Databaseサーバーのプロセス名と同じ名前で環境変数を定義しないでください。Oracle Databaseサーバーのプロセス名には、ARCHPMONDBWRなどがあります。

1.2.2 UNIX環境変数

表1-2に、Oracle Databaseで使用するUNIX環境変数を示します。

表1-2 Oracle Databaseで使用する環境変数

変数 項目 定義

ADA_PATH(AIXのみ)

機能

Ada compiler.smが格納されているディレクトリを指定します。


構文

directory_path


/usr/lpp/powerada

CLASSPATH

機能

Javaアプリケーションで使用します。この環境変数に必要な設定は、Javaアプリケーションによって異なります。詳細は、Javaアプリケーション製品のドキュメントを参照してください。


構文

ディレクトリまたはファイルをコロンで区切ったリスト: directory1:directory2:file1:file2


デフォルトの設定はありません。CLASSPATHには、次のディレクトリが含まれている必要があります。

$ORACLE_HOME/JRE/lib:$ORACLE_HOME/jlib

DISPLAY

機能

Xベースのツールで使用します。入出力に使用するディスプレイ・デバイスを指定します。詳細は、使用しているX Window Systemのドキュメントを参照してください。


構文

hostname:server[.screen]

hostnameはシステム名(IPアドレスまたは別名)、serverはサーバーの順次コード番号、screenは画面の順次コード番号です。使用するモニターが1つの場合は、サーバーと画面のどちらにも値0を使用します(0.0)。

注意: 使用するモニターが1つの場合、screenはオプションです。


135.287.222.12:0.0
bambi:0

構文

ディレクトリをコロンで区切ったリスト: directory1:directory2:directory3


/usr/lib:$ORACLE_HOME/lib

HOME

機能

ユーザーのホーム・ディレクトリを指定します。


構文

directory_path


/home/oracle

LANGまたはLANGUAGE

機能

メッセージなどの出力でオペレーティング・システムが使用する言語およびキャラクタ・セットを指定します。また、Oracle Universal Installer、Database Configuration AssistantなどのJavaでプログラムされているOracleツールでは、ユーザー・インタフェースの言語を判別するためにこの変数を使用することがあります。詳細は、オペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。

LD_OPTIONS

機能

デフォルトのリンカー・オプションを指定します。この環境変数の詳細は、ldのmanページを参照してください。

LPDEST(Solarisのみ)

機能

デフォルトのプリンタの名前を指定します。


構文

string


docprinter

LD_LIBRARY_PATH(AIX以外のすべてのプラットフォーム)

機能

共有ライブラリ・ローダーの実行時に共有オブジェクト・ライブラリの検索先となるディレクトリのリストを指定します。この環境変数の詳細は、ldのmanページを参照してください。

HP-UXの場合、64ビットの共有ライブラリのパスを指定します。


構文

ディレクトリをコロンで区切ったリスト: directory1:directory2:directory3


/usr/dt/lib:$ORACLE_HOME/lib

LD_LIBRARY_PATH_64(SPARCシステムのみ)

機能

共有ライブラリ・ローダーの実行時に特定の64ビットの共有オブジェクト・ライブラリを検索するディレクトリのリストを指定します。この環境変数の詳細は、ldのmanページを参照してください。


構文

コロンで区切ったディレクトリのリスト: directory1:directory2:directory3


/usr/dt/lib:$ORACLE_HOME/lib64

LIBPATH(AIXのみ)

機能

共有ライブラリ・ローダーの実行時に共有オブジェクト・ライブラリの検索先となるディレクトリのリストを指定します。この環境変数の詳細は、ldのmanページを参照してください。


構文

ディレクトリをコロンで区切ったリスト: directory1:directory2:directory3


/usr/dt/lib:$ORACLE_HOME/lib

PATH

機能

シェルで、実行可能プログラムの場所を特定するために使用されます。$ORACLE_HOME/binディレクトリが含まれている必要があります。


構文

ディレクトリをコロンで区切ったリスト: directory1:directory2:directory3


/bin:/usr/bin:/usr/local/bin:/usr/bin/X11:$ORACLE_HOME/bin: $HOME/bin:.

