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Oracle® Communications Data Model実装およびオペレーション・ガイド
リリース11.3.1
B70212-01
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1 Oracle Communications Data Modelのカスタマイズの概要

この章では、Oracle Communications Data Modelのカスタマイズの概要を示します。内容は次のとおりです。

Oracle Communications Data Modelの概要

Oracle Communications Data Modelは、標準ベースの事前構築済の通信データ・ウェアハウスを提供して、通信事業者がインサイト(真相を見抜く力)を持ち、より迅速に行動することを可能します。Oracle Communications Data Modelでは、即時利用可能なOracleベースのデータ・ウェアハウスおよびビジネス・インテリジェンス・ソリューションを利用することで、即時の運用および継続的な運用においてコストを削減し、通信業界特有のデータ・モデルを最高水準のデータベースおよびビジネス・インテリジェンス・テクノロジ・ソリューションで利用できます。アプリケーション環境でOracle Communications Data Modelを使用できます。また、簡単にモデルを拡張できます。

Oracle Communications Data Modelを使用して、Oracle Communications Data Modelの設計および実装を速やかに開始し、予測どおりの実装作業により、データ・ウェアハウスおよびビジネス・インテリジェンス・プロジェクトのポジティブROIを速やかに達成できます。

Oracle Communications Data Modelでは、通信ビジネス・インテリジェンス・ソリューションに対して行う必要のあるデータ・モデリング作業の多くが提供されます。通信サービス・プロバイダのベスト・プラクティスに従って、Oracle Communications Data Model論理および物理データ・モデルが設計されました。Oracle Communications Data Modelは、『Oracle Communications Data Modelリファレンス』に示すように、TMフォーラムの情報フレームワーク(SID)バージョン8.1によって準拠が認定されています。

Oracle Communications Data Modelのコンポーネント

Oracle Communications Data Modelには、次のコンポーネントがあります。

  • 第3正規形(3NF)エンティティ・オブジェクト標準ベース・モデルの論理モデル。論理モデルは『Oracle Communications Data Modelリファレンス』で説明されています。

  • 2つのOracle Databaseスキーマとして定義される物理モデル。1つのスキーマは、Oracle Communications Data ModelのすべてのリレーショナルおよびOLAP物理コンポーネントおよびデータ・マイニング・モデルの結果を保持する表を定義します。もう1つのスキーマは、実際のデータ・マイニング・モデルを定義します。

  • Oracle Communications Data Model 3NF物理表からOracle Communications Data Modelの導出表および集計表にデータを抽出、変換およびロード(ETL)するIntra-ETLデータベース・パッケージおよびSQLスクリプト。

  • Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Editionを使用して開発したサンプル・レポートおよびダッシュボード。

  • DDLおよびインストール・スクリプト


注意:

Oracle Installerを使用してOracle Communications Data Modelをインストールする場合、2つの異なるタイプのインストールの実行を選択できます。
  • Oracle Communications Data Modelコンポーネント自体のインストール

  • サンプル・レポート(およびスキーマ)のインストール

異なるタイプのインストールの詳細は、『Oracle Communications Data Modelインストレーション・ガイド』を参照してください。



参照:

コンポーネントの詳細は、『Oracle Communications Data Modelリファレンス』を参照してください。

Oracle Communications Data Modelを構成するOracle製品

いくつかのOracleテクノロジには、Oracle Communications Data Modelのインフラストラクチャの構築が含まれます。

OLAP、データ・マイニングおよびパーティション化オプションが設定されたOracle Database

Oracle Communications Data Modelは、完全なOracleテクニカル・スタックを使用します。SQLモデル、圧縮、パーティション化、高度な統計機能、マテリアライズド・ビュー、データ・マイニング、オンライン分析処理(OLAP)といったOracleデータベースのデータ・ウェアハウス機能を利用します。

Oracle Communications Data Modelのアプリケーション・アダプタ

Oracle Communications Data ModelのOracle Communications Network Charging and Controlアダプタは、Oracle Communications Data Modelのオプションです。アプリケーション・アダプタを使用して、Oracle Communications Data Modelウェアハウスの基盤レイヤーにOracle Communications Network Charging and Control(NCC)システムのデータを移入できます。

