この章では、最も基本的なバックアップ作業の実行方法およびRMANを使用したバックアップ計画の実装方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。
関連項目:
|
この項では、RMANバックアップの概要について説明します。
RMANバックアップの主要な目的は、データを保護することです。メディア障害が発生した場合は、バックアップをリストアして、消失した変更をリカバリできます。
また、バックアップを作成すると、「長期格納用のデータベース・バックアップの作成」の説明に従って長期アーカイブ用のデータを保存したり、第III部「RMANを使用したデータの送信」の章の説明に従ってデータを送信することができます。
第8章「RMANバックアップの概要」で説明されているように、RMANクライアント内からBACKUP
コマンドを実行して、データベース全体またはその一部をバックアップできます。この章で説明されている方法の多くは、Enterprise Managerによって提供されるOracle推奨のバックアップ計画でも使用され、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』にも記載されています。
多くの場合、バックアップ計画に従ってデータベースを構成しておくと、RMANプロンプトで次のコマンドを入力してデータベースをバックアップできます。
RMAN> BACKUP DATABASE;
RMANは、構成された設定、以前のバックアップのレコードおよびデータベース構造の制御ファイル・レコードを使用して、効率的な一連のバックアップ手順を決定します。その後、それらの手順を実行します。
「Data Guard環境でのRMANによるファイル管理」で説明されているように、Data Guard環境の任意のデータベースでRMANバックアップを実行できます。バックアップにアクセスできる場合、環境内の任意のデータベースのすべてのバックアップを他のデータベースのリカバリに使用できます。データベース・ファイルのすべてのバックアップ(制御ファイルのバックアップを含む)をフィジカル・スタンバイ・データベースにオフロードすると、プライマリ・データベース上のリソースの消費を回避できます。
関連項目:
|
BACKUP DATABASE
などのRMANのコマンドに最低限必要なオプションしか指定しないと、構成済の環境およびRMANの組込みのデフォルトに基づいて、バックアップ先のデバイス、バックアップ出力の場所およびバックアップ・タグが自動的に決定されます。
また、BACKUP
に引数を指定して、これらのデフォルトを上書きすることもできます。次の項では、最も一般的なオプションについて説明します。
BACKUP
コマンドでは、ディスクまたはテープ・デバイスのいずれにバックアップするかを指定するDEVICE TYPE
句を使用します。例9-1は、ディスクにバックアップする場合の例です。
DEVICE TYPE
句を指定せずにBACKUP
を実行すると、バックアップは構成済のデフォルト・デバイス(ディスクまたはSBT)に格納されます。デフォルト・デバイスは、「バックアップ用のデフォルト・デバイスの構成: ディスクまたはSBT」で説明されているCONFIGURE DEFAULT DEVICE TYPE
コマンドを使用して設定します。
RMANは、イメージ・コピーまたはバックアップ・セットとしてバックアップをディスク上に作成できます。デフォルトのディスク・デバイスの構成方法については、「バックアップ用のデフォルト・タイプの構成: バックアップ・セットまたはコピー」を参照してください。このデフォルトは、AS
COPY
句またはAS
BACKUPSET
句を使用して上書きできます。イメージ・コピーとしてディスクにバックアップするには、例9-2
に示すようにBACKUP
AS
COPYを使用します。
バックアップ・セットにデータをバックアップするには、AS BACKUPSET
句を使用します。例9-3に示すように、バックアップ・セットは、構成されているデフォルト・デバイスに作成したり、ディスクまたはテープに明示的に格納できます。
RMANには、BACKUP
コマンドで生成されるファイルに名前を指定するための様々なオプションが用意されています。RMANは、優先順位に従って示されている次のルール・セットを使用して、出力ファイル形式を決定します。
BACKUPコマンドで
FORMATパラメータを指定すると、この設定により、生成されるファイル名が制御されます。
たとえば、次のコマンドに示すように、出力を特定の場所に格納することができます。
BACKUP DATABASE FORMAT "/disk1/backup_%U"; # specifies a location on the file system
この場合、バックアップは、生成された一意のファイル名(/disk1/backup_
という接頭辞付き)で格納されます。ファイル名のその部分に一意の文字列を生成するために使用される、置換変数%U
が必要です。
また、次の例に示すように、FORMAT
パラメータを使用して、バックアップ先としてASMディスク・グループを指定することもできます。
BACKUP DATABASE FORMAT '+dgroup1'; # specifies an ASM disk group
この場合、必要に応じて自動ストレージ管理(ASM)で一意のファイル名が生成されるため、%Uは不要です。ただし、必要な場合は、
%U
を指定できます。
注意: 高速リカバリ領域が有効になっている場合にFORMAT を指定すると、RMANはFORMAT の設定に従います。FORMAT 句で場所を指定しなかった場合、RMANはプラットフォーム固有の場所にバックアップを作成します。 |
FORMAT
設定がバックアップで使用される特定のチャネル用に構成されている場合、生成されるファイル名の制御はこの設定によって行われます。
FORMAT
設定がバックアップで使用されるデバイス・タイプ用に構成されている場合、生成されるファイル名の制御はこの設定によって行われます。
ディスク・バックアップ中に高速リカバリ領域が有効になっていて、FORMAT
が指定されていない場合は、自動生成された名前で高速リカバリ領域にバックアップが作成されます。
このリストの他のいずれの条件も当てはまらない場合は、バックアップのデフォルトの場所およびファイル名の書式はプラットフォーム固有になります。
関連項目: FORMAT句については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』 を参照してください。ご使用のプラットフォームのデフォルトのファイルの場所については、インストレーション・ガイドを参照してください。 |
通常、テープにバックアップする場合には、デフォルトの %U
変数によってテープ・バックアップに一意のファイル名が生成されるため、フォーマットを指定する必要はありません。ただし、ディスクへのバックアップで、パフォーマンスを向上するために複数のドライブにバックアップを分散させる必要がある場合には、フォーマットを指定できます。この場合、ファイル名が異なるディスク上で生成されるように、ALLOCATE CHANNEL
コマンドでディスク・ドライブごとに1つの
DISKチャネルを割り当てて、フォーマット文字列を指定します。たとえば、次のコマンドを発行します。
RUN { ALLOCATE CHANNEL disk1 DEVICE TYPE DISK FORMAT '/disk1/%d_backups/%U'; ALLOCATE CHANNEL disk2 DEVICE TYPE DISK FORMAT '/disk2/%d_backups/%U'; ALLOCATE CHANNEL disk3 DEVICE TYPE DISK FORMAT '/disk3/%d_backups/%U'; BACKUP AS COPY DATABASE; }
チャネルを次のように構成すると、将来、デフォルトでこのようにバックアップを分散できるようになります。
CONFIGURE DEVICE TYPE DISK PARALLELISM 3; CONFIGURE DEFAULT DEVICE TYPE TO DISK; CONFIGURE CHANNEL 1 DEVICE TYPE DISK FORMAT '/disk1/%d_backups/%U'; CONFIGURE CHANNEL 2 DEVICE TYPE DISK FORMAT '/disk2/%d_backups/%U'; CONFIGURE CHANNEL 3 DEVICE TYPE DISK FORMAT '/disk3/%d_backups/%U'; BACKUP AS COPY DATABASE;
RMANは、バックアップを識別する方法として、作成するすべてのバックアップにtagと呼ばれる文字列を追加します。デフォルトのタグを受け入れるか、またはBACKUP
コマンドのTAG
パラメータで独自のタグを指定できます。
ユーザー指定のタグは、異なる種類のバックアップまたはコピーの目的や使用方法を示すのに役立ちます。バックアップ・セット、プロキシ・コピー、データファイル・コピーまたは制御ファイル・コピーにタグを付けることができます。たとえば、SWITCH
コマンドで使用する予定のデータファイル・コピーにはfor_switch_only
というタグを付け、RESTORE
コマンドでのみ使用する必要があるファイル・コピーにはfor_restore_only
というタグを付けることができます。
タグは一意である必要はないため、複数のバックアップ・セットまたはイメージ・コピーに同じタグ(weekly_backup
など)を付けることができます。特定のタグが含まれているバックアップからデータファイルをリストアするように指定するとします。要求したファイルの複数のバックアップにそのタグが含まれている場合、RMANは、RESTORE
