Oracle® Grid Infrastructureインストレーション・ガイド 11gリリース2 (11.2) for Microsoft Windows x64 (64-Bit) B58876-07 |
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この付録では、レスポンス・ファイルを使用してOracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールおよび構成する方法について説明します。内容は次のとおりです。
インストーラの起動時にレスポンス・ファイルを使用して、Oracleソフトウェアのインストールと構成を完全にまたは部分的に自動実行できます。インストーラはレスポンス・ファイルに含まれる値を使用して、一部またはすべてのインストール・プロンプトに応答します。
通常、インストーラは対話型で、つまりGraphical User Interface(GUI)画面で情報の入力を求めながら動作します。この情報をレスポンス・ファイルで提供する場合は、次のいずれかのモードで、コマンド・プロンプトからインストーラを起動します。
レスポンス・ファイルにすべてのプロンプトへの応答を含め、インストーラの起動時に-silent
オプションを指定すると、インストーラはサイレント・モードで動作します。サイレント・モードでのインストール中、インストーラは画面上に何も表示しません。かわりに、起動に使用した端末上に進捗情報を表示します。
レスポンス・ファイルに一部またはすべてのプロンプトへの応答を含めて、-silent
オプションを指定しないと、インストーラはレスポンス・ファイル・モードで動作します。レスポンス・ファイル・モードでのインストール中は、レスポンス・ファイルで情報を指定した画面も、レスポンス・ファイルに必要な情報を指定しなかった画面も含めて、インストーラはすべての画面を表示します。
サイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードでインストールするための設定は、レスポンス・ファイルにリストされた変数に値を入力して定義します。たとえば、Oracleホームの名前を指定するには、次のように、ORACLE_HOME
変数に適切な値を入力します。
ORACLE_HOME="OraCrs11g_home1"
レスポンス・ファイルの変数設定を指定するもう1つの方法は、インストーラの起動時にコマンドライン引数として渡す方法です。次に例を示します。
-silent "ORACLE_HOME=OraCrs11g_home1" ...
変数とその設定は、必ず二重引用符で囲むようにします。
関連項目: レスポンス・ファイルの詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイドfor Microsoft Windows and UNIX Systems』を参照してください。 |
次の表に、インストーラをサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードで実行する場合の例を示します。
次に、インストーラをサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードで使用して、Oracle製品をインストールし構成する一般的な手順を示します。
注意: インストーラをサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードで実行する前に、必要なインストール前の手順をすべて終了しておく必要があります。 |
レスポンス・ファイルを準備します。
インストーラをサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードで実行します。
ソフトウェアのみのインストールを完了したら、Oracle製品の構成に必要な手順を実行します。
この手順については、次の項で説明します。
この項では、レスポンス・ファイルを準備して、サイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードのインストールで使用する、次の方法について説明します。
Oracleでは、各製品およびインストール・タイプと各構成ツールに対応する、レスポンス・ファイルのテンプレートを提供しています。Oracle Grid Infrastructureの場合、レスポンス・ファイルはインストール・メディアのstaging_dir
\clusterware\response
ディレクトリ、またはインストール後のGrid_home
\inventory\response
ディレクトリにあります。
表B-1に、このソフトウェアに付属するレスポンス・ファイルを示します。
表B-1 Oracle Grid Infrastructureのレスポンス・ファイル
レスポンス・ファイル | 説明 |
---|---|
Oracle Grid Infrastructureインストール環境のサイレント・インストール |
レスポンス・ファイルをコピーして変更するには、次の手順を実行します。
レスポンス・ファイル・ディレクトリからシステム上のディレクトリに、レスポンス・ファイルをコピーします。
テキスト・エディタでレスポンス・ファイルを開きます。
関連項目: レスポンス・ファイルの生成の詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイドfor Microsoft Windows and UNIX Systems』を参照してください。 |
ファイルに記載された説明に従って編集します。
