この付録では、ブローカ構成におけるOracleデータベースおよびOracle Enterprise Managerのアップグレードまたはダウングレードのプロセスを順序立てて説明します。内容は次のとおりです。
Oracle Data Guardリリース9.2.0構成を現在実行している場合は、次の手順でOracle Databaseリリース11.2にアップグレードし、ブローカ構成を再作成する必要があります。
Data Guard ManagerまたはDGMGRLリリース9.2.0を使用して、リリース9.2.0のブローカ構成を削除します。たとえば、DGMGRL REMOVE CONFIGURATION
コマンドを使用できます。
DGMGRLを使用している場合は、ALTER SYSTEM SET LOG_ARCHIVE_DEST_
n=" "
SQL*Plusコマンドを使用して、LOG_ARCHIVE_DEST_
n初期化パラメータの設定をクリアします。
データベース・ソフトウェアをOracleリリース11.2にアップグレードします。使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseインストレーション・ガイドを参照してください。
Oracle Enterprise ManagerおよびData Guard Managerリリース9.2.0では、Oracle Data Guardリリース11.2を実行するブローカ構成を管理できません。
参照: Data Guardのすべての機能をOracleデータベースの各リリースで管理するために必要なEnterprise Manager Grid Controlのバージョンについては、http://support.oracle.com にあるMy Oracle Supportノート787461.1を参照してください。 |
DGMGRLリリース9.2.0を使用している場合は、Data Guardコマンドライン・インタフェースのリリース11.2にアップグレードする必要があります。
DGMGRLリリース9.2.0は、Oracle Data Guardリリース11.2と互換性がありません。
注意: 非Oracle RACデータベースの場合は、既存のOracle9iコマンドライン・スクリプトがOracle Database 11.2でサポートされています。非推奨になったコマンドの詳細は、付録Aを参照してください。 |
DGMGRLリリース11.2は、Oracle Data Guardリリース9.2.0と互換性がありません。
注意: Oracle Database 11.2のコマンドライン・スクリプトは、Oracle9iではサポートされません。 |
Enterprise ManagerまたはDGMGRLコマンドライン・インタフェースを起動し、ブローカ構成を再作成します。
Oracle Data Guardリリース10.nまたは11.1構成を現在実行している場合は、使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseインストレーション・マニュアルを参照して、データベース・ソフトウェアをOracleリリース11.2にアップグレードできます。
注意: リリース11.2より前は、構成ファイルは最初に作成されたときと同じセクター・サイズ(物理ブロック・サイズ)のディスクにのみ格納するように制限されていました。一般にブローカ構成では1つのセクター・サイズが使用されていたため、これは問題にはなりませんでした。任意のブローカ構成内でセクター・サイズが混在する可能性があるため、11.2のブローカ構成ファイルは、4KB以下であれば、最初に作成されたときのセクター・サイズの影響をまったく受けないようになりました。次の手順5のアップグレード・プロセス中に、最初に作成されたときのセクター・サイズの影響を受けないように構成ファイルが変換されます。 |
次のDGMGRLコマンドを発行して、ファスト・スタート・フェイルオーバーを無効化します。
DGMGRL> DISABLE FAST_START FAILOVER;
構成のブローカによる管理を無効化してから、ブローカを停止します。次に例を示します。
次のDGMGRLコマンドを発行して、Data Guard構成におけるデータベースのブローカによるアクティブな管理を無効化します。
DGMGRL> DISABLE CONFIGURATION;
次のSQL*Plus文を発行してブローカを停止します。
SQL> ALTER SYSTEM SET DG_BROKER_START=FALSE;
初期化パラメータDG_BROKER_CONFIG_FILE1
およびDG_BROKER_CONFIG_FILE2
で示しているように、現行のブローカ構成ファイルのコピーを作成します。