コマンドの制約内で、指定したタグが含まれている最新のバックアップをリストアします。
実際には、タグは、多くの場合、増分バックアップ計画などの1つの計画の一環として作成された一連のバックアップを区別する場合に使用されます。たとえば、週次の増分バックアップを作成し、BACKUP TAG weekly_incremental
などのタグを付けることができます。BACKUP
コマンドの多くの形式では、タグをバックアップに関連付けることができます。また、RESTORE
およびRECOVER
コマンドの多くでは、RESTORE
またはRECOVER
操作で使用するバックアップを制限するタグを指定できます。
BACKUP
コマンドのTAG
パラメータを使用して明示的にタグを指定しない場合は、RMANによって、バックアップ(制御ファイルの自動バックアップ以外)のデフォルト・タグが暗黙的に作成されます。タグの形式は、TAG
YYYYMMDD
T
HHMMSS
です。ここで、YYYY
は年、MM
は月、DD
は日、HH
は時間(24時間形式)、MM
は分、SS
は秒です。たとえば、データファイル1
のバックアップには、タグTAG20070208T133437
が割り当てられる場合があります。日時は、バックアップを実行するインスタンスのタイムゾーンで、RMANがバックアップを開始した日時です。1つのBACKUP
コマンドによって複数のバックアップ・セットが作成される場合、各バックアップ・ピースには同じデフォルト・タグが割り当てられます。
入力時に使用した大/小文字に関係なく、タグは大文字で格納されます。バックアップ・タグの最大長は30バイトです。オペレーティング・システムの環境変数または%T
、%D
などの特殊な書式は、タグに使用できません。
関連項目: BACKUP ...TAG のデフォルト形式については、 『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』 を参照してください。 |
タグで使用する文字は、ターゲットのデータベース・ファイル・システムでファイル名として有効な文字に制限する必要があります。 たとえば、自動ストレージ管理(ASM)では、内部的に使用されるファイル名でのハイフン(-
)の使用はサポートされていません。このため、ASMディスク・グループでのバックアップの場合、ハイフンが含まれているタグ(weekly-incr
など)は無効なタグ名になります。
バックアップ・セットにタグを指定すると、そのタグは、指定したバックアップ・セットのコピーに含まれる各バックアップ・ピースの属性になります。多重バックアップ・セットを作成すると、バックアップ・セットの各コピーに同じタグが割り当てられます。例9-4では、タグMONDAYBKP
が指定されたバックアップ・セットを1つ作成します。
イメージ・コピーにタグを指定すると、そのタグは各コピーに適用されます。例9-5では、表領域users
およびtools
のデータファイルのコピーに、タグMONDAYCPY
を割り当てます。
FROM TAG
を使用して特定のタグが含まれているイメージ・コピーをコピーした後、TAG
を使用して出力コピーに別のタグを割り当てることができます。例9-6では、タグfull_cold_copy
が含まれている、データベースのすべてのイメージ・コピーのコピーを新しく作成し、その新しいコピーにnew_full_cold_copy
を割り当てます。
バックアップ・セットを作成するBACKUP
コマンドを実行する場合は、RMANでサポートされている、バックアップ・セットのバイナリ圧縮を利用できます。BACKUPコマンドに
AS COMPRESSED BACKUPSET
オプションを指定します。
RMANは、バックアップ・セットの内容を圧縮してからディスクに書き込みます。使用されるバイナリ圧縮レベルの詳細が自動的にバックアップ・セットに記録されます。使用される圧縮のタイプやリカバリ操作でのバックアップ・セットの解凍方法を明示的に示す必要はありません。
例9-7では、データベース全体とアーカイブ・ログを、構成済のデフォルトのバックアップ先(ディスクまたはテープ)にバックアップし、圧縮バックアップ・セットを作成します。
バイナリ圧縮では、バックアップおよびリカバリ操作中に、パフォーマンスにある程度のオーバーヘッドが発生します。バイナリ圧縮はCPUリソースを消費するため、CPU使用率が高い場合は、圧縮バックアップはスケジュールしないでください。ただし、次の状況では、パフォーマンスが低下する可能性があります。
高速リカバリ領域またはその他のディスクベースのバックアップ先内のディスク領域が制限されている状況で、ディスクベースのバックアップを使用している場合
CPU使用率よりネットワーク帯域幅を削減することのほうが重要となる状況で、ネットワークを介して特定のデバイスへのバックアップを実行している場合
CD、DVDなどのアーカイブ・バックアップ・メディアを使用しており、バックアップ・サイズを削減することでメディア・コストおよびアーカイブ・ストレージを節約できる場合
関連項目: バックアップ・セットに関するパフォーマンスの詳細は、「バックアップ・セットのバイナリ圧縮」および 『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』 のBACKUPコマンドのAS COMPRESSED BACKUPSETオプションを参照してください。 |
この項の内容は、次のとおりです。
データベース全体のバックアップは、データベースをマウントまたはオープンした状態で実行できます。データベース全体のバックアップを実行するには、RMANプロンプトからBACKUP DATABASE
コマンドを使用します。
必要に応じて、データベース全体のバックアップから指定した表領域を除外できます。「データベース全体のバックアップから除外する表領域の構成」で説明されているように、常にスキップする各表領域に対してCONFIGURE EXCLUDE
コマンドを実行して、複数のRMANセッションで表領域を永続的にスキップできます。構成済の設定は、BACKUP ... NOEXCLUDE
で上書きできます。
データベースをバックアップする手順
RMANを起動し、ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログ(使用している場合)に接続します。
データベースがマウントまたはオープンされていることを確認します。
RMANプロンプトでBACKUP DATABASE
コマンドを発行します。
このコマンドの最も簡単な形式にはオプションまたはパラメータは必要ありません。
BACKUP DATABASE;
バックアップされるファイルのリスト(データファイル、制御ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル)は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』
で、BACKUP
コマンドのキーワードDATABASEを参照してください。
次の例では、データベースをバックアップし、オンラインREDOログを切り替え、アーカイブ・ログをバックアップに格納します。
BACKUP DATABASE PLUS ARCHIVELOG;
バックアップの直後にログをアーカイブすることによって、バックアップ時間全体のアーカイブ・ログの完全なセットを取得します。これによって、このバックアップのリストア後にメディア・リカバリを実行できることが保証されます。
関連項目:
|
BACKUP TABLESPACE
コマンドでは1つ以上の表領域、 BACKUP DATAFILE
コマンドでは1つ以上のデータファイルをバックアップできます。表領域を指定すると、RMANは表領域の名前を一連のデータファイルに内部的に変換します。データベースは、マウントされている状態でもオープンされている状態でもかまいません。表領域は、読取り/書込みでも読取り専用でもかまいません。
注意: 以前のリリースと同様に、トランスポータブル表領域は、バックアップに対して読取り/書込みモードである必要はありません。 |
バックアップにデータファイル1
が含まれている場合、RMANは、制御ファイルおよびサーバー・パラメータ・ファイル(インスタンスがサーバー・パラメータ・ファイルで起動されている場合)を自動的にバックアップします。制御ファイルの自動バックアップが有効になっている場合、RMANは、現行の制御ファイルおよびサーバー・パラメータ・ファイルを別の自動バックアップ・ピースに書き込みます。そうでない場合、RMANは、データファイル1
が含まれているバックアップ・セットにこれらのファイルを書き込みます。
表領域またはデータファイルをバックアップする手順
RMANを起動し、ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログ(使用している場合)に接続します。
データベース・インスタンスが起動されていない場合は、データベースをマウントまたはオープンします。
RMANプロンプトで、BACKUP
TABLESPACE
コマンドまたはBACKUP DATAFILE
コマンドを実行します。
次の例では、users
およびtools
表領域をテープにバックアップします。
BACKUP DEVICE TYPE sbt TABLESPACE users, tools;
次の例では、SBTチャネルを使用して、データファイル1
から4
および/tmp/system01.dbf
に格納されているデータファイルのコピーをテープにバックアップします。
BACKUP DEVICE TYPE sbt DATAFILE 1,2,3,4 DATAFILECOPY '/tmp/system01.dbf';