注意: レスポンス・ファイルを正しく構成しないと、インストーラまたはコンフィギュレーション・アシスタントが失敗します。 |
レスポンス・ファイルを保護します。
注意: Oracle Grid Infrastructureのインストールに必要なすべての項目を指定したレスポンス・ファイルには、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)の管理アカウント用のパスワードと、ORA_DBAグループおよび管理者グループのメンバーであるユーザー用のパスワードが含まれる可能性があります。Oracleソフトウェア所有者であるユーザーのみがレスポンス・ファイルを参照または変更できるようにするか、インストールの正常終了後にレスポンス・ファイルを削除することを検討してください。 |
インストーラを対話モードで使用してレスポンス・ファイルに記録し、このファイルを編集して完全なサイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードのインストールに使用できます。この方法は、カスタマイズ・インストールまたはソフトウェアのみのインストールに役立ちます。レスポンス・ファイル・モードのインストール中に記録モードを使用すると、インストーラは元のレスポンス・ファイルに指定されていた変数値を新しいレスポンス・ファイルに記録します。
Oracle Database 11g リリース2 (11.2)以降では、「サマリー」ページで「レスポンス・ファイルの保存」をクリックすると、インストール中のすべてのインストール手順をレスポンス・ファイルに保存できます。生成されたレスポンス・ファイルは、後でサイレント・インストールに使用できます。
レスポンス・ファイルを記録する際は、インストールを最後まで実行することも、またはサーバーにソフトウェアをコピーする前に「サマリー」ページでインストーラを終了することもできます。
注意: Oracle Universal Installer(OUI)は、レスポンス・ファイルでパスワードを記録しません。 |
レスポンス・ファイルを記録するには、次の手順を実行します。
通常のインストールと同様にインストール前の作業を実行します。
インストーラを実行してレスポンス・ファイルに記録する際、インストーラはシステムを確認してソフトウェアをインストールするための要件を満たしているかどうかを検証します。そのため、必要なすべてのインストール前作業を完了してから、インストールを実行してレスポンス・ファイルを記録することをお薦めします。
ローカル管理者グループのメンバーのユーザーとしてログインします。このユーザー(Oracle Grid Infrastructureソフトウェア所有者)が、インストール中に指定するGridホーム・パスの作成および書込み権限を持つことを確認します。
インストーラを起動します。インストールの各画面で、必要な情報を指定します。
インストーラの「サマリー」画面が表示されたら、次の手順を実行します。
「レスポンス・ファイルの保存」をクリックします。ポップアップ・ウィンドウで、値をレスポンス・ファイルに保存するためのファイル名と場所を指定し、「保存」をクリックします。
「終了」をクリックしてインストールを続行します。
インストールを続行しない場合は、「取消」をクリックします。インストールは中断されますが、入力した設定はレスポンス・ファイルに記録されます。
保存したレスポンス・ファイルを別のシステムで使用する前に、ファイルを編集して必要な変更を加えます。
編集する際は、ファイルに記載された説明をガイドとして使用してください。
インストール時にレスポンス・ファイルを使用するには、コマンドラインからOUIを起動し、その際に、作成したレスポンス・ファイルを指定します。OUIの実行可能ファイルsetup.exe
では、いくつかのオプションを使用できます。これらのオプション全体の詳細を表示するには、次のように-help
オプションを指定してsetup.exe
コマンドを実行します。
C:\..\bin> setup.exe -help
しばらくすると、セッション・ウィンドウ上にヘルプ情報が表示されます。
レスポンス・ファイルを使用してインストーラを実行するには、次の手順を実行します。
インストールと同様にインストール前の作業を実行します。
管理ユーザーとしてログインします。
コマンドを次のように入力して、サイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードでインストーラを起動します。
C:\> directory_path\setup.exe [-silent] [-noconfig] \ -responseFile responsefilename
注意: レスポンス・ファイルのパスを相対パスで指定しないでください。相対パスを指定すると、インストーラが失敗します。 |
この例の意味は次のとおりです。
レスポンス・ファイル・モードのインストール中に記録モードを使用すると、インストーラは元のレスポンス・ファイルに指定されていた変数値を新しいレスポンス・ファイルに記録します。
サイレント・モードでNet Configuration Assistant(NETCA)を実行して、システム上でOracle Net Listenerを構成して起動し、ネーミング・メソッドを構成し、Oracleネット・サービス名を構成できます。NETCAをサイレント・モードで実行するには、レスポンス・ファイル・テンプレートをコピーして編集する必要があります。レスポンス・ファイル・テンプレートは、インストール後のOracleホーム・ディレクトリのdatabase
\inventory\response
ディレクトリ、またはインストール・メディアのdatabase\response
