この章では、コンポーネントのインストール後にOracle SOA Suiteを構成する方法を説明します。
内容は、次のとおりです。
インストールの完了後、コンポーネントを構成する必要があります。 この項では、構成手順について説明します。
Oracle Fusion Middleware構成ウィザードにより、Fusion Middlewareシステム・コンポーネントをホストするための管理対象サーバーがドメイン内に作成されます。 これらの管理対象サーバーにはデフォルト構成の設定を使用することをお薦めします。 デフォルト構成の設定を変更した場合、Fusion Middleware環境を開始する前に、手作業でいくつかの構成手順を実行する必要があります。
構成ウィザードを実行する前に、稼働中の管理対象サーバーを停止する必要があります。 停止しなかった場合、現在稼働中の管理対象サーバーとのポート番号の競合により、管理対象サーバーの検証が失敗します。
詳細は、Oracle Fusion Middlewareの管理者ガイドのOracle Fusion Middlewareの開始と停止に関する項を参照してください。
バックエンドOracle RACデータベースを使用して構成ウィザードを実行する場合、すべてのRACインスタンスのサービスを起動および稼働する構成にしておくことをお薦めします。 これにより、JDBC妥当性チェックの信頼性が高まり、設定ミスの可能性を低くできます。
構成ウィザードは、SOA_ORACLE_HOME/common/binディレクトリ(UNIXの場合)またはSOA_ORACLE_HOME\common\binディレクトリ(Windowsの場合)にあります。 このディレクトリに移動し、config.shスクリプト(UNIXの場合)またはconfig.cmdスクリプト(Windowsの場合)を実行して構成ウィザードを開始します。
UNIXの場合
./config.sh
Windowsの場合
config.cmd
実行するのが新規インストールで、新規のWebLogicドメインを作成する必要がある場合は、第3.1.6項「新規ドメインの作成」の手順を実行します。 また、第3.1.7項「既存のドメインの拡張」で説明されているように、構成ウィザードを実行して既存のWebLogicドメインを拡張できます。
構成セッションのログ・ファイルを作成するには、次のように-logオプションを指定して構成ウィザードを実行します。
UNIXの場合
./config.sh -log=log_filename
Windowsの場合
config.cmd -log=log_filename
log_filenameに絶対パスを指定すると、その場所にログ・ファイルが作成されます。 パスを指定しないでファイル名のみを指定した場合、ログ・ファイルはSOA_ORACLE_HOME/common/binディレクトリ(UNIXの場合)またはSOA_ORACLE_HOME\common\binディレクトリ(Windowsの場合)に作成されます。
表3-1の手順に従って、Oracle SOAコンポーネントで使用する新しいWebLogicドメインを作成します。
いずれかの構成画面について詳細情報を確認するには、付録B「Oracle SOA Suiteの構成画面」を参照するか、各画面の下部にある「ヘルプ」をクリックして、その画面に関するオンライン・ヘルプにアクセスしてください。
表3-1 新規ドメイン作成の構成フロー
| 番号 | 画面 | 説明と必要なアクション |
|---|---|---|
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1 |
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「新しいWebLogicドメインの作成」を選択します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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2 |
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ドメイン内に作成する製品を選択します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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3 |
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新規ドメインの名前と場所を指定します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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4 |
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管理者ロールのユーザーとパスワードを指定します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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5 |
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WebLogicドメインの起動モードとドメインで使用するJDKを選択します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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6 |
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この画面に表示される各コンポーネントのスキーマについて、スキーマの所有者とパスワードを指定します。 この画面上のフィールドに加えた変更は、表内で選択されているすべてのコンポーネントのスキーマに適用されます。 たとえば、スキーマがすべて同じデータベース上にある場合、表内ですべてのスキーマを選択し、それらのスキーマに該当するデータベース値(「DBMS/サービス」、「ホスト名」、「ポート」)を指定します。 各スキーマのパスワードが異なる場合は、スキーマを個々に選択し、そのスキーマ専用のパスワードを指定する必要があります。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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7 |
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コンポーネント・スキーマへの接続をテストおよび検証します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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8 |
