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Oracle Application Server 管理者ガイド
10gリリース3(10.1.3.4)

B50830-01
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6 アプリケーション・サーバー・インスタンスの再構成

Oracle Application Serverをインストールしたときに、インストール・タイプとインスタンスをクラスタの一部にするかどうかを指定しました。インストールの後、Oracle Application Serverインスタンスの追加、OC4Jインスタンスの追加または削除、インスタンスのクラスタ化、OracleAS Web Cacheのリバース・プロキシとしての使用、または中間層インストールでのIdentity Managementの使用が必要になる場合があります。この章では、このようなインストール・タイプの変更方法について説明します。

この章の項目は次のとおりです。

Oracle Internet Directoryで匿名バインドが無効になっている場合、構成を変更する前に有効にする必要があります。詳細は、第6.8項「匿名バインドの有効化と無効化」を参照してください。

6.1 アプリケーション・サーバーの追加インスタンスの作成と使用

この項では、アプリケーション・サーバーの追加インスタンスの作成方法および使用方法について説明します。この項の項目は次のとおりです。

6.1.1 複数のアプリケーション・サーバー・インスタンスの概要

デフォルトでは、Oracle Application Serverをインストールすると、ORACLE_HOMEがインストールおよび構成され、このORACLE_HOME内にアプリケーション・サーバー・インスタンスが作成されます。

単一のOracle Application Serverインストール(ORACLE_HOME)を使用して、複数のアプリケーション・サーバー・インスタンスを作成できます。これらのインスタンスは、ORACLE_HOMEに対してローカルにしたり、ORACLE_HOMEの同一ホスト上にある別のディレクトリ内に配置することができます。または、ネットワーク上の複数のホストに分散配置できます。

アプリケーション・サーバー・インスタンスでは、ORACLE_HOMEのバイナリ・ファイルが使用されますが、そのインスタンス固有の構成ファイルも含みます。そのため、アプリケーション・サーバー・インスタンスは、構成ホーム(CONFIG_HOME)とも呼ばれています。各CONFIG_HOMEには、HTTPサーバー・インスタンスと、デフォルトのOC4Jインスタンスを含む、任意の数のOC4Jインスタンスを含めることができます。さらに、CONFIG_HOMEでは、それぞれOracle Process Manager and Notification(OPMN)サーバーもサポートされており、これによりインスタンスの各プロセスを起動および停止できます。

図6-1に、アプリケーション・サーバー・インスタンスの概念ビューと、ORACLE_HOMECONFIG_HOMEの間の関係を示します。

図6-1    複数のアプリケーション・サーバー・インスタンスの概念ビュー


画像の説明

アプリケーション・サーバー・インスタンスでは、柔軟な配置モデルが実現され、多くの配置シナリオをサポートできます。また、アプリケーション・サーバー・インスタンスでは、各インスタンスが独自のORACLE_HOMEに依存していないため、より容易な管理とインストールが可能になります。

アプリケーション・サーバーの追加インスタンスを作成する場合、自動化スクリプトを使用できます。このスクリプトは、OPMN、Oracle HTTP Server、OC4Jの構成ファイルなど、アプリケーション・サーバー・インスタンスに必要なすべての構成ファイルをコピーします。その後、これらの構成ファイルを必要に応じて更新します(たとえば、ポート値と環境変数の割当て)。最後に、Application Server ControlおよびEnterprise Manager Grid Controlを使用したアプリケーション・サーバー・インスタンスの管理をサポートします。

6.1.2 アプリケーション・サーバー・インスタンスの作成スクリプトのインストール

アプリケーション・サーバー・インスタンスを作成するには、installPatchスクリプトを実行する必要があります。

次の手順に従います。

  1. 次のディレクトリに移動します。

    $ORACLE_HOME/confighomes/bin
    
    
  2. installPatchスクリプトを実行します。次に例を示します。

    ./installPatch ORACLE_HOME
    
    

このスクリプトは、Oracleホームに必要なファイルをコピーします。

6.1.3 アプリケーション・サーバー・インスタンスの作成

アプリケーション・サーバーの追加インスタンスを作成するには、createASinstanceスクリプトを使用します。このスクリプトは、ORACLE_HOME/confighomes/binディレクトリにあり、アプリケーション・サーバー・インスタンスの作成に必要な作業を自動化します。必要な作業には、次のものがあります。

スクリプトを実行したら、第6.2項の説明にあるように、createinstanceスクリプトを使用してOC4Jの追加インスタンスをアプリケーション・サーバー・インスタンスに追加できます。


注意

createASinstanceスクリプトでは、デフォルトOC4Jインスタンスの作成にパスワードを使用します。このパスワードはORACLE_HOME/confighomes/conf/defpwdファイルに定義されていますが、インストール時にORACLE_HOMEの作成に使用したパスワードと同じである必要があります。ORACLE_HOMEのパスワードがdefpwdファイルで定義されているパスワードと異なる場合は、createASinstanceスクリプトを実行する前にdefpwdファイルを更新してください。 


createASinstanceスクリプトは、次のように使用します。

createASinstance ORACLE_HOME ORACLE_CONFIG_HOME PORT_POOL_INDEX command

使用可能なcommandオプションは次のとおりです。

-full [-isNotAdmin] [-oc4jName name] [-apacheRoot path] [-repository path]
      [-startall] [-opmnSnippet file]
-oc4j [-isNotAdmin] [-oc4jName name] [-repository path] [-startall]
      [-opmnSnippet file]
-ohs  [-apacheRoot path] [-repository path] [-startall]
-opmn [-repository path] [-startall]

表6-1に、引数を示します。表の後には例が続きます。

表6-1    createASinstanceスクリプトの引数 
引数  説明 

ORACLE_HOME 

Oracle Application Serverのバイナリ・ファイルのインストール場所。 

ORACLE_CONFIG_HOME 

アプリケーション・サーバー・インスタンスのインストール場所。アプリケーション・サーバー・インスタンスはどこにでもインストールできるため、ORACLE_HOMEディレクトリ内に配置する必要はありません。

インストール場所がリモート・ホスト上にある場合は、そのディレクトリに対する読取りおよび書込みの権限が必要です。 

PORT_POOL_INDEX 

ポート・プールの索引番号。インスタンスのOPMNにおけるローカル・ポート、リモート・ポート、リクエスト・ポート、およびHTTPポート(該当する場合)でどのポート番号を使用するかを決定します。有効なプール索引値は、1〜100の数値です。アプリケーション・サーバー・インスタンスは、それぞれ異なるポート・プール索引に関連付ける必要があります。

指定した索引値がORACLE_HOME/confighomes/conf/portlist.iniファイルの基本ポート値に追加されることにより、インスタンスの新しいポート値が算出されます。たとえば、OC4J HTTPの基本ポート値は6310です。索引値が1の場合、基本ポート値が6311に増加し、この値がインスタンスのOC4J HTTPポート値に割り当てられます。 

-full 

OPMNインスタンス、Oracle HTTP ServerインスタンスおよびデフォルトのOC4Jインスタンスを含むアプリケーション・サーバー・インスタンスを作成します。OC4Jのデフォルト設定では、AJPプロトコルを使用し、Application Server Controlを起動します。また、Oracle HTTP Serverへのルーティングが可能です。これらの設定は、それぞれのコマンド引数によって上書きされないかぎり有効です。 

-oc4j 

OPMNインスタンスおよびデフォルトのOC4Jインスタンスを含むアプリケーション・サーバー・インスタンスを作成します。OC4Jのデフォルト設定では、HTTPプロトコルを使用し、Application Server Controlを起動しますが、Oracle HTTP Serverへのルーティングはできません。 

-ohs 

OPMNインスタンスおよびOracle HTTP Serverインスタンスを含むアプリケーション・サーバー・インスタンスを作成します。 

-opmn 

OPMNインスタンスのみを含むアプリケーション・サーバー・インスタンスを作成します。 

-isNotAdmin 

デフォルトのOC4Jインスタンスで、Application Server Controlを起動しないことを示します。アクティブなApplication Server Controlを管理する方法については、第A.6項を参照してください。 

-oc4jName name 

デフォルトのOC4Jインスタンスの名前。名前がない場合のデフォルト名はdefault_oc4jです。 

-apacheRoot path 

Oracle HTTP Server 2.0インスタンスを作成します。Oracle HTTP Server 2.0はCompanion CDに収録されていますが、すでにインストール済である必要があります。この引数の値は、Oracle HTTP Server 2.0のインストール先の最上位ディレクトリへのパスになります。この引数が指定されていない場合、アプリケーション・サーバーにバンドルされているOracle HTTP Serverがデフォルトで使用されます。 

