この付録では、ORAENV
ファイルまたはPOSIXシェルに指定可能な変数について説明します。ORACLE_SID
およびNLS_LANG
などのOracleのパラメータは、ORAENV
ファイルやPOSIXシェルに指定できます。ORAENV
ファイルを使用する場合、環境変数の指定で、次の項で説明するORAENV
のルールに従う必要があります。POSIXシェルで環境変数を設定およびエクスポートするには、UNIXのルールに従う必要があります。
次の表に、3つのクラスに分類される変数について説明します。
クラス | 説明 |
---|---|
DBA | これらは、データベースの管理に使用する変数です。ほとんどのDBA変数は、データベースの起動時にのみ評価されます。 |
USER | これらは、通常のユーザーおよびDBAで指定できる変数です。特定のユーザーのORAENV ファイルに、これらの変数が指定される場合、そのユーザーの環境のみが変更されます。 |
NET | これらは、Oracle Net Servicesのコンポーネントに適用する変数です。これらの変数はDBAのORAENV ファイルに含める必要があります。 |
これらの変数がどのクラス(または複数のクラス)に属するかについては、この付録の変数の説明に記載しています。
通常のユーザーのORAENV
ファイルに指定されたすべてのDBAまたはNET変数は、無視されます。
ORAENV
ファイルを記述する際には、次の一般的なルールがあることを考慮する必要があります。
スラッシュまたはアスタリスク(/または*)で開始するすべての行は無視されます。
すべての変数名は、大文字で記述する必要があります。
空白は、等号(=)の直前および直後に含める必要があります。
引用符を値の一部とする場合を除き、値は引用符では囲まないでください。
変数のリストは概念的に無制限であるため、変数名のエラーは認識されません。つまり、不正に名前が入力されたすべての変数の値は変更されません。
変数の割当ては、わずかにしか確認されません。値が不正であると、エラー・メッセージが生成されますが、null値としても解釈されます。
変数の割当てが他の変数を参照する場合、BS2000コマンド・ファイルの置換構文が適用されます。置換は、ORAENV
ファイルから読み取られるときでなく、変数が実際に使用されているときに実行されます。
次に例を示します。
ORAUID=$ORAC1120 SQLPATH=&ORAUID..RDBMS.ADMIN
値$ORAC1120
.RDBMS
.ADMIN
が変数SQLPATH
に割り当てられます。ORAUID
が変更されると、SQLPATH
に新しい値が自動的に反映されます。
ORAENV
ファイルの項目の順番は、通常大きな意味はありません。項目が2回以上出現する場合、最後に出現したものが使用されます。
変数に値がない場合、存在する場合はデフォルト値が使用されます。
次の変数は常に定義され、他の変数の割当てで参照される場合があります。
この変数では、Oracle Databaseプログラム、インストールおよびデモンストレーション・ファイルがインストールされているBS2000ユーザーIDを指定します。初期値は、ORALOAD
リンク名から導出されます(ORALOAD
ライブラリ名のユーザーIDの部分)。この値は通常は正しいですが、必要に応じてORAENV
ファイルに別の値を割り当てオーバーライドできます。
書式: ORAUID
=$userid
またはORAUID
=/BS2/
$userid
TERM
変数には、デフォルトがSNI9750である端末タイプが含まれます。このデフォルト値は通常は正しいですが、必要に応じてORAENV
ファイルに別の値を割り当てオーバーライドできます。
次の変数は、Oracle DBAおよびユーザーによって一般に日常的に使用されるものです。
これらの変数は、CORE
、NLS
およびNET
用に顧客が記述したデータベース・アプリケーションの共有のコード・プールのアドレスを指定します。
書式:
CLN_BASE=address
分類:
USER
デフォルト:
CLN_BASE=37M
これらの変数は、CORE
、NLS
およびNET
用の顧客によって記述されたデータベース・アプリケーションの共有コード・プールの識別子を指定します。
書式:
CLN_MPID=
sid
分類:
USER
デフォルト:
CLN_MPID=
&ORASID
この変数は、ホスト文字列が指定されていないときの接続要求用のデフォルトのホスト文字列を提供します。常に同じデータベースに接続する場合、これを指定すると便利でしょう。この値には、@
の文字の後に指定するすべてのものすべてを含める必要があります。
書式: DEFAULT_CONNECTION
=host-string
分類: USER
例:
DEFAULT_CONNECTION=TNS:
(DESCRIPTION=
(ADDRESS=
(PROTOCOL=TCP)
(HOST=MADRID)
(PORT=1521))
(CONNECT_DATA=
(SERVICE_NAME=PROD)))
この変数は、エクスポート・ファイルをテープに記述する際、Export
ユーティリティを使用してCライブラリの関数の問題を解決しようとするときにFALSE
に設定する必要があります。
書式: EXP_CLIB_FILE_IO
=FALSE
分類: USER
デフォルト: EXP_CLIB_FILE_IO
=TRUE
この変数は、インポート・ファイルがテープから読み取られる際、Import
ユーティリティを使用してCライブラリの関数の問題を解決しようとするときにFALSE
に設定する必要があります。
書式: IMP_CLIB_FILE_IO
=FALSE
分類: USER
デフォルト: IMP_CLIB_FILE_IO
=TRUE
この変数では、デフォルトの言語とキャラクタ・セットを指定します。次に例を示します。
NLS_LANG=GERMAN_GERMANY.D8BS2000
書式: NLS_LANG
=language_territory.character-set
分類: USER
、DBA
デフォルト: NLS_LANG
=AMERICAN_AMERICA.WE8BS2000
この変数は、OS_AUTHENT_PREFIX
との連結に使用します(初期化パラメータを参照してください)。デフォルト値は、パラメータOS_AUTHENT_PREFIX
の値を、BS2000ユーザーIDと連結します。OPS_JID
を使用すると、BS2000のジョブ名(/.jobname LOGON..
