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Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B56238-01
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1 SOAコンポジット・アプリケーションの概要

SOAコンポジット・アプリケーションは複数のサービス、サービス・コンポーネント、参照およびワイヤの集合で、ビジネス・ニーズを満たすために、総合的に設計されてデプロイされます。 この章では、SOAコンポジット・アプリケーションを総合的に構成する様々なコンポーネントの概要を説明します。

項目は次のとおりです。

1.1 Oracle SOA Suiteの概要

市場の変化、競争の激化、顧客ニーズの推移によって、ITにはこれまで以上の柔軟性とスピードが求められています。 現在、すべての企業はグローバルなビジネス環境における変化を予測し、競合他社にすばやく対応し、成長のために自社の資産を最大限に活用する必要性に迫られています。 このような課題に対し、先進企業では、アプリケーションやIT環境の複雑さを克服し、これらの要求に応える手段としてSOAを採用しています。

SOAは、エンタープライズ・アプリケーション統合の構築をサポートするエンタープライズ・アーキテクチャを提供します。SOAは、統合と再利用が容易で、柔軟かつ順応性のあるITインフラストラクチャを作成するモジュール型ビジネスのWebサービスとして、エンタープライズ・アプリケーションの開発を促進します。

Oracle SOA Suiteには、コンポジット・アプリケーションを設計、デプロイおよび管理するためのサービス・インフラストラクチャ・コンポーネントの完全なセットが用意されています。Oracle SOA Suiteを使用すると、サービスを作成して管理し、コンポジット・アプリケーションやビジネス・プロセスに組み込むことができます。コンポジットにより、1つのSOAコンポジット・アプリケーションに複数のテクノロジ・コンポーネントを容易に組み立てることができます。 Oracle SOA Suiteは異種ITインフラストラクチャに組み込まれ、企業によるSOAの段階的な採用を可能にします。

スイートの各コンポーネントは、単一のデプロイメントおよび管理モデルとツール、エンドツーエンドのセキュリティ、統一メタデータ管理などの共通機能を利用しています。Oracle SOA Suiteの優れている点は、次のような統合された機能セットが備わっていることです。

Oracle SOA Suiteでは、標準および相互運用性を特に重要視しています。SOAでは、次の標準が使用されています。

標準に関する詳細は、次を参照してください。

1.2 SOAコンポジット・アプリケーションの概要

コンポジットは複数のサービス、サービス・コンポーネント、ワイヤおよび参照の集合で、単一のアプリケーション内で総合的に設計されデプロイされます。コンポジットは、メッセージに記述されている情報を処理します。

図1-1は、SCAテクノロジを使用したSOAコンポジット・アプリケーションの操作性について説明しています。この例では、外部アプリケーション(.NET支払計算)がSOAコンポジット・アプリケーションとの接触を開始しています。

サービス、参照、サービス・コンポーネントおよびワイヤがアプリケーション内で実行するタスクの詳細な説明は、第1.3項「SCAテクノロジの概要」を参照してください。

図1-1 SOAコンポジット・アプリケーションの概要

SOAコンポジット・アプリケーションの概要
「図1-1 SOAコンポジット・アプリケーションの概要」の説明

.NET支払計算は外部アプリケーションで、SOAPメッセージをSOAアプリケーションに送信して接触を開始します。 サービス・インフラストラクチャは、バインディング・コンポーネントからSOAPメッセージを受信し、対象のコンポーネント・ターゲットを判断します。 BPELサービス・エンジンは、BPEL融資プロセス申請が処理するメッセージをサービス・インフラストラクチャから受信し、処理が完了すると、そのサービス・インフラストラクチャに転送します。

表1-1は、図1-1に示すSOAコンポジット・アプリケーションの操作性を説明しています。

1.3 SCAテクノロジの概要

SCAは、一連のサービス・コンポーネントをコンポジット・アプリケーションに統合する実行可能モデルです。SCAは、次のプログラミング・モデルを提供します。

SCAでは、サービス・コンポーネントの分散グループをアプリケーションにまとめるためのモデルを提供することにより、サービスの詳細、サービスとサービス・コンポーネントの相互作用方法を記述できます。コンポジットはサービス・コンポーネントをグループ化するのに使用され、ワイヤはサービス・コンポーネントを接続するのに使用されます。SCAの目的は、セキュリティおよびトランザクションを含むコンポジットにインフラストラクチャの問題を宣言的に適用することにより、ミドルウェアの問題をプログラミング・コードから除去することです。