-repository path 

オプション。リポジトリ・ファイル(confighomes.lst)の書込み先である別のディレクトリ・パス。Enterprise Manager Grid Controlでは、このファイルを使用して新しいアプリケーション・サーバー・インスタンスを検出します。パスが指定されていない場合、デフォルト・パスはORACLE_HOME/confighomesになります。別のディレクトリが必要になるのはORACLE_HOMEへの書込み権限がない場合や、NFSマウント・ドライブにORACLE_HOMEがあるときにアプリケーション・サーバー・インスタンスを、NFSマウントしたORACLE_HOMEホスト以外のホストに作成した場合です。

リポジトリ・ファイルの使用方法の詳細は、第6.1.7項「Enterprise Manager Grid Controlでのアプリケーション・サーバー・インスタンスの検出」を参照してください。 

-startall 

オプション。アプリケーション・サーバー・インスタンスの作成後に、OPMNとその管理プロセスを起動します。この引数が指定されていない場合、OPMNを手動で起動する必要があります。OPMNを手動で起動する方法の詳細は、第6.1.4項「アプリケーション・サーバー・インスタンスのプロセスの起動と停止」を参照してください。 

-opmnSnippet file 

オプション。デフォルトのOC4Jインスタンスの作成に使用する別のOPMNスニペット・ファイルを指定します。この引数が指定されていない場合、ORACLE_HOME/confighomes/templates/config/oc4j_home.xmlファイルがデフォルトで使用されます。

スニペット・ファイルを編集すると、インスタンスを作成する前に多くのデフォルトOC4Jプリファレンスを変更できます。詳細は、第6.1.6項「デフォルトのOC4J設定の変更」を参照してください。 

アプリケーション・サーバー・インスタンスの作成例

この項の例は、createASinstanceスクリプトの一般的な用途のいくつかを示しています。

次の例では、/shiphomes/10131_PROD/のApplication Serverインストールを使用して、/as_instance/cfghomes/home1ディレクトリの下に新しいASインスタンスを作成します。デフォルトのOC4Jインスタンスはdefault_oc4jというデフォルト名で作成され、Application Server Controlインスタンスを含みます。アプリケーション・サーバー・インスタンスのポートは、ポート・プールの索引番号1に基づいて割り当てられます。

cd $ORACLE_HOME/confighomes/bin
./createASinstance /shiphomes/10131_PROD/ /as_instance/cfghomes/home1 1 -oc4j

この後の例では、/shiphomes/10131_PROD/のApplication Serverインストールを使用して、/as_instance/cfghomes/home2ディレクトリの下に新しいASインスタンスを作成します。デフォルトのOC4Jインスタンスはdefault_oc4jというデフォルト名で作成され、Application Server Controlインスタンスを含みます。Oracle HTTP Serverインスタンスが作成され、AJPプロトコルを使用してOC4Jインスタンスにルーティングできます。ポートは、ポート・プールの索引番号2に基づいて割り当てられます。最後に、アプリケーション・サーバー・インスタンスのすべてのプロセスが自動的に起動されます。

cd $ORACLE_HOME/confighomes/bin
./createASinstance /shiphomes/10131_PROD/ /as_instance/cfghomes/home2 2 -full -startall

6.1.4 アプリケーション・サーバー・インスタンスのプロセスの起動と停止

各アプリケーション・サーバー・インスタンスのプロセスを手動で起動および停止するにはOPMNを使用する必要がありますが、そのためにはインスタンスのopmn/bin/opmnctlスクリプトを使用します。このスクリプトは、ORACLE_HOMEインスタンスにあるopmnctlスクリプトのラッパーとして機能し、opmnctlと同じ引数を使用します。opmnctlスクリプトを使用してプロセスを起動および停止する方法の詳細は、『Oracle Process Manager and Notification Server管理者ガイド』の「OPMNの使用」を参照してください。

6.1.4.1 アプリケーション・サーバー・インスタンスのプロセスの起動

OPMNを使用してアプリケーション・サーバー・インスタンスの管理プロセスを起動するには、各インスタンスで次のコマンドを発行します。

(UNIX) ORACLE_CONFIG_HOME/opmn/bin/opmnctl startall
(Windows) ORACLE_CONFIG_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl.bat startall

Windowsの場合、各アプリケーション・サーバー・インスタンスでプロセスを起動する前に次のことを行ってください。また、ORACLE_HOMEのOPMNインスタンスも手動で起動する必要があります。

6.1.4.2 アプリケーション・サーバー・インスタンスのプロセスの停止

OPMNを使用してアプリケーション・サーバー・インスタンスの管理プロセスを停止するには、各インスタンスで次のコマンドを発行します。

(UNIX) ORACLE_CONFIG_HOME/opmn/bin/opmnctl stopall
(Windows) ORACLE_CONFIG_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl.bat stopall

6.1.5 アプリケーション・サーバー・インスタンスの削除

アプリケーション・サーバー・インスタンスを削除するには、removeASinstanceスクリプトを使用します。このスクリプトは、ORACLE_HOME/confighomes/binディレクトリにあります。CONFIG_HOMEに関連付けられているすべてのファイルを削除して、Enterprise Manager Grid Controlリポジトリ・ファイルからインスタンスを削除します。

このスクリプトは、次のように使用します。

removeASinstance ORACLE_HOME ORACLE_CONFIG_HOME [-repository path][-force]

表6-2に、引数を示します。表の後には例が続きます。

表6-2    removeASinstanceスクリプトの引数 
引数  説明 

ORACLE_HOME 

Oracle Application Serverのバイナリ・ファイルのインストール場所。 

ORACLE_CONFIG_HOME 

削除されるアプリケーション・サーバー・インスタンス。 

-repository path 

オプション。リポジトリ・ファイル(confighomes.lst)の配置先のディレクトリ・パス。Enterprise Manager Grid Controlでは、このファイルを使用してアプリケーション・サーバー・インスタンスを検出します。ファイルが更新され、アプリケーション・サーバー・インスタンスの参照が削除されます。パスが指定されていない場合、デフォルト・パスはORACLE_HOME/confighomesになります。

リポジトリ・ファイルの使用方法の詳細は、第6.1.7項「Enterprise Manager Grid Controlでのアプリケーション・サーバー・インスタンスの検出」を参照してください。 

-force 

オプション。OPMNとその管理プロセスを停止します。この引数が指定されていない場合、removeASinstanceスクリプトを使用する前にOPMNを手動で停止する必要があります。 

アプリケーション・サーバー・インスタンスの削除例

次の例では、/as_instance/cfghomes/home1にあるアプリケーション・サーバー・インスタンスの削除方法を示します。インスタンスの全プロセスは、手動で個別に停止されます。

cd/as_instance/cfghomes/home1/opmn/bin
./opmnctl stopall
cd $ORACLE_HOME/confighomes/bin
./removeASinstance /shiphomes/10131_PROD/ /as_instance/cfghomes/home1

6.1.6 デフォルトのOC4J設定の変更

createASinstanceスクリプトは、OPMNスニペット・ファイルを使用して、アプリケーション・サーバー・インスタンスのopmn.xmlファイルにデフォルトOC4Jインスタンスの<process-type>ノードを作成します。デフォルトのOPMNスニペット・ファイルには、oc4j_home.xmlという名前が付けられてからORACLE_HOME/confighomes/templates/config/ディレクトリに配置されます。

スクリプトの使用時には、新しいスニペット・ファイルを作成して-opmnSnippet引数の値として指定できます。これにより、デフォルトのOC4Jインスタンスを特定の環境用に事前構成できるため、デフォルトのOC4Jインスタンスを作成した後の構成作業を最低限に抑えられます。opmn.xmlファイルで使用可能な各要素の詳細は、『Oracle Process Manager and Notification Server管理者ガイド』を参照してください。デフォルトのOC4J設定を次の例に示します。

<opmn xmlns="http://www.oracle.com/ias-instance">
   <process-type id="home" module-id="OC4J" status="enabled">
      <module-data>
         <category id="start-parameters">
            <data id="java-options" value="-server -XX:MaxPermSize=128M -ms512M
               -mx1024M -XX:AppendRatio=3 -Djava.security.policy=
               $ORACLE_HOME/j2ee/home/config/java2.policy -Djava.awt.headless=true
               -Dhttp.webdir.enable=false"/>
         </category>
         <category id="stop-parameters">
            <data id="java-options" value="-Djava.security.policy=
               $ORACLE_HOME/j2ee/home/config/java2.policy -Djava.awt.headless=true
               -Dhttp.webdir.enable=false"/>
         </category>
      </module-data>
      <start timeout="600" retry="2"/>
      <stop timeout="120"/>
      <restart timeout="720" retry="2"/>
      <port id="default-web-site" range="12501-12600" protocol="ajp"/>
      <port id="rmi" range="12401-12500"/>
      <port id="rmis" range="12701-12800"/>
      <port id="jms" range="12601-12700"/>
      <process-set id="default_group" numprocs="1"/>
   </process-type>
</opmn>