制御ファイルは、データベースがマウントまたはオープンされた状態でバックアップできます。RMANは、スナップショット制御ファイルを使用して、読取り一貫性のバージョンを保証します。CONFIGURE CONTROLFILE AUTOBACKUP
コマンドをON
(デフォルトではOFF
)に設定すると、各バックアップの実行後、およびデータベースの構造変更後に、RMANで制御ファイルとサーバー・パラメータ・ファイルが自動的にバックアップされます。制御ファイルの自動バックアップには、障害リカバリに不可欠な以前のバックアップに関するメタデータが含まれます。
自動バックアップ機能が設定されていない場合は、次のいずれかの方法を使用して、手動で制御ファイルをバックアップする必要があります。
BACKUP
コマンドのINCLUDE
CURRENT
CONTROLFILE
オプションを使用して、制御ファイルのバックアップをいずれかのバックアップに含めます。
データファイル1
をバックアップします(制御ファイルおよびサーバー・パラメータ・ファイルは、RMANによって自動的にデータファイル1
のバックアップに格納されるため)。
制御ファイルの手動バックアップは、制御ファイルの自動バックアップとは異なります。RMANは、BACKUP
コマンドで指定されたファイルをバックアップした後、制御ファイルの自動バックアップを作成します。このため、制御ファイルの手動バックアップとは異なり、自動バックアップには、完了直後のバックアップに関するメタデータが含まれます。また、RMANは、リカバリ・カタログを使用しないで自動バックアップを自動的にリストアすることもできます。
手動バックアップを作成するには、他のファイルをバックアップする際にINCLUDE
CURRENT
CONTROLFILE
を指定するか、またはBACKUP CURRENT CONTROLFILE
を指定します。また、CONTROLFILECOPY
パラメータを指定して、制御ファイルのコピーをディスクにバックアップすることもできます。
制御ファイルを手動でバックアップする手順
RMANを起動し、ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログ(使用している場合)に接続します。
ターゲット・データベースがマウントまたはオープンされていることを確認します。
必要な制御ファイル句を指定してBACKUP
コマンドを実行します。
次の例では、表領域users
をテープにバックアップし、そのバックアップに現行の制御ファイルを含めます。
BACKUP DEVICE TYPE sbt TABLESPACE users INCLUDE CURRENT CONTROLFILE;
次の例では、現行の制御ファイルをデフォルトのディスク・デバイスにバックアップします。
BACKUP AS COPY CURRENT CONTROLFILE FORMAT '/tmp/control01.ctl';
次の例では、前述の例で作成した制御ファイルのコピーをテープにバックアップします。
BACKUP AS COPY CURRENT CONTROLFILE FORMAT '/tmp/control01.ctl'; BACKUP DEVICE TYPE sbt CONTROLFILECOPY '/tmp/control01.ctl';
制御ファイルの自動バックアップ機能が有効になっている場合、RMANは、これらの例で制御ファイルのバックアップを2つ作成します。1つはBACKUP
コマンドで指定したファイルの明示的なバックアップで、もう1つは制御ファイルおよびサーバー・パラメータ・ファイルの自動バックアップです。
関連項目: CONFIGURE CONTROLFILE AUTOBACKUPコマンドの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』 を参照してください。 |
「RMANを使用した制御ファイルのバックアップ」で説明したとおり、RMANは、特定の状況下で、現行のサーバー・パラメータ・ファイルを自動的にバックアップします。BACKUP
SPFILE
コマンドは、パラメータ・ファイルを明示的にバックアップします。バックアップされるサーバー・パラメータ・ファイルは、インスタンスで現在使用されているサーバー・パラメータ・ファイルです。
サーバー・パラメータ・ファイルをバックアップする方法
RMANを起動し、ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログ(使用している場合)に接続します。
ターゲット・データベースがマウントまたはオープンされていることを確認します。
サーバー・パラメータ・ファイルを使用して、データベースを起動している必要があります。インスタンスがクライアント側の初期化パラメータ・ファイルを使用して起動されている場合にBACKUP ... SPFILE
を実行すると、RMANによってエラーが発行されます。
BACKUP ... SPFILE
コマンドを実行します。
次の例では、サーバー・パラメータ・ファイルがテープにバックアップされます。
BACKUP DEVICE TYPE sbt SPFILE;
データベースが一貫した状態でクローズされている場合は、NOARCHIVELOG
モードでのみデータベースをバックアップできます。例9-8に示すスクリプトを実行すると、データベースがデータベース全体の一貫性バックアップを行うための正しいモードになり、バックアップされます。このスクリプトでは、制御ファイルの自動バックアップがデータベースに対して有効になっていると想定されています。
例9-8 NOARCHIVELOGモードでのデータベースのバックアップ
SHUTDOWN IMMEDIATE; # Start up the database in case it suffered instance failure or was # closed with SHUTDOWN ABORT before starting this script. STARTUP FORCE DBA; SHUTDOWN IMMEDIATE; STARTUP MOUNT; # this example uses automatic channels to make the backup BACKUP INCREMENTAL LEVEL 0 MAXSETSIZE 10M DATABASE TAG 'BACKUP_1'; # Now that the backup is complete, open the database. ALTER DATABASE OPEN;
読取り専用表領域などの表領域はスキップできますが、バックアップからデータベースをリストアする必要がある場合、最新のバックアップ以降にオフラインまたは読取り専用になっていなかった表領域はスキップすると消失します。
アーカイブREDOログは、メディア・リカバリを正常に実行するために重要です。アーカイブREDOログは、定期的にバックアップする必要があります。
RMANバックアップのいくつかの機能は、アーカイブREDOログ専用です。たとえば、BACKUP ... DELETE
を使用すると、アーカイブREDOログをバックアップ・セットにバックアップした後、そのアーカイブREDOログの1つのコピーまたはすべてのコピーをディスクから削除できます。
REDOログが複数のアーカイブ先にアーカイブされている場合でも、RMANを使用してアーカイブREDOログをバックアップすると、RMANはアーカイブREDOログ・ファイルのコピーを1つのみ選択してバックアップに含めます。同じログ順序番号を持つログは同一であるため、複数のログ・コピーを含める必要はありません。
アーカイブREDOログ・フェイルオーバー機能を使用すると、RMANは、一部のアーカイブ先でログが欠落している場合またはログに破損ブロックが存在する場合でも、バックアップを完了できます。特定のログ順序およびスレッドに対応する1つ以上のログが、高速リカバリ領域またはいずれかのアーカイブ先で使用可能な場合、RMANはそのログのバックアップを試みます。バックアップ中にログ・ファイルで破損ブロックが検出された場合、RMANは、他の出力先で破損ブロックのないそのログのコピーを検索します。
たとえば、/arch1
および/arch2
の2つのアーカイブ先に、ログ121から124をアーカイブするとします。表9-1に、制御ファイル内のアーカイブREDOログ・レコードを示します。
表9-1 アーカイブREDOログ・レコードの例
順序 | /arch1でのファイル名 | /arch2でのファイル名 |
---|---|---|
121 |
|
|
122 |
|
|
123 |
|
|
124 |
|
|
ここで、あるユーザーが、RMANを使用せずに/arch1
ディレクトリからログ122および124を削除したとします。その後、次のバックアップを実行したとします。
BACKUP ARCHIVELOG FROM SEQUENCE 121 UNTIL SEQUENCE 125;
フェイルオーバーによって、RMANは、/arch2
のログ122および124を使用してバックアップを完了します。
RMANのもう1つの重要な機能は、自動オンラインREDOログ・スイッチです。最新のオンラインREDOログが含まれている、アーカイブREDOログのオープンされているデータベースのバックアップを作成するには、次のいずれかの句を指定してBACKUP
コマンドを実行します。
PLUS ARCHIVELOG
ARCHIVELOG ALL
ARCHIVELOG FROM ...
RMANは、バックアップを開始する前に、現行のREDOログ・グループからの切替えを行い、コマンドの発行時に最新だったREDOログ・グループまでのアーカイブされていないすべてのオンラインREDOログをアーカイブします。この機能によって、コマンド開始前に生成されたすべてのREDOがバックアップに含まれるようになります。
アーカイブREDOログをバックアップする最も効果的な方法の1つとして、BACKUP
...