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構成変更を追加するカテゴリを選択します。
この画面で何も選択しない場合は、「構成のサマリ」画面に進みます。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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9 |
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ドメインの内容を確認します。 「作成」をクリックして続行します。 |
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10 |
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完了後、「完了」をクリックします。 |
SOAドメインの作成時に、Oracle SOA Suiteの一部のコンポーネントを構成しなかった場合、これらのコンポーネントを後から追加してドメインを拡張できます。 これが初めてのインストールの場合またはコンポーネントを追加しない場合は、この項を省略して次の項に進むことができます。
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注意: ドメインを拡張する際は、構成するコンポーネントのスキーマがデータベース内に存在していることを確認してから手順を実行してください。 たとえば、ドメインを拡張してOracle BAMを構成する場合、Oracle BAMで必要となるスキーマ(MDS、ORASDPMおよびORABAM)がOracleデータベースに存在することを確認してから手順を実行してください。 |
既存のドメインを拡張するには、表3-2の手順を実行します。
表3-2 既存のドメイン拡張の構成フロー
| 番号 | 画面 | 説明と必要なアクション |
|---|---|---|
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1 |
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「既存のWebLogicドメインの拡張」を選択します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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2 |
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アプリケーションおよびサービスを追加するWebLogicディレクトリを選択します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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3 |
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このドメインの拡張に使用する製品を選択します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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4 |
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この画面に表示される各コンポーネントのスキーマについて、スキーマの所有者とパスワードを指定します。 この画面上のフィールドに加えた変更は、表内で選択されているすべてのコンポーネントのスキーマに適用されます。 たとえば、スキーマがすべて同じデータベース上にある場合、表内ですべてのスキーマを選択し、それらのスキーマに該当するデータベース値(「DBMS/サービス」、「ホスト名」、「ポート」)を指定します。 各スキーマのパスワードが異なる場合は、スキーマを個々に選択し、そのスキーマ専用のパスワードを指定する必要があります。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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5 |
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コンポーネント・スキーマへの接続を検証します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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6 |
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構成変更を追加するカテゴリを選択します。
この画面で何も選択しない場合は、「構成のサマリ」画面に進みます。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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15 |
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ドメインの内容を確認します。 「拡張」をクリックして続行します。 |
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16 |
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完了後、「完了」をクリックします。 |
「オプションの構成を選択」画面では、次のような高度な構成オプションを選択できます。
「オプションの構成を選択」画面で「管理サーバー」を選択すると、「管理サーバーの構成」画面が表示されます。 この画面では、サーバー名、ポート番号、安全な接続の設定など、管理サーバーの設定をカスタマイズできます。
「オプションの構成を選択」画面で 「管理対象サーバー、クラスタ、およびマシン」を選択すると、表3-3で説明する画面が表示されます。
表3-3 「管理対象サーバー、クラスタ、およびマシン」画面
「オプションの構成を選択」画面で「デプロイメントとサービス」を選択した場合、表3-4で説明する画面が表示されます。
構成ウィザードにより、必要なデプロイメントとサービスのターゲット設定が自動的に行われます。 特に指定がない場合は、この画面で設定を変更する必要はありません。 一般に、エンタープライズ・デプロイメント構成の場合に変更が必要になります。 詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド』を参照してください。