注意

スニペット・ファイルは、デフォルトのOC4Jインスタンスの作成に-full引数または-oc4j引数を使用した場合にのみ使用されます。 


6.1.7 Enterprise Manager Grid Controlでのアプリケーション・サーバー・インスタンスの検出

デフォルトでは、Oracle Application Serverインスタンスの管理にApplication Server Controlを使用します。アプリケーション・サーバーの追加インスタンスでは、Enterprise Manager Grid Controlを使用して管理します。これらのインスタンスの検出には、まずEnterprise Manager Grid Controlを使用します。


注意

Enterprise Manager Grid Controlの配置手順を実装すると、アプリケーション・サーバー・インスタンスの作成と検出を同時に実行できます。詳細は、Enterprise Manager Grid Controlのマニュアルを参照してください。

http://www.oracle.com/technology/documentation/oem.html 


アプリケーション・サーバー・インスタンスを検出する手順は次のとおりです。

  1. Enterprise Manager Grid Controlにログインします。

  2. 「アプリケーション・サーバー」タブにナビゲートします。

  3. アプリケーション・サーバーの追加」をクリックします。

  4. アプリケーション・サーバー・インスタンスの配置先ホストに関連付けられているEnterprise Manager Agent(10.2.0.4以上)を選択します。

ORACLE_HOMEと同じコンピュータにないアプリケーション・サーバー・インスタンスは、登録をしないとEnterprise Manager Grid Controlで検出されません。レジストリとは、各アプリケーション・サーバー・インスタンスのリポジトリ・ファイルの一覧のことです。リポジトリ・ファイルは、アプリケーション・サーバー・インスタンスの作成時に生成されます。アプリケーション・サーバー・インスタンスのリポジトリ・ファイルを指定する方法の詳細は、第6.1.3項を参照してください。アプリケーション・サーバー・インスタンスを作成する際に、デフォルト以外のリポジトリ・ファイルの場所を指定する場合は次の手順も実行してください。

分散されたアプリケーション・サーバー・インスタンスを検出する手順は次のとおりです。

  1. confighomeslst.addという名前のファイルを作成し、アプリケーション・サーバー・インスタンスの配置先ホストでEM Agentの/sysman/config/ディレクトリに保存します。

  2. confighomeslst.addファイルで、各アプリケーション・サーバー・インスタンスのリポジトリ・ファイル(confighomes.lst)へのフルパスを追加します。次に例を示します。

    /shared/confighomes1/confighomes.lst
    /shared/confighomes2/confighomes.lst
    
    

    複数のユーザーがホスト上にアプリケーション・サーバー・インスタンスを作成した場合、confighomeslst.addファイルに複数のエントリが追加されます。複数のインスタンスが同じconfighomes.lstファイルを使用する場合は、単一エントリのみが使用され、confighomes.lstファイル内にアプリケーション・サーバー・インスタンスが一覧表示されます。次に例を示します。

    # ConfigHome, <host>, OracleHome
    /local/confighomes/user1/cfghome_1,  myHost1, /shared/oraclehomes/10131_PROD
    /local/confighomes/user2/cfghome_1,  myHost2, /shared/oraclehomes/10131_PROD
    


    注意

    各ホストでは、ORACLE_HOMEが異なるマウント・ポイントで表示される場合があります。 


  3. ファイルを保存して閉じます。必要に応じて、この手順を追加ホストに対して繰り返します。

  4. 前述のEnterprise Manager Grid Controlの手順に従って、アプリケーション・サーバー・インスタンスを検出します。

6.2 OC4Jインスタンスの追加と削除

OC4Jインスタンスは、次の各項で説明するように、アプリケーション・サーバー・インスタンスに追加したり、アプリケーション・サーバー・インスタンスから削除することができます。

6.2.1 OC4Jインスタンスの追加

OC4Jインスタンスは、次の方法によってアプリケーション・サーバー・インスタンスに追加できます。

たとえば、Oracle WebCenter Frameworkのインストールに、新しいOC4Jインスタンスを追加できます。図6-2では、crmという名前の第2のOC4Jインスタンスがインストールに追加されています。

6.2.1.1 スクリプトを使用したOC4Jインスタンスの追加

createinstanceスクリプトは、OC4Jの追加インスタンスの作成に使用されます。このスクリプトは、ORACLE_HOME/binディレクトリにあります。


注意

作成処理の途中で、パスワードを入力するよう求められます。このパスワードは、このインスタンスのoc4jadminユーザーに関連付けられます。一貫性を保つために、oc4jadminユーザーを使用してデフォルトのOC4Jインスタンスにアクセスするときと同じパスワードを入力することもできます。 


このスクリプトは、次のように使用します。

createinstance -instanceName OC4J_instanceName [-configHome path] [-groupName 
groupname] [-httpPort port] [-protocol protocol] [numProcs number] [-startASControl] 
[-ASControlIsRoutable]

引数は表6-3で説明します。

表6-3    createinstanceスクリプトの引数 
引数  説明 

-instanceName 

作成されるOC4Jインスタンスの名前。 

-configHome 

オプション。OC4Jインスタンスの追加先となる、アプリケーション・サーバー・インスタンスのパス。パスが指定されていない場合、OC4JインスタンスはORACLE_HOMEにインストールされます。 

-groupName 

オプション。OC4Jインスタンスの割当て先となるグループの名前。グループ名が指定されていない場合、OC4Jインスタンスはdefault_groupグループに割り当てられます。 

-httpPort 

オプション。OC4Jインスタンスのdefault-web-siteで使用されるHTTPポート。この引数は、OC4JインスタンスがスタンドアロンJ2EEサーバーとして使用される場合にのみ必要です。この場合、OC4JインスタンスはOC4J HTTPリスナーを使用し、Oracle HTTP Serverを使用しません。 

-protocol 

オプション。OC4Jインスタンスのdefault-web-siteで使用されるプロトコル。OC4Jインスタンスは、AJPプロトコルおよびHTTPプロトコルの両方を使用できます。プロトコルが指定されていない場合、HTTPプロトコルが使用されます。OC4JインスタンスがOracle HTTP Serverによってアクセスされる場合は、AJPプロトコルを使用してください。 

-numProcs 

オプション。このOC4Jインスタンスで起動されるプロセスの数。プロセスの数が指定されていない場合、1つのプロセスが起動されます。 

-startASControl 

オプション。OC4Jインスタンスの起動時にApplication Server Controlを起動します。 

-ASControlIsRoutable 

オプション。OC4Jインスタンスの起動時にApplication Server Controlをルーティング可能にします。 

OC4Jインスタンスを作成したら、OPMNを使用して新しいOC4Jインスタンスを起動します。次に例を示します。

(UNIX) ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl startproc process-type=oc4J_instanceName
(Windows) ORACLE_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl startproc process-type=oc4J_instanceName

OC4JインスタンスがORACLE_HOMEインスタンス以外のアプリケーション・サーバー・インスタンスに存在する場合は、その特定のインスタンス用のopmnctlスクリプトを使用します。次に例を示します。

(UNIX) ORACLE_CONFIG_HOME/opmn/bin/opmnctl startproc process-type=oc4J_instanceName
(Windows) ORACLE_CONFIG_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl.bat startproc process-type=oc4J_
instanceName

6.2.1.2 Application Server Controlを使用したOC4Jインスタンスの追加

Application Server Controlを使用すると、アプリケーション・サーバー・インスタンスに、新しいOC4Jインスタンスを追加できます。

Application Server Controlを使用してOC4Jインスタンスを追加する手順は次のとおりです。

  1. 「アプリケーション・サーバー instance_name」ページにナビゲートします。

  2. OC4Jインスタンスの作成」をクリックします。

  3. 「OC4Jインスタンスの作成」ページで、次の情報を入力します。

    • OC4Jインスタンス名: インスタンスの名前を入力します。

    • 次のいずれかを選択します。

      • 名前を指定して既存のグループに追加:既存のグループ名」からグループを選択します。

      • 名前を指定して新規グループに追加:新規グループ名」フィールドに、新しいグループの名前を入力します。

    • 作成後にこのOC4Jインスタンスを起動します。」を選択します。

  4. 作成」をクリックします。

    インスタンスが作成され、確認画面が表示されます。

このOC4Jインスタンスのパスワードは、このインストールのoc4jadminユーザーのパスワードと同じになることに注意してください。

図6-2に、「クラスタ・トポロジ」ページの一部を示します。このページには、クラスタに追加された別のOC4Jインスタンスが表示されています。

図6-2    クラスタに追加されたOC4Jインスタンス


画像の説明

また、次に示すopmnctlコマンドを使用すると、インスタンスが追加されたことを確認できます。

ORACLE_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl status
Processes in Instance: OracleAS_WC.sta.oracle.com
---------------------------------+--------------------+---------+---------
ias-component                    | process-type       |     pid | status 
---------------------------------+--------------------+---------+---------
OC4JGroup:default_group          | OC4J:crm           |    9228 | Alive  
OC4JGroup:default_group          | OC4J:OC4J_WebCent~ |    8616 | Alive  
OC4JGroup:default_group          | OC4J:home          |    8615 | Alive  
ASG                              | ASG                |     N/A | Down   