)をかわりに使用することを指定できます。これは、多くのユーザーで1つのBS2000ユーザーIDを共有している場合に便利です。
書式: OPS_JID
=userid/jobname
分類: DBA
デフォルト: userid
この変数では、Oracle Databaseのダンプ・ファイルとユーザーのトレース出力を指定します。
書式: ORADUMP
=dump-file
分類: USER、DBA
デフォルト: ORADUMP
=OTRC.?.&TSN..&PGM..TRC
例:
ORADUMP=(SYSOUT)
この割当てにより、トレース出力は、SYSOUT
にリダイレクトされます。
この変数では、接続時にデータベース識別子が提供されなかった場合、使用されているデータベースを定義します。この変数では、ORACLE_SID
変数のシノニムです。
書式: ORASID
=sid
(sid
は、1 <=長さ<= 4のキャラクタ文字列です)
分類: USER、DBA
注意: ORACLE_SID 変数を使用することをお薦めします。 |
この変数では、SPOOL OUT
スプール・ファイル用に発行された/PRINT
コマンドのオプション変数を指定します。この変数を使用すると、ユーザーはスプールされたジョブを変更できたり、またたとえば、ジョブをリモートのプリンタにルートして、レーザー・プリンタ用に印刷オプションを追加するなどが実行できます。BS2000のスプール・ファイル用の/PRINT
コマンドは、次のように発行します。
/PRINT temp.spoolfile,&PRINTPAR
書式: PRINTPAR
=print-options
分類: USER
この変数では、SQL*Plusがコマンド・ファイルを探すパスを指定します。パスの要素はセミコロン(;)で区切ります。次に例を示します。
SQLPATH=PRIVATE;$ORAC1120
このように割り当てると、SQL*Plusはfilename.SQLを探し、続いてPRIVATE
.filename
.SQL
を、そして最後に$ORAC1120
.filename
.SQL
を探します。
書式: SQLPATH
=search-path
分類: USER、DBA
次の変数は、データベースおよびネットワークの起動時に使用します。これらは、初期化ファイルに含まれる変数を補い(また場合によってはデフォルトを提供し)ます。
データベースの起動およびシャットダウン、バックグラウンド・ジョブ、ネットワーク・ジョブはすべてORAENV
ファイルを参照するようにして、変数が一貫性を持つようにする必要があります。
次の項に示すデフォルト値は、多くは出荷時に設定されているDEMO
.P
.ORAENV
を設定してオーバーライドできる、組込みのデフォルトです。
この項で説明する変数のいくつかは、メモリー・アドレスおよびサイズを定義します。これらの項目を指定する場合、次に注意してください。
修飾子のない数値は、10進数に変換されます
KまたはMの前の数値は、それぞれ1024または1048576 (1024*1024)を掛けた10進数に解釈されます
一重引用符で囲まれ、先頭にXの文字がある数値は、16進数として解釈されます
たとえば、次はすべてKNL_BASE
変数を8Mに設定します。
KNL_BASE=8M KNL_BASE=8388608 KNL_BASE=X'800000'
この変数では、バックグラウンド・ジョブの起動時に使用されるENTER-PROCEDURE
コマンドのパラメータを指定します。ENTER-PROCEDURE
コマンドは、次のようにジョブを発行する際に使用します。
.jobname ENTER-PROCEDURE jobfile, &BGJPAR
書式: BGJPAR
=parameters
分類: DBA
注意: BGJPAR 変数は、インストール処理により設定されます。 |
これらの変数は、バックグラウンド入力ジョブのファイルのユーザーIDおよびorasid
を指定します。特殊な入力ジョブ・ファイルを使用する必要がある場合は、必要なuserid
およびorasid
にパラメータを設定する必要があります。
書式:
BGJPRC_UID=$userid BGJPRC_SID=sid
分類: DBA
, NET
デフォルト:
BGJPRC_UID=&ORAUID BGJPRC_SID=DEMO
この変数は、新しいジョブが受け入れられたというオペレーティング・システム・メッセージをSYSOUT
に記録するかどうかを指定ます。
書式: BGJ_LOG_JOBSTART
=Y/N
分類: DBA
、USER
、NET
デフォルト: BGJ_LOG_JOBSTART
=N
この変数では、SID
で指定されたインスタンス用のサーバー・プロセスを起動するためのENTER-PROCEDURE
コマンドで使用されるパラメータを指定します。
書式: sid
_BGJPAR
=parameters
構文: sid
は、最大で4の英数字で構成される文字列です
parameters