PLUS
ARCHIVELOG
コマンドを使用する方法があります。これによって、RMANで次の操作が実行されます。
ALTER SYSTEM
ARCHIVE
LOG
CURRENT
文を実行します。
BACKUP
ARCHIVELOG
ALL
を実行します。バックアップの最適化が有効になっている場合、RMANは、指定したデバイスにすでにバックアップされているログをスキップします。
BACKUP
コマンドに指定された残りのファイルをバックアップします。
ALTER
SYSTEM
ARCHIVE
LOG
CURRENT
文を実行します。
バックアップ中に生成された残りのアーカイブ・ログをバックアップします。バックアップの最適化が有効になっていない場合、RMANは、ステップ1で生成されたログおよびバックアップ中に生成されたすべてのログをバックアップします。
前述のステップによって、コマンド実行中に作成されるデータファイルのバックアップを一貫性のある状態にリカバリできます。また、バックアップ終了時にオンラインREDOログがアーカイブされていない場合、そのバックアップでDUPLICATE
を実行することはできません。
アーカイブ・ログをバックアップするには、BACKUP
ARCHIVELOG
コマンドを使用します。バックアップの最適化が有効になっている場合、RMANは、指定したデバイスにすでにバックアップされているアーカイブ・ログのバックアップをスキップします。
アーカイブREDOログ・ファイルをバックアップする手順
RMANを起動し、ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログ(使用している場合)に接続します。
ターゲット・データベースがマウントまたはオープンされていることを確認します。
BACKUP ARCHIVELOG
またはBACKUP ... PLUS ARCHIVELOG
コマンドを実行します。
次の例では、データベースおよびすべてのアーカイブREDOログをバックアップします。
BACKUP DATABASE PLUS ARCHIVELOG;
次の例では、構成済のディスクまたはSBTのチャネルを使用して、すべてのアーカイブREDOログの各ログ順序番号のコピーを1つバックアップします。
BACKUP ARCHIVELOG ALL;
また、アーカイブREDOログの範囲を、時間、SCN、またはログ順序番号で指定することもできます。次に例を示します。
BACKUP ARCHIVELOG FROM TIME 'SYSDATE-30' UNTIL TIME 'SYSDATE-7';
RMANがアーカイブREDOログのバックアップを次の方法で自動的にスキップするように指定できます。
バックアップの最適化を構成します。
「バックアップの最適化およびCONFIGUREコマンド」で説明されているように、バックアップの最適化を有効にすると、BACKUP ARCHIVELOG
コマンドは、同一のアーカイブ・ログが指定のデバイス・タイプにすでにバックアップされている場合に、ファイルのバックアップをスキップします。DBID、スレッド、順序番号、およびRESETLOGS
のSCNと時刻が同じアーカイブ・ログは同一であるとみなされます。
「アーカイブREDOログの削除方針の構成」で説明されているように、削除方針がBACKED UP
integer
TIMES
句で構成されている場合、指定したデバイス・タイプ上にinteger
個のバックアップがすでに存在していないかぎり、BACKUP ARCHIVELOG
コマンドはログをコピーします。ログのinteger
個のバックアップが存在している場合、BACKUP ARCHIVELOG
コマンドはログをスキップします。
BACKUP ... NOT BACKED UP
integer
TIMES
コマンドを指定すると、RMANは、指定したデバイスにinteger
回以上バックアップされていないアーカイブ・ログ・ファイルのみをバックアップします。ファイルのバックアップの数を決定する場合、RMANは、現行のバックアップと同じデバイス・タイプに作成されているバックアップのみを考慮します。
BACKED UP
句は、指定したメディアにアーカイブ・ログをバックアップする場合に有効です。たとえば、RMANがテープに各アーカイブREDOログのコピーを2つ保持し、追加のバックアップをスキップするように指定できます。
バックアップが必要なアーカイブREDOログをバックアップする手順
RMANを起動し、ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログ(使用している場合)に接続します。
ターゲット・データベースがマウントまたはオープンされていることを確認します。
バックアップに適切なチャネルが構成されていることを確認します。
NOT BACKED UP
句を指定してBACKUP ARCHIVELOG
コマンドを実行します。
BACKUP ARCHIVELOG ALL NOT BACKED UP 2 TIMES;
BACKUP ARCHIVELOG
... DELETE INPUT
コマンドは、アーカイブ・ログ・ファイルをバックアップした後、それらのファイルを削除します。このコマンドを使用すると、アーカイブREDOログを手動で削除する手順を実行する必要がなくなります。
DELETE
INPUT
を実行すると、RMANは、バックアップ・セットに選択されたアーカイブ・ログの特定のコピーのみを削除します。DELETE
ALL
INPUT
を実行すると、RMANは、バックアップ済の各アーカイブREDOログ・ファイルを、ログのすべてのアーカイブ先から削除します。
「アーカイブREDOログの削除方針の構成」で説明されているように、BACKUP ... DELETE INPUT
およびDELETE ARCHIVELOG
コマンドは、すべてのアーカイブ場所にあるログに関してアーカイブREDOログの削除方針に従います。たとえば、2回以上テープにバックアップされたログのみを削除するように指定した場合、BACKUP ... DELETE
はこの方針に従います。
次の手順では、/arc_dest1
、/arc_dest2
および高速リカバリ領域にアーカイブすることを想定しています。
バックアップ後にアーカイブREDOログを削除する手順
RMANを起動し、ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログ(使用している場合)に接続します。
ターゲット・データベースがマウントまたはオープンされていることを確認します。
DELETE INPUT
句を指定してBACKUP
コマンドを実行します。
次のBACKUP
コマンドを実行するとします。
BACKUP DEVICE TYPE sbt ARCHIVELOG ALL DELETE ALL INPUT;
この場合、RMANは、これらのアーカイブ場所にある各ログ順序番号のコピーを1つのみバックアップします。RMANは、高速リカバリ領域内と、他のアーカイブ先内の両方のバックアップ済のログのコピーをすべて削除します。
DELETE
ALL
INPUT
ではなくDELETE
INPUT
を指定すると、RMANは、バックアップ済の特定のアーカイブREDOログ・ファイルのみを削除します。たとえば、RMANは、/arc_dest1
内のログがバックアップのソースとして使用された場合はそれらのファイルを削除しますが、/arc_dest2
の内容はそのまま残します。
関連項目:
|
「増分バックアップ」で説明されているように、増分バックアップでは、指定した以前のバックアップ以降に変更されたデータファイル・ブロックのみがコピーされます。増分バックアップは、累積増分バックアップまたは差分増分バックアップのいずれかです。
バックアップの内容は同じですが、BACKUP DATABASE
とBACKUP INCREMENTAL LEVEL 0 DATABASE
は異なります。全体バックアップは増分計画の一部として使用できませんが、レベル0の増分バックアップは増分計画の基礎となります。RMANコマンドでは、全体バックアップをレベル0の増分バックアップには変更できません。
RMANは、全体バックアップの場合と同様に、ARCHIVELOG
モードでオープンされているデータベースの増分バックアップを作成できます。データベースがNOARCHIVELOG
モードの場合、RMANは、一貫性のある状態でデータベースを停止した後でのみ、増分バックアップを作成できます。
増分バックアップを計画の一環として作成する主な理由は次のとおりです。
ブロック・チェンジ・トラッキングを有効にすると、日次バックアップが高速になります(「ブロック・チェンジ・トラッキングを使用した、増分バックアップのパフォーマンスの向上」を参照)。
データファイルのイメージ・コピーをロールフォワードする機能によって、リカバリ時間を短縮し、全体バックアップが繰り返されないようにするため
ネットワークを介してバックアップする場合に帯域幅の消費を削減します。
テープの書込みI/Oに使用するテープ帯域幅の集計がディスクの読取りI/Oに使用するディスク帯域幅の集計より少ない場合にパフォーマンスを向上させるため
NOLOGGING
オプションで作成したオブジェクトへの変更をリカバリできるようにするため
たとえば、ダイレクト・ロード・インサートではREDOログ・エントリが作成されないため、ダイレクト・ロード・インサートによる変更はメディア・リカバリでは再作成できません。ただし、ダイレクト・ロード・インサートではデータ・ブロックが変更されるため、これらのブロックが増分バックアップによって取得されます。
フィジカル・スタンバイ・データベースをプライマリ・データベースと同期化します。RMANのBACKUP INCREMENTAL FROM SCN
コマンドを使用すると、スタンバイ・データベースの現行のSCNから始まるバックアップをプライマリ・データベースに作成できます。このバックアップを使用して、後でスタンバイ・データベースをロールフォワードできます。増分バックアップをスタンバイ・データベースに適用する方法については、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。
関連項目: NOLOGGINGモードの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』 を参照してください。 |
許容可能なMTTR(平均リカバリ時間)に応じて、バックアップ計画を選択します。たとえば、3つのレベルのバックアップ・スキームを実装して、レベル0のバックアップを月に1回、レベル1の累積バックアップを週に1回、レベル1の差分バックアップを毎日作成するように設定できます。この計画では、完全リカバリのために、1日分を超えるREDOを適用する必要はありません。
レベル0のバックアップを実行する頻度の目安として、データの20%以上が変更された時点で、レベル0の新しいバックアップを実行するようにします。データベースへの変更率を予想できる場合は、増分バックアップのサイズを監視して、レベル0の新しいバックアップが必要な時点を判断できます。次のSQL問合せを実行すると、ブロックの20%以上がバックアップされている各データファイルの、レベル1の増分バックアップに書き込まれたブロックの数が表示されます。
SELECT FILE#, INCREMENTAL_LEVEL, COMPLETION_TIME, BLOCKS, DATAFILE_BLOCKS FROM V$BACKUP_DATAFILE WHERE INCREMENTAL_LEVEL > 0 AND BLOCKS / DATAFILE_BLOCKS > .2 ORDER BY COMPLETION_TIME;
レベル1のバックアップのブロック数を、レベル0のバックアップと比較します。たとえば、レベル1の累積バックアップのみを作成する場合は、レベル1の最新のバックアップのサイズがレベル0のバックアップの約半分であれば、レベル0の新しいバックアップを作成します。