注意

Secure Sockets Layer(SSL)を使用するようにRemote Management Interface(RMI)を構成した場合は、作成する各OC4Jインスタンスのrmi.xmlファイルに、適切な<ssl-config>要素を追加する必要があります。そうしないと、管理OC4Jインスタンスのopmn.xmlファイルに設定されている接続プロトコル・プロパティの値によっては、Application Server ControlからOC4Jインスタンスへの管理接続ができないか、セキュアでないRMIプロトコルが使用されます。詳細は、第A.3項「Application Server Controlに対するSSLの構成」を参照してください。 


関連項目

『Oracle Containers for J2EE構成および管理ガイド』の「別のOC4Jインスタンスの作成と管理」 

6.2.2 OC4Jインスタンスの削除

OC4Jインスタンスは、次の方法によってアプリケーション・サーバー・インスタンスから削除できます。

どちらの方法でも、OC4Jインスタンス用に作成されたディレクトリが削除され、インスタンスの構成データがopmn.xmlから削除されます。OC4Jインスタンスを削除する際は、次のガイドラインを参考にしてください。

6.2.2.1 スクリプトを使用したOC4Jインスタンスの削除

removeinstanceスクリプトは、OC4Jインスタンスの削除に使用されます。このスクリプトは、ORACLE_HOME/binディレクトリにあります。

OC4Jインスタンスを削除する手順は次のとおりです。

  1. インスタンスを停止します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl stopproc process-type=oc4J_instanceName
    (Windows) ORACLE_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl stopproc process-type=oc4J_instanceName
    
    

    OC4JインスタンスがORACLE_HOMEインスタンス以外のアプリケーション・サーバー・インスタンスに存在する場合は、その特定のインスタンス用のopmnctlスクリプトを使用します。次に例を示します。

    (UNIX) ORACLE_CONFIG_HOME/opmn/bin/opmnctl stopproc process-type=oc4J_instanceName
    (Windows) ORACLE_CONFIG_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl.bat stopproc process-type=oc4J_
    instanceName
    
    
  2. インスタンスを削除します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/bin/removeinstance -instanceName oc4J_instanceName
    (Windows) ORACLE_HOME¥bin¥removeinstance.bat -instanceName oc4J_instanceName
    
    

    OC4JインスタンスがORACLE_HOMEインスタンス以外のアプリケーション・サーバー・インスタンスに存在する場合は、-configHome引数を使用してアプリケーション・サーバー・インスタンスの場所を指定します。次に例を示します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/bin/removeinstance -instanceName oc4J_instanceName -ConfigHome 
    as_instance_location
    (Windows) ORACLE_HOME¥bin¥removeinstance.bat -instanceName oc4J_instanceName 
    -ConfigHome as_instance_location
    

6.2.2.2 Application Server Controlを使用したOC4Jインスタンスの削除

Application Server Controlを使用すると、アプリケーション・サーバー・インスタンスからOC4Jインスタンスを削除できます。

Application Server Controlを使用してOC4Jインスタンスを削除するには、次の手順を実行します。

  1. 「アプリケーション・サーバー instance_name」ページにナビゲートします。

  2. 削除するインスタンスに対応する「削除」アイコンをクリックします。

  3. 確認ページで「はい」をクリックします。

    インスタンスが削除され、確認画面が表示されます。

6.3 クラスタ・トポロジの構成

クラスタ・トポロジは、2つ以上の接続されたOracle Application Serverノードとして定義されます。

クラスタを作成する理由には、次のものがあります。

このリリースでは、次のタイプのクラスタ・トポロジを作成できます。

クラスタ・トポロジは、次の方法で構成できます。

次の項では、3つのノードからなるクラスタを作成し、OC4Jインスタンスの2つのグループを作成します。次に、OC4Jインスタンスを2つのノードに追加してグループに割り当て、作成したOC4Jインスタンスに複数のJVMを指定します。

図6-4に、この構成を示します。

図6-4    クラスタにおける複数のOC4J中間層、追加のOC4Jインスタンスおよび1つのWebサーバー中間層


画像の説明

6.3.1 WebサーバーとOC4Jの個別ホストへの構成

この例では、1台のホストにWebサーバーであるOracle HTTP Serverをインストールし、別のホストにOracle WebCenter Framework(Oracle Containers for J2EE(OC4J)が含まれている)をインストールします。その後、動的ノード検出を使用して、インスタンスをクラスタ化します。これにより、Oracle HTTP ServerはOC4Jにリクエストをルーティングし、OC4Jはアプリケーションがデプロイされたときに、新しいアプリケーションのバインディングをOracle HTTP Serverに動的に通知できるようになります。

図6-5に、この環境を示します。

図6-5    クラスタ内の別のホストにおけるWebサーバー中間層とOracle WebCenter Framework中間層


画像の説明

このシナリオでは、次のOracle Application Server中間層インスタンスを別のホストにインストールします(このシナリオでは、インストール時にクラスタを構成しません)。

中間層インスタンスをインストールしたら、次の手順に従って、これらのインスタンスを動的ノード検出用として構成します。

  1. Oracle HTTP Serverインスタンスに動的ノード検出を構成するには、opmnctl config topologyコマンドを使用して、OPMNマルチキャスト検出アドレスを設定します(Application Server Controlはこのインスタンス上で実行されていないため使用できず、opmnassociateはデフォルトのOC4Jインスタンスにhome以外の名前を使用しているため使用できません)。

    たとえば、UNIX上のOracle HTTP Serverインスタンスをマルチキャスト・アドレス225.0.0.33に関連付けるには、次のコマンドを使用します。

    ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl config topology update discover=*225.0.0.33:8001
    ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl reload
    
    
  2. Oracle WebCenter Frameworkインスタンスに動的ノード検出を構成するには、opmnctl config topologyコマンドまたはApplication Server Controlを使用します。この例では、Application Server Controlを使用して、次の手順を実行します。

    1. Application Server Controlの「クラスタ・トポロジ」ページから、「トポロジ・ネットワーク構成」をクリックします。

    2. 「トポロジ」セクションで、「マルチキャストを使用して動的ノード検出の構成中」を選択します。次に、Oracle HTTP Serverインスタンスと同じマルチキャスト・アドレスおよびポートを入力します。このシナリオでは、次を入力します。

      225.0.0.33:8001
      
      
    3. 適用」をクリックします。

    これで、両方のインスタンスが同じクラスタ・トポロジの一部になりました。

次のいずれかの方法で構成を確認します。

6.3.2 クラスタへの複数のJ2EEサーバー中間層の構成

この項で示す例は、前述の第6.3.1項の例をベースにしています。ここでは、別のJ2EEサーバー中間層(Oracle WebCenter Frameworkインストール)をクラスタ・トポロジに追加して、テスト用または本番用の高可用性環境をサポートします。

図6-7に、この環境を示します。

図6-7    クラスタにおける複数のJ2EEサーバー中間層と1つのWebサーバー中間層


画像の説明

このシナリオでは、次を行います。

次に、このインスタンスに動的ノード検出を構成するには、opmnctlコマンドを使用して、前のインスタンスと同じクラスタに追加します。

たとえば、UNIX上のJ2EE_2インスタンスをマルチキャスト・アドレス225.0.0.33に関連付けるには、次のコマンドを使用します。

ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl config topology update discover=*225.0.0.33:8001
ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl reload

これで、このインスタンスはクラスタ・トポロジの一部になり、J2EE_1の管理OC4Jインスタンスによって管理されます。このOC4Jインスタンスは、Apache JServ Protocol(AJP)を使用して、Oracle HTTP Serverからのリクエストを受信して応答します。

Application Server Controlまたはopmnctl @cluster statusコマンドを使用して、構成を確認します。たとえば、Application Server Controlを使用して確認する場合は、「クラスタ・トポロジ」ページにナビゲートします。このページの「メンバー」セクションには、図6-8に示すように、3つのインスタンスがすべて表示されます。