SCAには、主に次の利点があります。

図1-2はコンポジットの例を示しています。このコンポジットには、インバウンド・サービス・バインディング・コンポーネント、BPELプロセス・サービス・コンポーネント(Account)、ビジネス・ルール・サービス・コンポーネント(AccountRule)および2つのアウトバウンド参照バインディング・コンポーネントが含まれています。 このコンポジットの詳細は、composite.xmlファイルに格納されています。

図1-2 コンポジット

コンポジット
「図1-2 コンポジット」の説明

表1-1は、図1-1に示すSOAコンポジット・アプリケーションの操作性を説明しています。追加の詳細を示す参照項目が記載されています。

表1-1 SCAテクノロジを使用したSOAコンポジット・アプリケーションの概要

パート 説明 図1-1での使用例 参照項目

バインディング・コンポーネント

SOAコンポジットと外部との接続を確立します。 次の2種類があります。

  • サービス・バインディング・コンポーネントは、SOAコンポジット・アプリケーションへのエントリ・ポイントを提供します。

  • 参照バインディング・コンポーネントにより、SOAコンポジット・アプリケーションから外部サービスにメッセージを送信できます。

SOAPバインディング・コンポーネント:

  • WSDLファイルでその機能を広告します。

  • .NETアプリケーションからSOAPメッセージを受信します。

  • セキュリティ・チェックのために、ポリシー・インフラストラクチャを通じてメッセージを送信します。

  • メッセージを正規化されたメッセージ(XMLフォーマットでのサービスのWSDL規約の内部表現)に変換します。

  • メッセージをサービス・インフラストラクチャに転送します。

図1-1の参照バインディング・コンポーネントの例には、融資プロセス申請があります。

第1.3.1項「バインディング・コンポーネント」


サービス・インフラストラクチャ

内部メッセージ・トランスポートを提供します。

サービス・インフラストラクチャ:

  • SOAPバインディング・コンポーネント・サービスからメッセージを受信します。

  • 処理するメッセージを、最初にBPELプロセス・サービス・エンジンに転送し、次にヒューマン・タスク・サービス・エンジンに転送します。

第1.3.2項「サービス・インフラストラクチャ」


サービス・エンジン(サービス・コンポーネントをホストするコンテナ)

サービス・コンポーネントのビジネス・ロジックまたは処理ルールをホストします。 各サービス・コンポーネントには、独自のサービス・エンジンがあります。

BPELサービス・エンジン:

  • BPEL融資プロセス申請が処理するメッセージをサービス・インフラストラクチャから受信します。

  • 処理が完了するとメッセージをサービス・インフラストラクチャに転送します。

第1.3.3項「サービス・エンジンおよびサービス・コンポーネント」


UDDIおよびMDS

MDS(メタデータ・サービス)リポジトリには、使用可能なサービスの説明が保存されます。 UDDIでは、これらのサービスが広告され、実行時における検出と動的バインディングを可能にします。

このコンポジット・アプリケーションで使用されるSOAPサービスは、MDSに保存され、またUDDIに対して公開できます。

『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suiteスタート・ガイド』

SOAアーカイブ: コンポジット

(デプロイメント・ユニット)

コンポジット・アプリケーションを記述するデプロイメント・ユニット。

コンポジット・アプリケーションのSOAアーカイブ(SAR)はサービス・インフラストラクチャにデプロイされます。

第1.3.4項「デプロイ済サービス・アーカイブ」



1.3.1 バインディング・コンポーネント

バインディング・コンポーネントは、SOAコンポジットと外部との接続を確立します。バインディング・コンポーネントには、次の2種類があります。

  • サービス

    外部に対してSOAコンポジット・アプリケーションへのエントリ・ポイントを提供します。サービスのWSDLファイルは、その機能を外部アプリケーションに広告します。これらの機能は、SOAコンポジット・アプリケーション・コンポーネントとの接続するのに使用されます。 サービスのバインディング接続性には、サービス(SOAP/HTTPやJCAアダプタなど)と通信できるプロトコルが記述されています。