ディスク領域を節約する効果的な方法の1つとして、増分バックアップをディスクに作成してから、BACKUP
AS
BACKUPSET
コマンドでバックアップをテープにオフロードする方法があります。通常、増分バックアップは全体バックアップより小さいため、テープに移動されるまでの格納に必要な領域は制限されます。ディスク上の増分バックアップをテープにバックアップすると、増分バックアップのすべてのブロックがテープにコピーされるため、テープがストリーム化する可能性があります。RMANでのデータファイル内の変更されたブロックの特定にかかる時間を原因とした遅延が発生する可能性はありません。
もう1つの方法としては、「増分更新バックアップ」で説明されている増分更新バックアップを使用する方法があります。この方法では、各データファイルのイメージ・コピーを作成した後、レベル1の増分バックアップを作成および適用して、定期的にこのコピーをロールフォワードします。これによって、データファイルの完全なイメージ・コピーを繰り返し作成することによって発生するオーバーヘッドが回避され、すべてのメリットを活用できるようになります。
Data Guard環境では、増分バックアップをフィジカル・スタンバイ・データベースにオフロードできます。スタンバイ・データベースの増分バックアップとプライマリ・データベースの増分バックアップには互換性があります。つまり、スタンバイ・データベースの増分バックアップをプライマリ・データベースに適用したり、プライマリ・データベースの増分バックアップをスタンバイ・データベースに適用することができます。
関連項目: RMANでスタンバイ・データベースをバックアップする方法については、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。特に、第9章「フィジカルおよびスナップショット・スタンバイ・データベースの管理」を参照してください。 |
RMANを起動した後、RMANプロンプトで BACKUP
INCREMENTAL
コマンドを実行します。デフォルトでは、増分バックアップは差分バックアップです。
増分バックアップを作成する手順
RMANを起動し、ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログ(使用している場合)に接続します。
ターゲット・データベースがマウントまたはオープンされていることを確認します。
必要なオプションを指定してBACKUP INCREMENTAL
コマンドを実行します。
増分レベルを指定するには、LEVEL
パラメータを使用します。次の例では、データベースのレベル0の増分バックアップを作成します。
BACKUP INCREMENTAL LEVEL 0 DATABASE;
次の例では、SYSTEMおよびtools表領域の差分増分バックアップ
をレベル1で作成します。レベル1またはレベル0の最新のバックアップ以降に変更されたデータ・ブロックのみがバックアップされます。
BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 TABLESPACE SYSTEM, tools;
次の例では、users表領域の累積増分バックアップをレベル1で作成し、最新のレベル0のバックアップ以降に変更されたすべてのブロックをバックアップします。
BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 CUMULATIVE TABLESPACE users;
Volume Shadow Copy Service(VSS)をOracle VSSライターとともに使用すると、データベース内のファイルのシャドウ・コピーまたはスナップショットを作成できます。Oracle VSSライターでVSSスナップショットを作成するには、RMANではなく、サード・パーティのバックアップ・プログラムを使用する必要があります。この場合、高速リカバリ領域によって、VSSスナップショットにバックアップされているファイルの管理が自動化され、必要に応じてそれらのファイルが削除されます。
RMANで BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 ... FROM SCN
コマンドを使用すると、高速リカバリ領域に増分バックアップを作成できます。つまり、このコマンドを使用すると、VSSシャドウ・コピーのレベル1の増分バックアップを作成できます。RMANでは、リカバリ中に増分バックアップを透過的に適用できます。
関連項目: RMANを使用してVSSバックアップを作成する方法については、『Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windows』を参照してください。 |
バックアップを増分更新することによって、データファイルの完全なイメージ・コピー・バックアップを作成する場合に発生するオーバーヘッドを回避できます。また、データベースのメディア・リカバリにかかる時間を最小限に抑えることもできます。たとえば、日次バックアップ・スクリプトを実行する場合、メディア・リカバリのために、1日分を超えるREDOを適用する必要はありません。
データファイルのバックアップを増分更新する手順
指定したタグが含まれているデータファイルの完全なイメージ・コピー・バックアップを作成します。
定期的(毎日など)に、データファイルのレベル1の差分増分バックアップを作成して、同じタグを基本データファイル・コピーとして使用します。
増分バックアップを同じタグを持つ最新のバックアップに適用します。
この方法では、レベル1の増分バックアップが作成された時点にバックアップがロールフォワードされます。RMANは、この増分更新バックアップをリストアし、REDOログから変更を適用できます。この場合、最後に適用されたレベル1の増分バックアップのSCNで作成されたデータファイルのバックアップをリストアする場合と同じ結果になります。
注意: UNTIL TIME を指定せずにRECOVER COPY を毎日実行すると、イメージ・コピーは継続的に更新されるため、1日を超えるリカバリ期間を満たすことができません。増分更新バックアップ機能は、高速のメディア・リカバリを実現するための最適な方法です。 |
増分更新バックアップ計画で使用する増分バックアップを作成するには、 BACKUP ...
FOR
RECOVER
OF
COPY
WITH
TAG
形式のBACKUP
コマンドを使用します。このコマンドについては、増分更新バックアップ計画を実装するサンプル・スクリプトを参照してください。
増分更新バックアップに基づいた計画を実装するには、例9-9のスクリプトを定期的に実行することのみが必要となります。
例9-9 基本的な増分更新スクリプト
RUN { RECOVER COPY OF DATABASE WITH TAG 'incr_update'; BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 FOR RECOVER OF COPY WITH TAG 'incr_update' DATABASE; }
このスクリプトおよび計画を理解するには、データファイルのコピーまたは増分バックアップが存在しない場合の、使用されている2つのコマンドの影響について理解する必要があります。次の2つの点に注意してください。
例9-9
のBACKUPコマンドによって、常にレベル1の増分バックアップが作成されるわけではありません。
例9-9のRECOVER
コマンドを実行すると、RMANによって、指定したタグが付いた利用可能なレベル1の増分バックアップが、同じタグが付いた一連のデータファイル・コピーに適用されます。
表9-2に、月曜日から毎日1回スクリプトを実行した場合の影響を示します。
表9-2 基本スクリプトを毎日実行した場合の影響
コマンド | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日以降 |
---|---|---|---|---|
|
増分バックアップまたはデータファイルのコピーが存在しないため、コマンドによってメッセージが生成されます(エラーは生成されません)。つまり、コマンドによる影響はありません。 |
データベースのコピーは存在しますが、そのコピーのリカバリに使用するレベル1の増分バックアップは存在しません。つまり、 |
火曜日に作成されたレベル1の増分バックアップがデータベース・コピーに適用され、そのコピーがレベル1の増分バックアップのチェックポイントSCNまで戻されます。 |
昨日作成されたレベル1の増分バックアップがデータベース・コピーに適用され、そのコピーがレベル1の増分バックアップのチェックポイントSCNまで戻されます。 |
|
レベル0のイメージ・コピーが存在しないため、コマンドによってデータベースのイメージ・コピーが作成され、タグ 注意: スクリプトによって |
コマンドによって、レベル1の増分バックアップが作成され、タグ |
コマンドによって、レベル1の増分バックアップが作成され、タグ |
コマンドによって、レベル1の増分バックアップが作成され、タグ |
例9-9についての次の追加事項に注意してください。
データファイルがデータベースに追加されるたびに、新しいデータファイルのイメージ・コピーが、次のスクリプト実行時に作成されます。その次の実行では、追加されたデータファイルの、最初のレベル1の増分バックアップが作成されます。後続のすべての実行では、新しいデータファイルは他のデータファイルと同様に処理されます。
他のバックアップ計画に影響を与えないように、タグを使用して、この計画のデータファイルのコピーおよび増分バックアップを識別する必要があります。複数の増分バックアップ計画を使用している場合、レベル0のバックアップにタグを指定していないかぎり、RMANはレベル1の増分バックアップを確実に作成することはできません。
これらのイメージ・コピーに適用されるレベル1の増分バックアップは、データファイルのイメージ・コピーのタグおよび使用可能なレベル1の増分バックアップのタグに基づいて選択されます。タグは、そのレベルの増分バックアップを選択する場合に必ず必要になります。
スクリプトの3回目の実行後は、次のファイルをPoint-in-Timeリカバリで使用できるようになります。
前回(24時間前に)スクリプトを実行したときのチェックポイントSCN時点でのデータベースのイメージ・コピー
前回実行したときのチェックポイントSCN以降に行われた変更の増分バックアップ
イメージ・コピーのチェックポイントSCNと現在の時点の間で行われたすべての変更を含むアーカイブREDOログ
次の24時間の間にデータベースのリストアおよびリカバリが必要になった場合は、増分更新されたデータファイルのコピーからデータファイルをリストアできます。これによって、必要なSCNに達するまで、レベル1の最新の増分バックアップおよびREDOログから変更を適用できます。最大24時間分の適用対象のREDOがあるため、Point-in-Timeリカバリの終了にかかる時間は制限されます。
関連項目: Enterprise Managerを使用したOracleバックアップ計画でこの方法を使用する方法については、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。 |
例9-9の基本スクリプトを拡張すると、24時間を超える期間を高速でリカバリできます。例9-10に、RECOVER
コマンドでリカバリ可能期間の開始時間を指定して、7日間保持する方法を示します。
例9-10 高度な増分更新スクリプト
