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Oracle® Database VLDBおよびパーティショニング・ガイド
11g リリース2 (11.2)
B56316-03
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1 大規模データベースの概要

現代では、数百GB以上、多くの場合、数TB以上のデータを含む重要なデータベースを運用している企業は珍しくありません。これらの企業は、大規模データベース(VLDB)のサポートやメンテナンスという課題を抱えており、これらの課題に対応するための方法を考える必要があります。この章では、VLDB計画の重要な要素であるパーティション化を中心に、VLDBの概要を説明します。

この章では次の項について説明します。


注意:

パーティション化機能を使用できるのは、パーティション化オプションを購入した場合のみです。

パーティション化の概要

パーティション化を行うと、アプリケーションに対して完全に透過的なパーティションと呼ばれるより小規模で管理しやすい単位に分解することにより、大規模な表や索引のサポートにおける主な問題に対応できます。パーティション表にアクセスするために、SQL問合せやデータ操作言語(DML)文を変更する必要はありません。ただし、パーティションの定義後にデータ定義言語(DDL)文がアクセスおよび操作できるのは、表や索引全体ではなく、個々のパーティションです。これが、パーティション化により、大規模データベース・オブジェクトの管理が簡略化される仕組みです。

表または索引の各パーティションでは、列名、データ型および制約などの論理属性は同一である必要がありますが、圧縮の有効化や無効化、物理記憶域設定および表領域などの物理属性は異なってもかまいません。

パーティション化は、様々なタイプのアプリケーション、特に大量のデータを管理するアプリケーションに便利です。OLTPシステムでは管理性や可用性が向上し、データ・ウェアハウス・システムではパフォーマンスや管理性が向上します。

次にパーティション化の利点を示します。

パーティション化により、Oracle Database内でのデータ・アクセスが高速になります。データベースのデータが10GBか10TBかに関係なく、パーティション化によりデータ・アクセスを大幅に改善できます。パーティション化は、アプリケーションに変更を加えずに実装できます。たとえば、表にアクセスするSELECT文やDML文を変更せずに、パーティション化されていない表をパーティション表に変換できます。パーティション化を使用するために、アプリケーション・コードをリライトする必要はありません。

VLDBおよびパーティション化

大規模データベースには、最小絶対サイズはありません。VLDBはより小規模なデータベースと同じようなデータベースですが、その管理には固有の問題があります。それらの問題は、全体のサイズおよびそのサイズのシステムに対する操作実行のコスト・パフォーマンスに関連しています。

データベース・サイズの恒常的な増大に関連している傾向をいくつか示します。

パーティション化は、大規模データベースを管理するためのクリティカルな機能です。データ量の増大は、大規模データベースでパーティション化が対応する基本的な問題です。また、パーティション化を行うことにより、特に表や索引の増大に伴い分断攻略法を使用して、データベースの表や索引を管理できます。パーティション化は、一貫したパフォーマンスを維持しながら、管理リソースまたはハードウェア・リソースを増やしすぎずに、データベースを大規模データ・セットに拡張できる機能です。第3章「可用性、管理性およびパフォーマンスのためのパーティション化」で、パーティション化の実装に関する可用性、管理性およびパフォーマンスの考慮事項について説明します。

第9章「VLDBのバックアップおよびリカバリ」では、VLDBのバックアップおよびリカバリに関連する問題を説明します。

記憶域は、大規模データベースの重要な要素です。第10章「VLDBの記憶域管理」では、VLDBの記憶域に関するベスト・プラクティスを説明します。

情報ライフサイクル管理の基礎としてのパーティション化

情報ライフサイクル管理(ILM)は、使用できる期間中、データを管理するための一連のプロセスおよびポリシーです。ILM計画の重要な要素の1つは、アクセス頻度の低い古いデータはよりコストがかからず効率の低いストレージ層に保存し、日常業務で使用されるより新しいデータは最も高速で、可用性の高いストレージ層に保存するなど、データの存続期間中のいつにおいてもデータを保存するために最適で費用効率が高い中間点を決定することです。古いデータは更新される頻度も低いため、そのような場合には、圧縮して読取り専用としてデータを保存することをお薦めします。

Oracle Databaseは、ILMソリューションの実装に理想的な環境を提供します。複数のストレージ層がサポートされており、すべてのデータがOracle Database内に存在するため、複数のストレージ層はアプリケーションに対して完全に透過的で、データも安全に保たれます。パーティション化により、表内のデータを別々のパーティションに保存することを可能にする基礎となるテクノロジが提供されます。

エンタープライズ・レベルのシステムでは複数のストレージ層や複雑なILMポリシーが採用されている場合が多いですが、大部分の企業およびデータベースで、ある程度の情報ライフサイクル管理が必要です。最も基本的なILM操作である古いデータのアーカイブや、それらのデータのデータベースからの削除またはパージは、パーティション化を使用している場合には大幅に高速になります。

ILMの詳細は、第5章「情報ライフサイクル管理のためのパーティション化の使用」を参照してください。

すべてのデータベースのパーティション化

パーティション化のメリットは、大規模データベースだけのものではありません。小規模データベースも含めすべてのデータベースがパーティション化の恩恵を受けます。パーティション化は大規模データベースでは不可欠ですが、小規模なデータベースでも役立ちます。サイズがメガバイト単位のデータベースでさえ、数テラバイトに及ぶ最大級サイズのシステムと同様に、パーティション化によってパフォーマンスと管理性が向上します。

データ・ウェアハウス環境においてパーティション化によりもたらされる利点の詳細は、第6章「データ・ウェアハウス環境でのパーティション化の使用」を参照してください。

OLTP環境においてパーティション化によりもたらされる利点の詳細は、第7章「オンライン・トランザクション処理環境でのパーティション化の使用」を参照してください。