図6-8    更新したクラスタ・トポロジの確認


画像の説明

デフォルトのOC4JインスタンスであるhomeおよびOC4J_WebCenterインスタンスは、default_groupグループの一部です。図6-9は、「クラスタ・トポロジ」ページの「グループ」セクションを示しています。

図6-9    default_groupグループ


画像の説明

6.3.3 追加グループの作成

グループとは、同じクラスタ・トポロジに属するOC4Jインスタンスの集まりです。グループ内の実行されているすべてのOC4Jインスタンスに対して、構成操作を同時に実行できます。

グループは追加作成できます。このシナリオでは、次の2つの空グループを作成します。

グループごとに次の手順を実行します。

  1. 「クラスタ・トポロジ」ページの「グループ」セクションで、「作成」をクリックします。

  2. グループ名」に「FinancialServices_Group」を入力します。

  3. 作成」をクリックします。

  4. ステップ1から3を繰り返します。ただし、「グループ名」には「CustomerServices_Group」を入力します。

次の項では、新しいOC4Jインスタンスを作成して、それらをグループに追加します。

6.3.4 OC4Jインスタンスの追加とグループへの追加

第6.2項の説明では、OC4Jインスタンスを既存のOracleホームに追加しました。この項では、次の表に従って、インスタンスを追加作成し第6.3.3項で作成したグループに追加します。

アプリケーション・サーバー・インスタンス  OC4Jインスタンス名  グループ名 

J2EE_1 

finance1 

FinancialServices_Group 

J2EE_1 

finance2 

FinancialServices_Group 

J2EE_2 

finance3 

FinancialServices_Group 

J2EE_2 

callcenter1 

CustomerServices_Group 

4つのOC4Jインスタンスを作成するには、この表の情報を使用して、インスタンスごとに次の手順を実行します。

  1. 「アプリケーション・サーバー J2EE_1.hostname」などの、「アプリケーション・サーバー instance_name」ページにナビゲートします。

  2. OC4Jインスタンスの作成」をクリックします。

  3. 「OC4Jインスタンスの作成」ページで、次の情報を入力します。

    • OC4Jインスタンス名: インスタンスの名前を入力します。たとえば、J2EE_1インスタンスでは「finance1」などを入力します。

    • 名前を指定して既存のグループに追加」を選択し、「既存のグループ名」から適切なグループを選択します。

  4. 作成後にこのOC4Jインスタンスを起動します。」を選択します。

  5. 作成」をクリックします。

    インスタンスが作成され、確認画面が表示されます。

図6-10に、新しいOC4Jインスタンスが表示された、「クラスタ・トポロジ」ページの「メンバー」セクションを示します。

図6-10    新しいOC4Jインスタンスが表示された「クラスタ・トポロジ」ページ


画像の説明

図6-11に、新しいグループとそのメンバーが表示された、「クラスタ・トポロジ」ページの「グループ」セクションを示します。

図6-11    新しいグループが表示された「クラスタ・トポロジ」ページ


画像の説明

これで、第6.3項図6-4に示されたクラスタが構成されました。

6.3.5 複数のJVMの作成

OC4Jは、標準のJava Development Kit(JDK)のJava仮想マシン(JVM)上で実行されます。デフォルトでは、各OC4Jインスタンスは1つのJVMを使用します。しかし、1つのOC4Jインスタンスが複数のJVM上で実行されるように構成できます。

この場合、OC4Jインスタンスは複数のプロセスで実行されるのが基本です。これによって、デプロイ済のアプリケーションのパフォーマンスが向上し、一定レベルのフォルト・トレランスが実現されます。ただし、複数のJVMが効果的に動作するには、追加のハードウェア・リソースが必要です。


注意

アクティブなApplication Server Control(ascontrolアプリケーションで表される)をホストするOC4Jインスタンスは複数のJVMを実行するように構成できません。 


この例では、第6.3.4項で作成した各OC4Jインスタンスに追加のJVMを作成します。各OC4Jインスタンスで次の手順を実行します。

  1. OC4Jインスタンスのホーム・ページにナビゲートします。

  2. 管理」をクリックします。

  3. 必要に応じて「開く」アイコンをクリックし、表の「プロパティ」セクションを開きます。「サーバー・プロパティ」行の「タスクに移動」をクリックします。

  4. VMのプロセス数」フィールドに、構成するJVMの数を入力します。

  5. 適用」をクリックします。

  6. 「クラスタ・トポロジ」ページにナビゲートし、変更したOC4Jインスタンスを選択して、「再起動」をクリックします。確認ページで「はい」をクリックします。

6.4 リバース・プロキシとしての10.1.2 OracleAS Web Cacheの構成

10gリリース3(10.1.3.4)の中間層インスタンスには、リリース2(10.1.2)のOracleAS Web Cacheをリバース・プロキシとして使用できます。リバース・プロキシ・サーバーとして、OracleAS Web Cacheは中間層サーバーへのゲートウェイとして機能します。

次の各トピックでは、10gリリース3(10.1.3.4)の中間層インスタンスに、OracleAS Web Cacheリリース2(10.1.2)をリバース・プロキシとして構成する方法を説明します。

6.4.1 リバース・プロキシとしてのインスタンスの構成

中間層インスタンスには、リリース2(10.1.2)のOracleAS Web Cacheをリバース・プロキシとして使用できます。この項の手順では、次のことを前提にしています。

図6-12に、この項で説明するシナリオを示します。

図6-12    リバース・プロキシとしてのOracleAS Web Cache


画像の説明

リリース2(10.1.2)のスタンドアロンOracleAS Web Cacheインスタンスから、次の手順を実行します。

  1. OracleAS Web Cacheのユーザー名とパスワードを使用して、OracleAS Web Cache Managerにログインします。デフォルトのユーザー名はias_admin、パスワードはインストール時に指定したものです。次のURLを使用します。portには、OracleAS Web Cacheの管理ポートを指定します。

    http://hostname:port/webcacheadmin
    
    

    デフォルトのポートは、9400です。OracleAS Web Cacheスタンドアロン・インストールの管理ポート番号は、Oracle_Home/webcache/webcache.xmlファイルで確認できます。Oracle Application Serverインストールの一部であるOracleAS Web Cacheのポート番号を探すには、Application Server Controlで「ポート」リンクをクリックします。

  2. ナビゲータ・フレームで、「Origin Servers, Sites, and Load Balancing」→「Origin Servers」を選択します。

  3. 「Origin Servers」ページで、「Application Web Servers」セクションの「Add」をクリックします。

  4. 「Add Application Web Server」ダイアログ・ボックスに、次の情報を入力します。

    • Hostname」フィールドに、10gリリース3(10.1.3.4)の中間層インスタンスにあるオリジナル・サーバー(Oracle HTTP Server)のホスト名を入力します。

    • Port」フィールドに、オリジナル・サーバーがOracleAS Web Cacheのリクエストを受信するリスニング・ポート番号を入力します。

    • Routing」フィールドで、「ENABLED」を選択して、OracleAS Web Cacheがオリジナル・サーバーにリクエストをルーティングできるようにします。

    このダイアログ・ボックスにおける他のフィールドの詳細は、オンライン・ヘルプまたは『Oracle Application Server Web Cache管理者ガイド』を参照してください。

  5. Submit」をクリックします。

  6. オプションとして、新しいサイトを追加してオリジナル・サーバーにマップすることも、既存のサイトを使用することもできます。新しいサイトを追加するには、ナビゲータ・フレームで、「Origin Servers, Sites, and Load Balancing」→「Site Definitions」を選択します。

    サイトの追加方法の詳細は、オンライン・ヘルプまたは『Oracle Application Server Web Cache管理者ガイド』を参照してください。

  7. ナビゲータ・フレームで、「Origin Servers, Sites, and Load Balancing」→「Site-to-Server Mapping」を選択し、10gリリース3(10.1.3.4)の中間層インスタンスのオリジナル・サーバーにサイトをマップします。

  8. 「Site-to-Server Mapping」ページで、マッピングを選択し、「Insert Above」または「Insert Below」をクリックします。

  9. 「Edit/Add Site-to-Server Mapping」ダイアログ・ボックスで、次の操作を行います。

    • Select from Site definitions」を選択して、使用するサイト定義を選択します。

    • Select Application Web Servers」フィールドで、10gリリース3(10.1.3.4)の中間層インスタンスからアプリケーションWebサーバーを選択します。

6.4.2 リバース・プロキシとしてのOracleAS Web Cacheクラスタの構成

10gリリース3(10.1.3.4)の中間層インスタンスには、リリース2(10.1.2)のOracleAS Web Cacheインスタンスのクラスタをリバース・プロキシとして使用できます。