RUN { RECOVER COPY OF DATABASE WITH TAG 'incr_update' UNTIL TIME 'SYSDATE - 7'; BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 FOR RECOVER OF COPY WITH TAG 'incr_update' DATABASE; }
表9-3に、1月1日月曜日から毎日1回スクリプトを実行した場合の影響を示します。
表9-3 高度なスクリプトを毎日実行した場合の影響
コマンド | 1月1日(月曜日) | 1月2日(火曜日)から1月8日(月曜日) | 1月9日(火曜日) | 1月10日(水曜日)以降 |
---|---|---|---|---|
|
増分バックアップまたはデータファイルのコピーが存在しないため、コマンドによってメッセージが生成されます(エラーは生成されません)。つまり、コマンドによる影響はありません。 |
データベースのコピーは存在しますが、 |
|
データベースのコピーが、7日前に作成された増分バックアップで更新され、そのコピーがレベル1の増分バックアップのチェックポイントSCNまで戻されます。 |
|
レベル0のイメージ・コピーが存在しないため、コマンドによってデータベースのイメージ・コピーが作成され、タグ 注意: スクリプトによって |
コマンドによって、レベル1の増分バックアップが作成され、タグ |
コマンドによって、レベル1の増分バックアップが作成され、タグ |
コマンドによって、レベル1の増分バックアップが作成され、タグ |
例9-9の基本スクリプトと同様に、データファイルのコピーのSCNと現在の間の任意の時点に高速でリカバリできます。RMANは、増分バックアップのブロック変更およびREDOログの個々の変更の両方を使用できます。レベル1の日次増分バックアップがあるため、1日分を超えるREDOを適用する必要はありません。
関連項目: RECOVERコマンドの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』 を参照してください。 |
増分バックアップのブロック・チェンジ・トラッキング機能を使用すると、データファイルごとに変更されたブロックを記録することによってバックアップのパフォーマンスが向上します。
プライマリ・データベースまたはスタンバイ・データベースでブロック・チェンジ・トラッキングが有効になっている場合、RMANは、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルを使用して、増分バックアップ用に変更されたブロックを識別します。この小さなビットマップ・ファイルを読み取り、変更されたブロックを確認することによって、バックアップしているデータファイルのすべてのブロックのスキャンを回避します。
ブロック・チェンジ・トラッキングは、デフォルトでは無効になっています。ただし、バックアップ中にデータファイル全体をスキャンする必要がなくなるというメリットは無視できません。バックアップを実行してから次のバックアップを実行するまでの間に変更されたデータ・ブロックが小量の場合は特にです。 バックアップ計画に増分バックアップが含まれている場合は、ブロック・チェンジ・トラッキングを有効にすることをお薦めします。ブロック・チェンジ・トラッキングによって、増分バックアップの実行に使用されるコマンドが変更されることはありません。初期構成後にチェンジ・トラッキング・ファイルにメンテナンスを行う必要はありません。
Oracle Active Data Guardオプションのライセンスが有効な場合にのみ、フィジカル・スタンバイ・データベースでブロック・チェンジ・トラッキングを有効にできます。
チェンジ・トラッキング・ファイルには、バックアップ間のデータファイルの変更をマークするビットマップが保持されます。データベースでは、各バックアップの前にビットマップの切替えが実行されます。Oracle Databaseでは、最新の8つのバックアップに対応するブロック・チェンジ・データを保持するためにチェンジ・トラッキング・ファイルの領域が自動的に管理されます。最大8つのビットマップに達すると、最も古いビットマップは現行の変更を追跡するビットマップによって上書きされます。
最初のレベル0の増分バックアップでは、データファイル全体がスキャンされます。その後の増分バックアップでは、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルを使用して、最後のバックアップの後に変更されたとマークされているブロックのみがスキャンされます。増分バックアップの最適化は、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルの最も古いビットマップ以降に作成された親バックアップに基づいてのみ行われます。
増分バックアップ計画を作成する場合は、ビットマップ数の制限(8)を考慮してください。たとえば、レベル0のデータベース・バックアップを作成した後で7つの差分増分バックアップを作成すると、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルには8つのビットマップが含まれます。次にレベル1の累積増分バックアップを作成すると、レベル0の親バックアップに対応するビットマップが現行の変更を追跡するビットマップで上書きされるため、RMANはバックアップを最適化できません。
データベース全体に対して、1つのブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルが作成されます。デフォルトでは、チェンジ・トラッキング・ファイルは、DB_CREATE_FILE_DEST初期化パラメータで指定された作成先にOracle Managed Files
として作成されます。また、ブロック・チェンジ・トラッキングを有効にするときに名前を指定して、選択した場所にチェンジ・トラッキング・ファイルを配置することもできます。RAWデバイス(つまりファイル・システムのないディスク)をチェンジ・トラッキング・ファイルとして使用しないことをお薦めします。
注意: Oracle RAC環境では、チェンジ・トラッキング・ファイルは、クラスタ内のすべてのノードからアクセスできる共有ストレージに格納する必要があります。 |
RMANでは、チェンジ・トラッキング・ファイルのバックアップおよびリカバリはサポートされていません。データベースは、チェンジ・トラッキング・ファイルが無効であると判断した場合、チェンジ・トラッキング・ファイルを再設定します。データベース全体またはサブセットをリストアおよびリカバリする場合、データベースは、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルを再設定し、変更の追跡を再度開始します。レベル0の増分バックアップを作成した後の次の増分バックアップでは、チェンジ・トラッキング・データを使用できます。
ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルのサイズは、データベースのサイズおよびREDOの有効になっているスレッドの数に比例します。ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルのサイズは、データベースの変更に応じて増減します。このサイズは、データベースの更新頻度とは関係ありません。
通常、シングル・インスタンスのブロック・チェンジ・トラッキングに必要な領域は、追跡するデータ・ブロックのサイズの約1/30,000です。Oracle RAC環境では、データベースのサイズの1/30,000×有効になっているスレッドの数です。
この見積りが示すサイズよりファイルが大きくなる場合の要因を次に示します。
データベースの拡張に応じて領域を割り当てた場合にオーバーヘッドが発生しないようにするために、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルのサイズは10MBから始まります。新しい領域は10MBずつ割り当てられます。つまり、ファイルのサイズは、約300GBまでのデータベースに対しては10MB以上、約600GBまでのデータベースに対しては20MB以上になります。
データファイルのサイズとは関係なく、データファイルごとに320KB以上の領域がブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルに割り当てられます。このため、比較的小さなデータファイルが多数ある場合は、同じデータを含む大きなデータファイルが少数ある場合よりチェンジ・トラッキング・ファイルのサイズが大きくなります。
ブロック・チェンジ・トラッキングは、データベースがオープンまたはマウントされている場合に有効にできます。この項では、ブロック・チェンジ・トラッキングをOracle Managed Filesとしてデータベース領域に作成することを想定しています。データベース領域とは、データファイル、制御ファイル、オンラインREDOログ・ファイルなどのアクティブなデータベース・ファイルをデータベースが保持する場所です。データベース領域および高速リカバリ領域については、「高速リカバリ領域の概要」を参照してください。
ブロック・チェンジ・トラッキングを有効にする手順
SQL*Plusを起動し、管理者権限でターゲット・データベースに接続します。
DB_CREATE_FILE_DEST
初期化パラメータが設定されていることを確認します。
SHOW PARAMETER DB_CREATE_FILE_DEST
パラメータが設定されておらず、データベースがオープンされている場合は、次の形式のALTER SYSTEM
文を使用してパラメータを設定できます。
ALTER SYSTEM SET DB_CREATE_FILE_DEST = '/disk1/bct/' SCOPE=BOTH SID='*';
ブロック・チェンジ・トラッキングを有効にします。
次のALTER DATABASE
文を実行します。
ALTER DATABASE ENABLE BLOCK CHANGE TRACKING;
また、次の形式のSQL文を使用して、自分で選択した場所にチェンジ・トラッキング・ファイルを作成することもできます。
ALTER DATABASE ENABLE BLOCK CHANGE TRACKING USING FILE '/mydir/rman_change_track.f' REUSE;
REUSE
オプションは、Oracle Databaseに、指定した名前を持つ既存のブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルを上書きするように指示します。
この項では、ブロック・チェンジ・トラッキング機能が現在有効になっていると想定しています。ブロック・チェンジ・トラッキングを無効にすると、データベースはオペレーティング・システムからブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルを削除します。
ブロック・チェンジ・トラッキングを無効にする手順
SQL*Plusを起動し、管理者権限でターゲット・データベースに接続します。
ターゲット・データベースがマウントまたはオープンされていることを確認します。
ブロック・チェンジ・トラッキングを無効にします。
次のALTER DATABASE
文を実行します。
ALTER DATABASE DISABLE BLOCK CHANGE TRACKING;
V$BLOCK_CHANGE_TRACKING
ビューを問い合せて、チェンジ・トラッキングが有効になっているかどうかを確認し、有効になっている場合はブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルのファイル名も調べることができます。
チェンジ・トラッキングが有効かどうかを確認する方法
SQL*Plusで次の問合せを入力します(出力例も示します)。
