この項では、Oracle Database 11gリリース2のバックアップおよびリカバリの新機能について説明し、追加情報の参照先を示します。
このリリースのRMAN(RMAN)によって、Oracle Databaseのバックアップおよびリカバリの信頼性、効率性および可用性が引き続き向上しています。特に、今回のリリースでは、Oracle Database Backup Cloud(Oracle Secure Backup(OSB)Cloud Moduleと呼ばれる)の導入、拡張バックアップ圧縮レベルの追加および複数の複製データベース・コマンドの拡張が行われています。
Oracle Database 11gリリース2(11.2)では、次のバックアップおよびリカバリ機能が新しく導入されています。
Oracle Secure Backup(OSB) Cloud Module
RMANのバックアップおよびリカバリ・タスクに、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)によって提供されるインターネット・ベースのデータ・ストレージ・サービスを利用できます。OSB Cloud Moduleインタフェースは、Amazon S3の機能を拡張して、管理しやすく、コスト効率のよい、スケーラブルな組織内データ・ストレージのメンテナンス手法および完全に構成されたローカルのバックアップ・インフラストラクチャを提供します。
参照: 『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』の「付録C」を参照してください。 |
複製データベース・コマンドの拡張
ターゲット・データベースに接続することなく、データベースを複製できます。この操作の唯一の要件は、カタログおよび補助データベースに接続することです。この新しい機能は、ターゲット・データベースが常に使用可能ではない場合に役立ちます。
ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログに接続することなく、データベースを複製することもできます。この場合の唯一の要件は、ディスクのバックアップ場所を提供することです。この場所に、データベース複製のためのすべてのバックアップ、データファイルのコピー、アーカイブ・ログ、および制御ファイルのコピーを格納します。このデータベース複製の拡張は、ターゲット・データベースおよびリカバリ・カタログに接続できない場合に有効です。
ターゲット・データベースを複製する場合、RMANによって、複製操作の開始前
に、除外された表領域にSYS-が所有するオブジェクトやマテリアライズド・ビューが含まれていないかどうかが確認され、自己完結型以外の表領域が識別されます。
参照: 関連するDUPLICATEコマンド・オプションNOREDOおよびUNDO TABLESPACEについては、第24章「データベースの複製」 および 『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』 を参照してください。 |
RMANの表領域のPoint-in-Timeリカバリ(TSPITR)の拡張
TSPITRを使用すると、削除された表領域をリカバリしたり、表領域がオンラインになる前の時点へのPoint-in-Timeリカバリを実行できます。Point-in-Timeリカバリは、必要に応じて繰り返し実行できます。
注意: 今回より前のリリースでは、削除された表領域に対する操作をTSPITRで実行することはできませんでした。 |
自動ブロック修復
破損ブロックの検出が拡張されたため、ブロック修復がより効率的になり可用性が向上します。自動ブロック修復の拡張は、Oracle Database 11gリリース1のブロック破損の自動検出を補完します。
(ユーザーのSQL問合せなどによって)検出された破損ブロックが、フィジカル・スタンバイ・データベースの正常なブロックを使用して、自動的に修復されるようになりました。自動ブロック修復では、ユーザーが破損ブロックでデータを問い合せても、破損ブロックのエラー・メッセージが表示されません(ORA-01578
)。かわりに、破損ブロックが修復される間動作が一時停止され、次にSQL問合せの結果が戻されます。自動ブロック修復は、修復が失敗しないかぎり、ユーザーに対して透過的です。フィジカル・スタンバイ・データベースから取得されたブロックに対してREDOを適用する必要がなくなるため、ブロックをより高速にリカバリできます。
フィジカル・スタンバイ・データベース上でリアルタイム問合せモードが有効である必要があるため、自動ブロック修復には、Oracle Active Data Guardライセンスが必要です。
この操作は自動的に行われますが、RMANのRECOVER BLOCK
コマンドを使用して明示的に起動することもできます。
SET NEWNAME
のオプション
SET NEWNAME
コマンドは、より効果的かつ簡単に使用できます。このコマンドは、特定の表領域、またはデータファイルおよび一時ファイル全体に使用できます。また、データベース内の複数のファイルの名前を変更することもできます。
新しい文字列書式の識別子%b
によって、より簡単にファイルを移動できます。書式識別子%b
とともにSET NEWNAME
を使用すると、ディレクトリ・パスを含めずにファイル名を指定できます。このオプションは、データファイルを、同じ名前のまま別のディレクトリの場所に移動する場合に特に役立ちます。
参照:
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CONVERT DATABASE
のオプション
新しいオプションSKIP UNNECESSARY DATAFILES
がCONVERT DATABASE
コマンドでサポートされるようになりました。このオプションが起動されると、指定されたプラットフォーム間での転送で、RMANによる処理が必要なデータファイルのみが変換されます。残りのデータファイルは、共有ストレージまたはパス名を介して転送先データベースによって使用できます。UNDOセグメントを含まないデータファイルの変換をスキップすると、データベースの転送時間全体を短縮できます。このオプションは、ソースでの変換時またはON DESTINATION PLATFORM
の変換時に使用できます。
参照: 『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』のCONVERT DATABASEオプションを参照してください。 |
拡張バックアップ圧縮レベル
RMANでは、Advanced Compressionオプション(ACO)によるさらに幅広い圧縮レベルが利用可能になりました。既存のBASIC
圧縮オプションは、ほとんどの環境に適していますが、ACOのバックアップ圧縮レベル(LOW
、MEDIUM
およびHIGH
)を試して、より優れたパフォーマンスまたは高い圧縮率を得ることができます。
参照: 「バックアップ・セットのバイナリ圧縮」および 『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』 のCONFIGURE ... COMPRESSION ALGORITHMコマンド・オプションに関する説明を参照してください。 |
INCARNATION
指定子の拡張
インカネーションを使用して、BACKUP
、RESTORE
およびLIST
コマンドのアーカイブREDOログ範囲をさらに修飾できるようになりました。アーカイブ・ログの範囲を表示する場合に、ALL
、CURRENT
または特定のインカネーション番号を指定できるようになりました。
参照: 設定および例については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』を参照してください。 |
BACKUP
コマンドにTO DESTINATION
構文が追加されました。これにより、ディスクにバックアップする場合に特定のディレクトリの場所を指定できます。この構文は、主にBACKUP RECOVERY AREA
コマンドで使用します。バックアップの最適化が有効な場合、RMANは、TO DESTINATION
オプションで指定されたディレクトリの場所にある同一のファイルのバックアップのみをスキップします。
参照: BACKUP コマンドおよび新しい設定の例については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』を参照してください。 |