表3-4 「デプロイメントとサービス」の高度な設定の画面
| 番号 | 画面 | 説明と必要なアクション |
|---|---|---|
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1 |
「デプロイメントのクラスタまたはサーバーへのターゲット設定」画面 |
サーバーまたはクラスタをデプロイのターゲットに設定します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
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2 |
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サーバーまたはクラスタをサービスのターゲットに設定します。 「次へ」をクリックして続行します。 |
「オプションの構成を選択」画面で「JMSファイル・ストア」を選択すると、「JMSファイル・ストアの構成」画面が表示されます。 この画面では、ファイル・ストアの名前、場所、書込みポリシーを構成できます。
「オプションの構成を選択」画面で「RDBMSセキュリティ・ストア」を選択すると、「RDBMSセキュリティ・ストア・データベースの構成」画面が表示されます。 この画面では、様々なセキュリティ・プロバイダのデータ・ストアとして外部リレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)を構成できます。
Oracle BAM管理対象サーバー(bam_server1)のデフォルトのポート番号は9001です。WebLogic構成ウィザードでの構成時にこのポート番号を変更した場合やリスニング・アドレスを指定した場合は、次の変更が必要になります。
SOA_ORACLE_HOME/bam/config/BAMICommandConfig.xmlファイル(UNIXの場合)またはSOA_ORACLE_HOME\bam\config\BAMICommandConfig.xmlファイル(Windowsの場合)で、ポート番号を9001から新しいポート番号に手動で変更します。 変更が必要なパラメータは次のとおりです。
<ADCServerPort>9001</ADCServerPort>
Oracle BAMシングル・インスタンスWebアプリケーション構成情報は、MW_HOME/user_projects/domains/domain_name/servers/BAM_server_name/tmp/_WL_user/oracle-bam_11.1.1/yhryfp/APP-INF/classes/configディレクトリ(UNIXの場合)またはMW_HOME\user_projects\domains\domain_name\servers\BAM_server_name\tmp\_WL_user\oracle-bam_11.1.1\yhryfp\APP-INF\classes\configディレクトリ(Windowsの場合)に格納されています。 これらのファイル内のプロパティは、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlで公開されるMbeanを使用して変更できます。 MBeanを介して公開されるプロパティは、サーバー固有のプロパティです。
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注意: oracle-bam_11.1.1内のフォルダ名はランダムに生成されます(この場合、yhryfp)。 実際のシステム上のディレクトリ名は、マニュアルで説明されている名前とは異なる場合があります。 |
Java Required Files(JRF)には、Oracle WebLogic Serverのインストールには含まれていないコンポーネントが含まれており、Oracleビジネス・アプリケーションおよびアプリケーション・フレームワークで使用する共通の機能を提供します。
JRFは他に依存することなく開発されたライブラリやアプリケーションで構成されており、これらが共通の場所にデプロイされます。 Java Required Filesの一部と考えられるコンポーネントには、Oracle Application Development Framework、Oracle Fusion Middleware Audit Framework、ダイナミック・モニタリング・サービス、インフラストラクチャ・セキュリティ、Javaオブジェクト・キャッシュ、Oracle Platform Security Services、ロギング、MDS、Oracle Web Services、Oracle Web Services Managerなどがあります。
場合によっては、管理対象サーバーまたはクラスタにJRFを適用する必要があります。JRFを適用できるのは、JRFが構成されているドメイン内の管理対象サーバーのみです。 つまり、ドメインの作成または拡張時に構成ウィザードでOracle JRFを選択している必要があります。
詳細は、Oracle Fusion Middlewareの管理者ガイドの管理対象サーバーまたはクラスタへのJava Required Filesの適用に関する項を参照してください。
デプロイメントを起動および稼働するには、管理サーバーと様々な管理対象サーバーを開始する必要があります。
管理サーバーを開始するには、新しいドメインを作成したディレクトリでstartWebLogic.shスクリプト(UNIXの場合)またはstartWebLogic.cmdスクリプト(Windowsの場合)を実行します。
UNIXシステムの場合
MW_HOME/user_projects/domains/domain_name/startWebLogic.sh
Windowsシステムの場合
MW_HOME\user_projects\domains\domain_name\startWebLogic.cmd
ドメイン名と場所は、構成ウィザードの「ドメイン名と場所の指定」画面で入力したものです。
管理対象サーバーを開始するには、ドメインを作成したディレクトリのbinディレクトリ内のstartManagedWebLogic.shスクリプト(UNIXの場合)またはstartManagedWebLogic.cmdスクリプト(Windowsの場合)を実行します。 これらの管理対象サーバーはコマンドラインから開始する必要があります。
このコマンドではサーバー名の指定も必要です。 開始する必要のあるサーバーは次のとおりです。
たとえば、UNIXシステム上のOracle SOAサーバーを開始する場合は、次のように入力します。
MW_HOME/user_projects/domains/domain_name/bin/startManagedWebLogic.sh soa_server1
Windowsシステムの場合
