この章では、システムにOracle Database QoS Managementをインストールして構成するために完了する必要のあるタスクについて説明します。この項の一部のタスクは、CRS管理者が実行する必要があります。
関連項目: CRS管理者の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。 |
Oracle Database QoS Managementと連動するようにクラスタ用Oracle Grid InfrastructureおよびOracle RACデータベースを構成する一般的な手順は次のとおりです。
注意: デフォルトでは、指定されたどのユーザーもサーバー・プールを作成できます。この権限を持つオペレーティング・システム・ユーザーを制限するために、CRS管理者リストに特定のユーザーを追加することを強くお薦めします。CRS管理者リストへのユーザーの追加の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。 |
データベース管理者(DBA)は、データベースで使用するサーバー・プールへのアクセスをリクエストします。CRS管理者はDBA用のサーバー・プールを作成し、そのサーバー・プールへのアクセス権限をDBAに付与します。CRS管理者ユーザーがDBAユーザーと同じ場合は、DBCAでポリシー管理オプションを選択することにより、DBCAの実行時にサーバー・プールを作成できます。サーバー・プールは、インストール後にServer Control(SRVCTL)を使用して作成することもできます。
このサーバー・プールの最小サイズはデータベース・インスタンス数です。サーバー・プールの最大サイズが最小サイズより大きい場合は、ピーク・ワークロードを処理するため、または拡張に対応するために、データベースに新しいインスタンスを追加できます。
DBAは、DBCAでポリシー管理オプションを選択して、割り当てられたサーバー・プール内にOracle RACデータベースを作成します。
DBAは、Oracle Clusterwareで管理されるデータベース・サービスを作成して、各サービスをサーバー・プールに割り当てます。アプリケーション・ユーザーは、それらのサービスを使用してデータベースに接続します。
DBAは、Enterprise Manager Database Controlを使用して、データベースでOracle Database QoS Managementを有効にします。
Oracle Database QoS Management管理者の初期構成タスクについては、次の各項で詳細に説明します。
クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールおよび構成は、本書の対象外です。クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストールおよび構成の詳細は、『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド for Linux』または使用しているプラットフォーム用の同様のガイドを参照してください。
クラスタ用Oracle Grid Infrastructureのインストール中に、空きプールと呼ばれるデフォルトのサーバー・プールが作成されます。Oracle RACデータベース用のサーバー・プールを作成するには、SRVCTLまたはOracle Enterprise Managerを使用できます。DBCAを使用してOracle RACデータベースを作成する場合は、データベースをポリシー管理することを選択し、データベース・インスタンスを実行するサーバー・プールを選択します。
関連項目:
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注意: デフォルトでは、指定されたどのユーザーもサーバー・プールを作成できます。この権限を持つオペレーティング・システム・ユーザーを制限するために、CRS管理者リストに特定のユーザーを追加することを強くお薦めします。CRS管理者リストへのユーザーの追加の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。 |
CRS管理者がデータベース管理者と異なる場合は、CRS管理者ユーザーのみがサーバー・プールを作成できます。CRS管理者は、インストールされたOracle RACを所有するオペレーティング・システム・ユーザーに、サーバー・プールに対する権限を付与します。
注意: Oracle Database QoS Managementで使用するサーバー・プールを作成するときに、サーバー・プールのSERVER_NAMES 属性(srvctl add svrpool コマンドまたはsrvctl modify svrpool コマンドの-n オプション)を構成しないでください。Oracle Database QoS Managementでは、候補リストを使用するサーバー・プールはサポートされません。 |
