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Oracle® Spatial開発者ガイド
11gリリース2 (11.2)
B72087-03
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B Oracle Locator

Oracle Locator(Locatorともいう)は、Oracle Database 11g Standard Editionの機能です。Locatorは、Oracle Spatialで使用可能な主要な機能およびサービスを提供します。通常、インターネットおよびワイヤレス・サービス・ベースのアプリケーションおよびパートナ・ベースのGISソリューションをサポートするために必要な、重要な機能を提供します。Locatorは、複雑な空間データ管理が必要な地理情報システム(GIS)アプリケーションのためのソリューションとして設計されていません。線形参照、高度なSpatialファンクション、Spatial Webサービスなどの機能が必要な場合は、LocatorではなくOracle Spatialを使用します。

Spatialと同様に、Locatorは、エンド・ユーザー・アプリケーションではなく、アプリケーション開発者向けの一連の空間機能として設計されています。

Locatorは、Oracle DatabaseのStandard Edition One、Standard EditionおよびEnterprise Editionと、Oracle Database XE (Express Edition)で使用できます。Spatialは、Oracle Database 11g Enterprise Editionのみで使用可能な別ライセンスのオプションです。Spatialには、Locatorのすべての機能に加えて、Locatorでは使用できない機能も含まれています。

Locatorで使用可能な機能のみを使用する必要がある場合は、B.1項「LocatorまたはSpatialの手動によるインストールおよび削除」を参照してください。SpatialおよびLocatorに関するライセンス情報は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。

Locatorがインストールされているかどうかは、Oracle Multimediaが正しく適切にインストールされたかどうかによります。Oracle Multimediaは、Oracle Database 11g とともにインストールされ構成されますが、必要に応じて、手動でインストールすることもできます(『Oracle Multimediaユーザーズ・ガイド』を参照)。Locatorは、Oracle Multimediaのインストール時にインストールされます。

通常Locatorには、Spatialの一部のサブプログラム(ファンクションおよびプロシージャ)とともに、Oracle Spatialのデータ型、演算子および索引付け機能が含まれます。Locatorに含まれる機能は次のとおりです。

空間の概念、SDO_GEOMETRYオブジェクト型、SQL Multimedia型の注釈テキストのサポート、および空間データの索引付けとロードの詳細は、このマニュアルの第1章から第5章を参照してください。Locatorでサポートされている機能のリファレンス情報および使用方法は、表B-1に示す章または項を参照してください。

表B-1 LocatorでサポートされているSpatial関連の機能

機能 参照先

空間演算子(厳密にはテーブル・ファンクションですが、演算子とともに説明するSDO_JOINも含む)。

第19章


SDO_GEOM.RELATESDO_GEOM.SDO_DIFFERENCESDO_GEOM.SDO_INTERSECTIONSDO_GEOM.SDO_UNIONSDO_GEOM.SDO_VOLUMESDO_GEOM.SDO_XORを除くすべてのSDO_GEOMサブプログラム

第24章


SDO_AGGR_SET_UNIONおよびSDO_AGGR_UNIONを除く空間集計ファンクション

第20章


座標系変換サブプログラム(SDO_CS package)

第21章


演算子のコールに対する暗黙的な座標系の変換(このコールでは、問合せされたレイヤーの座標系にウィンドウを変換する必要あり)

第19章


ファンクション・ベースの空間索引付け。

9.2項


空間索引での表のパーティション化のサポート(パーティションおよびその索引の分割、マージおよび交換を含む)。

5.1.3項および5.1.4項

測地データのサポート。

6.2項および6.8項

索引を作成、変更、削除するためのSQL文。

第18章


パラレル空間索引作成(PARALLELキーワードを指定したALTER INDEX REBUILDおよびCREATE INDEX文)(リリース2(9.2)の新機能)。

第18章


SDO_GEOMETRYオブジェクト型のメソッド。

2.3項


SQL Multimedia空間型(ST_xxx型)

第3章


同等のOracle Spatialの機能がLocatorでサポートされているSQL Multimediaファンクション(ST_xxxファンクション)

3.2項


注釈テキスト

3.5項


以前のリリースのSpatialから今回のリリースへデータをアップグレードするパッケージ(SDO_MIGRATE)。

第26章


チューニング・サブプログラム(SDO_TUNEパッケージ)

第31章


Spatialのユーティリティ・ファンクション(SDO_UTILパッケージ)。

第32章


Spatial Java APIのoracle.spatial.geometry(sdoapi.jar)パッケージおよびoracle.spatial.util(sdoutil.jar)パッケージのクラス

『Oracle Spatial Java API Reference』


オブジェクトのレプリケーション。

『Oracle Databaseアドバンスト・レプリケーション』



表B-2に、LocatorでサポートされていないSpatialの機能、およびこのマニュアルや他のマニュアルでそれらの機能の詳細を記載している章を示します。

表B-2 LocatorでサポートされていないSpatialの機能

機能 参照先

次のSDO_GEOMパッケージ・サブプログラム: SDO_GEOM.RELATESDO_GEOM.SDO_DIFFERENCESDO_GEOM.SDO_INTERSECTIONSDO_GEOM.SDO_UNIONSDO_GEOM.SDO_VOLUMESDO_GEOM.SDO_XOR

