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Oracle® Data Guard Broker
11gリリース2 (11.2)
B56304-09
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2 Oracle Data Guardのインストール

この章の内容は、次のとおりです。

2.1 Oracle Data Guardのインストール

Oracle Data Guardは、Oracleデータベース・ソフトウェアのEnterprise EditionとPersonal Editionに組み込まれています。Data Guard構成は、SQL*Plus、Data Guard Brokerのコマンドライン・インタフェース(DGMGRL)、または互換性のあるバージョンのOracle Enterprise Manager Grid Controlを使用して管理できます。

DGMGRLを使用するには、Oracle Enterprise EditionまたはPersonal Editionのデータベース・ソフトウェアを、ブローカ構成に組み込む場所ごとにインストールすることをお薦めします。Data GuardにEnterprise ManagerのWebベースのユーザー・インタフェースを使用するには、互換性のあるバージョンのOracle Enterprise Manager Grid Controlをインストールする必要があります。

さらに、ファスト・スタート・フェイルオーバーを使用するには、DGMGRLをインストールし、オブザーバ・ソフトウェアを実行する必要があります。オブザーバは、プライマリ・システムおよびスタンバイ・システムとは別のコンピュータ・システムで動作させることをお薦めします。DGMGRLをオブザーバ・コンピュータにインストールするには、次のリストに示すいずれかの方法を使用します。

  • Oracle Universal Installerの「Administrator」オプションを選択し、Oracle Client Administratorを完全インストールします。

    このインストールにはDGMGRLが含まれますが、Oracle Enterprise Managerエージェントは含まれません。これによって、Oracle Enterprise ManagerではなくDGMGRLコマンドを使用してオブザーバを管理できます。(Oracle Enterprise Managerエージェントは別個にインストールできます。)

  • Oracle Database 11gソフトウェア・キットを完全インストールします。

    このインストールにはDGMGRLおよびOracle Enterprise Managerエージェントが含まれるため、Oracle Enterprise ManagerまたはDGMGRLコマンドを使用してオブザーバを管理できます。


    注意:

    オブザーバはサポート対象のどのプラットフォームで実行することも可能であり、そのプラットフォームはプライマリ・データベースまたはターゲット・スタンバイ・データベースのプラットフォームと異なっていても構いません。

2.2 前提条件

ブローカを使用するには、次の条件を満たしている必要があります。

  • プライマリおよびスタンバイ・データベースで、同じバージョンのOracle Database 11gが使用されている必要があります。各データベースは、単一インスタンス環境または複数インスタンス環境にインストールできます。データベースには、Oracle Enterprise EditionまたはPersonal Editionのライセンスが必要です。

  • ブローカ・プロパティと関連する初期化パラメータ値との間でブローカが値を永続的に調整できるように、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を使用する必要があります。詳細は、4.3.2項を参照してください。

    構成内のデータベースがOracle RACデータベースである場合、Oracle RAC環境で使用するために、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を適切に構成する必要があります。


    参照:

    Oracle RACにおける初期化ファイルの詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • DG_BROKER_START初期化パラメータの値は、TRUEに設定されている必要があります。詳細は、3.3項を参照してください。(このパラメータはEnterprise Managerによって自動的に設定されます。)

  • 構成にOracle RACデータベースが含まれる場合は、そのデータベースのDG_BROKER_CONFIG_FILEn初期化パラメータを、そのデータベースの全インスタンスについて同じ共有ファイルを指すように設定する必要があります。共有ファイルには、クラスタ・ファイル・システム上のファイル(該当する場合)、RAWデバイス上のファイルまたはOracle自動ストレージ管理(Oracle ASM)を使用して格納されたファイルを使用できます。


    参照:

    1.6.2項の構成ファイル情報を参照してください。また、ブローカ構成ファイルの設定の詳細は3.2項、RAWデバイスのサイズ設定の詳細は3.2.2.3項を参照してください。

  • 既存のスタンバイ・データベースをブローカ構成に含める場合は、Oracle Net Servicesネットワーク・ファイルを、プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースで設定する必要があります。Enterprise Managerにより、スタンバイ・データベースの作成時にネットワーク・ファイルが作成されます。


    参照:

    『Oracle Database Net Services管理者ガイド』

  • ブローカ構成で、DGConnectIdentifierプロパティを使用して各データベースの接続識別子を指定します。データベースの接続識別子は、次の条件を満たす必要があります。

    • 構成内のその他すべてのデータベースからアクセスできます。

    • データベースは自分自身にアクセスできます。

    • Oracle RACデータベースのすべてのインスタンスにアクセスできます。

    • Oracle RACデータベース上の接続時フェイルオーバーを可能にするため、すべてのインスタンスが動的にリスナーに登録するサービスを指定します。

    • プライマリ・データベースのREDO転送サービスによるOracle RACスタンバイ・データベースへのREDOデータの転送が、そのスタンバイ・データベースの受信インスタンスでエラーが発生した場合でも続行されるようにフェイルオーバー属性が設定されています。


    参照:

    接続識別子の定義の詳細は、『Oracle Net Services管理者ガイド』を参照してください。

  • DGMGRLでブローカ操作中にインスタンスを再起動できるようにするには、各インスタンスのローカル・リスナーに静的サービスを登録する必要があります。また、ファスト・スタート・フェイルオーバーが発生した後、元のプライマリ・データベースの自動回復の一部としてオブザーバーがインスタンスを再起動できるようにするには、サービスを静的に登録する必要があります。デフォルトで、ブローカは静的サービス名をdb_unique_name_DGMGRL.db_domainと仮定して、リスナーがlistener.oraファイルで次の内容で開始されたと予期します。

    LISTENER = (DESCRIPTION =
         (ADDRESS_LIST=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=host_name)
         (PORT=port_num))))
    SID_LIST_LISTENER=(SID_LIST=(SID_DESC=(SID_NAME=sid_name)
         (GLOBAL_DBNAME=db_unique_name_DGMGRL.db_domain)
         (ORACLE_HOME=oracle_home)
         (ENVS="TNS_ADMIN=oracle_home/network/admin")))
    

    別の静的サービス名を使用することもできます。その場合は、登録されている静的サービスを反映するようにStaticConnectIdentifierインスタンス固有のプロパティを変更してください。

    Oracle Clusterware環境では、この他に次の考慮事項も認識しておいてください。

    • 静的サービスは、すべてのノードのGRID_HOMEにあるlistener.oraファイルで設定されている必要があります。

    • 静的サービス定義のORACLE_HOME listener.oraパラメータは、GRID_HOMEではなく、インスタンスのORACLE_HOMEに設定する必要があります。

    • ENVS listener.oraパラメータは、TNS_ADMIN環境変数を適切なネットワーク管理ディレクトリ(通常はOracleデータベースのOracleホームの管理ディレクトリ)に明示的に設定するために、静的サービス定義で使用する必要があります。

    • Oracle RAC One Nodeまたはポリシー管理のOracle RAC環境では、可能な各インスタンスのSID_NAMEは、SID_LISTで指定されている必要があります。各インスタンスのSID_NAMEは、そのインスタンスのINSTANCE_NAMEデータベース初期化パラメータと一致する必要があります。Oracle RAC One Nodeまたはポリシー管理のOracle RAC環境では、INSTANCE_NAMEパラメータのデフォルト値は、db_unique_name_instance_numberです。


    参照:


  • プライマリ・データベースをARCHIVELOGモードでオープンする必要があります。

  • プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースの両方に対して、COMPATIBLE初期化パラメータ値を10.2.0.1.0以上に設定する必要があります。ただし、Oracle Database 11.2の新機能を利用する場合は、Data Guard構成内のすべてのデータベースでCOMPATIBLEパラメータを11.2.0に設定します。

    プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースの両方で、COMPATIBLE初期化パラメータ値が同じ値に設定されていることを確認します。値が異なる場合、REDO転送サービスでREDOデータをプライマリ・データベースからスタンバイ・データベースに転送できない場合があります。

  • 『Oracle Data Guard概要および管理』の説明に従って、REDO転送認証方式を選択および構成してください。


参照:

  • Oracle Data Guard Brokerの準備および起動の詳細は、3.3項を参照してください。

  • ネットワーク・ファイルの設定の詳細は、『Oracle Data Guard概要および管理』を参照してください。

  • 『Oracle Database Net Services管理者ガイド』