注意: 最後にピリオドを付けることによって、検索パスに現行のディレクトリが追加されます。

PRINTER

機能

デフォルトのプリンタの名前を指定します。


構文

string


docprinter

SHLIB_PATH(HP-UX 32ビット・ライブラリのみ)

機能

共有ライブラリ・ローダーの実行時に共有オブジェクト・ライブラリの検索先となるディレクトリのリストを指定します。この環境変数の詳細は、ldのmanページを参照してください。


構文

ディレクトリをコロンで区切ったリスト: directory1: directory2: directory3


/usr/dt/lib:$ORACLE_HOME/lib32

TEMPTMPおよびTMPDIR

機能

一時ファイル用のデフォルト・ディレクトリを指定します。設定すると、一時ファイルを作成するツールは、指定したデフォルト・ディレクトリの1つに一時ファイルを作成します。


構文

directory_path


/u02/oracle/tmp

XENVIRONMENT

機能

X Window Systemのリソース定義を含むファイルを指定します。詳細は、使用しているX Window Systemのドキュメントを参照してください。


1.2.3 共通の環境設定

この項では、デフォルト・シェルに応じてoraenvまたはcoraenvスクリプトを使用し、共通のオペレーティング・システム環境を設定する方法について説明します。

  • Bourne、BashまたはKornシェルの場合は、oraenvコマンドを使用します。

  • Cシェルの場合は、coraenvコマンドを使用します。

oraenvおよびcoraenvスクリプト・ファイル

oraenvおよびcoraenvスクリプトは、インストール時に作成されます。この2つのスクリプトは、oratabファイルの内容に基づいて環境変数を設定し、次の機能を提供します。

  • データベースの変更をすべてのユーザー・アカウントに反映して更新するための主な方法

  • oratabファイルに指定されているデータベース間で切替えを行うためのメカニズム

開発システムからデータベースに対して頻繁に追加や削除を行ったり、同一システム上にインストールされた複数の異なるOracle Database間でユーザーが切替えを行う場合があります。oraenvまたはcoraenvスクリプトを使用すると、ユーザー・アカウントが更新されていることを確認し、データベース間で切替えを行うことができます。


注意:

oraenvまたはcoraenvスクリプトは、Oracleソフトウェア所有者(通常はoracle)ユーザーのシェル起動スクリプトからはコールしないでください。これらのスクリプトでは値の入力を促すプロンプトが表示されるため、システムの起動時にdbstartスクリプトが自動的にデータベースを起動できなくなります。

oraenvまたはcoraenvスクリプトは通常、ユーザーのシェル起動ファイル(.profileまたは.loginなど)からコールされます。このスクリプトは、環境変数ORACLE_SIDおよびORACLE_HOMEを設定し、$ORACLE_HOME/binディレクトリを環境変数PATHの設定に含めます。データベース間で切替えを行う場合に、oraenvまたはcoraenvスクリプトを実行して、これらの環境変数を設定できます。


注意:

これらのスクリプトのいずれかを実行するには、適切なコマンドを使用します。
  • coraenvスクリプトの場合

    % source /usr/local/bin/coraenv
    
  • oraenvスクリプトの場合

    $ . /usr/local/bin/oraenv
    

ローカルbinディレクトリ

oraenvcoraenvおよびdbhomeスクリプトを含むディレクトリは、ローカルbinディレクトリと呼ばれます。すべてのデータベース・ユーザーは、このディレクトリへの読取りアクセス権が必要です。ローカルbinディレクトリのパスをユーザーの環境変数PATHの設定に追加してください。インストール後にroot.shスクリプトを実行すると、ローカルbinディレクトリのパスを要求するプロンプトが表示されます。指定したディレクトリに、oraenvcoraenvおよびdbhomeスクリプトが自動的にコピーされます。デフォルトのローカルbinディレクトリは、/usr/local/binです。root.shスクリプトを実行しない場合は、手動でoraenvまたはcoraenvスクリプトとdbhomeスクリプトを、$ORACLE_HOME/binディレクトリからローカルbinディレクトリにコピーできます。

1.2.4 システム・タイム・ゾーンの設定

環境変数TZは、タイム・ゾーンを設定します。これによって、時間を夏時間に変更したり、別のタイム・ゾーンにすることができます。調整した時刻は、タイムスタンプ・ファイルに使用したり、dateコマンドの出力を生成したり、SYSDATEの現在値を取得するために使用します。