Oracle RACデータベースの作成および構成の手順は、本書の対象外です。サーバー・プールを使用するOracle RACデータベースの作成の詳細は、『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。データベースの作成時に、DBAはポリシー管理型データベースの作成を選択する必要があります。
データベースの作成後、次の手順を実行して、Oracle Database QoS Managementで使用するようにデータベースを構成します。
データベースがOracle Database QoS Managementで管理される場合、サーバー・プールで実行される各データベース・インスタンスのCPU_COUNT
パラメータを同じ値に設定する必要があります。また、各サーバーで実行されるすべてのデータベース・インスタンスのCPU_COUNT
値の合計を、物理CPU数以下にする必要があります。たとえば、8つのCPUを持つサーバーがあり、このサーバーで2つのデータベース・インスタンスが実行されている場合は、Oracle Database QoS Managementで管理するデータベースに対して、サーバー上のすべてのデータベース・インスタンスのCPU_COUNT
パラメータ値の合計が最大8になるように各インスタンスのCPU_COUNT
パラメータを設定する必要があります。たとえば、あるインスタンスでCPU_COUNT=3
、もう一方のインスタンスでCPU_COUNT=5
と設定するか、あるインスタンスでCPU_COUNT=6
、もう一方のインスタンスでCPU_COUNT=2
と設定します。
注意: デフォルトでは、サーバーで起動される各データベースのCPU数は、そのサーバーにインストールされている物理CPU数に設定されます。 |
サーバー・プールで複数のデータベースを実行している場合、CPU_COUNT
にデフォルト設定を使用すると、Oracle Database QoS Managementで違反がレポートされます。このエラーを回避するには、Oracle Enterprise ManagerまたはSQL*Plusを使用して、次の例に示すようにSPFILEでCPU_COUNT
値を手動で構成します。nは、データベース・インスタンスで使用されるCPU数です。
ALTER SYSTEM SET cpu_count=n SCOPE=BOTH SID='*';
CPU_COUNT
は、デフォルトでは設定されない動的パラメータです。この値は、データベース・インスタンスが常に利用する最大CPU数に設定する必要があります。サーバー上のすべてのインスタンスのCPU_COUNT
値の合計が、そのサーバーの物理CPU数を超えることはできません。CPU_COUNT
には、最小値の2を使用することをお薦めします。
Oracle Database QoS Managementダッシュボード(ダッシュボード)にログインする前に、Oracle Database QoS Management管理ユーザーを作成する必要があります。この設定を初めて行うときは、このアカウントに関連付けられているオペレーティング・システム・ユーザーがCRS管理者ユーザーである必要があります。
Oracle Database QoS Managementサーバーの管理ユーザーは、QoS Adminユーザーと呼ばれます。このユーザーは、QoS Adminユーザーのアカウント・パスワードのチェックや変更など、Oracle Database QoS Managementサーバーのすべての機能にアクセスできます。複数のQoS Adminユーザーを作成することもできます。
QoS Adminユーザー・アカウントを作成するには、次の手順を実行します。
CRS管理者ユーザーとして、Oracle Database QoS Managementサーバーをホスティングしているノード(OC4Jコンテナ)にログインします。このノードは、Oracle Grid Infrastructureのホームで次のコマンドを使用して判断できます。
srvctl status oc4j
QoS管理者アカウントを使用して、次のコマンドを入力します。
qosctl qosadmin -adduserusername
password
この例で、qosadmin
はデフォルトのQoS Adminユーザーの名前、username
は作成するQoS Adminユーザーの名前、password
はその新しいQoS Adminユーザーのパスワードです。
このコマンドを入力すると、デフォルトのQoS Adminユーザー(oracle112
)のパスワードの入力を1回以上求められます。
注意: デフォルトのqosadmin ユーザーのパスワードは、できるだけ早く変更する必要があります。QOSCTLユーティリティおよびそのコマンドの詳細な説明は、「Oracle Database QoS Managementの管理ユーザーの作成」を参照してください。 |