Oracle開発ツール

次のOracleツールを使用して、Oracle Communications Data Modelで提供される事前定義済の物理モデルのカスタマイズや、ターゲットのリレーショナル表とマテリアライズド・キューブ・ビューの移入を行うことができます。

表1-1 Oracle Communications Data Modelで使用するOracle開発ツール

名前 使用

SQL DeveloperまたはSQL*Plus

データベース・オブジェクトの変更、カスタマイズおよび拡張

Oracle Warehouse Builder

Intra-ETLプロセスのプロセス制御

Analytic Workspace Manager

OLAPディメンション・オブジェクトの表示、作成、開発および管理


Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Editionの表示ツール

Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Editionは、あらゆる分析およびレポート機能を提供するエンタープライズBI製品の包括的なスイートです。Oracle Business Intelligence Suite Enterprise EditionのAnswersおよびDashboardの表示ツールを使用して、Oracle Communications Data Modelで提供された事前定義済のサンプル・ダッシュボード・レポートをカスタマイズできます。

Oracle Communications Data Modelウェアハウスを実装する手順

Oracle Communications Data Modelは通信サービス・プロバイダのベスト・プラクティスに従って設計されましたが、通常モデルでビジネス・ニーズを満たすカスタマイズが必要です。

Oracle Communications Data Modelをカスタマイズする理由には、ビジネスにOracle Communications Data Modelの論理モデルにあるビジネス・エリアがない場合や新規または別のビジネス・ルールを適用する必要がある場合などがあります。

通常の物理モデルの変更には、表と列の追加、削除、変更、名前変更、または外部キー、制約、索引の変更が含まれます。

Oracle Communications Data Modelウェアハウスを実装するには、次の手順に従います。

  1. 「Oracle Communications Data Modelのカスタマイズを開始する前に」に記載された組織タスクを実行します。

  2. 「Oracle Communications Data Modelのフィットギャップ分析の実行」に記載されたプロセスに従って、フィットギャップ分析を作成します。

  3. 開発環境では、Oracle Communications Data Modelのコピーをインストールします。

  4. フィットギャップ分析レポートに記載された変更を行って、Oracle Communications Data Modelをカスタマイズします。変更は、次の順序で行います。

    1. 物理モデルの基盤レイヤーおよびそのレイヤーを移入するETL。物理オブジェクトをカスタマイズする場合、「基盤レイヤーのカスタマイズ」のガイドラインに従ってください。ETLを記述する場合、「Oracle Communications Data Modelウェアハウスの基盤レイヤーのETL」のガイドラインに従ってください。

    2. 物理モデルのアクセス・レイヤーおよびそのレイヤーを移入するETL。物理オブジェクトを設計する場合、第3章「アクセス・レイヤーのカスタマイズ」のガイドラインに従います。ETLを書き込む場合、「Oracle Communications Data ModelのIntra-ETLのカスタマイズ」のガイドラインに従います。

  5. テスト環境に、Oracle Communications Data Modelのカスタマイズしたバージョンのコピーを作成します。次に、手順2で作成したドキュメントに従い、Oracle Communications Data Modelのカスタマイズしたバージョンをテストします。

  6. 通常の手順に従って、テストおよびカスタマイズしたバージョンのOracle Communications Data Modelを本番前、本番の順に展開します。


ヒント:

Oracle Communications Data Modelコンポーネントで提供されるコンポーネントの'クリーンな'コピーを保持します。これは、Oracle Communications Data Modelの新しいバージョンにアップグレードする場合に重要です。

Oracle Communications Data Modelのカスタマイズを開始する前に

Oracle Communications Data Modelのカスタマイズを開始する前に、次のチームおよび委員会が存在することを確認します。

これらのチームおよび委員会を結成した後:

実装者の前提知識

「Oracle Communications Data Modelを構成するOracle製品」で説明したように、Oracle Communications Data ModelはOracleスタックの多くを使用します。したがって、Oracle Communications Data Modelを正常に実装するには、実装チームは次のものが必要です。

