外部表機能は、既存のSQL*Loader機能を補足する機能です。この機能によって、データベースに表がある場合と同様に、外部ソースのデータにアクセスできます。
データ・ロード時にステージング表の追加の索引付けが必要な場合、SQL*Loaderを使用する方が有効です。SQL*Loaderと外部表との処理内容の違いについては、「SQL*Loaderと外部表との処理内容の違い」を参照してください。
この章の内容は、次のとおりです。
参照: 外部表の作成と管理の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。 |
外部表は、SQLのCREATE
TABLE...ORGANIZATION EXTERNAL
文を使用して作成されます。外部表の作成時に、次の属性を指定します。
TYPE
: 外部表の型を指定します。ORACLE_LOADER
型およびORACLE_DATAPUMP
型の2種類の型が選択可能です。外部表の各型は、固有のアクセス・ドライバによってサポートされます。
ORACLE_LOADER
アクセス・ドライバがデフォルトです。これによって、外部表から内部表にデータがロードされます。データはテキスト・データ・ファイルからのものである必要があります。(ORACLE_LOADER
アクセス・ドライバは、アンロードを実行できないため、内部表から外部表にデータを移動することはできません。)
ORACLE_DATAPUMP
アクセス・ドライバでは、ロードおよびアンロードを実行できます。データは、バイナリのダンプ・ファイルからロードする必要があります。内部表から外部表へのロードは、バイナリのダンプ・ファイルからフェッチすることによって実行されます。内部表から外部表へのアンロードは、外部表のバイナリのダンプ・ファイルを移入することによって実行されます。ORACLE_DATAPUMP
アクセス・ドライバは、SQLのCREATE TABLE AS SELECT
文を使用した外部表の作成の一環としてのみダンプ・ファイルにデータを書き込むことができます。作成されたダンプ・ファイルは、何回でも読み取ることができますが、変更はできません(つまり、DML操作は実行できません)。
DEFAULT
DIRECTORY
: 明示的にディレクトリ・オブジェクトに名前を付けないすべての入出力ファイルに対して、使用するデフォルトのディレクトリを指定します。位置はディレクトリ・パスではなく、ディレクトリ・オブジェクトで指定されます。外部表を作成する前にディレクトリ・オブジェクトを作成しておく必要があります(これを行わない場合はエラーが生成されます)。詳細は、「データ・ファイルおよび出力ファイルの位置」を参照してください。
ACCESS
PARAMETERS
- 外部データ・ソースを記述し、指定された外部表の型を実装します。各外部表の型には、その外部表の型に固有のアクセス・パラメータを提供する専用のアクセス・ドライバがあります。アクセス・パラメータはオプションです。詳細は、「アクセス・パラメータ」を参照してください。
LOCATION
: 外部表のデータ・ファイルを指定します。ファイル名は、directory:file
という書式です。directory
の部分はオプションです。この部分を指定しないと、デフォルトのディレクトリがファイルのディレクトリとして使用されます。
次の例では、これらの各属性の使用を示します(デフォルト・ディレクトリdef_dir1
がすでに存在するものとします)。
SQL> CREATE TABLE emp_load 2 (employee_number CHAR(5), 3 employee_dob CHAR(20), 4 employee_last_name CHAR(20), 5 employee_first_name CHAR(15), 6 employee_middle_name CHAR(15), 7 employee_hire_date DATE) 8 ORGANIZATION EXTERNAL 9 (TYPE ORACLE_LOADER 10 DEFAULT DIRECTORY def_dir1 11 ACCESS PARAMETERS 12 (RECORDS DELIMITED BY NEWLINE 13 FIELDS (employee_number CHAR(2), 14 employee_dob CHAR(20), 15 employee_last_name CHAR(18), 16 employee_first_name CHAR(11), 17 employee_middle_name CHAR(11), 18 employee_hire_date CHAR(10) date_format DATE mask "mm/dd/yyyy" 19 ) 20 ) 21 LOCATION ('info.dat') 22 ); Table created.
アクセス・ドライバで指定する情報により、データ・ソースのデータが、外部表の定義と一致するように処理されます。CREATE
TABLE
emp_load
の後にリストされるフィールドが、実際にinfo
.dat
ソース・ファイル内のデータのメタデータを定義します。
アクセス・ドライバは、データベース・サーバー内で実行されます。これは、SQL*Loaderが、ロードするデータをサーバーに送信するクライアント・プログラムであるという点で、SQL*Loaderとは異なります。この違いは、次のことを意味しています。
サーバーでは、アクセス・ドライバによってロードされるファイルにアクセスする必要があります。
サーバーでは、アクセス・ドライバによって作成された出力ファイル(ログ・ファイル、不良ファイルおよび廃棄ファイル)、およびORACLE_DATAPUMP
アクセス・ドライバによって作成されたダンプ・ファイルの作成と書込みを行う必要があります。
アクセス・ドライバでは、ディレクトリ・オブジェクトを使用して、ファイルの読取りおよび書込みを行う位置を指定する必要があります。ディレクトリ・オブジェクトは、ファイル・システムのディレクトリ名に名前をマップします。たとえば、次の文は/usr/apps/datafiles
にあるディレクトリにマップされる、ext_tab_dir
という名前のディレクトリ・オブジェクトを作成します。
CREATE DIRECTORY ext_tab_dir AS '/usr/apps/datafiles';
ディレクトリ・オブジェクトは、DBAまたはCREATE
ANY
DIRECTORY
権限を持つすべてのユーザーが作成できます。