Oracle Database QoS Managementは、クラスタの管理とそのクラスタで実行される個々のデータベースの管理の、2つのレベルで有効化できます。同一クラスタ上で複数のデータベースが実行されている場合、どのデータベースをOracle QoS Managementで管理するかを決定できます。データベースを管理するには、同じサーバー・プールを使用するすべてのデータベースでOracle Database QoS Managementを有効にする必要があります。有効にしない場合、データベースのダッシュボードにアクセスしようとすると、違反が通知されます。
システムでOracle QoS Managementを有効にするには、次の手順を実行します。
Oracle Enterprise Manager Database Controlにデータベース管理者としてログインします。「データベース」タブが選択されていない場合は、このタブをクリックします。
「可用性」ページに移動します。
「サービス」ヘッダーの下の「サービスのクオリティ管理の有効化/無効化」を選択します。「クラスタ資格証明」および「データベース資格証明」に入力し、「ログイン」をクリックします。
注意: この手順を完了するには、SYSDBAとCRS管理者アカウント両方のログイン情報を指定する必要があります。 |
「QoS管理を有功化/無効化」画面が表示されます。
APPQOSSYSユーザーのパスワードの入力を求められます。選択したパスワードを「パスワード」フィールドおよび「パスワードの確認」フィールドに入力し、「OK」をクリックします。
パスワードを入力すると、次の処理が行われます。
Oracle Database QoS Managementサーバーがデータベースに接続できるようにするAPPQOSSYSアカウントがロック解除され、新しいパスワードが設定されます。
Oracle Database QoS Managementがデータベースにログインできるようにするための資格証明が、Oracle Cluster Repositoryに格納されているOracle Walletに書き込まれます。
Oracle Database QoS Managementがパフォーマンス・クラスのCPUアクセスを調整できるように、APPQOS_PLAN
がアクティブなOracle Database Resource Managerプランとして設定されます。
デフォルトでは、APPQOS_PLAN
はOracle Schedulerのメンテナンス・ウィンドウ中に置換されます。APPQOS_PLAN
プランにはDEFAULT_MAINTENANCE_PLAN
プランのコンシューマ・グループが組み込まれているため、これらの毎日のウィンドウ中はこのプランを使用することをお薦めします。詳細は、「Oracle Database Resource Manager」を参照してください。
Oracle Enterprise Manager Database ControlにCRS管理者としてログインします。「クラスタ」タブが選択されていない場合は、このタブをクリックします。
「管理」ページに移動します。
「サービスのクオリティ管理」ヘッダーの下の「ポリシー・セットの作成」を選択します。
QoS Management管理者のパスワード(デフォルトはqosadmin
/oracle112
)を使用して、Oracle Database QoS Managementサーバーにログインします。
ポリシー・セットの作成ウィザードの最初のページで、online
やbackoffice
など、データベースを表すサーバー・プールの横の「管理」ボックスを選択します。「次へ」をクリックします。
この時点でOracle Database QoS Managementを開始するには、初期構成のデフォルトを受け入れ、ウィザードの各ページで「次へ」をクリックしてデフォルトのポリシー設定を使用します。5番目のステップでは、「ポリシーの設定」をクリックしてDefaultPolicyを「選択されたアクティブ・ポリシー」として設定し、「次へ」をクリックします。
ポリシー・セットの作成ウィザードの最後のステップで、「ポリシー・セットの発行」をクリックします。
Oracle Enterprise Manager Database ControlにCRS管理者としてログインします。「クラスタ」タブが選択されていない場合は、このタブをクリックします。
注意: Oracle Enterprise Manager Database Controlには、CRS管理者のデフォルトのアカウントはありません。最初は、SYSTEM などのOracle Enterprise Manager Database Controlアカウントでログインする必要があります。 |
「管理」ページに移動します。
「サービスのクオリティ管理」セクションで、「ダッシュボード」をクリックします。Oracle Database QoS Managementユーザー(qosadmin
/oracle112
など)としてログインします。
ダッシュボード・ページの「一般」セクションに、Oracle Database QoS Managementの現在のステータスが表示されます。新規システムでは、ステータスは「無効」です。ステータスの横にある「無効」リンクをクリックして、このクラスタでOracle Database QoS Managementを有効にします。