  • 情報、データ分析およびデータ・モデリングを実行する経験。(Oracle SQL Data Modelerを使用した経験は役立ちます。)

  • Oracleテクノロジ・スタック、特にデータ・ウェアハウス(データベース、データ・ウェアハウス、OLAP、データ・マイニング、Warehouse Builder、Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition)に関する知識。

  • 次のものを使用した実践的な経験

    • Oracleデータベース

    • PL/SQL

    • SQL DDLおよびDML構文

    • Analytic Workspace Manager

    • Oracle SQL Developer

    • Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition Administrator、AnswersおよびDashboards

データ・ウェアハウス管理委員会の責任

管理は、プロセス、規格およびコンプライアンスに関心のある企業の経営チームまたは個人に関係します。データ・ウェアハウスに投資している組織にとっては、さらに重要です。

データ・ウェアハウスの管理は、全体のIT管理のコンテキストで発生します。IT従業員からフロントエンドの業務担当者まで全体の組織で明確に伝える必要がある必須のポリシー、プロセスおよび手順を示します。

Oracle Communications Data Modelをカスタマイズする前に、存在しない場合はデータ・ウェアハウスの管理運営委員会を結成します。この運営委員会の役割は、データ・ウェアハウスを監視し、企業全体に渡って最適なビジネス価値を実現する環境を提供することです。

データ・ウェアハウス管理委員会: 全体の責任

データ・ウェアハウス管理運営委員会は、管理フレームワークの指示および回答を設定し、次の領域を含みます。

  • 全体のデータ・ウェアハウスのライフ・サイクル。

  • 処理するデータに合意し、エンドユーザーが使用できるようにします。

  • エンド・ユーザーが使用可能なデータの最小の品質基準を決定し、データ・ウェアハウスのソース・データであるデータの品質に対するこれらの基準の測定および分析方法を決定します。

  • データ・ウェアハウスからコア情報を適用する組織のビジネスの目標。

  • データ・リソースおよびデータ・アクセスのポリシー、手順および規格。

  • データ・ウェアハウス・コンポーネント管理のライフ・サイクル。

データ・ウェアハウス管理委員会: データ管理責任

データ・ウェアハウス管理の中心は、データ管理です。データ管理タスクは、次のとおりです。

  • データ・モデリング規格、メタデータ規格および他の関連規格の承認。これには、「Oracle Communications Data Modelのメタデータの管理」で説明されているメタデータ戦略の決定およびこれらの規格をサポートするデータ・モデリング・ツールの使用の確認が含まれます。

  • データ保存ポリシーの決定。

  • 法律上の制限およびデータ・セキュリティ・ルールに基づいたデータ・アクセス・ポリシーの設計。

  • ビジネス・ユニットの影響分析と一致するデータ・バックアップ戦略の設計。

  • データ使用、アクティビティおよびアラートの監視およびレポート。

Oracle Communications Data Modelのメタデータの管理

メタデータはデータに関するデータなので、データ・ウェアハウス環境の重要な側面です。メタデータにより、エンド・ユーザーおよびビジネス・アナリストは、データのコンテキストまたはデータの表現を把握しなくても可能性を調査できます。

メタデータ管理は、企業がデータの構築方法、存在するデータの種類およびデータの意味を確認できる中央環境でメタデータを監視してアクティブに管理する包括的で継続的なプロセスです。変更がデータ・ウェアハウスのすべての場所のデータの整合性に悪影響を与えないよう影響分析を実行するためにOracle Communications Data Modelをカスタマイズする場合の優れたメタデータ管理に特に役立ちます。

メタデータのカテゴリおよび規格

メタデータは、3つの主要なカテゴリに編成されます。

  • ビジネス・メタデータは、ビジネス・センスのデータの意味を示します。データ・ウェアハウスのデータ要素のビジネスの解釈は、データベースの実際の表および列の名前に基づいています。このマッピング情報とビジネス定義およびルール情報をビジネス・メタデータに収集します。