MW_HOME\user_projects\domains\domain_name\bin\startManagedWebLogic.cmd soa_server1
管理対象サーバーの開始前に、WebLogic Serverのユーザー名とパスワードを尋ねられます。 構成ウィザードの「管理者ユーザー名およびパスワードの構成」画面で指定したユーザー名とパスワードを入力します。
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注意: インストールおよび構成後に初めてOracle SOAサーバーとOracle BAMサーバーを開始する場合は、Oracle SOAサーバーのスタートアップが完全に終了してからOracle BAMサーバーを開始してください。 |
管理サーバーがデフォルト以外のポートを使用している場合、または管理対象サーバーとは別のホスト上に管理サーバーがある場合(分散環境)、管理サーバーにアクセスするためのURLも指定する必要があります。
UNIXシステムの場合
MW_HOME/user_projects/domains/domain_name/bin/startManagedWebLogic.sh soa_server1 http://host:admin_server_port
Windowsシステムの場合
MW_HOME\user_projects\domains\domain_name\bin\startManagedWebLogic.cmd soa_server1 http://host:admin_server_port
コマンドラインで管理サーバーのユーザー名とパスワードを直接指定しておくと、ユーザー名とパスワードは尋ねられません。
UNIXシステムの場合
MW_HOME/user_projects/domains/domain_name/bin/startManagedWebLogic.sh soa_server1 http://host:admin_server_port -Dweblogic.management.username=user_name -Dweblogic.management.password=password
Windowsシステムの場合
MW_HOME\user_projects\domains\domain_name\bin\startManagedWebLogic.cmd soa_server1 http://host:admin_server_port -Dweblogic.management.username=user_name -Dweblogic.management.password=password
開始する必要のある管理対象サーバーの名前がわからない場合は、UNIXシステム上の次のファイルで確認できます。
MW_HOME/user_projects/domains/domain_name/startManagedWebLogic_readme.txt
Windowsシステムの場合
MW_HOME\user_projects\domains\domain_name\startManagedWebLogic_readme.txt
または、次のURLで管理サーバーのコンソールにアクセスできます。
http://host:admin_server_port/console
構成ウィザードの「管理者ユーザー名およびパスワードの構成」画面で指定したユーザー名とパスワードを入力します。 次に、環境→サーバーを選択し、管理対象サーバーの名前を確認します。
管理サーバーを開始すると、DOMAIN_HOME/config(UNIXシステムの場合)またはDOMAIN_HOME\config(Windowsシステムの場合)内のsoa-infraディレクトリの内容が管理サーバーによって上書きされます。 ただし、SOA構成パラメータは管理対象サーバー上でサーバーごとに更新されるため、管理サーバーをホストしているシステムで更新後のコピーを保持していない場合は、管理対象サーバーを再起動したときにSOA構成に対する更新がすべて失われることになります。
この問題は、SOA_ORACLE_HOME/bin/ant-soa-util.xmlスクリプト(UNIXの場合)またはSOA_ORACLE_HOME\bin\ant-soa-util.xmlスクリプト(Windowsの場合)を使用することで解決できます。 このスクリプトでは次の操作が実行されます。
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注意: このスクリプトは、管理サーバーまたは管理対象サーバーのいずれかを開始する前に実行してください。 |
config/soa-infra(UNIXの場合)またはconfig\soa-infra(Windowsの場合)をDOMAIN_HOME/soa_backup/config/soa-infraディレクトリ(UNIXの場合)またはDOMAIN_HOME\soa_backup\config\soa-infraディレクトリ(Windowsの場合)に移動します。
startManagedWebLogic.shスクリプト(UNIXの場合)またはstartManagedWebLogic.cmdスクリプト(Windowsの場合)を、管理対象サーバーの開始を阻止するバージョンに置換します。
ノード・マネージャはOracle WebLogic Serverとは別のプロセスで実行するJavaユーティリティです。管理サーバーとの位置関係に関係なく、管理対象サーバーに対する共通操作が可能になります。 ノード・マネージャの使用は任意ですが、高可用性が要求されるアプリケーションをWebLogic Server環境でホストしている場合は、高い効果をもたらします。
管理対象サーバーをホストするシステムでノード・マネージャを実行すると、管理コンソールまたはコマンドラインを使用して、リモートで管理対象サーバーを開始したり停止できます。 予期せぬ障害が発生した後に、ノード・マネージャで自動的に管理対象サーバーを再起動させることも可能です。
ノード・マネージャの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Node Manager Administrator's Guide for Oracle WebLogic Server』を参照してください。
インストールを検証するには、ブラウザを開始して、次のURLを入力します。
管理サーバーのコンソールにアクセスする手順は、次のとおりです。
http://host:admin_server_port/console
SSL接続を許可するように管理サーバーを構成した場合は、次のURLを使用してセキュア・モードで管理サーバーにアクセスします。
https://host:secure_admin_server_port/console
Enterprise Managerにアクセスする手順は、次のとおりです。
http://host:admin_server_port/em