第24章


SDO_AGGR_UNION空間集計ファンクション

第20章


線形参照システム(LRS)のサポート

第7章(概念および使用方法)および第25章(リファレンス情報)

3次元のジオメトリ・サポート: Locatorでは、3D空間索引、3D演算子および3Dデータのサブプログラムは使用できません。

1.11項(3Dの概念および使用方法)

空間分析およびマイニング・サブプログラム(SDO_SAMパッケージ)

第29章


OpenLSのサポート(ジオコーディング、マッピング、ビジネス・ディレクトリ(イエロー・ページ)および運転方向(ルーティング・)サービスのサポートを含む。)

第14章「OpenLSのサポート」および第27章「SDO_OLSパッケージ(OpenLS)」。参照:

Web Feature Service(WFS)サポート(SDO_WFS_PROCESSおよびSDO_WFS_LOCKパッケージ)

第15章(概念および使用方法)、第34章および第33章(リファレンス情報)

Catalog Services for the Web(CSW)のサポート(SDO_CSW_PROCESSパッケージ)

第16章(概念および使用方法)および第22章(リファレンス情報)

Triangulated Irregular Network(TIN)、点群(PC)データ型および関連サブプログラム

1.11項(概念および使用方法)、第30章(SDO_TIN_PKGリファレンス情報)および第28章(SDO_PC_PKGリファレンス情報)

GeoRasterのサポート

『Oracle Spatial GeoRaster開発者ガイド』


トポロジ・データ・モデル

『Oracle Spatialトポロジおよびネットワーク・データ・モデル開発者ガイド』


ネットワーク・データ・モデル

『Oracle Spatialトポロジおよびネットワーク・データ・モデル開発者ガイド』


Spatial Java APIのoracle.spatial.geometry (sdoapi.jar)パッケージおよびoracle.spatial.util (sdoutil.jar)パッケージ以外のパッケージのクラス

『Oracle Spatial Java API Reference』



Locatorは、Oracle Database 11gのStandard EditionとEnterprise Editionの両方で使用できますが、Locatorの一部の機能には、Standard Editionでは使用できないか、または使用が制限されているデータベース機能が必要です。表B-3に、Locatorのこれらの機能の一部およびその可用性を示します。

表B-3 Standard EditionまたはEnterprise Editionでの機能の可用性

機能 Standard/Enterprise Editionでの可用性

パラレル空間索引作成

Enterprise Editionでのみサポートされます。

SDO_GEOMETRYオブジェクトのマルチマスター・レプリケーション

Enterprise Editionでのみサポートされます。(SDO_GEOMETRYオブジェクトの単一のマスター・ビューまたはマテリアライズド・ビューのレプリケーションは、Standard EditionおよびEnterprise Editionの両方でサポートされます。詳細は、『Oracle Databaseアドバンスト・レプリケーション』を参照してください。)

パーティション化された空間索引

Enterprise EditionではPartitioning Optionが必要です。Standard Editionではサポートされません。


B.1 LocatorまたはSpatialの手動によるインストールおよび削除

Spatialをインストールしたり、LocatorではなくSpatialに固有の機能を使用するには、Spatialのライセンス要件を満たす必要があります。SpatialおよびLocatorに関するライセンス情報は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。


注意:

Oracle MultimediaをOracle Databaseとともにインストールして構成する場合は、Oracle Locatorもインストールされます。

LocatorおよびSpatialに関連する特定のインストールおよび削除操作を実行するために、次のスクリプトを使用できます。

  • mddins.sqlは、Spatialを手動で削除し、Locatorのみを残します(したがって、Locatorのみがインストールされている状態です)。これにより、Locatorで使用可能な機能のみを使用することができ、Spatialでのみ使用可能な機能は使用できなくなります。

  • mdinst.sqlは、Spatialを手動でインストールするため、SpatialおよびLocatorで使用可能なすべての機能を使用できます。

Locatorの機能のみを使用する必要があるにもかかわらず、Spatialがすでにインストールされている場合は、mddins.sqlスクリプトを次のように実行します。

  1. Oracle Multimediaがインストールされていることを確認します。

  2. SYSDBA権限を持つSYSユーザー(SYS AS SYSDBA)としてデータベースに接続し、プロンプトが表示されたらSYSアカウントのパスワードを入力します。

  3. SQL*Plusを起動し、次の文を入力します。

    • Linuxの場合: @$ORACLE_HOME/md/admin/mddins.sql

    • Windowsの場合: @%ORACLE_HOME%\md\admin\mddins.sql

Spatialを使用できる必要がある場合は、mdinst.sqlスクリプトを次のように実行します。

  1. SYSDBA権限を持つSYSユーザー(SYS AS SYSDBA)としてデータベースに接続し、プロンプトが表示されたらSYSアカウントのパスワードを入力します。

  2. SQL*Plusを起動し、次の文を入力します。

    • Linuxの場合: @$ORACLE_HOME/md/admin/mdinst.sql

    • Windowsの場合: @%ORACLE_HOME%\md\admin\mdinst.sql