  • テクニカル・メタデータは、データ型、長さ、系統、データ・プロファイリングの結果などの属性を含むデータの技術的な側面を表します。

  • プロセス実行メタデータは、正常にロードされた行、拒否された行、ロード時間などのメジャーを含むETLプロセス自体の実行結果の統計を示します。

メタデータは情報管理で非常に重要なため、多くの組織は次のような様々なレベルでメタデータの標準化を試行しています。

  • METS(Metadata Encoding and Transmission Standard)。デジタル・ライブラリ内のオブジェクトに関する記述、管理および構造メタデータをエンコードする規格。

  • ANSI(米国規格協会)。米国の自発的な標準化および適合性評価システムを調整する組織。

  • ISO(国際標準化機構)。国際交流のための規格を確立、開発および促進する団体。

  • コモン・ウェアハウス・メタデータ(CWM)。データ・ウェアハウス環境のリレーショナル、非リレーショナル、多次元および他のほとんどのオブジェクトのメタデータをモデル化するためのOMG(Object Management Group)がリリースおよび所有している仕様。

メタデータ管理ソリューションを実装する場合、データ・ウェアハウス・インフラストラクチャ環境を参照して、準拠する規格を決定してください。

メタデータ・リポジトリの操作

メタデータ・リポジトリを使用して、メタデータを管理します。最上位のレベルで、メタデータ・リポジトリには、3つのレイヤーの情報があります。レイヤーは、次の順序で定義されます。

  1. 物理レイヤー。このメタデータ・レイヤーは、ソース・データを識別します。

  2. ビジネス・モデルおよびマッピング・レイヤー。このメタデータ・レイヤーは、物理レイヤーを論理カテゴリに編成して、ソース・データにアクセスする適切なメタデータを記録します。

  3. プレゼンテーション・レイヤー。このメタデータ・レイヤーは、エンドユーザー・アクセスのビジネス・モデル・エンティティを公開します。

メタデータ・リポジトリを作成する最初の手順は、次の操作でメタデータ管理ニーズを調査することです。

  • メタデータ利用者の識別。通常、ビジネス利用者および技術利用者が存在します。

  • ビジネスおよび技術メタデータ要件を決定します。

  • 特定のデータ要素および論理データ・フローのメタデータ要件の調整。

次に:

  • 各部分の重要度を決定します。

  • 各部分の担当者の責任を割り当てます。

  • 一貫性のある一連の作業メタデータの構成内容を決定します。

  • メタデータを格納、バックアップおよびリカバリする場所。

  • 各メタデータを必要なユーザーのみが使用できることを確認します。

  • メタデータの品質を確認し、メタデータが完全で最新であることを確認します。

  • 使用するメタデータ・リポジトリおよび1つの場所からのリポジトリの制御方法の識別。

メタデータ定義を作成した後、メタデータを取得、統合および保守できるデータ・アーキテクチャを確認します。

データがデータ・ウェアハウスで日ごとに変更されるため、メタデータ・リポジトリを更新します。ビジネス・ルール、定義、式またはプロセスを変更する場合(特にOracle Communications Data Modelをカスタマイズする場合)、最初に、メタデータを調査し、影響分析を実行して、提案された変更の影響を受ける可能性があるデータ・ウェアハウス環境のすべての属性を示します。

Oracle Communications Data Modelで提供されるメタデータ・リポジトリの参照

Oracle Communications Data Modelモデルをカスタマイズするには、Oracle Communications Data Modelコンポーネント間の依存性(特にレポートKPIを物理表および列にマップする方法)を理解する必要があります。

Oracle Communications Data Modelは、これらの依存性を検出できる「OCDMメタデータ」ブラウザと呼ばれるツールを用意しています。サンプル・レポートとともにOracle Communications Data Modelをインストールする場合、メタデータ・ブラウザはwebcatのサンプル・ダッシュボードとして提供されます。


参照:

サンプル・レポートのインストールおよびBusiness Intelligence Suite Enterprise EditionインスタンスのOracle Communications Data ModelのRPDおよびwebcatのデプロイの詳細は、『Oracle Communications Data Modelインストレーション・ガイド』を参照してください。