この項の手順では、次のことを前提にしています。

図6-13に、この項で説明するシナリオを示します。

図6-13    リバース・プロキシとしてのOracleAS Web Cacheクラスタ


画像の説明

OracleAS Web Cacheクラスタをリバース・プロキシとして構成するには、次の手順を実行します。

  1. 第6.4.1項の説明に従って、1つのOracleAS Web Cacheインスタンスをリバース・プロキシとして設定します。

  2. OracleAS Web Cacheのユーザー名とパスワードを使用して、そのインスタンスのOracleAS Web Cache Managerにログインします。デフォルトのユーザー名はias_admin、パスワードはインストール時に指定したものです。次のURLを使用します。portには、OracleAS Web Cacheの管理ポートを指定します。

    http://hostname:port/webcacheadmin
    
    
  3. 次の手順に従って、キャッシュ・クラスタのプロパティを構成します。

    1. OracleAS Web Cache Managerのナビゲータ・フレームで、「Properties」→「Clustering」を選択します。

    2. 「Clustering」ページの「General Cluster Information」セクションで、「Edit」をクリックします。

      オンライン・ヘルプの説明または『Oracle Application Server Web Cache管理者ガイド』の第10章の説明に従ってください。

  4. クラスタ内に配置するインスタンスごとに、次の手順を実行して、他のキャッシュをクラスタに追加します。

    1. OracleAS Web Cache Managerのナビゲータ・フレームで、「Properties」→「Clustering」を選択します。

    2. 「Clustering」ページの「Cluster Members」セクションで、「Add」をクリックします。

      オンライン・ヘルプの説明または『Oracle Application Server Web Cache管理者ガイド』の第10章の説明に従ってください。

  5. すべてのキャッシュをクラスタに追加したら、次の手順に従って、クラスタの構成をクラスタのメンバーに伝播します。

    1. OracleAS Web Cache Managerのナビゲータ・フレームで、「Operations」→「Cache Operations」を選択します。

    2. All Caches」を選択し、「Propagate」をクリックします。

    3. All Caches」を選択し、「Restart」をクリックして、すべてのキャッシュを再起動します。

6.5 Oracle Application Server 10.1.3でのOracle Application Server 10.1.2の構成

既存のOracle Application Serverリリース2(10.1.2)のコンポーネントおよびアプリケーションで、Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.4)の最新のJ2EE機能を使用するには、Oracle Application Server リリース2(10.1.2)の中間層にあるOracle HTTP Serverを、Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.4)の中間層のフロントエンドとして使用できます。この項では、相互運用性を確保するために、Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.4)とOracle HTTP Serverリリース2(10.1.2)のインストールおよび構成を行う手順を示します。

ファームまたはクラスタで、次のコンポーネントをインストールするか、または探します。

Infrastructureに関連付けられているリリース2(10.1.2)中間層では、リリース2(10.1.2)中間層のons.confファイルがこの構成では更新されないため、次の手順のステップ3から開始してください。この構成では、Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.4)によって2つのインスタンス間における接続が開始します。Infrastructureに関連付けられていない中間層では、ステップ1から開始します(J2EE and Web Cacheタイプの中間層は、Infrastructureに関連付けられている場合と関連付けられていない場合があります)。

構成手順

2台のサーバーを構成するには、次の手順を実行します。

  1. サーバー1で、次のようにDCMを使用してサーバー2を追加します。

    ORACLE_HOME/dcm/bin/dcmctl addOPMNLink server2_ip:server2_ons_remote_port
    
    

    この例では、次のようになります。

    • server2_ipはサーバー2のIPアドレスです。IPアドレスを確認するには、次のpingコマンドを使用できます。

      ping server_name
      
      
    • server2_ons_remote_portは、サーバーのリモートONSポートです。ポート番号はopmn.xmlファイルに記載されています。次の例では、リモート・ポートは6200です。

      <notification-server interface="ipv4">
            <port local="6100" remote="6200" request="6003"/>
      
      
  2. ORACLE_HOME/opmn/confディレクトリのons.confの内容を調べて、サーバー2が追加されたことを確認します。このファイルには、カンマで区切られたhostname/ip:ons_remote_portエントリのリストが含まれています。リモート・ポートとはサーバー2上のポートで、サーバー1上のOPMNがサーバー2との通信に使用するものです。リストには、次のようなエントリがあります。

    127.2.148.142:6200
    
    
  3. サーバー2で、静的ノード対ノード通信を使用するクラスタにサーバー1を追加します。これには、次のように、ORACLE_HOME/opmn/conf/opmn.xmlのトポロジ・セクションを編集します。

    <notification-server>
    ...
       <topology>
          <nodes list="server1_ip:remote_port,server2_ip:remote_port"/>
       </topology>
    </notification-server>
    
    

    この例で、server*_ipはサーバー1またはサーバー2のIPアドレスを、remote_portは他のサーバーがこのサーバーとの通信に使用するポート番号を示します。たとえば、次のように指定します。

    127.2.148.142:6200
    
    

    opmn.xmlにONSを構成するには、マスターだけでなく、すべてのOracle RACインスタンス・ノードを一覧表示する必要があります。host1、host2、host3、host4を持つOracle RACの場合、リストは次のようになります。

    list="host1:ONSRemotePort,host2:ONSRemotePort,host3:ONSRemotePort,host4:ONSRemotePo
    rt"
    
    

    Oracle RAC環境では、SSL設定はすべてのノードで同じ(有効または無効)にする必要があります。

  4. サーバー2で、OPMNをリロードします。

    ORACLE_HOME_SERVER2/opmn/bin/opmnctl reload
    
    
  5. 次のコマンドを実行して、両方のサーバーが相互に通信できることを確認します。

    • サーバー1の場合

      ORACLE_HOME_SERVER1/opmn/bin/opmnctl @farm status
      
      
    • サーバー2の場合

      ORACLE_HOME_SERVER2/opmn/bin/opmnctl @cluster status
      
      

      これらのコマンドを実行すると、ファームまたはクラスタの一部であるサーバーのリストが生成されます。

  6. サーバー1で、次のように、ORACLE_HOME/Apache/Apache/conf/mod_oc4j.confファイルにOC4Jマウント・ディレクティブを設定します。

    Oc4jMount /MyApp instance://server2_instance_name:oc4j_instance_name
    Oc4jMount /MyApp/* instance://server2_instance_name:oc4j_instance_name
    
    

    10gリリース3(10.1.3.4)にデプロイされるJ2EEアプリケーションごとに、マウント・ポイントを1つ追加する必要があります。新しいアプリケーションを追加したら、新しいマウント・ポイントも追加する必要があります。

  7. サーバー1で、構成を更新します(mod_oc4J.confを手動で編集したときは、そのたびに構成の更新が必要です)。

    ORACLE_HOME/dcm/bin/dcmctl updateConfig
    

    関連項目

    『Distributed Configuration Management管理者ガイド』 

  8. Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.4)インスタンスにOracle Content DBが含まれている場合は、Oracle Content DBのプロパティを、10.1.2.0.2 Oracle HTTP Serverのホスト名およびポート番号を参照するように変更する必要があります。

    プロパティは、Application Server Controlを使用して次のように変更します。

    1. OC4J_Contentホーム・ページにナビゲートして、「アプリケーション」を選択します。

    2. コンテンツ」→「Content DBの拡張」をクリックします。

    3. 「管理」タブを選択します。

    4. ドメインのプロパティ」行で、「タスクに移動」アイコンをクリックします。

    5. IFS.DOMAIN.APPLICATION.ApplicationHost」をクリックします。「」フィールドでホスト名を変更します。「OK」をクリックします。

    6. IFS.DOMAIN.APPLICATION.ApplicationPort」をクリックします。「」フィールドでポート番号を変更します。「OK」をクリックします。

  9. Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.4)インスタンスでOracleAS Single Sign-Onを使用している場合は、次の手順を実行します。

    1. サーバー1で、第6.7項「作業1: SSO認証の有効化(オプション)」のステップ1と2を実行します。

    2. サーバー2(10gリリース3(10.1.3.4))インスタンスの次の場所に、新しく作成したosso構成ファイルをコピーします。

      (UNIX) ORACLE_HOME/Apache/Apache/conf/osso
      (Windows) ORACLE_HOME¥Apache¥Apache¥conf¥osso
      
      
    3. httpd.confファイルで、mod_osso.confが含まれている行からコメント文字(#)を削除します。

    4. mod_oc4j.confファイルで、osso構成ファイル用のエントリを追加します。

      OssoConfig new_osso.conf_file_path
      
      
    5. サーバー1で、構成を更新します

      ORACLE_HOME/dcm/bin/dcmctl updateConfig
      
      
  10. 第6.7項「作業2: Identity Managementの中間層インスタンスの構成」で説明したように、サーバー2をOracle Internet Directoryに関連付けます。