は、BS2000/OSDのコマンドで説明されているENTER-PROCEDURE
コマンドのパラメータです
分類: DBA
、USER
、NET
この変数では、SID
によって割り当てられたインスタンスが存在するUSER-ID
を指定します。
書式: sid
_USER
=userid
構文: sid
は、最大で4の英数字で構成される文字列です
userid
は、BS2000/OSD USER-ID
のルールに準拠する最大8文字の英数字の文字列です
分類: DBA
、USER
、NET
user
_ACCOUNT
またはuser
_PASSWORD
では、プロセスを起動するためにENTER-PROCEDURE
コマンドによって使用されるUSER-ID
の資格証明を定義します。
書式: user
_ACCOUNT
=account
user
_PASSWORD
=password
構文: user
は、BS2000/OSD USER-ID
のルールに準拠し、パラメータsid
_USER
によって定義されるUSER-ID
に一致する必要のある、最大で8文字の英数字です
account
は、BS2000/OSDのアカウント番号のルールに準拠する最大8文字の英数字の文字列です
password
は、BS2000/OSDのパスワードのルールに準拠する最大8文字の英数字の文字列です
分類: DBA
, NET
このパラメータは、CORE
、NLS
およびNET
用のOracleインスタンス用の共有コード・プールの識別子を指定します。
書式: COM_MPID
=sid
分類: DBA
デフォルト: COM_MPID
=&ORASID
このパラメータでは、CORE
およびNLS
用のOracleインスタンスの共有コード・プールのアドレスを指定します。
書式: COM_BASE
=address
分類: DBA
デフォルト: COM_BASE
=37M
この変数は、バックグラウンド・タスクの識別とタスク固有の名前の生成のために、内部で使用されます。いくつかの場所に記載されていますが、ご自身では指定しないでください。
分類: DBA
この変数は、メモリー内に共有メモリー・プールがマップされるベース・アドレスを提供します。これはメガバイト単位の整数である必要があります。
書式: KNL_BASE
=address
分類: DBA
デフォルト: KNL_BASE
=72M
Oracleホーム・ディレクトリは、特定のOracle製品のソフトウェアのインストールを含むPOSIXファイル・システム内のディレクトリです。
書式: ORACLE_HOME
=/path-name
分類: DBA
、USER
この変数では、PGAの固定部分のベース・アドレスを指定します。PGAは、タスクに固有ですが、カーネルがアクセスできるように固定のメモリー・アドレスに配置する必要があります。ベース・アドレスは64KBの境界に存在する必要があります。
書式: PGA_BASE
=address
分類: DBA
デフォルト: PGA_BASE
=189M
注意: PGA_BASE の値は、共有のカーネルがすでにロードされている場合、カーネルより取得されます。 |
この変数では、PGAの固定部分のサイズを指定します。この変数は、デフォルト値から変更しないようにする必要があります。
書式: PGA_SIZE
=size
分類: DBA
デフォルト: PGA_SIZE
=64K
注意: PGA_SIZE の値は、共有のカーネルがすでにロードされている場合、カーネルより取得されます。 |
この変数では、redoログ・ファイルの物理ブロックサイズを指定します。
書式: SF_PBLKSIZE
=2K|4K
分類: DBA
デフォルト: 2K
注意: この変数は、データベースの作成後は変更できません。デフォルトとは異なる値を指定すると、それ以降のすべてのコールでそれを指定する必要があります。 |
次にOracle Net Servicesの変数を示します。
この変数は、ネットワークを介してブレークを送信するユーザーの割込みの信号ルーチンを解除します。割込みは[K2]キーを押すことによって解除できます。
書式:
BREAK_HANDLING=ON|OFF
分類:
DBA
、USER
、NET
デフォルト:
BREAK_HANDLING=ON
この変数では、Oracle Net Servicesの構成ファイルのユーザーID(たとえば、LISTENER.ORA
、TNSNAMES.ORA
およびSQLNET.ORA
)を指定します。TNS_ADMIN
が定義されていない場合、プレフィックスNETWORK.ADMIN
を使用して、ローカル・ユーザーIDの下で構成ファイルが検索されます。
書式: TNS_ADMIN
=$userid
分類: DBA
、USER
、NET
この変数では、親および子プロセス間に接続がなくなってから、それらの間の接続を閉じる時間を指定します。
書式: TNS_BEQ_TIMEOUT
=lifetime
(in seconds)
分類: NET
デフォルト: TNS_BEQ_TIMEOUT
=180