メタデータ・リポジトリを参照するには:

  1. ブラウザで、http://servername:9704/analyticsのログイン・ページを開きます。servernameは、webcatがインストールされるサーバーです。

  2. ocdmのユーザー名でログインして、パスワードを指定します。

  3. メタデータ・ブラウザ・ダッシュボードを選択します。

  4. メタデータ・ブラウザのタブを使用して、メタデータを検索します。

    • メジャー - エンティティ・タブ

      メジャー - エンティティ・タブには、ビジネス・エリア(リレーショナル、OLAP、マイニング)、メジャーの説明、対応する式、担当するエンティティ、およびメジャーの属性が表示されます。

      データを参照するには、関心のあるビジネス・エリアとメジャーの説明を選択します。

    • エンティティ - メジャー・タブ

      エンティティ - メジャータブを使用して、エンティティ、属性、サポートされるメジャーおよびメジャーの計算の間のマッピングを検出できます。特定のエンティティと属性に関する情報も検出できます。

      たとえば、次の手順を実行して、エンティティの詳細を学習します。

      1. エンティティを選択します。

      2. 「移動」をクリックします。

    • プログラム - 表タブ

      プログラム - 表タブを使用して、Intra-ETLマッピングに関する情報とレポート情報を参照できます。次の手順を実行してください。

      1. プログラム・タイプ(つまり、Intra-ETLまたはレポート)およびプログラム名を選択します。

      2. 「移動」を選択します。

    • 表 - プログラム・タブ

      デフォルトで、表 - プログラム・タブに移動する場合、すべてのレポートに使用するすべての表を確認します。

      特定の表を使用するレポートを検出するには、右ペインから左(選択済)ペインに特定の表を移動する必要があります。

      たとえば、特定の表を使用するレポートを表示するには、次の手順に従います。

      1. 表 - プログラム・タブの右ペインで、表を選択します。

      2. <(左矢印)をクリックして、左側の「選択済」リストに表を移動します。

      3. 「OK」をクリックします。

      4. 「移動」を選択します。

      選択した表のレポートが表示されます。

Oracle Communications Data ModelでのOracle Warehouse Builderの使用

Oracle Warehouse Builderは、Oracle Communications Data Modelとともに使用できる高度なメタデータ管理機能を用意しています。

ソース・メタデータをOracle Warehouse Builderにインポートする前に、メタデータ定義を含むモジュールを作成します。作成するモジュールのタイプは、メタデータをメタデータ・リポジトリにインポートしているソースに依存します。Oracle Warehouse Builderは、『Oracle Warehouse Builderソースおよびターゲット・ガイド』の説明にあるように、多くの異なるソースおよびターゲットをサポートします。たとえば、Oracle Warehouse BuilderはOracleデータベースに接続すると、表、ビュー、順序、ディメンション、キューブ、データ型、PL/SQLパッケージなど、必要なすべてのメタデータを抽出するためにデータベース・ディクショナリに問い合せます。

Oracle Warehouse Builderでは、Oracle Warehouse Builderリポジトリのメタデータで表されるようにデータ・オブジェクト間の依存性を確認できるメタデータ依存性マネージャと呼ばれるインタフェース・ツールも提供します。メタデータ依存性マネージャでは、インタラクティブな系統および影響ダイアグラムの形式で依存性を表します。系統ダイアグラムではオブジェクトのデータ・フローをソースまで追跡し、それらのパスに沿ってすべてのオブジェクトを表示します。影響ダイアグラムでは選択したオブジェクトから導出されるすべてのオブジェクトを識別します。

メタデータ依存性マネージャで提供される情報により、多くの状況を支援できます。次に例を示します。

  1. ディメンション、キューブまたはビジネス・インテリジェンス・ツール・レポートなどのターゲット・オブジェクトから、ターゲットに表示される結果の計算に使用される各データ・ソースの列を識別できます。