COL STATUS FORMAT A8 COL FILENAME FORMAT A60 SELECT STATUS, FILENAME FROM V$BLOCK_CHANGE_TRACKING; STATUS FILENAME -------- ------------------------------------------------------------ ENABLED /disk1/bct/RDBMS/changetracking/o1_mf_2f71np5j_.chg
チェンジ・トラッキング・ファイルを移動するには、ALTER DATABASE RENAME FILE
文を使用します。データベースはマウントされている必要があります。この文は、新しい場所を参照するように制御ファイルを更新し、チェンジ・トラッキング・ファイルの内容を保持します。データベースを停止できない場合は、ブロック・チェンジ・トラッキングを無効にしてから有効にすることができます。この場合、既存のブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルの内容は消失します。
チェンジ・トラッキング・ファイルの場所を変更する手順
SQL*Plusを起動し、ターゲット・データベースに接続します。
必要に応じて、チェンジ・トラッキング・ファイルの現在の名前を確認します。
SQL> SELECT FILENAME FROM V$BLOCK_CHANGE_TRACKING;
可能な場合は、データベースを停止します。次に例を示します。
SQL> SHUTDOWN IMMEDIATE
データベースを停止する場合は、次の手順にスキップします。データベースを停止しない場合は、次のSQL文を実行し、残りの手順をすべてスキップします。
SQL> ALTER DATABASE DISABLE BLOCK CHANGE TRACKING;
SQL> ALTER DATABASE ENABLE BLOCK CHANGE TRACKING USING FILE 'new_location';
この場合、ブロック・チェンジ・トラッキング・ファイルの内容は消失します。次回レベル0の増分バックアップを完了するまで、RMANはファイル全体をスキャンする必要があります。
ホスト・オペレーティング・システムのコマンドを使用して、チェンジ・トラッキング・ファイルを新しい場所に移動します。
データベースをマウントして、より多くの領域がある場所にチェンジ・トラッキング・ファイルを移動します。次に例を示します。
ALTER DATABASE RENAME FILE '/disk1/bct/RDBMS/changetracking/o1_mf_2f71np5j_.chg' TO '/disk2/bct/RDBMS/changetracking/o1_mf_2f71np5j_.chg';
この文は、内容を保持した状態でチェンジ・トラッキング・ファイルの場所を変更します。
データベースをオープンします。
SQL> ALTER DATABASE OPEN;
関連項目: ALTER DATABASE文およびALTER SYSTEM 文については、『Oracle Database SQL言語リファレンス』 を参照してください。 |
この項では、長期格納用のバックアップを作成する場合の基本的な概念およびタスクについて説明します。
BACKUP
... KEEP
を使用して、バックアップの保存方針から除外する包括的なバックアップを作成できます。データベースのリストアおよびリカバリに必要なすべてのファイルが単一のディスクまたはテープにバックアップされるため、このバックアップは包括的になります。また、KEEP
オプションは、保存方針からのバックアップの除外を永続的または指定した期間行うように指定します。BACKUP ... KEEP
で作成されるバックアップの一般名はアーカイブ・バックアップです。
「データの保持」で説明されているように、バックアップおよびリカバリ計画の目的の1つは、データを保存することです。BACKUP ... KEEP
を使用すると、保存方針に指定された期間より長くデータベースのバックアップを保持できます。たとえば、規定の要件を満たすために毎年元旦にデータベースをバックアップして、メディアをオフサイトに格納することができます。アーカイブ・バックアップを作成して数年後に、このバックアップをリストアおよびリカバリしてバックアップ時のデータの状態を問い合せることができます。
アーカイブ・バックアップのもう1つの目的は、テストのためにリストアするバックアップを作成し、後で削除することです。たとえば、データベースをバックアップしてテスト環境でリストアした後、テスト・データベースが操作可能になったらアーカイブ・バックアップを破棄することができます。また、これと関連して、別のユーザーまたはホストへの転送完了後に削除可能な自己完結型のバックアップを作成するという目的もあります。たとえば、別のユーザーが、レポートまたはテスト用にデータベースのコピーを必要とする場合があります。
BACKUP
コマンドでKEEP
オプションを使用すると、バックアップを保存方針から除外できます。また、CHANGE
コマンドのKEEP
および
NOKEEPオプションを使用して、既存のバックアップのステータスを変更することもできます。KEEP
属性を使用したバックアップは、他のすべてのバックアップと同様にリカバリできる有効なバックアップです。
KEEP UNTIL TIME
句を使用してアーカイブ・バックアップの終了日を指定したり、FOREVER
を使用してバックアップを永続的に保持するように指定できます。UNTIL
を指定した場合、構成されている保存方針に関係なく、UNTIL
で指定した時間が経過すると、バックアップはRMANによって不要とマークされます。たとえば、KEEP UNTIL TIME '01-JAN-08'
と指定すると、1月1日の深夜0時を1秒経過した後にバックアップが不要とマークされます。UNTIL TIME
を午後9時に指定すると、午後9時1分にバックアップが不要とマークされます。
BACKUP
コマンドにKEEP
を指定すると、RMANは複数のバックアップ・セットを生成します。BACKUP ... KEEP
コマンドには次の特性があります。
データファイル、制御ファイル(制御ファイルの自動バックアップが無効になっている場合でも)およびサーバー・パラメータ・ファイルが自動的にバックアップされます。
データベースのバックアップを一貫性のある状態にリカバリできるように、アーカイブREDOログのバックアップが自動的に生成されます。
FORMAT
、POOL
またはTAG
パラメータを指定した場合、これらのパラメータはすべてのバックアップに使用されます。このため、FORMAT
文字列で、複数のバックアップ・ピースを作成できるようにする必要があります。%U
置換変数を指定すると、最も簡単にこの要件を満たすことができます。
通常のリストア・ポイントを作成するオプションのRESTORE POINT句がサポートされています。通常のリストア・ポイントとは、バックアップを一貫性のある状態にするためにリカバリする必要がある時点のSCNのラベルのことです。SCNは、データファイルのバックアップが完了した直後に取得されます。RMANでは、リカバリ・カタログを使用してリストア・ポイントが再同期化され、バックアップが存在するかぎりそのリストア・ポイントが保持されます。リストア・ポイントの表示方法については、「リストア・ポイントの表示」を参照してください。
関連項目: CHANGEの構文については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』 を参照してください。BACKUP ... KEEPの構文については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』 を参照してください。 |
通常、アーカイブ・バックアップはテープに作成します。データ保護を目的としたバックアップは、アクセス可能な状態のままで再利用されるテープのセットに格納されることが多いため、アーカイブ・バックアップ用にテープのセットを取っておくことをお薦めします。この特別なテープのセットにアーカイブ・バックアップを書き込んだ後、オフサイトの保管場所に格納することができます。
動的更新を行うストアド・スクリプトまたはシェル・スクリプトを作成して、アーカイブ・バックアップを作成するための手順を変更できます。スクリプトを実行すると、リストア・ポイントの名前、バックアップ形式などを動的に設定できます。
関連項目:
|
次の例では、QUARTERLYというバックアップのタグを使用して長期用のアーカイブ・バックアップを作成し、長期格納用に確保されているOracle Secure Backupの専用のテープ・ファミリに割り当てます。この例では、次の点に注意してください。
FOREVER
キーワードは、このバックアップがバックアップの保存方針による削除の対象にはならないことを示します。
BACKUP
コマンドでは、FY06Q4
という名前のリストア・ポイントを作成します。そのリストア・ポイントは、このバックアップが一貫性を持つ時点におけるSCNに対応します。
長期用のアーカイブ・バックアップを作成する手順
RMANを起動し、ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログに接続します。
ターゲット・データベースは、オープンされている状態でもマウントされている状態でもかまいません。リカバリ・カタログは、KEEP FOREVER
には必要ですが、その他のKEEP
オプションには必要ありません。
BACKUP ... KEEP
を実行して、バックアップを作成します。
次の例では、データファイルおよびアーカイブ・ログのバックアップを生成し、通常のリストア・ポイントを作成します。指定したリストア・ポイントは、すで存在していない必要があります。
ログのバックアップには、このバックアップを一貫性のある状態にリストアするためのアーカイブ・ログのみが含まれています。この新しいバックアップを一貫性のある状態するために必要な、現行のオンライン・ログにあるREDOをアーカイブするために、データベースでオンラインREDOログの切替えが実行されます。制御ファイルの自動バックアップにはリストア・ポイントのコピーが含まれているため、制御ファイルをリストアするとすぐにこのコピーを参照できます。
RUN { ALLOCATE CHANNEL c1 DEVICE TYPE sbt PARMS 'ENV=(OB_MEDIA_FAMILY=archival_backup)'; BACKUP DATABASE TAG quarterly KEEP FOREVER RESTORE POINT FY06Q4; }
次の例では、バックアップを永続的にではなく、365日間保存します。1年が経過すると、バックアップ保存方針に関係なく、バックアップは不要とマークされます。
RUN { ALLOCATE CHANNEL c1 DEVICE TYPE sbt PARMS 'ENV=(OB_MEDIA_FAMILY=archival_backup)'; BACKUP DATABASE TAG quarterly KEEP UNTIL TIME 'SYSDATE+365' RESTORE POINT FY06Q4; }
アーカイブ・バックアップの目的の1つは、テスト・データベースを作成することです。テスト・データベースの作成方法は、「長期格納用のアーカイブ・バックアップの作成」で説明されている方法と基本的に同じです。異なる点は、バックアップを、作成後すぐに削除することです。
BACKUP ... KEEP UNTIL
パラメータを使用すると、バックアップの一時的なステータスを指定できます。バックアップを作成後、そのバックアップを同じ日に新しいホストにリストアするとします。この場合、KEEP UNTIL