アップグレード手順については、使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseインストレーション・ガイドを参照してください。
Oracle Data Guardリリース11.2を実行するブローカ構成を管理および監視するには、DGMGRLコマンドライン・インタフェースもリリース11.2にアップグレードする必要があります。DGMGRLリリース11.2を使用してData Guardリリース10.nまたは11.1を管理することはできません。
注意: 既存のリリース10.nまたは11.1のDGMGRLコマンドライン・スクリプトは、リリース11.2で使用可能なDGMGRLコマンドライン・インタフェースによりサポートされています。リリース11.nのDGMGRLコマンドライン・スクリプトは、Oracle Databaseリリース10.nによるサポートが保証されていません。 |
アップグレード後、リリース11.2のData Guard Brokerを起動します。次に例を示します。
次のSQL*Plus文を発行してブローカを起動します。
SQL> ALTER SYSTEM SET DG_BROKER_START=TRUE;
次のDGMGRLコマンドを発行して、Data Guard構成におけるデータベースのブローカによるアクティブな管理を有効化します。
DGMGRL> ENABLE CONFIGURATION
リリース11.2のブローカを初めて起動したとき、リリース10.nおよび11.1のブローカ構成ファイルの存在が検出され、リリース11.2で導入された新規プロパティ(ファスト・スタート・フェイルオーバーのプロパティなど)が含まれるように自動的にアップグレードされます。この自動変換は透過的かつ永続的であり、1回のみ実行されます。
注意: 手順5で行われるこの自動アップグレードで、構成ファイルはサポートされている4KBセクター以下のディスク・セクター・サイズ(物理ブロック・サイズ)のディスクに格納されます。 |
注意: アップグレード前に起動されたオブザーバは自動的に停止し、アップグレードの完了後は構成を監視できなくなります。リリース11.2以上の実行中のOracleデータベースを監視するには、リリース11.2のOracleオブザーバ・ソフトウェアを使用する必要があります。 |
Data Guard Brokerの構成では、あるパッチ・リリースから次のパッチ・リリースへのアップグレード・プロセス(たとえば、11.2.0.1から11.2.0.2または11.2.0.2から11.2.0.3など)は、リリース10.nおよび11.1からRelease 11.2へのアップグレードに関する項で説明されているプロセスと同じです。ブローカはアップグレード前に無効にし、アップグレード終了後に再度有効化する必要があります。
リリース11.2へのアップグレードを完了していて、以前のリリースにダウングレードする場合は、次の手順でデータベース・リリースをダウングレードし、ブローカ構成を再作成する必要があります。
リリース11.2のEnterprise ManagerまたはDGMGRLを使用して、リリース11.2のブローカ構成を削除します。たとえば、DGMGRL REMOVE CONFIGURATION
コマンドを使用できます。
Oracle Databaseソフトウェアを以前のOracleリリースにダウングレードします。使用しているオペレーティング・システムに適したOracle Databaseのマニュアルを参照してください。
Data Guard Brokerをリリース10.nまたは11.1にダウングレードするには、次のようにします。
リリース11.2へのアップグレード後にブローカ構成に変更を加えていないことが明白である場合、アップグレード手順で作成したブローカ構成ファイルをコピーできます(B.2項を参照)。続いて、Enterprise ManagerまたはDGMGRLコマンドライン・インタフェースを起動し、そのコピーの作成時点で存在したとおりにブローカ構成を再度有効化します。
あるいは、Enterprise ManagerまたはDGMGRLコマンドライン・インタフェースを起動し、ブローカ構成を再作成できます。
Data Guard BrokerをOracleリリース9.2.0にダウングレードするには、次のようにします。
Enterprise Managerを使用していた場合、引き続きOracle Enterprise Managerリリース10.2を使用して、リリース9.2.0のブローカ構成を管理できます。また、Oracle Enterprise Managerリリース9.2.0を再インストールして、Data Guard Managerにダウングレードすることもできます。
Enterprise Manager、Data Guard ManagerまたはDGMGRLコマンドライン・インタフェースを起動し、ブローカ構成を再作成します。