  2. ソース表、プラッガブル・マッピングなどのプロジェクト全体で使用されるオブジェクトの設計の変更の影響を評価できます。

  3. ソース表の列のデータ型への変更など、設計の変更を設計のダウンストリームに伝搬できます。

エンドツーエンド・データ系統および影響分析では、設計変更のプランニングの強化、ソース・システムを変更した場合の予期せぬ影響の識別の迅速化、ビジネス・インテリジェンス結果、マスター・データまたはその他のデータ統合プロセスのより効果的な監査の実現により、プロジェクトのリスクが削減されます。

また、SQLまたはXMLベースのカスタム・メタデータ・ストアを定義および使用して、表やビューなどのソースおよびターゲット・オブジェクトの定義を取得できます。

一部のメインフレーム・ソースから抽出されるデータファイルの場合、Oracle Warehouse Builderを使用してデータファイル構造を示すCOBOLコピーブック・ファイルを解釈し、これに基づくソース・メタデータを作成できます。

Oracle Warehouse Builderアプリケーション・アダプタまたはアプリケーション・コネクタによって、ERPおよびCRMアプリケーション・ソースに関する追加のメタデータが提供されます。

Oracle Warehouse Builderでは、Oracle Enterprise ManagerおよびOracle Workflowに対してのプロセス・フローやスケジュールの配布または実行が可能です。通常、リリース10g以上のどのOracleデータベース・ロケーションにもスケジュールを配布できます。

Oracle Communications Data Modelのフィットギャップ分析の実行

フィットギャップ分析では、情報のニーズと通信ビジネス要件をOracle Communications Data Modelに用意されている構造と比較します。論理モデルおよびデフォルトのスキーマに含まれていないすべての必要な機能および要件を満たすために必要なその他の変更を特定します。

フィットギャップ分析の結果は、カスタマイズ・レポートです。このレポートは、通信環境に合せてOracle Communications Data Modelをカスタマイズするために必要な適応と調整の簡単な説明です。

フィットギャップ分析チームは、次の手順に従って、カスタマイズ・レポートを書き込みます。

  1. 以前に評価を実行している場合は、以前のフェーズのドキュメントを確認し、必要に応じて、必要なビジネス専門知識および技術的専門知識を持つチーム・メンバーを追加します。

  2. データを確認し、論理エンティティおよびデータ構造とOracle Communications Data Model論理モデルおよびスキーマをマップします。

    • ビジネス要件、質問およびルールから開始し、Oracle Communications Data Modelにないエンティティおよび属性を識別します。

    • Oracle Communications Data Modelを既存のアプリケーション・モデルと比較します(存在する場合)。

    • Oracle Communications Data ModelとOracle Communications Data Modelウェアハウスのデータ・ソースとして使用しているOLTPデータを比較します。

  3. ニーズとOracle Communications Data Modelスキーマの差異を識別します。このタスクを支援するため、システムに対して実行される可能性がある作業のリスト(モデルではなく例)を生成し、Oracle Communications Data Modelウェアハウスの機能を評価するためのユースケースを作成します。確認する差異に関して次の質問に答えます。

    • 許容できる差異と、調整が必要な差異。

    • 許容できない差異について行える処置。

  4. カスタマイズしたウェアハウスを作成するため、Oracle Communications Data Modelのデフォルトの設計に対して行う必要がある変更を識別します。次の順序でこれらの変更を識別します。

    1. 物理モデル。第2章「物理モデルのカスタマイズ」に記載されているガイドラインに従います。

    2. ETLマッピング。第4章「ETLの実装およびカスタマイズ」に記載されているガイドラインに従って、Source-ETLを識別および設計し、Oracle Communications Data Modelで提供されるIntra-ETLを識別および変更します。


    ヒント:

    変更を識別する場合、変更がセキュリティおよびメタデータ要件を満たしていることを確認します。

  5. カスタマイズ・レポートを作成し、Oracle Communications Data Modelをビジネス・ニーズに一致させるために必要な変更を詳細に記述します。これには、既存のシステムのインタフェースの追加および変更が含まれます。

  6. カスタマイズ・レポートに基づいて、プロジェクト計画を更新し、「Oracle Communications Data Modelウェアハウスを実装する手順」に記載された手順を実行します。