TIME SYSDATE+1
を指定して、1日間のみこのバックアップの保存方針を上書きするようにRMANに指示できます。1日が経過すると、構成されているバックアップ保存方針に関係なく、バックアップは不要とマークされます。
例9-11のコマンドは、タグTESTDB
が含まれているアーカイブ・バックアップを一時ディスクに作成します。この例では、バックアップをリカバリする時点のラベルとなる通常のリストア・ポイントを作成します。バックアップ中にデータベースがオープンしている場合、RMANはアーカイブREDOログのみをバックアップします。アーカイブ・ログは、オフライン・バックアップでは必要ないためバックアップされません。
例9-11 一時的なアーカイブ・バックアップの作成
BACKUP DATABASE FORMAT '/disk1/oraclebck/%U' TAG TESTDB KEEP UNTIL TIME 'SYSDATE+1' RESTORE POINT TESTDB06;
アーカイブ・バックアップをリストアする場合の推奨方法は、DUPLICATE
コマンドを使用することです。「ターゲット接続を行わないバックアップベースの複製の例」を参照してください。
この項では、バックアップ・セットおよびイメージ・コピーのバックアップ方法について説明します。
BACKUP BACKUPSET
コマンドを使用して、他のバックアップ・ジョブによって作成されたバックアップ・セットをバックアップできます。また、BACKUP RECOVERY AREA
を使用すると、現行および以前のすべての高速リカバリ領域に作成されたリカバリ・ファイルをバックアップすることもできます。リカバリ・ファイルとは、全体および増分バックアップ・セット、制御ファイルの自動バックアップ、データファイルのコピーおよびアーカイブREDOログのことです。BACKUP RECOVERY AREA
では、SBTバックアップおよびディスク・バックアップがサポートされています。リカバリ・ファイルのディスク・バックアップの場合は、TO DESTINATION
オプションを使用する必要があります。
すべてのバックアップをディスクおよびテープの両方に存在させる場合。
バックアップをディスクからテープに移動して、ディスク上の領域を解放する場合。このタスクは、必要に応じて領域を再利用できるようにデータベースで高速リカバリ領域を使用している場合、特に重要です。
また、BACKUP
COPY
OF
コマンドを使用すると、データファイル、制御ファイルおよびアーカイブREDOログのイメージ・コピーをバックアップすることもできます。このコマンドでは、バックアップ・セットまたはイメージ・コピーのいずれかを出力できるため、イメージ・コピーからバックアップ・セットを生成できます。ディスク上にイメージ・コピーとして作成されたデータベースのバックアップをテープにバックアップするには、この形式のバックアップを使用します。
BACKUP
BACKUPSET
を実行すると、バックアップ・セットにバックアップ・ピースの追加コピーが作成されますが、新しいバックアップ・セットは作成されません。つまり、BACKUP
BACKUPSET
は、BACKUP
のDUPLEX
またはMAXCOPIES
オプションを使用する場合と類似しています(「バックアップ・セットの多重化」を参照)。他の形式のBACKUP
コマンドによって生成されたバックアップ・セットのコピーが個別のバックアップ・セットにならないのと同様に、BACKUP
BACKUPSET
によって作成されたバックアップ・セットの追加コピーも新しいバックアップ・セットにはなりません。
冗長性に基づくバックアップの保存方針では、バックアップ・セットはバックアップの1つのインスタンスとみなされます。これは、バックアップ・セットを構成するバックアップ・ピースの複数のコピーが存在する場合(バックアップ・セットがディスクからテープにバックアップされている場合など)でも該当します。
リカバリ期間に基づく保存方針では、バックアップ・セットのすべてのコピーが不要とみなされるか、またはすべてが不要でないとみなされます。LIST
およびREPORT
コマンドの出力を確認すると、この点を最も簡単に理解できます。
バックアップをバックアップする場合のバックアップの保存方針の影響を表示する手順
データファイルをバックアップします。
この例では、データファイル5
をバックアップします。
BACKUP AS BACKUPSET DATAFILE 5;
手順1で作成したデータファイルのバックアップに対してLIST
コマンドを実行します。
たとえば、次のコマンドを実行します(出力例も示します)。
LIST BACKUP OF DATAFILE 5 SUMMARY; List of Backups =============== Key TY LV S Device Type Completion Time #Pieces #Copies Compressed Tag ------- -- -- - ----------- --------------- ------- ------- ---------- --- 18 B F A DISK 04-AUG-07 1 1 NO TAG20070804T160 134
前の手順のバックアップ・セット・キーを使用して、バックアップ・セットをバックアップします。
たとえば、次のコマンドを入力します。
BACKUP BACKUPSET 18;
手順2で実行したLIST
コマンドを再度実行します。
たとえば、次のコマンドを実行します(出力例も示します)。
LIST BACKUP OF DATAFILE 5 SUMMARY; List of Backups =============== Key TY LV S Device Type Completion Time #Pieces #Copies Compressed Tag ------- -- -- - ----------- --------------- ------- ------- ---------- --- 18 B F A DISK 04-AUG-07 1 2 NO TAG20070804T160 134
この出力に表示されているバックアップ・セットは1つのみですが、これでバックアップ・セットのコピーは2つ存在しています。
レポートを生成して、冗長性に基づくバックアップの保存方針でのこれらのコピーの影響を確認します。
たとえば、次のコマンドを発行します。
REPORT OBSOLETE REDUNDANCY 1;
バックアップ・セットの両方のコピーのset_stamp
とset_count
の値が同じであるため、いずれのコピーも不要とはみなされません。
レポートを生成して、リカバリ期間に基づくバックアップの保存方針でのこれらのコピーの影響を確認します。
たとえば、次のコマンドを発行します。
REPORT OBSOLETE RECOVERY WINDOW 1 DAY;
現在の時点と他のバックアップの可用性に関して、バックアップ・セットのいずれのコピーも不要であるとはみなされず、またこのバックアップ・セットのCHECKPOINT_CHANGE#
に基づくとはみなされません。
この項では、BACKUP BACKUPSET
コマンドを使用して、バックアップ・セットをディスクからテープにコピーする方法について説明します。この手順では、デフォルト・デバイスとしてSBTデバイスが構成されていることを想定しています。
ディスクからテープにバックアップ・セットをバックアップする手順
使用可能なバックアップ・セットのサブセットをバックアップする場合は、LIST BACKUPSET
コマンドを実行してそれらの主キーを取得します。
次の例では、バックアップ・セットをサマリー形式で表示します。
RMAN> LIST BACKUPSET SUMMARY; List of Backups =============== Key TY LV S Device Type Completion Time #Pieces #Copies Comp Tag --- -- -- - ----------- --------------- ------- ------- ---- --- 1 B F A DISK 28-MAY-07 1 1 NO TAG20070528T132432 2 B F A DISK 29-MAY-07 1 1 NO TAG20070529T132433 3 B F A DISK 30-MAY-07 1 1 NO TAG20070530T132434
次の例では、バックアップ・セット3の詳細を表示します。
RMAN> LIST BACKUPSET 3; List of Backup Sets =================== BS Key Type LV Size Device Type Elapsed Time Completion Time ------- ---- -- ---------- ----------- ------------ --------------- 3 Full 8.33M DISK 00:00:01 30-MAY-07 BP Key: 3 Status: AVAILABLE Compressed: NO Tag: TAG20070530T132434 Piece Name: /disk1/oracle/dbs/c-35764265-20070530-02 Control File Included: Ckp SCN: 397221 Ckp time: 30-MAY-07 SPFILE Included: Modification time: 30-MAY-07 SPFILE db_unique_name: PROD
次の例では、ディスクのすべてのバックアップ・セットをテープにバックアップし、入力のディスク・バックアップを削除します。
BACKUP BACKUPSET ALL DELETE INPUT;
次の例では、主キー1および2を含むバックアップ・セットのみをテープにバックアップし、入力ディスクのバックアップを削除します。
BACKUP BACKUPSET 1,2 DELETE INPUT;
必要に応じて、LIST
コマンドを実行して、バックアップ・セットとバックアップ・ピースのリストを確認します。
BACKUP
BACKUPSET
によって作成されたバックアップ・ピースのコピーを含むすべてのコピーが出力に含まれます。
この項では、BACKUP
コマンドを使用してイメージ・コピーをテープにバックアップする方法について説明します。デフォルト・デバイスとしてSBTデバイスが構成されていることを想定しています。
データファイルの複数のコピーを含むイメージ・コピーをバックアップする場合は、バックアップにタグを指定すると、入力イメージ・コピーの識別が簡単になります。データファイルのすべてのイメージ・コピーにタグが指定されます。イメージ・コピーが新しいイメージ・コピーとしてバックアップされると、デフォルトで、そのイメージ・コピーのタグが継承されます。
BACKUP
... COPY OF
またはBACKUP DATAFILECOPY
コマンドを発行します。
次の例では、タグDBCopy
が含まれているデータファイルのコピーをバックアップします。
BACKUP DATAFILE COPY FROM TAG monDBCopy;
次の例では、データベースの最新イメージ・コピーをテープにバックアップし、QUARTERLY_BACKUP
というタグを割り当て、入力のディスク・バックアップを削除します。
BACKUP DEVICE TYPE sbt TAG "quarterly_backup" COPY OF DATABASE DELETE INPUT;
必要に応じて、LIST
コマンドを発行して、バックアップ・セットのリストを確認します。出力には、BACKUP
BACKUPSET
コマンドによって作成されたバックアップ・ピースのコピーを含め、すべてのコピーが示されます。