この章では、Oracle OLAPを使用する上で必要な準備手順について説明します。ここでは、Oracle Database 11g Enterprise Editionをインストールしているものと仮定します。OLAPオプションは、Oracle Databaseの基本インストールの一部として自動的にインストールされます。
この章では、次の項目について説明します。
サンプルのGlobalスキーマは、次に示すOracleのWebサイトからダウンロードおよびインストールできます。このGlobalスキーマを使用して、このマニュアルで示されているサンプルを試すことができます。
http://www.oracle.com/technology/products/bi/olap/doc_sample_schemas/sampleschemasfordoc11g.html
スキーマのインストール方法については、README
ファイルを参照してください。
次元オブジェクトでの使用に適したUNDO表領域、永続表領域および一時表領域を作成する必要があります。「ストレージ管理」の推奨事項に従ってください。
Oracle Databaseで次元オブジェクトの作成や管理を行う場合、必要な権限を持っていなければなりません。これらの権限は、次元オブジェクトに格納されたデータの問合せに必要な権限とは異なります。セキュリティ・システムについては、第8章で説明します。
DBAおよびアプリケーション開発者には、次のロールと権限が必要です。
ユーザー自身のスキーマでの次元オブジェクトの作成:
異なるスキーマでの次元オブジェクトの作成:
データ・セキュリティの管理:
ユーザー自身のスキーマでのキューブ・マテリアライズド・ビューの作成:
異なるスキーマでのキューブ・マテリアライズド・ビューの作成:
また、次元オブジェクトが格納される表領域の割当て容量が無制限であることが必要です。表領域はOLAPでの使用のために特別に定義する必要があります(第7章を参照)。
ソース表が異なるスキーマにある場合、次元オブジェクトの所有者は、それらの表に対するSELECT
オブジェクト権限が必要です。
例2-1に、GLOBAL
ユーザーを作成するSQL文を示します。
この項では、Analytic Workspace Managerソフトウェアのインストール方法、およびOracle Databaseへの接続の作成方法について説明します。
Analytic Workspace Managerは、Oracle Database Clientのインストール・メディアから入手できます。
データベースと同じシステム上にインストールする場合は、カスタム・インストールを選択し、データベースと同じOracleホーム・ディレクトリにインストールします。コンポーネントのリストからOLAP Analytic Workspace Manager and Worksheetを選択します。
リモート・システム上にインストールする場合は、管理者インストールまたはカスタム・インストールを選択します。管理者インストールを選択すると、Analytic Workspace Managerが自動的にクライアントにインストールされます。
参照: ご使用のクライアント・プラットフォームに対応するインストール・ガイド |
ご使用のプラットフォームに合わせた適切な手順に従います。
Windowsの場合は、次の方法でAnalytic Workspace Managerを起動します。
「スタート」メニューから、「Oracle - Oracle_home」→「Integrated Management Tools」→「OLAP Analytic Workspace Manager and Worksheet」の順に選択します。
Linuxの場合は、次の方法でAnalytic Workspace Managerを起動します。
シェル・コマンドラインで次のコマンドを入力します。
$ORACLE_HOME/olap/awm/awm.sh
図2-1は初期画面です。
Analytic Workspace Managerからインターネットにアクセスできない場合、操作に役立つサイトへのリンクがプロパティ・ビューアにいくつか表示されます。また、Analytic Workspace ManagerがOLAPのホーム・ページを表示できないため、例外も表示されます。インターネットに接続する場合、通常はプロキシ・サーバーを指定する必要があります。
プロキシ・サーバーを指定するには、次の手順を実行します。
「ツール」メニューから「構成」を選択して「構成」ダイアログ・ボックスを表示します。
「OLAPホームページの設定」で、プロキシ・サーバーのアドレスを入力します。
プロキシ・サーバーのポート番号を入力します(デフォルト・ポートの80でない場合)。
「OK」をクリックし、設定を保存します。次回、Analytic Workspace Managerを起動すると、OLAPのホーム・ページが表示されます。
OLAPで使用する各データベースへの接続を定義できます。接続を定義すると、そのデータベースのインスタンスがナビゲーション・ツリーにリスト表示され、いつでもアクセスできるようになります。
データベース接続を定義するには次の手順を実行します。
ナビゲーション・ツリーで最上位の「データベース」フォルダを右クリックし、ショートカット・メニューから「データベース接続の作成」を選択します。
「データベース接続の作成」ダイアログ・ボックスに必要な情報を入力します。
図2-2は、「データベース接続の作成」ダイアログ・ボックスの「一般」タブに表示された接続情報です。
ナビゲーション・ツリーで、データベース接続の隣にあるプラス記号のアイコン(+)をクリックします。
「データベースに接続」ダイアログ・ボックスで、データベース・ユーザー名とパスワードを入力します。