  • 参照

    SOAコンポジット・アプリケーションから外部にある外部サービスに送信するメッセージを有効にします。

表1-2では、Oracle SOA Suiteで提供されるWebサービスをリストして説明します。

表1-2 Oracle SOA Suiteで提供されるWebサービス

Webサービス 説明

SOAP over HTTP

SOAP over HTTPを使用した標準ベース・サービスへの接続

JCAアダプタ

テクノロジ(データベース、ファイル・システム、FTPサーバー、メッセージング: JMS、IBM WebSphere MQなど)およびアプリケーション(Oracle E-Business Suite、PeopleSoftなど)への、サービスと参照の統合。 このアダプタには、AQアダプタ、データベース・アダプタ、ファイル・アダプタ、FTPアダプタ、JMSアダプタ、MQアダプタおよびソケット・アダプタが含まれます。

B2Bバインディング・コンポーネント

MDSリポジトリでのB2Bメタデータの参照および文書定義の選択

ADF-BCサービス

SOAプラットフォームがあるSDOを使用したOracle Application Development Framework(ADF)アプリケーションへの接続

Oracle Applications

Oracle ApplicationsへのOracle Applicationアダプタの統合

BAMアダプタ

Oracle BAMサーバーへのJava EEアプリケーションの統合。このサーバーは、データを送信し、SOAコンポジット・アプリケーションでは、参照バインディング・コンポーネントとしても使用されます。

EJBサービス

Enterprise JavaBeansへのSDOパラメータの統合



注意:

ビジネス・イベントは、WSDLファイル規約の直接サービス起動の使用の代替案を提供します。ビジネス・イベントは、発生や状況の結果として送信されるメッセージです。公開されたビジネス・イベントは、他のアプリケーションでサブスクライブできます。

1.3.2サービス・インフラストラクチャ

サービス・インフラストラクチャは、次の内部メッセージ・ルーティング・インフラストラクチャ機能を提供して、コンポーネントを接続し、データ・フローを有効にします。

  • SOAPサービスやアダプタを介して、サービス・プロバイダや外部パートナからメッセージを受信します。

  • メッセージを適切なサービス・エンジンに送信します。

  • サービス・エンジンから受信したメッセージを、ワイヤリングに基づいて、コンポジットの追加サービス・エンジンまたは参照バインディング・コンポーネントに送信します。

1.3.3 サービス・エンジンおよびサービス・コンポーネント

サービス・コンポーネントは、SOAコンポジット・アプリケーションの構築に使用するビルディング・ブロックです。サービス・エンジンは、これらのサービス・コンポーネントのビジネス・ロジックや処理ルールをホストするコンテナです。サービス・エンジンはサービス・インフラストラクチャから受信したメッセージ情報を処理します。

次のサービス・コンポーネントを使用できます。各サービス・コンポーネントに対して同じ名前の対応するサービス・エンジンがあります。すべてのサービス・エンジンは、単一のコンポジットでの相互作用が可能です。

  • BPELプロセス

    プロセス・オーケストレーションおよび同期または非同期プロセスの保存。一連のビジネス・アクティビティとサービスをエンドツーエンドのプロセス・フローに統合するビジネス・プロセスを設計します。

  • ビジネス・ルール

    ルールに基づいたビジネス上の意思決定の設計

  • ヒューマン・タスク

    ユーザーまたはグループが、エンドツーエンドのビジネス・プロセス・フローの一環として実行するタスクを記述するワークフローのモデリング

  • メディエータ

    異なるコンポーネントの間のルーティング・イベント(メッセージ)

1.3.4 デプロイ済サービス・アーカイブ

SARは、SOAアーカイブ・デプロイメント・ユニットです。SARファイルは、サービス・インフラストラクチャにデプロイされます。SARは、BPELプロセス、ビジネス・ルール、ヒューマン・タスクおよびメディエータ・ルーティング・サービスなどのサービス・コンポーネントを単一のアプリケーションにパッケージ化します。SARファイルは、以前のリリースのBPELスーツケース・アーカイブと類似していますが、上位のコンポジット・レベルで対応し、アプリケーションに含まれる追加サービス・コンポーネント(ヒューマン・タスク、ビジネス・ルールおよびメディエータ・ルーティング・サービスなど)があります。

1.3.5 ワイヤ

ワイヤを使用すると、メッセージ通信のために、次のコンポーネントを単一のSOAコンポジット・アプリケーションでグラフィカルに接続できます。

  • サービス・コンポーネントに対するサービス

  • 他のサービス・コンポーネントに対するサービス・コンポーネント

  • 参照に対するサービス・コンポーネント

1.4 Oracle SOA Suiteの理解

Oracle SOA Suiteをアプリケーションで最適に使用する方法については、この開発者ガイド以外に、次のリソースも参照してください。