Oracleデータベースのプロセッサ間でTZ値を一致させておくことをお薦めします。これはTZ値が次の環境で同一になることを意味します。

  • データベースのインスタンスの起動シェル: SQL*Plusのstartupコマンド

  • Oracle Database Control Consoleの起動シェル: emctl start dbconsoleコマンド

  • いずれかのデータベース・ホストでのEnterprise Manager Management Agentの起動シェル: emctl start agentコマンド

  • データベースに接続しているリスナーの起動シェル: lsnrctl startコマンド

  • プロセスがBequeathプロトコルを介してデータベースに接続するシェル: ORACLE_HOME環境変数およびORACLE_SID環境変数を使用したデータベース・インスタンスの指定など

タイム・ゾーンが前述の環境間で一致していない場合、SYSDATE関数およびSYSTIMESTAMP関数の値が、関数をコールするデータベース・セッションによって異なる可能性があります。これは、関数のセマンティックと矛盾しています。それぞれのデータベース・セッションで異なるタイム・ゾーンを機能させる場合は、セッション・タイム・ゾーンに適した設定で、CURRENT_DATE関数、CURRENT_TIMESTAMP関数またはLOCALTIMESTAMP関数を使用してください。詳細は、ALTER SESSIONコマンドに関する記述を参照してください。

1.3 初期化パラメータ

次の各項では、Oracle Database初期化パラメータについて説明します。

1.3.1 DB_BLOCK_SIZE初期化パラメータ

DB_BLOCK_SIZE初期化パラメータは、データベースの標準ブロック・サイズを指定します。このブロック・サイズはSYSTEM表領域に使用され、その他の表領域ではデフォルトで使用されます。

DB_BLOCK_SIZEに設定できる最大値は、Linux x86の場合16KBです。その他のプラットフォームの場合、32KBです。


注意:

DB_BLOCK_SIZE初期化パラメータの値は、データベースの作成後に変更することはできません。

1.3.2 ASM_DISKSTRING初期化パラメータ


注意:

ASM_DISKSTRING初期化パラメータをサポートしているのは、自動ストレージ管理インスタンスのみです。

ASM_DISKSTRING初期化パラメータに値を割り当てるための構文は、次のとおりです。

ASM_DISKSTRING = 'path1'[,'path2', . . .]

この構文のpathnは、RAWデバイスへのパスです。パスを指定する際は、ワイルドカード文字を使用できます。

表1-3に、ASM_DISKSTRING初期化パラメータに対するプラットフォーム固有のデフォルト値を示します。

表1-3 ASM_DISKSTRING初期化パラメータのデフォルト値

プラットフォーム デフォルト検索文字列

AIX

/dev/rhdisk*

HP-UX

/dev/rdisk/*

Solaris

/dev/rdsk/*



関連項目:

RAWデバイスのパスの指定時に使用できるワイルドカード文字パターンに関するプラットフォーム固有の情報は、glob(7)のmanページを参照してください。

1.3.3 LOG_ARCHIVE_DEST_n初期化パラメータ

LOG_ARCHIVE_DEST_n初期化パラメータのASYNCに設定できる最大値は、UNIXプラットフォームでは次の表に示すように異なります。

プラットフォーム 最大値
HP-UX 51200
その他のオペレーティング・システム 102400

1.4 オペレーティング・システムのアカウントとグループ

この項では、次のOracle Databaseに必要な特殊なオペレーティング・システムのアカウントとグループについて説明します。

1.4.1 Oracleソフトウェア所有者アカウント

Oracleソフトウェア所有者アカウントは、通常oracleという名前で、Oracleソフトウェアのインストールに使用します。ソフトウェアを個別にOracleホーム・ディレクトリにインストールするたびに、異なるOracleソフトウェア所有者アカウントを使用できます。ただし、インストール後のOracleホーム・ディレクトリの保守作業では、Oracleホーム・ディレクトリごとに、ソフトウェアをインストールしたときと同じアカウントを使用する必要があります。

Oracleソフトウェア所有者は、Oracleインベントリ・グループをプライマリ・グループとして、OSDBAグループをセカンダリ・グループとして所有することをお薦めします。