ディレクトリに、netca.rsp
という名前で提供されています。
レスポンス・ファイルを使用してNETCAを実行するには、次の手順を実行します。
レスポンス・ファイル・テンプレートnetca.rsp
を、レスポンス・ファイルのディレクトリから使用するシステムのディレクトリへコピーします。
ソフトウェアをハード・ドライブにコピーしている場合は、response
ディレクトリ内のファイルを編集することも可能です。
テキスト・エディタでレスポンス・ファイルを開きます。
ファイルに記載された説明に従って編集します。
注意: レスポンス・ファイルを正しく構成しないと、NETCAが失敗します。 |
管理者ユーザーとしてログインし、ORACLE_HOME
環境変数に正しいOracleホーム・ディレクトリを指定します。
次のようなコマンドを入力して、NETCAをサイレント・モードで実行します。
C:\> Oracle_home\bin\netca -silent -responsefile X:\local_dir\netca.rsp
この例の意味は次のとおりです。
-silent
オプションは、NETCAをサイレント・モードで実行します。
X:\local_dir
は、netca.rsp
レスポンス・ファイル・テンプレートをコピーしたディレクトリのフルパスです。Xはそのファイルが存在するドライブで、local_dirはそのドライブのパスです。
Oracleソフトウェアのインストール後にレスポンス・ファイルによる構成を作成して実行するには、次の項の手順を使用します。
サイレント・モードまたはレスポンス・ファイル・モードでのインストールを実行する場合は、使用するサーバーについての情報をレスポンス・ファイルに指定します(指定しない情報は、Graphical User Interfaceを使用して手動で入力します)。ただし、レスポンス・ファイルには、ソフトウェアのインストール後にコンフィギュレーション・アシスタントから要求されるユーザー・アカウントのパスワードは含まれていません。コンフィギュレーション・アシスタントは、configToolAllCommands
というスクリプトによって起動されます。パスワード・レスポンス・ファイルを作成して使用すると、このスクリプトをレスポンス・ファイル・モードで実行できます。スクリプトはこのパスワードを使用して、構成が完了するまで連続的に構成ツールを実行します。
クローン・インストール用にこのパスワード・ファイルを保持する場合は、セキュアな場所に保存することをお薦めします。また、エラーを解決するためにインストールを中断する必要がある場合も、configToolAllCommands
およびパスワード・レスポンス・ファイルを使用して、コンフィギュレーション・アシスタントを実行できます。
configToolAllCommands
パスワード・レスポンス・ファイルには、次の構文オプションがあります。
internal_component_nameは、コンフィギュレーション・アシスタントで構成するコンポーネントの名前です。
variable_nameは、構成ファイルの変数の名前です。
valueは、構成に使用する値です。
コマンド構文は次のとおりです。
internal_component_name|variable_name=value
次に例を示します。
oracle.assistants.asm|S_ASMPASSWORD=myPassWord
パスワード・レスポンス・ファイルのセキュリティを維持することをお薦めします。
configToolAllCommands
スクリプトを使用してコンフィギュレーション・アシスタントを実行するには、次の手順を実行します。
ファイル名にfilename
.properties
という形式を使用してレスポンス・ファイルを作成します。
テキスト・エディタでこのファイルを開き、パスワード・テンプレートを切り取って貼り付け、必要に応じて変更します。
例B-1 Oracle Grid Infrastructureインストール用のパスワード・レスポンス・ファイル
Oracle Grid Infrastructureでは、Baseboard Management Controller (BMC)カードがある場合にこの機能を使用可能にするには、Oracle Automatic Storage Management Configuration Assistant (ASMCA)およびIntelligent Platform Management Interface Configuration Assistant (IPMICA)のパスワードが必要です。この場合、次のレスポンス・ファイルを使用します。
oracle.assistants.asm|S_ASMPASSWORD=password oracle.assistants.asm|S_ASMMONITORPASSWORD=password oracle.crs|S_BMCPASSWORD=password
BMCカードがない場合、またはIntelligent Platform Management Interface(IPMI)を有効にしない場合は、S_BMCPASSWORD
入力フィールドを空白のままにしておきます。
Oracle_home
\cfgtoollogs
に移動し、次の構文を使用して構成スクリプトを実行します。
configToolAllCommands RESPONSE_FILE=\path\filename.properties
次に例を示します。
C:\..\cfgtoollogs> configToolAllCommands RESPONSE_FILE=C:\users\oracle \grid\cfgrsp.properties