  11. サーバー1で、Oracle HTTP Serverを再起動します。

    ORACLE_HOME_SERVER1/opmn/bin/opmnctl restartproc ias-component=HTTP_Server
    
    

これで、サーバー1のappserverInstanceを指しているブラウザは、サーバー2のappserverInstanceにあるOC4Jアプリケーションにアクセスできるようになります。


注意

J2EE and Web Cacheタイプの中間層を除くリリース2(10.1.2)の中間層のインストールでは、Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.4)の中間層を起動する前に、Oracle Application Serverリリース2(10.1.2)の中間層を起動してください。そうしないと、最大2分の遅延が生じる場合があります。 


この構成では、J2EE 10gリリース3(10.1.3.4)インスタンスのアプリケーション停止機能は使用しないでください。Oracle HTTP Serverリリース2(10.1.2)が、アプリケーションが停止したJ2EE 10gリリース3(10.1.3.4)インスタンスにルーティングを行うと、エラーが発生する場合があります。


注意

リリース2(10.1.2)は、10gリリース3(10.1.3.4)のApplication Server Controlから管理できません。10.1.2インスタンスはApplication Server Control 10gリリース3(10.1.3.4)の「クラスタ・トポロジ」ページに表示されますが、その一部の情報は利用できないか正しくない場合があります。次に例を示します。

  • 「ポート」ページでは、10.1.2インスタンスのポートが表示されない場合や、ポート・タイプがNAとして表示される場合があります。

  • トポロジ・ページの「グループ」セクションでは、グループに10.1.2インスタンスが含まれる場合、そのインスタンスのステータスが間違って表示されることがあります。

 

6.6 OC4J Java Single Sign-Onを使用するためのインスタンスの構成

OC4Jに付属する軽量のシングル・サインオン・ソリューションであるOC4J Java Single Sign-On(Java SSO)を使用するようにインスタンスを構成できます。Java SSOは、追加のインフラストラクチャを必要とせず(OracleAS Single Sign-OnやOracle Access Managerシングル・サインオンでは必要)、使用するID管理システムからOC4Jを分離します。

基本インストールを選択すると、Java SSOは自動的にデプロイ、構成および起動されます。拡張インストールを選択すると、Java SSOはデプロイされますが、構成および起動は行われません。

Java SSOを使用するためのインスタンスの構成の詳細は、『Oracle Containers for J2EEセキュリティ・ガイド』の「Java SSOの設定と構成」を参照してください。

Oracle Internet Directoryを使用するためのJava SSOの構成の詳細は、『Oracle Containers for J2EEセキュリティ・ガイド』の「Oracle Internet DirectoryとOC4Jの関連付け」を参照してください。

Java SSOを使用するためのOracle WebCenter Frameworkの構成の詳細は、『Oracle WebCenter Framework開発者ガイド』のJava Single Sign-Onを使用するためのWebCenterアプリケーションの構成に関する項を参照してください。

6.7 10.1.4または10.1.2のOracle Identity Managementを使用するためのインスタンスの構成

10.1.3の中間層インスタンスは、リリース10.1.4またはリリース2(10.1.2)のOracle Identity Managementを使用するように構成できます。

この項では、10.1.3の中間層インスタンスを、リリース10.1.4またはリリース2(10.1.2)のOracle Identity Managementを使用するように構成する方法について説明します。図6-14に、リリース2(10.1.2)のOracle Identity Managementが構成された中間層インスタンスを示します。

図6-14    10.1.2のIdentity Managementを使用する中間層


画像の説明

開始する前に、次を確認してください。

作業1: SSO認証の有効化(オプション)

デプロイされているアプリケーションのSSO認証を有効にするには、「作業2: Identity Managementの中間層インスタンスの構成」で説明するアイデンティティ管理ウィザードを使用する前に、次の手順を実行する必要があります。


注意

OracleAS Single Sign-Onは、Oracle HTTP Serverが含まれるOracle Application Serverのインストール・タイプがインストールされている場合にのみ使用できます。他のインストール・タイプでは、Java SSOを使用できます。「第6.6項」を参照。 


  1. Identity Managementホストで、ORACLE_HOMEおよびORACLE_SID環境変数を設定します。

  2. Identity Managementホストで、ssoregスクリプトを-remote_midtierオプションを使用して実行します。このファイルは、次のディレクトリにあります。

    (UNIX) ORACLE_HOME/sso/bin/ssoreg.sh
    (Windows)ORACLE_HOME¥sso¥bin¥ssoreg.bat
    
    

    たとえばLinuxでは、次のように指定します。

    $ORACLE_HOME/sso/bin/ssoreg.sh -oracle_home_path $ORACLE_HOME
     -config_mod_osso TRUE
     -site_name myhost.com:7778 
     -remote_midtier
     -config_file $ORACLE_HOME/Apache/Apache/conf/osso/myosso.conf
     -mod_osso_url http://myhost.com:7778
    
    

    作成される構成ファイル(この例ではmysso.conf)は、不明瞭化されたosso構成ファイルです。

  3. 不明瞭化されたosso構成ファイルを、10gリリース3(10.1.3.4)の中間層インスタンスにコピーします。

  4. 中間層ホストで、次のスクリプトを実行して登録を完了させます。

    (UNIX) ORACLE_HOME/Apache/Apache/bin/osso1013 config_file
    (Windows) perl ORACLE_HOME¥Apache¥Apache¥bin¥osso1013 config_file
    
作業2: Identity Managementの中間層インスタンスの構成

Identity Managementを使用するように中間層インスタンスを構成するには、次の手順を実行します。

  1. Application Server Controlを使用して、中間層インスタンスのOC4Jホーム・ページにナビゲートします。

  2. 管理」をクリックします。

  3. 表の「タスク名」列で「セキュリティ」が閉じている場合は、それを開きます。「アイデンティティ管理」行で、「タスクに移動」アイコンをクリックします。

  4. 「アイデンティティ管理」ページで、「構成」をクリックします。

  5. 「アイデンティティ管理の構成: 接続情報」ページで次のように入力します。

    • Oracle Internet Directoryホスト: Oracle Internet Directoryホストの完全修飾名。

    • Oracle Internet DirectoryユーザーDN: iASAdminsグループのcn=orcladminなどの、ユーザーの識別名。

    • パスワード: そのユーザーのパスワード。

      このパスワードは、Oracle Internet Directoryで作成したoc4jadminユーザーのデフォルト・パスワードとして使用されます。

    • Internet DirectoryへSSL接続のみを使用: SSLのみを使用して中間層コンポーネントをOracle Internet Directoryに接続する場合は、このオプションを選択します。

      Oracle Internet Directory SSLポート」フィールドに、Oracle Internet DirectoryのSSLポート番号を入力します。

    • Internet Directoryへ非SSL接続を使用: SSL以外の接続を使用して中間層コンポーネントをOracle Internet Directoryに接続する場合は、このオプションを選択します。

      次に、「Oracle Internet Directoryポート」フィールドに、Oracle Internet DirectoryのSSL以外のポート番号を入力します。

    次へ」をクリックします。

  6. 「アイデンティティ管理の構成: Application Server Control」ページでは、Identity Managementを管理ユーザーの認証および認可用のセキュリティ・プロバイダとして使用するようにApplication Server Controlを構成するかどうかを指定できます。構成する場合は、「Oracle Identity Managementセキュリティ・プロバイダを使用」を選択します。

    次の事項に注意してください。

    • 現在のセキュリティ・プロバイダに作成されているApplication Server Control管理者ユーザーは、この変更を行うと、Application Server Controlにアクセスできなくなります。Application Server Controlにアクセスできるのは、Oracle Internet Directoryに定義されているユーザーおよびグループのみです。

    • Application Server Controlのセキュリティ・プロバイダは後から変更できます。これには、「設定」→「セキュリティ・プロバイダ」をクリックします。

  7. 「アイデンティティ管理の構成: デプロイ済アプリケーション」ページでは、このOC4Jインスタンスにデプロイされているアプリケーションのセキュリティ・オプションを指定できます。各アプリケーションに対して、次を実行します。

    • OIDセキュリティ・プロバイダを使用: Identity Managementを認証および認可用のセキュリティ・プロバイダとして使用するようにアプリケーションを構成する場合は、このオプションを選択します。

      デフォルトのアプリケーションのセキュリティ・プロバイダは変更できないことに注意してください。

    • SSO認証の有効化: OIDセキュリティ・プロバイダを使用」を選択した場合は、このオプションを選択するとSingle Sign-On認証を使用できます。ただし、最初にOracle Application ServerのインスタンスをOracleAS Single Sign-Onサーバーに登録しておく必要があります。詳細は、「作業1: SSO認証の有効化(オプション)」を参照してください。