1.4.2 OSASM、OSDBA、OSOPERおよびOracleインベントリ・グループ

表1-4に、Oracle Databaseに必要な、特殊なオペレーティング・システム・グループを示します。

表1-4 オペレーティング・システム・グループ

グループ 代表的な名前 説明

OSASM

dba

OSASMグループは、自動ストレージ管理専用に提供されています。その権限に対して個別のオペレーティング・システム・グループを使用する場合、最初は、自動ストレージ管理をインストールするユーザーのみがOSASMグループのメンバーになります。ただし、他のユーザーを追加することもできます。OSASMグループのメンバーは、SYSASM権限を使用して接続する権限を持ち、自動ストレージ管理への完全なアクセス権(自動ストレージ管理インスタンスによって管理されるすべてのディスク・グループへの管理アクセスを含む)を持ちます。

OSDBA

dba

OSDBAグループのメンバーであるオペレーティング・システム・アカウントには、特殊なデータベース権限があります。このグループのメンバーは、SYSDBA権限を使用してデータベースに接続できます。Oracleソフトウェア所有者は、このグループの必須メンバーです。必要に応じて、他のアカウントを追加できます。

OSOPER

oper

OSOPERグループは、オプション・グループです。OSOPERグループのメンバーであるオペレーティング・システム・アカウントには、特殊なデータベース権限があります。このグループのメンバーは、SYSOPER権限を使用してデータベースに接続できます。

Oracleインベントリ

oinstall

Oracleソフトウェアをインストールするユーザーはすべて、同じオペレーティング・システム・グループに属している必要があります。このグループはOracleインベントリ・グループと呼ばれます。インストール時には、このグループが、Oracleソフトウェア所有者のプライマリ・グループである必要があります。インストール後は、システムにインストールされたすべてのOracleファイルを、このグループが所有します。



関連項目:

OSDBAグループとSYSDBA権限、およびOSOPERグループとSYSOPER権限の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』および『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。

Oracle Databaseでは、UNIXオペレーティング・システムの機能をいくつか使用して、ユーザーに安全性の高い環境を提供します。その機能には、ファイル所有権、グループ・アカウント、処理時にそのユーザーIDを変更するプログラム機能が含まれます。

Oracle Databaseの2タスク構造によって、ユーザー・プログラムとoracleプログラム間で作業(およびアドレス領域)を分割し、セキュリティを高めることができます。すべてのデータベース・アクセスは、このシャドウ・プロセスおよびoracleプログラムへの特殊権限によって行うことができます。


関連項目:

セキュリティ問題の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

1.4.3 グループとセキュリティ

Oracleプログラムは、セキュリティの観点から2つのセットに分けられます。つまり、すべてのユーザー(UNIX用語ではother)が実行できるプログラムと、DBAのみが実行できるプログラムに分けられます。セキュリティを保護するために次の方法で分類することをお薦めします。

  • oracleアカウントのプライマリ・グループは、oinstallである必要があります。

  • oracleアカウントは、dbaグループをセカンダリ・グループとする必要があります。

  • SYSDBA権限が必要なユーザー・アカウントはdbaグループに属することができますが、oinstallグループに属することができるユーザー・アカウントは、Oracleソフトウェア所有者アカウントのみです。たとえば、oracleユーザーなどです。

1.4.4 外部認証

外部認証を使用する場合は、OS_AUTHENT_PREFIX初期化パラメータの値をOracleユーザー名の接頭辞として使用する必要があります。このパラメータを明示的に設定しない場合は、UNIXのデフォルト値ops$(大/小文字区別あり)が使用されます。

オペレーティング・システムとOracle認証の両方に同一のユーザー名を使用するには、次のように、この初期化パラメータをNULL文字列に設定します。

OS_AUTHENT_PREFIX=""

関連項目:

外部認証の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

1.4.5 orapwdユーティリティの実行

パスワード・ファイルを使用して、データベースへの接続時にSYSDBAおよびSYSOPER権限を使用できるユーザーを識別できます。Oracle Database Configuration Assistantを使用してデータベースを作成すると、新規データベースに対してパスワード・ファイルが作成されます。データベースを手動で作成する場合は、次のようにデータベースのパスワード・ファイルを作成してください。