注意: Oracle Real Applications Cluster(Oracle RAC)構成で外部表を使用するには、ディレクトリ・オブジェクトのパスがクラスタ・ファイル・システム上に存在するようにする必要があります。 |
ディレクトリの作成後、ディレクトリ・オブジェクトを作成するユーザーは、そのディレクトリのREAD
権限およびWRITE
権限を他のユーザーに付与する必要があります。これらの権限は、ロールを使用して割り当てるのではなく、明示的に付与する必要があります。たとえば、ext_tab_dir
で指定されたディレクトリのユーザーscott
のかわりに、サーバーがファイルを読み込むことができるようにするには、ディレクトリ・オブジェクトを作成したユーザーが、次のコマンドを実行する必要があります。
GRANT READ ON DIRECTORY ext_tab_dir TO scott;
SYS
ユーザーのみがディレクトリ・オブジェクトを所有できます。ただし、SYS
ユーザーは、ディレクトリ・オブジェクトを作成する権限を他のユーザーに付与できます。ディレクトリ・オブジェクトへのREAD
権限またはWRITE
権限は、Oracle Databaseによるファイルの読取りまたは書込みのみを意味します。適切なオペレーティング・システム権限がないかぎり、Oracle Databaseの外部にあるファイルには直接アクセスできません。同様に、Oracle Databaseには、ディレクトリのファイルに対して読取りおよび書込みを行うオペレーティング・システム権限が必要です。
特定の型の外部表を作成する場合、アクセス・パラメータを指定して、アクセス・ドライバのデフォルトの動作を変更できます。各アクセス・ドライバには、アクセス・パラメータ用の固有の構文があります。外部表に使用する、ORACLE_LOADER
、ORACLE_DATAPUMP
の2つのアクセス・ドライバが提供されています。
参照:
|
データを外部表から、または外部表に移動すると、次の3つの場所にある同一の列が、異なるデータ型を持つ可能性があります。
データベース: データが外部表にアンロードされる際のソースであり、データが外部表からロードされるときのロード先です。
外部表: データが外部表にアンロードされると、外部表内の列のデータ型と一致するよう、データベースからのデータは必要に応じて変換されます。また、SQL演算子をソース・データに適用して、データを外部表に移動する前にデータ型を変更できます。同様に、外部表からデータベースにロードすると、外部表からのデータはデータベース内の列のデータ型と一致するよう自動的に変換されます。さらに、外部表から選択しているSQL文内のSQL演算子を使用して、他の変換も実行できます。より高いパフォーマンスを得るには、外部表のデータ型を、データベースのデータ型と一致させます。
データ・ファイル: データを外部表にアンロードすると、データ・ファイルのフィールドのデータ型は外部表のフィールドのデータ型と完全に一致します。ただし、外部表からデータをロードすると、データ・ファイルのデータ型が外部表のデータ型と一致しない場合があります。その場合、データ・ファイルからのデータは、外部表のデータ型と一致するよう変換されます。列の変換時にエラーが発生した場合、その列を含むレコードはロードされません。より高いパフォーマンスを得るには、データ・ファイルのデータ型を、外部表のデータ型と一致させます。
データ・ファイルと外部表の間で変換エラーが発生すると、エラーの発生した行は無視されます。変換エラーおよび制約違反を含む、外部表とデータベース内の列でエラーが発生すると、操作全体が正常に完了されないまま終了します。
データが外部表にアンロードされる際に、ソース表内の列のデータ型が外部表の列のデータ型と一致していない場合、データが変換されます。変換エラーが発生した場合、その時点までに処理されたすべての行がデータ・ファイルに含まれず、データ・ファイルの読取りができなくなる場合があります。変換エラーによる操作の異常終了を回避するには、外部表の列のデータ型とデータベースの列のデータ型を一致させます。ただし、外部表はすべてのデータ型をサポートするわけではないため、必ず成功するとはかぎりません。そのような場合、ソース表でサポートされていないデータ型を、外部表でサポートするデータ型に変換する必要があります。たとえば、LONG_TAB
という名前のソース表にLONG
列がある場合、作成される外部表LONG_TAB_XT
の対応する列はCLOB
である必要があり、外部表を移入するために使用したSELECT
副問合せは、列をロードするためにTO_LOB
演算子を使用する必要があります。
CREATE TABLE LONG_TAB_XT (LONG_COL CLOB) ORGANIZATION EXTERNAL...SELECT TO_LOB(LONG_COL) FROM LONG_TAB;
この項では、外部表機能で行われない処理および外部表処理上の制限事項について説明します。
暗号化された列がある外部表のエクスポートとインポートは、サポートされていません。
外部表には、データベースに格納されているデータは記述されません。
外部表には、外部ソースでのデータの格納方法は記述されません。これは、アクセス・パラメータの機能です。
列処理: デフォルトでは、外部表の機能は、外部表に定義されたすべての列をフェッチします。これによって、すべての問合せに対し、一貫した結果が保証されます。ただし、パフォーマンスを考慮して、外部表内で参照される列だけを処理することができます。これによって、データ変換の量および問合せの実行で必要なデータ処理の量を最小限にします。この場合、データ型変換エラーが発生した列を含んでいたために拒否された行も、その列が参照されないかぎり、別の問合せでは拒否されません。ALTER TABLE
コマンドを使用すると、この列処理動作を変更できます。
外部表は、LONG
列にデータをロードできません。
ORACLE_LOADER
アクセス・ドライバのアクセス・パラメータにSQL文字列を指定できません。解決策として、外部表を読み取る文のSELECT
句にDECODE
句を使用できます。また、DECODE
句を使用する外部表のビューを作成して、外部表ではなくそのビューから選択することもできます。
外部表アクセス・パラメータにおいて列名や表名などの識別子が指定される場合、特定の値はアクセス・パラメータ・パーサーによって予約語とみなされます。予約語を識別子として使用するには、二重引用符で囲む必要があります。