プラグインによって、Analytic Workspace Managerの機能が拡張されます。プラグインは、JARファイルとして配布されます。Java開発者であれば、プラグインを作成できます。プラグインの開発者は、プラグインの機能と使用方法に関する情報を提供する必要があります。
1つ以上のプラグインが存在する場合、Analytic Workspace Managerに対してそれらの場所を指定する必要があります。
プラグインを使用するには、次の手順を実行します。
プラグインを格納するローカル・ディレクトリを作成します。
そのディレクトリにJARファイルをコピーします。
Analytic Workspace Managerを開きます。
「ツール」メニューから「構成」を選択します。
「構成」ダイアログ・ボックスが開きます。
「プラグインを有効化」を選択してプラグイン・ディレクトリを指定します。「OK」をクリックします。
Analytic Workspace Managerを閉じてから再度開きます。
プラグインによって提供される機能が、ナビゲータで利用できます。
現在インストールされているプラグインのリストを表示するには、次の手順を実行します。
「ヘルプ」メニューで、「バージョン情報」をクリックします。
参照: Analytic Workspace Managerプラグインの開発に関する技術記事は、Oracle Technology Networkの次のURLからダウンロードできます。 |
Oracle OLAP 10gアナリティック・ワークスペースをOLAP 11gにアップグレードするには、オブジェクトをXMLテンプレートとして保存し、そのXMLを別のスキーマにインストールします。このアップグレード・プロセスによって、元のアナリティック・ワークスペースは変更されないまま残り、アクセスも維持されます。
前提条件
OLAP 10gアナリティック・ワークスペースでは、CWMメタデータまたはOLAP標準形式のメタデータを使用できます。
元のリレーショナル・ソース・データは、新しいアナリティック・ワークスペースへのロードに使用できる必要があります。データを異なるスキーマに格納している場合や表の名前が異なる場合は、アップグレードの後で次元オブジェクトを新しいリレーショナル・ソースにマップしなおす必要があります。
OLAP 11gアナリティック・ワークスペースは、OLAP 10gアナリティック・ワークスペースと同じスキーマに作成できます。ただし、OLAP 11gアナリティック・ワークスペースを別のスキーマに作成する場合は、新規ユーザーに適切な権限を付与する必要があります(「DBAおよびアプリケーション開発者への権限の付与」を参照)。
OLAP 10gアナリティック・ワークスペースをアップグレードするには、次の手順を実行します。
Oracle Database 11gリリース2のAnalytic Workspace Managerを起動します。
必要に応じて、アナリティック・ワークスペースを含むデータベース・インスタンスへの新しいデータベース接続を作成します。「データベース接続の定義」を参照してください。
データベース接続を開きます。「データベースに接続」ダイアログ・ボックスで、「キューブ・タイプ」に「OLAP 10g」を選択します。「データベース接続を開く」を参照してください。
アナリティック・ワークスペースの名前が表示されるまでナビゲーション・ツリーを開きます。
アナリティック・ワークスペースを右クリックして「10gアナリティック・ワークスペースに対する11gアップグレード・テンプレートの作成」を選択します。XMLテンプレートをファイルに保存します。
同じ名前のサブオブジェクト(レベルや階層など)がある場合は、「10gアナリティック・ワークスペースに対する11gアップグレード・テンプレートの作成」ダイアログ・ボックスが表示されます。OLAP 10gでは同じ名前のサブオブジェクトは許可されていましたが、OLAP 11gの名前空間要件では無効になりました。
重複したオブジェクト名は、アップグレード時に自動的に変更されます。この時点では名前を編集することはできませんが、後で変更することができます。
「閉じる」をクリックしてダイアログ・ボックスを閉じます。
ナビゲーション・ツリーで接続を右クリックし、「データベースの切断」を選択します。
接続を再度右クリックし、「データベースに接続」を選択します。
「データベースに接続」ダイアログ・ボックスで、新しいユーザー名でログインし、「キューブ・タイプ」に「OLAP 11g」を選択します。
ナビゲーション・ツリーを開き、新しいスキーマの下にある「アナリティック・ワークスペース」を右クリックし、「テンプレートからアナリティック・ワークスペースを作成」を選択します。
前に作成したアップグレード・テンプレートを開きます。
キューブ、ディメンション、アナリティック・ワークスペースなどのオブジェクトがスキーマにすでに存在するオブジェクトの名前と重複している場合は、「アナリティック・ワークスペースのテンプレート・インポートでの重複名を修正します」ダイアログ・ボックスが表示されます。
新しい名前を入力して名前の競合をなくし、「OK」をクリックします。
データをロードする前に、次元オブジェクトを参照して、オブジェクト名、キューブのパーティション、集計方法に変更を加えることができます。Oracle OLAP 11gの新機能の概要は、「Oracle OLAPに関する最新情報」を参照してください。
データを新しいアナリティック・ワークスペースにロードします(「キューブへのデータのロード」を参照)。すべてのオブジェクトをメンテナンス対象に選択します。
参照: PL/SQLでのアップグレード方法については、『Oracle Database PL/SQLパッケージおよびタイプ・リファレンス』のDBMS_CUBEに関する項目を参照してください。 |