  1. Oracleソフトウェア所有者でログインします。

  2. orapwdユーティリティを使用して、次のようにパスワード・ファイルを作成します。

    $ $ORACLE_HOME/bin/orapwd file=filename entries=max_users
    Enter password for SYS:
    

    次の表に、このコマンドで指定する必要がある値を示します。

説明
filename パスワード情報が書き込まれているファイルの名前です。

ファイル名はorapwsidで、フルパス名を指定する必要があります。その内容は暗号化されています。パスワード・ファイルは通常、$ORACLE_HOME/dbsディレクトリに作成されます。

password プロンプトが表示されたら、適切なSYSパスワードを入力します。
max_users パスワード・ファイルで許可されるエントリの最大数を設定します。これは、SYSDBA権限またはSYSOPER権限により同時にデータベースに接続できる別々のユーザーの最大数です。


関連項目:

orapwdユーティリティの使用方法は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。

1.4.6 パスワード管理

Oracle Database Configuration Assistantを使用してデータベースを作成する場合、ユーザーはSYSおよびSYSTEMアカウントのパスワードを変更する必要があります。デフォルトのパスワードCHANGE_ON_INSTALLおよびMANAGERは使用できません。

Oracle Database Configuration Assistantでは、セキュリティ上の理由により、データベースの作成後にほとんどのOracleユーザー・アカウントがロックされます。ただし、SYSまたはSYSTEMの各アカウントはロックされません。ロックされたアカウントを使用するには、ロックを解除してパスワードを変更する必要があります。そのためには、次の方法のいずれかを使用できます。

  • Oracle Database Configuration Assistantを使用してパスワードを変更するには、Database Configuration Assistantの「サマリー」ウィンドウで「パスワード管理」をクリックします。

  • あるいは、SQL*Plusを使用してSYSとしてデータベースに接続し、次のコマンドを実行してアカウントのロックを解除し、パスワードを再設定します。

    SQL> ALTER USER username IDENTIFIED BY passwd ACCOUNT UNLOCK;
    

1.4.7 オペレーティング・システム・アカウントの追加

オペレーティング・システム・アカウントは、必要に応じて作成します。管理者権限を使用してデータベースに接続するには、ユーザーがOSDBAまたはOSOPERグループのメンバーである必要があります。

1.4.8 Oracleユーザーのアカウントの構成

oracleユーザーおよびOracleユーザーのオペレーティング・システム・アカウントの起動ファイルを更新し、環境ファイルに適切な環境変数を指定します。

Bourne、BashまたはKornシェルの場合は、環境変数を.profileファイルに追加します(Red Hat Enterprise LinuxのBashシェルの場合は、.bash_profileファイルに追加します)。

Cシェルの場合は、環境変数を.loginファイルに追加します。


注意:

oraenvまたはcoraenvスクリプトを使用すると、Oracleユーザーのアカウントが更新されたことを確認できます。

1.5 トレース・ファイルおよびアラート・ファイルの使用

この項では、操作上の問題を簡単に診断して解決できるように、Oracle Databaseが作成するトレース・ファイル(ダンプ・ファイル)およびアラート・ファイルについて説明します。この項の内容は、次のとおりです。

1.5.1 トレース・ファイル

各サーバーとバックグラウンド・プロセスでは、トレース・ファイルに情報を書き込みます。プロセスが内部エラーを検出すると、そのエラーに関する情報がトレース・ファイルに書き込まれます。トレース・ファイルのファイル名の形式はsid_processname_unixpid.trcです。各項目の説明は次のとおりです。

  • sidは、インスタンスのシステム識別子です。

  • processnameは、トレース・ファイルを作成したOracle Databaseプロセスを識別するための、3〜4文字の短縮されたプロセス名(pmondbwrorarecoなど)です。

  • unixpidは、オペレーティング・システム・プロセスのID番号です。

次に、トレース・ファイル名のサンプルを示します。

$ORACLE_BASE/diag/rdbms/mydb/mydb/trace/test_lgwr_1237.trc

MAX_DUMP_FILE初期化パラメータを5000以上に設定し、トレース・ファイルがエラー情報を格納するのに十分な大きさになるようにします。

1.5.2 アラート・ファイル

alertsid.logファイルには、重要なデータベース・イベント情報やメッセージを格納します。データベース・インスタンスまたはデータベースに影響を与えるイベントは、このファイルに記録されます。