    構成」をクリックします。

  8. 操作が完了したら、OC4Jインスタンスを再起動する必要があります。「確認」ページで「再起動」をクリックしないでください。かわりに、「クラスタ・トポロジ」ページにナビゲートし、OC4Jインスタンスを選択してから、「再起動」をクリックします。

これで、中間層はOracle Identity Managementサービスを使用するように構成されました。

関連項目

『Oracle Identity Management概要および配置プランニング・ガイド』 

6.8 匿名バインドの有効化と無効化

リリース2(10.1.2.0.2)から、Oracle Internet Directoryで匿名バインド(匿名認証)を有効化および無効化できるようになりました。デフォルトでは、匿名バインドは有効です。

匿名バインドは多くの実行環境で無効になっていると便利ですが、次のようなほとんどの構成の変更時には匿名バインドを有効にする必要があります。

6.8.1 実行環境の匿名バインドの無効化

匿名バインドを無効にする手順は次のとおりです。

  1. 第3.2.2項で説明しているように、OracleAS Infrastructureに接続しているすべての中間層を停止します。

  2. すべてのInfrastructure OracleホームでOracleAS Infrastructureを停止します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl stopall
    (Windows) ORACLE_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl stopall
    
    
  3. この手順において必要なのでOracle Internet Directoryを起動します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/bin/oidmon connect=db_connect_string start
    (Windows) ORACLE_HOME¥bin¥oidmon connect=db_connect_string start
    
    
  4. OracleAS Infrastructureに接続されているすべての中間層とOracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesを含むInfrastructure Oracleホームのias.propertiesファイルを変更します。ias.propertiesファイルは次のディレクトリにあります。

    (UNIX) ORACLE_HOME/config
    (Windows) ORACLE_HOME¥config
    
    

    ias.propertiesファイルに、OIDAnonymousDisabledプロパティを追加して、これをtrueに設定します。

    OIDAnonymousDisabled=true
    
    
  5. OracleAS Infrastructureに接続されているすべての中間層とOracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesを含むInfrastructure Oracleホームのdads.confファイルを変更します。dads.confファイルは次のディレクトリにあります。

    (UNIX) ORACLE_HOME/Apache/modplsql/conf
    (Windows) ORACLE_HOME¥Apache¥modplsql¥conf
    
    

    PlsqlDatabaseConnectStringパラメータには、デフォルトで、次のようなLDAPによる名前解決の形式の値が含まれます。

    PlsqlDatabaseConnectString cn=orcl, cn=oraclecontext NetServiceNameFormat
    
    

    この行をコメントアウトします(将来、必要に応じて匿名バインドに戻せるように、この行は削除しないでください)。

    次の行を追加します。これにより、LDAPによる名前解決ではなくhost:port:service形式が使用されるようにPlsqlDatabaseConnectStringパラメータの値が変更されます。

    PlsqlDatabaseConnectString db_host:db_hostdb_listener_port:db_service_name
    
    

    この例では、db_hostはOracleAS Single Sign-OnのOracleAS Metadata Repositoryがインストールされているホストの名前、db_listener_portはそのOracleAS Metadata Repositoryのリスナー・ポート、db_service_nameはOracleAS Metadata Repositoryのサービス名です。

  6. ldapmodifyコマンドを使用して匿名バインドを無効にします。このコマンドは、Oracle Internet DirectoryのあるOracleホームで使用します。

    次の手順に従います。

    1. テキスト・ファイルを作成し、次の行を含めます。

      dn:
      changetype: modify
      replace: orclanonymousbindsflag
      orclanonymousbindsflag: 0
      
      
    2. ldapmodifyコマンドを使用し、前の手順で作成した入力テキスト・ファイルを呼び出します。次の例では、テキスト・ファイルはanon_off.ldifという名前です。

      (UNIX) ORACLE_HOME/bin/ldapmodify -h host -p port -D cn=orcladmin -w password 
      -v -f anon_off.ldif
      (Windows) ORACLE_HOME¥bin¥ldapmodify -h host -p port -D cn=orcladmin -w 
      password -v -f anon_off.ldif
      
      
  7. Oracle Internet Directoryを停止します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/bin/oidmon connect=db_connect_string stop
    (Windows) ORACLE_HOME¥bin¥oidmon connect=db_connect_string stop
    
    
  8. 次のようにOracle Internet Directoryを含むOracleAS Infrastructureを起動します。Oracle Internet DirectoryのOracleホーム、次いで他のすべてのOracleAS InfrastructureのOracleホームにおいてOracleAS Infrastructureを起動します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl startall
    (Windows) ORACLE_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl startall
    
    
  9. 第3.2.1項で説明しているように、Infrastructureに接続しているすべての中間層を起動します。

6.8.2 構成変更時の匿名バインドの有効化

匿名バインドを無効にしている場合、Oracle Application Server中間層またはOracleAS Infrastructureの構成を変更する前に、次の手順に従って匿名バインドを有効にする必要があります。

  1. 第3.2.2項で説明しているように、OracleAS Infrastructureに接続しているすべての中間層を停止します。

  2. すべてのInfrastructure OracleホームでOracleAS Infrastructureを停止します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl stopall
    (Windows) ORACLE_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl stopall
    
    
  3. この手順において必要なのでOracle Internet Directoryを起動します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/bin/oidmon connect=db_connect_string start
    (Windows) ORACLE_HOME¥bin¥oidmon connect=db_connect_string start
    
    
  4. OracleAS Infrastructureに接続されているすべての中間層とOracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesを含むInfrastructure Oracleホームのias.propertiesファイルを変更します。ias.propertiesファイルは次のディレクトリにあります。

    (UNIX) ORACLE_HOME/config
    (Windows) ORACLE_HOME¥config
    
    

    ias.propertiesファイルで、OIDAnonymousDisabledプロパティをfalseに設定します。

    OIDAnonymousDisabled=false
    
    

    ファイルにこのプロパティが存在しない場合、またはfalseに設定されている場合、匿名バインドは有効になっています。

  5. OracleAS Infrastructureに接続されているすべての中間層とOracleAS Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Servicesを含むInfrastructure Oracleホームのdads.confファイルを変更します。dads.confファイルは次のディレクトリにあります。

    (UNIX) ORACLE_HOME/Apache/modplsql/conf
    (Windows) ORACLE_HOME¥Apache¥modplsql¥conf
    
    

    LDAPで名前解決される形式の値を持つPlsqlDatabaseConnectStringパラメータを含む次のような行がコメントアウトされている場合、その行を非コメント化します。この行が削除されている場合、次の形式の行を追加します。

    PlsqlDatabaseConnectString cn=orcl, cn=oraclecontext NetServiceNameFormat
    
    

    host:port:service形式の値を持つPlsqlDatabaseConnectStringパラメータを含む行が追加されている場合、それをコメントアウトします。

    PlsqlDatabaseConnectString db_host:db_hostdb_listener_port:db_service_name
    
    
  6. ldapmodifyコマンドを使用して匿名バインドを有効にします。このコマンドは、Oracle Internet DirectoryのあるOracleホームで使用します。

    次の手順に従います。

    1. テキスト・ファイルを作成し、次の行を含めます。

      dn:
      changetype: modify
      replace: orclanonymousbindsflag
      orclanonymousbindsflag: 1
      
      
    2. ldapmodifyコマンドを使用し、前の手順で作成した入力テキスト・ファイルを呼び出します。次の例では、テキスト・ファイルはanon_on.ldifという名前です。

      (UNIX) ORACLE_HOME/bin/ldapmodify -h host -p port -D cn=orcladmin -w password 
      -v -f anon_on.ldif
      (Windows) ORACLE_HOME¥bin¥ldapmodify -h host -p port -D cn=orcladmin -w 
      password -v -f anon_on.ldif
      
      
  7. Oracle Internet Directoryを停止します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/bin/oidmon connect=db_connect_string stop
    (Windows) ORACLE_HOME¥bin¥oidmon connect=db_connect_string stop
    
    
  8. 次のようにOracle Internet Directoryを含むOracleAS Infrastructureを起動します。Oracle Internet DirectoryのOracleホーム、次いで他のすべてのOracleAS InfrastructureのOracleホームにおいてOracleAS Infrastructureを起動します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl startall
    (Windows) ORACLE_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl startall
    
    
  9. 次のコマンドを使用して、Infrastructureに接続しているすべての中間層を起動します。

    (UNIX) ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl startall
    (Windows) ORACLE_HOME¥opmn¥bin¥opmnctl startall
    

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